トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 人工補綴移植挿入器
【発明者】 【氏名】ジョン・アンドリュー・ストラー

【要約】 【課題】片手で簡単に操作できる人工補綴挿入器を提供する。

【解決手段】人工補綴移植挿入器は、移植すべき人工補綴(5)を固定し、保持する取り付け手段(4)と、取り付け手段から離間し、挿入器の挿入軸線(2)に関する軸方向運動及び角度運動を阻止するように人工補綴に係合するようになった位置決め手段と、取り付け手段又は位置決め手段又はその双方を解放するために片手で操作できるようになった解放手段とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 人工補綴移植挿入器であって、移植すべき人工補綴を固定し、保持する取り付け手段と;上記取り付け手段から離間し、挿入器の挿入軸線に関する軸方向運動及び角度運動を阻止するように上記人工補綴に係合するようになった位置決め手段と;上記取り付け手段又は上記位置決め手段又はその双方を解放するために片手で操作できるようになった解放手段と;を有することを特徴とする人工補綴移植挿入器。
【請求項2】 挿入器に加えられた移植負荷が、上記取り付け手段を介して、移植すべき上記人工補綴に伝達されることを特徴とする請求項1に記載の人工補綴移植挿入器。
【請求項3】 挿入器に加えられた移植負荷が、上記位置決め手段を介して、移植すべき上記人工補綴に伝達されることを特徴とする請求項1に記載の人工補綴移植挿入器。
【請求項4】 上記取り付け手段が移植すべき大腿骨要素のヘッド栓に取り付けられるようになっていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の人工補綴移植挿入器。
【請求項5】 上記取り付け手段が移植すべき上記人工補綴のヘッド栓を取り巻くような形状の弾性アダプタを有し、上記弾性アダプタを把持する係合手段を設けたことを特徴とする請求項4に記載の人工補綴移植挿入器。
【請求項6】 上記弾性アダプタが上記係合手段内に位置する係合爪を有することを特徴とする請求項5に記載の人工補綴移植挿入器。
【請求項7】 上記弾性アダプタが、移植すべき上記人工補綴のヘッド栓の下方で係合するようになったフランジを有するコレットの形をしており、上記コレットを適所に保持する解放可能な手段を設けたことを特徴とする請求項5に記載の人工補綴移植挿入器。
【請求項8】 上記コレットが割り型であることを特徴とする請求項7に記載の人工補綴移植挿入器。
【請求項9】 上記解放可能なコレット保持手段及び上記位置決め手段を同時に作動させる作動手段を備えたことを特徴とする請求項7又は8に記載の人工補綴移植挿入器。
【請求項10】 上記取り付け手段が上記大腿骨要素のヘッド栓に取り付けられ、また、上記位置決め手段を受け入れるようになった取り付け素子を有することを特徴とする請求項4に記載の人工補綴移植挿入器。
【請求項11】 上記取り付け素子が挿入器に対し強固な取り付けを行う手段を有することを特徴とする請求項10に記載の人工補綴移植挿入器。
【請求項12】 上記取り付け素子が上記人工補綴の栓と共働するような寸法の先細りソケットと、上記位置決め手段に隣接した上記挿入器の適当な部分と共働する先細りソケットとを有することを特徴とする請求項11に記載の人工補綴移植挿入器。
【請求項13】 上記取り付け素子が移植すべき大腿骨要素の基端側肩部に係合するようになっていることを特徴とする請求項10ないし12のいずれかに記載の人工補綴移植挿入器。
【請求項14】 上記取り付け素子が合成プラスチック材料から作られることを特徴とする請求項10ないし13のいずれかに記載の人工補綴移植挿入器。
【請求項15】 上記合成プラスチック材料がポリカーボネートであることを特徴とする請求項14に記載の人工補綴移植挿入器。
【請求項16】 上記位置決め手段が移植すべき上記人工補綴上の位置決め構造に係合するようになっていることを特徴とする請求項1ないし15のいずれかに記載の人工補綴移植挿入器。
【請求項17】 上記位置決め構造が上記人工補綴の側部により提供されることを特徴とする請求項16に記載の人工補綴移植挿入器。
