| 【発明の名称】 |
胸骨閉合キット |
| 【発明者】 |
【氏名】ハインツ ロベルト ツルブリュック
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| 【要約】 |
【課題】胸骨披裂の危険性を低減させる胸骨閉合方法を提供する。
【解決手段】胸骨切開後の胸骨を低減、安定させるため、胸骨間ワイヤ縫合24のための各引出し口に隣り合うように胸骨の腹側表面に留釘42を固定する。留釘42は、胸骨の半分20,22に適用され、縫合引出し口に隣り合う骨を強化し、縫合が骨に切り込むことを防止する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 胸骨閉合キットであって、胸骨の分割した半分に打ち込まれる複数の留釘と、胸骨を横切って設置され断面直径Dを有する複数の縫合ワイヤと、を有し、前記留釘のそれぞれが、背部分及び一組の歯またを備え、前記歯またのそれぞれが、対応する前記背部分の端から下に伸び、前記背部分の中央点に40から800ニュートンの範囲の力が下に向かって加えられた時に前記背部分が下に向かってDに実質上等しい距離だけ曲がるように前記留釘を形成することを特徴とする胸骨閉合キット。 【請求項2】 請求項1に記載の胸骨閉合キットであって、前記留釘の前記背部分が、幅W、厚さTの実質上四角形の断面を有し、その関係が、W>D>T及びW・T<3πD2/4であることを特徴とする胸骨閉合キット。 【請求項3】 請求項1に記載の胸骨閉合キットであって、前記留釘が、ワイヤ原料物質で形成され、ワイヤ原料物質の最大引張り強さUTSが、前記縫合ワイヤの最大引張り強さUTSよりも大きいことを特徴とする胸骨閉合キット。 【請求項4】 請求項1に記載の胸骨閉合キットであって、前記留釘が、ワイヤ原料で形成され、ワイヤ原料の降伏強さYSが、前記縫合ワイヤの降状強さYSよりも大きいことを特徴とする胸骨閉合キット。 【請求項5】 請求項1に記載の胸骨閉合キットであって更に、前記留釘が装填された留釘銃を有することを特徴とする胸骨閉合キット。 【請求項6】 請求項1に記載の胸骨閉合キットであって、前記縫合ワイヤのそれぞれが、縫合ワイヤの片端に針を取付けられていることを特徴とする胸骨閉合キット。 【請求項7】 胸骨閉合キットであって、複数の滅菌された留釘を含有する滅菌された留釘銃と、複数の滅菌された縫合及び針集成材と、を、有することを特徴とする胸骨閉合キット。 【請求項8】 請求項7に記載の胸骨閉合キットであって、前記留釘が、生物学的適合性物質から形成され、縫合を形成する物質と同一であることを特徴とする胸骨閉合キット。 【請求項9】 請求項8に記載の胸骨閉合キットであって、前記縫合及び前記留釘が、金属で形成されることを特徴とする胸骨閉合キット。 【請求項10】 請求項7に記載の胸骨閉合キットであって、前記留釘及び前記縫合が、対応する金属ワイヤ原料物質から形成され、前記縫合が、直径Dの実質上円形の断面を持ち、前記留釘が幅W、厚さTの実質上四角形の断面を有し、その関係が、W>D>T及びW・T<3πD2/4であることを特徴とする胸骨閉合キット。 【請求項11】 請求項7に記載の胸骨閉合キットであって、前記留釘が、ワイヤ原料物質で形成され、ワイヤ原料物質の最大引張り強さUTSが、前記縫合の最大引張り強さUTSよりも大きいことを特徴とする胸骨閉合キット。 【請求項12】 請求項7に記載の胸骨閉合キットであって、前記留釘が、ワイヤ原料で形成され、ワイヤ原料の降伏強さYSが、前記縫合の降伏強さYSよりも大きいことを特徴とする胸骨閉合キット。 【請求項13】 請求項7に記載の胸骨閉合キットであって、前記複数の留釘が、少なくとも縫合及び針の集成材の数の二倍の留釘を前記キットに含むことを特徴とする胸骨閉合キット。 【請求項14】 骨打釘装置であって、留釘と、囲いと、前記留釘を前記囲い内の打込み位置に保持する手段と、生物学的適合性物質で形成され前記留釘を打ち前記留釘を骨に打込むための打表面を持つ打部材と、前記留釘を打つために前記打部材を稼動する手段と、を有することを特徴とする骨打釘装置。 【請求項15】 請求項14に記載の骨打釘装置であって、前記打表面が前記生物学的適合性物質の被覆で形成されたことを特徴とする骨打釘装置。 