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【発明の名称】 通気性粘着テープの製造方法
【発明者】 【氏名】飯塚 裕保

【要約】 【課題】充分な粘着性及び通気性を有し、粘着剤の物性による影響が少なく、簡易に製造することのできる通気性粘着テープの製造方法を提供する。

【解決手段】通気性基材の一面に不連続な形状の粘着剤層が積層されている通気性粘着テープの製造方法であって、熱可塑性樹脂100重量部および離型剤0.1〜10重量部よりなる樹脂組成物からなり、かつ所望の形状の多数の凹部11を有する離型シート1の凹部11面に粘着剤溶液を塗布し、乾燥することにより、不連続な形状の粘着剤層2を形成し、該粘着剤層2を通気性基材の一面に転写する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 通気性基材の一面に不連続な形状の粘着剤層を積層する通気性粘着テープの製造方法であって、熱可塑性樹脂100重量部および離型剤0.1〜10重量部よりなる樹脂組成物からなり、かつ所望の形状の多数の凹部を有する離型シートの凹部面に粘着剤溶液を塗布し、乾燥することにより、不連続な形状の粘着剤層を形成し、該粘着剤層を通気性基材の一面に転写することを特徴とする通気性粘着テープの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば絆創膏などに用いられる通気性粘着テープの製造方法に関し、より詳細には、粘着剤層を不連続として通気性を高めた通気性粘着テープの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】絆創膏や粘着性包帯などの外科用粘着テープとして通気性がないものは、これを用いると皮膚にかぶれを生じたり、傷の回復が遅延したりするという問題がある。そこで、上記のような外科用粘着テープにおいて、通気性を与えるための種々の試みがなされている。
【0003】例えば、特公昭63−40545号公報などには、通気性を有するテープ基材に粘着剤を部分的に塗工する方法が提案されている。この方法では、粘着剤がテープ基材背面に染み出し易いという問題がある。そこで、例えば、製造工程において、塗布ロールの速度比、塗工部から乾燥炉までの距離、巻き取り速度、テープ基材の組成や坪量、粘着剤の粘度、チキソ性もしくは流動性または含浸処理などの多種多様な要因を考慮して、テープ基材背面への粘着剤の染み出しを防止し得る条件を選択しなければならない。しかしながら、上記のような様々な要因が影響するため、最適条件を設定することは非常に困難であり、かつ設定し得たとしても、工程管理が非常に煩雑であるという問題があった。
【0004】加えて、最適条件で通気性粘着テープが得られたとしても、粘着剤が通気性テープ基材の開口部分や基材の内部の空隙などに含浸されているため、所定の粘着力を得るには、表面にのみ粘着剤層を形成する場合に比べて大量の粘着剤を必要とする。さらに、含浸により基材の通気孔自体も小さくなり、充分な通気性が得られ難いという問題もあった。
【0005】他方、特公昭51−8653号公報や、特公昭63−41585号公報などには、粘着剤溶液に相溶性を有しない微少径の液体もしくは気体等の分散物を混合し、離型紙に粘着剤溶液を塗布し、乾燥した後、通気性を有する基材に転写する方法が提案されている。これらの方法では比較的簡便な工程管理により通気性を有する粘着テープを得ることができ、通気性も比較的大きい。しかしながら、経時により粘着性や通気性が変動しがちであり、すなわち経時による安定性を保持することが困難であり、かつ量産に際しての通気性や粘着力のばらつきが大きいという問題があった。
【0006】上述した従来技術の欠点を解消する方法として、離型紙上に粘着剤を部分的に塗工し、乾燥した後、通気性を有する基材に粘着剤を転写する方法が考えられるが、粘着剤間の通気部が比較的大きくなるため、粘着剤が形成されていない部分で皮膚等からの剥がれが生じ易くなる。
【0007】さらに、転写に用いられる離型紙や離型フィルムによって多少の違いはあるものの、粘着剤の粘度が塗工に大きな影響を与え、例えば非常に粘度の低い粘着剤を塗工すると、高精度に部分塗工することができず、粘着剤が塗布されていない領域まで粘着剤が流れ、転写後に充分な通気性が得られないことがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従来技術の欠点を解消し、充分な粘着性及び通気性を有し、粘着剤の物性による影響が少なく、簡易に製造することのできる通気性粘着テープの製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の通気性粘着テープの製造方法は、通気性基材の一面に不連続な形状の粘着剤層が積層されている通気性粘着テープの製造方法であって、熱可塑性樹脂100重量部および離型剤0.1〜10重量部よりなる樹脂組成物からなり、かつ所望の形状の多数の凹部を有する離型シートの凹部面に粘着剤溶液を塗布し、乾燥することにより、不連続な形状の粘着剤層を形成し、該粘着剤層を通気性基材の一面に転写することを特徴とする。
