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【発明の名称】 内視鏡の挿入部
【発明者】 【氏名】大原 健一

【氏名】松野 真一

【氏名】岩崎 知子

【要約】 【課題】可撓管の外皮の厚さや硬度を変化させることなく、途中で可撓性を容易かつ滑らかに変化させた内視鏡の挿入部を提供すること。

【解決手段】少なくとも一つの内蔵物7の、可撓管2の基端位置から中間位置までの範囲に、超弾性合金製のパイプ材からなる可撓性抑制用パイプ15を被嵌した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】遠隔操作によって屈曲する湾曲部が可撓管の先端に連結されて、対物光学系等を内蔵する先端部本体が上記湾曲部の先端に連結され、先端が上記先端部本体に連結された可撓性を有する内蔵物が上記湾曲部内及び上記可撓管内の全長にわたって挿通配置された内視鏡の挿入部において、少なくとも一つの内蔵物の、上記可撓管の基端位置から中間位置までの範囲に、超弾性合金製のパイプ材からなる可撓性抑制用パイプを被嵌したことを特徴とする内視鏡の挿入部。
【請求項2】上記可撓性抑制用パイプが、基端側の部分のみにおいて上記ワイヤガイドに対して固定されている請求項1記載の内視鏡の挿入部。
【請求項3】上記可撓性抑制用パイプの先端部分が上記内蔵物に対して軸線方向に移動するのを規制するためのストッパが上記内蔵物の外面に設けられている請求項1又は2記載の内視鏡の挿入部。
【請求項4】上記可撓性抑制用パイプが被嵌された内蔵物が処置具挿通チャンネルである請求項1、2又は3記載の内視鏡の挿入部。
【請求項5】湾曲操作ワイヤを挿通して案内するためのワイヤガイドが、上記可撓管の先端部分に先端が固定された状態に設けられており、そのワイヤガイドの上記可撓管内に位置する部分のうち、上記可撓管の基端位置から中間位置までの範囲にも、超弾性合金製のパイプ材からなる可撓性抑制用パイプが被嵌されている請求項1ないし4のいずれかの項に記載の内視鏡の挿入部。
【請求項6】上記可撓性抑制用パイプの先端側端面が楔状に斜めに形成されていて、その突先部分が上記可撓管の内周面に近い側に配置されている請求項5記載の内視鏡の挿入部。
【請求項7】上記可撓管に挿通配置された上記処置具挿通チャンネル以外の内蔵物の、上記可撓管の基端位置から中間位置までの範囲にも、超弾性合金製のパイプ材からなる可撓性抑制用パイプが被嵌されている請求項1ないし6のいずれかの項に記載の内視鏡の挿入部。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、体腔内等に挿入される内視鏡の挿入部に関する。
【0002】
【従来の技術】いわゆる軟性内視鏡の挿入部は、光学繊維束等の内蔵物を外装可撓管内に挿通配置して構成されているが、その先端寄りの部分は体腔内臓器の形状に沿って比較的自由に曲がるように柔軟に形成し、手元側の部分は操作者が行う微妙な押し引き動作等が先端側に伝達されるように硬めに形成する必要がある。
【0003】そこで従来は、外装可撓管の最外層の合成樹脂外皮の厚さや硬度等を位置によって変化させることにより、外装可撓管自体の可撓性を途中で変化させていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】外装可撓管の最外層の合成樹脂外皮は、一般に押し出し成形によって形成されるが、その厚さや硬度をいちいち途中で変化させる製法では、外装可撓管の製造に著しい時間とコストがかかってしまう。また、そのように途中で成形条件を変化させると、成形条件の変動に起因する製品毎の可撓性のバラツキが発生する場合が少なくない。
【0005】そこで本発明は、可撓管の外皮の厚さや硬度を変化させることなく、途中で可撓性を容易かつ滑らかに変化させた内視鏡の挿入部を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡の挿入部は、遠隔操作によって屈曲する湾曲部が可撓管の先端に連結されて、対物光学系等を内蔵する先端部本体が上記湾曲部の先端に連結され、先端が上記先端部本体に連結された可撓性を有する内蔵物が上記湾曲部内及び上記可撓管内の全長にわたって挿通配置された内視鏡の挿入部において、少なくとも一つの内蔵物の、上記可撓管の基端位置から中間位置までの範囲に、超弾性合金製のパイプ材からなる可撓性抑制用パイプを被嵌したことを特徴とする。
【0007】なお、上記可撓性抑制用パイプが、基端側の部分のみにおいて上記ワイヤガイドに対して固定されていてもよく、上記可撓性抑制用パイプの先端部分が上記内蔵物に対して軸線方向に移動するのを規制するためのストッパが上記内蔵物の外面に設けられていてもよい。
