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【発明の名称】 内視鏡の処置具起立装置
【発明者】 【氏名】小見 修二

【要約】 【課題】処置具案内部とワイヤ連結部とを連設した処置具起立台に、そのワイヤ連結部の処置具導出部の壁面と対面する側に操作ワイヤの挿通路を設けて、処置具が通過する部位に、隙間や溝等が形成されないようにして、処置具を円滑かつ確実に処置具挿通チャンネルから処置具起立台に移行させることができるようにする。

【解決手段】先端構成部2cに設けた処置具導出部7には処置具起立台23が設けられ、この処置具起立台23には操作ワイヤ26の先端部が接続されるが、そのワイヤ連結部23Cには内側壁10a側に開口するワイヤ挿通路31が形成され、操作ワイヤ26の先端には球体32が連結され、ワイヤ挿通路31は、基端側に向けて延在したワイヤ挿通部31aと球体保持部31bとから構成され、操作ワイヤ26に連結した球体32が球体保持部31bに収容されて、操作ワイヤ26はワイヤ挿通部31aを介して引き出される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 挿入部の先端構成部に設けられ、処置具挿通チャンネル内に挿通した処置具を方向転換させて外部に導出させるために、少なくとも左右の内側壁を含む処置具導出部を形成して、この処置具導出部には、基端側が先端構成部に連結して設けた支軸に処置具起立台を上下方向に回動可能に連結し、この処置具起立台に操作ワイヤを連結して、この操作ワイヤを遠隔操作により起立操作する構成としたものにおいて、前記処置具起立台には処置具を案内する処置具案内部と、前記操作ワイヤの先端が取り付けられると共にそれを挿通させるワイヤ挿通路を形成したワイヤ連結部とを連設し、このワイヤ連結部の少なくとも回動方向の上方側側面部は前記前記操作ワイヤを覆うように前記内側壁側に張り出す構成としたことを特徴とする内視鏡の処置具起立装置。
【請求項2】 前記操作ワイヤの先端に球体を連結して設け、この球体を前記ワイヤ連結部に連結する構成としたことを特徴とする請求項1記載の内視鏡の処置具起立装置。
【請求項3】 前記処置具起立台を構成するワイヤ連結部に形成した前記ワイヤ挿通路は、前記球体を収納する球体保持部に連なる長溝からなり、これら球体保持部及びワイヤ挿通路を前記内側壁に向けて開口させる構成としたことを特徴とする請求項2記載の内視鏡の処置具起立装置。
【請求項4】 前記ワイヤ連結部は前記処置具案内部の案内面より高い位置まで突出させる構成となし、このワイヤ連結部には、この案内面より処置具起立台の起立方向における上方位置で前記操作ワイヤの先端を固定する構成としたことを特徴とする請求項1記載の内視鏡の処置具起立装置。
【請求項5】 前記先端構成部に設けられる観察窓の観察視野は挿入部の軸線に対して斜め前方に向くようにした斜視型の内視鏡であり、前記処置具導出部は、この先端構成部の先端面から上部側の側面に開口する構成としたことを特徴とする請求項4記載の内視鏡の処置具起立装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、観察視野が挿入部の軸線に対して所定の角度を持った斜視内視鏡や側視内視鏡等に設けられ、鉗子その他の処置具を起立させる処置具起立装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】医療用等として用いられる内視鏡は、本体操作部に体腔内等への挿入部を連結して設ける構成としたものである。挿入部は体腔内等のように曲がった挿入経路に沿って挿入されることから、その大半の長さは軟性の部材からなるが、照明部及び観察部が設けられる先端部分は硬質部材からなる先端構成部となっている。挿入部は患者の体内等における所定の観察対象部にまで導くことによって、照明部からの照明光の照射下で、観察部を介して体内の観察を行うことができるようになっている。また、観察結果により患部等が発見された時には、鉗子等の処置具を挿通させて、患部の摘出等の処置を施すことができるようになっており、このために挿入部の先端には前述した照明部及び観察部に加えて処置具導出部も設けられる。
