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【発明の名称】 運動学的拘束装置及び全膝交換システムの動作範囲を決定するための方法
【発明者】 【氏名】マーティン・マッソン

【要約】 【課題】運動学的拘束装置及び全膝交換システムの動作範囲を決定するための方法を提供する。

【解決手段】運動学的拘束装置は、人間の膝と関連した個々の靱帯、腱、筋肉の弾性挙動を提供する代用膝として使用される。本発明による運動学的拘束装置は、全膝交換システム及び人間の膝の靱帯構成要素、腱構成要素、又は筋肉構成要素に相当する少なくとも一つのケーブル又はケーブルばね組み合わせを含む。本発明の運動学的拘束装置は、全膝交換システムの動作範囲を手術前に決定する上で、自然の膝を使用することによっては解決されなかった問題点を解決する。更に、膝関節の総交換を行った場合の運動学的状態に及ぼされる、膝関節を包囲する繊維質構造、脂肪組織、及び筋肉の粘弾性効果をシミュレートするため、外膜が使用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 全膝交換システムの動作範囲を決定するための運動学的拘束装置において、a.一組の全膝交換システムアッセンブリ固定具であって、i.大腿骨ホルダ、及びii.脛骨ホルダを含む前記固定具と、b.全膝交換システムであって、i.前記大腿骨ホルダの一端に取り付けられた、接触面を持つ大腿骨構成要素、及びii.接触面を有し、この接触面が前記大腿骨構成要素の前記接触面と接触し、人間の膝に似せた顆状関節を形成する、前記脛骨ホルダの一端に取り付けられた脛骨構成要素を含む、前記全膝交換システムと、c.人間の膝と関連した少なくとも一つの靱帯構成要素に相当する、ケーブル及びこのケーブルに連結されたばねからなる、前記靱帯構成要素の所定の機械的特性を持つ少なくとも一つの組み合わせと、d.前記ケーブル−ばね組み合わせを前記大腿骨ホルダに取り付けるための手段と、e.前記ケーブル−ばね組み合わせを前記脛骨ホルダに取り付けるための手段とを有する、ことを特徴とする運動学的拘束装置。
【請求項2】 前記ケーブル−ばね組み合わせは、前十字靱帯、後十字靱帯、内側側副靱帯、及び外側側副靱帯からなる群から選択された一つの靱帯の代わりとなる、請求項1に記載の運動学的拘束装置。
【請求項3】 複数の前記ケーブル−ばね組み合わせを同時に使用し、靱帯構成要素の前記群の一つ以上の部材の代わりにする、請求項2に記載の運動学的拘束装置。
【請求項4】 複数の前記ケーブル−ばね組み合わせを同時に使用し、靱帯構成要素の前記群の一つの部材の多ストランド性を提供する、請求項2に記載の運動学的拘束装置。
【請求項5】 前記所定の機械的特性には、引張剛性、粘弾性、歪み、強度、及び降伏係数が含まれる、請求項1に記載の運動学的拘束装置。
【請求項6】 前記全膝交換システム及び前記ケーブルを包囲する外膜を更に有する、請求項1に記載の運動学的拘束装置。
【請求項7】 前記外膜は、複合構造及びこの構造に埋設された複数の可撓性テンショナを含む、請求項6に記載の運動学的拘束装置。
【請求項8】 前記ケーブル−ばね組み合わせを前記大腿骨ホルダに取り付けるための前記手段は、a.前記ばねの第1端部が周囲に位置決めされた、複数の固定ねじで前記大腿骨ホルダに取り付けられた円筒形カラーと、b.前記ケーブルを操作するための端部継手を含む、前記ばねの第2端部に位置決めされたケーブルアッセンブリとを含む、請求項1に記載の運動学的拘束装置。
【請求項9】 前記ケーブル−ばね組み合わせを前記脛骨ホルダに取り付けるための前記手段は、a.前記ばねの第1端部が周囲に位置決めされた、複数の固定ねじで前記脛骨ホルダに取り付けられた円筒形カラーと、b.前記ケーブルを操作するための端部継手を含む、前記ばねの第2端部に位置決めされたケーブルアッセンブリとを含む、請求項1に記載の運動学的拘束装置。
【請求項10】 全膝交換システムの動作範囲を決定するための運動学的拘束装置において、a.一組の全膝システムアッセンブリ固定具であって、i.大腿骨ホルダ、及びii.脛骨ホルダを含む固定具と、b.i.前記大腿骨ホルダの一端に取り付けられた、接触面を持つ大腿骨構成要素、ii.接触面を有し、この接触面が前記大腿骨構成要素の前記接触面と接触し、人間の膝に似せた顆状関節を形成する、前記脛骨ホルダの一端に取り付けられた、脛骨構成要素、及びiii.接触面を有し、この接触面が前記大腿骨構成要素の前記接触面と接触し、部分的滑走性関節をシミュレートする膝蓋骨−大腿骨関節を形成する、前記顆状関節の前方及び上方に位置決めされた、膝蓋骨構成要素を含む、全膝交換システムと、c.人間の膝と関連した少なくとも一つの靱帯構成要素、腱構成要素、又は筋肉構成要素に相当する、ケーブル及びこのケーブルに連結されたばねからなる、前記靱帯構成要素、腱構成要素、又は筋肉構成要素の所定の機械的特性を持つ少なくとも一つの組み合わせと、d.前記ケーブル−ばね組み合わせを前記大腿骨ホルダに取り付けるための手段と、e.前記ケーブル−ばね組み合わせを前記脛骨ホルダに取り付けるための手段とを有する、ことを特徴とする運動学的拘束装置。
【請求項11】 前記ケーブル−ばね組み合わせは、前十字靱帯、後十字靱帯、内側側副靱帯、外側側副靱帯、膝蓋腱、及び大腿四頭筋からなる群のうちの一つの代わりになる、請求項10に記載の運動学的拘束装置。
【請求項12】 複数の前記ケーブル−ばね組み合わせを同時に使用し、靱帯構成要素、腱構成要素、及び筋肉構成要素からなる前記群の一つ以上の部材の代わりにする、請求項11に記載の運動学的拘束装置。
【請求項13】 複数の前記ケーブル−ばね組み合わせを同時に使用し、靱帯構成要素、腱構成要素、及び筋肉構成要素からなる前記群の一つの部材の多ストランド性を提供する、請求項11に記載の運動学的拘束装置。
