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【発明の名称】 電動歯ブラシ
【発明者】 【氏名】中村 貴真

【氏名】福井 了一

【要約】 【課題】使い勝手を損なわずに特殊回転方式とバス方式のヘッド部を1台の本体部で併用できる電動歯ブラシを提供する。

【解決手段】本体部1において、モータ10の回転速度がピニオンギア21と遊星ギア22により減速され、モータ10の回転運動がロータ31と摺動体43により駆動軸40の直線往復運動に変換される。ヘッド部80において、ラック110が取付けられた中継ロッド100が駆動軸40に連結され、ブラシの束を保持するブラシ支持体140のピニオンギア143がラック110に歯合し、更に各ブラシ支持体140のピニオンギア141が互いに歯合する。駆動軸40及びラック110の5mm以上のストロークにより、ブラシの束が1回転以上回転する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】本体部と、この本体部に着脱可能に取付けられるヘッド部とからなり、前記本体部は、駆動手段と、この駆動手段の回転運動を5mm以上のストロークの直線往復運動に変換する運動変換機構と、一端部が運動変換機構に取付けられて直線往復運動する駆動軸とを備え、前記ヘッド部は、ブラシと、前記本体部の駆動軸に連結され、駆動軸の直線往復運動をそのままブラシの直線往復運動とする連結機構、又は駆動軸の直線往復運動をブラシの束ごとの正逆方向回転運動に変換する連結機構とを備えることを特徴とする電動歯ブラシ。
【請求項2】本体部と、この本体部に着脱可能に取付けられるヘッド部とからなり、前記本体部は、駆動手段と、この駆動手段の回転速度を落とす減速機構と、この減速機構に連係し、駆動手段の回転運動を直線往復運動に変換する回転・直線変換機構と、一端部が回転・直線変換機構に取付けられて直線往復運動する駆動軸とを備え、前記ヘッド部は、ブラシと、前記本体部の駆動軸に連結され、駆動軸の直線往復運動をそのままブラシの直線往復運動とする連結機構、又は駆動軸の直線往復運動をブラシの束ごとの正逆方向回転運動に変換する連結機構とを備えることを特徴とする電動歯ブラシ。
【請求項3】前記回転・直線変換機構は、駆動手段の回転運動を5mm以上のストロークの直線往復運動に変換するものであることを特徴とする請求項2記載の電動歯ブラシ。
【請求項4】前記減速機構は、駆動手段の回転軸に取付けられたピニオンギアと、このピニオンギアに歯合し、ピニオンギアの周りを回転する遊星ギアとを有し、前記回転・直線変換機構は、遊星ギアの回転軸に回転可能に取付けられた円筒状のカム手段と、駆動軸の一端部に設けられ、カム手段の周壁に係合摺動する摺動体とを有することを特徴とする請求項3記載の電動歯ブラシ。
【請求項5】前記駆動軸の直線往復運動をブラシの束ごとの正逆方向回転運動に変換する連結機構を備えるヘッド部の連結機構は、本体部の駆動軸に係脱可能に連結される中継ロッドと、この中継ロッドに取付けられたラックと、ブラシの束を保持し、ラックに歯合するピニオンギアを有する回転可能に支持されたブラシ支持体とを有することを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4記載の電動歯ブラシ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブラシを直線往復運動させるバス方式と、ブラシを束ごとに正逆方向に回転運動させる特殊回転方式(毛束回転方式)とによる歯磨きを併用できる電動歯ブラシに関する。
【0002】
