トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 衛生用品の下着固定用粘着層保護用離型フィルム
【発明者】 【氏名】多田 博士

【氏名】稲垣 泰博

【要約】 【課題】衛生用品の開封時に音が発生しにくく、個包装袋を丸めてゴミ箱に捨てるときも個包装フィルムとこすれ合って摩擦音を生じる恐れがない離型フィルムであって、かつ、衛生用品の製造工程において、バックシート面の粘着層付き離型フィルムを検知することによって、粘着層無しの不良品や粘着層位置ズレの不良品を検出して、粘着層形成不良の有無を確実に検査することができる離型フィルムを提供する。

【解決手段】蛍光物質を含むポリオレフィン系樹脂フィルムの少なくとも片面が離型処理されてなる離型フィルムである。この構成の離型フィルムを用いることによって、衛生用品の離型フィルムが積層されている側から光を照射することにより発生する蛍光を検知することにより、粘着層の形成不良を検査することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 蛍光物質を含むポリオレフィン系樹脂フィルムの少なくとも片面が離型処理されてなる、衛生用品の下着固定用粘着層保護用離型フィルム。
【請求項2】 請求項1記載の離型フィルム片が離型面を外側にして衛生用品本体を個包装するための個包装フィルムの略中央部に接着固定されてなり、離型面に塗設された粘着剤層が衛生用品本体のバックシート面に重ね合わせられ、個包装フィルムの周辺部により衛生用品が包被されてなる衛生用品の個包装体。
【請求項3】 請求項2記載の個包装体の離型フィルムが積層されている側から光を照射することにより発生する蛍光を検知することにより、離型フィルムの位置不良並びに粘着剤の形成不良を検査する方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ナプキン、紙オムツ等の衛生用品においてこれを下着等に固定するための粘着層を保護するのに用いられる離型フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】生理用ナプキンの吸収体背面にはこれを下着等に固定するために粘着層が設けられており、この粘着層は使用時まで個包装フィルムその他に接着しないように離型紙によって保護されている。この離型紙は従来は紙製のものであり、紙製離型紙を用いて構成した生理用ナプキン個包装品が知られている(特開平8−224269号公報参照)。
【0003】しかし、この紙製離型紙を用いた個包装袋では、その開封時に紙特有のシャリシャリ音が発生する。また、生理用ナプキンの個包装袋を丸めてゴミ箱に捨てるときも、紙製離型紙が個包装袋とこすれ合って上記のような音を生じ、この包装品も使用時の快適性に欠ける。
【0004】また、生理用品の製造工程では、粘着剤を上記離型フィルムの離型面に塗布して粘着層を形成し、この粘着層の表面を生理用品本体のバックシート面に貼付けるが、バックシート面に粘着層付き離型フィルムを重ねる時に、同離型フィルムの位置を光電管によって検知することができず、そのため粘着層無しの不良品や、粘着層位置ズレの不良品が生じてもこれらを検出することができなった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記の点に鑑み、衛生用品の開封時に音が発生しにくく、個包装袋を丸めてゴミ箱に捨てるときも個包装フィルムとこすれ合って摩擦音を生じる恐れがない粘着層保護用離型フィルム及びこれを用いた衛生用品の個包装体を提供することにある。
【0006】本発明の他の目的は、衛生用品の製造工程において、バックシート面の粘着層付き離型フィルムを検知することによって、粘着層無しの不良品や粘着層位置ズレの不良品を検出して、粘着層形成不良の有無を確実に検査することができる離型フィルムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明による、衛生用品の下着固定用粘着層保護用離型フィルムは、蛍光物質を含むポリオレフィン系樹脂フィルムの少なくとも片面が離型処理されてなる離型フィルムである。
【0008】上記構成の離型フィルムを用いることによって、衛生用品の離型フィルムが積層されている側から光を照射することにより発生する蛍光を検知することにより、粘着層の形成不良を検査することができる。