【請求項16】 請求項14に記載の骨打釘装置であって、前記打表面を形成する前記物質が、前記留釘と電気的に適合性があることを特徴とする骨打釘装置。 【請求項17】 請求項16に記載の骨打釘装置であって、前記打表面を形成する前記物質が、留釘を形成する物質と同一であることを特徴とする骨打釘装置。 【請求項18】 請求項14に記載の骨打釘装置であって更に、一連の留釘を保持するために溝を備え、前記溝が、ステンレス鋼、生物学的適合性物質、ステンレス鋼被覆、生物学的適合性物質の被覆から成る集団の少なくとも一つから形成されることを特徴とする骨打釘装置。 【請求項19】 骨打釘装置であって、留釘と、下辺を含む前壁を備える囲いと、前記囲い内で前記前壁の後面と隣り合う打込み位置に前記留釘を保持する手段と、前記前壁の後面と隣り合い前記留釘を骨に打つための打部材と、前記前壁の下辺からはじまる前壁内の窩又は切通しと、を有することを特徴とする骨打釘装置。 【請求項20】 請求項19に記載の骨打釘装置であって、窩又は切通しが、前壁の下辺の中央に位置することを特徴とする骨打釘装置。 【請求項21】 請求項19又は請求項20に記載の骨打釘装置であって、前記留釘の背部分の中央に窩又は切通しが位置するように留釘が窩又は切通しに対して配置されることを特徴とする骨打釘装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、外科手術過程で使用される方法及び装置に関し、特に心臓切開手術後に胸骨を閉合する方法及び装置に関する。 【0002】 【従来の技術】「心臓切開」と呼ばれる手術手続きは、冠動脈バイパス形成手術及び弁置換手術を含み、重要な手術の中では最も一般的に行われる部類に入る。これらの手続きは、胸骨を縦に分割し胸骨を横に分離し、心臓に接触できることを必要とする。このような手続きの最後の段階は、胸骨を閉合し安定させることを含み、この閉合及び安定化はしばしば、胸骨を横切って設置された(すなわち胸骨を通した)ワイヤ縫合という手段によって行われる。 【0003】図1は、胸骨間縫合を使用する従来の閉合手続きを多少示す略図である。図1に示すように、胸骨の分割した半分20及び22が、胸骨に対して縦方向に間隔を空けた一連のワイヤ縫合ループ24によって接合される。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】骨粗鬆症又はその他の原因のために、胸骨の骨の質が貧弱な場合、ワイヤ縫合の自由な端をより合わせ胸骨を引き寄せる時に、ワイヤ縫合が、胸骨の分割した半分に切り込む場合もある。 【0005】図2は、胸骨及び縫合ループ24の一つの断面を示す図である。図2に示す矢印は、縫合の端をより合わせることにより生じる主要な力のベクトルを示す。より合わせ手続きによって生じる張力の大半は、胸骨の腹側表面26に加えられ、特に、腹側引出し口30の内辺28に加えられる。この腹側引出し口30を通して、ループ24が骨から出てくる。もし骨の腹側の皮質が、貧弱な質であれば、腹側引出し口30が内側(すなわち胸骨切開及びワイヤの端がより合わされている位置に向かって)に向かって切り込まれる。これに従い、ワイヤループ24は、図2の32に示すように、胸骨の背部で鋭角構成をとる。咳払い又はその他の手術後の行動によって、ワイヤループ24の鋭角32が、胸骨背部で内側方向に骨を切り込む場合もある。この場合、図3及び4に示すような胸骨の半分の披裂(分離)につながる。感染症を含む深刻な合併症が胸骨披裂の結果、引起こされる場合がある。 【0006】縫合ループを使った閉合後の胸骨披裂の問題は、従来技術でも知られており、数々の解決法が提案されている。これらの中には、縦方向に伸びるワイヤ又は織合わせ強化ワイヤを胸骨の隣の肋骨の周囲に差し込み、その後縫合を胸骨の周囲(横方向に胸骨の周囲)に適用し胸骨の半分を接合する胸骨の強化法もある。しかしながら、これらの提案された解決法の結果、血管やその他の柔らかな組織に対しての損傷が大きくなる傾向があり、また、胸を閉合する時間を実質上増加させてしまう場合がある。また、もし感染症が起きた場合、縫合の除去が必要となり、強化ワイヤを除去することが非常に困難になる場合もある。 【0007】胸骨間縫合によって胸骨を閉合する場合のもう一つの問題点は、縫合ループが最適の程度に締められているかが不明確なことである。