【請求項18】 上記位置決め手段が上記人工補綴の側部に係合する引き戻し可能な二股部分を有することを特徴とする請求項17に記載の人工補綴移植挿入器。
【請求項19】 上記位置決め手段が上記人工補綴内の位置決め開口に係合するようになった引き戻し可能なピンを有することを特徴とする請求項16に記載の人工補綴移植挿入器。
【請求項20】 上記引き戻し可能な位置決め手段を引き戻された位置に保持する手段を設けたことを特徴とする請求項18又は19に記載の人工補綴移植挿入器。
【請求項21】 挿入軸線に沿って延びる本体部分と、ハンドルと、引き戻し可能な位置決め手段を作動させるトリガとを備えたことを特徴とする請求項1ないし20のいずれかに記載の人工補綴移植挿入器。
【請求項22】 上記トリガが上記取り付け手段を解放し、上記位置決め手段を引き戻すように作動できることを特徴とする請求項21に記載の人工補綴移植挿入器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に(だだし、これに限定されない)大腿骨ステム人工補綴の挿入に使用するために適用できる人工補綴挿入器に関する。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】ステムを損傷させずに全体の臀部人工補綴の大腿骨要素を把持するのは特に困難である。ネックの領域における大腿骨要素の損傷はその要素の疲労寿命を減少させる虞れがある。その損傷が割れ目を発生させることがあるからである。更に、モジュラ(基準寸法)設計の栓(spigot)、即ち、異なる寸法又は形状のヘッドを栓に取り付けることのできるステム要素が損傷すると、ステム上の人工補綴大腿骨ヘッドの係合についての問題が生じることがある。そのため、ステムの栓及びネックの保護に使用するステム導入器具の多くの設計がある。
【0003】また、ステムに栓のみをクランプするような従来の設計においては、挿入器を栓にきつくクランプできるが、回転運動が生じる虞れがあることが判明している。回転運動は挿入中に害を及ぼし、不適切で不整合の挿入を生じさせる虞れがある。回転運動を阻止するように栓をクランプするために使用される力を改善することも、栓の損傷を生じ易い。
【0004】多くの場合、ディンプルやくぼみの如き特色構造(feature) をステムに設けて、ステム導入器具をこの構造に係合させ、導入器へのステムの固定取り付けを提供する必要があることが判明した。このような設計のステム導入器具では、普通、ステムと係合する取り付け素子を前進させることにより、ステム上への係合を達成する。従来の設計において、この前進方法では、医師がステムを固定するために両手を使って取り付け素子を前進させる必要があり、更に重要なことには、解放を行うのに両手を使う必要があった。両手の使用は係合方法が複雑であることを意味し、セメント付けされるステムに対しては、ステム導入器具を係合解除する動作は部分的に硬化したセメントマントルを崩壊させて、移植の長期間効果に害を及ぼす虞れがある。それ故、セメントマントルに対する妨害を最小限に抑えた状態でステムを片手で解放できる人工補綴移植挿入器具の設計を達成するのが望ましい。
【0005】本発明は上述の問題を解決することを意図する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、人工補綴移植挿入器は、移植すべき人工補綴を固定し、保持する取り付け手段と、取り付け手段から離間し、挿入器の挿入軸線に関する軸方向運動及び角度運動を阻止するように人工補綴に係合するようになった位置決め手段と、取り付け手段又は位置決め手段又はその双方を解放するために片手で操作できるようになった解放手段とを有する。
【0007】挿入器に加えられる移植負荷(荷重)が、取り付け手段を介して、移植すべき人工補綴に伝達されるように構成することができ、代わりに、挿入器に加えられた移植負荷が、位置決め手段を介して、移植すべき人工補綴に伝達されるように構成することができる。
【0008】好ましくは、取り付け手段は挿入すべき大腿骨要素のヘッド栓に取り付けられるようになっており、人工補綴の栓を取り巻くような形状の弾性アダプタを有することができ、弾性アダプタを把持する係合手段を設ける。
