| 【発明の名称】 |
X線CT装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】宮崎 靖
【氏名】河野 秀樹
【氏名】中澤 哲夫
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| 【要約】 |
【課題】被検体での減弱が大きな領域で十分なX線量を確保することができ、且つ被検体での減弱が少ない領域等で検出素子が飽和することを防ぐことができ、これにより高画質の再構成像を得ることができるようにする。
【解決手段】X線管11から被検体14での減弱が大きな領域でも十分なX線量が得られるようなファンビーム、又はコーンビームX線を照射する。一方、1次元又は2次元の検出器12の入射側の一部にポストフィルタ17を設け、このポストフィルタ17によって透過X線を減弱し、これにより被検体14による透過X線の減弱の少ない領域や、被検体14を透過しない領域の検出素子が飽和しないようにする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被検体にファンビーム、又はコーンビームX線を照射し、前記被検体を透過した透過X線を1次元又は2次元に配列された検出素子で検出し、検出データを画像再構成することで前記被検体の断層像を撮影可能なX線CT装置において、前記検出素子のうち被検体による透過X線の減弱のない領域、又は減弱の少ない領域の検出素子に入射する透過X線を減弱させる透過X線強度調整手段を設け、前記被検体による透過X線の減弱の大きい領域で十分なX線量を確保するとともに、前記被検体による透過X線の減弱のない領域、又は減弱の少ない領域の検出素子が飽和しないようにしたことを特徴とするX線CT装置。 【請求項2】 前記透過X線強度調整手段は、前記検出素子のX線入射側に移動可能に設けられ、透過X線を減衰させるポストフィルタを備えたことを特徴とする請求項1のX線CT装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はX線CT装置に係り、特にイメージインテンシファイヤ(I.I.)や平面センサなど、半導体検出器に比べてダイナミックレンジの狭いセンサを用いた装置に好適なX線CT装置に関する。 【0002】 【従来の技術】現在、X線CT装置の主流はローテート・ローテート(R/R)方式(第3世代)CT装置で、X線源と焦点を指向する円弧状の検出器が被検体を挟んで互いに対向する位置に配置されている。X線源からのX線は体軸方向にコリメートされ、扇状のX線ビームに形成され、被検体のある厚みを持った撮影断面に照射される。 【0003】撮影動作は被検体により減弱した透過X線を回転しながら検出器で計測することで行われる。回転中の計測動作は 0.1〜 0.5度程度の角度間隔で行われ、合計で例えば1000(回/回転)程度の投影データを取得する。検出器は多数の検出素子で構成され、それぞれの検出素子の出力が計測回路によってデジタルデータとして収集され、計測角度毎に素子数分のデータ(ビュー)を構成する。 【0004】更に、計測データは画像処理装置によって検出素子の特性補正、線質補正やログ変換などの前処理を施された後、フィルタ補正逆投影法などの公知のアルゴリズムによって断層像として再構成される。一方、上記シングルスライスCT装置に対し、I.I.や平面センサなど2次元の大視野検出器を備えたコーンビームCT装置がある。これらの大視野検出器は、一般的なシングルスライスCT装置で用いている半導体検出器に比べてダイナミックレンジが狭く、低コントラストでの分解能が十分に確保できない。従って、肺野などの比較的コントラストの高い部位では実用になっても、腹部などの大減弱体で腫瘍などの低コントラスト病変の診断には用いることが難かしい。 【0005】平面センサは、シンチレータなどの蛍光体、光電変換部、薄膜トランジスタ(TFT)などの大面積読み出し部からなるが、ダイナミックレンジを規定しているのは、一つは各画素ごとに電荷を蓄えるコンデンサの容量で、もう一つは暗電流や熱雑音などのノイズである。コンデンサ容量は最大出力に相当し、検出器にある量以上のX線が到達すると出力が飽和する。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】X線CT装置では最大減弱から空気(被検体を透過しない)レベルまでの透過X線量の計測が必要である。検出器に入射する透過X線量は、被検体の透過長が短い周辺部で大きくなるが、空気レベルに到達するまでに検出器が飽和してしまうと、検出器の検出データは再構成にとって不完全データとなる。 【0007】また、X線CT装置の場合は、被検体の周囲を回転しながら連続的に撮影し、一連のデータから画像再構成するため、各ビュー間やビュー内での連続性が損なわれるとアーチファクトが現れ画質が低下する。