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【発明の名称】 手障害者用生活補助具
【発明者】 【氏名】加藤 源重

【要約】 【課題】手に障害を有する者の障害を有する側の手を使用して、主として飲食を伴う生活が容易に営めるようにした手障害者用生活補助具を提供する。

【解決手段】障害を有する手に装着可能な補助具本体と、該補助具本体に着脱自在に取付可能な箸保持具または食器保持具とにより設けられた手障害者のための生活補助具であって、補助具本体は、手首に装着するための装着部材と、箸保持具等を連結するための筒状体とにより構成し、また箸保持具は、補助具本体の筒状体に取付可能な嵌入軸と、箸を保持するための固定側箸保持体と回動側箸保持体、固定側基板と回動側基板および回動側箸保持体に保持された箸を回動するための回動機構とにより構成し、また食器保持具は、補助具本体の筒状体に取付可能な嵌入軸と、食器支持用アームおよび皿体、該食器支持用アームの端部を挿着したアーム摺動用筒体とにより形成し、このアーム摺動用筒体内に設けられた上下動機構により、食器支持用アームを上下移動または固定可能に構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 障害を有する手に装着可能な補助具本体と、該補助具本体に着脱自在に取付可能な物品保持具とにより設けられた手障害者のための生活補助具であって、前記補助具本体は、手首に固定するための固定手段を設け、且つ手の動作機能が残存している部位を突出させるための挿通穴を設けた装着部材と、該装着部材の前部に突設された連結受具とにより構成し、また前記物品保持具は、補助具本体の連結受具に取付可能な連結材と、生活用品を保持するための保持部と、保持した生活用品を回動または上下動するための移動機構とにより構成したことを特徴とする手障害者用生活補助具。
【請求項2】 前記補助具本体の連結受具を嵌入孔を有する筒状体とし、また前記物品保持具の連結材を筒状体に嵌入可能な嵌入軸として、該筒状体に該嵌入軸を嵌挿して固定することにより、物品保持具を補助具本体に取付けるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の手障害者用生活補助具。
【請求項3】 前記物品保持具に保持する物品を箸とした箸保持具において、該箸保持具の保持部を、固定側箸保持体と回動側箸保持体の2本の箸保持体と、両箸保持体間にそれぞれ固着された固定側基板と回動側基板とにより形成するとともに、回動側基板を、両基板の重合位置に貫設された支軸を支点として回動可能に形成して、箸保持具に設けられた回動機構により、回動側箸保持体に保持された箸の先端部が、固定側箸保持体に保持された箸の先端部に向かって回動したり、または元位置に復帰するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の手障害者用生活補助具。
【請求項4】 前記箸保持具に設けられた回動機構を、回動側箸保持体の回動を一方向へ付勢するように設けられたバネと、回動側箸保持体を所定の位置まで回動して停止させる開閉棒と、固定側箸保持体に立設された操作支持部と、該操作支持部に支持された操作部本体と、該操作部本体から延設された操作レバーとにより構成したことを特徴とする請求項3に記載の手障害者用生活補助具。
【請求項5】 前記物品保持具に保持する物品を食器とした食器保持具において、該食器保持具の保持部を、食器支持用アームと、その上部に設けられた皿体とにより形成し、該食器支持用アームをアーム摺動用筒体内に挿着するとともに、このアーム摺動用筒体内に設けられた上下動機構により、前記食器支持用アームを上下移動または固定可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の手障害者用生活補助具。
【請求項6】 前記食器保持具のアーム摺動用筒体内に設けられた上下動機構を、食器支持用アームの端部に設けられた摺動用壁部と、該摺動用壁部の下部のスライドリングと、該スライドリングを外嵌したT字状軸棒と、アーム摺動用筒体に設けられた摺動溝とにより構成したことを特徴とする請求項5に記載の手障害者用生活補助具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、手に障害を有する者、特に指を切断した者が日常生活を営む際に、その動作を補助するための動作支援具であって、主として飲食をする場合に使用するようにした手障害者用生活補助具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】人が日常生活を営もうとするときには、箸を使用したり、食器を持ったりしなければならないが、その際に、片方の手に障害を有する者は他方の正常な手のみでこれらの操作をしており、また両方の手に障害を有する者にあっては、自身でこれらの操作ができないものであるが、これらを補助するための器具に関する従来の技術は存在しなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、片方の手に障害がある者は当然に両手を使用することができないので、例えば口の近くまで茶碗を持ち上げながら箸を操作するような場合のように、両手を使用しなければならないような動作は、やむを得ず足などを使用しており、その結果、飲食などを行う姿勢が非常に窮屈なものにならざるを得なかった。