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【発明の名称】 手術用腹壁吊り上げ装置
【発明者】 【氏名】片山 寛次

【氏名】木村 辰男

【要約】 【課題】内視鏡下手術の際、患者の腹壁を手術の妨げとならないように吊り上げる。

【解決手段】この発明の手術用腹壁吊り上げ装置は、長手方向の湾曲形状によって患者Mの胴回り表面に沿って延びる支持アーム3を備える。支持アーム3のの先端に、個々のリフトピース1,2を水平に延びる上短辺1a,2aで保持したリフトピース保持ヘッド4が装着される。リフトピース1,2の下長辺1c,2cを患者Mの腹部を挿入して腹壁Mcを吊り上げる。支持アーム3は水平に出っ張らないので、支持アーム3が執刀中の医師の動きの邪魔にならない。また、保持ヘッド4は腹部の穴Maの真上から支柱方向に少しずれて位置するので、保持ヘッド4が内視鏡SPのセットの邪魔になることもない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】内視鏡下手術において被施術者の腹壁を吊り上げるのに用いられる装置であって、略水平に延びる上短辺と上辺の一端から下方へ延びる垂下辺と垂下辺の下端から上辺と略同方向に向かって延びる下長辺とを有するフォーク用リフトピースと、被施術者の側方から胴回り表面に略沿って延びるよう長手方向が湾曲している支持アームと、フォーク用リフトピースを上短辺で個別に着脱可能に保持して支持アームの先端に装着されるリフトピース保持ヘッドとを備えていることを特徴とする手術用腹壁吊り上げ装置。
【請求項2】請求項1に記載の手術用腹壁吊り上げ装置において、支持アームの立ち上がり角度を調整するアーム角度調整手段を備えている手術用腹壁吊り上げ装置。
【請求項3】請求項1または2に記載の手術用腹壁吊り上げ装置において、フォーク用リフトピースを保持したままでリフトピース保持ヘッドを水平面内で360°回転可能な状態にできるようリフトピース保持ヘッドと支持アームの先端を連結するヘッド連結手段を備えている手術用腹壁吊り上げ装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、内視鏡下手術において被施術者(患者)の腹壁を吊り上げて腹腔を広げる手術用腹壁吊り上げ装置に関し、特に患者の腹壁を手術の妨げとならないようにして吊り上げるための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、例えば胆嚢摘出手術の場合、患者の腹部を大きく切開せずに患者の腹部に小さな穴をあけるだけですむ内視鏡下手術が行われている。この内視鏡下手術では、手術用腹壁吊り上げ装置を使い、患者の腹壁を吊り上げて腹腔を広げて手術を行う。
【0003】内視鏡下手術で使用する従来の手術用腹壁吊り上げ装置は、図8に示すように、手術台の側縁に設置された垂直支柱51の上端に取り付けられ、水平方向に延びる支持アーム52を備えているとともに、図9に示すように、支持アーム52の先端に装着されるフォーク53を備えている。従来装置の場合、フォーク53は、ほぼLの字状に折り曲げられた開閉自在の一対のフォーク用リフトピース54が、その垂下辺のところで樹脂製の筒状体55に収められており、この筒状体55がリフトピースホルダーヘッド(リフトピース保持ヘッド)56を介して支持アーム52の先端に装着される構成になっている。
【0004】実際に手術を行う場合、患者の腹部にあけた穴にフォーク53のリフトピース54を閉じた状態で差し込んでから、リフトピース54を適当角度だけ開いて支持アーム52の側に装着した後、支持アーム52を持ち上げることによりフォーク53の下長辺で患者の腹壁を吊り上げて腹腔を大きく広げるとともに、フォーク53を差し込んだ同一の穴から内視鏡も差し込む。医師は内視鏡を使って腹腔内の患部を観察しながら執刀する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の手術用腹壁吊り上げ装置の場合、次のような問題がある。患者の腹部の上方に側方から水平に出っ張っている支持アーム52が、執刀中の医師の動きの邪魔になりがちである。また、腹部に明けた穴の直ぐ上に位置することになる太いツールホルダー56が、内視鏡で腹腔内を覗く際の邪魔になる。内視鏡をフォーク53と同一の穴に並列に差し込んで使うので、患部の位置によってはツールホルダー56が内視鏡をセットする妨げになる。
