トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 眼科装置
【発明者】 【氏名】征矢 耕一

【氏名】齋藤 節夫

【氏名】花木 博彦

【要約】 【課題】本発明は、補助者を必要とせず、また検者も装置の操作をしながらの開眼作業の煩わしさを無くして、検者が操作に集中でき、且つ被検者にも恐怖感を与えることなく、被検者の瞼を開けさせる事のできる眼科用顔受け台を提供する。

【解決手段】被検者の顔部或いは、その一部を固定する手段を備える眼科装置において、被検者の額が当接する額当てと、被検者の額を当接させた状態で前記額当てを上下に移動する移動手段とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被検者の顔部或いは、その一部を固定する手段を備える眼科装置において、被検者の額が当接する額当てと、被検者の額を当接させた状態で前記額当てを上下に移動する移動手段と、を備えることを特徴とする眼科装置。
【請求項2】 請求項1の眼科装置は、さらに前記額当ての上下移動とは関係なく、上下移動及び固定が可能な被検者の顎を載せる顎載せ台を備えることを特徴とする眼科装置。
【請求項3】 被検者の顔部或いは、その一部を固定する手段を備える眼科装置において、被検者の額が当接する額当てと、被検者の顎が当接する顎当接部と、該顎当接部に一定以上の力が加わると前記額当てに対し、前記顎当接部が所定量分だけ下方に移動する下方移動手段と、を備えることを特徴とする眼科装置。
【請求項4】 請求項3の眼科装置は、前記顎当接部を含む顎載せ台を備え、該顎載せ台は上下移動及び固定が可能であることを特徴とする眼科装置。
【請求項5】 被検者の顔部或いは、その一部を固定する手段を備える眼科装置において、被検者の額が当接する額当てと、被検者の顎が当接する顎当接部と、被検者の額を当接させた状態で前記額当て若しくは前記顎当接部の少なくとも一方を上下に移動する移動手段と開瞼状態を検出する検出手段とを備え、検出結果に基づいて前記移動手段を動作させることを特徴とする眼科装置。
【請求項6】 請求項5の眼科装置は、前記検出手段によって得られた情報を基に被検眼の開眼状態の適否を判定する判定手段を備え、該判定手段により開眼状態が不十分と判定されると、前記移動手段により前記額当て若しくは前記顎当接部の少なくとも一方を上下方向に移動することを特徴とする眼科装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被検者の顔部或いはその一部を固定して被検眼の撮影や測定を行う眼科装置に関する。
【0002】
【従来技術】眼屈折力測定装置や非接触式眼圧計等の眼科装置は、一般に、被検者の額を当接させる額当てや顎を受ける顎受けが設けられた顔受け台を備えている。測定の際には、この顔受け台で被検者の顔を固定させることにより被検眼の固定を図るとともに、眼にまつげが掛かっていたり、開瞼(開眼)が十分でない被検眼に対しては、検者又は補助者が手で被検者の瞼を強制的に開く作業を行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、検者自身が手で被検者の瞼を強制的に開かせながら装置の操作を行う事は、検者にとって煩わしく操作に集中できない。検者自身が行わない場合には、補助者を必要とすることは都合が悪い。
【0004】また、被検者にとっても他人の手により瞼を強制的に開かれることは、恐怖心を与え、逆に瞼を閉じようとする方向に力が働いてしまう傾向がある。
【0005】本発明は上記問題点を鑑み、補助者を必要とせず、また検者も装置の操作をしながらの開眼作業の煩わしさを無くして、検者が操作に集中でき、且つ被検者にも恐怖感を与えることなく、被検者の瞼を開けさせる事のできる眼科用顔受け台を提供する事を技術課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0007】(1) 被検者の顔部或いは、その一部を固定する手段を備える眼科装置において、被検者の額が当接する額当てと、被検者の額を当接させた状態で前記額当てを上下に移動する移動手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】(2) (1)の眼科装置は、さらに前記額当ての上下移動とは関係なく、上下移動及び固定が可能な被検者の顎を載せる顎載せ台を備えることを特徴とする。
