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【発明の名称】 紙おむつ
【発明者】 【氏名】大谷 靖

【要約】 【課題】複数本の弾性糸によるおむつ形シート各部の収縮力を適切化する。

【解決手段】前身頃の左腰脇部2Lから前身頃の左脚周り部3L、股間部4、前身頃の右脚周り部3Rを経て前身頃の右腰脇部2Rまで連続するように複数本の弾性糸G1…が固定されるとともに、後身頃の左腰脇部5Lから後身頃の左脚周り部6L、股間部4、後身頃の右脚周り部6Rを経て後身頃の右腰脇部5Lまで連続するように複数本の弾性糸G2…が固定されたおむつ形シート1と、その内面に固定される吸収体10とで構成され、各複数本の弾性糸G1…,G2…は、股間部4および腰脇部2L,2R,5L,5Rでは束ねられた状態で固定され、その他の部分では間隔を開けて固定された紙おむつPとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】前身頃の左腰脇部から前身頃の左脚周り部、股間部、前身頃の右脚周り部を経て前身頃の右腰脇部まで連続するように複数本の弾性糸が固定されるとともに、後身頃の左腰脇部から後身頃の左脚周り部、前記股間部、後身頃の右脚周り部を経て後身頃の右腰脇部まで連続するように複数本の弾性糸が固定されて、右脚周り部および左脚周り部のそれぞれに脚周りギャザーの形成されたおむつ形シートと、不透液性バックシート、吸収材および透液性トップシートをこの順に積層してなり、前記おむつ形シート内面の少なくとも前記股間部に固定される吸収体とで構成される紙おむつにおいて、少なくとも前記股間部における前記複数本の弾性糸の相互間隔が、前記脚周り部における前記複数本の弾性糸の相互間隔よりも狭くされていることを特徴とする紙おむつ。
【請求項2】少なくとも前記股間部における前記複数本の弾性糸の相互間隔が2mm以下である請求項1記載の紙おむつ。
【請求項3】少なくとも前記股間部における前記複数本の弾性糸は束ねられた状態で前記おむつ形シートに固定されている請求項1記載の紙おむつ。
【請求項4】前記各複数本の弾性糸は、前記腰脇部においても束ねられた状態で前記おむつ形シートに固定されている請求項3記載の紙おむつ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、前身頃の左腰脇部から前身頃の左脚周り部、股間部、前身頃の右脚周り部を経て前身頃の右腰脇部まで連続するように複数本の弾性糸が固定されるとともに、後身頃の左腰脇部から後身頃の左脚周り部、股間部、後身頃の右脚周り部を経て後身頃の右腰脇部まで連続するように複数本の弾性糸が固定されて、右脚周り部および左脚周り部のそれぞれに脚周りギャザーの形成されたおむつ形シートの内面に、吸収体を固定してなる紙おむつに関し、特に脚周りギャザーを形成する複数本の弾性糸により生ずるおむつ形シート各部における収縮力の適切化を図った紙おむつに関する。
【0002】
【従来の技術】この種の紙おむつとして、予めパンツ形に成形されて市販されているパンツタイプ紙おむつが提案され使用されている。例えば、実登3024357号公報に記載のパンツタイプ紙おむつは、図6〜図8に示すように、不織布等の積層シートとして形成されたおむつ形シート101と、このおむつ形シート101の内面に固定され、股間部を中心に前後に延在する吸収体110とによって構成されている。
【0003】吸収体110は、不織布などで形成されたおよび透液性トップシート111と、プラスチックフィルムや撥水処理を施した不織布などで形成された不透液性バックシート113との間に吸収材112を挟み込み、これらの周縁を固着してなるものである。
【0004】また、おむつ形シート101の複数枚の不織布間には、前身頃の左腰脇部102Lから前身頃の左脚周り部103L、股間部104、前身頃の右脚周り部103Rを経て前身頃の右腰脇部102Rまで連続するように複数本の弾性糸G7…が固定されるとともに、後身頃の左腰脇部105Lから後身頃の左脚周り部106L、前記股間部104、後身頃の右脚周り部106Rを経て後身頃の右腰脇部105Rまで連続するように複数本の弾性糸G8…が固定されて、右脚周り部および左脚周り部のそれぞれに脚周りギャザー107,107が形成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、かかる従来の紙おむつにおいては、脚周りギャザーを形成する複数本の弾性糸により生ずるおむつ形シート各部における収縮力がそれぞれ適切でないために、下記(イ)および(ロ)に示す問題点があった。
(イ)股間部において股間幅方向に延在する複数本の弾性糸の収縮力が吸収体に強く加わるために、吸収体が幅方向に収縮してしまい、被着者に不快感を与えることがあった。
(ロ)また、腰脇部において腰周り方向に延在する複数本の弾性糸による収縮力も強く、被着者の腰脇に締付け跡が付きやすかった。