もしループが不十分に締められていれば、胸骨披裂は、直ちに起きるかもしれない。しかし、もし締めが過度であれば、胸骨半分が上述のように縫合によって切り込まれる場合があり、これもまた披裂につながる恐れがある。患者によって骨の機械的な性質が異なるため、骨の変形の観察による縫合ループ張力の正確な程度の決定は不可能である。 【0008】よって、本発明の目的は、胸骨披裂の危険性を低減させる胸骨閉合方法の提供である。 【0009】本発明の更なる目的は、手続きに必要な時間の長さを大きく増大させることなく実行できる胸骨閉合方法の提供である。 【0010】もう一つの目的は、周囲の柔らかな組織への損傷が最小限で済むように実行が可能な胸骨閉合方法の提供である。 【0011】本発明の更なる目的は、向上した胸骨閉合技法において使用するための道具一式の提供である。 【0012】本発明の更にもう一つの目的は、胸骨閉合技法を実行するための留釘銃/骨打釘装置の提供である。 【0013】 【課題を解決するための手段】本発明の一つの態様によれば、胸骨が分割される手術後の患者の胸骨安定化方法を提供する。この方法は、胸骨の腹側表面を貫通し縫合の引出し口を形成するステップと、胸骨の腹側表面に引出し口と隣り合うように留釘を固定するステップと、留釘と縫合が接触するように、縫合の自由な端をそれぞれに対して確保するステップと、を含む。 【0014】好適には留釘は、胸骨の腹側表面に留釘銃という手段で設置される。 【0015】更に、留釘銃が単独で又は、キットの一部として提供されることも企図されている。この道具一式は、銃に含有された滅菌留釘と、縫合を胸骨を通して設置するために適切な縫合ワイヤ/針集成材を含む。 【0016】本発明に従って、胸骨の半分に腹側縫合引出し口に内側に隣接し設置された留釘は、引出し口を強化し縫合の胸骨の腹側での骨への切り込みを防止する役目を果たす。留釘はまた、縫合の胸骨への背部での切り込みの危険性を低減させ、胸骨の半分の安定性を維持し胸骨披裂を防止する。 【0017】キット内の留釘及び縫合は、好適にはそれぞれの相手に対して調和している。この調和によって、機械的な性質の釣合いをとる。よって、縫合引出し口の隣で留釘に接触し胸骨を適合させるために縫合ループが締められるに従って、縫合ループを締めるために留釘に加えられた力が、留釘を変形させ、外科医に縫合ループが最適な程度に締められたことを示す。 【0018】上述及びその他の本発明の態様、特徴、利点は、付属する図面及び後続の本発明の好適な実施形態の詳細な説明を参照することによってより明らかになるであろう。 【0019】 【発明の実施の形態】本発明の胸骨閉合技法は、胸骨間ワイヤ縫合の胸骨切開の低減のために準備された留釘による胸骨の強化を含み、図5〜図8を参考にして説明する。図5は特に発明力のある技法を示す。図5に示すように、ワイヤ縫合が胸骨を横切って胸骨の分割された半分の両方を通して設置される。好適には、これは従来の方法で針(図示せず)を使って行われる。この針は、最初はワイヤ縫合の端に取付けられている。ワイヤを適所に配置した後、留釘銃40を使用し、留釘42を胸骨の半分の腹側表面26に打込む。この留釘を打込む場所は、ワイヤ縫合24の引出し口30の点に対してすぐ内側(すなわち胸骨切開側)の点である。本発明の好適な実施形態によれば、図7に示すように、留釘は、胸骨表面26に対して実質上45°の角度で打込まれる。この時、留釘の歯または、胸骨表面から内側(胸骨切開側)及び下側に向かって伸びる。対応する留釘が各縫合引出し口30の隣に打込まれた後、胸骨切開の低減は、従来の各縫合の自由な端をより合わせループを形成し胸骨の半分を引き寄せるステップで完了する。 【0020】留釘42は好適には、縫合24の所定の程度の張力によって留釘の背に加えられた力に反応して、留釘の背部分が適度に変形するように設計される。留釘の背の変形は図7の44によって示す。留釘の背を変形させ、実質上、縫合24の断面直径Dに対応する距離だけ下側に曲がるようにするために必要な力は、好適にはおよそ40〜800ニュートンである。留釘の背を距離Dだけ曲げるために必要な力の好適な値は、200ニュートンである。