【0009】粘着層保護用離型フィルムの基材を構成するポリオレフィン系樹脂としては、極低密度ポリエチレン系樹脂、低密度ポリエチレン系樹脂、線状低密度ポリエチレン系樹脂、高密度ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリプロピレンをポリマーアロイしたもの、エチレン−プロピレンラバー、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等が例示される。これらの樹脂は単独で用いても良いし、ブレンドで用いても良い。離型フィルムはこれら樹脂からなる単層体でも良いし、または該単層体を組合わせてなる多層体でも良い。
【0010】成膜時にマットエンボスを施すことも好ましく、これによって風合い、機械適性を向上させることができる。基材フィルムの成形は、Tダイ法、インフレーション法等の通常の方法で行うことができる。
【0011】また、離型フィルムの基材の離型非処理面には、装飾のため着色等を施すことにより外観性を向上することもできる。
【0012】離型フィルムの基材の坪量は好ましくは15〜80g/m2 、より好ましくは25〜45g/m2 である。この坪量が15g/m2 未満であると強度の確保が困難であり、また80g/m2 を越えると強度、腰が有りすぎフィルム同士のこすれ音の原因となる恐れがある。
【0013】上記構成の離型フィルム基材の少なくとも片面に、好ましくはコロナ処理を施した後、離型剤を塗布し、離型層を形成する。
【0014】離型剤は熱硬化型シリコーンでも紫外線、電子線等の放射線硬化型シリコーンでも良いが、製品特性上、柔軟なフィルムが多いためフィルム変形の小さい放射線硬化型シリコーンが望ましい。離型剤は硬化触媒を併用することが多い。
【0015】離型フィルムの離型層の塗設量は好ましくは0.05〜1.5g/m2 である。この塗設量が0.05g/m2 未満であると離型剤の均一塗布が困難で剥離性が安定しにくく、1.5g/m2 を越えると不経済である上に離型剤の硬化が不十分になることがある。
【0016】本発明による離型フィルムは、蛍光物質を含むポリオレフィン系樹脂からなる。使用する蛍光物質は、蛍光性のあるものであれば限定されない。蛍光物質の代表例は蛍光増白剤である。これは、太陽光または人工光の紫外部のエネルギーを吸収し、このエネルギーを可視部の紫〜青色の部分に反射し、この波長部分の反射率を高め鮮やかな色調を与える。この作用により高分子物質のやや黄味を帯びた部分の色調を取り除く効果がある。透明品は青色がかった色調となり、白色品は白さを強調する。
【0017】この原理を利用して、衛生用品の製造工程において、紫外線を放つセンサーにより蛍光増白剤を含む離型フィルムから蛍光を発生させ、これをセンサーで感知することによって、バックシート面の粘着層付き離型フィルムを検知することができる。これによって、粘着層無しの不良品や粘着層位置ズレの不良品を検出して、粘着層形成不良の有無を検査することができる。
【0018】蛍光物質としては、バイエル社製「Hakkol」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「Uvitex」、住友化学社製「Whitex」等が用いられる。
【0019】蛍光センサーとしては、オプテック社製ルミネスセンサLUT1−4を用いることができる。
【0020】蛍光物質の含有量は、離型フィルム基材の坪量25〜45g/m2 の場合、ポリオレフィン系樹脂中に約10〜25ppmである。蛍光物質の配合量が少ないと蛍光が検出されず、多すぎると検出限界を越える恐れがある。
【0021】
【作用】本発明による離型フィルムは、離型フィルムの基材を紙製のものからポリオレフィン系樹脂フィルムに変更したものであるので、衛生用品の開封時に音が発生しにくく、個包装袋を丸めてゴミ箱に捨てるときも個包装フィルムとこすれ合って摩擦音を生じる恐れがなく、衛生用品を快適に使用することができる。
【0022】また、本発明による離型フィルムは、蛍光物質を含むポリオレフィン系樹脂からなるので、衛生用品の製造工程において、蛍光センサーにより個包装フィルムを感知せずに離型フィルムから出る蛍光を感知することにより、粘着層無しの不良品や粘着層位置ズレの不良品を確実に検出することができる。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。
【0024】(実施例1)ポリプロピレン系樹脂(日本ポリオレフィン社製「FG464」)80重量部と、エチレン−プロピレンラバー(三井化学社製「タフマーP−0280」)20重量部と、蛍光増白剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「Uvitex」)0.0015重量部とを混合してなる樹脂組成物を坪量30g/m2 になるようにTダイにより押出し、フィルムを製造した。得られたフィルム基材の片面にコロナ処理を施し、さらに非処理面に装飾性および機械適性向上のためマットエンボス加工を施した。