【0006】そこで、本発明の主たる課題は、脚周りギャザーを形成する複数本の弾性糸により生ずるおむつ形シート各部の収縮力の適切化を図り、もって上記(イ)および(ロ)の問題点を解決することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく、本発明者らは、複数本の弾性糸を固定したおむつ形シートの収縮力に関して、様々な弾性糸の配設形体のものを用いて実測してみたところ、複数本の弾性糸の相互間隔を狭くしたものは、広くしたものに比べて収縮力が弱くなることを知見した。なお、この現象を生ずるのは、複数本の弾性糸を近接してシートに固定した場合、各弾性糸の伸縮運動が他の弾性糸の伸縮運動を規制する度合いがより小さくなるためであると考えられる。
【0008】かかる知見に基づいてなされた本発明の紙おむつは、前身頃の左腰脇部から前身頃の左脚周り部、股間部、前身頃の右脚周り部を経て前身頃の右腰脇部まで連続するように複数本の弾性糸が固定されるとともに、後身頃の左腰脇部から後身頃の左脚周り部、前記股間部、後身頃の右脚周り部を経て後身頃の右腰脇部まで連続するように複数本の弾性糸が固定されて、右脚周り部および左脚周り部のそれぞれに脚周りギャザーの形成されたおむつ形シートと、不透液性バックシート、吸収材および透液性トップシートをこの順に積層してなり、前記おむつ形シート内面の少なくとも前記股間部に固定される吸収体とで構成される紙おむつにおいて、少なくとも前記股間部における前記複数本の弾性糸の相互間隔は、前記脚周り部における前記複数本の弾性糸の相互間隔よりも狭いことを特徴とするものである。
【0009】本発明では、少なくとも股間部における複数本の弾性糸の相互間隔が、脚周り部における複数本の弾性糸の相互間隔よりも狭くなっているので、股間部における収縮力は脚周り部に比べて弱くなる。よって、本発明の紙おむつでは、おむつ形シートの股間部に固定された吸収体の幅方向の収縮が抑制される。また、脚周り部はより幅方向に広い面で被着者の太股に接するため、太股の付け根前面および後面に対するフィット性が良好であり、締付け跡が付きにくく、さらに横漏れ防止効果にも優れる。
【0010】また本発明では、少なくとも前記股間部における前記複数本の弾性糸の相互間隔が2mm以下であるのが好ましい。
【0011】さらに、少なくとも前記股間部における前記複数本の弾性糸は束ねられた状態で前記おむつ形シートに固定されていると、さらに好ましい(後述の実験例を参照)。この発明において、各複数本の弾性糸が、腰脇部においても束ねられた状態でおむつ形シートに固定されていると、腰脇部における収縮力も脚周り部よりも弱くなるので被着者の腰脇に締付け跡が付きにくくなる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しつつ詳述する。図1は本発明に係るパンツタイプ紙おむつ例Pの展開状態を示し、図2はパンツタイプ紙おむつPの正面を示し、図3はその側面を示している。すなわち、本例の紙おむつPは、おむつ形シート1と、このおむつ形シート1内面に全体が固定され、股間部4を中心として前後方向に延在する吸収体10とで構成されている。
【0013】おむつ形シート1は複数枚の不織布を積層固定してなり、それらの間に、前身頃の左腰脇部2Lから前身頃の左脚周り部3L、股間部4、前身頃の右脚周り部3Rを経て前身頃の右腰脇部2Rまで連続するように複数本の弾性糸G1…が固定されるとともに、後身頃の左腰脇部5Lから後身頃の左脚周り部6L、股間部4、後身頃の右脚周り部6Rを経て後身頃の右腰脇部5Rまで連続するように複数本の弾性糸G2…が固定されたものである。図2および図3に示すように、これら複数本の弾性糸G1…,G2…により左脚周り部および右脚周り部のそれぞれに脚周りギャザー7,7が形成される。なおCは、各脚周り部の中央領域を示している。
【0014】吸収体10は従来のものと同様であり、図示しないが、不織布などからなり着用者の肌に直接触れる透液性トップシート11と、ポリエチレンなどのプラスチックフィルムや撥水処理を施した不織布などからなる不透液性バックシート13との間に、綿状パルプを主体とし必要によりこれを吸収紙で包んだ吸収材12を挟み込み、周縁部分を例えばホットメルト接着剤等により接着して形成することができる。
【0015】そして、特に本例の紙おむつ1では、前身頃側の複数本の弾性糸G1…は、前身頃の左腰脇部2L、股間部4および前身頃の右腰脇部2Rにおいては束ねられた状態でおむつ形シート1に固定され、その他の部分すなわち前身の左脚周り部3Lおよび前身頃の右脚周り部3Rでは相互に間隔を開けておむつ形シート1に固定されている。また、後身頃側の複数本の弾性糸G2…は、後身頃の左腰脇部5L、股間部4および後身頃の右腰脇部5Rの各部においては束ねられた状態でおむつ形シート1に固定され、その他の部分すなわち後身頃の左脚周り部6Lおよび後身頃の右脚周り部6Rでは相互に間隔を開けておむつ形シート1に固定されている。なお、図示例では、前身頃側に固定した複数本の弾性糸G1…および後身頃側に固定した複数本の弾性糸G2…の両方が、股間部4において1本に束ねられている。
【0016】したがって、本例の紙おむつ1では、各複数本の弾性糸G1…,G2…の配設間隔は脚周り部3L,3R,6L,6Rで最も広く、股間部4および腰脇部2L,2R,5L,5Rで最も狭くなっている。
