| 【発明の名称】 |
超音波ハイパーサーミアの温度計測装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】カワン・スタント
【氏名】増尾 成康
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| 【要約】 |
【課題】超音波ハイパーサーミア装置による温熱治療に際して、正常な組織に影響を与えないために非常に狭い範囲に設定されていた温度コントロール範囲を大幅に緩和する手段を備えた温度計測装置を提供する。
【解決手段】超音波ハイパーサーミア装置の被治療患部の温度を測定する温度計測装置の刺入針に、超音波造影剤を注入する手段を備えたことを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】超音波ハイパーサーミア装置の被治療患部の温度を測定する温度計測装置の刺入針に、超音波造影剤を注入する手段を備えたことを特徴とする、超音波ハイパーサーミア装置の温度計測装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、超音波を用いて癌等の悪性腫瘍や前立腺肥大症のような良性腫瘍を加温して治療する超音波ハイパーサーミア装置に必要な生体内部の被治療患部の温度を浸襲的に測定する温度計測装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来より例えば特開昭61−288858号公報に示すように、癌等の悪性腫瘍や前立腺肥大症等の良性腫瘍という生体の異常な細胞組織で構成される患部を治療するための一治療法として、患部を43℃付近で所定時間加温することによって治療する温熱治療(ハイパーサーミア)が有効であることがよく知られている。 【0003】このようなハイパーサーミア装置で患部の温度を上げる一手段として、超音波を利用した治療装置がある。この超音波治療装置は、電気音響変換素子を半球状に配置したアプリケータから、超音波を被治療患部、例えば癌組織等の腫瘍に集束照射し、この被治療患部を特定の温度まで加温し、それを一定時間維持することにより、この被治療患部を治療しようとするものである。 【0004】第2図は超音波を利用した従来のハイパーサーミア装置の一例を示すものである。図示のように、生体1の体表面に接してハウジング2が設けられ、このハウジング2の中に加温用の電気音響変換素子、すなわち超音波振動子3が半球状に配置されている。ハウジング2は膜4によって密封され、その内部は適当な音響インピーダンスを有する液体(たとえば水)5で満たされている。ハウジング2を生体1の体表面に密着させることにより、超音波エネルギーを生体1の内部に照射することが可能になる。加温用超音波振動子3はケーブルを介して駆動回路6に接続され、この駆動回路6を駆動することで超音波振動子から超音波を発射し、生体内部の加温目標である被治療患部(例えば癌等の悪性腫瘍)7に超音波を集束照射することによって患部の温度が上昇し、43℃付近の温度で所定時間加温することによって温熱治療が行われる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】ハイパーサーミア装置による温熱治療において、生体内部の加温目標である被治療患部だけを治療し、その周辺にある正常な組織に影響を与えないためには、被治療患部の温度を正確に測定し、コントロールすることが必要である。 【0006】被治療患部の温度測定方法の一例として、例えば特開平2−309936号公報には、第2図に示すような感温素子の組み込まれている刺入針8を生体内に刺して温度を測定する浸襲的方法が示されている。 【0007】刺入針8の中の感温素子から出力される温度に応じた電気信号は、温度計9で温度に変換され、その温度は駆動回路コントローラ10に送られる。駆動回路コントローラ10では、測定された温度があらかじめ設定された下限設定値以下のときには、駆動回路6を駆動して超音波振動子3から生体内に超音波を発射し、被治療患部7を加温する。一方、被治療患部7の温度が上限設定値を越えたときには、駆動回路6を停止させ、生体内への超音波の発射を止めることによって、被治療患部7の温度を設定範囲内に維持する。 【0008】しかしながら、被治療患部だけを治療し、その周辺にある正常な組織に影響を与えないようにするためには、例えば温度の上限設定値は43.0℃、下限設定値は42.5℃というように、非常に狭い範囲内に被治療患部の温度をコントロールする必要があり、そのために例えば第2図に示す温度計9や駆動回路コントローラ10などの装置が大規模かつ高価になるという問題があった。 【0009】本発明は上記の欠点を解決するためになされたもので、その目的は、超音波ハイパーサーミア装置による温熱治療に際して、被治療患部については十分な加温効果を確保しながら、正常な組織に影響を与えないようにするための温度コントロールの範囲を大幅に緩和する手段を備えた温度計測装置を提供することである。 【0010】 【課題を解決するための手段】この発明は、前記目的を達成するためになされたもので、超音波ハイパーサーミア装置の被治療患部の温度を測定する温度計測装置の刺入針に、超音波造影剤を注入する手段を備えたことを特徴とする、超音波ハイパーサーミアの温度計測装置である。 【0011】従来、超音波造影剤は電気音響変換器、すなわち超音波振動子を介して生体内に入射させた超音波が、体組織や体液の界面で反射/吸収されることにより生じる超音波画像診断の画像のコントラストを増強するために使用されている。 【0012】一方、超音波造影剤には超音波画像診断における画像のコントラストを増強するという機能の他に、超音波照射による生体組織の温度上昇が低減するという機能もある。 【0013】第3図は上記の機能を説明するために、擬似生体組織(ファントム)の表面に超音波を照射し、ファントムを加温したときの温度上昇を調べた実験結果を示す。実線11はファントムの表面に塩化ビニリデンでコーティングされ、内部に空気を含有する造影剤を適量注入したときのファントムの温度上昇を示している。一方、実線12は造影剤を注入しないときのファントムの温度上昇を示している。第3図から明らかに造影剤を注入したときの方が温度上昇が小さく、造影剤が超音波照射による温度上昇を低減する機能を有していることがわかる。 