| 【発明の名称】 |
超音波ファントム |
| 【発明者】 |
【氏名】カワン・スタント
【氏名】斎須 善文
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| 【要約】 |
【課題】医用超音波の研究、関連装置、器具等の開発製造、医師あるいは技術者等の訓練用のために供する、超音波照射による生体組織の温度上昇を模擬した超音波ファントムを提供する。
【解決手段】母材に寒天やゼラチンなどのゲル状の媒質や、あるいはゴム系の媒質を用い、超音波照射による温度上昇を人体のそれに近似させるため、超音波の吸収性の大きい微粒子と散乱性の大きい微粒子を母材の水溶液に混入することを特徴とする、超音波ファントムである。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】母材に寒天やゼラチンなどのゲル状の媒質や、あるいはゴム系の媒質を用いる超音波ファントムにおいて、超音波照射による温度上昇を人体のそれに近似させるため、超音波の吸収性の大きい微粒子と散乱性の大きい微粒子を母材の水溶液に混入することを特徴とする、超音波造影剤。 【請求項2】超音波の吸収性の大きい微粒子として、グラファイト、カーボンマイクロビーズを用いることを特徴とする、請求項1記載の超音波ファントム。 【請求項3】超音波の散乱性の大きい微粒子として、ポリマー系微小中空球、ガラスビーズ、ガラス微小中空球、あるいはアクリルビーズを用いることを特徴とする、請求項1記載の超音波ファントム。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、医用超音波の研究、関連装置、器具等の開発製造、医師あるいは技術者等の訓練用のために供する超音波ファントムに関する。 【0002】 【従来の技術】医用超音波の研究、関連装置、器具等の開発製造、医師あるいは技術者等の訓練の度に人体を用いることは、物理的にも経済的にも問題があるため、一般に上記目的のために超音波ファントムが用いられている。 【0003】この超音波ファントムは、音速や減衰といった音響特性が人体の生体組織のそれに近似した模擬体であり、通常、母材として寒天やゼラチンなどのゲル状の媒質や、あるいはゴム系の媒質を使用している。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】近年の超音波診断装置は、より詳細な診断や微小な癌の早期発見などの要求に答えるために分解能の向上がはかられ、その目的のために超音波ビームを集束させることが行われている。しかし、超音波ビームを集束させると、人体への超音波の照射強度は増加する。さらに、血流を詳細に測定するためのカラーフロードップラー装置の普及などによっても、人体への超音波照射強度が増加する傾向にある。 【0005】このような強力な超音波が生体へ影響を及ぼす主な要因としては、大きく非熱作用と熱作用に分けられ、熱作用については照射された超音波のエネルギーが生体組織に吸収されることにより熱が発生し、その熱が生体組織に影響を及ぼすと言われている。 【0006】一方、癌等の悪性腫瘍や前立腺肥大症等の良性腫瘍という生体の異常な細胞組織で構成される患部を治療するための方法として患部に超音波を照射し、43℃付近の温度で所定時間加温することによって患部を治療する温熱治療(超音波ハイパーサーミア)においては、上記の熱作用を積極的に治療に利用している。 【0007】しかしながら、従来から医用超音波の安全性を検討するために使われてきた超音波ファントムは、音速や減衰といった音響特性を人体に模擬したものがほとんどであり、超音波の照射による生体組織の温度上昇を模擬したファントムはなかった。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明は、このような従来の問題点を解決するためになされたもので、母材に寒天やゼラチンなどのゲル状の媒質や、あるいはゴム系の媒質を使用し、その中に超音波の吸収性の大きい微粒子と散乱性の大きい微粒子を混入することによって、超音波の照射による生体組織の温度上昇を模擬した超音波ファントムを実現することを特徴とする。 【0009】超音波の吸収性の大きい微粒子としては、グラファイトやカーボンマイクロビーズがあり、また散乱性の大きい微粒子としては、ポリマー系微小中空球、ガラスビーズ、ガラス微小中空球、あるいはアクリルビーズがある。 【0010】 【発明の実施の形態】図1は、本発明の超音波ファントムの一実施形態の製造方法を示したフローチャートである。 【0011】図1の実施形態における本発明の超音波ファントムの母材としては、ゲル状の媒質である寒天を用いる。70℃から80℃に熱した蒸留水溶液中に撹拌しながら、寒天の粉末を徐々に溶解させる。この粉末の溶解後、超音波の吸収性の大きい微粒子、例えばグラファイトと散乱性の大きい微粒子、例えばポリマー系微小中空球を混入し、撹拌を続ける。 【0012】ファントム内に気泡が含まれていると、その気泡の影響により超音波照射による生体組織の温度上昇を正確に模擬することができなくなるため、ファントム内に含まれている空気を真空ポンプを用いて十分に脱泡する。