【請求項14】 前記所定の機械的特性には、引張剛性、粘弾性、歪み、強度、及び降伏係数が含まれる、請求項10に記載の運動学的拘束装置。
【請求項15】 前記全膝交換システム及び前記ケーブルを包囲する外膜を更に有する、請求項10に記載の運動学的拘束装置。
【請求項16】 全膝交換システムの動作範囲を決定するための方法において、a.i.大腿骨ホルダ、及びii.脛骨ホルダを含む、一組の全膝交換システムアッセンブリ固定具を提供する工程と、b.i.前記大腿骨ホルダの一端に取り付けられた、接触面を持つ大腿骨構成要素、及びii.接触面を有し、この接触面が前記大腿骨構成要素の前記接触面と接触し、人間の膝に似せた顆状関節を形成する、前記脛骨ホルダの一端に取り付けられた脛骨構成要素を含む、全膝交換システムを提供する工程と、c.前十字靱帯、後十字靱帯、内側側副靱帯、及び外側側副靱帯からなる群から選択された、人間の膝と関連した少なくとも一つの靱帯構成要素に相当にする、ケーブル及びこのケーブルに連結されたばねからなる少なくとも一つの組み合わせを使用する工程と、d.前記ケーブル−ばね組み合わせを前記大腿骨ホルダに取り付ける工程と、e.前記ケーブル−ばね組み合わせを前記脛骨ホルダに取り付ける工程と、f.前記靱帯構成要素の所定の機械的特性を持つように前記ケーブル−ばね組み合わせを較正する工程と、g.前記靱帯構成要素の所定長さ及び特徴を持つように前記ケーブル−ばね組み合わせの静止長さを較正する工程と、h.前記全膝交換システムに外部から力又はトルクが所定のプロファイルで加わったときの脛骨−大腿骨の直線的変位及び回転変位を計測する工程と、i.前記脛骨−大腿骨の変位から前記全膝交換システムの動作範囲を決定するための工程とを有する、ことを特徴とする全膝交換システムの動作範囲を決定するための方法。
【請求項17】 複数の前記ケーブル−ばね組み合わせを同時に使用し、靱帯構成要素の前記群の一つ以上の部材の代わりにする、請求項16に記載の全膝交換システムの動作範囲を決定するための方法。
【請求項18】 複数の前記ケーブル−ばね組み合わせを同時に使用し、靱帯構成要素の前記群の一つの部材の多ストランド性を提供する、請求項16に記載の全膝交換システムの動作範囲を決定するための方法。
【請求項19】 全膝交換システムの動作範囲を決定するための方法において、a.i.大腿骨ホルダ、及びii.脛骨ホルダを含む、一組の全膝システムアッセンブリ固定具を提供する工程と、b.i.前記大腿骨ホルダの一端に取り付けられた、接触面を持つ大腿骨構成要素、ii.接触面を有し、この接触面が前記大腿骨構成要素の前記接触面と接触し、人間の膝に似せた顆状関節を形成する、前記脛骨ホルダの一端に取り付けられた、脛骨構成要素、及びiii.接触面を有し、この接触面が前記大腿骨構成要素の前記接触面と接触し、部分的滑走性関節をシミュレートする膝蓋骨−大腿骨関節を形成する、前記顆状関節の前方及び上方に位置決めされた膝蓋骨構成要素を含む全膝交換システムを提供する工程と、c.前十字靱帯、後十字靱帯、内側側副靱帯、外側側副靱帯、膝蓋腱、及び大腿四頭筋からなる群から選択された、人間の膝と関連した少なくとも一つの靱帯構成要素、腱構成要素、又は筋肉構成要素に相当する、ケーブル及びこのケーブルに連結されたばねからなる少なくとも一つの組み合わせを使用する工程と、d.前記ケーブル−ばね組み合わせを前記大腿骨ホルダに取り付ける工程と、e.前記ケーブル−ばね組み合わせを前記脛骨ホルダに取り付ける工程と、f.前記靱帯構成要素、腱構成要素、又は筋肉構成要素の所定の機械的特性を持つように前記ケーブル−ばね組み合わせを較正する工程と、g.前記靱帯構成要素、腱構成要素、又は筋肉構成要素の所定長さ及び特徴を持つように前記ケーブル−ばね組み合わせの静止長さを較正する工程と、h.前記全膝交換システムに外部から力又はトルクが所定のプロファイルで加わったときの脛骨−大腿骨及び膝蓋骨−大腿骨の直線的変位及び回転変位を計測する工程と、i.前記脛骨−大腿骨及び膝蓋骨−大腿骨の変位から前記全膝交換システムの動作範囲を決定するための方法とを有する、ことを特徴とする全膝交換システムの動作範囲を決定するための方法。
【請求項20】 複数の前記ケーブル−ばね組み合わせを同時に使用し、靱帯構成要素、腱構成要素、又は筋肉構成要素の前記群の一つ以上の部材の代わりにする、請求項19に記載の全膝交換システムの動作範囲を決定するための方法。
【請求項21】 複数の前記ケーブル−ばね組み合わせを同時に使用し、靱帯構成要素、腱構成要素、又は筋肉構成要素の前記群の一つの部材の多ストランド性を提供する、請求項19に記載の全膝交換システムの動作範囲を決定するための方法。
【請求項22】 全膝交換システムの動作範囲を決定するための方法において、a.i.大腿骨ホルダ、及びii.脛骨ホルダを含む、一組の全膝システムアッセンブリ固定具を提供する工程と、b.i.前記大腿骨ホルダの一端に取り付けられた、接触面を持つ大腿骨構成要素、ii.接触面を有し、この接触面が前記大腿骨構成要素の前記接触面と接触し、人間の膝に似せた顆状関節を形成する、前記脛骨ホルダの一端に取り付けられた、脛骨構成要素、及びiii.接触面を有し、この接触面が前記大腿骨構成要素の前記接触面と接触し、部分的滑走性関節をシミュレートする膝蓋骨−大腿骨関節を形成する、前記顆状関節の前方及び上方に位置決めされた膝蓋骨構成要素を含む全膝交換システムを提供する工程と、c.前十字靱帯、後十字靱帯、内側側副靱帯、及び外側側副靱帯からなる群から選択された、人間の膝と関連した少なくとも一つの靱帯構成要素に相当する、ケーブル及びこのケーブルに連結されたばねからなる少なくとも一つの組み合わせを使用する工程と、d.前記ケーブル−ばね組み合わせを前記大腿骨ホルダに取り付ける工程と、e.前記ケーブル−ばね組み合わせを前記脛骨ホルダに取り付ける工程と、f.