| 【発明の名称】 |
人工股関節用カップ及び人工股関節 |
| 【発明者】 |
【氏名】西尾 道一
【氏名】藤川 健太郎
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| 【要約】 |
【課題】超高分子量ポリエチレン製カップを介して臼蓋側へ固定することで固定性の良さを損なわず、また使用過程で同樹脂の摩耗粉を発生させない。
【解決手段】人工骨頭球71が摺動可能の凹球面32を有するセラミック製カップ31の外周面に樹脂製カップ41を取着してなる人工股関節用カップ21で、樹脂製カップ41の開口端部44を被覆するように金属製保護部材51を取着した。骨頭球7がセラミック製カップ31の凹球面32を摺動する際に骨頭球71に固着されたステム61は樹脂製カップ41に接触せず、金属製保護部材51に接触するから金属摩耗粉は発生するとしても樹脂摩耗粉は発生しない。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 人工骨頭球が摺動可能の凹球面を有するセラミック製カップの外周面に樹脂製カップを取着してなる人工股関節用カップにおいて、該樹脂製カップの開口端部を被覆するように金属製保護部材を取着したことを特徴とする人工股関節用カップ。 【請求項2】 人工骨頭球が摺動可能の凹球面を有するセラミック製カップの外周面に樹脂製カップを取着してなる人工股関節用カップにおいて、該樹脂製カップの開口端部を被覆するように金属製保護部材を取着し、前記人工骨頭球が前記セラミック製カップの凹球面を摺動する際に該人工骨頭球に固着されたステムが前記樹脂製カップに接触せず、前記金属製保護部材に接触する構成としたことを特徴とする人工股関節用カップ。 【請求項3】 前記樹脂製カップが、超高分子量ポリエチレンからなることを特徴とする請求項1又は2記載の人工股関節用カップ。 【請求項4】 前記金属製保護部材が、チタン、チタン合金、ステンレス合金若しくはCo−Cr合金のいずれかからなることを特徴とする請求項1、2又は3記載の人工股関節用カップ。 【請求項5】 前記金属製保護部材が、前記樹脂製カップの開口端部に沿って環状をなす環状体である請求項1、2、3又は4記載の人工股関節用カップ。 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の人工股関節用カップと、そのセラミック製カップの凹球面を摺動するセラミック製人工骨頭球と、該セラミック製人工骨頭球に固着された金属製ステムとを備えてなることを特徴とする人工股関節。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、人体の大腿骨の骨頭球が骨折や変形性股関節症等によって損傷を受けたときに代用として置換される人工股関節に関する。 【0002】 【従来の技術】図13は、従来の人工股関節101の構造及びこれを人体に置換した状態を模式的に示したものである。このような人工股関節101は、臼蓋Mに人工股関節用カップ(以下、カップともいう)121を骨セメントSで固定する一方、人工骨頭球(以下、骨頭球ともいう)71に固着されたステム61の先細角状部63を大腿骨Fに挿入して骨セメントSで固定し、その骨頭球71がカップ121の凹球面を摺動するようにして構成される。 【0003】このような人工股関節101をなす骨頭球71やステム61は、耐久性、生体親和性(人体適合性)に優れる金属製とされ、カップ121は生体親和性に加え、耐摩耗性、耐衝撃性、さらには緩衝(クッション)作用がある樹脂製とされたものがあった。ここに金属は、チタン、チタン合金、ステンレス合金若しくはCo−Cr合金などであり、樹脂は、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリアセタールなどである。ところが、このような金属からなる骨頭球71においては樹脂製カップ121の凹球(内)面122を摩耗しやすく、次のような問題を発生させるといった指摘があった。 【0004】すなわち、超高分子量ポリエチレンなどの合成樹脂はそれ自体は生体親和性がある。