留釘の背の変形は、縫合の端のより合わせが、縫合ループを十分に堅く、しかし堅すぎない状態にし、胸骨披裂の危険性を最小限にしたことを外科医に示す視覚的な合図を提供する。 【0021】図6及び図8は、縫合ループが最適な程度に締められた時に得られる胸骨閉合を示す。留釘42は、縫合ループ24の腹側の引出し口30の内側の辺を強化する役割を果たす。この強化によって、胸骨の腹側表面の縫合による骨組織の切り込みの防止を助ける。よって、胸骨背部で縫合ループ24が形成する角度は、実質上90°以上に保持される。そのうえ、留釘42によって縫合ループに加えられる摩擦力が、胸骨背部で縫合ループが加える力を低減することを助ける。この結果、胸骨背部での骨への切り込みもまた防止される。インヴィトロ(in vitro)での実験は、胸骨の腹側への強化留釘の設置が、強化を用いない従来の胸骨間縫合閉合技法に比べて披裂の危険性を低減する役割を果たすことを示した。留釘の設置は、留釘銃の使用によって最低限の時間で実行でき、周囲の組織の損傷を要さない。さらに、もし縫合の除去が手術後に必要となった場合、留釘は除去の邪魔にならず、同時にそれ自体容易に除去することができる。 【0022】図9〜図11は、胸骨の半分に留釘42を設置する目的のために本発明によって提供される留釘銃40の特徴を示す。留釘銃40の好適な実施形態は、工業又は建設応用法に使用され市販されている留釘銃/鋲打機からの応用である。機械的には、好適な手術用留釘銃40は市販の留釘銃と同様の形で機能するが、市販の銃の少なくとも一部の構成部分を形作る物質は変えられ、手術用装置としての使用に適切になるようにする。 【0023】図9において、留釘銃40の機能的機構は、従来の設計と同様、レバー50を含む。このレバー50は、外科医によって留釘銃の主要な囲い52に対して下に圧迫することができ、これにより渦巻ばね54を圧縮し板ばね55を詰める。ある時点で、ばね54は開放され、打部材又は槌56を打込む。槌56は下に向かって打込まれ、打込み位置58にある留釘42の背を打ち、留釘42が胸骨に打込まれる。板ばね55のための機械的停止部57が、槌の下への打撃を制限し、従って留釘42が胸骨に打込まれる距離を制限する。 【0024】一連の留釘42は、留釘銃40の囲い52内の溝60に含有される。ばね62が、押込み素子64が一連の留釘42を打込み位置58に向かって押すように押込み素子を片寄らせる。 【0025】留釘銃40の構成部分は、従来の手術用具滅菌手続きを経験するために適切な物質で形作られるべきである。油脂やその他の潤滑油は、留釘銃に含まれるべきではない。留釘銃は、発熱性の物質を含むべきではなく、低いバイオバーデン(bio−burden)を持つように使用前に処理されるべきである。 【0026】もし囲い52がプラスチックによって形成されるなら、そのプラスチックは、照射によって機械的な性質を失わない型であるべきである。留釘のための溝60は、工業用留釘銃に頻繁に使用されているクロムでメッキをされた鋼の代わりに、ステンレス鋼によって形成されるか又は生物学的適合性物質によって被覆されるべきである。打込み位置58と隣り合う留釘銃の鼻部分66は、患者に触れるために適切な生物学的適合性物質で形作られるべきである。 【0027】留釘42もまた生物学的適合性物質から形成されるべきであると理解される。適切な物質の一つに、登録商標「フィノックス(PHYNOX)」として入手できる広く知られた金属構成がある。もう一つの既知の生物学的適合性金属構成又は適切なプラスチック構成を使うことも企図されている。留釘の生物学的適合性は、適切な被覆を塗布することによっても達成できる。 【0028】留釘42は、縫合の物質と電気的に適合性のある物質によって形成されることが望ましい。これは、電気的な腐食を手術後に発達させないためである。本発明の好適な実施形態では、電気的な適合性は、縫合と留釘の両方をフィノックス等の同一の物質で形成することにより保証される。留釘銃40の槌56が、留釘と生物学的適合性及び電気的適合性を持つ物質から形成されることも望ましい。又は、槌56の下(打ち)端68(図5を参照)が適合性のある物質で被覆されることが望ましい。どちらの場合でも、槌56の打表面(すなわち留釘を打つ表面)が生物学的適合性物質で被覆されると理解する。フィノックスの留釘が用いられたと仮定すると、槌の下端68は、フィノックスで被覆されるか、フィノックスで形成されてもよい。