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【発明の名称】 可搬型心電記録計
【発明者】 【氏名】臼井 卓巳

【要約】 【課題】安価であると共に良好に信号を記録できる可搬型心電記録計を提供する。

【解決手段】電極11-1〜11-4をアンプ部12と接続し、この電極を生体に取り付ける。アンプ部12から複数チャネルの低周波信号であるセンサ信号S1〜S4を得る。信号切替器13で信号S1〜S4を順次選択してA/D変換部14でそれぞれの信号をディジタルのデータ信号Daに変換してメモリ16に記憶する。メモリ16に記憶されたデータ信号Daのデータ量が所定量に達したときにはミニディスク30等を駆動すると共にメモリ16から所定量のデータ信号Daを読み出してミニディスク30に記録する。信号を良好に記録できる。間欠的に記録を行うので、容量の大きな電池を用いることなく長時間記録が可能となる。またミニディスクを用いることで小型化できる。オーディオ信号やデータ信号を記録する光ディスク装置の部品を流用できるので安価となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の電極を生体に取り付けて、心臓の拍動によって生じた低周波信号を前記複数の電極を用いて検出して記録する可搬型心電記録計において、光ディスクと、前記複数の電極を用いて検出された複数チャネルのアナログの低周波信号をディジタルのデータ信号に変換する信号変換手段と、前記信号変換手段で得られたデータ信号を記憶するデータ記憶手段と、前記データ記憶手段に記憶されたデータ信号のデータ量が所定量に達したときに、前記光ディスクを駆動して前記データ記憶手段に記憶されているデータ信号を前記光ディスクに記録する信号記録手段とを有することを特徴とする可搬型心電記録計。
【請求項2】 前記光ディスクとしてミニディスクを用いることを特徴とする請求項1記載の可搬型心電記録計。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は可搬型心電記録計に関する。詳しくは、複数の電極を用いて検出されたアナログの低周波信号をディジタルのデータ信号に変換してデータ記憶手段に記憶するものとし、データ記憶手段に所定量のデータ信号が記憶されたときには、信号記録手段によって光ディスクを駆動してデータ記憶手段に記憶されているデータ信号を光ディスクに記録するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、心機能を検査するため、例えば心臓が拍動するときに生じる活動電位を記録する心電記録計が用いられている。心電記録計は、心臓の拍動によって生じる活動電位を増幅し、得られた信号を記録するものであり、この心電記録計に記録された信号によって不整脈や心筋障害などの診断が行われる。
【0003】ここで、不整脈の発生頻度等を検査するためには、携帯可能な可搬型心電記録計を用いて長時間心臓の拍動を監視することが行われる。この可搬型心電記録計は、記録媒体としてカセットテープを用いるものとし、波形がアナログ信号でカセットテープに記録される。またテープ走行速度を遅くすることにより長時間記録できるようになされている。さらに、記録媒体として半導体記憶素子を用いるものとし、波形をディジタル信号としてから記録する可搬型心電記録計も知られている。このような可搬型心電記録計は、携帯可能とするために電池を用いて動作が行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、波形をアナログ信号でカセットテープに記録する可搬型心電記録計は、信号の記録および再生によって、S/Nの悪化を招いてしまう。また、テープ走行速度のむらによってワウ・フラッターを生ずる場合がある。このようにS/Nの悪化やワウ・フラッターを生ずると、信号の分解能や信頼性の悪化を招いてしまう。また、テープ走行速度を遅くすることから、テープ駆動機構が複雑で高価となってしまう。さらに、長時間連続して駆動されるため、容量の大きな電池を用いなければならないと共に、テープ走行用のモータも高価な長寿命のモータを用いる必要があった。また、カセットテープを用いることから、オーディオ用のカセットテープレコーダの磁気ヘッド等を流用して可搬型心電記録計のコストを低減させるものとした場合、最大でも4チャネルの信号しか記録することができない。
