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【発明の名称】 足首保護具
【発明者】 【氏名】安川 五生

【要約】 【課題】足首に捻挫や骨折、または靭帯の損傷などの外傷が生じた場合に、脛骨と腓骨の拡開を制限して損傷部位を好適に保護すると共に、衛生管理を容易に行うことができる足首保護を提供する。

【解決手段】2枚の相対向する板状部材(2a、2b)と、各板状部材の内側面に配置したパッド部材(3a、3b)と、これら板状部材およびパッド部材とを下腿部に対して押圧保持する第1の帯状部材(4a、4b)と、下側の帯状部材(4b)に連続して設けられ、足の甲に周回させる第2の帯状部材(5)と、板状部材の下端部に足の踵を周回するように設けた第3の帯状部材(6)を具え、第1の帯状部材を開放可能として足首保護具を足首に着脱自在とすると共に、この帯状部材の開放端にファスナ部材を設けてその長さを自在に調整できるようにした足首保護具。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一対のパッド部材と、これらのパッド部材を下腿下端部の左右両側に押圧して保持する帯状の押圧保持手段とを具える足首保護具であって、この足首保護具を足首に着脱自在に構成するとともに、前記押圧保持手段の長さを調整可能としたことを特徴とする足首保護具。
【請求項2】 前記パッド部材が一対の板状部材にそれぞれ保持されていることを特徴とする請求項1に記載の足首保護具。
【請求項3】 前記パッド部材が靴下形状をした部材に保持されていることをを特徴とする請求項1に記載の足首保護具。
【請求項4】 前記各板状部材が、前側下端に切り欠きを有し、前記保護具を足首に装着した際に、甲が前記板状部材にあたらないようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の足首保護具。
【請求項5】 前記各板状部材が、装着時に、水平方向において内側に湾曲していることを特徴とする請求項1、2、4のいずれかに記載の足首保護具。
【請求項6】 前記足首保護具が、更に、足首の関節の前後方向の動きを抑制する部材を具えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の足首保護具。
【請求項7】 前記足首保護具が、更に、前記板状部材の上下方向の動きを制限する部材を具えることを特徴とする請求項1、2、4ないし6に記載の足首保護具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、足首保護具に関し、特に、足首の靱帯の損傷、あるいは捻挫などの足首の関接部分の損傷の治療段階において足首に装着して損傷部分を保護するために好適に用いられる足首保護具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】足首の関節部分に外反、内反といった無理な力が加わって靱帯の損傷や、捻挫などの外傷が生じた場合、従来は、損傷部位に金属板をあてがって関節部分をギプスや包帯で固定して治療するようにしている。また、損傷が度合いが軽い場合は、テーピングやサポータを用いて関節の可動域を制限して傷が悪化しないようにしている。
【0003】
【発明が解決すべき課題】このように、足首の関節部分に損傷が生じた場合は、ギプスや、包帯あるいはテーピングなどで損傷部位を固定することによって足首を保護するようにしているが、このように損傷部位を保護していても、歩行時などに足首に体重がかかった場合などに、下腿下端部において脛骨と腓骨間が拡開して痛みが生じることがある。このような痛みに対しては、患者に松葉杖を持たせるか、車椅子を使用させるなどして足首への荷重を軽減して治療するようにしているが、この松葉杖あるいは車椅子の使用は、患者の日常生活に非常な不便をきたす。
【0004】また、ギプスを用いて足首を固定する場合、容易にギプスを脱着することができないため、やはり患者の生活に不便をきたすとともに、ギプスを外すまでは患部を洗ったり、消毒したりできないため、衛生上も好ましくない。一方、外傷が治りかけた段階で、ギプスを外すと、上述した通り体重がかかることにより、脛骨と腓骨との間が拡がって痛みが生じるとともに、患部に予期しない力が加わって傷が悪化することもある。
