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【発明の名称】 X線診断装置
【発明者】 【氏名】高 橋 文 隆

【要約】 【課題】被検体を透過したX線像を複数画素に分けて撮像するX線検出器を備えたX線診断装置において、錯乱線を除去するためのグリッドによってモアレ縞が発生することを防止する。

【解決手段】被検体を透過したX線像をX線イメージインテシファイヤ2で光学像に変換した後、CCD等の固体撮像素子を用いるテレビジョンカメラ3で撮像する。前記X線イメージインテシファイヤ2の入力面の前面には、散乱線を除去するための錯乱線除去グリッド7が設けられると共に、該錯乱線除去グリッド7におけるX線遮蔽部材のピッチの整数倍の振幅で前記錯乱線除去グリッド7をピッチ方向に振動させる振動装置8が設けられる。そして、X線曝射期間中に、前記振動装置8によって錯乱線除去グリッド7を振動させ、前記X線遮蔽部材によるモアレ縞の発生を防止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被検体に向けてX線を曝射するX線管と、前記被検体を透過したX線像を複数画素に分けて撮像するX線検出器と、該X線検出器に入力する錯乱線を除去すべく前記X線検出器のX線入射側に設けられた所定ピッチ毎に板状のX線遮断部材を有する錯乱線除去グリッドと、前記X線管によるX線曝射期間中に前記錯乱線除去グリッドを前記X線遮断部材のピッチに関連づけて振幅を設定して前記ピッチ方向に振動させる振動装置と、を備えたことを特徴とするX線診断装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、X線像を複数画素に分けて撮像する構成のX線診断装置に関し、特に、錯乱線の影響を排除しつつモアレ縞の発生を防止できるX線診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、X線像を2次元に配列された画素に分けて撮像するX線平面検出器を用いたX線診断装置として、X線を光に変換するX線イメージインテシファイアとテレビジョンカメラ(例えばCCDカメラ)とを組み合わせたX線平面検出器を用いる装置が知られている。かかる装置では、X線イメージインテシファイアにより光に変換されたX線像を、光学系を介してテレビジョンカメラで撮像し、電気的映像として出力する。
【0003】また、近年、TFT(薄膜トランジスタ)をスイッチングゲートとして用いるX線平面検出器も開発されている。前記TFTを使用したX線平面検出器は、X線を光に変換する蛍光体と、その光を電荷に変換するフォトダイオードと、電荷を蓄積するコンデンサーと、電荷を読み出すためのTFTとから構成され、前記フォトダイオード(及びコンデンサー,TFT)を2次元に配列して構成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、被検体における錯乱線がX線平面検出器に入力することを防止すべく、X線平面検出器のX線入射側に、所定ピッチ毎に板状のX線遮蔽部材を有する錯乱線除去グリッドを介装させるようにした場合、X線平面検出器における画素ピッチ(CCDのピッチ,フォトダイオードのピッチ)と前記錯乱線除去グリッドのX線遮蔽部材のピッチとの相関によって、固定パターンノイズの一種としてモアレ縞が生じるという問題があった。
【0005】前記モアレ縞の対策技術として、従来、X線曝射期間中に前記錯乱線除去グリッドを振動させることで、錯乱線除去グリッドの縞パターンをほげさせる方法があった。
【0006】しかしながら、従来のものでは、錯乱線除去グリッドを振動させるときの振幅(移動距離)について充分な考慮がなされていなかったため、グリッドを振動させることによるモアレ縞防止の効果を充分に得られない場合が生じたり、X線遮蔽部材が傾斜して取り付けられるグリッド周辺部分で直接線の透過率が低下してシェーディングを生じたり、無用に大きな振幅の設定によって振動装置として大きなものを必要とする場合があるという問題があった。
【0007】本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、錯乱線除去グリッドを最小限の振幅で振動させることでモアレ縞を効果的に防止できるX線診断装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明によるX線診断装置は、被検体に向けてX線を曝射するX線管と、前記被検体を透過したX線像を複数画素に分けて撮像するX線検出器と、該X線検出器に入力する錯乱線を除去すべく前記X線検出器のX線入射側に設けられた所定ピッチ毎に板状のX線遮断部材を有する錯乱線除去グリッドと、前記X線管によるX線曝射期間中に前記錯乱線除去グリッドを前記X線遮断部材のピッチに関連づけて振幅を設定して前記ピッチ方向に振動させる振動装置と、を備えるようにしたものである。尚、好適には、前記振幅は、X線遮断部材のピッチの整数倍に設定することが望ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は実施の形態におけるX線診断装置の構成を示すシステム図であり、この図1に示すX線診断装置は、X線管1からの被検体10にX線を曝射して得られるX線像を、X線イメージインテシファイヤ2で光学像に変換した後、前記光学像をCCD等の固体撮像素子を用いるテレビジョンカメラ3で撮像するシステムである。