【0009】弾性アダプタは係合手段内に位置する係合爪を有することができる。別の構成においては、弾性アダプタは、移植すべき人工補綴のヘッド栓の下方で係合するようになったフランジを有するコレットの形をとることができ、コレットを適所に保持する解放可能な手段を設ける。必要なら、コレットを割り型とすることができる。
【0010】この構成によれば、解放可能なコレット保持手段及び位置決め手段を同時に作動させる作動手段を設けることができる。
【0011】別の構成においては、取り付け手段は大腿骨要素のヘッド栓に取り付けられ、また、位置決め手段を受け入れるようになった取り付け素子を有することができる。
【0012】この取り付け素子は挿入器に対し強固な取り付けを行う手段を有することができる。
【0013】従って、取り付け素子は人工補綴の栓と共働するような寸法の先細りソケットと、位置決め手段に隣接した挿入器の適当な部分と共働する先細りソケットとを有することができる。
【0014】好ましい構成においては、取り付け素子は移植すべき大腿骨要素の基端側肩部に係合するようになっている。
【0015】解放可能な位置決め手段は移植すべき人工補綴上の位置決め構造に係合できるようになっており、このような位置決め構造は人工補綴の側部により提供することができる。この構成によれば、位置決め手段は人工補綴の側部に係合する引き戻し可能な二股部分の形をとることができる。
【0016】代わりに、又は、加えて、位置決め手段は人工補綴の位置決め開口に係合するようになった引き戻し可能なピンを有することができる。
【0017】装置は挿入軸線に沿って延びる本体部分と、ハンドルと、解放可能な位置決め手段を作動させるトリガとを有することができる。
【0018】解放可能な位置決め手段は回転を阻止するために人工補綴を適所に係止するように作用し、従って、すべての連結を解放するするように作用する作動トリガを単純に作動させることにより人工補綴が挿入された後に、装置を人工補綴から容易に取り外すことができる。
【0019】弾性アダプタが爪を有するような上述の構成においては、位置決め手段を引き戻すことができ、取り付け手段が簡単に連結解除されるので、片手で操作を行うことができる。
【0020】必要なら、引き戻し可能な位置決め手段を引き戻された位置に保持し、取り外しを補助する手段を設けることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】図1ないし図5に示すように、人工補綴挿入器は鎖線2にて示す挿入軸線となる長手方向の軸線を備えた主本体要素1を有する。主本体要素1はクランク状の延長部3を担持し、鎖線5にて示す大腿骨人工補綴要素を保持する取り付け手段4がこの延長部上に装着される。主本体要素1は圧縮バネ7を担持した円筒状支持体6を有し、このバネは円筒状支持体6に装着された摺動カラー8に当接する。カラー8は円周方向の溝9を備え、作動ロッド10に連結される。
【0022】バネ7は円筒状支持体6への担持を可能にする円筒状のボア(穴)12を有するケーシング11内に収容され、この支持体の端部は正方形断面部分33と、ネジ付き延長部33aとを有し、回転可能な位置決めディスク13及びネジ付き係止ノブ14が延長部33aに位置する。ボア12の端部は支持体6の正方形断面部分33上に位置するように正方形の断面を有する。
【0023】ケーシング11の下方部分はハンドル15を形成するように延び、案内溝穴16がハンドルとケーシングの主部分との間に設けられていて、トリガ17を収容する。トリガは環状の溝9内に収容された直立した当接部18を有し、また、ディスク13の外周に設けた開口20内に嵌め込まれるような形状の延長部19を具備する。
【0024】ハンドル15から離間したロッド10の端部は延長部3の突出ボス21内に位置する延長ボア31内で案内され、ロッド10の外端22は、この例では、切頭円錐形をしていて、人工補綴5内の位置決め開口23の形をした位置決め構造内に緊密に嵌め込まれる。
【0025】人工補綴はモジュラ(基準寸法)設計のもので、その上で異なる寸法又は形状のヘッドを栓24に取り付けることができるステム要素である。