【0003】ここで、内視鏡の観察部による観察視野の方向としては、挿入部の軸線方向、即ち前方に向いた直視型内視鏡と、視野の中心が挿入部の軸線に対してほぼ直交する方向、即ち側方に向けた側視型内視鏡とがあり、さらに直視型内視鏡と側視型内視鏡との中間の方向、即ち斜め前方に視野を向けた斜視型内視鏡も用いられる。直視型内視鏡は、その観察視野は挿入部の軸線方向に向いており、処置具の挿通経路も挿入部の軸線方向に形成され、従って処置具は真直ぐ導出させれば良い。しかしながら、側視型内視鏡や斜視型内視鏡の場合には、観察視野の方向は挿入部の軸線に対して所定の角度を持っているので、処置具の挿通経路を挿入部の軸線方向から観察視野の方向に方向転換させなければならない。
【0004】前述した側視型内視鏡や斜視型内視鏡における処置具挿通経路としては、先端構成部に至るまでは挿入部の軸線方向に延在させた処置具挿通チャンネルで構成され、この処置具挿通チャンネルは先端構成部に形成した凹部からなる処置具導出部に連通している。この処置具導出部は、先端構成部の側面または側面から先端面にかけての部位に開口した処置具導出用開口となっており、処置具をこの処置具導出用開口の方向に導くために、処置具導出部には処置具の方向を変えるための機構が設けられる。この処置具の方向を変える機構としては、通常、処置具起立装置が用いられる。
【0005】処置具起立装置は、処置具導出部に設けた処置具起立台と、この処置具起立台の起立操作を行うための操作部材とから構成される。処置具起立台は、その基端側が処置具導出部を構成する先端構成部の左右の内側壁に連結して設けた支軸に連結されて、処置具挿通チャンネルの延長線方向に設けられて、その上面部が処置具を案内する案内面となっている。操作部材は処置具起立台を遠隔操作により起立させるものであって、この処置具起立台の側面に連結部を設けて、この連結部に操作ワイヤの先端を連結することにより構成される。常時においては、ガイド面は処置具挿通チャンネルの延長線上に位置しており、操作ワイヤを引っ張ると、処置具起立台が支軸を中心として起き上がる方向、つまり処置具導出用開口の方向に向けて回動して、この処置具起立台における案内面に案内されて、処置具導出用開口から導出させた処置具が起立することになる。
【0006】処置具起立台の起立操作を行うための操作ワイヤは、通常、処置具起立台の側面に連結して設けられる。このために、処置具起立台の側面と処置具導出部を構成する先端構成部の内側壁との間には、操作ワイヤを通過させる隙間を形成しなければならない。処置具導出部から導出されて所定の処置を行うための処置具としては、例えば鉗子がある。この鉗子は先端に把持部材を設けて、この把持部材で体内組織を把持したり摘出するためのものであるから、その機能上ある程度太径のものが用いられる。鉗子以外の処置具として、例えば体内に薬液の注入等を行うためのカテーテル等も用いられる。このカテーテルは全体が軟性構造となっているが、その直径は極めて細いものもある。このカテーテルのような細径処置具を処置具挿通チャンネルに挿入して、処置具導出部に設けた処置具起立台の案内面に向けて移動させると、この処置具起立台と処置具導出部の壁面との間の間隙部分に入り込んでしまうおそれがある。
【0007】以上のような不具合を解消するために、例えば特開平4−43664号公報に示されている構成としたものが知られている。この公知の処置具起立装置は、処置具導出部を構成する先端構成部の内側壁に処置具起立台の側面を近接させ、操作ワイヤを導出させるための通路は先端構成部の内側壁に形成している。しかも、処置具起立台の起立操作を容易にするために、この通路は処置具起立台の支軸を中心とした円弧状に形成することによって、操作ワイヤを引っ張った時に、処置具起立台に対しては斜め上方、即ち処置具起立台が起立する方向の力が作用するようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述した従来技術では、先端構成部において、処置具導出部を区画形成する内側壁に溝を設ける加工を施さなければならないことから、その加工が極めて面倒になるという問題点がある。