槌が留釘を打つ時に、槌の下端からの小さな小片が留釘に差し込まれる場合があるため、この予防措置が採られるべきである。 【0029】留釘42を留釘銃の溝60に使用前に挿入することは、留釘一つ一つをおそらくは手で装填することを要する。現在の状況では、留釘42を接着し留釘をひとまとめに装填することは、不可能である。なぜなら、医学的に許可された接着剤でこの目的のために適切なものは入手できないからである。現在入手可能な手術用接着剤は、もし留釘が他の留釘と接着され打込み位置で槌56によって打込まれれば、その留釘が相応に仲間から分離することを許可しない。 【0030】留釘42の幾何学的な構成は、従来のオフィス又は工業用留釘と適合させることもできる。図12及び図13はそれぞれ、適切な構成を示す。各場合において、留釘は、二つの歯また72をつなぐ背部分70を含む。各歯またの先端は、歯またの外側(図13に74で示す)か歯またに対して横に(図12に76で示す)「V」の字で構成される。好適には、図に示す74及び76の構成のように留釘の歯またの先端が歯またの中央平面に対して対称になる。なぜなら、対称な先端は、より均一に骨組織内の圧力を分配するからである。 【0031】ここで、本発明が、従来の留釘銃による骨を留める提案(米国特許第4,414,967号や第5,163,598号等のように)から離れている点が、本発明は、留釘銃を使って留釘の両方の歯またを一つの連続的な骨片に打ち込むことを企図する点にあることは注目に値する。これに比べて、従来の骨打釘装置は、留釘のそれぞれの歯またを二つの分離された骨片に打込み、骨片をそれぞれに対して安定化させる。また、従来技術の留釘の使用は、歯またを、骨表面に対してここに記載される45°の角度ではなく、垂直方向に打込むことを要する。 【0032】連続的な骨片に隣り合う縫合又はその他の構造を支える強化として留釘を打込むという考え方は、胸骨閉合に加えて他の手続きでも応用法が見つかるのではないかと企図されている。 【0033】本発明はまた、上述の胸骨閉合技法において使える物質を含みまたその場で使える道具一式を提供することを企図する。このような道具一式の概要を、図14に示し通常、符号80で示す。道具一式80の主要な構成部分は、(a)上述の留釘42を装填した上述の留釘銃40及び(b)若干の縫合/針集成材82、であり、この縫合/針集成材は、従来の胸骨間縫合による胸骨切開適合技法に使われるようなものでもよい。留釘銃40及び留釘42は、あらかじめ滅菌され、滅菌され保護された囲い込みに包装されるものと理解すべきである。この囲い込みは、例えば図14の84に概要が示されるような滅菌された透明材の小型包装である。好適には、縫合の数は、4、6、又は8で患者の大きさに依存して適切な数が選択される。留釘銃40の留釘42の数は、関連した縫合/針集成材の数の少なくとも二倍であることを理解する。 【0034】包装された留釘銃40及び縫合/針集成材82は、全て単一の外側の包装構成(86で概要を示された)内で組合わせ道具一式80を形成することができる。その代わりに、道具一式80が、分離した包装の形で組み立てられ、それぞれが留釘銃40と一以上の縫合/針集成材82を組み込んでもよい。 【0035】同一の道具一式内に留釘とワイヤ縫合物質を共に提供することにより、留釘と縫合が電気的及び機械的にお互いに適合性があることを保証することが可能になる。 【0036】留釘及びワイヤ縫合の機械的な性質は、相当な程度にそれらのジオメトリや寸法の関数である。留釘及びワイヤ縫合の好適な寸法及び他の特徴は、ここから説明する。 【0037】前述のように、ワイヤ縫合は好適には、従来用いられてきたワイヤ縫合と適合し、よって実質上円形の断面を持つ。ワイヤ縫合の断面直径Dは、0.4から2.0ミリメートルの範囲内がよく、0.9ミリメートルが好適な値である。ワイヤ縫合の最大引張り強さ(UTS)は、400から1800ニュートン/平方ミリメートルの範囲内がよく、降伏強さ(YS)は、250から1100ニュートン/平方ミリメートルの範囲内がよい。フィノックスワイヤ縫合の好適な例は、850ニュートン/平方ミリメートルのUTSと500ニュートン/平方ミリメートルYSを示す。 