人間の膝の膝蓋腱の所定の機械的特性を持つ、人間の膝の膝蓋腱に相当する少なくとも一つのケーブルを使用する工程と、g.アクチュエータを使用し、自然の膝の大腿四頭筋によって加えられるのと同様の引張力を加える工程と、h.前記ケーブルを前記脛骨ホルダに取り付ける工程と、i.前記ケーブルを前記アクチュエータに取り付ける工程と、j.前記靱帯の所定の機械的特性を持つように前記ケーブル−ばね組み合わせを較正する工程と、k.前記靱帯の所定長さ及び特徴を持つように前記ケーブル−ばね組み合わせの静止長さを較正する工程と、l.前記全膝交換システムに外部から力又はトルクが所定のプロファイルで加わったときの脛骨−大腿骨及び膝蓋骨−大腿骨の直線的変位及び回転変位を計測する工程と、m.前記脛骨−大腿骨及び膝蓋骨−大腿骨の変位から前記全膝交換システムの動作範囲を決定するための工程とを有する、ことを特徴とする全膝交換システムの動作範囲を決定するための方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、全膝交換システム(total knee replacement systems)に関する。更に詳細には、全膝形成術前に全膝交換システムの動作範囲を決定し、関節の運動学的状態を推断するための装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】人間の関節は、変性疾患を被り易い。膝が関節炎に冒されると、年配の患者は、個人のライフスタイルを維持できない程の苦痛及び不快を被る。こうした患者にとって、全膝関節形成術は、膝の機能及び失われた運動性を回復する機会を提供することである。今日の整形外科医には、患者の様々な解剖学的構成及び状態に合わせて手術を特別の仕様で行う広範なオプションが与えられている。選択された膝システムは、関節の安定性及び解剖学的行路追従(anatomic pathways tracking)についての必要条件を満たさなければならない。しかしながら、これらの二つの必要条件はそれ自体矛盾する。安定性が関節の形体の一致及び最大接触面積によって達成されるのに対し、解剖学的追従は、拘束されていない運動性によって実現されるのである。
【0003】全膝交換システムは、一般的には、関節丘システム及び安定化システムの二つの区分にグループ分けできる。各区分は、個人の必要及び優先的選択に合わせて形成される。人工関節丘は、動作範囲を最大にする。これらの人工関節丘は、靱帯の不安定状態について補償する必要がない患者について使用される。安定化人工脛骨は、中央安定器ポストを有する。ポストと大腿骨ハウジングとの間の隙間を最小にすることにより、前−後方向及び内−外方向での安定性が向上し、内回旋−外回旋が拘束される。このような人工補装具は、関節を安定化させる上で周囲軟質組織に信頼を置くことができない場合に有用である。両人工補装具は、相似形状に形成した支承面を有するが、人工顆状関節は、膝関節の一体性を維持し、膝の動作中の安定性を得る上で周囲の腱及び靱帯に多くを依拠する。
【0004】人工膝の立体的な運動状態は、構成要素の選択、配置、配向、及び靱帯均衡の間の微妙な調和の結果である。膝を曲げると、膝関節の周囲の靱帯が順次関与する。靱帯の長さ及び配向により、機能的動作が可能となり、同時にこのような動作の限度を拘束する。逆に、構成要素の配置又は配向の僅かな変化が、靱帯の作動に影響を及ぼす。更に、曲率半径の相違及び関節連結プロファイルの合致により、回旋及び並進に大きな変化をもたらすことができる。靱帯の機構が膝関節全体の幾何学的機構に関して調節されていない場合には、合併症が生じる。例えば、誤った配置や不整合は、機能的動作範囲内で靱帯に大きな負荷を加えたり靱帯を過度に弛緩させたりする。
【0005】膝の通常の機能の回復に成功したかどうかは、特定のインプラントの術後の運動学的徴候を評価し、これを通常の歩行の運動学的状態と比較することによって計測できる。運動学的状態のこのプロファイルは、各構成要素の外形が接触したときに明らかになる。一般的には、術後に下端の空間的動作を計測することが簡単であるが、移植手術によって得られる機能上の成果を、手術を実際に患者に施す前に推断したり予想したりすることは更に困難である。
【0006】従来技術では、特定の全膝システムの生体内での相対的立体的変位を推断するための生体外技術が提案されている。現在の試験方法は、全膝交換システムの動作範囲を定量するため、新鮮な又は防腐保存処理が施された自然の膝の試料を使用することを必要とする。この方法には、数多くの欠点がある。この方法は時間がかかり、かなり高度の手術技術を必要とする。人体の試料を取り扱うことには、血液及び骨を病原とする潜在的な危険がある。更に、自然の膝は、1度しか移植できない。試料によって、又は日ごとに大きな変化があることが予測されるため、再現性が主な問題点である。確かに、自然の膝は、新鮮さ、品質、大きさ、年令、及び性別が異なるため、この方法は信頼性が低い。
【0007】本発明は、膝全体の運動学的状態の評価を行うために死体の試料を使用することと関連した懸念をなくす。従来の試験技術との相違は、自然の膝の代わりに人工膝を使用することである。本願は、人工材料及び適当な設計原理を使用することによって、膝の主な拘束を複製できるという発見に基づいている。膝の運動学的状態を制限する主な構造が靱帯であるため、標準化した拘束パターンを与えるためにこれらの靱帯の弾性挙動、配置、及び配向を複製する必要がある。従って、人工膝は、全膝交換体をその運動学的プロファイルの計測前に受け入れる代用関節として作用する。本発明は、自然の膝の不均等性、生物学的危険、手術技術によってもたらされる問題点を解決する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、全膝交換システムの動作範囲を決定する場合に自然の膝を使用することによる問題点を、運動学的拘束装置を使用して解決することである。