また、操作ワイヤの通路は処置具起立台の先端近傍から斜め上方に向けて円弧状に延在されているから、この処置具起立台を起立させない状態では、通路が処置具導出部に露出しており、しかもこの通路の露出部の一部は処置具の通る経路に臨んでいる。従って、この溝の深さと同じか、またはそれ以下の直径を有する処置具を挿通させようとすると、その先端が処置具挿通チャンネルから処置具起立台に移行する際にこの通路内に入り込んでしまう可能性があり、処置具起立台の案内面に乗り上げることができなくなるおそれがある。特に、処置具の先端に曲がり癖が付いており、その癖の付いた方向と通路の方向とが一致した状態になっていると、前述した隙間に入り込む可能性はさらに高くなる。
【0009】本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、処置具挿通チャンネルから処置具導出部内に処置具を移行させた時に、それを処置具起立台の案内面上に円滑かつ確実に移行させることができるようにすることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成するために、本発明は、挿入部の先端構成部に設けられ、処置具挿通チャンネル内に挿通した処置具を方向転換させて外部に導出させるために、少なくとも左右の内側壁を含む処置具導出部を形成して、この処置具導出部には、基端側が先端構成部に連結して設けた支軸に処置具起立台を上下方向に回動可能に連結し、この処置具起立台に操作ワイヤを連結して、この操作ワイヤを遠隔操作により起立操作する構成としたものであって、前記処置具起立台には処置具を案内する処置具案内部と、前記操作ワイヤの先端が取り付けられると共にそれを挿通させるワイヤ挿通路を形成したワイヤ連結部とを連設し、このワイヤ連結部の少なくとも回動方向の上方側側面部は前記前記操作ワイヤを覆うように前記内側壁側に張り出す構成としたことをその特徴とするものである。
【0011】ここで、操作ワイヤの先端はワイヤ連結部に固定するが、操作ワイヤの先端に球体を連結して設け、この球体をワイヤ連結部に連結する構成とすると、操作ワイヤの操作がより円滑になる。処置具起立台を構成するワイヤ連結部に形成したワイヤ挿通路は、球体を収納する球体保持部に連なる長溝からなり、これら球体保持部及びワイヤ挿通路を前記内側壁に向けて開口させると、ワイヤ挿通路を容易に形成できるようになる。さらに、ワイヤ連結部は処置具案内部の案内面より高い位置まで突出させる構成となし、このワイヤ連結部には、この案内面より処置具起立台の起立方向における上方位置で操作ワイヤの先端を固定すると、軽い操作力で処置具起立台を円滑に起立操作できるようになる。そして、処置具起立装置が設けられる内視鏡としては、観察視野を挿入部の軸線と直交する方向に向けた側視型内視鏡とするか、または観察窓の観察視野は挿入部の軸線に対して斜め前方に向くようにした斜視型の内視鏡で構成することができる。側視型の内視鏡では、処置具導出部は先端構成部の側面に上方に向けて開口させるが、側視型の内視鏡にあっては、処置具導出部の開口は、先端構成部の上面から先端面を含むものとする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。而して、図1に内視鏡の全体構成を示す。この図から明らかなように、内視鏡は本体操作部1に患者の体腔等の内部に挿入する挿入部2を連設すると共に、この本体操作部1からユニバーサルコード3を引き出すようにしたものである。挿入部2は、本体操作部1への連設側から大半の長さ部分は挿入経路に沿って任意の方向に曲がる軟性部2aを有し、この軟性部2aの先端には遠隔操作により所望の方向に湾曲させることができるアングル部2bが連設されている。さらに、アングル部2bの先端には先端構成部2cが連設されており、このアングル部2bを湾曲操作することによって、先端構成部2cの方向を遠隔操作で制御できるようになっている。
