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【発明の名称】 排泄物収容装具
【発明者】 【氏名】佐々木 和弘

【要約】 【課題】コンベックスプレート構造を有する接皮部と袋体とが分離式の装具の着脱が容易で、かつ適用される排泄孔の如何に拘らず共通の部品を使用し得る排泄物収容装具を提供する。

【解決手段】人体に造設した排泄孔に対応する開口2を有する接皮部1と、接皮部1の非接皮側に固定され接皮部の開口2に対応する開口6を有する第1のフランジ5と、第1のフランジ5の外周縁に設けられたリング状の嵌合部7と、第1のフランジの開口6に対応する開口11と第1のフランジの嵌合部7と着脱可能なリング状の嵌合部12とを有する第2のフランジ10と、第1のフランジ及び第2のフランジの各開口6、11と対応する開口9を有する袋体8とを備え、第1のフランジ5の嵌合部7を除く内側の部分16を熱可塑性エラストマーで形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 人体に造設した排泄孔に対応する開口を有する接皮部と、接皮部の非接皮側に固定され接皮部の開口に対応する開口を有する第1のフランジと、第1のフランジの外周縁に設けられたリング状の嵌合部と、第1のフランジの開口に対応する開口と第1のフランジの嵌合部と着脱可能なリング状の嵌合部とを有する第2のフランジと、第1のフランジ及び第2のフランジの各開口と対応する開口を有し第2のフランジの非接皮側に固定された袋体とを備え、第1のフランジの少なくとも嵌合部を除く部分が熱可塑性エラストマーで形成されることを特徴とする排泄物収容装具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人体の表面に外科手術により造設したストーマに装着する排泄物収容装具に関する。
【0002】
【従来の技術】人体の排泄機構に関連する臓器の疾患のため直接肛門、泌尿器から排泄することが不可能となって体表面にストーマを造設した人、或いはその他の疾患で体表面にストーマやフィステルを造設した人は、それらの造設された排泄孔から排出される便、尿、体液等の排泄物を処理するため、排泄物を貯留できる排泄物収容装具を排泄孔に装着しなければならない。この排泄物収容装具には種々の形式が存在するが、基本的には中心部に開口を形成し一方の表面に粘着性の皮膚保護剤層を有する接皮部に排泄物を収納する袋体を取り付け、接皮部をその開口が排泄孔に沿うように粘着性の皮膚保護剤層でもって体表面に粘着固定するもので、排泄孔から出てきた排泄物は接皮部の開口を通って袋体内に収容されるようになっている。接皮部により装具を排泄孔周辺に取り付ける際、排泄孔が人体表面より僅かでも突出している場合には排泄孔の先端開口部は接皮部の開口より袋体の内部へ突き出るため問題は生じないが、排泄孔が人体表面から低い位置にある所謂陥没型の排泄孔の場合には、排泄孔の先端が接皮部の開口より袋体側へ突き出ないため、排泄物が体表面上に停留し、時に接皮部の粘着性の皮膚保護剤層内に浸入することによって皮膚の爛れ、粘着性の皮膚保護剤層の剥がれによる排泄物の漏れ等の不都合が生じる可能性がある。この点を改良するため、接皮部の接皮側に半硬質の材料からなり人体表面側に突出する部分を有する所謂コンベックスプレートを設け、接皮部を人体表面に粘着固定することによってコンベックスプレートが排泄孔周辺に及ぼす押圧力により排泄孔を人体表面に向け押し出すようにすることが行われている。図3はその一例の断面図である。1は接皮部で、中心部に開口2を有し、中心部の周辺には接皮側に突出する部分3を有し、コンベックスプレート構造を形成し、接皮側の全表面には粘着性の皮膚保護剤層4が設けられている。接皮部1の接皮側と反対側即ち非接皮側に表面にはリング状のフランジ5が固定され、フランジ5は開口2に対応する開口6を有し、外周縁にはリング状の嵌合部7が設けられている。8は袋体で、その開口9の周辺にはリング状のフランジ10が固定され、フランジ10はその中心部に開口9に対応する開口11、外周縁には嵌合部7と嵌合し得るリング状の嵌合部12が設けられている。この袋体8は嵌合部7、12を結合することによって接皮部1と一体となり、排出された排泄物は袋体内に収納され、両嵌合部7、12を外すことによって袋体8内の排泄物を処理することができる。