【0005】本発明は、このような問題を解決すべくなされたものであり、靱帯の損傷あるいは捻挫などの足首の外傷の治療に好適に使用できる足首保護具を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明の足首保護具は、一対のパッド部材と、これらのパッド部材を下腿下端部の左右両側に押圧して保持する帯状の押圧保持手段とを具える足首保護具であって、この足首保護具を足首に着脱自在に構成するとともに、前記押圧保持手段の長さを調整可能としたことを特徴とする。
【0007】このように本発明の足首保護具は、一対のパッド部材を下腿下端の左右両側に押圧保持するように構成しているため、歩行中などに足首に体重がかかったような場合でも、この脛骨と腓骨との間が拡開しにくくなり、この拡開によって生じる痛みが軽減する。また、本発明の足首保護具は、足首に着脱自在に構成しているため、入浴その他、必要に応じて保護具を容易に取り外すことができ、損傷部位の衛生管理を容易に行うことができる。更に、本発明の足首保護具は、帯状部材を用いてパッド部材を保持し、この帯状の押圧保持手段の長さを調整可能としているため、パッド部材を下腿下端部に押圧する程度を自在に調整することができる。従って、個人の体格差や損傷の具合等によってパッド部材の押圧の程度を加減して好適に足首を保護することが可能となる。
【0008】本発明の足首保護具は、前記パッド部材が一対の板状部材にそれぞれ保持されていることが好ましい。このように構成することによって、パッド部材を所望の損傷箇所に、より安定して押圧保持することができる。
【0009】また、本発明の足首保護具は、靴下形状をした部材で前記パッド部材を保持するようにしても良い。このように、靴下部材を利用することによって、足の保温効果が得られるので、冬季などに好適に使用できる。また、一般に流通している靴下を利用することによって、製造コストを低く抑えることができる。
【0010】前記各板状部材は、前側下端に切り欠きを有し、本発明の足首保護具を足首に装着した際に、甲が前記板状部材にあたらないように構成することが好ましく、更に、各板状部材が、装着時に水平方向において内側に湾曲していることが好ましい。
【0011】パッド部材を押圧保持する所望部位である下腿下端部は踝より若干細いため、各板状部材の前側下端、すなわち、踝に該当する位置に切り欠きを設けて、前記保護具を装着した際に、踝が前記板状部材に接触させないようにすれば、パッド部材を好適に下腿下端部に押圧することができる。また、各板状部材は装着時に内側に湾曲した状態になるようにすることによって、板状部材を足にフィットさせて、より、快適に保護具を使用することができる。
【0012】また、本発明の足首保護具は、更に、足首の関節の前後方向の動きを抑制する部材を具えることが好ましい。また、更に、前記板状部材の上下方向の動きを制限する部材を具えるようにしてもよい。
【0013】足首の関節の前後方向の動きを抑制する部材を更に設けることにより、足首の可動域を前後左右の2方向において制限することとなる。したがって、損傷部位をよりしっかりとサポートすることができ、外傷の悪化を防ぐことができる。この前後方向の動きを抑制する部材としては、具体的には、足の甲を周回する第2の帯状部材が考えられる。
【0014】また、板状部材の上下方向の動きを制限する部材を設けることによって、板状部材、ひいては、パッド部材が上下方向にずれにくくなり、所望の部位にパッド部材を押圧保持することができる。この部材は、具体的には、足の踵を周回する第3の帯状部材が考えられる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1(a)は本発明にかかる足首保護具の第1の実施の形態を示す斜視図であり、図1(b)はこの足首保護具1を足首に装着した状態を示す図である。図1に示すように、本実施形態にかかる足首保護具1は2枚の相対向する板状部材2a、2bと、各板状部材2a、2bの内側面に配置したパッド部材3a、3bと、これら板状部材2a、2bおよびパッド部材3a、3bとを下腿下端部に対して押圧保持する第1の帯状部材4a、4bと、下側の帯状部材4bに連続して設けられ、足の甲に周回させる第2の帯状部材5と、板状部材2の下端部に足の踵を周回するように設けた第3の帯状部材6を具えている。