【0013】次に、図2及び図3に挿入部2の先端部分の構成を示す。これらの図においては斜視型内視鏡として構成したものを示すが、本発明の処置具起立装置は斜視型の内視鏡のみに適用されるのではなく、処置具を挿入部の軸線から方向転換させて導出させるためのものであれば、側視型内視鏡に設けられる処置具起立装置として構成することもできる。
【0014】図2に示したように、挿入部2における先端構成部2cの先端部分には、挿入部2の中心軸線Aに対して所定角度傾斜した傾斜平面部4が設けられている。この傾斜平面部4には、図3から明らかなように、照明部5及び観察部6が設けられており、また処置具導出部7が開口している。傾斜平面部4には、また、観察部6に向けた洗浄用ノズル8が設けられており、この洗浄用ノズル8から供給される洗浄用流体で観察部6に付着する汚れを落とすことができるようになっている。
【0015】先端構成部2cは単一の硬質部材で形成することもできるが、図示したものにあっては、先端部本体10と絶縁カバー11とから構成している。このように、先端構成部2cを2部材で形成するのは、先端部本体10には挿入部2内に挿通させた各種の部材における先端部分を挿入固定するために、複数の透孔や凹部等が形成されているので、これら透孔や凹部等を形成する加工が容易で、しかも複数の透孔等が形成された状態でなお十分な強度を持たせるためにステンレス等の金属材で形成する。処置具導出部7から導出される処置具としては、高周波処置具等もあることから、金属からなる先端部本体10を電気絶縁性部材として、所定の厚みを有する硬質プラスチック等からなる絶縁カバー11が嵌着される。ただし、先端構成部2c全体をプラスチックで形成したり、表面に絶縁コーティングする等の措置を施せば単一の部材で形成することもできる。
【0016】絶縁カバー11及び先端部本体10には各種の部材を装着するための透孔等が形成される。観察部6は先端部本体10に穿設した透孔12に挿嵌され、絶縁カバー11に形成した開口13に臨むレンズ鏡胴14を有し、このレンズ鏡胴14内には複数枚のレンズからなる対物レンズ15が装着されている。レンズ鏡胴14にはプリズム保持枠16が嵌合され、このプリズム保持枠16の基端部にはプリズム17が固着して設けられる。対物レンズ15の光軸はこのプリズム17により90°曲げられて、プリズム17に固体撮像素子18が接合され、この固体撮像素子18は回路基板19に搭載されている。従って、固体撮像素子18の受光面は対物レンズ15の結像位置に配置される。ここで、対物レンズ15の光軸Aは傾斜平面部4に対してほぼ直交しており、光軸Aは挿入部2の中心軸線Aに対して角度θだけ傾斜し、観察視野が挿入部2の軸線から角度θだけシフトした斜視型内視鏡が構成される。
【0017】この内視鏡においては、鉗子その他の処置具を用いて適宜の処置を行うことができるようになっており、処置具導出部7は処置具を導出するためのものである。処置具導出部7は先端部本体10に、左右の内側壁10a,10bと内端壁10cとからなる空所を設けることにより形成され、先端から側面上部にかけての部位は大きく開口した処置具導出用開口を有する部分開放通路部7aとなり、また基端側の部位は周囲が閉鎖されたトンネル状通路部7bとなっている。
【0018】図2から明らかなように、トンネル状通路部7bには接続パイプ20が挿嵌されており、この接続パイプ20はアングル部2b側に一部が突出しており、この接続パイプ20には処置具挿通チャンネル21が接続されている。処置具挿通チャンネル21は可撓性を持たせると共に、座屈等が発生しないようにするために厚肉の樹脂材で構成される。処置具挿通チャンネル21は、接続パイプ20への接続部から挿入部2を貫通するように延在されて、その基端部は本体操作部1に設けた処置具導入部9に接続されている。