【0006】この発明は、上記の事情に鑑み、内視鏡下手術の際に被施術者の腹壁を手術の妨げとならないようにして吊り上げることができる手術用腹壁吊り上げ装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するために、この発明に係る手術用腹壁吊り上げ装置は、内視鏡下手術において被施術者の腹壁を吊り上げるのに用いられる装置であって、略水平に延びる上短辺と上辺の一端から下方へ延びる垂下辺と垂下辺の下端から上辺と略同方向に向かって延びる下長辺とを有するフォーク用リフトピースと、被施術者の側方から胴回り表面に略沿って延びるよう長手方向が湾曲している支持アームと、フォーク用リフトピースを上短辺で個別に着脱可能に保持して支持アームの先端に装着されるリフトピース保持ヘッドとを備えている。
【0008】また、請求項2の発明は、請求項1に記載の手術用腹壁吊り上げ装置において、支持アームの立ち上がり角度を調整するアーム角度調整手段を備えている。
【0009】また、請求項3の発明は、請求項1または2に記載の手術用腹壁吊り上げ装置において、フォーク用リフトピースを保持したままでリフトピース保持ヘッドを水平面内で360°回転可能な状態にできるようリフトピース保持ヘッドと支持アームの先端を連結するヘッド連結手段を備えている。
【0010】〔作用〕次に、この発明の手術用腹壁吊り上げ装置(以下、適宜「腹壁吊り上げ装置」と略記)によって被施術者(患者)の腹壁を吊り上げる際の作用について説明する。この発明の装置により患者の腹壁を吊り上げる場合、先ず手術台の側方から患者の腹部の上へ向けて支持アームをセットするとともに、手術台の上の患者の腹部にフォーク用リフトピースおよび内視鏡(腹腔鏡)を差し込むための穴をあける。次に、フォーク用リフトピースの下長辺を腹部にあけた穴の中に挿入してからリフトピース保持ヘッドにより個々のフォーク用リフトピースの上短辺を保持してからリフトピース保持ヘッドを支持アームの先端へ装着する。そして、支持アームを持ち上げれば、フォーク用リフトピースの下長辺が腹壁内面に当たったまま上へ引き上げられるのに伴い、腹壁がフォーク用リフトピースで吊り上げられて腹腔が広がることになる。複数本のフォーク用リフトピースを装着した場合は、文字通りフォークでもって腹壁を吊り上げるかたちになる。
【0011】この発明の腹壁吊り上げ装置の場合、支持アームが長手方向の湾曲形状によって患者の胴回り表面に沿って延びていて、支持アームが腹部の上で水平に出っ張る状態が解消されるので、支持アームが執刀中の医師の動きの邪魔になる事態を回避できる。また、個々のフォーク用リフトピースは水平に延びる上短辺でリフトピース保持ヘッドに保持されるので、リフトピース保持ヘッドは腹部の穴の真上から側方に少しずれて位置することになる結果、リフトピース保持ヘッドが内視鏡のセットの邪魔になる事態も回避できる。
【0012】また、請求項2の腹壁吊り上げ装置の場合、支持アームをセットする際に、アーム角度調整手段により、支持アームの立ち上がり角度が適当な角度となるよう調整する。腹壁を吊り上げた時の荷重で支持アームが下方にしなるので、アームのしなり分を見込んで支持アームの立ち上がり角度を調整設定し、腹壁を吊り上げた時の支持アームの傾きを適切な傾き(例えば水平姿勢)になるようにする。
【0013】また、請求項3の腹壁吊り上げ装置の場合、ヘッド連結手段によりフォーク用リフトピースを保持したままでリフトピース保持ヘッドを水平面内で360°回転可能な状態にしておいてから、リフトピース保持ヘッドを適当角度だけ回転させるだけで、フォーク用リフトピースの水平方向の向きを簡単に所望の向きに正確に合わせられる。
【0014】
【発明の実施の形態】続いて、この発明の一実施例を図面を参照しながら説明する。図1は実施例に係る腹壁吊り上げ装置の全体概略構成を示す正面図、図2は実施例装置の主要部の構成を示す分解斜視図である。
【0015】実施例の腹壁吊り上げ装置は、図1および図2に示すように、長手方向に沿って略コ字状に折り曲げられた形状を有するフォーク用リフトピース(以下、適宜「リフトピース」と略記)1,2と、患者Mの側方から胴回りの表面に略沿って延びるよう長手方向が湾曲している支持アーム3と、リフトピース1,2を個別に着脱可能に保持して支持アーム3の先端に装着されるリフトピース保持ヘッド4とを備えている。
