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【発明の名称】 被検体生理状態制御装置
【発明者】 【氏名】渡邉 英宏

【氏名】梅田 匡朗

【氏名】石原 康利

【氏名】岡本 和也

【要約】 【課題】本発明の目的は、被検体の生理状態を医師や看護婦等を煩わせることなく、制御できる被検体生理状態制御装置を提供することにある。

【解決手段】本発明の被検体生理状態制御装置は、被検体から生理状態に関する生理状態情報を得る監視装置100と、生理状態情報に基づいて被検体の生理状態を調整する調整装置200とを具備する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】被検体から生理状態に関する生理状態情報を得る監視装置と、前記生理状態情報に基づいて、前記被検体の生理状態を調整する調整装置とを具備したことを特徴とする被検体生理状態制御装置。
【請求項2】前記調整装置は冷却装置と加温装置との少なくとも一方であることを特徴とする請求項1記載の被検体生理状態制御装置。
【請求項3】前記調整装置の動作状態をオペレータが入力するための入力装置と、前記調整装置の動作状態を表示するための表示装置とをさらに備えることを特徴とする請求項1記載の被検体生理状態制御装置。
【請求項4】前記監視装置と前記調整装置との少なくとも一方に動作異常が生じたときに警報を発する警報装置と、前記調整装置の動きを緊急停止する緊急停止装置とをさらに備えることを特徴とする請求項1記載の被検体生理状態制御装置。
【請求項5】前記監視装置は、磁気共鳴装置であることを特徴とする請求項1記載の被検体生理状態制御装置。
【請求項6】前記磁気共鳴装置は、温度情報、酸素飽和度情報、T2*情報、脳内物質情報、磁気共鳴画像から導かれ得る情報の少なくとも1つを、前記生理状態情報として取得することを特徴とする請求項5記載の被検体生理状態制御装置。
【請求項7】前記磁気共鳴装置は、被検体の頭部の一部を覆う形状のプローブを有することを特徴とする請求項5記載の被検体生理状態制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被検体の生理状態を監視する監視装置から得られる被検体の生理状態を示す情報に基づいて被検体の生理状態を調整する被検体生理状態制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、脳血管障害、頭部外傷、心肺停止時の低酸素脳症等に対する脳低体温療法が盛んに行われるようになってきている。この方法は上記障害に対して低体温により脳を保護した後に、36゜C程度の通常の温度に脳温を復温するという方法であり、従来の治療法では考えられないような症例での社会復帰等が報告されている。
【0003】現在行われている治療法では、まず全身麻酔下で調節呼吸として、水冷式のブランケットによって被検体の脳温を管理する。但し、現状の治療装置では脳温計測が行えないため、血液温度を脳温として管理している。低体温の導入時では、まず35゜Cまで比較的速く体温を下げる。35゜Cまで下げた以後は、心機能や不整脈に注意しながら、緩やかに33゜C近辺まで下げていく。この33゜C近辺の状態を数日間保持する。この後、脳波、CT画像等々より判断して正常な温度への復帰を行う。
【0004】上記治療に関する従来の装置では、上記の脳温、脳波、X線断層撮影画像(CT画像)等といった監視装置から得られる被検体の生理状態に関する情報を基に、医師が低温導入、低温維持期間あるいは復温スケジュール等の治療プロトコルを判断していたため、医師あるいは看護婦等が常に上記監視装置を注視している必要があり、医師、看護婦等に極度の緊張状態を強いるという問題があった。
【0005】また、脳温を直接観測することができなかったため、血管温度を脳温の代わりとして上記治療プロトコル判断材料の一つとしており、脳温の正確な管理ができないという問題があった。また、脳内の酸素供給に関する情報や脳内のグルタミン酸等の脳内物質の情報を取得することができないため、治療プロトコルである温度可変プロトコルに対する十分な情報が得られないという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、被検体の生理状態を医師や看護婦等を煩わせることなく、制御できる被検体生理状態制御装置を提供することにある。本発明の目的は、詳細には、監視装置から得られる被検体の生理状態に関する情報を、例えば被検体の温度コントロールを可能とする温度可変装置といった被検体の生理状態を調整する調整装置にフィードバックすることによって、例えば低温導入、低温維持、復温といった被検体の生理状態を制御することを可能とする被検体生理状態制御装置を提供することにある。
