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【発明の名称】 連続式血圧計
【発明者】 【氏名】萩 原 尚

【氏名】福 喜 多 博

【要約】 【課題】血管に振動を与え、血管を伝わる振動を解析することで生体の血圧を測定する血圧計では、効率よく振動を体内に伝え、検出することが必要である。

【解決手段】励振器1を励振器1と手首橈骨下端の隆起7とで橈骨動脈5をはさむように配置し、振動センサ2を励振器1よりも心臓側に配置し、励振器1および振動センサ2の振動面を両面テープ3、4によって皮膚6に接触させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 血管を振動させるための励振器と、血管を伝搬した振動を検出する振動センサと、振動センサからの電気信号を解析するプロセッサとを備え、振動の伝搬速度を計測することで人体の血圧を連続的かつ非観血的に測定する装置において、血管を振動させるための励振器が人体手首の橈骨末端部と励振器の振動面とにより橈骨動脈を挟むように配置され、振動センサが前記励振器より心臓側の橈骨動脈上部の皮膚に配置され、前記励振器の振動面および振動センサのセンサ面が粘着材により人体皮膚に取り付けられることを特徴とする連続式血圧計。
【請求項2】 前記励振器が、金属板と圧電セラミックスから構成されるモノモルフ振動子であることを特徴とする請求項1記載の連続式血圧計。
【請求項3】 前記振動センサが、長方形もしくは楕円形でその長軸は直下の橈骨動脈直径の2倍以上の長さで、長軸が橈骨動脈と直交するように配置されることを特徴とする請求項1記載の連続式血圧計。
【請求項4】 前記励振器および振動センサを人体皮膚に取り付けるための粘着剤が両面テープであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の連続式血圧計。
【請求項5】 前記両面テープに幅細のスリットを設けたことを特徴とする請求項4記載の連続式血圧計。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医療用器具の分野において、生体内血管に微弱な振動を与え、血管内を伝搬した振動を検出し、解析することで血圧を連続的に測定する連続式血圧計に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の連続式血圧計では、例えば特表平9−506024号公報に示すように、非侵襲で血圧をリアルタイムに計測する方法が提案されている。この方法は、血圧の変化に応じて血管の弾性が変化することを利用し、血管を伝搬する振動の速度を検出することで血管の弾性を算出し、その血管の弾性値から血圧を推定するものである。
【0003】以下、この血圧計測方法について説明する。まず、被検体の体表から血管を振動させ、血管上を伝搬した振動を検出する。検出した振動をディジタル信号に変換した後、フィルタリング処理、位相検波処理を行い、血圧変動による位相変化を算出し振動伝搬速度の変化を得る。振動伝搬速度変化は、血管の弾性の変化を表し、血管の弾性の変化は、血圧の変化すなわち動圧を表す。この変化を同一被検体に別に設置した校正用のカフ式血圧計による最高血圧および最低血圧の測定値で校正することにより、生体内の血圧を非侵襲でリアルタイムに計測する。この方式において精度の高い血圧検出を行うには、生体内の血管に効率良く振動を伝え、血管を伝搬した振動を感度良く検出することが重要である。
【0004】また、上記特表平9−506024号公報では、生体内に振動を伝える励振器およびその装着方法として、図7に示す方法を公開している。図7は前腕に取り付けた励振器の断面とそれに接続された構成要素を示している。励振器101は空気管102を介してコンプレッサ103および電気−圧力変換器104に接続された膨張可能な袋で、止め具105により橈骨動脈106を被うように固定される。コンプレッサ103は、励振器101が橈骨動脈106を十分圧迫できる一定圧力を発生し、電気−圧力変換器104は、図示しないプロセッサからの電気信号を空気圧に変換し、励振器101を介し橈骨動脈106を振動させる。
【0005】また、上記特表平9−506024号公報では、血管を伝搬した振動を検出する振動センサおよびその装着方法として、図8に示す方法を公開している。図8は手首に取り付けられた振動センサの断面を示している。振動センサ107は、止め具108により橈骨動脈106近くに固定される。止め具108にはノイズを減らすためのバッフル109も含まれている。バッフル109は、センサ107を橈骨動脈に圧接させるための空気袋である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来例の励振器では、空気圧により血管を振動させる方式であるため、圧搾空気を作るためのコンプレッサ、圧搾空気を振動させる変換器および腕と空気袋を圧接するための止め具といった多くの構成要素が必要となる。また、圧搾空気を振動させる電気−変換器は、大きな圧力変動を圧力変動としては高い周波数で発生させなければならず、例えばボイスコイル式の変換器を用いた場合、数ワット以上の電力を必要とし、消費電力も大きい。また長時間連続で動作させるには、放熱器等による過熱を抑える機構をも導入する必要があり、装置容積も大きなものとなってしまう。また、腕を止め具で絞める必要が有るので、被験者に不快感を与えてしまう。