また利き腕側の手に障害を受けた者にとっては、使い慣れない手を使用するよりも、多少なりとも動かすことができるのであれば利き腕側の手を使用したいという欲求が強かった。
【0004】一方、両手に障害を有する者は介護者などに頼らざるを得ないことから、単身で生活することは殆ど不可能であり、近親者のもとで生活するか、またはヘルパーなどを雇い入れて生活しなければならず、このような負担は、障害を有する者および近親者にとって経済的損失または精神的苦痛が甚だしいものであった。
【0005】そこで本発明は、手に障害を有する者の障害を有する側の手を使用して、主として飲食を伴う日常生活が営めるようにした手障害者用生活補助具を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、障害を有する手に装着可能な補助具本体と、該補助具本体に着脱自在に取付可能な物品保持具とにより設けられた手障害者のための生活補助具であって、前記補助具本体は、手首に固定するための固定手段を設け、且つ手の動作機能が残存している部位を突出させるための挿通穴を設けた装着部材と、該装着部材の前部に突設された筒状体とにより構成し、また前記物品保持具は、補助具本体の筒状体に取付可能な嵌入軸と、生活用品を保持するための保持部と、保持した生活用品を回動または上下動するための移動機構とにより構成したものである。
【0007】また前記物品保持具に保持する物品を箸とした箸保持具においては、該箸保持具の保持部を固定側箸保持体と回動側箸保持体および両箸保持体間にそれぞれ固着された固定側基板と回動側基板により形成するとともに、回動側基板を、両基板の重合位置に貫設された支軸を支点として回動可能に形成して、箸保持具に設けられた回動機構により箸保持体に保持された箸を使用可能に形成したものであり、この回動機構を、回動側箸保持体の回動を一方向へ付勢するように設けられたバネと、回動側箸保持体を所定の位置まで回動して停止させる開閉棒と、固定側箸保持体に立設された操作支持部と、該操作支持部に支持された操作部本体と、該操作部本体から延設された操作レバーとにより構成する。
【0008】さらに前記物品保持具に保持する物品を食器とした食器保持具においては、食器保持具の保持部を、食器支持用アームと、その上部に設けられた皿体とにより形成し、該食器支持用アームを嵌入軸に固定されたアーム摺動用筒体内に挿着するとともに、このアーム摺動用筒体内に設けられた上下動機構により、前記食器支持用アームを上下移動または固定可能に形成したもので、この上下動機構を、食器支持用アームの端部に設けられた摺動用壁部と、該摺動用壁部の下部のスライドリングと、該スライドリングを外嵌したT字状軸棒と、アーム摺動用筒体に設けられた摺動溝とにより構成する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は上記のような構成であるので、障害を有する手に補助具本体1を装着し、この補助具本体1に箸保持具20を取付けるようにしたものである。そして障害を有する手のうちの動作機能が残存している部位を用いて、箸保持具20の操作レバー36を押したり離したりすることにより回動機構27を作動させ、保持された回動側の箸41の先端部を固定側の箸41の先端部に向かって回動させたり、または元位置に復帰させたりすることができるので、手に障害を有しない者と同じように箸を使用することができる。
【0010】また食器保持具120の食器支持用アーム130の上部の皿体131に茶碗や湯飲み、その他の鉢等を乗せ、その食器の位置を上下動機構によって調節することにより、食器の高さを適宜に設定するとともに、障害を有する手のうちの動作機能が残存している部位を用いて食器の上辺部を押さえるようにすれば、手に障害を有しない者と同じように食器を支持することができる。
【0011】さらに物品保持具は補助具本体に着脱自在に取付けることができるので、必要に応じてこれらの物品保持具を交換して使用することができ、さらに箸や食器以外の生活用品(例えばはさみやボールペン等)を保持することができる物品保持具を形成して、それを補助具本体に取付けて使用することも可能である。
【0012】