【0007】本発明の目的は、詳細には、磁気共鳴装置等を用いることによって脳内の温度の情報を取得し、上記被検体状態の調整装置にフィードバックすることによって、正確な脳温の管理を行うことを可能とする被検体生理状態制御装置を提供することにある。
【0008】本発明の目的は、詳細には、磁気共鳴装置により酸素飽和度計測、グルタミン酸等の脳内物質計測を行うことにより、確度の高い治療プロトコルを実施可能な被検体生理状態制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の被検体生理状態制御装置は、請求項1に示すように、被検体から生理状態に関する生理状態情報を得る監視装置と、前記生理状態情報に基づいて、前記被検体の生理状態を調整する調整装置とを具備する。
【0010】また、請求項2に示すように、前記調整装置は冷却装置と加温装置との少なくとも一方である。また、請求項3に示すように、前記調整装置の動作状態をオペレータが入力するための入力装置と、前記調整装置の動作状態を表示するための表示装置とをさらに備える。
【0011】また、請求項4に示すように、前記監視装置と前記調整装置との少なくとも一方に動作異常が生じたときに警報を発する警報装置と、前記調整装置の動きを緊急停止する緊急停止装置とをさらに備える。
【0012】また、請求項5に示すように、前記監視装置は磁気共鳴装置である。また、請求項6に示すように、前記磁気共鳴装置は、温度情報、酸素飽和度情報、T2*情報、脳内物質情報、磁気共鳴画像から導かれ得る情報の少なくとも1つを、前記生理状態情報として取得する。
【0013】また、請求項7に示すように、前記磁気共鳴装置は、被検体の頭部の一部を覆う形状のプローブを有する。
(作用)請求項1の発明によれば、監視装置で取得した被検体の生理状態を示す情報に基づいて、調整装置により自動的に被検体の生理状態を調整するようになるため、医師や看護婦等が常時監視装置を注視しその生理状態変化に対処するように調整装置を操作するといった手間が必要なくなり、また、操作ミス等の問題も解決する。
【0014】また、請求項2によれば、被検体の体温を自動的に調整することができる。また、請求項3によれば、医師や看護婦等による調整装置への動作状態の入力ミスを防ぐことが可能となる。
【0015】また、請求項4によれば、監視装置や調整装置の動作異常を検知して警報を発することができるので、医師や看護婦等は調整装置の動作を緊急停止することができる。
【0016】また、請求項5によれば、磁気共鳴装置により被検体の生理状態を高精度で検知することができる。また、請求項6によれば、温度情報、酸素飽和度情報、T2*情報、脳内物質情報、磁気共鳴画像から導かれ得る情報から、生理状態を高精度に制御することができる。
【0017】また、請求項7によれば、プローブを被検体の頭部の一部分を覆うような形状に構成することにより、医師等が被検体の様子を伺うことが可能となり、且つ治療等のための被検体へのアクセスが容易に行えるようになる。さらに、このような形状にプローブを構成したことにより、このプローブをヘッドレストとして使用することも可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明による被検体生理状態制御装置を、好ましい実施形態により説明する。図1に示すように、この被検体生理状態制御装置は、被検体の生理状態を検知して、この生理状態に関する情報を取得する監視装置100と、被検体の生理状態を示す情報に基づいて、被検体の生理状態を調整する調整装置200とから構成される。
【0019】監視装置100としては、制御対象の生理状態に応じて適宜使い分けられるものであり、図1にも示したとおり、制御対象が体温であれば、脳波計、心電計、血圧計、呼吸モニター、頭蓋内圧モニター、体温計、酸素濃度計、X線断層撮影装置(X線CT)、磁気共鳴装置(MRI)等の複数種類の装置が組み合わされて使われる。
【0020】また、調整装置200としては、制御対象の生理状態に応じて適宜使い分けられるものであり、例えば制御対象が体温であれば、冷水循環式のブランケットを備えた冷却装置と、温水循環式のブランケットを備えた加温装置と、その両方の機能を備えた冷却/加温装置とのいずれかである。この調整装置200には、内部に、情報処理部が装備されており、この情報処理部において監視装置100からの生理情報を処理して、この処理結果に従って冷却や加温の動作状態を制御するようにしている。