【従来の技術】電動歯ブラシには、その歯磨き動作によってブラシを直線往復運動させるバス方式と、ブラシを束ごとに正逆方向に回転運動させる特殊回転方式(毛束回転方式)とがある。特殊回転方式の電動歯ブラシは、モータやモータの回転運動を出力する駆動軸等を備える本体部と、本体部に着脱可能に取付けられるブラシ付きのヘッド部とからなるのが一般的である。又、モータの回転運動をブラシの束(毛束)の正逆方向の回転運動に変換する機構としては、モータの回転運動をそのまま駆動軸の回転運動として出力し、この回転運動をヘッド部内の円筒カム等により直線往復運動に変換した後、更にラックとピニオンギアを用いて毛束を正逆方向に回転させる駆動形態の他に、特公昭62−55846号公報に記載された「歯みがき装置」のように、本体部でモータの回転運動をクラウンギアとアームにより駆動軸の直線往復運動に変換し、ヘッド部でラックとピニオンギアにより毛束を正逆方向に回転させる駆動形態がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記駆動形態のうち、前者の駆動形態では、毛束を正逆方向に十分に回転させることができるが、構造的にバス方式のヘッド部を本体部に取付けることができず、特殊回転方式とバス方式を併用できない。一方、後者の駆動形態では、本体部の内部構造上、駆動軸の直線往復運動のストロークは精精4mmが最高である。これは、駆動軸のストロークを大きくするには、直径の大きなクラウンギアを使用する必要があるが、大きなクラウンギアを使用するためには、それに応じて本体ハウジングを太径にしなければならず、そうするとハウジングの把持部が太くなり、歯ブラシ本体が大型化してしまい使い難くなるからである。このため、電動歯ブラシの使い勝手を考慮して駆動軸のストロークは4mm以下である。
【0004】しかしながら、駆動軸のストロークが4mm以下であると、ヘッド部の毛束を1回転以上回転させることが困難であり、歯の大小や力の入れ具合にもよるが、歯垢や食べ滓等の除去率が余り良くなく、特殊回転方式による本来の歯磨き効果を十分に引き出すことができない。この発明は、そのような問題点に着目してなされたもので、使い勝手を損なわずに特殊回転方式とバス方式のヘッド部を1台の本体部で併用できる電動歯ブラシを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の電動歯ブラシは、本体部と、この本体部に着脱可能に取付けられるヘッド部とからなり、前記本体部が、駆動手段と、この駆動手段の回転運動を5mm以上のストロークの直線往復運動に変換する運動変換機構と、一端部が運動変換機構に取付けられて直線往復運動する駆動軸とを備え、前記ヘッド部が、ブラシと、前記本体部の駆動軸に連結され、駆動軸の直線往復運動をそのままブラシの直線往復運動とする連結機構、又は駆動軸の直線往復運動をブラシの束ごとの正逆方向回転運動に変換する連結機構とを備えることを特徴とする。
【0006】この電動歯ブラシでは、ヘッド部の連結機構により、ブラシが直線往復運動するバス方式と、ブラシの束が正逆方向に回転運動する特殊回転方式とを1台の本体部で併用することができる。つまり、バス方式及び特殊回転方式に対応する連結機構を備えるヘッド部を本体部に取付ければよい。しかも、本体部の運動変換機構により駆動軸のストロークが5mm以上となるため、特殊回転方式の場合、ブラシの束を1回転以上回転させることが可能となり、この方式本来の歯磨き効果を十分に引き出すことができるだけでなく、バス方式の歯磨き効果も高めることができる。
【0007】又、請求項2記載の電動歯ブラシは、本体部と、この本体部に着脱可能に取付けられるヘッド部とからなり、前記本体部が、駆動手段と、この駆動手段の回転速度を落とす減速機構と、この減速機構に連係し、駆動手段の回転運動を直線往復運動に変換する回転・直線変換機構と、一端部が回転・直線変換機構に取付けられて直線往復運動する駆動軸とを備え、前記ヘッド部が、ブラシと、前記本体部の駆動軸に連結され、駆動軸の直線往復運動をそのままブラシの直線往復運動とする連結機構、又は駆動軸の直線往復運動をブラシの束ごとの正逆方向回転運動に変換する連結機構とを備えることを特徴とする。
【0008】この電動歯ブラシでも、上記と同様に、ヘッド部の連結機構によりバス方式と特殊回転方式を併用することができる。又、クラウンギアとアーム(又はカム)を使用してモータの回転運動を直線往復運動に変換する駆動形態を採用した従来に比べて、駆動手段の回転速度は減速機構で落とし、その回転運動は回転・直線変換機構で直線往復運動に変換するので、即ち減速と運動変換をそれぞれ対応の機構で別個に行うので、使い勝手を損なわずに駆動軸の直線往復運動のストロークを5mm以上にすることができる。この結果、前記した通り、特殊回転方式の場合、ブラシの束を1回転以上回転させることが可能となり、この方式本来の歯磨き効果を十分に引き出せる上に、バス方式の歯磨き効果も高められる。