【0007】また、上記従来例の振動センサでは、常に一定の圧力で振動センサを腕に押し付けるためのバッフルと締め具が必要である。腕とセンサを止め具で押さえ付けているため、被験者が腕を動かした場合、センサが血管を押し付けて血管を変形させてしまう場合があり、測定する振動の伝搬経路を大きく歪めることとなり、安定した血圧波形を得ることが困難である。また、前記励振器と同様に腕を止め具で絞める必要が有るので、被験者に不快感を与えてしまう。
【0008】本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、患者に不快感を与えず、効率よく振動を体内に伝え、安定して伝搬した振動を検出可能な連続式血圧計を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を達成するために、励振器を励振器と手首橈骨下端の隆起とで橈骨動脈5を挟むように配置し、振動センサを励振器よりも心臓側に配置し、励振器および振動センサの振動面を粘着材によって人体に接触させるようにしたものである。これにより、患者に不快感を与えず、効率よく振動を体内に伝え、安定して伝搬した振動を検出することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明は、血管を振動させるための励振器が人体手首の橈骨末端部と励振器の振動面とにより橈骨動脈を挟むように配置され、振動センサが前記励振器より心臓側の橈骨動脈上部の皮膚に配置され、前記励振器の振動面および振動センサのセンサ面が粘着材により人体皮膚に取り付けられることを特徴とするものであり、橈骨動脈の背面が橈骨下端の隆起により支えられるため、励振器の振動が効率よく橈骨動脈に伝えられる。また、粘着剤により励振器および振動センサの振動面が皮膚に接着されることにより、さらに効率良く振動の伝搬、検出を行うことができる。
【0011】また請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記励振器が金属板と圧電セラミックスから構成されるモノモルフ振動子としたものである。これにより、軽量・小型で消費電力の小さい励振器を実現できる。
【0012】また請求項3に記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記振動センサが、長方形もしくは楕円形でその長軸は直下の橈骨動脈直径の2倍以上の長さで、長軸が橈骨動脈と直交するように配置されるようにしたものである。これにより、センサの長軸方向の両端は皮膚上で固定され、橈骨動脈の上に位置するセンサ中心部のみが橈骨動脈の振動を受けてたわむため、橈骨動脈のわずかな振動でも感度良く検出可能となる。
【0013】また請求項4に記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記励振器および振動センサを人体皮膚に取り付けるための粘着剤を両面テープとしたものである。これにより、励振器および振動センサの振動面に薄く均一な粘着剤を構成することが可能である。
【0014】また請求項5に記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記両面テープに幅細のスリットを設けたものである。これにより、励振器および振動センサの接着部の通気性が確保でき、長時間センサを装着した場合でもむれおよび発汗による励振器およびセンサの剥離を防ぐことができる。
【0015】以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(実施の形態1)図1は本発明の実施の形態1に係る血圧計の励振器および振動センサを生体前腕に取り付けた様子を示している。励振器1は、手首の橈骨動脈上に、また振動センサ2は、同じ橈骨動脈上の心臓側に粘着されている。これらの取り付け位置および方法をより詳細に説明するために、直線l(Lの小文字)を通る平面での断面図を図2に示す。
【0016】図2において、励振器1および振動センサ2は、それぞれ両面テープ3,4により橈骨動脈5の真上の皮膚6に接着されている。両面テープ3,4は橈骨動脈5より硬い材質で構成される。橈骨下端には橈骨下端隆起7が存在し、皮膚6の真下に橈骨動脈5が存在する。励振器1は、橈骨動脈5を橈骨下端隆起7で挟む位置に接着される。なお、励振器1と振動センサ2の距離は2〜10cm程度が最適で、これより小さいと振動の伝搬経路が短いため、振動伝搬速度が正確に求められず、これより長いと振動の減衰が大きいため振動センサ2において十分な振幅の振動が検出不能となる。
【0017】励振器1の構成についてより詳細に図3を用いて説明する。図3は皮膚に取り付けられた励振器1の断面を詳細に示したものである。直径約20mmの円形の金属板10に同じく円形の圧電セラミックス11が着けられ、図示しない電極が金属板10と圧電セラミックス11にそれぞれ設けられており、モノモルフ型振動板を構成している。金属板10のもう一方の面にはシリコンゴム12が接着され、それらはケース13に覆われている。シリコンゴム12の外面は励振器振動面8であり、両面テープ3により皮膚6に粘着されている。なお、上記の構成の励振器1は、100〜3000Hzの周波数の振動を橈骨動脈に与えることに適したものとなっている。