【0021】例えば、制御対象が体温であれば、被検体の脳波、心電、血圧、呼吸、頭蓋内圧、体温、血液酸素濃度、X線断層撮影装置で得られた断層画像、磁気共鳴装置で得られた画像に基づいて適当に被検体を冷却し、または加温しながら、被検体の生理状態、ここでは体温を所定温度又は温度幅内に維持する。例えば、冷却装置の場合には、ブランケットの循環水の水温を制御して、被検体の体温(脳温)の下降や、上昇や、保持といった制御を行う。
【0022】なお、図1では、生理情報の処理を、調整装置200の内部の情報処理部で行うようになっていたが、図2に示すように、被検体の生理状態を示す生理情報を計算機300で処理し、この処理結果に基づいて計算機300が調整装置200の動作状態を制御するようにしてもよい。
【0023】この調整装置200で被検体の生理状態を制御しているとき、被検体の生理状態に異常が生じる可能性がないとはいえない。ただし、この異常は、監視装置100の動作異常に因るものなのか、調整装置200の動作異常に因るものなのか、両方に因るものなのか断定する必要がある。このために、図3に示すように、監視装置100と調整装置200にそれぞれ警報装置400,500を設けて、それぞれ個別に動作異常を検知するようにしている。これら、警報装置400、500の出力は、例えばナースセンターや医師のポケットベルに通じており、アラーム音や警告メッセージ表示によって看護婦や医師等にそれぞれの動作異常を知らせるようになっている。
【0024】そして、これら警報装置400,500から動作異常の警報を看護婦や医師等が受け取ったとき、看護婦や医師等が調整装置200の動作を遠隔操作により又は装置側スイッチ操作により手動で緊急停止することができるように、緊急停止装置600が調整装置200に対して設けられている。また、このとき、看護婦や医師等が調整装置200の動作状態を再入力したり、設定を変更することができるように、入力装置700が調整装置200に対して設けられている。
【0025】また、上述したように、調整装置200に内蔵されている情報処理部あるいは図2に示した計算機300により生理情報が処理され、この処理結果に従って調整装置200の動作状態が自動的に決定されるが、上述した入力装置700から調整装置200の動作状態を医師等が手動で入力するとき、この入力された動作状態と、処理結果に従って自動的に決定された動作状態とが不一致になる場合がないとはいえない。この場合、当該不一致を医師等に提示して、いずれを優先させるのかを問い合わせる必要が生じる。このため、図4に示すように、両方の動作状態を、不一致であることを示すメッセージと一緒に表示し、いずれを優先するかを問い合わせる画面を表示するために、調整装置200に対して表示装置800が設けられている。
【0026】もちろん、これら入力装置700や表示装置800を、図2の計算機300に対して設けるようにしてもよい(図5)。上述したように、監視装置100の一例として磁気共鳴装置が考えられる。図6に、この磁気共鳴装置の構成を示している。周知の通り、磁気共鳴装置には、静磁場磁石1がメインコイルとして装備されて。そして、この静磁場磁石1の内側には、シムコイル4が設けられ、さらにこのシムコイル4の内側には勾配コイル2が設けられている。これら3種のコイルシステムにより、磁場強度が一様な静磁場と、勾配の向きが互いに直交する3種類の勾配磁場とが図示しない被検体に印加される。通常は、3種類の勾配磁場の中の1つの勾配の向きが静磁場の向きと同じになるように設定されている。勾配コイル2は、勾配コイル電源5により駆動され、シムコイル4はシムコイル電源6により駆動される。
【0027】そして、勾配コイル2の内側には、高周波コイル(RFコイル)とこのRFコイルの共振周波数を同調するためのチューニング要素とからなるプローブ3が設けられている。
【0028】RF送信部7は、プローブ3の共鳴周波数に応じた周波数の高周波磁場パルス(RFパルス)をプローブ3から発生させるために、当該周波数の高周波電流パルスをプローブ3に供給する。RF受信部9は、被検体からの磁気共鳴信号をプローブ3を介して受信し、これを増幅し、また検波する。なお、プローブ3は送受信兼用でも、送信専用コイルと受信専用コイルとを別々に備えていてもよい。データ収集部10は、RF受信部9で受信された磁気共鳴信号をディジタル信号に変換し、計算機システム11に転送する。