【0026】栓の損傷を阻止するため、図4、5に示すアダプタ25を設ける。このアダプタは、例えば、金属又は弾性ポリカーボネートの如きプラスチック材料のような任意の適当な材料から作ることができ、カラー26の形をしており、その1側は割れていて開口27を提供する。一対の爪28が開口27の各側部からそれぞれ延び、その外表面29は図5に明示するように面取りされている。
【0027】カラーの内側ボア30は先細りした栓の外周より僅かに小さくなっていて、カラーを栓上に押して嵌め込むことができ、材料の天然の弾性が適所へのカラーの配置を可能にする。
【0028】図17に明示するように、取り付け手段4は実質上正方形のトレイの形をしている。トレイは3つの直立の側壁34を有し、その上方部分は符号35にで示すように面取りされている。残りの側部は開いていて、2つの平行な側壁34間を延びるバー36から離れており、バーの下方には、トレイの平坦な床38に対して開口37を残している。
【0029】トレイのベースの角度は挿入すべき人工補綴のステムに対するネックの角度に適したものである。
【0030】挿入すべき大腿骨要素を取り付けるため、最初に、栓24上にカラー25を配置する。次いで、爪28をトレイ内に押し込んで、バー36のまわりで回転させ、爪を開口37内へ延出させる。爪の寸法及びその前面からカラーの外周までの距離は、大腿骨要素と一緒にカラーがバー36と面取り部35の下方の壁の部分内の対向する端壁34との間に係止されるように、選定される。更に、平行な壁34間の幅及び面取り面29と2つの平行な壁35に関する爪の壁の残りの部分との間の距離は、大腿骨要素の栓を緊密にクランプするようにカラー内のギャップを閉じる傾向を有する締め付け効果を生じさせるように、選定される。
【0031】大腿骨要素をこの取り付け手段上に位置決めすると、大腿骨要素の中心線40及び挿入器の中心線2が軸方向で実質上整合することが分かる。説明している構成においては、整合は僅かに変位するが、このような変位又は整合は望ましいのもとすることができる。
【0032】人工補綴を挿入器上で保持する手段のみが存在する場合は、クランプ効果にも拘わらず、コレット内で栓が回転する可能性がある。しかし、人工補綴は、人工補綴の肩部内の位置決め開口23の形をした位置決め構造を具備する。人工補綴が取り付け手段内で回転すると、トリガ18が引き戻され、バネ7を圧縮してロッド10を後方に移動させる。係止ピンがほぼ適所にくると、トリガが解放され、僅かな更なる運動が係合係止ピンを適所に移動させることができる。従って、このとき、人工補綴は取り付け手段4により保持され、ピン10により提供された引き戻し可能な位置決め手段が取り付け手段から離れた地点で人工補綴に係合し、挿入器の挿入軸線2に関する軸方向運動及び角度運動を阻止する。
【0033】ピン10が位置決め開口23内へ偏倚されているため、人工補綴を移植する間の医師による下向きの挿入負荷はピン10によっては支えられず、人工補綴の肩部に当接するボス21の端部32により支えられ、また、取り付け手段4を介して人工補綴に負荷を伝達するクランク状ステム3により部分的に支えられる。ピン10は単に軸方向運動及び角度運動を阻止するように作用する。
【0034】医師が挿入を完了し、セメントを装填した後、位置決め手段を解放するために位置決め開口23からロッド10を取り外すように単にトリガ17を作動させ、次いで、移植した人工補綴を不必要に阻害することなく及び両手を使うことなく取り付け手段をも解放するようにピン36のまわりで挿入器を単に回転させることにより、挿入器を片手で取り外すことができる。
【0035】図7、8、9はここに開示する任意の構成に使用できる位置決め手段を提供する種々の構成を示す。つまり、図7に示す構成では、ロッド10の端部は人工補綴5の適当な形状の開口に適合する単一の先細り(テーパ)部42及び丸い端部43を有する。
【0036】図8に示す構成では、ロッドの端部は人工補綴5の適当な開口に適合する半球形状44を有し、図9では、ロッド10の端部が人工補綴5の肩部46上に嵌合するような形状及び寸法の二股ヘッド45を担持する。この場合、位置決め構造は人工補綴の側部47、48により形成される。