【0009】膝関節についての代用的な人工的なモデルを開発することによって、自然の死体の膝を使用することに伴う生物学的安全性の懸念を解消することもまた本発明の目的である。
【0010】本発明の別の目的は、全膝交換システムの動作範囲の決定中に自然の膝の不均等性によって生じる実験誤差を減少する装置を提供することである。
【0011】本発明の更に別の目的は、全膝交換システムの動作範囲の決定中に使用者が手術技術を持っていることを必要としない装置を提供することである。
【0012】本発明の他の目的は、様々な状態の軟質組織ついて全膝交換システムの様々な外科的配置及び配向をシミュレートする上で使用者に対して大きな融通性を提供する装置を提供することである。
【0013】本発明の更に他の目的は、特定の屈曲角度での様々な力−トルク状態での全膝交換システムの構成要素の拘束範囲及び動作範囲を計測するための技術を開発することである。
【0014】更に、本発明の目的は、力及びトルクが生理学的活動で代表的なプロファイルで加わった全膝交換システムの立体的動作行路を計測するための技術を開発することである。
【0015】更に、本発明の別の目的は、通常の状態又は病理学的状態、又は特定の種類の外傷と関連した軟質組織の受動的拘束をシミュレートするための技術を開発することである。
【0016】更に、本発明の他の目的は、全膝交換システムの生体外摩耗研究について、標準化した拘束パターンを提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明による全膝交換システムの動作範囲を決定するための運動学的拘束装置は、一組の全膝交換システムアッセンブリ固定具、全膝交換システム、人間の膝と関連した少なくとも一つの靱帯構成要素、腱構成要素、又は筋肉構成要素に相当する、前記システムに連結された少なくとも一つのケーブル−ばね組み合わせ、及びこのケーブル−ばね組み合わせを全膝交換システムアッセンブリ固定具に取り付けるための手段を含む。全膝交換システムアッセンブリ固定具は、大腿骨ホルダ及び脛骨ホルダを含む。ケーブル−ばね組み合わせは、この組み合わせが代表する靱帯構成要素、腱構成要素、又は筋肉構成要素の所定の機械的特性を有する。このような機械的特性には、引張剛性、粘弾性、歪み、強度、及び降伏係数が含まれる。
【0018】本発明の第1の好ましい実施形態では、全膝交換システムは、大腿骨構成要素及び脛骨構成要素を含み、これらの構成要素の各々は、接触面を有する。大腿骨構成要素は、大腿骨ホルダの一端に取り付けられており、脛骨構成要素は、脛骨ホルダの一端に取り付けられている。大腿骨構成要素の接触面は、脛骨構成要素の接触面と接触し、人間の膝に似せた顆状関節を形成する。
【0019】少なくとも一つのケーブル−ばね組み合わせを使用し、前十字靱帯、後十字靱帯、内側側副靱帯、及び外側側副靱帯からなる群から選択された少なくとも一つの靱帯の代わりにする。複数のケーブル−ばね組み合わせを同時に使用し、単一の靱帯の多ストランド特徴の代わりにする。2本、3本、又は4本のケーブル−ばね組み合わせを同時に使用し、一つ以上の靱帯の代わりにする。
【0020】本発明の実施形態の運動学的拘束装置では、円筒形カラー−ケーブルアッセンブリを使用し、ケーブル−ばね組み合わせを取り付け、全膝交換システムを結合する。円筒形カラーを大腿骨ホルダに複数の固定ねじで取り付ける。使用されたばねは、中空で圧縮性の円筒形コアである。このコアは、人間の膝の特定の靱帯の引張特性に似せた所定の圧縮特性を有する。ばねは、カラーの通孔内に位置決めされる。同様の円筒形カラー及びばねを脛骨ホルダについて使用する。ケーブルは先ず最初に大腿骨ホルダの圧縮ばねを通過し、次いで脛骨ホルダの圧縮ばねを通過し、最後に別の端部継手で終端する。
【0021】本発明の第2の好ましい実施形態では、全膝交換システムは、接触面を持つ大腿骨構成要素、接触面を持つ脛骨構成要素、及び接触面を持つ膝蓋骨構成要素を含む。大腿骨構成要素は、大腿骨ホルダの一端に取り付けられており、脛骨構成要素は脛骨ホルダの一端に取り付けられている。大腿骨構成要素の接触面は、脛骨構成要素の接触面と接触し、人間の膝に似せた顆状関節を形成する。膝蓋骨は、顆状関節の前方及び上方に位置決めされている。膝蓋骨構成要素の接触面は、大腿骨構成要素の接触面と接触し、部分的滑走性関節に似せた膝蓋骨−大腿骨関節を形成する。
【0022】少なくとも一つのケーブル−ばね組み合わせを使用し、前十字靱帯、後十字靱帯、内側側副靱帯、及び外側側副靱帯からなる群から選択された少なくとも一つの靱帯の代わりにする。複数のケーブル−ばね組み合わせを同時に使用し、単一の靱帯の多ストランド特徴を提供するのが好ましい。更に、2本、3本、又は4本のケーブル−ばね組み合わせを同時に使用し、一つ以上の靱帯の代わりにするのが好ましい。
【0023】この実施形態において、ケーブル−ばね組み合わせ及び膝蓋骨用ケーブルの両方を同時に使用するのが好ましい。これに関し、少なくとも一つのケーブルが膝蓋骨をファスナを介して大腿骨ホルダ及び脛骨ホルダに連結する。ケーブルは、自然の膝に似せた通常の膝蓋移動を許容する所定の特性を有する。
【0024】本発明の第3の好ましい実施形態では、全膝交換システムは、接触面を持つ大腿骨構成要素、接触面を持つ脛骨構成要素、及び接触面を持つ膝蓋骨構成要素を含む。大腿骨構成要素は、大腿骨ホルダの一端に取り付けられており、脛骨構成要素は脛骨ホルダの一端に取り付けられている。大腿骨構成要素の接触面は、脛骨構成要素の接触面と接触し、人間の膝に似せた顆状関節を形成する。膝蓋骨は、顆状関節の前方及び上方に位置決めされている。膝蓋骨構成要素の接触面は、大腿骨構成要素の接触面と接触し、部分的滑走性関節に似せた膝蓋骨−大腿骨関節を形成する。
