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【発明の名称】 アーチパッドを有する靴中敷き
【発明者】 【氏名】内田 俊彦

【氏名】佐々木 克則

【要約】 【課題】従来の複合アーチパッドは土踏まず前後に拘束がなく歩行や運動によりずれてしまう欠陥がある。従来のアーチパッドは、歩行障害の緩和、アーチ低下の回復と予防のために考案されたものであるが、走行時の障害の防止には余り配慮されていない。機能の維持あるいは障害の防止に役立つような足の踵部周辺の維持にも同時に有効なアーチパッドを提供する。

【解決手段】足底全体のまたは踵から中足近傍までの輪郭を有し、足底の横アーチ、内側縦アーチ及び外側縦アーチの部分に相当する部分にそれぞれ相当する、緩やかな下に凸状の横アーチパッド部、内側縦アーチパッド部及び外側縦アーチパッド部の少なくとも1つを一体に有する弾性または粘弾性パッド。さらに平面状の布地を有し得る。またパッドの前縁部は、第2中足部と第3中足部の間へ突出する部分を有することができ、踵部周辺の肉厚部分を有することができ、またパッドの踵部に隣接する外側アーチ部の部分には内方にせり出す部分を有し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 足底全体の輪郭を有し、足底の横アーチ、内側縦アーチ及び外側縦アーチの部分に相当する部分にそれぞれ相当する、緩やかな下に凸状の横アーチパッド部、内側縦アーチパッド部及び外側縦アーチパッド部の少なくとも1つを一体に有する弾性または粘弾性パッドとよりなる靴中敷き。
【請求項2】 足底全体の輪郭を有する平面状布地と、足底の横アーチ、内側縦アーチ及び外側縦アーチの部分に相当する部分にそれぞれ相当する、緩やかな下に凸状の横アーチパッド部、内側縦アーチパッド部及び外側縦アーチパッド部の少なくとも1つを一体に有し、且つ前記布地の裏面全体に接着されている弾性または粘弾性パッドとよりなる靴中敷き。
【請求項3】 横アーチパッド部、内側縦アーチパッド部及び外側縦アーチパッド部の少なくとも2つを一体に有する請求項1または2の靴中敷き。
【請求項4】 横アーチパッド部、内側縦アーチパッド部及び外側縦アーチパッド部の3つを一体に有する請求項1または2の靴中敷き。
【請求項5】 踵部後端から中足部近傍まで延長する足底の輪郭を有し、足底の横アーチ、内側縦アーチ及び外側縦アーチの部分に相当する部分にそれぞれ相当する、緩やかな下に凸状の横アーチパッド部、内側縦アーチパッド部及び外側縦アーチパッド部の少なくとも1つを一体に有する弾性または粘弾性パッドとよりなる靴中敷き。
【請求項6】 踵部後端から前部の中足部近傍まで延長する足底の輪郭を有する平面状布地と、足底の横アーチ、内側縦アーチ及び外側縦アーチの部分に相当する部分にそれぞれ相当する、緩やかな下に凸状の横アーチパッド部、内側縦アーチパッド部及び外側縦アーチパッド部の少なくとも1つを一体に有し、且つ前記布地の裏面全体に接着されている弾性または粘弾性パッドとよりなる靴中敷き。
【請求項7】 横アーチパッド部、内側縦アーチパッド部及び外側縦アーチパッド部の少なくとも2つを一体に有する請求項5または6の靴中敷き。
【請求項8】 横アーチパッド部、内側縦アーチパッド部及び外側縦アーチパッド部の3つを一体に有する請求項5または6の靴中敷き。
【請求項9】 前記パッドの前縁部は、第2中足部と第3中足部の間へ突出する部分を有する請求項5ないし8のいずれかの靴中敷き。
【請求項10】 前記パッドの踵部周辺は肉厚部分を有する請求項1〜9のいずれかの靴中敷き。