【0038】留釘42は、好適には、ワイヤ原料で形成され、実質上四角形の断面を持ち、留釘の背70が幅W(図12に91で示す)、厚さT(90で示す)を示す。W及びTの寸法の満足の行くような範囲は、それぞれ0.6から5.0ミリメートル及び0.2から2.0ミリメートルである。フィノックスで形成された好適な留釘は、Wが1.4ミリメートル、Tが0.6ミリメートルである。留釘の背70の長さは、好適には5から30ミリメートルの範囲内で、特に好適な長さは12ミリメートルである。もちろんこれらの寸法は、本発明から外れること無く変更することができる。 【0039】留釘を形成するワイヤ原料の最大引張り強さは、1000から2800ニュートン/平方ミリメートルの範囲内がよく、降伏強さは、500から1400ニュートン/平方ミリメートルの範囲内がよい。好適な実施形態で用いられる留釘のワイヤ原料は、1600ニュートン/平方ミリメートルのUTSと900ニュートン/平方ミリメートルのYSを示す。 【0040】縫合の最適な締めが起きた時の留釘の変形を含むワイヤ縫合と留釘との間の好適な機械的相互作用を達成するに、本発明の態様の一つは、留釘及びワイヤ縫合の寸法と機械的な特徴の間の特定の好適な関係を要する。上で定義された断面寸法が、(a)W>D>T及び(b)留釘の背70の断面積(=W・T)がワイヤ縫合の断面積(ワイヤの断面積はπ・D2/4で求められる)の三倍よりも小さいという関係を満たすことが好適である。 【0041】さらに、留釘の最大引張り強さは、ワイヤ縫合のUTSを上回るべきであり、留釘の降伏強さがワイヤ縫合のYSを上回るべきである。 【0042】留釘が変形して、縫合の最適な程度の張力を示すような機械的な特徴を備えた留釘及び縫合を提供することは、外科医にとって大きな援助となり、胸骨閉合が満足に実行されること及び胸骨披裂が防止されることの保証を助ける。 【0043】留釘銃又は骨打釘装置の第二の実施形態を付随する図15、図16、及び図17を参照して説明する。 【0044】第二の実施形態による骨打釘装置は、図9から図11に示す留釘銃とほぼ同様であり、留釘42と、下辺89を含む前壁88を備える囲い52’と、囲い52’内で前壁88の後ろ表面と隣り合う打込み位置58に留釘42を保持する手段と、前壁88の後ろ表面と隣り合い留釘42を骨20,22に打つための打部材56’又は槌と、外科医によって骨打釘装置40’の主要な囲い52’に対して下に圧迫することができ、これにより渦巻ばね54’を圧縮し板ばね55’を詰めることのできるレバー50’を有する。 【0045】第一の実施形態との相違点は、骨打釘装置の第二の実施形態によれば、打釘装置の前壁88の下辺89からはじまる前壁88内の窩90又は切通しを提供する。 【0046】その利点は、縫合24と留釘42の間の前壁88の部分が無く、骨打釘装置40’が、その鼻又は前面下部の辺を縫合24により近く配置できる点である。この結果、留釘42もまた縫合24又は対応する腹側引出し口30により近く配置できる。これにより、骨打釘装置40’又はその下部表面を骨の表面に対して特定の角度(例えば45°)で配置する際、留釘42を骨に、より深く打込むことができる。これは、留釘42のための引出し口の開口部と骨表面との間の空気の間隙を避けることができるからである。第一の実施形態では縫合24と留釘42との間に前壁があったために、この空気の間隙が存在した。 【0047】第二の実施形態の更なる改良点によれば、窩90又は切通しが、前壁88の下辺89の中央に配置でき、使用者が、縫合24に対して骨打釘装置を容易に配置できるようにする。使用者は、縫合24が窩90又は切通しに入ったことを容易に感じることができ、この方法で骨打釘装置の縫合24に対しての正確な位置を容易に検出することができる。 【0048】さらに他の改良点によれば、第二の実施形態の骨打釘装置40’において、窩90が留釘42の背部分70の中央になるように、留釘42が窩90に対して配置される。この方法により、縫合24は、留釘42の背部分70に対して容易に中央を合わせることができる。 【0049】第二の実施形態による骨打釘装置において、留釘42が縫合引出し口30により近く配置できるため、縫合24による縫合引出し口30と留釘42の間の骨の切り込みを防止することができる。