【0025】ケーブルが膝蓋骨を脛骨ホルダにファスナを介して連結し、アクチュエータにファスナを介して連結する。ケーブルは、膝蓋腱の所定の剛性を有する。アクチュエータは、自然の膝の大腿四頭筋群によって加えられるのと同様の引張力を加える。
【0026】第4の好ましい実施形態では、本発明による全膝交換システムの動作範囲を決定するための運動学的拘束装置は外膜を有し、この外膜は、全膝交換を行った場合の運動学的状態に及ぼされる、膝関節を包囲する繊維質構造、脂肪組織、及び筋肉の組み合わせ緩衝効果をシミュレートするため、全膝交換システム及びケーブルを包囲する。外膜は、複合構造及びこの構造に埋設された複数の可撓性テンショナを含む。複合構造は、可撓性テンショナでケーブルを案内するのを助ける。複合構造について、ネオプレン等の異方性材料を使用できる。複合構造は、軟質組織の非線型特性に更に近付けるため、ゲル等の材料で充填されているのがよい。
【0027】本発明によれば、全膝交換システムの動作範囲を決定するための運動学的拘束装置において、a.一組の全膝交換システムアッセンブリ固定具であって、i.大腿骨ホルダ、及びii.脛骨ホルダを含む上記固定具と、b.全膝交換システムであって、i.上記大腿骨ホルダの一端に取り付けられた、接触面を持つ大腿骨構成要素、及びii.接触面を有し、この接触面が上記大腿骨構成要素の上記接触面と接触し、人間の膝に似せた顆状関節を形成する、上記脛骨ホルダの一端に取り付けられた脛骨構成要素を含む、上記全膝交換システムと、c.人間の膝と関連した少なくとも一つの靱帯構成要素に相当する、ケーブル及びこのケーブルに連結されたばねからなる、上記靱帯構成要素の所定の機械的特性を持つ少なくとも一つの組み合わせと、d.上記ケーブル−ばね組み合わせを上記大腿骨ホルダに取り付けるための手段と、e.上記ケーブル−ばね組み合わせを上記脛骨ホルダに取り付けるための手段とを有する、ことを特徴とする運動学的拘束装置が提供される。
【0028】上記ケーブル−ばね組み合わせは、前十字靱帯、後十字靱帯、内側側副靱帯、及び外側側副靱帯からなる群から選択された一つの靱帯の代わりとなってもよい。
【0029】複数の上記ケーブル−ばね組み合わせを同時に使用し、靱帯構成要素の上記群の一つ以上の部材の代わりになってもよい。
【0030】複数の上記ケーブル−ばね組み合わせを同時に使用し、靱帯構成要素の上記群の一つの部材の多ストランド性を提供してもよい。
【0031】上記所定の機械的特性には、引張剛性、粘弾性、歪み、強度、及び降伏係数が含まれてもよい。
【0032】上記全膝交換システム及び上記ケーブルを包囲する外膜を更に有してもよい。
【0033】上記外膜は、複合構造及びこの構造に埋設された複数の可撓性テンショナを含んでもよい。
【0034】上記ケーブル−ばね組み合わせを上記大腿骨ホルダに取り付けるための上記手段は、a.上記ばねの第1端部が周囲に位置決めされた、複数の固定ねじで上記大腿骨ホルダに取り付けられた円筒形カラーと、b.上記ケーブルを操作するための端部継手を含む、上記ばねの第2端部に位置決めされたケーブルアッセンブリとを含んでもよい。
【0035】上記ケーブル−ばね組み合わせを上記脛骨ホルダに取り付けるための上記手段は、a.上記ばねの第1端部が周囲に位置決めされた、複数の固定ねじで上記脛骨ホルダに取り付けられた円筒形カラーと、b.上記ケーブルを操作するための端部継手を含む、上記ばねの第2端部に位置決めされたケーブルアッセンブリとを含んでもよい。
【0036】更に、本発明によれば、全膝交換システムの動作範囲を決定するための運動学的拘束装置において、a.一組の全膝システムアッセンブリ固定具であって、i.大腿骨ホルダ、及びii.脛骨ホルダを含む固定具と、b.i.上記大腿骨ホルダの一端に取り付けられた、接触面を持つ大腿骨構成要素、ii.接触面を有し、この接触面が上記大腿骨構成要素の上記接触面と接触し、人間の膝に似せた顆状関節を形成する、上記脛骨ホルダの一端に取り付けられた、脛骨構成要素、及びiii.接触面を有し、この接触面が上記大腿骨構成要素の上記接触面と接触し、部分的滑走性関節をシミュレートする膝蓋骨−大腿骨関節を形成する、上記顆状関節の前方及び上方に位置決めされた、膝蓋骨構成要素を含む、全膝交換システムと、c.人間の膝と関連した少なくとも一つの靱帯構成要素、腱構成要素、又は筋肉構成要素に相当する、ケーブル及びこのケーブルに連結されたばねからなる、上記靱帯構成要素、腱構成要素、又は筋肉構成要素の所定の機械的特性を持つ少なくとも一つの組み合わせと、d.上記ケーブル−ばね組み合わせを上記大腿骨ホルダに取り付けるための手段と、e.上記ケーブル−ばね組み合わせを上記脛骨ホルダに取り付けるための手段とを有する、ことを特徴とする運動学的拘束装置が提供される。
【0037】上記ケーブル−ばね組み合わせは、前十字靱帯、後十字靱帯、内側側副靱帯、外側側副靱帯、膝蓋腱、及び大腿四頭筋からなる群のうちの一つの代わりになってもよい。
【0038】複数の上記ケーブル−ばね組み合わせを同時に使用し、靱帯構成要素、腱構成要素、及び筋肉構成要素からなる上記群の一つ以上の部材の代わりにしてもよい。
【0039】複数の上記ケーブル−ばね組み合わせを同時に使用し、靱帯構成要素、腱構成要素、及び筋肉構成要素からなる上記群の一つの部材の多ストランド性を提供してもよい。
【0040】上記所定の機械的特性には、引張剛性、粘弾性、歪み、強度、及び降伏係数が含まれてもよい。
【0041】上記全膝交換システム及び上記ケーブルを包囲する外膜を更に有してもよい。