【請求項11】 前記パッドの踵部に隣接する外側アーチ部の部分には内方にせり出す部分を設けた請求項1〜10のいずれかの靴中敷き。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は靴の中敷きに関し、特に足のアーチを補強するためのアーチパッドを一体的に有する中敷きに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から足のアーチの低下による歩行障害の緩和、あるいはアーチ低下の回復と予防のため、例えば、老人、スポーツマンその他アーチの低下した人、低下気味の人、低下の恐れのある人、足、ひざ或いは股関節に痛みのある人等において、アーチパッドを直接靴の中敷きの上に置き、あるいは中敷きの下に敷いて使用することが提案されている。図1は実開平6−23515号に記載された従来のアーチパッド10を示し、横軸アーチパッド1、内側縦軸アーチパッド2、及び外側アーチパッド3を一体化したパッド10が使用されている。すなわち、足底の横アーチ、縦アーチ(内、外)の部分をほぼ完全にカバーするような形で且つ隅部を丸く形成した輪郭を有する平面状布地12と、布地12の裏面に一体に接着された粘弾性ポリウレタン樹脂パッド11よりなり、粘弾性ポリウレタン樹脂パッド11は下方に向けて凸レンズ状の曲面を有する両軸兼用アーチパッドである。このアーチパッド10は誰にでも容易に使用でき、しかも各々の位置決めを要しない3種のパッドを一体化したアーチパッドである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図1に示した従来のアーチパッド10は土踏まずに相当する位置のみをほぼカバーするものに過ぎないため、その前後に拘束がなく粘弾性体の粘着性を利用して着用しても、歩行や運動によりずれてしまう欠陥があり、本来の作用効果を充分に発揮できない欠点がある。また従来のアーチパッドは、主として歩行障害の緩和、あるいはアーチ低下の回復と予防のために考案されたものであるが、走行時の障害の防止には余り配慮されていない。従って、本発明はそのような場合の機能の維持あるいは障害の防止に役立つような足の踵部周辺の維持にも同時に有効なアーチパッドを提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、足底の全体にわたる面積を有し、横アーチ、内側縦アーチ及び外側縦アーチの部分に相当する部分にそれぞれ相当する、下に凸レンズ状の横アーチパッド部、内側縦アーチパッド部及び外側縦アーチパッド部の少なくとも1つを一体に有する、ゴム、EVA、ポリウレタン等の弾性または粘弾性パッドよりなる靴中敷きにより従来の問題を解決する。上記の靴中敷きはそのままでも使用できるが、粘弾性体を使用する場合には好ましくは足底全体の輪郭を有する平面状布地(本書では布地、発泡弾性プラスチック、不織布、または合成皮革を代表して布地と称する)に接着支持させる。
【0005】本発明はまた、踵部後端から中足部前縁部近傍まで、好ましくはさらに足幅が狭まる部分までに延長する足底の輪郭を有し、足底の横アーチ、内側縦アーチ及び外側縦アーチの部分に相当する部分にそれぞれ相当する、緩やかな下に凸状の横アーチパッド部、内側縦アーチパッド部及び外側縦アーチパッド部の少なくとも1つを一体に有する弾性または粘弾性パッドとよりなる靴中敷きにより従来の問題を解決する。上記の靴中敷きはそのままでも使用できるが、粘弾性体を使用する場合には好ましくは踵部後端から中足部、好ましくはさらに足幅が狭まる部分までに延長する足底の輪郭を有する平面状の布地に接着支持させる。この実施の形態では、パッドの前縁部内側から内側弧状部を経て第2中足部と第3中足部の間(すなわち第2、第3中足骨骨頭の間)に向けて前方に突出させ、次いでそこから前縁外側弧状部を経て後退して前縁部外側に連接するように定めることが望ましい。この形態ではまず足指はパッドに拘束されないで自由に屈曲可能となり運動機能を損ねないし、パッドによる障害を防ぐ。加えるに、パッド前縁に中足部突部を設けることにより、足裏の横アーチを効果的に支持することができると共に、母指の踏み込みを増強し、効率の良いけり出しを可能にする。さらに前記足底全体をカバーする場合、一部をカバーする場合を含めて、踵部の周りを支持するように踵周辺部の肉厚を厚くすることが望ましい。踵が中敷きにより抱き込まれるので、安定性(いわゆるヒールホールド)が良くなり、歩行のみならず素行時にも足の支持と保護を行い接地時の衝撃を吸収して足の障害を防ぐことができる。また、外側アーチに相当する部分でパッドの外縁の肉厚部分から内方にせり出した隆起部を設けることにより、外側縦アーチの支持を効果的に行うことができる。また、この部分により踵接地時に足裏外側から母指方向への体重移動が円滑になり、また小指が自然に開き易くなり、足指部の接地時の体重支持が安定する。