【0005】また、記録媒体として半導体記憶素子を用いる可搬型心電記録計は、長時間であると共に高分解能で信号を記録するものとすると、記憶容量の大きな半導体記憶素子が必要とされることから可搬型心電記録計が高価となってしまう。さらに、可搬型心電記録計の電池が消耗した場合、あるいは半導体記憶素子をユニット化して取り外し可能とし、このユニット化された半導体記憶素子を可搬型心電記録計から取り外した場合、記憶されたデータが消滅されないように半導体記憶素子として不揮発性メモリを用いるものとすると、可搬型心電記録計が更に高価となってしまう。
【0006】そこで、この発明では安価であると共に良好に信号を記録できる可搬型心電記録計を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明に係る可搬型心電記録計は、光ディスクと、複数の電極を用いて検出された複数チャネルのアナログの低周波信号をディジタルのデータ信号に変換する信号変換手段と、信号変換手段で得られたデータ信号を記憶するデータ記憶手段と、データ記憶手段に記憶されたデータ信号のデータ量が所定量に達したときに、光ディスクを駆動してデータ記憶手段に記憶されているデータ信号を光ディスクに記録する信号記録手段とを有するものである。
【0008】この発明においては、複数の電極を用いて検出された複数チャネルのアナログの低周波信号がディジタルのデータ信号に変換してデータ記憶手段に記憶される。このデータ記憶手段に所定時間分のデータ信号が記憶されたときには、信号記録手段によって例えばミニディスクを駆動してデータ記憶手段に記憶されている所定時間分のデータ信号がミニディスクに記録される。
【0009】
【発明の実施の形態】次に、この発明に係る可搬型心電記録計の実施の一形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0010】図1は可搬型心電記録計10の構成を示しており、記録媒体として例えばミニディスク30が用いられる。図1において、電極11-1〜11-4は、心臓の拍動によって生じる活動電位を検出するための電極である。この電極11-1〜11-4はアンプ部12と接続されており、生体の所定の位置に取り付けられる。
【0011】アンプ部12は、同相のノイズを低減させるために差動増幅器を用いて構成されている。このアンプ部12は、いずれかの電極を基準として、この基準電極と他の電極間で生じた例えば数mVの電位差を増幅したり、人為的に設けられた中性点を基準として、この中性点と電極間で生じた電位差を増幅することが行われる。このアンプ部12で得られた複数のセンサ信号S1〜S4は信号切替器13に供給される。
【0012】信号切替器13は、後述するシステムコントローラ25からの制御信号CSに基づき、アンプ部12から供給されたセンサ信号S1〜S4を順次選択する。この信号切替器13で選択されたセンサ信号SaはA/D変換部14に供給される。
【0013】A/D変換部14では、供給されたアナログのセンサ信号Saをディジタルのセンサデータ信号Daに変換する。このセンサデータ信号Daはメモリコントローラ15に供給される。
【0014】メモリコントローラ15には、センサデータ信号Daを一時的に保持するためのメモリ16が接続される。ここで、A/D変換部14からメモリコントローラ15にセンサデータ信号Daが供給されると、メモリコントローラ15は供給されたセンサデータ信号Daをメモリ16に供給して記憶する。また、メモリ16に記憶されたセンサデータ信号Daのデータ量が所定のデータ量に達した場合、メモリコントローラ15はメモリ16から記憶されたセンサデータ信号Daを読み出して信号処理部17に供給する。
【0015】信号処理部17は、供給されたセンサデータ信号Daを例えばEFM(Eight toFourteen Modulation)変調すると共に、CIRC(Cross Interleave Reed-Solomon Code)等によってエラー訂正処理のためのエンコード処理を行う。このEFM変調やエラー訂正処理が施されたセンサデータ信号Daは、記録データ信号WSとして記録ヘッド20に供給される。なお、A/D変換部14やメモリコントローラ15および信号処理部17の動作は、後述するシステムコントローラ25からの制御信号CSに基づいて制御される。
【0016】記録ヘッド20は、供給された記録データ信号WSに基づく磁界を発生する。この記録ヘッド20で発生された磁界はミニディスク30に印加される。このとき、ミニディスク30は、スピンドルモータ21によって所定の速度で回転されていると共に、磁界が印加されたミニディスク30には、後述する光ピックアップ22から所定の光量のレーザ光が照射される。このため、レーザ光が照射された位置の磁化の向きが磁界に応じた向きとされて、記録データ信号WSがミニディスク30に記録される。