【0037】クランク状延長部3に関するハンドル15の角度位置は支持体6の正方形断面部分33上でハンドルを再位置決めすることにより変更できる。ハンドルを異なる角度位置へ回転させるためには、正方形断面から係合解除されるのに十分な距離だけ支持体6に関してケーシング11を右方へ移動させるようにノブ14を螺出させることにより、係止ノブ14を解放する。次いで、ハンドルを所望の角度位置へ移動させ、正方形断面上で摺動により戻し、続いて、係止ノブ14により適所にクランプする。
【0038】図6は異なる形状の取り付け手段を使用する別の構成を示す。この構成においては、主本体55は引き戻し可能なロッド57を内部に装着した中空の延長部56を担持する。ロッドは本体55と端ノブ59との間で作用する圧縮バネ58により引き戻し位置の方へ偏倚される。本体55はハンドル60と、ピン62によりハンドルに枢着された作動トリガ61とを担持する。トリガ61の端部は二股アームを担持し、このアームはロッドの減径部分(図示せず)を取り巻き、トリガの作動がハンドルから離れる方向へロッドを移動させて、バネ58を圧縮させるようにする。
【0039】ハンドル60から離れた延長部56の端部は延長部56に剛直に取り付けられたブラケット64により提供される取り付け手段63を担持する。ブラケットの他端は図13、14、15に示す型式の2部品割り型コレットの形をした栓アダプタを受け入れるような形状のソケット65を具備する。このコレットはポリプロピレンの如き弾性プラスチック材料から作られた2つのコレット部分66、67を有する。各部分66、67は実質上半円形を呈し、上壁68により提供される閉じた端部と、半円形の空所69とを有する。空所はモジュラ人口補綴72のネック70及びヘッド71に対応する形状を有する。コレット部分67は1側に平坦部73を有し、図面から分かるように、各コレット部分は栓の半円周のまわりを完全には延びず、コレット部分間にギャップ74を形成する。コレット及びソケット65は、栓を適所に強固に固定し、保持するのに十分だが栓及びコレットの容易な引き出しを許容するする程度に、コレット及び栓がソケット内へ押圧嵌合されるように寸法決めされる。
【0040】ソケット65はまた、図10に示す構成において係止板131の係合壁140に隣接するように意図されたその壁の部分上の平坦部75を具備する。
【0041】ロッド57の外端は図1に示す構成と同様の方法で人工補綴72の肩部上の特色構造に係合するようになった形状の端部76を担持するが、この構成においては、図6から分かるように、挿入軸線78は人工補綴の軸線79と軸方向で整合する。
【0042】挿入器を人工補綴に取り付けるため、図13、14、15に示す型式の割り型コレットをまず人工補綴の栓71上で位置決めし、次いで、コレットをソケット65内へ押し込む。ロッド57の形状端部76はハンドル71を作動させることによりバネ58に抗して伸ばされ、端部76が人工補綴の開口内へ進入する。これで、人工補綴は挿入器に強固に取り付けられるが、挿入軸線78に関して軸方向運動及び角度運動できないように、人工補綴の回転は阻止される。
【0043】この構成により、人工補綴の移植中の医師による下向きの挿入負荷は、医師がトリガ61に圧力を作用させたときに、ロッド57により部分的に支えられる。また、取り付け手段63により負荷の一部を支えることができる。
【0044】挿入が完了したとき、位置決め手段76、77を解放できるようにトリガ61上の圧力を単に解放することにより、挿入器を片手で容易に取り外すことができ、また、取り付け手段は割り型コレットから離れるようにソケット65を引っ張ることにより解放することができる。
【0045】図6に示す構成においては、図7、8、9に示す型式の位置決め手段を使用することもできる。
【0046】図10は本発明に係る別の構成を示す。この構成は図6に示す構成に幾分類似するが、この構成においては、引き戻し可能な手段はコレットを適所に保持するようになされ、解放手段は引き戻し可能なコレット保持手段及び引き戻し可能な位置決め手段を同時に作動させるようになされる。
【0047】図10に示すように、装置は摺動ロッド101を内部に装着したオープンフレームの本体100を有する。挿入軸線を形成するロッド101の軸線は符号102にて示す。ロッドは剛直に取り付けられたカラー103を担持し、その1側には圧縮バネ104が位置し、その他端は主本体100のフレームに当接し、その結果、ロッドは図の右方へ偏倚される。緩く装着された短いバネ105がカラー103の他側に位置し、このバネの作動は後述する。