【0042】また、本発明によれば、全膝交換システムの動作範囲を決定するための方法において、a.i.大腿骨ホルダ、及びii.脛骨ホルダを含む、一組の全膝交換システムアッセンブリ固定具を提供する工程と、b.i.上記大腿骨ホルダの一端に取り付けられた、接触面を持つ大腿骨構成要素、及びii.接触面を有し、この接触面が上記大腿骨構成要素の上記接触面と接触し、人間の膝に似せた顆状関節を形成する、上記脛骨ホルダの一端に取り付けられた脛骨構成要素を含む、全膝交換システムを提供する工程と、c.前十字靱帯、後十字靱帯、内側側副靱帯、及び外側側副靱帯からなる群から選択された、人間の膝と関連した少なくとも一つの靱帯構成要素に相当にする、ケーブル及びこのケーブルに連結されたばねからなる少なくとも一つの組み合わせを使用する工程と、d.上記ケーブル−ばね組み合わせを上記大腿骨ホルダに取り付ける工程と、e.上記ケーブル−ばね組み合わせを上記脛骨ホルダに取り付ける工程と、f.上記靱帯構成要素の所定の機械的特性を持つように上記ケーブル−ばね組み合わせを較正する工程と、g.上記靱帯構成要素の所定長さ及び特徴を持つように上記ケーブル−ばね組み合わせの静止長さを較正する工程と、h.上記全膝交換システムに外部から力又はトルクが所定のプロファイルで加わったときの脛骨−大腿骨の直線的変位及び回転変位を計測する工程と、i.上記脛骨−大腿骨の変位から上記全膝交換システムの動作範囲を決定するための工程とを有する、ことを特徴とする全膝交換システムの動作範囲を決定するための方法が提供される。
【0043】複数の上記ケーブル−ばね組み合わせを同時に使用し、靱帯構成要素の上記群の一つ以上の部材の代わりにしてもよい。
【0044】複数の上記ケーブル−ばね組み合わせを同時に使用し、靱帯構成要素の上記群の一つの部材の多ストランド性を提供してもよい。
【0045】本発明によれば、全膝交換システムの動作範囲を決定するための方法において、a.i.大腿骨ホルダ、及びii.脛骨ホルダを含む、一組の全膝システムアッセンブリ固定具を提供する工程と、b.i.上記大腿骨ホルダの一端に取り付けられた、接触面を持つ大腿骨構成要素、ii.接触面を有し、この接触面が上記大腿骨構成要素の上記接触面と接触し、人間の膝に似せた顆状関節を形成する、上記脛骨ホルダの一端に取り付けられた、脛骨構成要素、及びiii.接触面を有し、この接触面が上記大腿骨構成要素の上記接触面と接触し、部分的滑走性関節をシミュレートする膝蓋骨−大腿骨関節を形成する、上記顆状関節の前方及び上方に位置決めされた膝蓋骨構成要素を含む全膝交換システムを提供する工程と、c.前十字靱帯、後十字靱帯、内側側副靱帯、外側側副靱帯、膝蓋腱、及び大腿四頭筋からなる群から選択された、人間の膝と関連した少なくとも一つの靱帯構成要素、腱構成要素、又は筋肉構成要素に相当する、ケーブル及びこのケーブルに連結されたばねからなる少なくとも一つの組み合わせを使用する工程と、d.上記ケーブル−ばね組み合わせを上記大腿骨ホルダに取り付ける工程と、e.上記ケーブル−ばね組み合わせを上記脛骨ホルダに取り付ける工程と、f.上記靱帯構成要素、腱構成要素、又は筋肉構成要素の所定の機械的特性を持つように上記ケーブル−ばね組み合わせを較正する工程と、g.上記靱帯構成要素、腱構成要素、又は筋肉構成要素の所定長さ及び特徴を持つように上記ケーブル−ばね組み合わせの静止長さを較正する工程と、h.上記全膝交換システムに外部から力又はトルクが所定のプロファイルで加わったときの脛骨−大腿骨及び膝蓋骨−大腿骨の直線的変位及び回転変位を計測する工程と、i.上記脛骨−大腿骨及び膝蓋骨−大腿骨の変位から上記全膝交換システムの動作範囲を決定するための方法とを有する、ことを特徴とする全膝交換システムの動作範囲を決定するための方法が提供される。
【0046】複数の上記ケーブル−ばね組み合わせを同時に使用し、靱帯構成要素、腱構成要素、又は筋肉構成要素の上記群の一つ以上の部材の代わりにしてもよい。
【0047】複数の上記ケーブル−ばね組み合わせを同時に使用し、靱帯構成要素、腱構成要素、又は筋肉構成要素の上記群の一つの部材の多ストランド性を提供してもよい。
【0048】更に、本発明によれば、全膝交換システムの動作範囲を決定するための方法において、a.i.大腿骨ホルダ、及びii.脛骨ホルダを含む、一組の全膝システムアッセンブリ固定具を提供する工程と、b.i.上記大腿骨ホルダの一端に取り付けられた、接触面を持つ大腿骨構成要素、ii.接触面を有し、この接触面が上記大腿骨構成要素の上記接触面と接触し、人間の膝に似せた顆状関節を形成する、上記脛骨ホルダの一端に取り付けられた、脛骨構成要素、及びiii.接触面を有し、この接触面が上記大腿骨構成要素の上記接触面と接触し、部分的滑走性関節をシミュレートする膝蓋骨−大腿骨関節を形成する、上記顆状関節の前方及び上方に位置決めされた膝蓋骨構成要素を含む全膝交換システムを提供する工程と、c.前十字靱帯、後十字靱帯、内側側副靱帯、及び外側側副靱帯からなる群から選択された、人間の膝と関連した少なくとも一つの靱帯構成要素に相当する、ケーブル及びこのケーブルに連結されたばねからなる少なくとも一つの組み合わせを使用する工程と、d.上記ケーブル−ばね組み合わせを上記大腿骨ホルダに取り付ける工程と、e.上記ケーブル−ばね組み合わせを上記脛骨ホルダに取り付ける工程と、f.人間の膝の膝蓋腱の所定の機械的特性を持つ、人間の膝の膝蓋腱に相当する少なくとも一つのケーブルを使用する工程と、g.アクチュエータを使用し、自然の膝の大腿四頭筋によって加えられるのと同様の引張力を加える工程と、h.上記ケーブルを上記脛骨ホルダに取り付ける工程と、i.上記ケーブルを上記アクチュエータに取り付ける工程と、j.上記靱帯の所定の機械的特性を持つように上記ケーブル−ばね組み合わせを較正する工程と、k.上記靱帯の所定長さ及び特徴を持つように上記ケーブル−ばね組み合わせの静止長さを較正する工程と、l.上記全膝交換システムに外部から力又はトルクが所定のプロファイルで加わったときの脛骨−大腿骨及び膝蓋骨−大腿骨の直線的変位及び回転変位を計測する工程と、m.上記脛骨−大腿骨及び膝蓋骨−大腿骨の変位から上記全膝交換システムの動作範囲を決定するための工程とを有する、ことを特徴とする全膝交換システムの動作範囲を決定するための方法が提供される。