【0017】光ピックアップ22は、レーザ光をミニディスク30に照射すると共に、後述するサーボ制御部26からのサーボ制御信号にFTSに基づき、レーザ光をミニディスク30の所望の位置に集光させるためのフォーカス制御やトラッキング制御が行われる。また光ピックアップ22は、ミニディスク30からの反射光に基づく信号PSを生成してRFアンプ部23に供給する。
【0018】RFアンプ部23は、光ピックアップ22からの信号PSに基づいて読出信号RSを生成し、この読出信号RSを信号処理部17を介してシステムコントローラ25に供給する。また信号PSに基づいてフォーカス誤差信号FEやトラッキング誤差信号TEを生成してサーボ制御部26に供給する。
【0019】システムコントローラ25にはサーボ制御部26が接続されており、システムコントローラ25は、光ピックアップ22からの読出信号RSに基づいてサーボ制御信号VCを生成してサーボ制御部26に供給する。このシステムコントローラ25には、操作部28や表示部29が接続されており、操作部28からの操作信号ESに応じて制御信号CSが生成されて可搬型心電記録計の動作が制御される。またシステムコントローラ25は、表示信号EDを生成して表示部29に供給する。表示部29では、供給された表示信号EDに基づき動作に関する情報が表示される。
【0020】サーボ制御部26は、システムコントローラ25からのサーボ制御信号VCに基づきスピンドルモータ21の回転速度の制御するためのモータ駆動信号MDを生成してスピンドルモータ21に供給する。このモータ駆動信号MDがスピンドルモータ21に供給されて、ミニディスク30が所定の速度で回転される。また、RFアンプ部23からのフォーカス誤差信号FEやトラッキング誤差信号TEに基づきフォーカス駆動信号FDおよびトラッキング駆動信号TDが生成されて光ピックアップ22に供給される。
【0021】次に、動作について説明する。心臓の拍動によって生じる活動電位をアンプ部12で増幅して得られるセンサ信号S1〜S4は、周波数帯域が数十Hzまでの低周波信号である。ここで、センサ信号S1〜S4をサンプリングしてディジタルの信号とする場合、サンプリングの定理によりセンサ信号の2倍以上の周波数でサンプリングを行う必要がある。また、信号切替器13で4チャネルのセンサ信号S1〜S4を順次選択することから、信号切替器13では(200×4)Hzで4チャネルのセンサ信号S1〜S4を順次選択すると共に、A/D変換部14では(200×4)Hzでサンプリングを行うことにより、センサ信号S1〜S4のそれぞれを200Hzでサンプリングして得られたデータから成るセンサデータ信号DaをA/D変換部14から得ることができる。
【0022】このようにして得られたセンサデータ信号Daは、メモリコントローラ15を介してメモリ16に記憶される。ここで、メモリ16の記憶容量を2Mbitとし、センサデータ信号Daの分解能を8bitとすると、式(1)からメモリ16には約5分27秒間のセンサデータ信号Daを記憶することができる。
【0023】
2Mbit÷(200×4)Hz÷8bit ≒ 327秒(5分27秒)・・・(1)
【0024】このため、メモリ16に例えば5分間のセンサデータ信号Daが記憶されたときには、メモリコントローラ15でメモリ16に記憶されたセンサデータ信号Daを読み出してミニディスク30に記録する処理が行われる。
【0025】また、ミニディスク30では、ディスク1枚あたりの記録容量が140Mbyteであることから、式(2)で示すように、1枚のミニディスクに50時間分以上のセンサデータ信号Daを記録することができる。
【0026】
140Mbyte÷(200×4)Hz÷8bit ≒ 3058分(50時間58分)・・・(2) 【0027】なお、センサデータ信号Daの分解能を8bitから例えば16bitとした場合や、記録する信号の数を4チャネルから8チャネルとした場合には、25時間分以上すなわち1日分の信号を記録することができる。