【0014】これは、造影剤の内部に含まれる空気の熱伝導率が小さいために、超音波照射により生じた熱がファントム表面に効率よく伝わらないことに起因している。また、照射された超音波が造影剤によって反射、散乱されるために、ファントムまで透過するエネルギーが小さくなることも起因している。 【0015】 【作用】本発明による温度計測装置によれば、刺入針を通して被治療患部に注入された造影剤は超音波を加温のために患部に集束照射することによって、その大きな音圧により破壊されるので、造影剤の存在が温熱治療を妨げることはなく、患部の温度は温熱治療に必要な温度まで上昇する。一方、被治療患部の周辺にある正常な組織に注入された造影剤にも超音波が照射されるが、超音波の集束の焦点が被治療患部上に合わされていることから、造影剤に照射される音圧は小さく、一部分の造影剤は破壊される可能性があるものの、大部分の造影剤は破壊されずに残る。このとき、造影剤の内部に含まれる気体の熱伝導率が小さいために、超音波照射により生じた熱は正常な組織に伝わりにくい。また、照射された超音波の一部は造影剤によって反射、散乱され、その結果、正常な組織まで透過するエネルギーが小さくなることから、正常な組織の温度は大きく上昇しない。したがって、従来、正常な組織に影響を与えないために非常に狭い範囲に設定されていた温度範囲を大幅に緩和することができ、そのために従来使われてきた温度計測装置を簡素化することができる。 【0016】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。第1図は超音波を利用したハイパーサーミア装置の構成を示すもので、生体1の体表面に接してハウジング2が設けられ、このハウジング2の中には加温用の電気音響変換素子、すなわち超音波振動子3が半球状に配置されている。ハウジング2は膜4によって密封され、その内部は適当な音響インピーダンスを有する液体(たとえば水)5で満たされている。ハウジング2を生体1の体表面に密着させることにより、超音波エネルギーを生体1の内部に照射することが可能になる。 【0017】駆動回路6にケーブルを介して接続された加温用超音波振動子3を駆動して、生体内部の加温目標である被治療患部7、例えば癌等の悪性腫瘍や前立腺肥大症等の良性腫瘍に超音波を集束照射させるまえに、患部の温度を測定するための刺入針8を生体内に刺し込み、その中に備えられた超音波造影剤を注入する手段を通して、超音波造影剤13を被治療患部7とその周辺の正常組織に適量を注入する。 【0018】第4図に刺入針の一例を示すように、刺入針8には被治療患部の温度に応じた電気信号を出力する感温素子14が備えられている一方で、弾力性のある材料からなる細いパイプ15も備えられている。そのパイプの中に超音波造影剤13を封入し、圧入部16に外から力を加えて、造影剤を生体内に押し出してやることにより、被治療患部及びその周辺の正常組織に適量の造影剤を注入する。 【0019】該超音波造影剤はエマルジョン、固体粒状物、水溶性化合物、遊離気泡、様々な型の封入気体含有系および気体発生系で構成され、その内部に気体を含有し、その気体は熱伝導率の小さい気体で構成されている。気体として例えば、空気、窒素、希ガス、例えばヘリウム、ネオン、アルゴンまたはクリプトン、水素、二酸化炭素、酸素またはこれらの混合物が挙げられる。 【0020】被治療患部に注入された造影剤は、、超音波を加温のために患部に集束照射することによって、その大きな音圧により破壊されるので、造影剤が温熱治療を妨げることはなく、患部の温度は温熱治療に必要な温度まで上昇する。一方、被治療患部の周辺にある正常な組織に注入された造影剤にも超音波が照射されるが、超音波の集束の焦点が被治療患部上に合わされていることから、造影剤に照射される音圧は小さく、造影剤の一部分は破壊される可能性があるものの、その大部分は破壊されずに残る。このとき、造影剤の内部に含まれる気体の熱伝導率が小さいために、超音波照射により生じた熱は正常な組織に伝わりにくい。また、照射された超音波の一部は反射、散乱され、その結果、透過するエネルギーも小さくなることから、正常組織の温度は大きく上昇せず、正常組織は過度の加温による破壊からまぬがれる。 【0021】したがって、本発明により従来、正常な組織の破壊を防ぐために非常に狭い範囲に設定されていた温度範囲を大幅に緩和することができ、そのために従来の温度計測装置に必要とされた大規模かつ高価な装置を大幅に簡素化することができる。 【0022】また、本発明によれば、超音波照射による正常組織の温度上昇を低減することができるので、従来、温熱治療として43℃付近の温度にコントロールしていた被治療患部の温度をさらに上昇させることができる。それによって、癌等の悪性腫瘍や前立腺肥大症等の良性腫瘍の治療効果の改善も期待できる。 【0023】 【発明の効果】以上述べたようにこの発明によれば、ハイパーサーミア装置による温熱治療に際して、被治療患部の温度を測定する温度計測装置の刺入針に備えた超音波造影剤を注入する手段によって、被治療患部及びその周辺の正常な組織に適量の超音波造影剤を注入するという簡単な方法で、超音波照射による正常な組織の温度上昇を低減することができる。これによって従来、温熱治療の際の過度の加温による患部周辺の正常な組織の破壊を防ぐために、患部の温度コントロールの範囲として非常に狭い範囲に設定されていた温度範囲を大幅に緩和することができる。そのため、従来の大規模かつ高価だった被治療患部の温度を測定する温度計測装置を簡素化することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】593232206 【氏名又は名称】学校法人桐蔭学園
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)3月17日 |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開平11−262501 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)9月28日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−108395 |
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