この種の排泄物収容装具は、排泄物の処理がし易く、繰り返し使用することができ、所謂2ピース型装具として賞用されている。この2ピース型装具は接皮部の嵌合部と袋体の嵌合部とを着脱する必要があるが、気密式に形成された両嵌合部の着脱にはかなりの力を要し、また排泄孔に圧力がかかると痛みを伴うので、接皮部側の嵌合部7の裏側に指を挿入して嵌合部を下方から支えながら着脱操作する必要がある。この場合接皮部のコンベックスプレート構造は半硬質の素材から形成されているため変形し難く、接皮部1とそのフランジ5との間隙13が小さいと指が入らず、着脱操作がし難い。間隙13を大きくとる一つの方法はフランジ5の接皮部1に対する固定部分14を一点鎖線15で示すように立たせることであるが、フランジ5を接皮部1に取り付けるには通常溶着によるため、フランジ5の固定部分14の接皮部1に対する角度が大きいと固定部分14の端部を接皮部1に溶着する場合に固定部分14に溶着用工具が接近して固定部分14に熱による損傷を与える危険性が大きい。フランジ5を外方へ延ばしその嵌合部7を接皮部の外周縁から遠くする方法も考えられるが、フランジ5の外径が大きくなることは袋体のフランジ10の外径も大となることを意味し、装具全体が極めて大型となり、装着感が劣悪なものとなる。また、非陥没型の排泄孔にはコンベックスプレート構造は必要としないから、平坦で可撓性のある接皮部にフランジを取り付けるのが好ましく、その場合には接皮部の本体とフランジとの間隙は多少狭くとも接皮部の可撓性に助けられて指を挿入することは容易である。従って通常の排泄孔に対するフランジと陥没型の排泄孔に対するフランジとはそれぞれ別個の構造として考えざるを得ず、両者に共通の構造を採用することができないため装具の価格を上昇させることになる。従って両フランジの構造は適用される排泄孔の如何に拘らず共用できることが望ましい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、コンベックスプレート構造を有する接皮部と袋体とが分離式の装具の着脱が容易で、かつ適用される排泄孔の如何に拘らず共通の部品を使用し得る排泄物収容装具を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するため、本発明においては、人体に造設した排泄孔に対応する開口を有する接皮部と、接皮部の非接皮側に固定され接皮部の開口に対応する開口を有する第1のフランジと、第1のフランジの外周縁に設けられたリング状の嵌合部と、第1のフランジの開口に対応する開口と第1のフランジの嵌合部と着脱可能なリング状の嵌合部とを有する第2のフランジと、第1のフランジ及び第2のフランジの各開口と対応する開口を有し第2のフランジの非接皮側に固定された袋体とを備え、第1のフランジの少なくとも嵌合部を除く内側の部分が熱可塑性エラストマーで形成される。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明においては、接皮部の中心に開口を設け、接皮側を開口の周辺部において突出させてコンベックスプレート構造とし、接皮側と反対側、即ち非接皮側の開口の周辺に接皮部の開口に対応する開口を有するリング状で内側の部分を熱可塑性エラストマーで形成した可撓性の第1のフランジを固定し、第1のフランジの外周縁に嵌合部を形成し、第2のフランジを第1のフランジの開口に対応する開口を有するリング状に形成し、その外周縁に同様に第1のフランジの嵌合部と嵌合し合う嵌合部を形成し、第2のフランジの開口に袋体の開口を固定し、両嵌合部の嵌合状態において第1のフランジの内側の部分が延びたり変形することにより嵌合部と接皮部の非接皮側の表面との間隙を大きくすることができる。
【0006】第1のフランジの嵌合部を除く内側の部分をすべて熱可塑性エラストマーで形成する必要はなく、その一部分のみを熱可塑性エラストマーで形成するようにしてもよい。例えば第1のフランジの接皮部に対する固定個所の近傍の部分をリング状に熱可塑性エラストマーで形成し、残りの部分は他の材料例えば嵌合部と同一の材料で形成することができる。要は、着脱操作の際第1のフランジの嵌合部の内側の部分の少なくとも一部が弾力性、伸縮性、可撓性を持つようにすることである。
【0007】
【実施例】次に本発明の実施例を図面について説明する。
