トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 連結人工歯
【発明者】 【氏名】島 文男

【要約】 【課題】義歯模型を形成する際に、歯肉部の形成作業が最小限で済み、かつ石膏型肉に残留物がないようにした連結人工歯を提供することである。

【解決手段】複数の人工歯10をワックスのみで連結した歯肉部20を形成し、この歯肉部20の前面においては、ワックスは人工歯10の基部12を被覆して歯間乳頭部21に充填され歯冠部11を露出し、歯肉部20の裏面においては、基底部12aの周囲に充填されて基底部12aをほぼ露出し、歯肉部20の裏面が基底部12aと実質的に同一平面をなすほぼ弓形の曲面20aを形成するようにし、現実の歯肉と近似させたのである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の人工歯をワックスのみで連結して歯肉部を形成し、この歯肉部の前面において前記ワックスは人工歯の基部を被覆して歯間乳頭部に充填され、歯肉部の裏面においては、基底部の周囲に充填されて基底部はほぼ露出し、かつ歯肉部の裏面が基底部と実質的に同一平面をなし口腔歯肉とほぼ近似した弓形の曲面を形成した連結人工歯。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、義歯を製作する際に用いる個別の人工歯を予め連結してセグメント化した連結人工歯に関する。
【0002】
【従来の技術】義歯を製作する場合、まず無歯顎模型にろう堤を形成し、このろう堤をバーナ等で軟化しながら人工歯を1本ずつ配列し固定して行くのが通常の方法である。
【0003】その後、ろう堤を彫刻刀で切削して歯肉に近似した形状に整形し、ろう義歯を形成している。言うまでもなく、これは非常に手間がかかりかつ高度に熟練を要する作業である。
【0004】そこで、例えば特開平6−261917号公報には、複数本の人工歯をワックスと糸で連結したものが開示されている。これによって人工歯を1本ずつ無歯顎模型に配列する手間を省こうというのである。
【0005】
【発明の課題】しかしながら、上記連結人工歯を用いても、歯肉の彫刻刀による整形は欠かすことができない。特に、歯の基底部は複雑な形状をしており、歯肉が隣接する歯間に複雑に入り込んでいるため、彫刻刀で削り取り正確な形状に整形するのは極めて手間のかかる作業である。
【0006】さらに、前記公報によれば、人工歯の連結材料として、ワックスに加えて糸のような芯材を用いているため、上記のようにして作製した義歯模型を石膏に埋設してワックスを除去する際に、糸などの芯材が石膏型内に残留して取り出し難い問題がある。
【0007】そこで、この発明の課題は、義歯模型を製作する際に、歯肉部の整形作業を最小限にし、かつ石膏型内に残留物がないようにすることである。
【0008】
【課題の解決手段】上記の課題を解決するために、この発明の連結人工歯は、複数の人工歯をワックスのみで連結して歯肉部を形成し、この歯肉部の前面において前記ワックスは人工歯の基部を被覆して歯間乳頭部に充填され、歯肉部の裏面においては、基底部の周囲に充填されて基底部はほぼ露出し、かつ歯肉部の裏面が基底部と実質的に同一平面をなし口腔歯肉とほぼ近似した弓形の曲面を形成したのである。
【0009】
【実施の形態】以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1は切歯に相当する人工歯の一例を示す。図示のように、人工歯10は、歯肉から露出する歯冠部11と歯肉に固定される基部12より成り、歯冠部11と基部12の裏面は、少し窪んだ凹部11aと基底部12aが形成され、凹部11aと基底部12aの間に錐形の突起13が形成されている。この人工歯の形状は、上顎及び下顎前歯6歯については大小の差があってもほぼ同じである。
【0010】図2は、上記人工歯をワックスで接続した連結人工歯を示す。図示のように、歯肉部20を形成するワックスは、人工歯10の表面においては、基部12とほぼ楔形の歯間乳頭部21に充填されているが、裏面では同図(b)のように基底部12aの周囲から突起13の両側斜面13a、13aによって形成されたほぼ菱形部22を埋め、基底部12aはほとんど露出している。勿論ワックスによる薄い被膜が形成されていてもよい。何故なら少量のワックスが基底部12aの窪みに流入して、必然的にワックスの薄膜が形成されることがあり得るからである。
【0011】図3及び図4は、上に述べた歯肉部20の状態を縦断面で示したものである。図3に示すように、隣接する人工歯10の歯間では、ワックスが基部12の側面に完全に充填されてしっかりと人工歯10を保持し、かつ裏面において基底部12aとほぼ同一平面になっているため、現実の歯肉形状と極めて近似している。そして、図4に示すように、個々の人工歯10の基底部12aの先端部近辺にワックスが存在するだけで、基底部12aにはほとんどワックスが存在しない。これも現実の歯肉形状と近似している。即ち歯肉部20の裏面では、基底部12aと実質的に同一平面で連結人工歯の長さ方向に連続して延びる全体としてほぼ弓形又は楕円形の曲面20aが形成されている。なお、臼歯の場合には、図5に示すように、基底部12aと歯肉部20の裏面との並行度に多少のずれは生じるが、歯肉部20による人工歯10の保持構造は基本的には上述と変らない。
【0012】上述の連結人工歯は、切歯、犬歯、小臼歯、大臼歯の種類に拘らず適宜組合わせることはできるが、例えば前歯6歯、右側又は左側前歯各3歯、右又は左臼歯4歯などを上顎、下顎共に揃えておくのが一般的である。
【0013】上記のようにして形成した連結人工歯を用いる場合には、まず無歯顎模型にろう堤を形成し、これを軟化又は溶融しながら連結人工歯を接合していけばよい。その際不要な歯の部分は、刃物等で連結人工歯のワックス歯肉部20を切断して除去すればよい。歯肉部20には糸などの芯材がないため、容易かつ正確に切断することができる。そして前述のように歯肉部20は現実の歯肉と近似しているため、連結人工歯をろう堤に接合した後の彫刻刀による整形がほとんど不要であり、接合部のバリを除去する程度で済む。
【0014】なお、この発明の連結人工歯は、全部床義歯ばかりでなく、部分床義歯にも使用できる。また、歯肉部20を形成するワックスは、常温で形状を保つことができるものであれば、合成ワックス、天然ワックス、或はそれらの混合物などいずれでもよく、人工歯10の材料も適宜選択可能である。
【0015】
【発明の効果】この発明によれば、以上のように、人工歯を連結するためにワックスのみを用い、かつその歯肉部を形状を現実の歯肉と近似させたので、ろう義歯を製作する際の整形作業を大幅に減少し、熟練もさほど要求されず、さらに石膏型で固めたろう義歯からワックスを溶解して除去する際に、糸などの芯材が石膏型肉に残留する恐れがなく除去作業が容易となる。
【出願人】 【識別番号】592239590
【氏名又は名称】株式会社シケン
【出願日】 平成10年(1998)4月22日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二 (外2名)
【公開番号】 特開平11−299808
【公開日】 平成11年(1999)11月2日
【出願番号】 特願平10−112281