【0006】本発明では弾性あるいは粘弾性パッド(あるいはさらに布地)が足底全体を覆い、あるいは少なくとも、踵部から中足部、さらに好ましくは足幅が狭まる部分にまで延びているので、歩行によってアーチパッドの位置がずれるおそれがなく、足のアーチの低下による歩行障害の緩和、あるいはアーチ低下の回復と予防のため、アーチパッドを直接靴の中底の上に敷くだけで使用することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳しく説明する。以下の実施例では布地の裏面に粘弾性体のパッドを支持させた例について説明する。布地は必須ではないが粘弾性体のパッドを使用する場合には使用した方が良い。また実施例ではパッドの素材として粘弾性体を使用したが、EVA、ゴム、その他のエラストマー等の弾性体を使用しても良い。まず図2〜3を参照する。図2は右足用の中敷き20を足の裏面側から見たもので、粘弾性パッド21とその表面に結合した布地12とよりなる。布地12は必ずしも使用する必要がない。粘弾性パッド21は図示のように、下に凸のゆるやかな弧状をなすいくつかのアーチパッドを有する。これらの部分は、内側縦アーチパッド部24、外側縦アーチパッド部(図示せず)、及び横アーチパッド部23の少なくとも一つである。一般に内側縦アーチ部と横アーチ部は一部重なり、共通部分から構成される部分を有する。図2〜3に示した粘弾性パッド21は主として内側縦アーチと横アーチとを有するように構成されている。外側縦アーチはこの例では余り高く設定されていない。図2には各部の粘弾性パッド21の厚さ分布の一例を小数点付き数字で示した。単位はmmであり測定点は黒点で示した。また幅方向の厚さ分布を連続的に示すために測定点の厚さを図の上下方向の厚さでプロットした。図3は図2のA−A線に沿う断面図であり厚さ分布を示している。このような厚さの複雑な分布は成形金型の設計により容易に達成できる。
【0008】本発明でパッド11の素材に使用できる材料は、例えば、特公昭62−26330号公報、特開昭61−19618号等に記載の粘弾性ポリウレタン、EVA、天然ゴム等の公知のエラストマー等の弾性体など、適当な弾性体または粘弾性体から選択できる。
【0009】本発明の中敷き20を使用するには、粘弾性パッド21の部分を下にして靴の中底に挿入する。この状態で歩行すると、アーチパッドは撓んでアーチ底面にほぼ密着する。したがって、足裏に接触する側がアーチに沿った曲線となっていなくても支障がない。中敷き20は靴の中に配置した時全周を靴の内壁により拘束されるからずれにく、設計通りの位置にアーチパッド部を固定することができる。一方布地22は足に接するから通常の中敷きと同様な感触が得られる。
【0010】本発明のアーチパッドは製造が容易であり、たとえば実開平6−23515号に記載された方法に従い、粘弾性用の原料を、正確な厚さ分布を有する成形空洞を有する下金型と、平面状の底面を有する上金型よりなる成形機を使用し、予め計量した所定量の原料を成形空洞に装入し、その上に布地22をかぶせ、上下金型を閉じ、金型を所定温度に昇温し、所定時間保持する。これにより、架橋が起こり、所望の粘弾性パッド21と布地22が完全に一体化したパッド付き中敷きが得られる。