【0028】センサデータ信号Daの記録が終了したときには、センサデータ信号Daを記録したミニディスク30が可搬型心電記録計から取り出されて心電図解析装置に装着される。心電図解析装置は、ミニディスク30に記録されたセンサデータ信号Daを読み出して各種の解析を行い、解析結果が心電図解析装置のモニタ画面上に表示される。またハードコピーとして出力される。なお、可搬型心電記録計10にミニディスク30に記録されたセンサデータ信号Daを再生する機能を持たせるものとして、可搬型心電記録計10で再生されたセンサ信号S1〜S4を心電図解析装置に供給して各種の解析を行うものとしてもよい。この場合、信号処理部17では誤り訂正処理やEFM復調処理等が行われて再生センサデータ信号が信号処理部17からメモリコントローラ15に供給される。この再生センサデータ信号はメモリ16に記憶されたのち、所定の速度で読み出されてチャネル毎にセンサデータ信号が分離されたのちアナログ信号に変換されて再生センサ信号として心電図解析装置に供給される。
【0029】このように、記録媒体としてミニディスクを用いて、センサ信号をディジタル信号に変換して記録することにより、S/Nが良好でワウ・フラッター等の影響を受けることなく分解能および信頼性の高い再生センサ信号を得ることができる。
【0030】またセンサデータ信号は、例えば5分間隔でミニディスクに記録されるので、スピンドルモータ等の駆動も間欠して行われる。ここで、センサデータ信号の記録時の転送速度を例えば0.3Mbit/sec(オーディオ信号を記録するミニディスクでの転送速度)とすると、1日分の4チャネルのセンサデータ信号を分解能8bitで記録するのに要する時間は約31分間とされる。
【0031】また、スピンドルモータ等を駆動してセンサデータ信号を記録する場合には、センサデータ信号の記録に要する時間だけでなく、ミニディスクを所定の回転速度とするまでに要する時間および記録終了後にディスクの回転を停止させるためのブレーキ時間も必要とされることから、所定の回転速度とするまでに要する時間とブレーキ時間との加算時間を記録に要する時間に対して例えば50%とした場合には、センサデータ信号の記録時間が約31分間であることからスピンドルモータ等の駆動時間は約47分間程度とされる。なお、センサデータ信号の記録時の転送速度を更に高速とすれば駆動時間を更に短くすることができる。
【0032】このように、1日分のセンサデータ信号を記録する場合に、センサデータ信号がメモリに一時記憶されて、メモリに記憶されたデータが間欠してミニディスクに記録される。このため、スピンドルモータ等の駆動時間が短いものとされて、容量の大きな電池等を用いることなく1日分のセンサデータ信号を記録することができるので、可搬型心電記録計を軽量化することができる。
【0033】さらに、記録媒体としてミニディスクが用いられることから、オーディオ信号を記録するミニディスク装置の部品を流用することができるので、可搬型心電記録計を安価に構成することができる。また、ミニディスクのディスク直径が64mmと小さいことから、可搬型心電記録計を小型化することができる。
【0034】なお上述の実施の形態では、記録媒体としてミニディスクを用いるものとしたが、記録媒体はミニディスクに限られるものではなく、信号を記録できる光ディスク、例えばコンピュータ機器等で用いられている光磁気ディスクや相変化型光ディスク等であってもよいことは勿論である。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、複数の電極を用いて検出された複数チャネルのアナログの低周波信号がディジタルのデータ信号に変換されると共に、このデータ信号はデータ記憶手段に所定量記憶されたときに光ディスクに記録される。このように、ディジタルのデータ信号に変換されてから光ディスクに記録されるので、S/Nを良好とすることができると共にワウ・フラッターの影響を防止できる。また、記録が間欠的に行われるので、複数チャネルのアナログの低周波信号を長時間記録する場合であっても、記録動作時間は短いものとなり、容量の大きな電池等を用いることなく長時間記録を行うことができる。また、オーディオ信号やコンピュータ機器等のデータ信号を記録する光ディスク装置の部品を流用できるので安価とすることができる。さらに、光ディスクとしてミニディスクを用いるものとすれば、可搬型心電記録計を容易に小型化できる。
【出願人】 【識別番号】000000491
【氏名又は名称】アイワ株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月24日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】山口 邦夫 (外1名)
【公開番号】 特開平11−267108
【公開日】 平成11年(1999)10月5日
【出願番号】 特願平10−76224