しかし、これが摩耗するとその摩耗粉(以下、樹脂摩耗粉ともいう)が体内でステム61に沿って大腿骨F内などに入り込み、骨吸収を引き起こし、差し込まれて骨セメントSで固定されていたステム61に緩みを発生させるといった問題があった。そこで近時は、骨頭球71をこのような摩耗粉を発生させにくいセラミック製としたものが用いられることもあるが、それでも樹脂摩耗粉の発生を皆無とすることはできないため、改良案として骨頭球71とカップ121ともにセラミック製とした人工股関節が提案されており注目されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】ところが、骨頭球71とカップ121ともにセラミック製としたものにおいては次のような問題があった。すなわち、このものにおいてセラミック製カップ121を臼蓋Mに骨セメントSで固定する場合、セラミック製カップ121が骨セメントSに比べて高剛性過ぎるため、そのカップ121では大腿骨Fを介して臼蓋Mにかかる衝撃を緩和する作用(緩衝作用)が期待できないし、その骨セメントSにかかる剪断力などによって関節として長時間使用されると、同骨セメントSが臼蓋Mから剥離したり弛緩を生じたりするなど、その固定性に問題があった。因みに、骨セメントSには、通常、粉体のポリメチルメタアクリレート(PMMA)を溶剤で混合して糊状(半液状)とし、これを固化させたものが用いられる。 【0006】こうした問題を発生させないようにするためには、図14に示したように、骨頭球71が摺動するセラミック製カップ31の外周面に樹脂製カップ41を取着して二重のカップ構造とし、これを介して臼蓋に固定するという提案がある。ところが、このような構造では、セラミック製カップ31と樹脂製カップ41とを一体化するため、例えば図14に示されるように、セラミック製カップ31の開口端部34を樹脂製カップ41の開口端部44が被覆するようにされていた。一方、このような人工股関節では、骨頭球71の摺動つまりステム61の揺動(最大角度)はその骨頭球寄り部位がカップの開口端部に当たることで規制されるようになっている。したがって、このような構造において関節として使用される場合には、ステム61の首部(骨頭球寄り部位)62が樹脂製カップ41の開口端部44に接触ないし衝突を繰返すことになり、結局は前記したのと同様、樹脂製カップ41の摩耗をきたし、その摩耗粉による前記の問題を発生させることになり、臨床成績上のネックとなっている。 【0007】本発明は、このような問題点に鑑みて成されたもので、その目的とするところは、超高分子量ポリエチレンなど、緩衝作用のある樹脂を介して臼蓋側へ固定することでその固定性の良さを生かし、しかも、使用過程で超高分子量ポリエチレンなどの合成樹脂の摩耗粉が発生しない構造の人工股関節用カップおよびこれを用いた人工股関節を提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】前記課題を解決するために本発明は、人工骨頭球が摺動可能の凹球面を有するセラミック製カップの外周面に樹脂製カップを取着してなる人工股関節用カップにおいて、該樹脂製カップの開口端部を被覆するように金属製保護部材を取着したことを特徴とする。すなわち、人工骨頭球が摺動可能の凹球面を有するセラミック製カップの外周面に樹脂製カップを取着してなる人工股関節用カップにおいて、該樹脂製カップの開口端部を被覆するように金属製保護部材を取着し、前記人工骨頭球が前記セラミック製カップの凹球面を摺動する際に該人工骨頭球に固着されたステムが前記樹脂製カップに接触せず、前記金属製保護部材に接触する構成としたものである。 【0009】このような人工股関節用カップにおいては、臼蓋への骨セメントによる固定は樹脂製カップを介することになるため、その固定性の低下を招かない。これに加えて、セラミック製カップの凹球面に、人工骨頭球を摺動するように組み込んで最大(角度)摺動させた場合には、固着されたステムは樹脂製カップに接触せず、金属製保護部材に接触する。つまりステムと樹脂製カップとは擦れ合うことがないから、樹脂摩耗粉は発生しない。 