【0010】前記X線イメージインテシファイヤ2は、X線像を入力とし、光学像を出力とする大形真空管であり、入力面が蛍光面と光電陰極が密着した構造となっており、入射X線強度に応じて光電面から放出された光電子は集束,加速されて出力蛍光面上に縮小して結像する。前記X線イメージインテシファイヤ2の出力蛍光面の発光は、光学系4を介してテレビジョンカメラ3の固体撮像素子の受光面に結像し、固体撮像素子の画素毎の電気信号からなる2次元画像データに変換される。テレビジョンカメラ3で得られた2次元画像データは、画像処理装置5において種々の画像処理が施された後、画像表示装置(CRT)6上に表示され、該表示画像に基づいて診断が行われる。
【0011】また、前記X線イメージインテシファイヤ2の入力面の前面には、透過X線のうちの散乱線を除去するための錯乱線除去グリッド7が設けられている。前記錯乱線除去グリッド7は、図2に示すように、板状のX線遮蔽部材7aと、板状のX線透過部材7bとを交互に貼り合わせた構造になっており、X線遮蔽部材7aとしては鉛が、また、X線透過部材7bとしてはアルミニュームや木材が一般的に用いられる。前記X線遮蔽部材7aのピッチを示すグリッド周波数は、臨床目的及びX線診断装置の種類に応じて種々の設定がなされるが、X線イメージインテシファイヤ2とテレビジョンカメラ3との組み合わせからなるX線平面検出器を用いた上記システムでは、グリッド周波数として4〜6 lp/mm(ラインペア/mm )のものが一般的に使用される。また、前記板状のX線遮蔽部材7aを、グリッドの中心から離れるに従って中心に向けて傾斜させ、X線管1からの直接線を透過させるようにしてある。
【0012】ここで、前記錯乱線除去グリッド7のX線遮蔽部材7aのピッチと、前記X線イメージインテシファイヤ2とテレビジョンカメラ3との組み合わせからなるX線平面検出器におけるX線像の撮像における画素ピッチ(CCDピッチ)との相関において、例えば図2に示すようにX線遮蔽部材7aが存在する部分の画素とX線遮蔽部材7aが存在しない部分の画素とが生じる構成であると、X線遮蔽部材7aによる入射X線強度の低下が周期的に発生することで、X線平面検出器の出力画像においてモアレ縞が発生することになる。
【0013】そこで、本実施の形態では、前記錯乱線除去グリッド7を、X線遮蔽部材7aのピッチAの整数倍の振幅で前記ピッチ方向に振動させる振動装置8(図1参照)を設け、X線曝射期間中に前記振動装置8によって前記錯乱線除去グリッド7を振動させることで、前記モアレ縞の発生を防止するようにしてある。
【0014】上記のように、前記振動装置8により錯乱線除去グリッド7を前記ピッチAの整数倍の振幅で振動させれば、錯乱線除去グリッド7の停止位置(初期位置)においてX線遮蔽部材7aが位置しない画素に対し、X線遮蔽部材7aの影響が略均等に分散されることになり、以て、X線遮蔽部材7aの影響を受けて特定画素に対応するX線強度が低下することがなく、各画素に対応する入射X線強度を均等化してモアレ縞の発生を防止できる。
【0015】前記振動装置8による錯乱線除去グリッド7の振動は、X線管1のX線照射に同期して行わせ、X線曝射期間の終了時点で、初期位置と該初期位置からピッチAの整数倍だけ離れた最大位置とのいずれか一方に位置していることが最も好ましく、前記初期位置と最大位置との間の移動はX線曝射期間中に少なくとも1回行われれば良い。但し、前記初期位置と最大位置との間の移動が少なくとも1回行われた後であれば、X線曝射期間の終了時点で錯乱線除去グリッド7が前記初期位置と最大位置との間の中間位置に位置していても良い。
【0016】X線曝射時間が切り換えられる場合には、振動装置8における駆動周波数(グリッド7の移動速度)を、そのときのX線曝射時間に応じて変化させる構成としても良いが、最も短いX線曝射時間で、前記初期位置と最大位置との間の移動がX線曝射期間中に少なくとも1回行われる設定としてあれば良い。即ち、X線曝射期間が長くなればそれだけ移動回数が増えることになって、モアレ縞の防止効果がより大きくなるから、最も短いX線曝射時間で充分なモアレ縞防止効果が得られる設定であれば、X線曝射時間の変化に対して駆動周波数(グリッド7の移動速度)を変化させなくても良い。