【0029】シーケンス制御部8は様々なパルスシーケンスを実行するために、勾配コイル電源5、シムコイル電源6、RF送信部7、RF受信部9およびデータ収集部11をパルスシーケンスデータに従ってシーケンシャリーに制御する。このシーケンス制御部8は、計算機システム11の制御下にあって、入力装置12から入力された各種指令が計算機システム11を介して必要に応じて選別され加工されて伝達されるようになっている。
【0030】計算機システム11は、データ収集部10からの磁気共鳴信号にフーリエ変換等の処理を施し、その結果に基づいて被検体内の所望スピンの画像データあるいはスペクトルデータを再構成する。このデータは表示装置13に送られ、画像あるいはスペクトル等々として表示される。
【0031】プローブ3、RF送信部7およびRF受信部9は、例えば 1Hの共鳴周波数に対応した高周波装置であり、その他、例えば31P、13Cに対応した高周波装置とすることも可能である。あるいは、複数の高周波装置であり、それぞれが 1H、31P、13Cに対応しているといった装置構成とすることも可能である。
【0032】このような磁気共鳴装置を用いて、生体内の水の情報を調べることにより、生体内の温度計測を行うことが可能となる。例えば、水の化学シフトは温度に依存することが知られており、化学シフト変化を周波数あるいは位相によって取得することにより、生体内の温度計測を行うことができる。また、近年多く用いられているフェーズマップ法を用いて各画素の水の位相情報を求め、生体内の温度分布を求めることができる。また、水の拡散定数、縦緩和時間T1、横緩和時間T2もそれぞれ温度に依存して変化することが知られており、これらの情報によって生体内の温度を分布として又は局部的に計測することが可能となる。
【0033】図7には、この磁気共鳴装置に、調整装置200を接続した被検体生理状態制御する装置のブロック図を示す。まず被検体の体温、例えば脳温を1ポイントで局部的に又は分布として磁気共鳴装置により計測する。計算機システム11では、この計測結果を処理し、調整装置200の動作状態を制御する内容を決定する。この制御内容に従って調整装置200が動作して、脳温を所定温度に維持するように、または所定の温度範囲に収めるように、冷却又は加温する。図7からシムコイル4およびシムコイル電源6を除いた簡略化した磁気共鳴装置でも上記制御が可能となる。
【0034】また、図8には、被検体内の体温を局部的に取得して、調整装置200を制御するための被検体生理状態制御装置の構成を示すブロック図を示した。この装置構成により、被検体内の1ポイントの温度計測結果から調整装置200を制御して、被検体の生理状態を制御することが可能となる。
【0035】また、図7および図8の装置構成により、例えばグルタミン酸のような脳内物質の情報を用いて調整装置を制御することも可能となる。あるいは、T2*強調画像等より得られる磁化率の差から酸素飽和度を求め、この情報により調整装置を制御することも可能となる。また、例えば13C標識グルコースを被検体に投与した後のグルタミン酸等の脳内物質の13Cの取り込みの様子を捉えることによりTCA回路の代謝回転を求めることができるが、この情報を用いて、調整装置を制御することも可能となる。
【0036】図9(a)乃至図9(d)には、図6の磁気共鳴装置のプローブ(高周波コイル装置)の構成を示している。このようにプローブを被検体の頭部の一部分、ここでは頭部の下半分を覆うような形状に構成することにより、医師等が被検体の様子を伺うことが可能となり、且つ治療等のための被検体へのアクセスが容易に行えるようになる。さらに、このような形状にプローブを構成したことにより、このプローブをヘッドレストとして使用することも可能となる。本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々変形して実施可能である。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、医師や看護婦等をわずらわすことがなく、監視装置からの情報により自動的に調整装置を制御して、被検体の生理状態を制御することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成10年(1998)2月19日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外6名)
【公開番号】 特開平11−226045
【公開日】 平成11年(1999)8月24日
【出願番号】 特願平10−37482