【0010】本発明において、離型シートに使用される樹脂組成物は上記熱可塑性樹脂100重量部および離型剤0.1〜10重量部からなる。上記熱可塑性樹脂とは、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体等のエチレン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体、ポリスチレン等が挙げられる。これらは単独または2種以上の混合物として用いることができる。
【0011】上記離型剤としては好適なブリード効果が得られるものであれば特に限定はなく、例えば、代表的なものとして長鎖アルキル系離型剤、シリコーン系離型剤、フッ素系離型剤等のものが挙げられる。
【0012】離型剤の添加量が熱可塑性樹脂100重量部に対して0.05重量部未満であると剥離効果が不充分となり、10重量部を超えて添加してもそれ以上の効果は現れず、却って、多量にブリードした離型剤が粘着剤表面に移行することにより粘着力の低下を招くことがある。従って、離型剤の添加量は上記の範囲とする。
【0013】離型シートは、上記樹脂組成物を押出機からシート状に溶融押出した後、その表面に所定の凹部を形成するようにエンボス加工を施すことにより得ることができる。凹部の形状や深さ、大きさなどは目的、性能に応じて適宜選択すればよい。形状については、例えば、四角椎状、円錐状、半球状、ストライプ状等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、また、これらを2種類以上組み合わせてもよい。また、不連続のもの、あるいは一定しない形状の独立した凹部からなるものでもよく、その中に粘着剤を溜めることができるものであればよい。
【0014】凹部の深さは10〜200μmの範囲が好ましい。粘着剤溶液の固形分濃度は通常60%程度がほぼ上限であり、10μmよりも浅いと粘着剤の転写量が少なすぎて大きな粘着力は期待できなくなる。また、200μmを超えると圧着ロールの材質にかかわらず転写できなくなるおそれがある。従って、上記範囲の深さが好ましい。凹部の開口部の広さは特に限定されず、上記の形状と深さにより任意の広さを選択すればよい。
【0015】上記凹部同士は不連続であることが必要である。この理由は通気性を確保するために粘着剤のない部分を形成するためである。絆創膏などに必要な通気性を得るためには、多数の凹部が形成されている部分の表面積が離型シート表面の全体の99.5%以下であるように複数の凹部を形成することが好ましい。多数の凹部の合計の表面積が全体の表面積の99.5%を越えると、最終的に得られた通気性粘着テープにおける通気性が損なわれることがある。
【0016】さらに、上記離型シートは表面が離型性を有することが必要であるが、この離型性の程度については、粘着剤の種類によっても異なるが、一般に31dyn/cm程度以下の表面濡れ張力を有するようなものであればよい。また、必要に応じて基材への転写及び基材に対する粘着剤の接着強度を高めるために、離型シートの凹部内及び凹部外の領域に、シリコーン系離型剤やフッ素系離型剤あるいは長鎖アルキル系離型剤などを用いて表面処理を施して離型性を補ってもよい。
【0017】粘着剤としては、上記離型シートに塗布し、乾燥した後、通気性基材に転写し得るものであれば特に限定されず、一般的なゴム系もしくはアクリル系の溶剤型粘着剤またはエマルジョン型粘着剤を用いることができる。
【0018】本発明に係る通気性粘着テープの製造方法では、上述した多数の凹部を有する離型シート上に上記粘着剤溶液を塗布し、乾燥することにより離型シート上に不連続な形状の粘着剤層を形成する。この粘着剤溶液の塗布方法及び乾燥方法についても特に限定されないが、凹部内にのみ粘着剤を塗工するには、ロール塗工法を用いることが望ましい。
【0019】次に、上記離型シートに形成された不連続な粘着剤層を通気性基材の一面に転写する。この場合、通気性基材としては特に限定されるわけではないが、和紙やビニロン繊維もしくはスフ繊維あるいはこれらの混合物を漉いたものや、不織布のように繊維が絡みあって、多くの通孔が形成されている基材であり、通常の洋紙のように白土などで目止めして通孔を塞いだものを含まないものとする。すなわち、所望とする通気性を発揮し得る限り、上記通気性基材の材質については特に限定されるものではない。
【0020】また、上記通気性基材においては、必要に応じて、粘着剤層との密着強度を高めるためにアンカー剤により処理が施されていてもよく、あるいは通気性基材の一面に印刷やその他のコーティング剤による処理が施されていてもよい。