【0017】また、錯乱線除去グリッド7の振動の振幅(移動量)を、X線遮蔽部材7aのピッチAの10倍程度以下とすることが好ましく、これにより、錯乱線除去グリッド7が移動しても、グリッド7周辺部の傾斜して設けられるX線遮蔽部材7aによって直接線が遮蔽されてしまうことがなく、シェーディングの発生も回避できる。また、錯乱線除去グリッド7の振幅(移動量)が、X線遮蔽部材7aのピッチAの10倍程度以下であれば、前記振動装置8として比較的小型のものを用いることができるので、振動装置8が障害となって、被検体10の診断部位(例えば頭部側面)にX線平面検出器を密着させることができなくなったり、被検体10とX線平面検出器との距離が大きくなって無用な拡大撮影が行われてしまうことを回避できる。
【0018】尚、振動装置8を、図1に示すように、X線イメージインテシファイヤ2の容器9内に装着することが好ましく、また、振動装置8を設けることによるX線イメージインテシファイヤ2の入力面からの容器9の嵩上げ分を10mm以下とし、X線イメージインテシファイヤ2の入力面中心からの半径増分を50mm以下に抑制することが好ましい。
【0019】前記振動装置8としては、例えば図3又は図4に示すような構成のものを用いることができる。図3に示す振動装置8は、錯乱線除去グリッド7を図で左右方向に移動可能に支持する一方、錯乱線除去グリッド7の左端に該錯乱線除去グリッド7を左方向に向けて付勢するコイルスプリング11を設け、右端にワイヤー12を介して圧電素子13を接続してある。尚、符号14は、ワイヤー12の向きを90°反転させて、X線イメージインテシファイヤ2の側面に支持させた圧電素子13にワイヤー12を接続させるためのプーリである。
【0020】上記構成によると、ワイヤー12が弛むことがないように、前記コイルスプリング11の付勢力によって錯乱線除去グリッド7が図で左方向に引っ張られており、この状態で、圧電素子13へ通電させて圧電素子13が収縮又は伸長すると、その分だけ錯乱線除去グリッド7が図で左右方向に移動することになる。従って、前記圧電素子13に対する通電のON・OFFをパルス制御すれば、通電パルスに応じて前記錯乱線除去グリッド7が振動することになり、前記圧電素子13への通電による収縮又は伸長が、前記X線遮蔽部材7aのピッチAの整数倍となるように圧電素子13を選択し、また、通電量を制御すれば良い。
【0021】一方、図4に示す振動装置8は、錯乱線除去グリッド7を図で左右方向に移動可能に支持する一方、モータ21で回転駆動される円板22上の偏心した位置に偏心ピン23を立設し、該偏心ピン23の外周面に錯乱線除去グリッド7の側面が押し当てられるように図示しない弾性部材によって錯乱線除去グリッド7を右方向に付勢するか、錯乱線除去グリッド7に前記偏心ピン23が嵌挿される長穴(図4で紙面を貫通する方向に長い長穴)を開口させるようにする。
【0022】かかる構成によると、偏心ピン23がモータ21の回転に伴ってモータ21の軸回りに回転すると、該回転は図に示す平面上では左右方向への往復動となり、該往復動に伴って錯乱線除去グリッド7が左右方向に振動することになる。従って、前記偏心ピン23の偏心量の2倍が錯乱線除去グリッド7の左右方向への移動量になり、前記偏心量を2倍した値が、前記X線遮蔽部材7aのピッチAの整数倍となるように偏心量を決定すれば良い。
【0023】尚、上記図3又は図4に示した振動装置8に限定されるものではなく、この他の構成で錯乱線除去グリッド7を振動させる構成であっても良いことは明らかである。また、上記の実施形態では、X線イメージインテシファイヤ2とテレビジョンカメラ3との組み合わせからなるX線平面検出器を用いたシステムとしたが、TFT(薄膜トランジスタ)をスイッチングゲートとして使用したX線平面検出器を用いたシステムにおいても、同様にして錯乱線除去グリッド7を振動させることで、上記システムと同様な効果が得られる。更に、1次元に配列された画素に分けてX線像を撮像するシステムであっても良い。
【0024】
【発明の効果】本発明は以上のように、X線曝射期間中に錯乱線除去グリッドをX線遮断部材のピッチに関連づけて振幅を設定してピッチ方向に振動させる振動装置を備える構成としたので、必要最小限の移動距離で錯乱線除去グリッドを振動させてモアレ縞の発生を効果的に防止することができるという効果がある。
【出願人】 【識別番号】000153498
【氏名又は名称】株式会社日立メディコ
【出願日】 平成10年(1998)4月3日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】西山 春之
【公開番号】 特開平11−285486
【公開日】 平成11年(1999)10月19日
【出願番号】 特願平10−91274