【0009】(3) 被検者の顔部或いは、その一部を固定する手段を備える眼科装置において、被検者の額が当接する額当てと、被検者の顎が当接する顎当接部と、該顎当接部に一定以上の力が加わると前記額当てに対し、前記顎当接部が所定量分だけ下方に移動する下方移動手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】(4) (3)の眼科装置は、前記顎当接部を含む顎載せ台を備え、該顎載せ台は上下移動及び固定が可能であることを特徴とする。
【0011】(5) 被検者の顔部或いは、その一部を固定する手段を備える眼科装置において、被検者の額が当接する額当てと、被検者の顎が当接する顎当接部と、被検者の額を当接させた状態で前記額当て若しくは前記顎当接部の少なくとも一方を上下に移動する移動手段と開瞼状態を検出する検出手段とを備え、検出結果に基づいて前記移動手段を動作させることを特徴とする。
【0012】(6) (5)の眼科装置は、前記検出手段によって得られた情報を基に被検眼の開眼状態の適否を判定する判定手段を備え、該判定手段により開眼状態が不十分と判定されると、前記移動手段により前記額当て若しくは前記顎当接部の少なくとも一方を上下方向に移動することを特徴とする。
【0013】
【発明の形態の実施】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る眼屈折力測定装置等の据置き型眼科装置の側面図を示したものである。1は光学系等が収蔵される眼科装置本体であり、眼科装置本体1はジョイスティック2等を操作することにより基台3上を移動する。4は被検者5の被検眼の位置を固定するための顔受け台である。なお、眼科装置本体1については本発明と関係が薄いので、その説明は省略する。
【0014】図2は顔受け台4を被検者5側から見た図である。6は基台3に固設された固定台支基であり、その上部にはU字形の支柱受け6aが設けられている。7は逆U字形状の額当て支柱であり、その2本の支柱は上下に移動可能に支柱受け6aに差し込まれて支持されている。8は支柱7を上下動させるための回転ノブである。9は支柱7に架設された額当てであり、額当て9の被検者側には、滑りにくくするために摩擦係数の高い材質(例えば樹脂、ゴム、スポンジ等)を使用した当接部9aが取り付けられている。また、額当て9若しくは当接部9aは取り替えることができるようにしておき、被検者毎又は当接部9aが滑りやすくなってきたら取り替えるようにしても良い。
【0015】10は被検者の顎を載せるための顎載せ台であり、支柱受け6aのサイドに設けられた回転ノブ11を回す事により、固定台支基6に対して上下動する機構になっている。
【0016】図3は額当て支柱7を上下動させる機構を説明するための、図2のA−A断面を示す概略図である。図に示すように、額当て支柱7には送りネジ部7aが形成されており、対する回転ノブ8の内側には送りネジ部7aに螺合する雌ネジ部8aが形成されている。回転ノブ8の内部と支柱受け6aの間には、断面T字状のネジ止め14が配されており、その突出した上部14aと支柱受け6aの上端面との間にはネジ12が入り込む隙間15を確保するように、ネジ止め14の下部がネジ13によって支柱受け6aに固定されている。回転ノブ8はネジ止め14が固定された支柱受け6aの上方向から挿入した後、ネジ12を側面から差し込む。差し込まれたネジ12はネジ止め14の上部14aに規制されるため、回転ノブ8が支柱受け6aから外れないようになる。また、隙間15が確保されているため、回転ノブ8は自在に回転できる。
【0017】このような構成によって、回転ノブ8を回すことにより額当て支柱7を無段階的に上下に移動することができる。
【0018】次に、以上のような構成の装置についてその動作を説明する。検者は、被検者に額当て9に額(眉毛の上付近)を付けるよう指示する。また、被検者の姿勢が不自然(無理)な姿勢となっている場合には、眼科装置を設置してある図示なき架台や被検者の座っている椅子等を調節して無理な姿勢にならないようにする。次に、顎載せ10が被検者の顎に来るように回転ノブ11を回してその高さを調節し、被検者の顎をしっかりと顎載せ10に当接するように指示する。
【0019】このようにして被検者が無理な姿勢でなく、きちんと顔部が顎載せ10と額当て9によって固定保持されている事を確認したら、被検者に眼を大きく開くように指示し、被検眼に対して装置本体1を移動してアライメントする。