【0048】第3の圧縮バネ106もまたロッドに担持され、このバネの一端はフレーム部材107に当接し、他端はロッドに担持され板の形をしたアクチュエータ108に対して作用し、板の上端は本体のフレームの上方部分のガイド110に沿って摺動できる溝穴109を具備する。アクチュエータ108の下方部分は切除されていて、下方フレーム部分112に沿って摺動できる別のガイド表面111を提供する。第1の作動トリガ113もまたピボット114により下方フレーム112上に担持される。第1のトリガ113の下方部分は作動レバー115として形成され、上方部分116はアクチュエータ108の下方部分に係合するような形状を有する。
【0049】フレーム112の下方部分の延長部はハンドル117を形成するように形造られ、このハンドルに枢着された第2の作動レバー118の上方部分は係止部材120の下方部分に係合するフック119の形をしている。係止部材はロッド101上に自由に装着され、上方部分は主本体100の保持隆起部122の両側に係合するヨーク121を具備する。
【0050】第4の圧縮バネ123はロッド101を貫通させる後方フレーム部材124と係止部材120との間でロッド101上に担持される。
【0051】ロッド101は本体100から管状の延長部125を通り、位置決め手段を提供する位置決めピン126として突出する。
【0052】ブラケット127は延長部125の端部に担持され、取り付け手段の一部を構成するソケット128を有する。
【0053】取り付け手段の構成は図11、12に明示する。ソケット128の側部は切除され、ブラケット127を貫通して円筒状の延長部125に至る溝穴130を提供する。
【0054】コレット保持手段は、溝穴129内に位置しピン132により枢着された平坦な係止板131により提供されるコレットロックの形をしている。係止板は二股133になっており、ロッド101の減径部分134の各側部を通る一対のアームを提供する。図11に明示するように、減径部分134の一端は当接隆起部135で終端し、他端は拡大部136で終端する。係止板131はまた係合面138と係合壁140とを有する係止フック137を担持する。
【0055】ソケット128は図13、14、15に示す型式の割り型コレットを受け入れるような寸法を有する。
【0056】図10、11、12において、挿入器は、人工補綴を挿入器に取り付けたときに、両方の係止ピン126及び係止板131が人工補綴を挿入器に取り付けたとき占める位置に位置するような位置において示されている。この位置においては、ロッド101は本体部分100内でその左手側位置にあり、第1の圧縮バネ104は圧縮されている。また、係止板の二股部分133は係止フック137の係合面138をソケット128の端部の上方へ伸長させたロッド101の当接隆起部134に接していることが分かる。この位置においては、内側面140はソケット128の湾曲部内へ僅かに延び、適所にあるときのコレットを圧縮するように作用する。図11において、面140の侵入量は、面が如何に作用するかを示すために誇張して示してある。
【0057】図10から、この位置において、第2のバネ105がロッド101上で依然として自由な状態にあり、第3のバネ106が圧縮されてトリガ113に対して板108を保持していることが分かる。第4のバネ123は係止部材120に対して作用したままである。
【0058】係止部材120の開口は作動ロッド101の直径より僅かに大きいが、バネ123がフレーム部材124からは離れるようにレバーを下方へ押しているため、レバーは保持隆起部122のまわりで回転しようとする傾向を有し、そのため、開口はロッド101に押し付けられ、運動を阻止するように作動する。第2の作動レバー118が作動すると、このレバーは回転し、フック119が係止レバーの下端を押し、その結果、係止レバーがバネ123の作用に抗して回転し、ロッド101を自由にする。ロッドが係止部材から自由になると、図10に示す位置で圧縮されている圧縮バネ104は作動できるようになり、カラー103に接するように移動して、ロッド101上の拡大部136により決定される引き戻し位置へ作動ロッド101を右方に押し、係止板の二股端部133に係合して、フック137がソケット128から離れるような引き戻し位置へ係止板をピボット132のまわりで回転させると共に、ロッド101の引き戻し運動を拘束するように作用する。