【0018】振動センサ2の構成についてより詳細に図4を用いて説明する。図1で示したように、本実施の形態では振動センサ2は長方形をしており、長軸が橈骨動脈5と垂直に交わるように配置されている。直線mを通る平面での断層図を図4に示す。これは振動センサ2の長軸方向の断面図である。橈骨動脈5上の皮膚に振動センサ2が両面テープ4により粘着されている。本実施の形態では、振動センサ2の長軸は直下の橈骨動脈5の4倍程度の長さとなっている。振動センサ2は橈骨動脈5との位置関係から3つの領域に分けることができ、それらは、橈骨動脈上の領域bとそれの両側の領域a、cである。領域bは橈骨動脈5の真上に位置し、橈骨動脈5の振動に合わせて振動する。一方、領域a、cは橈骨動脈5から離れた位置にあるため、橈骨動脈の振動は受けずに皮膚に固定されている。よって、振動センサ2は長軸方向に大きなたわみを生じ、それにより振動センサ2で大きな電圧を発生させることができる。振動センサ2としては、励振器1の構成で説明したモノモルフ型振動板や、圧電高分子材料などが適している。
【0019】次に、励振器1の配置による効果について説明する。励振器振動面8は励振波形により、上下に変形する。励振器振動面8の振動による変形は両面テープ3を介して橈骨動脈5に伝えられる。橈骨動脈5は背面を硬い橈骨下端隆起7により支えられているので、励振器振動面8から発せられた変形エネルギは、すべて橈骨動脈5の変形に使用される。よって、効率良く振動エネルギを橈骨動脈5に伝達することが可能となる。
【0020】次に、両面テープ3による効果について説明する。前述の様に励振器振動面8は上下に変形する。下への変形は皮膚を圧縮することで伝達されるが、上への変形は両面テープの粘着力により伝達される。これにより励振器1を皮膚に加圧することなく、効率良く振動を橈骨動脈5に伝えることができる。両面テープ4の効果についても同様であり、振動センサ2を皮膚に加圧することなく、効率良く橈骨動脈5の振動を振動センサ2に伝達することができる。さらに、締め具等でセンサを血管に押し付ける必要がないので、被験者が腕を動かしても血管を変形させることがなく、安定した血圧波形を得ることができる。
【0021】以上のように、本発明の実施の形態1によれば、励振器1は、従来の励振器に比べ、その構成がはるかに単純で、軽量、小型であるという利点を有する。また消費電力も小さく、励振器の駆動回路も含めた装置全体での小型化が可能である。さらに、実効電圧10V程度の正弦波を励振器1に与えることで、十分な振動を直下の橈骨動脈5に加えることができ、振動センサ2では、橈骨動脈5を伝搬した振動を十分な感度で検出が可能となる。さらに、締め具等でセンサを血管に押し付けるものではないので、被験者が腕を動かしても血管を変形させることがなく、被験者が腕を動かしても安定した血圧波形を得ることができる。
【0022】また本実施の形態1によれば、シリコンゴム12により皮膚に接触する面を柔らかい材質にすることにより、皮膚との密着度を上げ、金属板10の振動を効率良く皮膚15に伝達することができる。また、シリコンゴム12は絶縁材の役割も果たしている。
【0023】(実施の形態2)図5は本発明の実施の形態2に係る両面テープの構成を示しており、両面テープを貼り付けた励振器を底面から見た図である。励振器1の底面に貼り付けた両面テープ20に幅細のスリットを設けた構造となっている。この励振器1を腕に取り付けた場合の断面図を図6に示す。励振器1が両面テープ20により皮膚6に粘着されている。両面テープ20にはスリット21が設けてあり、これが気道の役割を果たし、皮膚からの発汗を外気に放出することを可能とする。上記説明では励振器1を取り付けるための両面テープについて説明したが、振動センサ2を取り付けるための両面テープについても全く同様の構成を施すことができる。
【0024】以上のように、本発明の実施の形態2に係る両面テープによれば、励振器1および振動センサ2を長時間腕に粘着させ、血圧を計測した場合でも、粘着部の発汗によるむれ、剥離を防ぐことができ、長時間の血圧測定が可能となる。
【0025】なお、本実施の形態2では、スリット21は一方向のものを説明したが、スリットの形状は縦横方向に交わったものなど任意の形状とすることが可能である。
【0026】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によれば橈骨と励振器で橈骨動脈を挟むように励振器を配置し、励振器および振動センサの振動面を粘着剤で皮膚に粘着させるようにしたので、振動を効率良く橈骨動脈に与え、橈骨動脈を伝搬した振動を感度良く検出できる。また、励振器を駆動するための駆動回路も小さくすることが可能で、小型、軽量の連続式血圧系を実現可能とする。さらに、締め具等でセンサを血管に押し付けるものではないので、被験者が腕を動かしても血管を変形させることがなく、被験者が腕を動かしても安定した血圧波形を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成10年(1998)4月17日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】蔵合 正博
【公開番号】 特開平11−299745
【公開日】 平成11年(1999)11月2日
【出願番号】 特願平10−107290