【0020】このとき、被検者自身では開眼が十分に行えず、図4aのように測定領域にまつげが掛かっていたり、瞼の開き加減が足りないことがある。このような時には、検者は被検者にしっかりと額当て9に額を付けるように指示し、支柱7が上方へ送り出される方向へ回転ノブ8を回す。回転ネジ8を回すと前述の機構により支柱7が上方に送り出され、額当て9も上方へ移動する。額当て9と額との間には滑りにくい材質で構成されている当接部材9aがあり、しっかりと額に当接されているため、額当て9が上がると被検者の額に当接している皮膚もいっしょに持ち上がることとなる。額周辺の皮膚が持ち上がると、被検眼周辺の皮膚も上方に引っ張られるため、図4bのように結果的に被検者が意識することなく瞼が開く事となる。
【0021】測定に対して被検眼の開眼を十分にすることができたら、ジョイスティック2等を操作し、被検眼に対する装置本体1のアライメントして測定を行う。
【0022】以上説明した実施例は種々の変容が可能である。例えば、額当てを動かすのではなく、顎載せ台が一定以上の力が加わると所定量沈み込むような機構を持たせる事により、前述した実施例と同様に瞼を開かせることができる。この機構の例を図5により説明する。図5は顎載せ台を被検者側から見たときの該略断面図を示す。
【0023】顎載せ台100の下には支持軸101が固定されており、支持軸101は保持支柱102に挿通されいる。保持支柱102の内部には、支持軸101を常時上方向に付勢するバネ103が設けられている。なお、保持支柱102は、先の例と同様に回転ノブによって、顎載せ台100と共に上下方向へ移動するようになっている。被検者の顎を顎載せ台100に置き、上から下へ押さえつけるようにしながら一定以上の力が加わると、顎載せ台100はバネ103のバネ力に抗して所定量(顎載せ台100の底面が、保持支柱102の上面に接するまでの距離)だけ下方へ下がる。顎載せ台100が下方に下がることで顔部全体が下がるが、額は固定された額当てに付いたままであるので、相対的に額の位置が上がることとなる。したがって先の例と同様に、額周辺の皮膚が上方に引っ張り上げられている状態となるため瞼が開くのである。この機構では検者が被検者の瞼を開けさせるための操作をする必要が無いので、さらに手間を省く事ができる。
【0024】また、額当てや顎載せ台の上下動を手動ではなく、電気的制御により駆動させると共に、瞼の開き具合を検出する検出機構等と組み合わせて自動的に開眼操作を行うことも可能である。この変容例を図6のブロック概略図を用いて説明する。
【0025】被検眼に対して装置本体1をアライメントすると、そのアライメント状態はアライメント検出部31によって検出された後、制御部30によってその適否が判断される。アライメント検出部31は、被検眼角膜にアライメント指標を投影する指標投影系と角膜投影された指標を検出する検出系とを備える。アライメントが完了状態であるときには、制御部30は開瞼状態検出部32からの信号により、被検眼の開瞼状態の適否を判断する。開瞼状態検出部32は、検査又は測定に必要な領域外の被検眼角膜上に検出用の指標を投影する指標光学系、角膜に投影された該指標像を検出する検出系を備え、検出系により指標像が検出されるか否かにより、被検眼の開瞼状態を適否が判断できる。被検眼の開瞼が不十分であると判断されると、制御部30は額当て9(又は顎載せ台10)を上下に移動する移動機構33を駆動制御して、被検眼の開瞼が十分になるように額当て9(又は顎載せ台10)を移動する。また、開瞼状態検出部32の結果によって検者が額当て9(又は顎載せ台10)を移動させても良い。なお、これらアライメント検出部31及び開瞼状態検出部32の構成は、例えば、本出願人による特開平9−149884記載のものを使用することができる。
【0026】また、額当てに圧力センサ等を設け、一定の圧力を上回ると自動的に額当てが上方に持ち上がるようにしても良い。
【0027】さらに、額当てを被検者の額の形状にぴったりと合わせるために、額当ての材質として形状記憶樹脂等を用いることによって額当てを個々の額にあった形状とする事ができ、更に効率よく瞼を開けさせる事ができる。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、装置の操作をしながらの被検眼の開眼作業の煩わしさを無くして、検者は装置の操作に集中できる。また、被検者にも恐怖感を与えることなく瞼を開けさせることができる。
【出願人】 【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
【出願日】 平成10年(1998)4月23日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−299733
【公開日】 平成11年(1999)11月2日
【出願番号】 特願平10−112914