【0021】(作用)本発明では、離型シートを構成している樹脂組成物が熱可塑性樹脂100重量部および離型剤0.1〜10重量部からなるので、該離型シートの凹部に形成された不連続の凹部内の粘着剤を粘着剤の組成や物性の影響を受けずに通気性基材に容易に転写することができ、不連続な粘着剤層を有する通気性粘着テープが得られる。
【0022】従って、離型シートにおける多数の凹部の形状を決定するだけで、不連続の粘着剤層を容易にかつ高精度に形成することができる。また、上記不連続の粘着剤層を通気性基材に転写するだけで、目的とする通気性に応じた通気部を容易に確保し得るとともに、粘着剤の背面側への染み出しも生じ難い。
【0023】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施例を説明する。
(実施例1)
離型シート中密度ポリエチレン(三井石油化学社製、商品名:「ネオゼックス3510F」、メルトフローレートMFR=1.6g/10分、溶融温度190℃)100重量部に対し、離型剤(一方社製,商品名「ピーロイル1010」)0.5重量部添加混合して溶融押出してフィルムを得た。図1乃至図3は本発明の通気性粘着テープの製造方法の順序を示す断面図である。図によって本発明の通気性粘着テープの製造方法を説明する。上記フィルムの片面にエンボス加工により、最深部が50μm、1辺が約60μmの四角錐状の多数の凹部11を形成した離型シートを得た。隣接する各凹部11、11の間は平坦部12となされて各凹部11は不連続である。図1は凹部11面に粘着剤を塗布し、未乾燥の状態で粘着剤2の表面は連続している。図2は粘着剤2が乾燥したために体積が減少した状態を示し、粘着剤2の表面はフィルム1の平坦部12により不連続である。図3は上記粘着剤2を不織布3に転写した状態であり、それぞれの粘着剤2は互いに不連続である。
【0024】粘着剤溶液ブチルアクリレート 47重量部2−エチルヘキシルアクリレート 47重量部アクリル酸 5重量部2−ヒドロキシエチルメタクリレート 1重量部上記のモノマー組成物を共重合してなる共重合体をトルエン・酢酸エチル混合溶剤に溶解した粘着剤溶液に、架橋剤(日本ポリウレタン社製,商品名「コロネートL」)を固形分比で1重量部添加した粘着剤溶液を上記離型シートのエンボス加工面にロールコーターにより乾燥後で40g/m2 となるように塗布し、90℃の乾燥ゾーンで3分間乾燥した。
【0025】坪量40g/m2 の不織布に上記粘着剤層を加圧転写し、そのまま巻き取って太巻きの巻重体とした。次に離型シートを剥離しながら50mm幅に裁断して巻き取り、ロール状態の粘着テープを得た。
【0026】(実施例2)離型剤の添加量を2.0重量部とした離型シートを用いたこと以外は実施例1と同様にして粘着テープを得た。
【0027】(実施例3)離型剤の添加量を10.0重量部とした離型シートを用いたこと以外は実施例1と同様にして粘着テープを得た。
【0028】(比較例1)離型剤の添加量を20.0重量部とした離型シートを用いたこと以外は実施例1と同様にして粘着テープを得た。
(比較例2)離型剤を添加しない離型シートを用いたこと以外は実施例1と同様にして粘着テープを得た。
(比較例3)図4に示すように、凹部を設けない離型処理されたポリエステルフィルムの離型処理面に実施例1と同じ粘着剤溶液を、同じ塗布量となるように3mm間隔でストライプ状に塗布乾燥した粘着剤4を不織布3に転写することにより粘着テープを得た。
【0029】以上の実施例1〜3及び比較例1〜3で得た粘着テープにつき、次の評価を行った。
(1)透気度:直径10mmの面積を100mlの空気が透過するために要する時間を測定した。
(2)対ステンレス板粘着力:JIS Z 0237に準拠して25mm幅での対ステンレス板粘着力を測定した。
(3)離型シート側への糊残り:粘着剤を不織布面に転写し、離型シートを剥離した直後のエンボス形成面を観察した。以上の結果を表1に示した。
【0030】
【表1】

【0031】表1により、本発明の方法によると充分な通気性が得られる。また、粘着力もすぐれて離型シートに糊残りがないのは、エンボス加工フィルムが含有する離型剤により粘着剤の転写性がよいことを示している。しかし、比較例1〜3のいずれもこれらの性能を同時に満足できるものではない。
【0032】
【発明の効果】本発明の通気性粘着テープの製造方法によると、熱可塑性樹脂100重量部に対して離型剤が0.1〜10重量部含有されている離型シートを使用し、離型シートの凹部に形成された不連続の凹部内の粘着剤を通気性基材に容易に転写することができるので、粘着剤の物性による影響を受けることなく、充分な粘着性及び通気性を有する通気性粘着テープを簡単な工程で得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月24日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−267153
【公開日】 平成11年(1999)10月5日
【出願番号】 特願平10−76005