【0059】アクチュエータ板108はロッド101上に緩く取り付けられており、そのため、この板はトリガ113の作用の下に傾斜できるが、板はロッド101上に係止されて、第3のバネ106の作用に抗してロッドを移動させるように作用する。従って、トリガはロッドを作動位置へ前進させるための「ゆっくりの」(inching) 運動即ち単一又は別個の運動を提供するようにアクチュエータ板を移動させることができる。トリガの各運動の後、トリガが解放されたときに、第3のバネ106はアクチュエータ板108を図10に示す位置へ押圧し、このため、ロッド101の位置に関係なく、トリガの使用後は、この板はこの位置へ常に戻る。
【0060】図10、11、12に示す挿入器を使用するためには、まず、2部品コレット68を人工補綴のネック及び先細り栓上の適所に配置する。ロッド101が引き戻された位置にあるので、コレット及び人工補綴をソケット128内に挿入し、第1のトリガを作動させて、ロッド101を作動位置へ移動させる。すると、位置決めピンが人工補綴の適当な開口内に進入し、フック137がコレットの端部上に係合し、同時に、コレットが僅かに圧縮されて壁140によりソケット内で強固に保持される。ここで、医師はハンドル117を握って人工補綴を挿入することができ、挿入が完了した後、レバーを作動させて、コレットに作用する壁140及び係止フック137により提供される取り付け手段及び位置決め手段の双方を解放することにより、片手で簡単に挿入器を取り外すことができる。これらが解放されたとき、挿入器を容易に取り外すことができ、全体の操作を片手で行うことができる。
【0061】図16は、図10ないし図15に示す構成に幾分類似しているが位置決め手段が引き戻されないような本発明に係る別の構成を示す。図10−12に示したものと同じ部品には同じ符号を付し、図13−15に示したものと類似の割り型コレットを使用する。
【0062】この構成においては、ロッド101は溝150を具備し、ロッドの外端151はハウジング153に設けた盲穴152内に担持される。このハウジングは管状延長部125の外端内に螺入(符号154)される。
【0063】ハウジングは人工補綴の適当な開口に係合するように適当に形造られた位置決めピン155を提供するような形状を有する。しかし、この位置決め手段の形状は図7、8、9に示す形のうちの任意の形とすることができる。
【0064】この構成においては、一対のアームを提供する係止板の二股部分133は溝150内に係合し、溝の1側に設けた当接隆起部135の作用を受ける。第2の当接隆起部156は溝の他側に設けられる。
【0065】トリガ113、117は図10−12に関連して説明した方法と同様の方法で作動するが、ロッド101が前進したときに、係止板131上でのみ作動し、ロッド101の外端151は盲穴152内で摺動する。係止板131の引き戻しは図10−12に示す構成の作動と同様の方法で達成されるが、この場合は、第2の当接隆起部156が二股部分133に作用して係止板131をその引き戻し位置へ移動させる。
【0066】この構成は図10−12に関連して説明した方法と同様の方法で使用されるが、この場合は、位置決めピン155により提供される位置決め手段が適所に押圧され、トリガ113は取り付け手段内へ栓を係止するように作動される。挿入器を取り外すためには、トリガ118を作動させて、挿入器を取り外すことができるように係止板131を解放する。
【0067】すべての操作は片手で行うことができ、この構成は、解放手段が位置決め手段に対してのみ作用するような装置を提供する。
【0068】例えば、図7、8、9に示すように、種々の形の位置決め手段を使用することができるが、同様に有効な他の手段もある。例えば、位置決め手段は挿入すべき人工補綴の1つの側壁のみに係合するように使用することができ、装置は栓のまわりでの人工補綴の両方向への回転を有効に阻止するのに十分な長さを有する平坦な表面を使用する。
