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【発明の名称】 内視鏡の挿入部
【発明者】 【氏名】大原 健一

【氏名】藤井 喜則

【氏名】竹重 勝

【要約】 【課題】可撓管の外皮の厚さや硬度を変化させることなく、途中で可撓性を容易かつ滑らかに変化させた内視鏡の挿入部を提供すること。

【解決手段】挿入部を外装する可撓管2内に、操作ワイヤ23を挿通して案内するための密着巻きコイルパイプからなる複数のワイヤガイド24が挿通配置された内視鏡の挿入部において、複数のワイヤガイド24の中の少なくとも二つのワイヤガイド24の可撓管2内に位置する部分のうち、可撓管2の基端位置から中間位置までの範囲に、ワイヤガイド24によってあい異なる肉厚の超弾性合金製のパイプ材からなる可撓性抑制用パイプ25を被嵌した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】挿入部を外装する可撓管内に、操作ワイヤを挿通して案内するための密着巻きコイルパイプからなる複数のワイヤガイドが挿通配置された内視鏡の挿入部において、上記複数のワイヤガイドの中の少なくとも二つのワイヤガイドの上記可撓管内に位置する部分のうち、上記可撓管の基端位置から中間位置までの範囲に、ワイヤガイドによってあい異なる肉厚の超弾性合金製のパイプ材からなる可撓性抑制用パイプを被嵌したことを特徴とする内視鏡の挿入部。
【請求項2】上記可撓管内において周囲の空間に余裕のあるワイヤガイドには肉厚の厚い可撓性抑制用パイプが被嵌され、周囲の空間に余裕の少ないワイヤガイドには肉厚の薄い可撓性抑制用パイプが被嵌されている請求項1記載の内視鏡の挿入部。
【請求項3】上記複数の可撓性抑制用パイプが、互いの先端位置をずらして各ワイヤガイドに被嵌されている請求項1又は2記載の内視鏡の挿入部。
【請求項4】上記可撓性抑制用パイプが、基端側だけで上記ワイヤガイドに対して固定されている請求項1ないし3のいずれかの項に記載の内視鏡の挿入部。
【請求項5】上記可撓性抑制用パイプが、両端において上記ワイヤガイドに対して固定されている請求項1ないし3のいずれかの項に記載の内視鏡の挿入部。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、体腔内等に挿入される内視鏡の挿入部に関する。
【0002】
【従来の技術】いわゆる軟性内視鏡の挿入部は、光学繊維束等の内蔵物を外装可撓管内に挿通配置して構成されているが、その先端寄りの部分は体腔内臓器の形状に沿って比較的自由に曲がるように柔軟に形成し、手元側の部分は操作者が行う微妙な押し引き動作等が先端側に伝達されるように硬めに形成する必要がある。
【0003】そこで従来は、外装可撓管の最外層の合成樹脂外皮の厚さや硬度等を位置によって変化させることにより、外装可撓管自体の可撓性を途中で変化させていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】外装可撓管の最外層の合成樹脂外皮は、一般に押し出し成形によって形成されるが、その厚さや硬度をいちいち途中で変化させる製法では、外装可撓管の製造に著しい時間とコストがかかってしまう。また、そのように途中で成形条件を変化させると、成形条件の変動に起因する製品毎の可撓性のバラツキが発生する場合が少なくない。
【0005】そこで本発明は、可撓管の外皮の厚さや硬度を変化させることなく、途中で可撓性を容易かつ滑らかに変化させた内視鏡の挿入部を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡の挿入部は、挿入部を外装する可撓管内に、操作ワイヤを挿通して案内するための密着巻きコイルパイプからなる複数のワイヤガイドが挿通配置された内視鏡の挿入部において、上記複数のワイヤガイドの中の少なくとも二つのワイヤガイドの上記可撓管内に位置する部分のうち、上記可撓管の基端位置から中間位置までの範囲に、ワイヤガイドによってあい異なる肉厚の超弾性合金製のパイプ材からなる可撓性抑制用パイプを被嵌したことを特徴とする。