【0016】板状部材2は強度のある化学繊維、ポリウレタン、金属、又は木材などから成る芯材8aと、この芯材8の回りに設けた化学繊維、天然繊維、発泡性樹脂材などからなる柔軟な外装材8bとで構成されている(図1(b)参照)。この板状部材2にはなるべく軽量の素材を使用して、保護具1を長時間装着しても使用者にとってその重量が苦にならないようにするのが好ましい。板状部材2は好適な例では縦方向の長さが15〜20cm、幅方向の長さが5〜8cmで、厚さは5mm程度に構成されている。板状部材2a、2bの前側下端部には切り欠き部7が設けられており、保護具1を足首に装着した際に、甲の部分があたらないように構成されている。また、板状部材は装着時に水平方向において内側に湾曲させるようにして、下腿の形状に沿うように構成されている。
【0017】第1の帯状部材4a、4bは、それぞれ前側で分離しており、それぞれの端部にベルクロファスナ4c、4cを設けてその長さを調整できるように構成されている。板状部材2を足首にあてがってこれらパッド部材3a、3bを下腿下端部に左右に対向させてあてて、ベロクロファスナ4c、4cを止め付けることによって、第1の帯状部材4a、4bでパッド部材3a、3bを下腿下端部に装着して押圧保持する。パッド部材3a、3bを介して下腿下端部を左右から押圧することにより、足首へ体重がかかった時などに生じる脛骨及び腓骨の拡開を制限することができる。ベロクロファスナ4c、4cの止め付け位置を変えることによって、パッド部材3a、3bの押圧の度合いを自在に変更することができるため、個人の体格差に応じて、また、損傷部位の症状に応じた強度でパッド部材を押圧保持することができる。なお、各パッド部材3a、3bの長手方向及び短手方向の長さは3〜5cm程度、厚さは押圧時に1.5〜3cm程度になるように構成する。パッド部材の材質には、例えば、ゴム、綿、わら、包装用クッション材等、通常のクッション材として使用されているものを好適に使用することができる。
【0018】本例では、下側に設けた第1の帯状部材4bに第2の帯状部材5が連続的に設けられており、この第2の帯状部材5を足の甲に巻回させて足首の関節の前後方向の動きを制限するようにしている。これによって、テーピングを施すのとほぼ同様の効果を得ることができる。すなわち、パッド部材3a、3bによる下腿下端部の押圧とあいまって、前後左右の両方向において損傷部位を保持して足首を好適な状態で保護することができる。この第2の帯状部材5にも、足首部分と先端開放部とにベロクロファスナ5dが設けられており、開放可能かつ長さを調整できるように構成されている。
【0019】本実施の形態の足首保護具1には、更に、板状部材2の下端に第3の帯状部材5が設けられており、保護具1の装着時に、この帯状部材5を踵に周回させるようにして、使用時に保護具1(板状部材2a、2b)の上下方向の位置がずれないようにしている。この帯状部材5も、一方を開放してファスナ部材を設けて、その長さを調節できるようにしても良い。なお、上述した帯状部材4a,4b、5、6には非伸縮性の柔らかい素材を好適に使用することができる。例えば、ナイロン素材やその他の布材、皮ベルトなどが考えられる。
【0020】上述した本発明の第1の実施の形態では、第1の帯状部材4a、4b及び第2の帯状部材5は、いずれも、一ヵ所を開放して、この開放端をベルクロファスナを用いて止め付けるように構成したが、これらの部材を一体的な帯状部材で構成するようにしても良い。この場合は、帯状部材の材質にゴムバンドなどの伸縮性のある素材を用いて保護具1を足首に着脱自在とする。この場合も、帯状部材の長さをある程度自在に変えることができるため、個人の体格差にほとんど関係なく使用できると共に、外傷の直り具合に合わせてパッド部材3a、3bの押圧の度合いを調節することができる。
【0021】また、踵を周回する第3の帯状部材6にも、伸縮性のある素材を用いるようにしても良い。なお、一端を開放した帯状部材4a、4b、5、6を連結する手段は上述したベルクロファスナの他にもバックル、ホックなど様々な手段を適用することができる。