【0016】略コ字状の各リフトピース1,2のそれぞれは、図2に示すように、略水平に延びる上短辺1a,2aと、上辺1a,2aの一端から下方へ延びる垂下辺1b,2bと、垂下辺1b,2bの下端から上辺1a,2aと略同方向に向かって延びる下長辺1c,2cと、さらに上辺1a,2aの他端から下方へ延びる抜け止め辺1d,2dとからなる。患者Mの体型や患部の位置などに応じて、リフトピース1,2の各下長辺1c,2cの長さ、形状、延出方向などが異なる多種類のリフトピースが予め用意されており、これらのリフトピースの中から適当なリフトピースが選択使用できるようになっている。
【0017】実施例のリフトピース1,2は、直径が5mm程度のステンレスロッドが用いられていて、機械的強度が十分であって、高温蒸気滅菌処理も行えるので、繰り返し再使用が可能である。図9に示す従来のフォーク53は、樹脂製の筒状体55の強度不足で破損し易い上に、高温蒸気滅菌処理も難しくて使い捨てが前提となっているのでランニングコストが高くつくことになる。なお、必要に応じて、リフトピース1,2の下長辺1c,2cの硬さを和らげるためにシリコーンゴムで被覆してもよい。
【0018】支持アーム3は、直径が10mm程度のステンレスロッドであって、図1に示すように、アーム根元側が、手術台BDの側縁に固定された垂直支柱5の上端にアーム角度調整機構(アーム角度調整手段)6を介して取り付けられている。このアーム角度調整機構6は支持アーム3の立ち上がり角度を調整するための機構である。
【0019】先ず垂直支柱5を手術台BDの側縁に固定するための構造から説明する。手術台BDの側縁に沿って続くように設置されたレール7に可動ブロック8が移動可能に嵌め込まれていて、可動ブロック8を任意の位置において下方からネジ込まれるノブボルト9でレール7に止めて固定できるよう構成されている。この可動ブロック8に垂直支柱5を通す貫通孔10が上下に貫いて形成されているとともに、貫通孔10に挿通された垂直支柱5が可動ブロック8の側面からネジ込まれるノブボルト11により可動ブロック8に止めて固定できるよう構成されている。従って、ノブボルト11を少し緩めて、垂直支柱5を矢印RAで示すように上または下に移動させたり、矢印RBで示すように軸回りに回転させてから再びノブボルト11を締めて垂直支柱5の高さや回転角度を変えることにより、支持アーム3の高さやアームの向き(水平面内の首振り角度)を自由に変更することができる。
【0020】次に支持アーム3の立ち上がり角度を調整するアーム角度調整機構6について説明する。図3に示すように、垂直支柱5の先端にブラケット12が固着されている。ブラケット12は底板12aと、この底板12a上に対向配置された一対の支持板12bとを備えている。この支持板12bに短い筒部材13がピン14を介して上下に揺動可能に支持されている。この筒部材13に支持アーム3の基端部が貫通して挿入されている。筒部材13の上部にノブボルト15が貫通してねじ込まれている。ノブボルト15を緩めた状態で支持アーム3の延び出し長さが調整されると、ノブボルト15を締めつけることにより支持アーム3が筒部材13に固定される。また、ブラケット12の底板12aの下側からノブボルト16が貫通してねじ込まれて、ノブボルト16の先端が筒部材13の底面に当接している。このノブボルト16の締め込み量を調整することにより、筒部材13をピン14を中心に上下に揺動させて、支持アーム3の立ち上がり角度を任意に調整できるようになっている。
【0021】図4に示すように、腹壁を吊り上げた時の荷重(通常10〜15kg程度)で支持アーム3が下方にしなるので、アーム角度調整機構6によってアームのしなり分を見込んで支持アーム3の立ち上がり角度θを設定しておき、図3中に実線で示すように、腹壁を吊り上げた時の支持アーム3の向きが適切な状態(支持アーム3の先端が略水平となってフォーク用リフトピースが吊り上げに好ましい姿勢となる状態)になるようにする。