【実施例】本発明の実施例を図面に基づいて説明するが、本発明の主要な構成材は、補助具本体1と物品保持具としての箸保持具20と食器保持具120であるので、以下にそれらの構造について順次説明する。
【0013】図1は本発明の補助具本体1を示すもので、(a)は手に装着する前の状態を示し、(b)と(c)は手に装着した後の状態を示している。この補助具本体1は、主として手に装着するための装着部材2と、後述する物品保持具としての箸保持具20や食器保持具120などを補助具本体1に取付けるための筒状体3とにより構成されたものであり、さらに装着部材2は、手首に固定するための固定部2Aと、障害を有する者の手の形状(例えば指を切断した者であればその残部の凹凸など)に合わせて成型された金属製形設部2Bとから成るものである。
【0014】前記装着部材2の金属製形設部2Bは、例えば指を切断した者であればその残部と手の部分とに密着した状態で装着できるように設けられており、また合成樹脂や合成皮革または天然皮革などのやや柔軟性を有する素材で形成された固定部2Aは、金属製形設部2Bの裏面側の全面に被着され、且つ手首に固定するための巻着用帯片4を延設したものである。この巻着用帯片4の外面側には雌雄の面ファスナー5が貼着されるとともに、巻着用帯片4の反対側には締付用フック6が固着されているので、補助具本体1を手に装着する場合には、巻着用帯片4のほぼ中央部を締付用フック6に掛着して折返し、面ファスナー5同志を合わせて固定するようにする。なお障害を有する手の親指やその周辺部などに動作機能が残存している場合には、製造段階から設けられている上部挿通穴10Aからその親指などを突出させて、その部位を使用して操作をするようにし、また障害を有する手の小指やその周辺部などに動作機能が残存している場合には、巻着用帯片4を手首に装着した際に形成される下部挿通穴10Bからその部分を突出させて操作をするようになっている。
【0015】装着部材2の前方に突設された筒状体3は、物品保持具を取付けるための連結受具として設けられたもので、その中心部に貫入孔7が形成されている。そしてこの貫入孔7に物品保持具の連結材としての嵌入軸21を嵌め入れるとともに、筒状体3の側方より穿設された貫通孔8から固定ねじ9を螺入して固定することにより、補助具本体1に箸保持具20や食器保持具120などを取付けることができるのである。なお本実施例では連結受具とその連結材を、筒状体3と嵌入軸21とする例を示したが、本発明ではこのような連結方法に限定するものではないので、例えば磁石式連結方法などの適宜な方法を採用してもよい。
【0016】次に物品保持具について説明する。物品保持具の第1実施例は図2〜図5に示す箸保持具20である。この箸保持具20は、前記補助具本体1に取付けるための連結材と、箸を保持するための保持部と、保持した箸を回動させるための回動機構とにより構成されているもので、本実施例で使用される連結材は、前述したように嵌入軸21である。この嵌入軸21の外径は、補助具本体1の筒状体3の内径よりも若干小さくなるように形成されるとともに、嵌入軸21の側部に設けられた係合凹部24が、筒状体3の固定ねじ9と係合可能に設けられており、この固定ねじ9によって締め付け固定されるようになっている。
【0017】また本実施例の箸保持具20の保持部は、主として2本の箸保持体と箸保持体間に固着された2枚の基板から構成されているものである。すなわち2本の箸保持体は内部が空洞の角柱状に形成されているもので、図における嵌入軸21の上部に連設された保持体が固定側箸保持体22であり、また固定側箸保持体22と相対向して設けられた保持体が回動側箸保持体23である。これらの箸保持体の空洞部はそれぞれ固定側箸挿入部26と回動側箸挿入部31となっていて、この部分に箸を挿通して保持するとともに、その挿入口付近に取付けられた箸固定用ねじ29と32によってしっかりと固定するようになっている。さらに固定側箸保持体22の内側面からは固定側基板25が延設され、また回動側箸保持体23の内側面からは回動側基板30が延設されているが、これらの基板はそれぞれ半円盤状に成型されており、その重合部の中心に貫設された支軸38を支点として、回動側基板30が回動可能となっている。なお回動側基板30の後方接続部には四角状の切欠部が形成されていて、その切欠部に後述する開閉棒28が遊挿された状態で垂下されている。
【0018】本実施例の箸保持具20の保持部は以上のように構成されており、後述する回動機構によって回動側基板30および回動側箸保持体23が回動するので、回動側箸挿入部31に保持されている箸41が固定側箸挿入部26に保持されている箸41の方へ接近したり、または元位置へ復帰することができるのである。