【0007】なお、上記可撓管内において周囲の空間に余裕のあるワイヤガイドには肉厚の厚い可撓性抑制用パイプが被嵌され、周囲の空間に余裕の少ないワイヤガイドには肉厚の薄い可撓性抑制用パイプが被嵌されていてもよい。そして、上記複数の可撓性抑制用パイプが、互いの先端位置をずらして各ワイヤガイドに被嵌されていてもよい。
【0008】また、上記可撓性抑制用パイプが、基端側だけで上記ワイヤガイドに対して固定されていてもよく、或いは、上記可撓性抑制用パイプが、両端において上記ワイヤガイドに対して固定されていてもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図2は内視鏡を示しており、体腔内等に挿入される挿入部は、可撓管2によって外装された軟性部分の先端に、操作部1からの遠隔操作によって屈曲する湾曲部3が連結され、その湾曲部3の先端に、対物光学系等を内蔵した先端部本体4が連結されて構成されている。
【0010】先端部本体4の表面には、対物光学系に観察像を導入する観察窓5、観察視野に向けて照明光を射出する照明窓6、処置具挿通チャンネル出口7a、及び図示が省略されている送気送水ノズル等が配置されている。
【0011】可撓管2の基端に連結された操作部1には、湾曲部3を屈曲操作するための湾曲操作ノブ8a,8bが配置されており、上下方向用湾曲操作ノブ8aで上下方向のいずれかの操作ワイヤを牽引操作し、左右方向用湾曲操作ノブ8bで左右方向のいずれかの操作ワイヤを牽引操作することにより、湾曲部3を任意の方向に屈曲させることができる。
【0012】操作部1には、その他にも、送気送水操作ボタン11、吸引操作ボタン12及び処置具挿入口7b等が配置されている。14は、図示されていない光源装置に接続されるライトガイドケーブルである。
【0013】図1は、挿入部の可撓管2部分を示している。可撓管2は外径が5〜15mm程度、長さが50〜150cm程度であるが、判り易くするために、実際より太く短く図示されている。
【0014】可撓管2は、例えば金属帯材製の螺旋管に網状管を被覆し、その外面にポリウレタン樹脂等の外皮を被覆して構成されているが、その各々の図示は省略されている。また、内部に挿通配置されている光学繊維束やチューブ類等の図示も省略されている。
【0015】なお、可撓管2を被覆する外皮部分はどのような構造であっても差し支えないが、途中で外皮の厚さや硬度を異ならせて可撓管2自体の可撓性を変化させる必要はない。
【0016】可撓管2の基端部分には、操作部1に連結するための基端連結口金21が取り付けられ、可撓管2の先端部分には、湾曲部3を連結するための先端連結筒22が取り付けられている。
【0017】先端連結筒22は、例えばステンレス鋼管材によって形成されており、III−III断面が図3に示されるように、四本の操作ワイヤ23を緩く挿通して案内するワイヤガイド24の先端部分が、90°間隔にスポット溶接又は銀ロー付け等によって内周面に固着されている。
【0018】図1には、4組ある操作ワイヤ23とワイヤガイド24のうちの2組が示されている。ワイヤガイド24は、ステンレス鋼線を一定の径で密着巻きしたコイルパイプによって形成されており、各操作ワイヤ23の先端は、湾曲部3の先端部分に連結されている。
【0019】ワイヤガイド24の基端部分は、操作部1内の図示されていない湾曲操作機構フレームに固定されており、両端部以外の部分は自由な状態で可撓管2内に挿通配置されている。
【0020】このように配置された各ワイヤガイド24に対して、可撓管2の基端位置から中間位置までの範囲に、超弾性金属製のパイプ材からなる可撓性抑制用パイプ25が被嵌されている。
【0021】超弾性金属は、例えばTi−Ni(チタン−ニッケル)系のものであり、金属としては弾性限界が非常に大きいので、可撓性抑制用パイプ25は可撓管2が曲げられる程度の曲率半径で屈曲されても塑性変形せず、元の真っ直ぐな状態に戻ろうとする弾撥性を有している。
【0022】可撓性抑制用パイプ25は、四本のワイヤガイド24の中の二本のワイヤガイド24に被嵌されており、例えば基端連結口金21の出口部分付近において各々ワイヤガイド24に固定されている。
