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【発明の名称】 股幹セメントスペ―サ
【発明者】 【氏名】ファリッド・ブルース・カリリ

【要約】 【課題】大腿幹等のプロテーゼインプラントのセメント固定を改善する装置と方法を提供する。

【解決手段】スペーサ10は、第一の端、第二の端及び、第一の端と第二の端に開いた穴を有する本体を含む。スペーサ10は、プロテーゼ関節構成部分システムの要素であり、このシステムはさらに、穴を通ってスペーサに挿入できるセメント注入ノズル30と、ノズル30の少なくとも一部の周りに設置できるスリーブ36を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 近方端領域、遠方端領域と前記近方端領域と前記遠方端領域の間に中央領域とを有する細長いプロテーゼ部分と共に使用するプロテーゼ関節構成部分システムであって、前記システムは、第一の端と第二の端とを有する本体を有し、前記本体は前記第一の端と前記第二の端に開口する穴を形成し、前記穴は前記細長いプロテーゼ部分の遠方端領域より大きく近方端領域より小さな直径を有し、前記細長いプロテーゼ部分は穴を通って受けられ、前記本体が前記細長いプロテーゼ部分の中央領域で前記細長いプロテーゼ部分に対して結合する、プロテーゼ関節構成部分システム。
【請求項2】 近方端領域、遠方端領域と前記近方端領域と前記遠方端領域の間に中央領域とを有する細長いプロテーゼ部分と共に使用するプロテーゼ関節構成部分システムであって、前記システムは、第一の端と第二の端とを有する本体から成り、前記本体は内壁と外壁を有し、前記内壁は前記第一の端と前記第二の端に開口する穴を形成し、前記穴は前記細長いプロテーゼ部分の遠方端領域より大きく近方端領域より小さな直径を有し、前記外壁から複数の突起が間隔をあけて延び、前記穴を通して挿入できるセメント注入ノズルから成り、前記ノズルの少なくとも一部の周りに配置できそれに対しスライドできるスリーブから成るプロテーゼ関節構成部分システム。
【請求項3】 近方端領域、遠方端領域と前記近方端領域と前記遠方端領域の間に中央領域とを有するプロテーゼインプラントを受ける骨穴を形成する工程から成り、第一の端と第二の端とを有する本体を設ける工程から成り、前記本体は内壁と外壁を有し、前記内壁は前記第一の端と前記第二の端に開口する穴を形成し、前記穴は前記細長いプロテーゼ部分の遠方端領域より大きく近方端領域より小さな直径を有し、前記外壁から複数の突起が間隔をあけて延び、前記本体を骨穴内に挿入する工程から成り、骨セメントを前記骨穴内に入れる工程から成り、前記プロテーゼインプラントを、前記プロテーゼインプラントの遠方端が前記本体を越えて遠方に延び、前記インプラントの中央領域が前記本体の内壁に対して結合するまで、前記穴を通して挿入する工程から成る、プロテーゼ関節構成部分システムの使用方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、プロテーゼを対象となる骨穴に固定するために使用するプロテーゼ関節構成部分システムに関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】病気及び/又は障害は人の体の自然の関節を破壊する。自然の関節を関節プロテーゼで置き換えると、明らかにこのような関節疾患を患う個人の生活の質を向上させることができる。種々の関節プロテーゼが知られている。より一般的な関節プロテーゼに、自然の膝関節と股関節の全て又は一部を置き換えるものがある。
【0003】関節プロテーゼの構成部分は既存の骨に埋め込まれ固定されなければならない。股関節形成外科、股関節をプロテーゼ関節に置き換える外科技術の場合、患者の大腿骨の近方部分に大腿幹(プロテーゼ股関節の一部)を入れるための穴を準備する。他の関節置換外科技術には、既存の骨に種々のプロテーゼ部分を設置するために同様の穴を形成することが必要である。
【0004】このような穴が準備できたら、数多くの技術を用いてプロテーゼ部分を穴の中に固定できる。例えば、プロテーゼ部分を穴の中にセメントで固めることができ、また、機械的な固定具で擦り合わせて又は固定装置を用いて設置できる。プロテーゼ部分を所定の位置に固定するのにセメントを用いるとき、通常その部分の周りにセメントのマントルを形成するのが望ましい。確実に均一なセメントマントルを形成する1つの方法は、プロテーゼ部分に固定される機械的ガイドの助けを借りて、プロテーゼ部分を対象となる穴の中心に置くことである。このようなガイドは通常「スペーサ」又は「セントライザ」と言及される。例えば、股幹のための既知のスペーサを股幹の遠方端に確実にフィットさせ、その後、幹を骨セメントで満ちた、穴が形成された大腿管の中へ挿入する。