【0022】続いて、リフトピース保持ヘッド4まわりの構成について説明する。リフトピース保持ヘッド4は、図2に示すように、リフトピース1,2を嵌め込む長溝1A,2Aが形成されている保持プレート17と、長溝1A,2Aに嵌め込まれたリフトピース1,2を上から押さえる蓋プレート18とからなる。保持プレート17は略扇状厚板の形を有しており、表面に基部側端面から奥に向けて続く長溝1A,2Aが奥に向かうほど溝の間隔が広がるように形成されているとともに、長溝1A,2Aの突き当たり底面に貫通孔1B,2Bが形成されている。さらに保持プレート17には上下に貫通するようにしてネジ孔19も設けられている。一方、蓋プレート18にはネジ孔19と対応する位置に円筒状突起20が設けられていて、この円筒状突起20の孔21は蓋プレート18を上下に貫く貫通孔となっている。
【0023】保持プレート17および蓋プレート18は両者を重ね合わせた状態で蝶ネジ22により支持アーム3の先端にネジ止め装着される構成になっている。図2に示すように、支持アーム3の先端には、蓋プレート18の円筒状突起20がちょうど嵌まり込める切り欠き3Aが形成されていて、蝶ネジ22が孔21を通して保持プレート17のネジ孔19にネジ込まれてゆくに従って両ブロック17,18が支持アーム3の先端にネジ止めされて装着されるのである。また、支持アーム3の最先端から少し手前のところに段差面23が設けられていて、蝶ネジ22が締め込まれた状態で蝶ネジ22の大径部22aの下部が段差面23に嵌まり込んで係止し、蝶ネジ22が切り欠き3Aから抜けない構造になっている。
【0024】また、リフトピース1,2のリフトピース保持ヘッド4への取り付け構造は次の通りである。図5に示すように、保持プレート17および蓋プレート18の合わせ状態をづらせて長溝1Aあるいは長溝2Aを露呈させておき(図5は長溝2Aが露呈した状態を示す)、リフトピース1,2の抜け止め辺1d,2dが貫通孔1B,2Bに嵌まるようにして上短辺1a,2aを長溝1Aあるいは長溝2Aに納めた後、図6に示すように、保持プレート17および蓋プレート18を合わせて蝶ネジ22を締め込めば、リフトピース1,2は長溝1A,2Aの開き角度(この例では約60°)でフォークを形成する。リフトピース1,2の取り外し時は取り付け時と逆の操作を行うことになる。
【0025】この発明の腹壁吊り上げ装置の場合、リフトピース1,2は個別に着脱可能であって、各リフトピースがそれぞれ完全な別体でよいことから、形状・寸法の異なるリフトピースが簡単かつ安価に製作できる。したがって、形状・寸法の異なるリフトピースを予め種々製作して用意しておき、患者Mの体型の違い(大人・子供の相違による体型の大小相違や肥満度差にによる体型の大小相違)に応じてリフトピースを使いわけすることにより、患者Mの体型の違いに左右されずに適切な腹壁吊り上げを実現することが容易に可能となる。
【0026】また、実施例の装置の場合、リフトピース保持ヘッド4を支持アーム3に連結固定している蝶ネジ(ヘッド連結手段)22を少し緩めれば、リフトピース1,2を保持したままリフトピース保持ヘッド4を水平面内で360°回転可能な状態にできる。この状態でリフトピース保持ヘッド4を適当角度だけ回転させるだけで、リフトピース1,2の水平方向の向きを簡単に所望の向きに正確に合わせられる。つまり、リフトピース1,2による吊り上げ位置を360°変更可能な構成になっているのである。勿論、リフトピース保持ヘッド4を適当角度だけ回転させた後、蝶ネジ22を締め直してリフトピース1,2の水平方向の向きの合わせ状態を固定することは言うまでもない。
【0027】続いて、以上に述べた構成を有する実施例装置による患者Mの腹壁の吊り上げの際の装置動作を説明する。手術台BDに患者Mを載置するとともに、手術台BDの側縁に垂直支柱5を固定して支持アーム3をその先端が患者Mの腹部の上に向くようにセットする。必要に応じてアーム角度調整機構6により立ち上げ角度を調整設定しておく。次に患者Mの腹部にリフトピース1,2および内視鏡(腹腔鏡)SPを差し込む穴Maを明け、リフトピース1,2の下長辺1c,2cを穴Maから腹腔Mbの中に挿入してから、リフトピース1,2の上短辺1a,2aを保持プレート17の長溝1A,2Aに納めた後、蓋プレート18を合わせて蝶ネジ22を締め込む。
【0028】もしリフトピース1,2の水平方向の向きが適切でなければ、蝶ネジ22を少し緩め、リフトピース1,2ごとリフトピース保持ヘッド4を回転させてリフトピース1,2の向きを適切な方向に合わせてから蝶ネジ22を締め直す。こうして、リフトピース1,2を装着した後、垂直支柱5を固定しているノブボルト11を少し緩めて、垂直支柱5を上に移動させて支持アーム3を持ちあげれば、リフトピース1,2の下長辺1c,2cが腹壁Mcの内面に当たったまま上に引き上げられるのに伴って、腹壁Mcが下長辺1c,2cで吊り上げられて腹腔Mbが広がる。