【0022】又、第1の帯状部材4a、4bは必ずしも2本でなくてもよく、その数を増やすことによって、下腿部の形状によりフィットさせて板状部材2a、2bとパッド部材3a、3bとを足首を固定することができる。特に、帯状部材4がパッド3a、3bの上を通るようにすることによって、よりしっかりと下腿下端部を押圧することができる。逆に、幅の広い1本の帯状部材を用いて板状部材2a、2bとパッド部材3a、3bとを押圧保持するようにしても良い。第1の帯状部材4の長さや幅はその本数や足首保護具1の使用条件を勘案して決めるものとする。又、本例では板状部材2を幅広く形成すると共に前側下端部に切り欠き部7を設けて構成しているが、この切り欠き部を設けずに比較的幅の狭い長方形の板状部材で構成するようにしても良い。
【0023】図2は、本発明にかかる足首保護具の第2の実施の形態の構成を示す図である。図2に示すように、本実施形態の足首保護具10は、踝の上の部分(脛骨と腓骨の下端部)を両側部から圧迫するパッド部材3a、3bと、下腿部から足先までを覆う靴下部材11と、足首全周を周回する帯状部材14とを具える。パッド部材3a、3bはいずれも靴下部材11の内側面の踝の上に対応する箇所に縫いつけられている。帯状部材14は前側を除いて靴下部材11に縫いつけられている。帯状部材14は前側が図1に示す第1の帯状部材4と同じく開放されており、開放端部にベロクロファスナ13aを設けることによって、足首に着脱自在に、かつその長さを調整できるように構成されている。
【0024】本実施形態の足首保護具10は、帯状部材13の前側を開放しておき、一般的な靴下と同様に開口部12から足を挿入した後に、パッド部材3a、3bを踝の上側部分の左右にあてておいて、帯状部材14の前側端部に設けたベルクロファスナ14aを留めつけて装着する。この保護具10は、普通の靴下と外観的にほぼ変わらないため、個人の都合によって疾患箇所を隠したいときなどに都合が良い。また、保温効果もある。更に、靴下部材11の素材に一般的なサポータと同じような伸縮性の高いものを用いるようにすれば、よりしっかりとパッド部材3a、3bを下腿下端部に保持することができる。靴下部材11のパッド部材3a、3bを取付けた部分を含む箇所を、部分的に伸縮性の高い素材で作るようにしてもよい。これによって、必要箇所以外の部分を圧迫することなく、パッド部材3a、3bを保持することができる。
【0025】本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が考えられる。最も簡潔な構成例では、パッド部材3a、3bと、これらを互いに連結する帯状の押圧保持部材を設け、この帯状部材の前側および/または後側を開放すると共に、開放端にファスナ部材を設けてその長さを調整可能とした保護具が考えられる。また、上述した例では、帯状の押圧保持部材(4、14)の前側を開放可能としているが、後側を開放可能としたり、あるいは、前後両側を開放できるようにしても良いことは言うまでもない。他の変形例としては、例えば、第1の実施形態において、第2の帯状部材5は第1の帯状部材4の一端を長くしてこれを足の甲から土踏まずにかけて周回させ、甲の上の部分で止めつけるようにしているが、第1の帯状部材の両端を長くして足の甲から周回させ、土踏まずの部分で止めつけるようにしても良い。また、第2の実施形態において、靴下部材11の足先に相当する部分、及び/又は、踵に相当する部分を切り取ったような形状に構成して、保護具10の通気性を向上させるようにしていも良い。
【0026】
【発明の効果】上記に詳細に説明したように、本発明の足首保護具を使用することによって、下腿下端部の脛骨と腓骨とを左右から押圧して足首への荷重時における脛骨と腓骨の拡開を制限することができる。これによって、靭帯への負荷を排除し、荷重痛の軽減及び靭帯の損傷の悪化を防止できる。従って、怪我のリハビリ時において早期の歩行または運動が可能となる。また、パッド部を局部的に設けて余分な箇所へ部分的に圧迫が生じないようにしているため、装着時に足の他の部分を圧迫せず、快適に使用することができる。また、本発明の足首保護具は着脱自在に構成されているため、損傷部位の衛生管理を容易に行うことができる。
【出願人】 【識別番号】598078425
【氏名又は名称】有限会社 ユ・アース
【出願日】 平成10年(1998)6月1日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】柏原 三枝子
【公開番号】 特開平11−342143
【公開日】 平成11年(1999)12月14日
【出願番号】 特願平10−165855