【0010】すなわち、本発明においては金属製ステムの固着されたセラミック製骨頭球を用いて人工股関節とする場合でも、そのステムは金属製保護部材に接触することになることから、その接触による摩耗粉が発生するとしても金属粉である。しかして、このような金属粉は骨溶解作用などの問題を発生させないので、人工股関節の長期臨床成績を向上させることができる。 【0011】なお、樹脂製カップは、生体親和性があり、耐摩耗性、耐衝撃性に優れ、緩衝(クッション)作用がある樹脂から形成すればよい。超高分子量ポリエチレン(Ultra-high molecular weight polyethylene(UHMW−PE))が最適であるが、このほか高密度ポリエチレン(UDPE)、ポリアセタール(Polyacetal)なども使用できる。 【0012】また、前記金属製保護部材は、チタン、チタン合金、ステンレス合金若しくはCo−Cr(コバルトクロム)合金のいずれかで形成すると良い。これらは従来より金属製ステムや骨頭球にも使用されていたように、いずれも耐久性、生体親和性に優れる上、その摩耗粉自体は骨溶解作用など臨床成績を格別低下させるような問題を発生させないためである。なお、前記金属製保護部材は、前記樹脂製カップの開口端部に沿って環状をなす環状体とするとよい。このようにすれば、前記樹脂製カップの内外周面の開口端部(若しくはその近傍)にそのばね性などを利用して容易に取着できるし、その取着によってセラミック製カップと樹脂製カップとの一体化をも容易に図ることができるためである。 【0013】そして、本発明による前記いずれかの人工股関節用カップと、そのセラミック製カップの凹球面を摺動するセラミック製人工骨頭球と、該セラミック製人工骨頭球に固着された金属製ステムとを備えてなる人工股関節とすることで、その臨床成績を向上させることができ、再置換手術までの期間を延長できることから患者にとっては福音となる。 【0014】なお、骨頭球やセラミック製カップをなすセラミック(焼結体)は、アルミナ(Al2 O3 )、ジルコニア(ZrO2 )、窒化けい素(Si3 N4 )、炭化けい素(SiC)、水酸アパタイト(HAP)、燐酸三カルシウム(TCP)など、高強度、耐摩耗性、低摩擦性、生体親和性のあるものを主成分とするものから適宜選択して用いればよい。 【0015】 【発明の実施の形態】さて次に本発明に係る人工股関節用カップおよびこれを用いた人工股関節を具体化した実施形態例について、図1ないし図3を参照して詳細に説明する。図中1は、本例の人工股関節用カップ21に、金属製ステム61の固着されたセラミック製人工骨頭球71を組込んで構成された人工股関節であって、その人工股関節用カップ21は次のように構成されている。すなわち、人工股関節用カップ21は、お椀状で略一定厚さの半球状に形成されたアルミナセラミック焼結体からなるセラミック製カップ31と、その外周面をなす凸球面33に、超高分子量ポリエチレンからなる樹脂製カップ41が密着状に被せられている。ただし、この樹脂製カップ41もお椀状で略一定厚さの半球状に形成され、その内側の凹球面42はセラミック製カップ31の外周面をなす凸球面33と略同一の曲率半径とされ、その凸球面33に密着するように設定されている。なお、樹脂製カップ41の開口端部44は、本例ではセラミック製カップ31の開口端部34と略面一となるように形成されている。 【0016】なお、セラミック製カップ31の凹球面32の曲率半径は、骨頭球71の球面73のそれよりも僅かに大きく設定され、骨頭球71を球面滑り接触(対偶)可能に形成されている。また、骨頭球71はセラミック製カップ31の凹球面32に当接状態を成すようにセットされるが、同カップ31とは構造的に結合されておらず分離自在の状態となるように構成されている。 【0017】そして、人工股関節用カップ21の開口端部24には本発明の要旨とする金属製保護部材(本例では、ステンレス合金製)51が取着されている。ただし、本例の金属製保護部材51は断面L字形で、開口端部24に沿って環状をなす環状体とされ、樹脂製カップ41の外周面43の開口端部44寄り部位と、セラミック製カップ31と樹脂製カップ(以下、両カップともいう)41の開口端部(面)34,44を覆うように、その円筒部(図1断面縦辺)52を樹脂製カップ41の開口端部44寄りの外周面に当接させ、円環板部(図1断面横辺)53を両カップの開口端部(面)34,44に当接させて取着されている。 