【0008】また、上記可撓性抑制用パイプが被嵌された内蔵物が処置具挿通チャンネルであってもよく、湾曲操作ワイヤを挿通して案内するためのワイヤガイドが、上記可撓管の先端部分に先端が固定された状態に設けられており、そのワイヤガイドの上記可撓管内に位置する部分のうち、上記可撓管の基端位置から中間位置までの範囲にも、超弾性合金製のパイプ材からなる可撓性抑制用パイプが被嵌されていてもよい。
【0009】また、上記可撓性抑制用パイプの先端側端面が楔状に斜めに形成されていて、その突先部分が上記可撓管の内周面に近い側に配置されていてもよく、上記可撓管に挿通配置された上記処置具挿通チャンネル以外の内蔵物の、上記可撓管の基端位置から中間位置までの範囲にも、超弾性合金製のパイプ材からなる可撓性抑制用パイプが被嵌されていてもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は内視鏡を示しており、体腔内等に挿入される挿入部は、可撓管2によって外装された軟性部分の先端に、操作部1からの遠隔操作によって屈曲する湾曲部3が連結され、その湾曲部3の先端に、対物光学系等を内蔵した先端部本体4が連結されて構成されている。
【0011】可撓管2は、例えば金属帯材製の螺旋管に網状管を被覆し、その外面にポリウレタン樹脂等の外皮を被覆して構成されている。可撓管2を被覆する外皮部分はどのような構造であっても差し支えないが、途中で外皮の厚さや硬度を異ならせて可撓管2自体の可撓性を途中で変化させる必要はない。
【0012】可撓管2及び湾曲部3内には、処置具挿通チャンネル7、光学繊維束及び各種チューブ類などのような、先端が先端部本体4に連結された可撓性を有する内蔵物が全長にわたって挿通配置されている。
【0013】先端部本体4の表面には、対物光学系に観察像を導入する観察窓5、観察視野に向けて照明光を射出する照明窓6、処置具挿通チャンネル7の出口7a、及び図示が省略されている送気送水ノズル等が配置されている。
【0014】可撓管2の基端に連結された操作部1には、湾曲部3を屈曲操作するための湾曲操作ノブ8a,8bが配置されており、上下方向用湾曲操作ノブ8aで上下方向のいずれかの操作ワイヤを牽引操作し、左右方向用湾曲操作ノブ8bで左右方向のいずれかの操作ワイヤを牽引操作することにより、湾曲部3を任意の方向に屈曲させることができる。
【0015】操作部1には、その他にも、送気送水操作ボタン11、吸引操作ボタン12及び処置具挿入口7b等が配置されている。14は、図示されていない光源装置に接続されるライトガイドケーブルである。
【0016】処置具挿通チャンネル7は、処置具挿入口7bの近傍部分だけは金属パイプ7pによって形成され、可撓管2内と湾曲部3内の部分を含めてその他の部分は、四フッ化エチレン樹脂チューブのような滑りのよい可撓性チューブ7tによって形成されている。
【0017】そして、処置具挿通チャンネル7の、可撓管2基端より少し操作部1側に寄った位置から可撓管2の中間位置までの範囲に、超弾性合金製のパイプ材からなる可撓性抑制用パイプ15が被嵌されている。
【0018】超弾性金属は、例えばTi−Ni(チタン−ニッケル)系のものであり、金属としては弾性限界が非常に大きいので、可撓性抑制用パイプ15は可撓管2が曲げられる程度の曲率半径で屈曲されても塑性変形せず、元の真っ直ぐな状態に戻ろうとする弾撥性を有している。
【0019】図2は、可撓性抑制用パイプ15の基端部分付近を示しており、処置具挿入口7bには鉗子栓13が取り付けられており、その奥の部分において、吸引操作ボタン12側に通じる管路17と処置具挿通チャンネル7の金属パイプ7pとが、管継手16によってT字状に接続されている。
【0020】処置具挿通チャンネル7の金属パイプ7pと可撓性チューブ7tとは、可撓管2の基端より少し操作部1側に寄った位置Aにおいて、金属製の接続筒7eを介して接続されている。
【0021】図3は、その処置具挿通チャンネル7の金属パイプ7pと可撓性チューブ7tとの接続部Aと、処置具挿通チャンネル7に被嵌された可撓性抑制用パイプ15の先端部分Bとを拡大して示している。
【0022】処置具挿通チャンネル7の可撓性チューブ7tの基端には、接続筒7eが圧入接着されており、金属製の補強コイル18の半部によって、外側から締め付け固定されている。
【0023】処置具挿通チャンネル7の可撓性チューブ7tに被嵌された可撓性抑制用パイプ15の基端は、接続筒7eに隣接する位置にあって補強コイル18の半部内に圧入接着され、接着力と補強コイル18の締め付け力によってその部分に固定されている。可撓性抑制用パイプ15のその他の部分は、先端部分Bも含めて自由状態になっている。
【0024】このような構成により、処置具挿通チャンネル7に可撓性抑制用パイプ15が被嵌された可撓管2の基端寄りの部分では、可撓管2が曲げられる際に可撓性抑制用パイプ15が抵抗として作用して可撓性が抑制され、可撓管2の押し引き動作等が先端側に伝達され易い。
【0025】そして、処置具挿通チャンネル7に可撓性抑制用パイプ15が被嵌されていない可撓管2の先端寄りの部分は、可撓管2の曲げ動作に対して可撓性抑制用パイプ15が何らの影響を及ぼさないので、可撓性が大きく(即ち、柔軟性に富み)、体腔内の臓器形状に沿ってスムーズに変形する。