【0009】なお、具体的に減速機構は、駆動手段の回転軸に取付けられたピニオンギアと、このピニオンギアに歯合し、ピニオンギアの周りを回転する遊星ギアとを有し、回転・直線変換機構は、遊星ギアの回転軸に回転可能に取付けられた円筒状のカム手段と、駆動軸の一端部に設けられ、カム手段の周壁に係合摺動する摺動体とを有する。
【0010】又、特殊回転方式のヘッド部の連結機構は、本体部の駆動軸に係脱可能に連結される中継ロッドと、この中継ロッドに取付けられたラックと、ブラシの束を保持し、ラックに歯合するピニオンギアを有する回転可能に支持されたブラシ支持体とを有する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施の形態に基づいて説明する。その実施形態に係る電動歯ブラシの外観斜視図を図1及び図2に示す。この電動歯ブラシは、本体部1が同一であり、ブラシが直線往復運動するバス方式のヘッド部70と、ブラシの束が正逆方向に回転運動する特殊回転方式のヘッド部80とが1台の本体部1に着脱可能に取付けられるものである。本体部1は、この本体部1の前部に着脱可能に取付けられたキャップ2と、本体部1の後部に着脱可能に取付けられたバッテリ収納部兼用のバッテリカバー3とを備え、これら部品1,2,3で歯ブラシ本体の外郭が構成される。ヘッド70は、ブラシ71が直線往復運動するバス方式のもので、本体部1にキャップ2を外して取付ける。ヘッド80は、ブラシの束(毛束)81が正逆方向に回転運動する特殊回転方式のもので、キャップ2の機能が一体化されており、同様にキャップ2を外して本体部1に取付ける。
【0012】キャップ2及びバッテリカバー3を含む本体部1内には、その内部構造の概略平面図を示す図3において、モータ(駆動手段)10と、モータ10の回転速度を落とす減速機構20と、この減速機構20に連係し、モータ10の回転運動を直線往復運動に変換する回転・直線変換機構30とが配置されている。回転・直線変換機構30には駆動軸40が連係し、駆動軸40の先端部はアッシー41としてキャップ2から突出している。又、キャップ2の内側には、防水キャップ60が防水キャップ押え61により取付けられている。更に、本体部1には電源ON/OFF等のスイッチ類からなる操作部7が設けられ、バッテリカバー3にはバッテリ9が収納される。
【0013】本体部1の先端部側の拡大平面図を示す図4において、モータ10の回転軸10aにはピニオンギア21が取付けられ、ピニオンギア21は、このギア21の周りを回転する遊星ギア22に歯合する。遊星ギア22は減速シャフト(回転軸)23に取付けられている。減速シャフト23は複数本(例えば3本)のピン23aを有し、このピン23aが遊星ギア22を貫通し、円板状の減速シャフトエンド24に止着されることで、遊星ギア22が減速シャフト23と減速シャフトエンド24との間で回転可能に支持されると共に、遊星ギア22と減速シャフト23が一体に回転する。これらの部品21,22,23,24は、減速器ハウジング27に収容され、減速器ハウジング27から減速シャフト23の十字形の先端部が突出している。
【0014】この実施形態では、減速機構20は、ピニオンギア21、遊星ギア22、減速シャフト23、減速シャフトエンド24、減速器ハウジング27等で構成される。従って、モータ10の回転速度は、ピニオンギア21と遊星ギア22で減速され、その減速回転が減速シャフト23に伝わる。回転・直線変換機構30に連係する駆動軸40は、図5〔平面図(a)、側面図(b)〕及び図6〔図5の(a)の線A−Aにおける断面図(a)、同線B−Bにおける断面図(b)〕に示すような構造である。駆動軸40の後端部42には、後記のロータ(円筒状のカム手段)31の周壁に係合摺動する摺動体43が固定されている。即ち、駆動軸40の後端部42が摺動体43内部に埋設されることで、後端部42に摺動体43が一体に固定される。摺動体43は、駆動軸40の軸方向に対し斜めに交差する円板状のカム43aを有する。