一方、検出器が飽和しないようにX線量を調整すると、被検体の減弱の大きい部分で十分なX線量が確保できず、信号対雑音比が低下する。 【0008】本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、被検体での減弱が大きな領域で十分なX線量を確保することができ、且つ被検体での減弱が少ない領域等で検出素子が飽和することを防ぐことができ、これにより高画質の再構成像を得ることができるX線CT装置を提供することを目的としている。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成するために、被検体にファンビーム、又はコーンビームX線を照射し、前記被検体を透過した透過X線を1次元又は2次元に配列された検出素子で検出し、検出データを画像再構成することで前記被検体の断層像を撮影可能なX線CT装置において、前記検出素子のうち被検体による透過X線の減弱のない領域、又は減弱の少ない領域の検出素子に入射する透過X線を減弱させる透過X線強度調整手段を設け、前記被検体による透過X線の減弱の大きい領域で十分なX線量を確保するとともに、前記被検体による透過X線の減弱のない領域、又は減弱の少ない領域の検出素子が飽和しないようにしたことを特徴としている。 【0010】本発明によれば、被検体での減弱が大きな領域でも十分なX線量が得られるようなX線を照射し、これにより被検体による透過X線の減弱の少ない領域や、被検体を透過しない領域の検出素子が飽和しないように、これらの領域の検出素子に入射する透過X線を、前記透過X線強度調整手段によって減弱するようにしている。前記透過X線強度調整手段によって減弱されるX線量は既知又は別途計測可能であるため、前記検出素子のダイナミックレンジよりも広い範囲で分布する透過X線の全強度範囲を測定することができる。 【0011】 【発明の実施の形態】以下添付図面に従って本発明に係るX線CT装置の好ましい実施の形態について詳説する。図1は本発明に係るX線CT装置の全体構成を示すブロック図である。同図に示すように、このX線CT装置は、主としてスキャナ10、患者テーブル20、高電圧発生装置30、前処理、画像再構成処理や各種解析処理を担当する画像処理装置40、X線CT装置全体を統括するホストコンピュータ50、及び表示装置60から構成されている。 【0012】図2は上記スキャナ10の詳細な構成を示した図である。X線管11と2次元検出器12は、回転盤13に被検体14を挟んで互いに対向する位置に搭載され、この回転盤13は回転制御装置15によって駆動制御され、高速に連続回転可能となっている。X線管11には高電圧発生装置30から電力が供給され、X線管11から発生したX線ビームは、患者テーブル20上に寝ている被検体14を透過し、検出器12に入射する。この検出器12によって取得された透過X線の計測データは、プリアンプ16によって増幅されたのち、スリップリングなどの信号伝達手段を介して画像処理装置40に転送される。また、検出器12のX線入射側には、本発明の特徴であるポストフィルタ17を備えている。尚、ポストフィルタ17の詳細については後述する。 【0013】画像処理装置40は、入力する計測データにログ変換や線質補正などの前処理を施し、フィルタ補正、逆投影処理によって断層像に変換する。さらに、後処理によって画像フィルタなどを施し、画像を表示装置60に転送する。さて、上記検出器12の分解能を、例えば10ビットとすると、10ビットは1024であるからおよそ103 の分解能で、例えば、フォトン数102 〜105 個までの入射X線量を識別できる(有効測定範囲)とする。 【0014】図3は横軸に被検体の透過長(透過長に対する減衰率は均一なものと考える)、縦軸に透過X線の強度(フォトン数)をとり、X線条件に応じた透過X線量の変化を示したものである。例えば、X線管11の管電流をI1としたとき、透過長dl以上では有効計測範囲外となるため、透過長としては0〜dlまでが有効である。言い換えれば、dl以上の透過長の被検体では1ビット以下の情報量となり十分なX線量でないといえる。 【0015】また、管電流をI4とすると、透過長はdl〜d2までが有効範囲で、dlより透過長が短いときは検出素子出力が飽和してしまうことを意味する。従って、空気レベルで飽和しないようにするには最大でも管電流をI2までしか上げられず、腹部などの大減弱体の撮影は困難となる。図4に示すように腹部領域では、被検体14の断面は楕円形に近似できる。この場合、検出器出力が飽和する可能性があるのは、被検体透過長が短い周辺領域の素子で、被写体透過長の長い中央領域で有効な計測データを得ようとすると、被検体14の周辺領域から被検体外(空気レベル)において検出器出力が飽和し、計測データが一定値となってしまう。 