【0029】腹壁Mcを吊り上げた状態で、支持アーム3は水平に出っ張らずに患者Mの胴回り表面に沿って延びているので、支持アーム3が執刀中の医師の動きの邪魔になることはない。また、個々のリフトピース1,2は水平に延びる上短辺1a,2aでリフトピース保持ヘッド4に保持されていて、リフトピース保持ヘッド4は腹部の穴Maの真上から支柱方向に少しずれて位置しているので、リフトピース保持ヘッド4が、同一の穴Maへ差し込まれてセットされる内視鏡SPの邪魔になることもない。
【0030】また、支持アーム3の立ち上げ角度の調整により、支持アーム3の先端が略水平となってリフトピース1,2の下長辺1c,2cの全体で腹壁Mcがしっかり受け止められた好ましい吊り上げ状態となる。
【0031】(1)実施例の場合、2本のリフトピースで腹壁を吊り上げたが、1本のリフトピースだけで腹壁を吊り上げるようにしてもよい。
【0032】(2)実施例装置のリフトピース保持ヘッド4は、リフトピースを2本装着できる構成であったが、リフトピース保持ヘッド4にリフトピースを2本以上装着できる構成の装置も、変形例として挙げられる。リフトピース保持ヘッド4にリフトピースを3本装着できる構成の装置の場合、図7に示すように、保持プレート17には長溝1A,2Aの他にもう一本の長溝24Aおよび貫通孔24Bを形成するとともに、リフトピースを少なくとも3本用意しておく。
【0033】さらに、図7の保持プレート17を備えている装置の場合、リフトピースを2本だけ装着して腹壁を吊り上げてもよく、長溝24Aは長溝1A,2Aの中央から少しずれた位置に形成してあるので、同じ2本のリフトピースであっても、納める長溝の選択によりリフトピースの創るフォーク形状(すなわち、リフトピースの開き角度)は3通りあることになるので、より適切な腹壁吊り上げ状態を実現し易くなる。
【0034】(3)実施例装置の支持アームは長さが一定であったが、支持アームの長さが調整可能な構成の装置が、変形例として挙げられる。例えば、支持アームの長さ調整方式としては、スライド式長さ調整方式が挙げられる。
【0035】(4)実施例装置の場合、垂直支柱の高さ調整を手動で行う構成であったが、垂直支柱の高さ調整を電動で行う構成の装置が変形例として挙げられる。具体的な高さ調整機構としては、ラック・ピニオン方式、油圧シリンダ、ネジ送り機構などを用いた高さ調整機構が挙げられる。
【0036】(5)実施例装置のリフトピースはステンレス製であったが、リフトピースの材料はステンレス製に限らない。
【0037】
【発明の効果】以上に詳述したように、請求項1の発明の手術用腹壁吊り上げ装置によれば、支持アームが長手方向の湾曲形状によって患者の胴回り表面に沿って延びていて、支持アームが水平に出っ張った状態が解消されることから、支持アームが執刀中の医師の動きの邪魔となる事態を回避できる。また、個々のフォーク用リフトピースは水平に延びる上短辺でリフトピース保持ヘッドに保持されているので、リフトピース保持ヘッドは腹部の穴の真上から支柱方向に少しずれて位置することになる。その結果、リフトピース保持ヘッドが内視鏡のセットの邪魔となる事態も回避できることから、被施術者の腹壁を手術の妨げとならないようにして吊り上げられるようになる。
【0038】また、請求項2の手術用腹壁吊り上げ装置によれば、支持アームをセットする際に、アーム角度調整手段により予めアームのしなり分を見込んで支持アームの立ち上がり角度を設定し、腹壁を吊り上げた時の支持アームの傾きを簡単に適切な角度に設定できる。
【0039】また、請求項3の手術用腹壁吊り上げ装置によれば、リフトピース保持ヘッドを適当角度だけ回転させることにより、フォーク用リフトピースの水平方向の向きを簡単に所望の向きに正確に合わせられる。
【出願人】 【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
【識別番号】598044512
【氏名又は名称】片山 寛次
【出願日】 平成10年(1998)4月3日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
【公開番号】 特開平11−285498
【公開日】 平成11年(1999)10月19日
【出願番号】 特願平10−91506