【0018】ただし、本例では、金属製保護部材51がその取着時に径方向に締まり嵌め状態となるように円筒部52の内径D1が自由状態において樹脂製カップ41の開口端部44の外径よりやや小さめにされ、径方向のばね性により取着されている。また、円環板部53の内径D2は骨頭球71の外径よりやや大きめに形成されている。こうして本例では、金属製保護部材51によって、セットされる骨頭球71が最大角度摺動した際、図1中2点鎖線で示したように、そのステム61が樹脂製カップ41の開口端部44に接触することなく、金属製保護部材51の円環板部53の表面に接触するように設定されていると同時に、金属製保護部材51が両カップを一体化している。 【0019】しかして、このような人工股関節用カップ21には、そのセラミック製カップ31の凹球面32に、例えばチタン合金製の金属製ステム61が固着された例えばアルミナセラミック焼結体からなる人工骨頭球71が摺動するようにセットされ、人工股関節1を構成する。なお、図3に示したように、本例での骨頭球71は、球体の一部を平面72でカットした形状をなしており、その平面72側には先細テーパをなす空孔73を備えており、この空孔73に同一テーパをもつステム61の先端部を圧入してテーパ嵌合させることで固着している。 【0020】このような人工股関節1は、図4の模式図に示したように、人工股関節用カップ21を樹脂製カップ41を介して臼蓋Mに骨セメントSで固定し、また金属製ステム61の先細角状部63を大腿骨Fの上部内側に埋め込み、骨セメントSを介して固定し、ステム61の固着された骨頭球71をセラミック製カップ31にセットする。こうして構成された人工股関節1においては、骨頭球71が摺動してステム61が最大(角度)揺動しても、前記の構成によって同ステム61の首部(骨頭球寄り部位)62は樹脂製カップ41の開口端部44に接触することはなく、金属製保護部材51の円環板部53に接触するに止まる。 【0021】したがって、このような人工股関節1においては、ステム61が樹脂製カップ41と接触したり擦り合うこともないから、樹脂製カップ41の樹脂摩耗粉を発生させることもない。すなわち、臼蓋Mへの固定は樹脂製カップ41を介するためにその固定性を低下させることもないし、樹脂摩耗粉による骨溶解の弊害を招くこともない。しかも、本例のように、金属製ステム61の固定されたセラミック製骨頭球71を用いることで、セラミック同士の摺動接触が確保される。そして、このものでは金属製ステム61と金属製保護部材51の接触により金属粉の発生は有るが、樹脂摩耗粉によるような問題は生じさせない。 【0022】さて次に、前記形態の人工股関節用カップ21(図5左断面)と、これと同様に両カップからなるが金属製保護部材51のないもの(比較例・図5右断面)において、金属製ステム61付きのセラミック製の骨頭球(外径22mm)71をセットし、次記するような耐久試験(図5参照)をし、樹脂摩耗粉の発生状況を比較をした。ただし、比較例すなわち金属製保護部材51のないもの(図5右断面)は、前記形態のものとステム61の最大揺動角度がほぼ同じになるように、樹脂製カップ41の開口端部44を金属製保護部材51が付いている位置まで肉盛り形成したものである。なお、本発明と比較例とも5組のセット試料を使用した。 【0023】試験内容(条件)は次のようである。図5に示したように、カップ21と骨頭球71との間(鉛直方向)に、圧縮荷重P(1.4〜14KN)を所定の周期(1〜50Hz)で変化させながらかけると同時に、ステム61を金属製保護部材51の円環板部53又は樹脂製カップ41の開口端部44に接触するように、骨頭球71の中心に関して鉛直から前後(図示左右)にそれぞれ55度/secの角速度で振る試験を107 サイクル行い、試験後の両樹脂製カップ41の摩耗量(樹脂摩耗粉の重量)を測定した。結果、本発明品では、いずれの試料も樹脂摩耗粉は0であったが、比較例では、3〜6g×10-2の発生がみられた。このことは、金属製保護部材51が樹脂製カップ41の摩耗を確実に防ぐことを示すものである。 