【0049】本発明のこれらの及び他の目的、特徴、及び要素は、本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明から更によく理解されるであろう。
【0050】
【発明の実施の形態】本発明による全膝交換システムの動作範囲を決定するための運動学的拘束装置は、1組の全膝交換システムアッセンブリ固定具と、全膝交換システムと、人間の膝と関連した少なくとも一つの靱帯構成要素、腱構成要素、又は筋肉構成要素に相当する、ケーブル及びこのケーブルに連結されたばねからなる少なくとも一つの組み合わせと、ケーブル−ばね組み合わせを全膝交換システムアッセンブリ固定具に取り付けるための手段とを含む。全膝交換システムアッセンブリ固定具の組は、大腿骨ホルダ及び脛骨ホルダを含む。ケーブル−ばね組み合わせは、この組み合わせが代表する靱帯構成要素、腱構成要素、又は筋肉構成要素の所定の機械的特性を有する。このような機械的特性には、引張剛性、粘弾性、歪み、強度、及び降伏係数が含まれる。
【0051】本発明の運動学的拘束装置は、全膝交換システムの動作範囲を決定する上で、自然の膝を使用する場合に遭遇する問題点を解決する。更に、外部からの動揺に応じた自然の膝の軟質組織の受動的拘束をシミュレートする。第1の好ましい実施形態は、人間の膝と関連した靱帯が存在する場合の全膝交換システムに関する。第2の好ましい実施形態は、靱帯及び膝蓋腱の両方が存在する場合の全膝交換システムに関する。第3の好ましい実施形態では、全膝交換システムは、靱帯及び大腿四頭筋の活性が存在する状態で作動する。第4の好ましい実施形態では、全膝交換を行った場合の運動学的状態に及ぼされる、膝関節を包囲する繊維質構造、脂肪組織、及び筋肉の組み合わせ緩衝効果をシミュレートするため、全膝交換システムが外膜に封入されている。これらの運動学的拘束装置が、定量的に計測できる再現性のある状態の安定した組についてのベースを提供するため、全膝交換システムの機能を所定の条件からなる同じ組について推断できる。
【0052】図1は、運動学的拘束装置の第1の好ましい実施形態の概略図である。全膝交換システムは、大腿骨構成要素15及び脛骨構成要素10を含み、これらの構成要素は接触面を各々有する。大腿骨構成要素の接触面は、脛骨構成要素の接触面と接触し、人間の膝に似せた顆状関節を形成する。全膝交換システムアッセンブリ固定具の組は、大腿骨ホルダ20及び脛骨ホルダ5を含む。大腿骨構成要素は、大腿骨ホルダの一端に取り付けられており、脛骨構成要素は脛骨ホルダの一端に取り付けられている。
【0053】運動学的拘束装置の作動において、少なくとも一つのケーブル−ばね組み合わせを、前十字靱帯、後十字靱帯、内側側副靱帯、及び外側側副靱帯からなる群から選択された少なくとも一つの靱帯の代わりに使用する。使用されたばねの好ましい実施形態は、中空で圧縮性のポリマー材料製円筒形コアである。ばねについて選択された材料は、人間の膝の特定の靱帯の引張特性に似せた所定の圧縮特性を有する。変形例として、ケーブルは、靱帯の所定の機械的特性を持つ材料から形成できる。
【0054】ケーブル−ばね組み合わせを、円筒形カラー−ケーブルアッセンブリを使用して大腿骨ホルダ及び脛骨ホルダに取り付ける。脛骨部分では、円筒形カラー25が脛骨ホルダに固定ねじで取り付けられている。カラーは、円筒形の表面及びその底部の一つに取り付けられた円形のフランジを有する。カラー(図示せず)の円形のフランジには、複数の通孔が設けられている。孔の直径は十分大きく、この孔を通ってケーブルが自由に移動できる。カラーの円筒形の表面には、座ぐりを備えた複数の通孔が設けられている。これらの通孔は、円筒形カラーの軸線に対して垂直方向に配向されている。この孔の直径もまた、この孔を通ってケーブルが自由に移動できるのに十分大きいが、座ぐりの直径は、圧縮ばね30の第1端部を固定するのに十分大きい。
【0055】図1から明らかなように、運動学的拘束装置の大腿骨部分で同様の構成の円筒形カラーが使用される。
【0056】ケーブルアッセンブリは、端部継手を含む。図2に示すように、ケーブル40は端部継手50に取り付けられている。端部継手は、圧縮ばね30の第2端部に移動自在に取り付けられている。図1を参照すると、ケーブルは、圧縮ばねの円筒形コア及び脛骨ホルダに取り付けられたカラーの円筒形表面の孔を通る。ケーブルは、次いで、カラーのフランジの孔を通って延びる。ケーブルが大腿骨部分に達したとき、ケーブルは、円筒形カラーのフランジの孔、カラーの円筒形表面の孔、及び圧縮ばねを順次通過し、最後に別の端部継手で終端する。端部継手は、人間の膝の靱帯の静止長さを再現するためにケーブルの長さを変更するのに使用される。フランジに設けられた孔の位置は、人間の膝の特定の靱帯についての様々な解剖学的配置を表す。
【0057】単一の靱帯の多ストランドの特徴を提供するため、複数のケーブルを同時に使用するのが好ましい。更に、一つ以上の靱帯を提供するため、2本、3本、又は4本のケーブル−ばね組み合わせを同時に使用するのが好ましい。
【0058】全膝交換システムの動作範囲を決定するための作業において、上文中に説明した大腿骨構成要素及び脛骨構成要素を持つ全膝交換システムを使用する。少なくとも一つの靱帯構成要素を提供するため、少なくとも一つのケーブル−ばね組み合わせが大腿骨要素及び脛骨ホルダに取り付けられている。ケーブル−ばね組み合わせは、靱帯の所定の機械的特性を持つように較正される。ケーブル−ばね組み合わせの静止長さもまた、靱帯に所定の長さ及び性質を提供するように較正される。全膝交換システムに外部から力又はトルクが所定のプロファイルで加わることによって生じた動作は、部分的には、各ケーブルアッセンブリの剛性及び立体的配向によって決まる。力又はトルクが所定のプロファイルで加わっているときに脛骨−大腿骨の直線的及び回転的変位を記録し、これらを互いにプロットする。次いで、これらのデータを使用し、全膝交換システムの動作範囲を、力又はトルクが同様のプロファイルで加わった状態で計測した自然の膝の動作範囲と比較する。更に、これらのデータを様々な全膝交換システムの運動学的特性について比較する。