その後、型の中に静かに流し込み、5〜6℃に保たれた冷蔵庫で1〜2時間ほど冷却し完成する。音波の吸収による減衰が大きいグラファイトと、反射、散乱による減衰が大きいポリマー系微小中空球の混入割合を変化させることにより、超音波の照射による生体組織の温度上昇を模擬した超音波ファントムの作製が可能となる。 【0013】グラファイトとポリマー系微小中空球の超音波照射に対する特性の違いを検討するため、図2に示す装置を使って実験をおこなった。グラファイト、ポリマー系微小中空球の混入濃度を1%とした寒天製の超音波ファントムをそれぞれの微粒子について作製した。作製した超音波ファントム1を容器6の下部に設置し、その上部は生理食塩水5で満たした。そして、容器6の上部に設置した超音波振動子3から超音波の集束ビーム4を超音波ファントム1に向けて照射し、超音波ファントム1を加温した。超音波照射による超音波ファントム1内部の温度上昇の分布を測定するため、温度センサーとして熱電対2を超音波ファントム1の深さ方向に3点設置した。熱電対2の設置深さは、超音波ファントム1の表面からそれぞれ13mm、23mm、33mmとした。そして、超音波照射開始から4分後の各々の深さに於ける温度上昇の測定結果を、グラファイト混入ファントムについては図3に、ポリマー系微小中空球混入ファントムについては図4に示す。 【0014】超音波ファントムの深さと温度上昇の関係を見ると、深さとともに温度上昇は低下した。また、グラファイト混入ファントムの減衰定数は0.41dB/cm、ポリマー系微小中空球の混入ファントムでは0.43dB/cmとなり、ほぼ同等の値を示しているのにもかかわらず、グラファイトを混入したファントムは、ポリマー系微小中空球を混入したファントムと比べて約2倍の温度上昇を示した。 【0015】減衰定数に大きな差がないにもかかわらず、温度上昇には約2倍の差が見られた原因を解明するため、次にそれぞれの微粒子による超音波の後方散乱パワーの違いについて調べた。 【0016】測定には超音波診断装置評価用のグレースケールファントムを使用し、後方散乱パワーの評価を行った。グラファイト、ポリマー系微小中空球を混入したそれぞれの超音波ファントムの後方散乱画像の輝度を超音波診断装置を用いて測定した。グレースケールファントムには−12dBから+15dBの範囲で散乱強度の異なる散乱体分散領域が存在する。これらの領域の診断装置による画像をコンピュータに取り込み、輝度の校正を行った。グレースケールファントムと、作製した微粒子混入ファントムとの輝度の比較を行うことにより後方散乱パワーを求めた。 【0017】測定結果はグラファイト混入ファントムの場合、後方散乱パワーは約9.2dBとなり、ポリマー系微小中空球混入ファントムの場合、約23dBとなった。後方散乱パワーに着目して検討した結果、ポリマー系微小中空球はグラファイトに比べて、約2倍の後方散乱パワーをもつことがわかった。 【0018】上記の結果からグラファイト混入ファントムはポリマー系微小中空球混入ファントムと減衰定数はほぼ同じでも後方散乱パワーは半分であり、その分音波の吸収による減衰が大きく、これがグラファイト混入ファントムの温度上昇が、ポリマー系微小中空球混入ファントムの約2倍となった原因と考えられる。 【0019】発熱の原因である減衰を散乱による減衰、吸収による減衰とに分けて考えると、グラファイトは音波の吸収による減衰が大きく、ポリマー系微小中空球は反射、散乱による減衰が大きいと分類できる。 【0020】すなわち、ファントムの減衰定数は同じでも混入する微粒子の種類を調整することにより吸収性の大きいファントムであるか、散乱性の大きいファントムであるかが調整でき、目的に応じた超音波の照射による生体組織の温度上昇を模擬したファントムを実現できる。 【0021】 【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の超音波ファントムによれば、超音波の吸収性の大きい微粒子と散乱性の大きい微粒子の混入割合を調整することにより、超音波照射による生体組織の温度上昇を容易に模擬することが可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】593232206 【氏名又は名称】学校法人桐蔭学園
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)3月17日 |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開平11−262488 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)9月28日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−108398 |
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