【0019】処置具導出部7の壁面における部分開放通路部7aの部位の内部には落とし込み部からなる取付用凹部22が形成されており、この取付用凹部22内に処置具起立台23が設けられている。処置具起立台23は処置具案内部23Gとワイヤ挿通部23Cとを連設してなるものである。処置具案内部23Gはその上面部が円弧状に湾曲する案内面23Gaとなっており、処置具挿通チャンネル21からの処置具を所定角度起き上がらせるためのものである。このために、処置具起立台23の基端側の下面部分は、取付用凹部22内に延在された円弧面部23Rとなっており、この円弧面部23Rには、図4に示したように、支軸24が挿通され、支軸24の両端部は先端部本体10における処置具導出部7を構成する左右の内側壁10a,10bに挿通されて、固定的に保持されている。これによって、処置具起立台23は支軸24の軸回りに、つまり上下方向に回動可能となり、この処置具起立台23の先端側が部分開放通路部7aに形成した処置具導出用開口7aに向けて起立することになる。
【0020】処置具起立台23を起立させるために、本体操作部1には起立レバー25が設けられており、この起立レバー25を操作することによって、処置具起立台23を遠隔操作で起立操作されるようになっている。起立レバー25により操作ワイヤ26が押し引き操作されるが、図5に示したように、この操作ワイヤ26は2重の可撓性スリーブ27内に挿通されている。内筒は保形性を持たせるための密着コイル27aであり、密着コイル27aには可撓性チューブ27bが嵌合されている。そして、これら密着コイル27a及び可撓性チューブ27bからなる可撓性スリーブ27は、先端部本体10に設けた貫通孔28に設けた接続パイプ29に連結固定されている。従って、操作ワイヤ26は貫通孔28から先端部本体10に設けた処置具導出部7内に延在される。
【0021】操作ワイヤ26の先端部は処置具起立台23に接続されるが、この処置具起立台23の側壁10a側の部位にはワイヤ挿通部23Cが連設されている。ワイヤ挿通部23Cは処置具案内部23Gの案内面23Gaより上方、つまり起立方向に突出しており、このワイヤ挿通部23Cにおける処置具案内部23Gの案内面23Gaより上方の部位には、側壁10a側に開口する溝を設けることによりワイヤ挿通路31が形成されている。操作ワイヤ26は、このワイヤ挿通路31内に挿通されており、その先端には球体32が連結されている。ここで、ワイヤ挿通路31は、基端側に向けて延在したワイヤ挿通部31aと、このワイヤ挿通部31aに連なり、円筒形状の球体保持部31bとから構成される。従って、操作ワイヤ26の先端に連結した球体32が球体保持部31bに収容されて、操作ワイヤ26における球体32から引き出された部位がワイヤ挿通部31aに挿通されている。
【0022】操作ワイヤ26の先端に設けた球体32が装着される球体保持部31bは処置具起立台23における起立操作の作用点P(図2参照)を構成するものであり、この作用点Pは処置具起立台23の先端近傍において、挿入部2の中心軸線Aに対して、支軸24の位置より上方の位置に配置されている。そして、球体保持部31bは、その内径は球体32の直径とほぼ一致し、かつその奥行きも球体32の直径とほぼ一致している。従って、球体32はこの球体保持部31bと内側壁10aとに囲まれた概略閉鎖空間内に位置することになる。一方、ワイヤ挿通部31aの幅及び奥行きは操作ワイヤ26の直径より十分広くなっており、操作ワイヤ26はこのワイヤ挿通部31a内で制限された範囲ではあるものの、任意の方向に振れるようになっている。さらに、ワイヤ挿通部23Cの基端部と処置具導出部7を構成する先端部本体10の内端壁10cとの間は、処置具起立台23が最大起立角となった時に、このワイヤ挿通部23Cの基端部が内端壁10cに当接するか、または内端壁10cと僅かな隙間を空けた状態に対面する間隔を持っている。
【0023】処置具挿通チャンネル21の延長線上に処置具起立台23の処置具案内部23Gにおける案内面23Gaが位置するようになし、かつこの処置具挿通チャンネル21の下面と概略対応する位置に案内面23Gaが配置される。一方、操作ワイヤ26は、処置具起立台23のワイヤ挿通部23Cへの連結部から若干処置具挿通チャンネル21から離間する方向に迂回させるようにして貫通孔28を経て可撓性スリーブ27内に延在される。これによって、処置具挿通チャンネル21と、操作ワイヤ26に嵌合させた可撓性スリーブ27と干渉しないように装着することができる。操作ワイヤ26は、このように処置具起立台23への連結部から斜め方向に延在させているが、操作ワイヤ26は球体32を介して処置具起立台23に連結されているので、この操作ワイヤ26の引き出し方向に方向性を持たせないようにしている。従って、操作ワイヤ26をどの方向から引っ張ったとしても、格別抵抗が増大するようなことがなく、起立操作の操作性が悪くなることはない。