【0059】本発明の第2実施形態を使用し、膝の靱帯及び膝蓋腱の両方が存在する場合の全膝交換システムの機能を評価する。図3を参照すると、全膝交換システムは、接触面を持つ膝蓋骨構成要素9を更に含む。膝蓋骨構成要素は、大腿骨構成要素15及び脛骨構成要素10で形成された顆状関節の前方及び上方に位置決めされている。膝蓋骨構成要素の接触面は、大腿骨構成要素の接触面と接触し、部分的滑走性関節に似せた膝蓋骨−大腿骨関節を形成する。
【0060】運動学的拘束装置の作動において、少なくとも一つのケーブル−ばね組み合わせを使用し、前十字靱帯、後十字靱帯、内側側副靱帯、及び外側側副靱帯からなる群から選択された少なくとも一つの靱帯の代わりにする。ケーブル−ばね組み合わせを、第1実施形態で説明したのと同様の方法で大腿骨ホルダ及び脛骨ホルダに取り付ける。
【0061】靱帯用のケーブル−ばね組み合わせ及び膝蓋骨構成要素用ケーブルの両方を同時に使用するのが好ましい。この好ましい場合では、図3に示すように、ケーブル3が膝蓋骨構成要素を大腿骨ホルダ20及び脛骨ホルダ5にファスナ8を介して連結する。このケーブルは、自然の膝と同様の通常の膝蓋移動を可能にする所定の機械的特性を有する。
【0062】この実施形態の運動学的拘束装置は、全膝交換システムの脛骨−大腿骨関節及び膝蓋骨−大腿骨関節の機能を決定するため、第1実施形態と同様の方法で作動する。
【0063】本発明の第3実施形態は、靱帯及び大腿四頭筋の両方が存在する場合の全膝交換システムの機能を評価するために使用される。図3を参照すると、全膝交換システムは、接触面を持つ膝蓋骨構成要素9を更に有する。膝蓋骨構成要素は、大腿骨構成要素15及び脛骨構成要素10で形成された顆状関節の前方及び上方に位置決めされている。膝蓋骨構成要素の接触面は、大腿骨構成要素の接触面と接触し、部分的滑走性関節に似せた膝蓋骨−大腿骨関節を形成する。
【0064】運動学的拘束装置の作動において少なくとも一つのケーブル−ばね組み合わせを使用し、前十字靱帯、後十字靱帯、内側側副靱帯、及び外側側副靱帯からなる群から選択された少なくとも一つの靱帯の代わりにする。更に、少なくとも一つのケーブル3が大腿四頭筋の作用をシミュレートし、膝蓋骨構成要素を脛骨ホルダ5及びアクチュエータ(図示せず)にファスナ8を介して連結する。
【0065】図4は、力又はトルクが所定のプロファイルで外部から加わった場合の本発明の第3実施形態の運動学的拘束装置を示す。作動では、先ず最初に、靱帯及び大腿四頭筋の両方に相当するケーブル−ばね組み合わせ及びケーブルに、このケーブルが代表する靱帯及び大腿四頭筋の所定の機械的特性を与える。このような機械的特性には、引張剛性、粘弾性、歪み強度、及び降伏係数が含まれる。
【0066】アクチュエータは、自然の膝の大腿四頭筋群によって加えられるのと同様の引張力を加える。全膝交換システムに所定のプロファイルの力又はトルクが加わると、各ケーブルアッセンブリの剛性及び立体的配向によって部分的に決定される動作が生じる。力又はトルクが加わっているときに脛骨−大腿骨の直線的及び回転的変位を記録し、これらを互いにプロットする。次いで、これらのデータを使用し、全膝交換システムの動作範囲を、力又はトルクが同様のプロファイルで加わった状態で計測した自然の膝の動作範囲と比較する。更に、これらのデータを使用し、様々な人工補装具設計の運動学的特性を比較する。
【0067】単一の靱帯の多ストランドの特徴を提供するため、複数のケーブル−ばね組み合わせを同時に使用するのが好ましい。更に、2つ、3つ、及び4つのケーブル−ばね組み合わせを同時に使用し、一つ以上の靱帯の代わりにするのが好ましい。
【0068】第4の好ましい実施形態では、本発明による全膝交換システムの動作範囲を決定するための運動学的拘束装置は、外膜を更に有する。外膜は、全膝交換を行った場合の運動学的状態に及ぼされる、膝関節を包囲する繊維質構造、脂肪組織、及び筋肉の緩衝効果をシミュレートするため、全膝交換システム及びケーブルを包囲する。図5は、外膜を備えた運動学的拘束装置を示す。
【0069】図6を参照すると、外膜55は、複合構造65及びこの構造内に埋設された複数の可撓性テンショナ60を含む。複合構造は、可撓性テンショナがケーブルを安定化するのを助ける。複合構造について、ネオプレン等の異方性材料を使用できる。複合構造は、軟質組織の非線型特性に更に近付けるため、ゲル等の材料で充填されているのがよい。
【0070】当業者には、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、様々な他の変更が明らかであるということは理解されよう。従って、本願に添付した特許請求の範囲の範囲は、本明細書中の説明に限定されず、特許請求の範囲は、特許されるべき新規性を持つ本発明の全ての特徴を含むものと解釈されるべきである。これらの特徴には、本発明が属する技術分野の当業者によって等価物として取り扱われるべき全ての特徴が含まれる。
【出願人】 【識別番号】390039365
【氏名又は名称】エムティージー・ダイヴェスティチュアーズ・インク
【出願日】 平成10年(1998)11月20日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】社本 一夫 (外5名)
【公開番号】 特開平11−226039
【公開日】 平成11年(1999)8月24日
【出願番号】 特願平10−330399