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【発明の名称】 屈曲運動機能の回復測定器
【発明者】 【氏名】伊藤 富夫

【要約】 【課題】作動フレームから手を離して目盛りを読み取る際に不意に作動フレームが回動してしまうことのない屈曲運動機能の回復測定器を提供する。

【解決手段】回復測定器10は、角度単位の目盛が付された円盤11と、この円盤に回動不能に設けられた基準フレーム16と、円盤11の中心に雌雄軸17、18を介して回動可能に設けられ、回動されたときに目盛板13の目盛の任意位置を指示可能な作動フレーム21とを備えている。円盤11の裏側には所定角度毎に凹部が設けられ、作動フレーム21の円盤11に面する側には作動フレーム21が所定角度回動する毎に凹部に順次嵌合する弾性突起が設けられている。作動フレーム21を回動した後でこの作動フレーム21から手を離したとしても、弾性突起と凹部とが嵌合しているため、作動フレーム21はその位置で比較的堅固に支持され、容易に回動することはない
【特許請求の範囲】
【請求項1】 角度単位の目盛が付された円盤と、前記円盤に回動不能に設けられた基準フレームと、前記円盤の中心を軸として回動可能に設けられ、回動されたときに前記目盛の任意位置を指示可能な作動フレームと、前記円盤に所定角度毎に設けられた凹部と、前記作動フレームのうち前記円盤に面する側に設けられ、前記作動フレームが前記所定角度回動する毎に前記凹部に順次嵌合する弾性突起とを備えたことを特徴とする屈曲運動機能の回復測定器。
【請求項2】 前記凹部は金属製であり、前記弾性突起は前記作動フレームから弾性体により前記円盤側に付勢された金属製の凸部であることを特徴とする請求項1記載の屈曲運動機能の回復測定器。
【請求項3】 前記弾性体に付勢された前記凸部は、前記作動フレームから前記円盤側への突出量を調節可能であることを特徴とする請求項2記載の屈曲運動機能の回復測定器。
【請求項4】 前記作動フレームは、弾性体を介して前記円盤の中心に回動可能に締結されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の屈曲運動機能の回復測定器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば屈曲運動機能を回復するためにリハビリテーションを受けている人の回復状況を測定する回復測定器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、関節等の屈曲運動機能に障害が生じた場合、その障害者は屈曲運動機能を回復するためのリハビリテーションを受けることにより健常者レベルに治癒することが多い。このようなリハビリテーションを行う際、回復具合を調べる目的で、測定器を用いて関節等の屈曲角度を測定することがある。
【0003】このような測定器としては、例えば、実公昭54−18876号公報に開示されているものが知られている。この測定器は、図6に示すように、円形の台板102と一体に形成された基準フレーム101と、台板102上に設けられた円形の目盛板103と、目盛板103の中心に回動可能に枢着された指針付きの作動フレーム104と、この作動フレーム104を目盛板103に支持する雌雄軸105を備えている。この測定器は、膝の関節の屈曲運動機能を測定する場合を例に挙げて説明すると、まず、目盛板103の中心を関節軸である膝に合わせ、この状態で基準フレーム101をバンド等で大腿の軸線と略一致するように固定し、作動フレーム104を下腿の軸線と略一致するように手で押さえる。そして、手で下腿に作動フレーム104を押し付けたまま、膝を曲げていき、被測定者がそれ以上膝を曲げることができなくなった時点で、作動フレーム104の指針が指示する目盛りを読み取る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図6に示した測定器では、上記のように屈曲運動機能を測定する際には通常作動フレーム104から手を離して指針の指示する目盛りを読み取るのであるが、この場合、作動フレーム104は雌雄軸105周辺の摩擦力によって手を離した後もその位置で支持されている。
【0005】しかしながら、作動フレーム104がある程度の重量を有する場合には雌雄軸105周辺の摩擦力のみではもはや支持しきれず、作動フレーム104が回動してしまうという問題があった。また、作動フレーム104から手を離したときに作動フレーム104が僅かに回動した場合、測定者はそれに気づかずそのまま目盛りを読み取って測定してしまうことがあり、測定精度が十分に得られないという問題もあった。
【0006】更に、作動フレーム104から手を離したときに作動フレーム104が回動するのを防止すべく雌雄軸105をきつく締結した場合には、作動フレーム104の回動をスムーズに行うことが難しくなり、逆に弱く締結した場合には、手を離したときに作動フレーム104が回動してしまい測定精度が得られなくなるため、雌雄軸105の締結程度を適度に調整するのが難しいという問題もあった。