【0005】一般に既知のスペーサは幹を大腿管の中心に置くのに成功しているが、スペーサの構造とそれを用いる技術は、セメントマントルの一体性及びセメントマントルとプロテーゼ部分の間の結合に関して種々の問題を引き起こしている。例えば、選択する骨セメントによっては、セメントを準備し管内に入れる時から幹とスペーサをそこに挿入する時までの少しの遅れが生じても、セメントが十分に固化又は硬化して、セメントとスペーサの間の最適な結合が得られない。さらに、スペーサは、幹の遠方先端を越えて、セメントマントルを3又は4のセクションに分割する恐れがあり、離れたセクションは一緒に結合しない。
【0006】さらに、組み合わさった幹とスペーサが、骨セメントに満たされた管内に挿入されるので、スペーサは、挿入ポイントのセメントの表面からスペーサの最終設置ポイントにわたって、小さい泡の形で空気を持ち込む傾向がある。多くの泡はセメントが固まるとセメント内に捕われる。泡はスペーサ/幹とセメントの間の接触面に不連続を生じさせ、結合が離れる場合がある。スペーサは幹の遠方端にあるので、泡は遠方端にあり、遠方端に最も高いセメント/幹界面応力が生じる。また、セメントが固まるとき、スペーサがセメントと結合しなくなる。従って、既知の技術は結合失敗の前兆を生じるだけでなく、最も弱い場所で生じる。従って、容易に埋め込むことができ、股幹固定、特に強いセメント固定の形成についての問題に関する、さらなる構造と技術が提供されることが望ましい。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、大腿幹等のプロテーゼインプラントのセメント固定を改善する装置と方法を提供する。第一の端、第二の端、及び第一の端と第二の端に開いた穴を有する本体があるスペーサが提供される。このスペーサは、プロテーゼ関節構成部分システムの要素とすることができ、このシステムはさらに、穴を通って挿入できるセメント注入ノズルと、ノズルの少なくとも一部の周りに設置してノズルに対してスライドできるスリーブを含む。
【0008】一例の方法では、プロテーゼインプラントを受ける骨穴が準備される。セメントノズルにスライド可能に設けられたスペーサを、骨穴内に挿入し、スリーブと共に配置する。骨穴を骨セメントで満たし、プロテーゼインプラントをスペーサと係合する。本発明の他の特徴と効果は、明細書及び図面を参照することにより、より明らかに理解することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は本発明のスペーサ10の斜視図である。スペーサ10は独立型装置として機能でき、改善された方法で既知のスペーサと置き換わる。または、以下に詳説するユニークなセメントシステムの構成部分及び方法として機能できる。スペーサ10には、反対側に位置する第一の端及び第二の端を有する本体11があり、本体は両端に開く穴12を形成する。図1で図示する実施形態では、穴12はほぼ円形で、本体11は穴の中心に対して対称である。ほぼリング状、トロイド形又は円すい形の本体11には、内側を向いている壁14と外側を向いている壁16がある。
【0010】突起18が外壁16から延びている。図示するように、突起18を均等な間隔で約90度離すこと、又は不均等な間隔で離すことができる。4つの突起18が示されているが、スペーサ10は4より少ない突起でも4より多い突起でも含むことができる。各突起18は第一の端20と第二の端22を有する。突起18の第一の端及び第二の端20,22は、本体11の第一の端及び/又は第二の端とほぼ平らに、本体11の第一の端及び/又は第二の端を越えて延びてもよいし、本体の第一の端及び/又は第二の端まで延びてなくてもよい。図示する実施形態では、各突起18の第一の端20は本体11の第一の端を越えて延び、各突起の第二の端22は本体の第二の端までは延びていない。
【0011】突起18はスペーサ10の外周を形成し、この外周は本体11の外壁16の周囲より大きい。突起18は単なる突起でも細長い要素でもよく、堅くても、軟らかく弾性を有していてもよい。図示する実施形態では、突起18は丸い外面を有する堅く細長い構造であり、突起の第一の端が第二の端より幅広くなるようにテーパされている。