【0015】一方、円筒状のカム手段としてのロータ31は、図7〔(b)の一端面図(a)、平面図(b)、(b)の他端面図(c)〕及び図8〔断面図(a)、(a)の線C−Cにおける断面図(b)〕に示すような構造である。ロータ31の一端部側には、前記減速シャフト23の十字形の先端部に対応する十字形の穴31aが形成され、この穴31aに減速シャフト23の先端部が嵌挿されることで、減速シャフト23の回転がロータ31に伝わり、ロータ31は減速シャフト23と一体に回転する。ロータ31の周壁には、摺動体43のカム43aが嵌合される溝31bが形成されている。このロータ31内に摺動体43が挿通され、溝31bにカム43aが摺動可能に嵌合される。又、ロータ31は、サイドカラー35とエンドカラー36で包囲されている。
【0016】この実施形態では、回転・直線変換機構30は、ロータ31、摺動体43等で構成される。この機構30によれば、ロータ31が回転すると、その溝31bの回転に伴って、摺動体43のカム43aが溝31bにより押され、溝31bに沿って摺動する結果、駆動軸40が前後運動することになる。従って、この回転・直線変換機構30により、ロータ31の回転、即ちモータ10の回転運動が駆動軸40の直線往復運動に変換される。
【0017】又、駆動軸40は、2個の軸受50で直線往復運動可能に支持されている。この軸受50は、玉(鋼球)を用いた通常の玉軸受とは異なり、図9に示すように焼結合金からなる筒状体であり、その軸挿通穴50aに駆動軸40が挿通されることで、駆動軸40が支持される。この場合の焼結合金は、駆動軸40がスムーズに直線運動するのであれば特定されないが、できるだけ摺動性の良いものであるのが好ましく、例えば銅を主成分とする銅系、鉄を主成分とする鉄系、銅と鉄を主成分とする銅鉄系(いずれの系も主成分以外の成分として錫、炭素、ニッケル等が含まれる)のものを用いればよい。
【0018】駆動軸40を支持する軸受(筒状体)50を焼結合金で構成することで、駆動軸40のストロークが5mm以上と長くなっても、通常の玉軸受に比較して、長期の使用にわたって駆動軸40が安定して支持され、軸受50の耐久性が増す。しかも、焼結合金からなる軸受50は、通常の玉軸受より安価であり、樹脂製の軸受よりも耐久性が良い。
【0019】上記構造の本体部1に特殊回転方式のヘッド部80を取付けた場合のヘッド部80の内部構造の一部を図10(一方向縦断面図)及び図11(別方向縦断面図)に示し、残部を図12〔図10に対応する一方向縦断面図(a)、図11に対応する別方向縦断面図(b)〕に示す。ヘッド部80は、毛束81と、前記本体部1から突出する駆動軸40に連結され、駆動軸40の直線往復運動を毛束81ごとの正逆方向回転運動に変換する連結機構とを備える。
【0020】ヘッド部80の外郭となるヘッド90は、前記したようにキャップ2の機能が一体化されており、本体部1に着脱可能に取付けられる。ヘッド90は、その一部破断平面図を図13に、その一方向縦断面図を図14に、別方向縦断面図を図15に示すように、後端側に爪91を有し、この爪91が本体部1の対応部分の周溝に嵌合することで、ヘッド90が本体部1に着脱可能に取付けられる(図10参照)。又、ヘッド90は、駆動軸40や後記中継ロッド100の往復運動がスムーズに行われるように空気穴95を有する。
【0021】ヘッド90の内部には、本体部1の駆動軸40と後記ラック110を連結する中継ロッド100が配置される。中継ロッド100は、図16〔一方向縦断面図(a)、別方向縦断面図(b)〕に示すように、本体部1の駆動軸40を挿入する挿入穴101と、後記ラック110を挿入する挿入穴102とを有する。挿入穴101の開口側には、挿入穴101に沿って弾性係合片103が設けられ、挿入穴101に駆動軸40が挿入されたときに、係合片103が駆動軸40の周溝45(図4参照)に嵌合することで、駆動軸40と中継ロッド100が連結される。一方、挿入穴102の開口側には、ピン挿通孔104が形成され、ピンをピン挿通孔104とラック110の基端側に形成された孔に通すことで、ラック110が中継ロッド100に取付けられる。なお、ピン挿通孔104はネジ孔でもよく、ネジによりラック110を中継ロッド100に取付けてもよい。