さらに、骨打釘装置の第一の実施形態よりも留釘42を骨に、より深く打込むことができるため、骨と留釘との組織の安定性が向上できる。それに加え、第二の実施形態による骨打釘装置は、窩90又は切通しを使って自動的に縫合24の中央を留釘42の背部分70の中央部分にあわせるため、端をつなげた後の縫合24内の圧力又は張力をより厳密に容易に監視することができる。 【0050】 【補遺】なお、本発明は、次のような発明としても把握及び表現できる。 【0051】(方法1) 胸骨が分割される手術後の患者の胸骨の安定化方法であって、胸骨の腹側表面を貫通し、縫合の引出し口を形成するステップと、胸骨の腹側表面に前記引出し口と隣り合うように留釘を固定するステップと、前記縫合が前記留釘に接触するように、前記縫合の自由な端をそれぞれに対してしっかり締めるステップと、を含むことを特徴とする胸骨安定化方法。 【0052】(方法2) 方法1であって、前記締めるステップが、前記縫合から前記留釘に伝えられる力によって前記留釘が変形するまで前記縫合の自由な端をより合わせるステップを含むことを特徴とする方法。 【0053】(方法3) 方法1であって、胸骨の腹側表面に対して実質上45°の角度で胸骨に打ち込まれる歯またを前記留釘が備えることを特徴とする方法。 【0054】(方法4) 方法1であって、前記留釘が、生物学的適合性物質から形成され、縫合を形成する物質と同一であることを特徴とする方法。 【0055】(方法5) 方法4であって、前記留釘及び前記縫合が、対応する金属ワイヤ原料物質から形成され、前記縫合が、直径Dの実質上円形の断面を持ち、前記留釘が幅W,厚さTの実質上四角形の断面を有し、その関係が、W>D>T及びW・T<3πD2/4であることを特徴とする方法。 【0056】(方法6) 方法1であって、前記留釘が、ワイヤ原料物質で形成され、ワイヤ原料物質の最大引張り強さUTSが、前記縫合の最大引張り強さUTSよりも大きいことを特徴とする方法。 【0057】(方法7) 方法1であって、前記留釘が、ワイヤ原料で形成され、ワイヤ原料の降伏強さYSが、前記縫合の降伏強さYSよりも大きいことを特徴とする方法。 【0058】(方法8) 方法1であって、前記固定ステップが、留釘42を胸骨に留釘銃を使って打ち込むことを特徴とする方法。 【0059】(方法9) 手術方法であって、二つの歯またを備える留釘を含有する留釘銃を提供するステップと、留釘銃を使用し、留釘の歯またの両方を連続的な骨塊に打ち込むステップと、を含むことを特徴とする手術方法。 【0060】(方法10) 方法9であって、留釘の前記歯またを、連続的な骨塊の表面に対して実質上45°で打ち込むことを特徴とする手術方法。 【0061】(方法11) 方法10であって、連続的な骨塊が、胸骨の分割された半分であることを特徴とする手術方法。 【0062】(方法12) 手術方法であって、二つの歯またを備える留釘を提供するステップと、骨の表面に対して実質上45°の角度で留釘の歯またを骨の表面に打ち込むステップと、を含むことを特徴とする手術方法。 【0063】(方法13) 方法12であって、打ち込みステップが、留釘銃を使用して留釘を骨に打ち込むことを特徴とする手術方法。 【0064】(方法14) 方法12であって、骨が胸骨の分割された半分であることを特徴とする手術方法。
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| 【出願人】 |
【識別番号】594100643 【氏名又は名称】ハインツ ロベルト ツルブリュック
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| 【出願日】 |
平成11年(1999)5月18日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】吉田 研二 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−342136 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)12月14日 |
| 【出願番号】 |
特願平11−137159 |
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