【0008】図1は本発明の実施例の断面図で、図2と同等部分には同符号が付されている。接皮部1は例えば円形リング状に形成され、中心には人体に造設した排泄孔に対応する開口2を有し、接皮側即ち体表面と接する側の開口2の周辺に突出する部分3を有し、接皮側の全表面には粘着性の皮膚保護剤層4が設けられている。非接皮側には第1のフランジ5の開口6が固定され、第1のフランジ5の固定側と反対側の外周縁には嵌合部7が形成され、第1のフランジ5は嵌合部7を除く内側の部分16が熱可塑性エラストマーで形成され、この内側の部分は延びたり変形が容易になっており、操作に際して特にフランジ5の嵌合部7の裏側と接皮部1の非接皮側表面との間隙dを大きくすることができる。第2のフランジ10は開口2、開口6に対応する開口11を有し、外周縁には第1のフランジの嵌合部7と相互に嵌合し合う嵌合部12が形成されている。第2のフランジ10の非接皮側には袋体8が固定され、袋体8は開口2、開口6、開口11に対応する開口9を有している。
【0009】接皮部1の本体は、ポリエチレン、エチレン‐酢酸ビニルコポリマー、エチレン‐アクリル酸メチルコポリマー等の熱溶着可能で半硬質性のプラスチック材料で形成するのが有利であり、例えば射出成形法を使用して形成することができる。接皮部の粘着性の皮膚保護剤層4としては、例えば親水性成分(カラヤガム、柑橘ペクチン等)と疎水性成分(ポリイソブチレン、スチレン系熱可塑性エラストマー等)を組み合わせたものが使用できる。
【0010】第1のフランジの嵌合部、第2のフランジには同一の材料を用いることができる。例えば、エチレン−アクリル酸エチルコポリマー、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレン−アクリル酸メチルコポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、エチレン−アクリル酸コポリマー、エチレン−メタクリル酸コポリマー、塩素化ポリエチレン等がある。第1のフランジの内側の部分の熱可塑性エラストマーとしては、例えば、SBS(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレン)、SEPS(ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリスチレン)等のポリスチレン系、ポリオレフィン系、塩化ビニル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、フッ素系等を使用することができる。第1のフランジの嵌合部と内側の部分とを一体に形成するには、異材質のプラスチック成形品を作るのに用いられるインサート成形、2種・異材質成形等の複合射出成形法を用いることができる。
【0011】図2は図1に示した装具を人体表面に装着した状態の断面図である。21は人体、22はその体表面に造設した排泄孔である。装具は、接皮部1の開口2が排泄孔22に沿うように接皮部の粘着性の皮膚保護剤層4で以て取り付けられると、接皮部1の突出した部分3が排泄孔22の周囲を押し付け、その結果排泄孔22は陥没型のものであっても体表面に押し出される。接皮部1の非接皮側表面と第1のフランジ5の嵌合部7の裏側との間に図に示すように指を挿入すると、第1のフランジ5の内側の部分16が延びたり変形して指は充分に奥まで挿入できるから、嵌合部7を裏側から支えながら両嵌合部7、12間の着脱を行うことは極めて容易であり、体表面に全く押圧力を作用させることなく装具の操作を行うことができる。
【0012】
【発明の効果】本発明によれば、接皮部に設けられているフランジと接皮部の本体との間に着脱操作時十分大きい間隙を生じさせることができるから、接皮部と袋体との間の着脱を極めて容易にかつ人体に苦痛を与えることなく行うことができ、またフランジそのものの構造を通常の排泄孔に対するものと、陥没型の排泄孔に対するものとで共通に使用することができるから、すべてに共通の部品を使用することができ、製造コストを低減することができるものである。
【出願人】 【識別番号】000151380
【氏名又は名称】アルケア株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月25日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】富村 潔
【公開番号】 特開平11−267147
【公開日】 平成11年(1999)10月5日
【出願番号】 特願平10−96906