【0022】更に、ヘッド90の内部には、中継ロッド100やラック110がヘッド90から抜け出ないようにするための環状のストッパ120が配置されている。ストッパ120の外周面には突起121が設けられ、この突起121がヘッド90の内周面に形成された溝92に嵌合することで、ストッパ120がヘッド90から外れないように固定され、中継ロッド100やラック110等の抜けが防止される。
【0023】ヘッド90の外周には、図17〔正面図(a)、(a)の左側面図(b)、(a)の底面図(c)〕に示すような円弧形状のガイド130が駆動軸40の軸方向にスライド可能に嵌着されている。ガイド130は、その内周面に設けられた突片131を有し、この突片131は、ヘッド90の対応部分に形成された長尺状のスリット93(図14及び図15参照)に挿通され、更に中継ロッド100の対応部分に形成された長尺状の溝105(図16参照)に嵌入される(図11参照)。スリット93及び溝105は、共に駆動軸40の軸方向に延び、突片131がスリット93に沿って軸方向に案内されることで、ガイド130を軸方向にスライドさせることができる。
【0024】このガイド130は、中継ロッド100と駆動軸40を確実に係合・連結させるためのものである。即ち、駆動軸40の直線往復運動のストロークは5mm以上であるが、駆動軸40が本体部1に最も引っ込んだ状態のときでも、中継ロッド100の係合片103を駆動軸40の周溝45に確実に嵌合させるようになっている。この場合、ガイド130を本体部1側にスライドさせると、ガイド130の突片131が中継ロッド100の溝105の端部を押し、中継ロッド100が本体部1側に移動することで、係合片103が駆動軸40に対して相対的に本体部1側に移動する(図11参照)。なお、ガイド130は、これを操作し易いように外周に沿って突起132を有する。
【0025】ヘッド部80の先端側は、図12〔図10に対応する一方向縦断面図(a)、図11に対応する別方向縦断面図(b)〕に示すような構造である。但し、ブラシの束(毛束81、図2参照)は省いてある。毛束81を保持するブラシ支持体140は、互いに歯合するピニオンギア141と、回転可能に支持された回転軸142とを有する。更に本体部1側の2つのブラシ支持体140は、ラック110のギア111に歯合する別のピニオンギア143を有する。従って、ラック110が直線往復運動すれば、それに伴ってピニオンギア143が正逆方向に回転し、更にピニオンギア141が連係して正逆方向に回転することで、全てのブラシ支持体140(即ち毛束81)が正逆方向に回転する。
【0026】なお、このヘッド部80では、6つの毛束81が設けられているが、その数は適宜増減すればよい。又、図12のようなラックとピニオンギアの組合せによりブラシを回転させる構造は、特公昭62−55846号公報にも記載されているように既知であるので、図12に示した以外の構造を採用してもよい。例えば、ラック110のギア111を延長し、各ブラシ支持体140のピニオンギア141が独立してギア111に歯合するようにしてもよい。
【0027】上記のように構成された電動歯ブラシの使用において、バス方式のヘッド部70を取付ける場合には、図1に示すように本体部1からキャップ2を外し、駆動軸40のアッシー41にブラシ71付きのヘッド部70を取付ける。但し、ヘッド部70の構造は、特に示していないが、駆動軸40とヘッド部70を単に連結するだけでよく、通常のバス方式のものと同じでよいので、説明は省略する。操作部7により電源をONにすると、モータ10が回転し、モータ10の回転速度がピニオンギア21と遊星ギア22の組合せにより減速され、更にモータ10の回転運動がロータ31と摺動体43の組合せにより直線往復運動に変換される。その結果、駆動軸40が直線往復運動し、駆動軸40に取付けられたヘッド部70がバス磨き動作を行う。
【0028】ここに、減速は減速機構20で、回転運動の直線往復運動への変換は回転・直線変換機構30でそれぞれ個別に行われるので、クラウンギアとアーム(又はカム)の組合せによる運動変換機構で減速と運動変換を行う従来に比べて、使い勝手を損なわずに駆動軸40の直線往復運動のストロークを5mm以上にすることができる。即ち、ストロークをより大きくするには、駆動軸40の軸方向に対する摺動体43のカム43aの傾斜度合を小さくすればよく、本体部1を太くせずにストロークを5mm以上にすることが可能である。