【0012】図2は、線2−2に添った図1のスペーサ10の断面図である。この図では、内側に傾斜した、本体11の第一即ち近方端24が、本体を通って穴12に続く。図に示されるように、本体11はテーパされていて円すい形であり、穴12は本体の一方の端において他の端より大きな直径を有する。
【0013】スペーサ10の種々の実施形態は、円柱状又はテーパされている内壁14と組み合わさって円柱状又はテーパされている外壁16を有する本体11を含む。図3は4つの等間隔の突起18’を有するスペーサ10’の実施形態を示す。突起18’はスペーサの端から見たときほぼ長方形である。
【0014】図4は図3のスペーサ10’の断面図である。この図では、本体の一端は、高さが同じであるほぼ平らな端面を有する。突起18’は、平らな端面を同じ距離(点線)だけ越えて延びる第一の端20’を有する。突起18,18’は鋭い第一の端20,20’又は端部を有することができる。図4に示すように、本体11’は長さが均一でなく、図示するように、本体の下端は平らでない端面を形成する。
【0015】図5に示すように、外径と内径が異なるスペーサ群から選択される一例であるスペーサ10を、穴の開いた大腿管26内に設置する。スペーサの遠方端から見て図示しているが、スペーサ10を、スペーサの第一の端と穴が、穴の開いた管の開口に面するような向きで、穴の開いた管の中に設置する。
【0016】各突起18は穴の開いた管の内面28と接触する。従って、本体の外壁16は内面28から離れ接触しない。スペーサ10は大腿管26の中心に置かれる。本体の外壁16と穴の開いた管26の内面28の間のギャップは、以下に詳説するように骨セメントがスペーサの周りを流れ包む道を提供する。
【0017】図6は一例であるスペーサ10と関連する本発明のセメントシステムを示す図である。セメントシステムは、近方端32と遠方端34があるセメント送出ノズル30を含む。近方端32は骨セメントの供給源(図示せず)とつながって配置できる。遠方端34はスペーサ10の穴12を通って挿入でき、そこから図8に示すように骨セメントを流出できる。ノズル30はプロテーゼ股幹46(図8に図示)の長さより長くできる。スリーブ36はノズル30の少なくとも一部を囲み、ノズルに対してスライドできる。スリーブ36はスペーサ10の配置に有用であり、特にスペーサ10をノズル30の遠方端34の方へ押すのに有用である。測定指標38をスリーブ36とノズル30に設けることができ、穴の開いた管26内のノズル及びスペーサ10の挿入深さの測定を助ける。
【0018】図7は、大腿骨40の穴の開いた管26内にある、セメント送出システムとスペーサを示す図である。一例である方法では、適当な大きさのスペーサ10をノズル30に設置する。その後、ノズル30を穴の開いた管26内に挿入する。スリーブ36を使用して、スペーサ10を、スペーサが穴の開いた管26内の選択した深さに達するまで、ノズル10の遠方端34の方へ押す(矢印41で示される方向)。一般には、スペーサの突起18が穴の開いた管の内面28と接触するまで、穴の開いた管26内へスペーサ10を押し込む。スペーサ10が選択した深さに達したとき、スリーブ36をノズル30及び大腿骨40から取り外す。スリーブ36内に長手方向の不連続部42を設け、ノズルをスペーサ10から外すことなく又はノズルを他のセメント送出装置から外すことなく、スリーブをノズル30から外すことができる。
【0019】図8は、セメント44が圧力下ノズル30の開口遠方端34から噴出して後方に曲がる方法で穴の開いた管26を満たす、一例である手続工程を示す図である。セメント44が穴の開いた管を満たし、内面28と管の間の空間に流れると、選択した挿入位置と深さからほぼ又は完全に動かず止どまっているスペーサ10から、ノズル30が徐々に引き出される。スリーブ36を使用してセメントバック圧力がスペーサを動かさないように、スペーサ10を所定の位置に保持できる。さらに、突起18,18’の鋭い端が骨に突き立ちスペーサ10を所定の位置に保持するのを助けることができる。ノズル30がスペーサ10と係合しなくなると(スペーサが未硬化セメント44で十分に包まれている)、外科医の所望により、追加の骨セメントが後方に曲がる方法で追加される。