【0024】処置具案内部23G及びワイヤ挿通部23Cを有する処置具起立台23を以上のように構成することによって、この処置具起立台23の左右の両側部は先端部本体10の内側壁10a,10bに極めて近接した位置に配置することができる。従って、この内視鏡に用いられる処置具のうち、最も細径の処置具の直径寸法より狭い間隔とすることができ、さらにこの内側壁10a,10bに摺接した状態でも起立操作できるようになっている。また、処置具起立台23のワイヤ挿通部23Cの基端部と内端壁10cとの間には処置具起立台23を起立させるために必要なスペースが形成されるが、このスペースは処置具起立台23を最大起立角まで起立できる広さを確保した上で、隙間を最小限に抑制している。
【0025】内視鏡の挿入部2を体腔内に挿入して、検査や診断を行うに当っては、観察部6による観察視野の方向が挿入部2の中心軸線Aに対して斜め前方、例えば45°程度傾いているので、食道等の体腔管内において、その管壁を観察しながら挿入を進めるという操作を容易に、しかも安全かつ確実に行うことができる。また、挿入途中で腔壁の検査等を行う際にも、アングル部2bを湾曲操作することなく、腔壁を視野に収めることができる。さらに、例えば胃の内部の検査を行うに当って、胃角部等を視野に入れるに当っては、直視型内視鏡ではアングル部を大きく湾曲させなければ視野に入れることができず、また空間が狭いために視野に入る程度にまでアングル部を湾曲操作できない場合があるが、このような斜視型内視鏡では、アングル部2bを僅かな角度湾曲させるだけで確実に視野に捉えることができる。
【0026】そして、内視鏡による検査の結果、患部等が発見されると、処置具を用いて患部の摘出その他の処置を行うことができるようになっている。このために、処置具導入部9から処置具挿通チャンネル21内に処置具を挿入するが、この処置具の先端が確実に処置具起立台23における処置具案内部23Gの案内面23Gaに導かれる。ここで、処置具としては種々の機能を持ったものが用いられる。例えば、患部を把持したり摘出したりするための鉗子は、その機能上かなり太径の処置具であるが、高周波処置具としての高周波スネアや、薬液等を供給するチューブ等は細径の処置具である。
【0027】図4から明らかな通り、処置具起立台23は内側壁10a,10bに極めて近接しているか、または摺接するようになる。そして、処置具起立台23に操作ワイヤ26を連結するために設けられるワイヤ挿通路31は、先端部本体10の内側壁10a側に向けて開口しており、処置具Tが通過する通路となる処置具案内部23Gの案内面23Gaの左右両側には、内側壁10b及び処置具起立台23のワイヤ挿通部23Cを構成する壁面が位置しているので、処置具起立台23には、その処置具案内部23Gの案内面23Gaと、処置具案内部23Gからワイヤ挿通部23Cへの移行部に置ける立ち上がり部と、内側壁10bとにより区画された領域が設定され、処置具挿通チャンネル21を通過した処置具Tは確実に処置具起立台23における案内面23Gaに移行することになる。従って、処置具Tが軟性で、細径のものであり、かつ先端部分に曲がり癖が付いていたとしても、この処置具起立台23と内側壁10a,10bとの間の隙間等に挟み込まれたり、操作ワイヤ26を通過させるために設けられる通路部に入り込んだりするおそれはない。
【0028】従って、図6に示したように、処置具Tが部分開放通路部7aから所定の長さだけ前方に突出した時に、起立レバー25を操作すると、操作ワイヤ26が引っ張られることになり、この引っ張り力が処置具起立台23に作用して、図7に示した状態に起立することになる。この結果、処置具Tは処置具導出部7における傾斜面部4の先端側に開口する部位から上面側に開口する部位に向けて移行するようになり、観察部6における観察視野である対物レンズ15の光軸Aとほぼ平行な方向に向けられることになる。従って、患部等に処置具Tを狙撃するに当って、観察部6による観察視野に確実に処置具が捉えられることから、安全に、しかも正確に所望の処置を施すことができる。