【0024】さて前記形態では、金属製保護部材51は、樹脂製カップ41の外周面の開口端部44寄り部位にて締まり嵌め状態となるようにして取着したものを例示した。しかし、本発明における金属製保護部材51は、樹脂製カップ41の開口端部44を被覆するように取着してあり、人工骨頭球71がセラミック製カップ31の凹球面32を摺動する際にステム61が樹脂製カップ41に接触せず、金属製保護部材51に接触する構成とされていればよく、その形状や取着の手段は適宜に設定すればよい。以下、金属製保護部材を変更した別の実施形態について数種類説明する。ただし、いずれも本質的には前記形態と共通するものであり、金属製保護部材51の形状などの一部を変更した点などが相違するだけで、作用、効果とも同じであるから、相違点のみ説明し、前記形態と同一部位には同一の符号を付すに止める。 【0025】図6は、金属製保護部材51を前記形態と同様に断面L字形としたものであるが、本例では、樹脂製カップ41の開口端部44をセラミック製カップ31の開口端部34より延長し、前例とは異なり金属製保護部材51の内周側に位置する円筒部52を樹脂製カップ41の内周面の開口端部44寄り部位に嵌め、外周側に位置する円環板部53が開口端部44を被覆するようにしたものである。なお、金属製保護部材51は樹脂製カップ41の開口端部44を拡径するよう形成されており、そのばね作用で取着されている。また、本例では金属製保護部材51の円筒部52がセラミック製カップ31の開口端部34に当接するように設定され、両カップを一体化している。 【0026】図7は、前例の変形とでもいうべきもので、樹脂製カップ41の開口端部44とセラミック製カップ31の開口端部34を図1のものより共に同寸延長し、セラミック製カップ31の凹球面(内周面)32の開口端部34をその開口(周方向)に沿って断面L字状の切欠35を周設し、この切欠35に、断面L字形とした金属製保護部材51の内周側に位置する円筒部52を嵌着し、円環板部53が両カップ31,41の開口側端部34,44に当接するようにして被覆したものである。なお、この金属製保護部材51の円筒部52の外径は、セラミック製カップ31の開口端部34の切欠35の内周面より大きめに形成され、そのばね性によって嵌着され、両カップ31,41を一体化している。 【0027】図8は、図7に示したものの変形とでもいうべきもので、樹脂製カップ41の開口端部44とセラミック製カップ31の開口端部34を図1のものより共に同寸延長し、セラミック製カップ31の内周面の開口端部34と、樹脂製カップ41の外周面の開口端部44寄り部位に、その開口(周方向)に沿ってそれぞれ断面L字状の切欠35,45を周設し、この切欠35,45に断面略U字形とした金属製保護部材51をその内外両円筒部(断面視両脚)52a,52bで挟み、かつ円環板部53が両開口端部34,44に当接するように嵌着したものである。このものも金属製保護部材51が両カップ31,41を一体化している。 【0028】図9は、さらに前例の変形とでもいうべきもので、樹脂製カップ41の開口端部44のみセラミック製カップ31の開口端部34より延長し、樹脂製カップ41の外周面の開口端部44寄り部位に、その開口(周方向)に沿って断面L字状の切欠45を周設し、この切欠45と樹脂製カップ41の内周面の開口端部44寄り部位とを断面略U字形とした金属製保護部材51の内外両円筒部(断面視両脚)52a,52bで挟むように嵌着したものである。なお、このものも金属製保護部材51の内側円筒部52aの端面がセラミック製カップ31の開口端部34に当接され、両カップを一体化している。 【0029】図10は、樹脂製カップ41の開口端部44をセラミック製カップ31の開口端部34より延長し、樹脂製カップ41の内周面の開口端部44寄り部位に、周方向に沿って断面矩形状の凹溝(凹部)46を周設している。そして、金属製保護部材51は内周側に円筒部52を備えた断面略L字形をなし、その円筒部52の端部に外向に形成されたリング状嵌合部56を備え、これを凹溝46に嵌着して取着している。なお本例の金属製保護部材51は、両カップ31,41をセットし、そのリング状嵌合部56が樹脂製カップ41の凹溝46に入り込むようにそのばね性を利用して押し込めばよい。