【0019】続いてこの箸保持具20に設けられている回動機構27の構造を説明する。固定側箸保持体22の上部には、ほぼL字状の操作支持部33が立設固着されており、さらに操作支持部33の先端には操作部本体35が突設されている。この操作部本体35には支持軸34が貫設され、またその前端部から操作レバー36がL字状に延伸されており、さらに操作部本体35の後端部寄りには開閉棒28が垂下されている。さらにまた固定側箸保持体22と回動側箸保持体23の後方下部にはバネ37が設けられているが、このバネ37の両端部はバネ保持部39と40によって固定側箸保持体22と回動側箸保持体23とにそれぞれ保持されるようになっている。
【0020】次に上記のような構造の回動機構27を作動させて、箸を使用する場合の作動態様について説明する。図5に示すように、補助具本体1の筒状体3に箸保持具20の嵌入軸21を嵌入して固定することにより、両者は連結状態となる。その場合に、本実施例では図9(a)に示すように、手の親指またはその周辺部位を使用して操作レバー36を押したり、または離したりすることにより箸を使用するように構成されているものである。なお図3は操作レバー36から手を離した状態(箸を使用する前または箸が元位置に復帰した状態)を、また図4は操作レバー36を押した状態(箸によって食物を挾んだ状態)をそれぞれ示している。なおまた本実施例では手の親指またはその周辺部を使用する例を示しているが、小指またはその周辺部を使用する場合には、箸保持具20の取付けを上下逆にするものとする。
【0021】上述したように、嵌入軸21を筒状体3に固定することにより、固定側箸保持体22、固定側基板25および操作支持部33は固定状態となっており、使用前の状態(操作レバー36が自由な状態)においては操作部本体35は回動自在な状態となっている。さらに開閉棒28は回動側基板30の切欠部内で垂下された状態となっていて、バネ37の付勢のみが回動側箸保持体23に作用している。
【0022】操作レバー36を下方に押し下げると、操作部本体35が図中左回転方向に回動するとともに、開閉棒28も左回転方向に傾斜するので、この開閉棒28の傾斜に伴って回動側基板30および回動側箸保持体23もバネ37の付勢に逆らって左回転方向に回動する。なお回動側基板30および回動側箸保持体23の回動は、設定された範囲以上に回動することができないように、開閉棒28によって制御されている。このようにして回動側箸保持体23の後端部が左方向に回動するので、保持された回動側の箸41の先端部が固定側の箸41の先端部に接近または当接することができるのである。また操作レバー36から手を離せば、回動側箸保持体23の後端部がバネ37によって引き寄せられ、2本の箸41の先端部間は開いた状態となる。このような操作を繰り返して行うことにより、障害を有する手を用いて箸を使用することができるのである。
【0023】図6〜図8に示す第2実施例の物品保持具は、茶碗や湯飲み、丼鉢や盃などの大きさが異なる食器類を、障害を有する手を用いて自在に持つことができるようにした食器保持具120である。この食器保持具120は、図6における中央部のアーム摺動用筒体123を中心として、その左側の支腕を介して連結材が設けられ、またその右側に保持部が設けられたもので、アーム摺動用筒体123の内部には、食器を適宜な高さで支持するための上下動機構が構成されているものである。
【0024】本実施例における連結材は、前述した箸保持具20の場合と同様に、補助具本体1の筒状体3に嵌入して取付けるための嵌入軸121と、その側部に設けられた係合凹部122とにより形成されていて、本実施例の食器保持具120を補助具本体1に取付可能に設けたものである。なお嵌入軸121や係合凹部122などの構造は、前実施例で詳述したので省略する。
【0025】また本実施例の保持部は、食器支持用アーム130と、その上部に設けられた皿体131とにより形成されている。該食器支持用アーム130の本体部はやや鈍角のL字状に形成され、またその上部に設けられた皿体131は、2ケ所の当接部134A,134Bが設けられたほぼハート形に形成されたものである。この皿体131の当接部134A,134Bは、茶碗などの糸底に当接する部分で、当接部を2ケ所設けることにより、着脱自在な茶碗などが回動することを防止できるようになっている。さらに食器支持用アーム130の図面における左側はやや幅広状に形成され、その端部には、後述するT字状軸棒128の外周部を摺動するためのスライドリング132と、スライドリング132と一体状に形成された半円筒状の摺動用壁部133が固着されている。このように形成された食器支持用アーム130は、その端部をアーム摺動用筒体123内に挿着され、且つその内部に設けられた上下動機構によって、支持する食器の大きさ(高さ)に適合した位置に固定状に設定されるものである。なお図面においては嵌入軸121および食器支持用アーム130が右方向に傾斜した状態となっているが、本実施例の食器保持具120を補助具本体1に取付けた状態においては、嵌入軸121,食器支持用アーム130ともにほぼ垂直状となり、また皿体131は水平状に設定されるようになっている。