【0029】従って、ヘッド部70によるバス磨きによると、図18の(a)のように、ヘッド部70のストロークd1 が5mm以上となるので、歯100の大小や力の入れ具合とは余り関係なく、ブラシ71の先端が歯間から隣接の歯間に移動し、歯垢や食べ滓等の除去率が高くなり、バス磨きによる刷掃効果が向上する。因みに、従来のバス方式の電動歯ブラシでは、図18の(b)のように、ヘッド部70のストロークd2 が4mm以下であるため、ブラシ71の根元のみが動き、ブラシ71の先端は余り動かない。このため、ブラシ71が歯間から出ず、歯垢や食べ滓等の除去率が低く、バス磨きによる刷掃効果が十分ではない。この刷掃効果は、ストロークが5mm以上の場合よりも劣ることが判っている。
【0030】一方、特殊回転方式のヘッド部80を取付ける場合には、図2に示すように本体部1からキャップ2を外した状態で、ヘッド部80を本体部1に取付ける。このとき、前記したように、ガイド130を本体部1側にスライドさせれば、中継ロッド100と駆動軸40を確実に連結させることができる。電源をONにすると、モータ10の作動により駆動軸40及びラック110が直線往復運動し、ラック110に歯合するピニオンギア143が正逆方向に回転する。このピニオンギア143の回転は、連係により全てのピニオンギア141に伝わり、各ブラシ支持体140、即ち毛束81が正逆方向に回転する。
【0031】この場合、駆動軸40、即ちラック110の直線往復運動のストロークが5mm以上であるため、毛束81を1回転以上回転させることが可能となり、歯垢や食べ滓等の除去率がより一層高まり、この特殊回転方式本来の歯磨き効果を十分に引き出すことができる。このようにヘッド部70とヘッド部80を交換することで、1台の電動歯ブラシでバス方式と特殊回転方式の両方を併用できる。このため、バス方式と特殊回転方式による歯磨きを行えば、歯垢や食べ滓等の除去率が一段と向上するだけでなく、歯茎のマッサージ効果もより高まる。しかも、それを1台の電動歯ブラシで行えるので、非常に便利である。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の電動歯ブラシによれば、ヘッド部の連結機構により、ブラシが直線往復運動するバス方式と、ブラシの束が正逆方向に回転運動する特殊回転方式とを1台の本体部で併用することができる。つまり、バス方式及び特殊回転方式に対応する連結機構を備えるヘッド部を本体部に取付けるだけでよい。しかも、本体部の運動変換機構により駆動軸のストロークが5mm以上となるため、特殊回転方式の場合、ブラシの束を1回転以上回転させることが可能となり、歯垢や食べ滓等の除去率が高くなり、この方式本来の歯磨き効果を十分に引き出すことができるだけでなく、バス方式の歯磨き効果も向上させることができる。
【0033】請求項2記載の電動歯ブラシによれば、同様にヘッド部の連結機構によりバス方式と特殊回転方式を1台の本体部で併用することができる。又、クラウンギアとアームを使用してモータの回転運動を直線往復運動に変換する駆動形態を採用した従来に比べて、駆動手段の回転速度は減速機構で落とし、その回転運動は回転・直線変換機構で直線往復運動に変換するので、即ち減速と運動変換をそれぞれ対応の機構で別個に行うので、使い勝手を損なわずに駆動軸の直線往復運動のストロークを5mm以上にすることができる。この結果、前記した通り、特殊回転方式の場合、ブラシの束を1回転以上回転させることが可能となり、歯垢や食べ滓等の除去率が高くなり、この方式本来の歯磨き効果を十分に引き出せる上に、バス方式の歯磨き効果も高められる。
【0034】又、請求項4記載の構成とすることで、上記効果に加えて、駆動軸の5mm以上のストロークを可能とする電動歯ブラシを簡素な構造で安価に提供できる。
【出願人】 【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
【出願日】 平成10年(1998)6月1日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】中村 茂信
【公開番号】 特開平11−342140
【公開日】 平成11年(1999)12月14日
【出願番号】 特願平10−150935