また、このものも金属製保護部材51の取着時において、その円筒部52の端面がセラミック製カップ31の開口端部34に当接され、両カップを一体化するように構成されている。 【0030】図11は、セラミック製カップ31と樹脂製カップ41の開口端部34,44が略面一とされ、樹脂製カップ41の内周面の開口端部44寄り部位に断面L字状の切欠45が周設されている。そして、この切欠45に、断面逆T字形の金属製保護部材51の円筒部52が圧入されている。これにより、金属製保護部材51は両カップに取着されると共に内外カップを一体化している。 【0031】前記形態においてはいずれも金属製保護部材51にて内外カップ31,41を一体化しているものを例示したが、本発明ではその一体化はこれに限定されるものではない。例えば図12に示したように、樹脂製カップ41の内周面42の開口端部44寄り部位42aがセラミック製カップ31の開口端部34に被さるようにするなどして一体化してもよい。そして、同図のものでは、樹脂製カップ41の開口端部44寄りの外周面に図1に示したのと同様の断面L字形の金属製保護部材51をその円筒部52にて開口端部の径方向に締まり嵌め状に取着しておけばよいが、この際、円環板部53は樹脂製カップ41の開口端部44のみを被覆するように形成してあればよい。因みに、このものでは、樹脂製カップ41の開口端部44を広げるようにしてその内周面42にセラミック製カップ31を押込んで内外両カップ31,41を一体化すればよい。 【0032】なお、本発明における金属製保護部材は、前記形態ではいずれも無端円環状のものを例示したが、その取着が確保されるものであれば有端環状の環状体とすることもできるし、複数に分割された分割部片で構成してもよい。また、その断面形状は、人口股関節用カップへの取着が容易でありかつ取着(組立て後)において離脱しない嵌め合い構造ものであればよく、前記各形態ものに限定されるものではない。さらに、金属製保護部材は、樹脂製カップの開口端部を被覆するように取着されていればよいが、必ずしもその全面が被覆されていなくともよい。すなわち、人工骨頭球がセラミック製カップの凹球面を摺動する際に人工骨頭球に固着されたステムが樹脂製カップに接触せず、金属製保護部材に接触する構成とされていればよく、したがってセラミック製カップの開口端部を被覆していることは要しない。 【0033】 【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明の人工股関節用カップによれば、超高分子量ポリエチレンなど、緩衝作用のある樹脂製カップを介して臼蓋側へ固定することができるので、その固定性の良さを生かし、しかも、使用過程でその樹脂摩耗粉を発生させない人工股関節を構成できる。すなわち、このような本発明による人工股関節用カップと、そのセラミック製カップの凹球面を摺動するセラミック製人工骨頭球と、該セラミック製人工骨頭球に固着された金属製ステムとを備えてなる人工股関節によれば、その臨床成績を向上させることができ、再置換手術までの期間を延長できることから患者にとっては福音となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004547 【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)3月23日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】加藤 和久
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| 【公開番号】 |
特開平11−267144 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)10月5日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−95501 |
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