【0023】ただし、超弾性金属は半田等が付き難いので、ワイヤガイド24に半田付けにより固着された段付きの筒状部材31に、可撓性抑制用パイプ25の基端部を接着により固定してある。
【0024】それ以外の部分では、可撓性抑制用パイプ25はワイヤガイド24に固定されていない。したがって、可撓管2が曲げられた時には、可撓性抑制用パイプ25に対してその内側でワイヤガイド24が軸線方向に移動することができる。
【0025】図4は、図1におけるIV−IV断面を示しており、可撓管2内に、処置具挿通チャンネル7、イメージガイドファイババンドル15、ライトガイドファイババンドル16、送気チューブ17、送水チューブ18及び噴射用送水チューブ19等が並んで挿通配置されている。
【0026】そして、処置具挿通チャンネル7に隣接していて周囲の空間に余裕のないワイヤガイド24aには肉厚の薄い可撓性抑制用パイプ25aが被嵌され、周囲の空間に余裕のあるワイヤガイド24bには肉厚の厚い可撓性抑制用パイプ25bが被嵌されている。
【0027】このようにして、二本のワイヤガイド24に可撓性抑制用パイプ25が被嵌された可撓管2の基端寄りの部分では、可撓管2が曲げられる際に可撓性抑制用パイプ25が抵抗として作用して可撓性が抑制され、可撓管2の押し引き動作等が先端側に伝達され易い。
【0028】そして、複数のワイヤガイド24に、周囲の空間の余裕に応じてあい異なる肉厚の可撓性抑制用パイプ25を選択して被嵌したので、可撓管2を太くすることなく最適の可撓性を得ることができる。
【0029】一方、ワイヤガイド24に可撓性抑制用パイプ25が被嵌されていない可撓管2の先端寄りの部分は、可撓管2の曲げ動作に対して可撓性抑制用パイプ25が何らの影響を及ぼさないので、可撓性が大きく(即ち、柔軟性に富み)、体腔内の臓器形状に沿ってスムーズに変形する。
【0030】ただし、単純にそのように構成すると、可撓管2の中間部分で可撓性が急激に変化して使い難かったり、その部分で急激に折れ曲がって破損し易くなる場合がある。
【0031】そこで、図1に示されるように、複数の可撓性抑制用パイプ25が互いの先端位置をずらして各ワイヤガイド24に被嵌されており、それによって可撓管2の中間部における可撓性が滑らかに変化している。
【0032】図5は、本発明の第2の実施の形態の可撓管2部分を示しており、各可撓性抑制用パイプ25の先端面に当接するストッパ環26をワイヤガイド24の外周面に固着し、可撓性抑制用パイプ25の先端部分がワイヤガイド24に対して相対的に軸線方向に動くのを規制したものである。
【0033】なお、上記の各実施の形態においては二本のワイヤガイド24に可撓性抑制用パイプ25を被嵌したが、本発明はそれに限定されるものではなく、周囲の空間の余裕に応じた肉厚の可撓性抑制用パイプ25を、三本以上のワイヤガイド24に被嵌してもよい。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、ワイヤガイドの可撓管内に位置する部分のうち、可撓管の基端位置から中間位置までの範囲に、超弾性金属製のパイプ材からなる可撓性抑制用パイプを被嵌したことにより、可撓管の外皮の厚さや硬度を変化させることなく、可撓管で外装された部分の可撓性を途中で容易にバラツキなく変化させることができ、しかも、複数のワイヤガイドに被嵌される可撓性抑制用パイプの肉厚をあい異ならせたことにより、可撓管を太くすることなく最適の可撓性を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000000527
【氏名又は名称】旭光学工業株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月23日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】三井 和彦
【公開番号】 特開平11−267092
【公開日】 平成11年(1999)10月5日
【出願番号】 特願平10−72966