【0007】本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、屈曲運動機能の回復測定器を提供するにあたり、第1の目的は、作動フレームから手を離して目盛りを読み取る際に不意に作動フレームが回動してしまうことのないものを提供することにあり、第2の目的は、作動フレームから手を離したときに作動フレームが僅かに回動した場合には測定者が容易にそれに気づくことのできるものを提供することにあり、第3の目的は、作動フレームを円盤の中心に締結する際の締結程度の調整が容易なものを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】上記課題を解決するため、本発明の屈曲運動機能の回復測定器は、角度単位の目盛が付された円盤と、前記円盤に回動不能に設けられた基準フレームと、前記円盤の中心を軸として回動可能に設けられ、回動されたときに前記目盛の任意位置を指示可能な作動フレームと、前記円盤に所定角度毎に設けられた凹部と、前記作動フレームのうち前記円盤に面する側に設けられ、前記作動フレームが前記所定角度回動する毎に前記凹部に順次嵌合する弾性突起とを備えたことを特徴とする。
【0009】この回復測定器では、作動フレームを所定角度(例えば1〜10°の範囲で定められた角度)回動させる毎に、作動フレームの円盤側に設けた弾性突起が円盤に設けた凹部に順次嵌合する。このように弾性突起が凹部に嵌合した状態では、作動フレームから手を離したとしても作動フレームはその位置で比較的堅固に支持され、作動フレームの重量や作動フレームに及ぼされる外力等によって容易に回動することはない。したがって、この回復測定器によれば、作動フレームから手を離して目盛りを読み取る際に不意に作動フレームが回動してしまうことがないという効果が得られる。
【0010】なお、基準フレームや作動フレームは回動操作時に変形することのないような剛性を有することが好ましく、例えば金属製であることが好ましい。また、弾性突起は作動フレームと円盤側との間で弾性によって変位可能なものであれば特に限定されない。更に、凹部は所定角度毎に半径方向に2つ以上並設し、弾性突起は半径方向に並設された凹部に嵌合するように設けることが、上記効果を有効に得るうえで好ましい。更にまた、凹部は円盤の中心付近よりも外周付近に設けることが上記効果を有効に得るうえで好ましい。
【0011】本発明の回復測定器において、前記凹部は金属製であり、前記弾性突起は前記作動フレームから弾性体により前記円盤側に付勢された金属製の凸部であることが好ましい。この場合、作動フレームが所定角度回動したときには金属製の凸部が金属製の凹部に衝突して金属音が鳴るので、測定者は作動フレームから手を離した後に作動フレームが回動したかどうかを容易に認識できる。このため、手を離した後に作動フレームが回動したにもかかわらずそのまま測定するおそれが解消され、測定精度上有利である。
【0012】このとき、前記弾性体に付勢された前記凸部は、前記作動フレームから前記円盤側への突出量を調節可能であることが好ましい。この場合、例えば長期間使用した後に弾性体が劣化した場合であっても、突出量を大きくすることにより、作動フレームから手を離したときに作動フレームが不意に回動するのを確実に防止できる。
【0013】本発明の回復測定器において、前記作動フレームは、弾性体を介して前記円盤の中心に回動可能に締結されていることが好ましい。この場合、作動フレームは弾性体を介して締結されているため、きつく締結したとしてもその締結力が弾性体によって緩和され、作動フレームの回動がスムーズになる。このため、作動フレームを円盤の中心に締結する際の締結程度の調整が容易になる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本実施形態の屈曲運動機能の回復測定器の正面図、図2は同じく裏面図、図3は同じく右側面図、図4は同じく側面断面図である。
【0015】この回復測定器10は、主として円盤11、基準フレーム16、作動フレーム21から構成されている。円盤11は、金属製の円形基板12と、その表面に貼付された樹脂製の目盛板13とからなる。目盛板13には角度単位の目盛が付されており、具体的には1°刻みに目盛りが付され、10°毎に角度表示が付されている。
【0016】円形基板12の裏面には外側凹部14aと内側凹部14bが設けられている。外側凹部14aは、円盤11の外周近傍にて5°毎に設けられ、内側凹部14bは、円盤11の外周と円盤11の中心の中央付近にて同じく5°毎に設けられている。そして、円盤11の半径方向には外側凹部14aとそれに対応する内側凹部14bとが並んでいる。
【0017】基準フレーム16は、金属製であり、円盤11の中心にて雌軸17及び雄軸18を介して円盤11の表側に取り付けられると共に円盤11の外周側にてビス19で止められ、円盤11に対して回動不能となっている。この基準フレーム16は円盤11の半径方向と一致する基準線L1を有しており、この基準線L1は目盛板13の「0°」と一致している。