【0011】図4は本発明の他の実施例を示す。この例でも布地は必須ではなく例えばパッドが弾性体で製作される場合には不要である。しかし、この例ではパッドに粘弾性体を使用するので布地によりこれを被覆している。この例の中敷き30は足底全体をカバーせず、踵部から中足部近傍、好ましくは靴の中に挿入した時に、靴の内壁により拘束されて移動が阻止されるように、踵から前方に延び指部の直前の足幅が狭まり始めるところまで延びる平面状布地32とその底面にその輪郭よりも少しだけ小さく形成され且つ一体に固着された粘弾性パッド31よりなる。踵部から中足部近傍まで延長するパッド31は踵と左右側部が拘束されるのでそれだけで充分な位置決め力が得られる。このパッド31は内側縦アーチパッド部34、外側縦アーチパッド部35、及び横アーチパッド部33を有する。この例ではパッド31の厚さ分布を等高線で示した。丸の中に記載された数字は順に高さが増すことを示し、実際の数値を示すものではない。図示のように、パッドの前縁部は、パッドの前縁部内側37から内側弧状部38を経て第2中足部と第3中足部の間(すなわち第2、第3中足骨骨頭の間)に向けて前方に突出して中足突出部39を形成し、次いでそこから前縁外側弧状部40を経て前縁部外側41に連接している。この形態では足指はパッドに拘束されないで自由に屈曲可能となり運動機能を損ねないし、パッドによる障害を防ぐ。加えるに、パッド前縁に中足部突部を設けることにより、足裏の横アーチを効果的に支持することができると共に、母指の踏み込みを増強し、効率の良いけり出しを可能にする。また、踵周りの肉厚を図4の36のように厚くすると、踵が中敷きにより抱き込まれるので、安定性(いわゆるヒールホールド)が良くなり、歩行のみならず素行時にも足の支持と保護を行い障害を防ぐことができる。さらにまた、外側縦アーチパッド部35の踵に近い部分にパッドの外縁の肉厚部分から内方にせり出した隆起部を設けることにより、外側縦アーチの支持を効果的に行うことができる。また、この部分により踵接地時に足裏外側から母指方向への体重移動が円滑になり、また小指が自然に開き易くなり、足指部の接地時の体重支持が安定する。その他の効果は図2〜3の例と同様である。
【0012】
【発明の効果】以上のように、本発明の中敷きは、従来のアーチパッドとは違って、アーチ部の位置決めが容易に且つ安定に達成できる利点が得られる。また粘弾性パッドを使用すれば弱粘着性を示すため、靴の中底に定着し易い。したがって、本発明のアーチパッドは誰にでも容易に使用できる。本発明の構造によると、アーチパッドの製造が容易であり、量産に適する。なお、いかなる患者にも適合できるように設計した一組の典型的なパッドをそろえれば、最も適切な中敷きを医師が選択するようにすれば再少数の中敷きで最大の効果を発揮できる。踵部から中足部近傍まで延びる形態のパッドでは、パッドの前縁部内側から内側弧状部を経て第2中足部と第3中足部の間に向けて前方に突出させ、次いでそこから前縁外側弧状部を経て後退して前縁部外側に連接するように定めたので、足指はパッドに拘束されないで自由に屈曲可能となり運動機能を損ねないし、パッドによる障害を防ぐ。加えるに、パッド前縁に中足部突部を設けることにより、足裏の横アーチを効果的に支持することができると共に、母指の踏み込みを増強し、効率の良いけり出しを可能にする。さらに踵部の周りを支持するように踵周辺部の肉厚を厚くすることにより、踵が中敷きにより抱き込み、支持安定性を増し、歩行のみならず走行時にも足の支持と保護を行い接地時の衝撃を吸収して足の障害を防ぐことができる。また、外側アーチに相当する部分でパッドの外縁の肉厚部分から内方にせり出した隆起部を設けることにより、外側縦アーチの支持を効果的に行うことができる。また、この部分により踵接地時に足裏外側から母指方向への体重移動が円滑になり、また小指が自然に開き易くなり、足指部の接地時の体重支持が安定する。
【出願人】 【識別番号】592200383
【氏名又は名称】内田 俊彦
【識別番号】592178163
【氏名又は名称】三進興産株式会社
【出願日】 平成10年(1998)2月5日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】倉内 基弘 (外1名)
【公開番号】 特開平11−226042
【公開日】 平成11年(1999)8月24日
【出願番号】 特願平10−37938