【0026】次に嵌入軸121に支腕を介して連結されたアーム摺動用筒体123と、その内部に設けられた上下動機構について説明する。アーム摺動用筒体123の一側面には縦長状の摺動溝124が刻設されており、この摺動溝124から前述した食器支持用アーム130が摺動自在に延伸されている。またその内部には、正面形状がT字状の軸棒128が収納されているが、該T字状軸棒128の頭部129には横方向の貫通孔が穿設されていて、アーム摺動用筒体123の外方から固定ねじ127によって固定されるようになっている。さらにこのT字状軸棒128には前述した食器支持用アーム130のスライドリング132と摺動用壁部133が外嵌しているので、これらがT字状軸棒128を上下に摺動することにより、食器支持用アーム130の上下動が可能となっているのである。
【0027】続いて適宜な位置に設定された食器支持用アーム130を固定する仕組みについて以下に説明する。補助具本体1に取付けられた場合のアーム摺動用筒体123は傾斜状となり、スライドリング132と摺動用壁部133との間には僅かな角度の開きができるので、図8に示すように、スライドリング132と摺動用壁部133の上下の角部がアーム摺動用筒体123の内壁部およびT字状軸棒128の外周部に衝止して、スライドリング132と摺動用壁部133はその位置より下方に移動できなくなる。その結果、食器支持用アーム130は設定位置で固定可能となり、皿体131に乗せた食器類も適宜な位置に設定することができるのである。なお固定を解除する場合は、食器支持用アーム130を僅かに上方に移動させれば衝止状態が解除されるので、固定状態を簡単に解除することができる。
【0028】以上のように構成された食器保持具120を、障害を有する手を用いて使用する場合は、図9(b)に示すように、食器保持具120を補助具本体1に取付けた後、食器支持用アーム130の設定位置を調整して、使用する食器(本例では茶碗)に最適な設定位置で手を離せば、食器支持用アーム130はその位置で固定される。続いて皿体131の上に茶碗を乗せるとともに、その当接部134A,134Bを茶碗の糸底に当接させる。また補助具本体1の上部挿通穴10Aから突出させた親指などで茶碗の上辺を押さえるようにすれば、茶碗は水平状にしっかりと固定することができるので、手に障害を有しない人と同様に、茶碗を持って食事をすることができる。本発明の食器保持具20はこのような構成となっているので、食器支持用アームの位置調整により、盃から丼鉢に至るまでどのような大きさの食器でも自在に持つことができるのである。
【0029】また物品保持具は補助具本体に着脱自在に取付けることができるので、必要に応じてこれらの物品保持具を交換して使用することができる。さらに例えばはさみやボールペンなどの他の生活用品を保持することができるような物品保持具を形成すれば、それを補助具本体に取付けて使用することも可能である。
【0030】
【発明の効果】本発明の手障害者用生活補助具は、障害を有する手の形状に合わせて形成した補助具本体と、この補助具本体に着脱自在に取付けて使用することができる箸や食器の保持具とにより構成されており、手の動作機能が残存している部分を用いて、押したり押さえたりするのみの簡単な動作で、手に障害を有していない人と全く同様に箸や食器を使用することができるという特筆すべき効果がある。また補助具本体は、手首に簡単に装着することができるとともに、動作機能が残存している指やその周辺部を突出させて操作するように設けられており、手の障害の程度に合わせて使用することができるという長所がある。さらに箸保持具においては、箸を回動させるための回動機構の構造が単純に形成されているので、箸を使用する回数が多くなっても破損するようなことがなく、また箸の回動を非常に迅速容易に行うことができるという利点がある。さらにまた食器保持具においては、食器支持用アームの設定位置を適宜に調整することにより、盃のような小さなものから丼鉢のような大きなものに至るまで、障害を有する手を用いて自在に支持することができるとともに、食器支持用アームの設定位置の調整や固定を、きわめて簡単に行うことができるという特長がある。また補助具本体や箸保持具、食器保持具などの構成材の構造が簡単で、安価に製作することができるので、手に障害を有する人々への生活支援具として多大な貢献をすることができるものである。
【出願人】 【識別番号】593186356
【氏名又は名称】加藤 源重
【出願日】 平成10年(1998)2月16日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−226040
【公開日】 平成11年(1999)8月24日
【出願番号】 特願平10−74816