【0026】図4は、本発明の第2の実施の形態の可撓管2部分を示しており、処置具挿通チャンネル7に可撓性抑制用パイプ15が被嵌されている部分の構成は第1の実施の形態と全く同じである。
【0027】そしてこの実施の形態においては、さらに、湾曲操作ワイヤ23を挿通して案内するためのワイヤガイド24にも可撓性抑制用パイプ25が被嵌されている点が、第1の実施の形態と相違する。
【0028】可撓管2の基端部分には、操作部1に連結するための基端連結口金21が取り付けられ、可撓管2の先端部分には、湾曲部3を連結するための先端連結筒22が取り付けられている。
【0029】先端連結筒22は、例えばステンレス鋼管材によって形成されており、V−V断面が図5に示されるように、四本の湾曲操作ワイヤ23を緩く挿通して案内するワイヤガイド24の先端部分が、90°間隔にスポット溶接又は銀ロー付け等によって内周面に固着されている。
【0030】図4には、4組ある湾曲操作ワイヤ23とワイヤガイド24のうちの2組が示されている。ワイヤガイド24は、ステンレス鋼線を一定の径で密着巻きしたコイルパイプによって形成されており、各湾曲操作ワイヤ23の先端は、湾曲部3の先端部分に連結されている。
【0031】ワイヤガイド24の基端部分は、操作部1内の図示されていない湾曲操作機構フレームに固定されており、両端部以外の部分は自由な状態で可撓管2内に挿通配置されている。
【0032】このように配置された各ワイヤガイド24に対して、可撓管2の基端位置から中間位置までの範囲に、超弾性金属製のパイプ材からなる可撓性抑制用パイプ25が被嵌されている。
【0033】可撓性抑制用パイプ25は、四本のワイヤガイド24の各々に被嵌されており、基端連結口金21の出口部分付近において、ワイヤガイド24に半田付けにより固着された段付きの筒状部材31に可撓性抑制用パイプ25の基端部25bが接着により固定されている。
【0034】このようにして、可撓管2部分の可撓性を必要に応じてさらに変化させることができ、可撓性抑制用パイプ25の先端側の部分25aを楔状に斜めに形成することによって、可撓性を徐々に滑らかに変化させることができる。
【0035】また、可撓性抑制用パイプ25の突先で可撓管2内の他の内蔵物を傷つけないように、可撓性抑制用パイプ25の先端部分25aは、突先が外側(即ち、可撓管2の内周面に近い側)に位置するように配置されている。
【0036】図6は、本発明の第3の実施の形態を示しており、処置具挿通チャンネル7の可撓性チューブ7tに被嵌された可撓性抑制用パイプ15の先端面が当接するストッパ環19を可撓性チューブ7tの外周面に固着して、処置具挿通チャンネル7と可撓性抑制用パイプ15との相対的移動を規制したものであり、その他の部分は第2の実施の形態と同じである。
【0037】なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば、可撓性抑制用パイプ15を処置具挿通チャンネル7以外の内蔵物(先端が先端部本体4に連結されて、湾曲部3内から可撓管2内の全長にわたって挿通配置されている可撓性を有する構成要素)に被嵌してもよく、処置具挿通チャンネル7とその他の内蔵物とに被嵌してもよい。
【0038】一般に、内蔵物の中では処置具挿通チャンネル7が一番太いので、処置具挿通チャンネル7に可撓性抑制用パイプ15を被嵌することにより最も大きな可撓性変化を得ることができ、ワイヤガイド24や細い内蔵物に可撓性抑制用パイプ15を被嵌することにより可撓性変化を微調整することができる。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、先端が先端部本体に連結されて湾曲部内及び可撓管内の全長にわたって挿通配置された可撓性を有する内蔵物の、可撓管の基端位置から中間位置までの範囲に、超弾性合金製のパイプ材からなる可撓性抑制用パイプを被嵌したことにより、可撓管の外皮の厚さや硬度を変化させることなく、可撓管で外装された部分の可撓性を途中で容易に製品毎のバラツキなく変化させることができる。
【0040】そして、処置具挿通チャンネルに可撓性抑制用パイプを被嵌すれば大きな可撓性変化を得ることができ、ワイヤガイドや細い内蔵物に可撓性抑制用パイプを被嵌することにより可撓性変化を微調整することができる。
【出願人】 【識別番号】000000527
【氏名又は名称】旭光学工業株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月23日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】三井 和彦
【公開番号】 特開平11−267090
【公開日】 平成11年(1999)10月5日
【出願番号】 特願平10−72964