【0025】上記基材のコロナ処理面に、放射線硬化型シリコーン離型剤(信越化学工業社製「KS−5508」)100重量部と、硬化触媒「CAT−PL−5000」5重量部を混合してなる塗工液を固形分で0.2g/m2 になるように塗布し乾燥させた。形成された離型層に紫外線を照射して離型フィルムを得た。
【0026】粘着剤を上記離型フィルムの離型面に塗布して粘着層を形成し、粘着層付き離型フィルムを得た。
【0027】図1に示すように、市販の生理用ナプキン1 のバックシート2 に、上記粘着層付き離型フィルム4 の粘着層3 を貼り付け、個包装用フィルム6 に生理用ナプキンを包装し、同フィルムをシールし、個包装袋を作製した。
【0028】この生理用ナプキン個包装袋を開封し、粘着層から離型フィルムを含む個包装袋を剥したところ、同個包装袋の開封に伴う音はほとんどしなかった。また、生理用ナプキンの個包装袋を丸めてゴミ箱に捨てたときも、離型フィルムと個包装袋との摩擦音はほとんどしなかった。
【0029】また、ナプキンの製造工程において、バックシート2 に貼り付けた粘着層3 付き離型フィルム4 に、蛍光センサー5 から紫外線を照射したところ、離型フィルム4 から出る蛍光を感知することができた。したがって、これによって、粘着層無しの不良品や粘着層位置ズレの不良品を検出することができる。
【0030】(実施例2)低密度ポリエチレン系樹脂(東ソー社製「ペトロセン173」)60重量部と、高密度ポリエチレン系樹脂(東ソー社製「ニポロンハード6100A」)40重量部と、白顔料(東京インキ社製「PEX186004」)5重量部と、蛍光増白剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「UVITEX」)0.0015重量部とを混合してなる樹脂組成物を坪量30g/m2 になるようにTダイにより押出し、フィルムを製造した。得られたフィルム基材の片面にコロナ処理を施し、さらに装飾性および機械適性向上のためマットエンボス加工を施した。
【0031】以降は実施例1と同様の操作を行って離型フィルムを得、同様にその評価を行ったところ、実施例1の離型フィルムと同様の評価結果を得た。
【0032】(比較例1)蛍光増白剤を使用しなかったこと以外は実施例2と同様の操作を行って離型フィルムを得、同様にその評価を行った。
【0033】個包装袋を開封した時も、個包装袋を丸めてゴミ箱に捨てたときも音はほとんどしなかったが、ナプキンの製造工程において蛍光センサーによる離型フィルムの検知はもちろんできなかった。
【0034】(比較例2)坪量50g/m2 のグラシン紙に、熱硬化型シリコーン離型剤(信越化学工業社製「KS−778」100重量部と、硬化触媒「CAT−PL−8」5重量部とを混合してなる塗工液を固形分で1.0g/m2 となるように塗布し、乾燥させ、離型紙を得た。
【0035】この離型紙を離型フィルムの代わりに用いたこと以外は実施例1と同様の操作で評価を行ったところ、個包装袋の開封時に紙がこすれ合う音がし、また、個包装袋を丸めてゴミ箱に捨てるときも、紙を潰す音がした。
【0036】実施例および比較例の離型フィルムないしは離型紙の構成および評価結果を表1にまとめて示す。
【0037】
【表1】

【0038】
【発明の効果】本発明によれば、衛生用品の粘着層保護用離型フィルムはポリオレフィン系樹脂からなるので、開封時に音が殆どないしは全く発生せず、個包装袋を丸めてゴミ箱に捨てるときも、個包装フィルムとこすれ合って摩擦音を生じることがない。したがって、本発明によって、使用時に周囲に何ら気遣いなく快適に使用することができる衛生用品個包装体を提供することができる。
【0039】また、本発明離型フィルムは蛍光物質を含むので、衛生用品の製造工程において、バックシート面の粘着層付き離型フィルムの位置および粘着層の有無を蛍光センサーによって確実に検知することができる。これによって、粘着層無しの不良品や粘着層位置ズレの不良品を検出して、粘着層形成不良の有無を確実に検査することができる。
【出願人】 【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
【出願日】 平成10年(1998)4月28日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−309172
【公開日】 平成11年(1999)11月9日
【出願番号】 特願平10−119209