【0018】作動フレーム21は、金属製であり、円盤11の中心にて雌軸17及び雄軸18を介して回動可能となるように円盤11の裏側に取り付けられている。この作動フレーム21は円盤11の半径方向と一致する測定線L2を有している。また、作動フレーム21には、目盛板13の目盛りを指し示すための矢印22aが付された指針板22がビス23で止められている。この指針板22に付された矢印22aは測定線L2と同一線上になるように付されている。
【0019】この作動フレーム21のうち円盤11に面する側には、半径方向に沿って外側凸部24aと内側凸部24bが設けられている。各凸部24a、24bは金属製のボールベアリングであり、作動フレーム21のネジ穴25a、25bに配置された弾性体としてのスプリング26a、26bの一端に固着され、このスプリング26a、26bによって円盤11側に付勢されている。また、スプリング26a、26bの他端はネジ穴25a、25bに螺合された六角ネジ27a、27bに当接しており、この六角ネジ27a、27bのねじ込み量によって作動フレーム21の裏面からの凸部24a、24bの突出量を調節できる。
【0020】雌軸17は基準フレーム16の段差孔28を経て円盤11を通過するように配置され、雌軸17の足部は第1座金31を介して作動フレーム21の段差孔29に差し込まれている。一方、雄軸18は足部に第2座金32及びスプリング33を通した状態で作動フレーム21の段差孔29から雌軸17の足部に設けたネジ穴34に螺合されている。
【0021】次に、本実施形態の回復測定器10の使用例について説明する。ここでは膝の屈曲運動機能の回復度を測定する場合を例に挙げて、図5に基づいて説明する。まず、被測定者Pを椅子に座らせ、回復測定器10の雌雄軸17、18を関節軸である膝に合わせ、この状態で基準フレーム16をバンド等の固定具35で大腿の軸線と略一致するように固定し、作動フレーム21を下腿の軸線と略一致するように手で押さえる。そして、手で下腿に作動フレーム21を押し付けたまま、膝を曲げていく。このとき、基準フレーム16及び作動フレーム21には過大な力が加えられることもあるが、両フレーム16、17は金属製であるため変形したりするおそれがない。また、被測定者が膝を曲げるのにしたがって作動フレーム21が回動するが、作動フレーム21に設けた外側凸部24a及び内側凸部24bが円形基板12に設けた外側凹部14a及び内側凹部14bに順次嵌合していくため、カチカチという金属音が鳴る。
【0022】その後、被測定者がそれ以上膝を曲げることができなくなった時点で、作動フレーム21から手を離し、指針板22の矢印22aが指示する目盛板13上の目盛りを読み取る。作動フレーム21から手を離すと、作動フレーム21に設けた外側凸部24a及び内側凸部24bが円形基板12に設けた外側凹部14a及び内側凹部14bに嵌合した状態になるため、作動フレーム21はその位置で比較的堅固に支持され、作動フレーム21の重量や作動フレーム21に及ぼされる外力等によって容易に回動することはない。したがって、この回復測定器10によれば、作動フレーム21から手を離して目盛りを読み取る際に不意に作動フレーム21が回動してしまうことがない。なお、本実施形態では所定角度として5°を採用し5°毎に凹部14a、14bを設けているため、測定誤差は5°未満である。
【0023】また、作動フレーム21から手を離した後に、凸部24a、24bと凹部14a、14bとが嵌合することにより発せられる金属音によって、測定者は作動フレーム21が不意に回動したことを容易に認識できる。このため、手を離した後に作動フレーム21が不意に回動したにもかかわらずそのまま測定するおそれが解消され、測定精度上有利である。
【0024】更に、六角ネジ27a、27bのねじ込み量を調節して外側凸部24a、内側凸部24bの円盤11側への突出量を調整することにより、例えば長期間使用した後にスプリング26a、26bが劣化した場合であっても、突出量を大きくすることにより、作動フレーム21から手を離したときに作動フレーム21が不意に回動するのを確実に防止できる。
【0025】更にまた、作動フレーム21はスプリング33を介して雌雄軸17、18によって締結されているため、きつく締結したとしてもその締結力がスプリング33によって緩和され、作動フレーム21の回動がスムーズになる。このため、作動フレーム21を円盤11の中心に締結する際の締結程度の調整が容易になる。
【0026】尚、本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。例えば、上記実施形態では外側凹部14aと内側凹部14bを設けたが、いずれか一方の凹部のみにしてもよい。また、回復測定器10を樹脂製としてもよい。
【出願人】 【識別番号】000001410
【氏名又は名称】株式会社河合楽器製作所
【出願日】 平成10年(1998)4月15日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】足立 勉
【公開番号】 特開平11−299758
【公開日】 平成11年(1999)11月2日
【出願番号】 特願平10−104715