【0069】図18−22に示す構成においては、本発明に係る人工補綴挿入器は挿入軸線と同軸な長手軸線を有する管状の主本体要素201を備えた人工補綴ホルダを有し、ホルダの末端は減径区分216に当接する固定ネジ215により作動ハンドル202に取り付けられる。ハンドル202はピボット214のまわりで回転する枢動レバー203を収容し、レバーの一端は挿入軸線に沿って運動できる作動ロッド204の一端に当接する。作動ロッド204はボア内で主本体要素201と同軸に装着され、作動アームの末端と主本体要素201の末端との間にバネ205を設けて、ロッド204を休止位置の方へ偏倚させる。作動ロッドアーム204の基端は大腿骨人工補綴207内への挿入を制限するような減径の形状端部206を有する。主本体要素201の基端は先細り平坦部208を有し、取り付け素子209の先細りソケット210内へ挿入されるときに先細り効果を生じさせ、平坦部は素子209内での主本体要素の捩り運動を排除する。
【0070】先細りソケット210は、作動ロッド204の完全な通過を許容した状態で、主本体要素201の制限された進入を許容する。取り付け素子209はまた、大腿骨人工補綴207の先細り栓212上に嵌合してこれと共働し、栓上で強固な位置決めを行う付加的な先細りソケット211を有する。
【0071】作動ロッド204の形状端部を位置決めするための係合構造213を人工補綴207の肩部上に設け、係合したときには、全体の組立体が剛直に保持されるのを保証する。
【0072】大腿骨人工補綴207の先細り栓212を取り付け素子209の先細りソケット211内へ挿入し、次いで、管状の主本体要素の先細り端部208を取り付け素子209の先細りソケット210内へ、そして、作動ロッド204の形状端部206を人工補綴207の係合構造213内へ強固に挿入することにより、部品が組立てられる。
【0073】大腿骨人工補綴207を解放するためには、枢動レバー203をピボット214のまわりで回転させ、レバーの一端を作動ロッドの末端に当接させる。これにより、バネ205が圧縮され、作動ロッド204は管状の主本体要素201内で運動できる。このとき、作動ロッド204の形状端部206が大腿骨人工補綴207に当接せしめられ、取り付け素子209から管状の主本体要素201を解放し、大腿骨人工補綴207の先細り栓212から取り付け素子209を解放できる。
【0074】図23、24は別の構成の取り付け素子230を示す。この構成においては、図18−22に示した部品と同様の部品は同じ符号で示すが、この構成では、先細りソケット210、211が僅かな量の可撓性を有するブリッジ231により相互連結されている。従って、部品を組立て人工補綴207上の適所に配置したとき、僅かな量の可撓性がソケット210を提供する部分の前面232を人工補綴の肩部に当接させ、ロッド204が離れるように解放されたときに、(取り付け素子の)解放を容易にする。
【0075】図23、24に示す構成はまた、一対の離間した翼部233を具備し、本出願人による出願中のGB−A−9804471.2(H.67)(英国特許公開明細書)に記載された方法で骨に挿入しその骨に関して適所に配置されたときに、連結手段が人工補綴の位置及び深さを制御できるようにする。
【0076】図25は別の構成の取り付け素子240を示す。この取り付け素子は図23、24に示すものと類似するが、翼部233が無く、ソケット210の閉じた端部が省略されている。従って、ソケットの代わりにボア241が設けられたこととなり、主本体要素201の端部はボアを通って人工補綴207の肩部に直接係合できる。ある要求に対しては、この構成では、主本体要素201を介してハンドルに加えられた軸方向の力が人工補綴の肩部に直接伝達されるので、一層の利点が得られる。取り付け及び取り外しについては、装置は他の構成に関して説明した方法と同じ方法で扱われる。
【出願人】 【識別番号】596124760
【氏名又は名称】ベノワスト・ジラール・エ・コンパニー
【氏名又は名称原語表記】BENOIST GIRARD & Cie
【出願日】 平成11年(1999)3月2日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】社本 一夫 (外5名)
【公開番号】 特開平11−313841
【公開日】 平成11年(1999)11月16日
【出願番号】 特願平11−54672