【0017】このように弾性糸を配設することで、複数本の弾性糸G1…,G2…を束ねて固定した部位、すなわち股間部4および腰脇部2L,2R,5L,5Rの収縮力が弱まる。その結果、吸収体3の幅方向の収縮が小さくなるとともに、被着者の腰脇に締付け跡が付きにくくなる。また本例では、脚周り部3L,3R,6L,6Rでは、複数の弾性糸G1…,G2…は相互に間隔を開けておむつ形シート1に固定されているので、当該部分の収縮力は股間部4や腰脇部2L,2R,5L,5Rと比べて強い。また、この脚周り部3L,3R,6L,6Rはより幅方向に広い面で被着者の太股に接する。よって、太股の付け根に対するフィット性が良好であり、締付け跡が付きにくいとともに横漏れ防止効果にも優れる。
【0018】他方、本発明の弾性糸としては、適宜の太さおよび断面形状を有する天然ゴム糸や合成ゴム糸を使用できる。弾性糸の本数も、複数であれば図示例のように3本である必要はない。
【0019】また、上記例では前身頃側に固定した複数本の弾性糸G1…および後身頃側に固定した複数本の弾性糸G2…の両方が、股間部4において1本に束ねられているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、前身頃側に固定した複数本の弾性糸と後身頃側に固定した複数本の弾性糸とを、股間部においてそれぞれ別々に束ねることができる。この場合、図4に示すように、前身頃側の複数本の弾性糸G3…と後身頃側の複数本の弾性糸G4…とを股間部4においてそれぞれ別々に束ね、かつ各複数本の弾性糸G3…,G4…を互いに交差させるようにしたり、図5に示すように、前身頃側の複数本の弾性糸G5…と後身頃側の複数本の弾性糸G6…とを股間部4においてそれぞれ別々に束ね、かつ各複数本の弾性糸G5…,G6…を交差させず前後方向に離間するようにしたりすることができる。
【0020】さらに上記例では、股間部および腰脇部における複数本の弾性糸を束ねた状態でおむつ形シートに固定し、脚周り部における複数本の弾性糸を間隔を開けておむつ形シートに固定しているが、本発明はこれに限定されない。
【0021】すなわち、本発明では、少なくとも股間部における複数本の弾性糸の相互間隔が脚周り部のそれと比べて狭ければ良い。したがって、かかる条件を満足する限り、例えば全ての部位における複数本の弾性糸が間隔を開けて配設されていても良い。また、股間部および腰脇部の両方における複数本の弾性糸の相互間隔を脚周り部よりも狭くする場合において、股間部における複数本の弾性糸の相互間隔と腰脇部における複数本の弾性糸の相互間隔とが異なっていても良い。
【0022】<実験例>以下に実験例を示し、本発明の効果を明らかにする。先ず図9(a)に示すように6本の弾性糸200Gを束ねて固定したシート片200(本発明例)と、図9(b)に示すように複数本の弾性糸201Gを3〜5mmの間隔を開けて固定したシート片201(比較例)とを作製した。これらのシート片は、ともに複数本の弾性糸を、目付20〜23g/m3 の不織布間に挟んで両面テープで固定して作製したものであり、ギャザーの伸長率は200%であり、サイズは100mm×50mmである。
【0023】次に、これらのシート片200,201について収縮力を測定した。具体的には、シート片を引張試験機に取り付けて長手方向に1往復伸縮させ、その際に各伸長率における伸長に要する荷重を測定し、これを収縮力とした。この結果を表1に示す。
【0024】
【表1】

【0025】表1から明らかなように、本発明例の複数本の弾性糸を束ねて固定したシート片200は、全ての伸長率において、比較例の複数の弾性糸を3〜5mmの間隔を開けて固定したシート片201と比べて収縮力が弱くなった。なお、複数本の弾性糸間隔が2mm以下であれば、本発明例と同様に、複数の弾性糸を3〜5mmの間隔を開けて固定した比較例と比べて収縮力が弱くなることも実験で確かめた。
【0026】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば脚周りギャザーを形成する複数本の弾性糸により生ずるおむつ形シート各部の収縮力が適切となる。また、具体的には、下記に示す(イ)〜(ハ)の効果が奏せられる。
(イ)股間部の幅方向の収縮力が弱くなるために、吸収体が幅方向に収縮しにくくなる。よって、被着者に与える不快感を少なくすることができる。
(ロ)弾性糸による腰脇部の収縮力が、被着者の腰に締付け跡が付きにくい程度に弱くなる。
(ハ)各身頃の脚周り部における、複数本の弾性糸間隔が股間部に比べて広いので、被着者の太股に対して十分に強い締め付け力を発揮するとともに、被着者の太股に締付け跡が付きにくい。
【出願人】 【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
【識別番号】593070192
【氏名又は名称】ダイオーペーパーコンバーティング株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月23日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】永井 義久
【公開番号】 特開平11−267154
【公開日】 平成11年(1999)10月5日
【出願番号】 特願平10−73988