【0020】図9に示すように、セメント44が硬化する前に、大腿幹46等の細長いプロテーゼ部分を、スペーサ10の方へ未硬化セメント44を通して通過させる。幹46を、幹46が確実に座るまでスペーサ10内へ挿入する。本体の傾斜する又は角をとった近方端24(図2)は、幹46を本体11の中へガイドし中央に設置するのを助ける。幹46とスペーサ10は、幹46の中央領域48がスペーサ10の内壁14と干渉してフィットするように結合する大きさである。幹46は、セメント44が硬化するまで、選択した深さの所定の位置で中央に保持される。
【0021】幹をスペーサ10内に挿入する間、幹46だけでは、あったとしても極く少しの泡しか未硬化セメント44に持ち込まない。セメントが硬化するとき、非常に高い品質で抗クラック性マントルが形成され幹を所定の位置に保持する。セメントマントルは不連続がほとんど無く、特に幹の遠方先端付近の高い応力ゾーンには無い。スペーサを管内に配置した後セメントを管内に入れるので、ノズルを出るセメントはほとんど流体であり、スペーサが部分的に固まったセメントの中を押されることにより形成される溝が排除されるため、セメントとスペーサの間が十分に結合する可能性がより高い。幹に関連する不連続がもしあれば、それはセメントへの応力が最も低い中央軸区域である。例示の実施形態を参照して本発明を示し説明したが、それらの形態と詳細において、種々の他の変更、省略及び追加が、本発明の精神と範囲から離れること無く可能である。
【0022】好適な実施態様を以下に示す。
(1)前記本体に形成される前記穴がほぼ円形である請求項1に記載のプロテーゼ関節構成部分システム。
(2)前記本体が前記穴の中心について対称である実施態様(1)に記載のプロテーゼ関節構成部分システム。
(3)前記本体がほぼトロイド形であり、内壁と外壁を含む実施態様(2)に記載のプロテーゼ関節構成部分システム。
(4)さらに、前記外壁から延びる複数の突起を含む実施態様(3)に記載のプロテーゼ関節構成部分システム。
(5)前記複数の突起が等間隔である実施態様(4)に記載のプロテーゼ関節構成部分システム。
【0023】(6)前記突起は鋭い端を含む実施態様(4)に記載のプロテーゼ関節構成部分システム。
(7)前記各突起は第一の端と第二の端を含み、前記各突起の第一の端と第二の端の少なくとも1つは、それぞれ、前記本体の第一の端と第二の端の1つを越えて延びる実施態様(5)に記載のプロテーゼ関節構成部分システム。
(8)さらに、前記穴を通して挿入できるセメント注入ポートを含む実施態様(7)に記載のプロテーゼ関節構成部分システム。
(9)前記セメント注入ポートが開口遠方端部を有する細長いノズルを含む実施態様(7)に記載のプロテーゼ関節構成部分システム。
(10)前記ノズルには測定指標が設けられている実施態様(9)に記載のプロテーゼ関節構成部分システム。
【0024】(11)さらに、前記ノズルの少なくとも一部の周りに配置できるスリーブを含む実施態様(9)に記載のプロテーゼ関節構成部分システム。
(12)前記スリーブには測定指標が設けられている実施態様(11)に記載のプロテーゼ関節構成部分システム。
(13)前記スリーブは長手方向に不連続部を含み、前記スリーブが可とう性を有する実施態様(11)に記載のプロテーゼ関節構成部分システム。
(14)さらに、ノズルを設ける工程と、スリーブを設ける工程と、前記スリーブでノズルを囲む工程と、前記ノズルの一部を前記本体の穴を通して挿入する工程と、前記本体と前記スリーブを係合させる工程とを含む請求項3に記載の方法。
(15)さらに、前記本体を前記ノズルの遠方端の方へ押す工程を含む実施態様(14)に記載の方法。
(16)さらに、前記ノズルに添った選択された位置に前記本体を保持するために前記スリーブを使用する工程を含む実施態様(14)に記載の方法。
【0025】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、大腿幹等のプロテーゼインプラントのセメント固定を改善する装置と方法を提供できる効果がある。
【出願人】 【識別番号】594052607
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・プロフェッショナル・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Professional,Inc.
【出願日】 平成10年(1998)12月28日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】田澤 博昭 (外1名)
【公開番号】 特開平11−262498
【公開日】 平成11年(1999)9月28日
【出願番号】 特願平10−377390