【0016】そこで、図5に示すように検出器12の周辺部の検出素子の透過X線入射側に本発明の特徴であるポストフィルタ17を備えた。このポストフィルタ17の一例では、減弱率が1/10であり、実際に検出素子に入射されるX線量は1/10となる。従って、ポストフィルタ17によって覆われた検出素子では、管電流を10倍としても検出器出力は飽和しない。このようなポストフィルタ17を、図6に示したように0〜dlの範囲で2枚、dl〜d2の範囲で1枚設けることにより、電流I4を用いても検出器12が飽和することなく、検出器12のダイナミックレンジよりも広い範囲で分布する透過X線の全強度範囲で測定が可能となる。 【0017】即ち、透過X線のダイナミックレンジを圧縮し、検出器12の特性を最大限に発揮することができる。このようにして検出器12によって取得された透過X線の計測データは、画像処理装置40に転送されるが、ここでポストフィルタ17で覆われた検出素子からの計測データは、ポストフィルタ17での圧縮率に応じて伸長される。または、事前にポストフィルタを含めた状態で空気データを取得しておき、空気補正を実施する。(エアーキャリブレーション)。これにより、検出器12のダイナミックレンジよりも広い範囲で分布する透過X線の全強度範囲が測定される。 【0018】現実的には、このようなポストフィルタ17を用いた場合、ポストフィルタ17をどの程度の範囲に備えればよいかが問題となる。他の実施の形態では、図7に示すようにポストフィルタ17’の形状をくさび形状とした。これは被検体の透過長は周辺に向かって連続的に短くなるので、それに対応するようにポストフィルタ17’の透過長が連続的に長くなるようにしたためである。従って、くさびの傾斜は直線上(平面上)である必要は無く、2次や3次曲線(曲面)状に構成されても良く、患者の体型や撮影部位に応じて材質、厚さ、形状の異なるフィルタを用意しても良い。 【0019】更に他の実施の形態では、被検体の透過X線量をあらかじめ知ることができれば、ポストフィルタの位置をスキャン中に制御することにより更に最適な計測も可能である。この実施の形態の場合、制御位置を事前に決定する必要があるので、事前に低線量で撮影(例えば2方向からのみの撮影)を行って本スキャン時の透過X線の強度を予測して移動位置を決定したり、あるいは観察したい視野を設定し、その視野外にポストフィルタを移動するなどが考えられる。 【0020】いずれのポストフィルタを用いても完全にすべての被検体に最適にするのは困難である。予期せず、一部のデータが飽和してしまった場合には、周辺のデータから補間などの手段により飽和データを推定することになるが、空気レベルが計測できていれば、前述のような外挿(extrapolation)ではなく、内挿(interpolation)となるのでよりデ−タの信頼性は高いものとなる。 【0021】 【発明の効果】以上説明したように本発明に係るX線CT装置によれば、検出素子のうち透過X線の減弱の少ない領域や、被検体を透過しない領域の検出素子が飽和しないように、これらの領域の検出素子に入射する透過X線をポストフィルタなどの透過X線強度調整手段によって減弱するようにしたため、被検体での減弱が大きな領域でも十分なX線量が得られるような強いX線を照射することができ、これにより被検体のダイナミックレンジよりも広い範囲で分布する透過X線の全強度範囲を測定することができ、高画質の再構成像を得ることができる。 【0022】また、透過X線を減衰させるポストフィルタによって、検出器の一部、又はすべての素子を覆い、検出素子によって厚さを変えることで、より最適に撮影部位に応じた圧縮が可能となる。更に、ポストフィルタを事前に推定した被検体透過長を元に制御し、スキャン中に移動や回転可能とすることで、より最適な圧縮が可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000153498 【氏名又は名称】株式会社日立メディコ
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)5月26日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】松浦 憲三
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| 【公開番号】 |
特開平11−332861 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)12月7日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−144138 |
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