【0029】而して、図8及び図9に操作ワイヤ26と処置具起立台23との連結部を示す。これらの図から明らかなように、操作ワイヤ26は、処置具起立台23を起立させない時には、図8のように、処置具起立台23におけるワイヤ挿通部23Cに形成したワイヤ挿通部31aを構成する壁面とは非接触状態となっているが、処置具起立台23を起立させると、図9のように、操作ワイヤ26はワイヤ挿通部31aの上面と当接する状態になる。しかも、操作ワイヤ26は、このワイヤ挿通部31aの内部では紙面と直交する方向においても所定の角度を持っている。操作ワイヤ26が挿通される可撓性スリーブ27は挿入部2の中心軸線Aと平行に延在されている。従って、操作ワイヤ26は可撓性スリーブ27の手前で曲げられることになるが、操作ワイヤ26の先端は球体32を介して処置具起立台23に連結されており、操作ワイヤ26からは、この球体32を介して処置具起立台23に操作力が伝達されるので、処置具起立台23に対しては、支軸24を中心として上方に回動する方向の力に変換されることになる。
【0030】而して、球体32からなる処置具起立台23における起立操作の作用点Pは支軸24からなる支点位置とは前方及び上方に大きな間隔を持つことになるので、起立レバー25による操作ワイヤ26の操作に対して格別負荷が増大することなく、処置具起立台23の円滑な起立操作が可能になる。このように、操作ワイヤ26の処置具起立台23に対する作用点はPとなるように設定するために、ワイヤ挿通部31aの溝幅を広くして、最大起立角となるまで操作ワイヤ26がワイヤ挿通部31aの上側の壁面に当接しないようにしている。
【0031】また、操作ワイヤ26先端の処置具起立台23への連結は、この処置具起立台23における処置具案内部23Gの案内面23Gaより、起立方向の上方位置になっているので、処置具起立台23の支軸24への連結部を案内面23Ga近接させても、操作ワイヤ26を引っ張ることにより処置具起立台23を起立操作する際に、この操作ワイヤ26に作用する負荷が格別増大することはない。このように、支軸24への連結位置を案内面23Gaに近接できるようになると、先端構成部2cにおける処置具導出部7の下方位置に大きなスペースが確保されることになり、観察部6を構成する各部材、即ちレンズ鏡胴14やプリズム17、さらには固体撮像素子18及びその回路基板19の配置に余裕をもたせることができる結果、先端構成部2cの小型化が図られることになる。
【0032】さらに、処置具起立台23には、操作ワイヤ26を挿通するワイヤ挿通路31が形成されているが、このワイヤ挿通路31は処置具起立台23の側面に開口しており、かつそのワイヤ挿通部31a及び球体保持部31bは深さ方向に向けて均一な形状となっている。従って、このワイヤ挿通路31を含む処置具起立台23を一体成形等の手段で容易に形成することができるようになる。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、処置具起立台には処置具を案内する処置具案内部と、操作ワイヤの先端が取り付けられると共にそれを挿通させるワイヤ挿通路を形成したワイヤ連結部とを連設し、このワイヤ連結部の少なくとも起立方向における上方側の側面部は先端構成部の内側壁に近接する位置に配置する構成としたので、処置具が通過する部位に隙間や溝等が形成されず、処置具を円滑かつ確実に処置具挿通チャンネルから処置具起立台の案内面に移行させて、外部に導出させることができる等の効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000005430
【氏名又は名称】富士写真光機株式会社
【出願日】 平成10年(1998)4月24日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】影井 俊次
【公開番号】 特開平11−299728
【公開日】 平成11年(1999)11月2日
【出願番号】 特願平10−114812