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【発明の名称】 内視鏡の可撓管及びその製造方法
【発明者】 【氏名】大原 健一

【氏名】柴田 義範

【氏名】渋谷 洋満

【氏名】広瀬 謹

【氏名】岩坂 喜久男

【氏名】窪田 達夫

【氏名】佐藤 昌也

【氏名】葛西 忠志

【要約】 【課題】内視鏡を繰り返し使用しても、内部に挿通配置された光学繊維束等が最内層の螺旋管の内面によって損傷されず、可撓性の変動も少ない内視鏡の可撓管及びその製造方法を提供すること。

【解決手段】最内層に螺旋管11が配置され、外皮13は外皮部材1を溶融状態で塗布した後に硬化させて形成された内視鏡の可撓管において、外皮部材1を、最内層の螺旋管11の隙間からその螺旋管11の内面に達する位置まで浸透させた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】最内層に螺旋管が配置され、外皮は外皮部材を溶融状態で塗布した後に硬化させて形成された内視鏡の可撓管において、上記外皮部材を、上記最内層の螺旋管の隙間からその螺旋管の内面に達する位置まで浸透させたことを特徴とする内視鏡の可撓管。
【請求項2】上記螺旋管が一重又は多重に重ねて設けられていて、その螺旋管の外面に一重又は多重に網状管が被覆され、その網状管の外面に上記外皮部材が塗布されている請求項1記載の内視鏡の可撓管。
【請求項3】上記螺旋管の内面の全部又は一部が、上記外皮部材の浸透部分により被覆されている請求項1又は2記載の内視鏡の可撓管。
【請求項4】最内層に螺旋管を配置し、外皮は外皮部材を溶融した状態で塗布した後に硬化させて形成した内視鏡の可撓管の製造方法において、上記最内層の螺旋管内に芯材を緩く挿通した状態で、上記外皮部材を上記最内層の螺旋管の隙間からその螺旋管の内面に達する位置まで浸透させ、上記外皮部材が硬化した後に上記芯材を抜去するようにしたことを特徴とする内視鏡の可撓管の製造方法。
【請求項5】上記螺旋管が一重又は多重に重ねて設けられていて、その螺旋管の外面に一重又は多重に網状管が被覆され、その網状管の外面に上記外皮部材が塗布される請求項4記載の内視鏡の可撓管の製造方法。
【請求項6】上記外皮部材が熱可塑性の合成樹脂であり、押出機によって塗布される請求項4又は5記載の内視鏡の可撓管の製造方法。
【請求項7】上記外皮部材が塗布される側の部材の表面に、上記外皮部材との結合を強めるための結合増強処理が施されている請求項4、5又は6記載の内視鏡の可撓管の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、内視鏡の挿入部等を構成する内視鏡の可撓管及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】内視鏡の可撓管は、一般に一重又は多重に重ねて設けられた螺旋管の外面に網状管が被覆され、その外面に可撓性の外皮が被覆されて構成されており、外皮は、可撓性のチューブ材を被せるか、或いは熱可塑性の合成樹脂材を溶融塗布した後に硬化させて形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】図6は、熱可塑性の合成樹脂材を溶融塗布した後に硬化させて外皮13が形成された従来の内視鏡の可撓管を示しており、外皮13を形成する外皮部材1が網状管12の網の目に食い込むように浸透して、外皮13と網状管12とを結合させている。
【0004】しかし、螺旋管11と網状管12との間の結合状態は弱いので、内視鏡の使用を繰り返しているうちに両部材11,12の間に隙間が発生して、可撓管が次第に柔らかくなって挿入性が低下していた。
【0005】また、図7に示されるように、内視鏡の可撓管は使用時には小さな曲率半径でいろいろな向きに屈曲されたり真っ直ぐに戻されたりする。すると、可撓管に挿通配置されている光学繊維束50を被覆するシリコンゴムチューブが螺旋管11の内面のエッジ部分で損傷し、それによって内部の光学繊維が折損して光学性能が著しく低下してしまう場合があった。
【0006】そこで本発明は、内視鏡を繰り返し使用しても、内部に挿通配置された光学繊維束等が最内層の螺旋管の内面によって損傷されず、可撓性の変動も少ない内視鏡の可撓管及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡の可撓管は、最内層に螺旋管が配置され、外皮は外皮部材を溶融状態で塗布した後に硬化させて形成された内視鏡の可撓管において、上記外皮部材を、上記最内層の螺旋管の隙間からその螺旋管の内面に達する位置まで浸透させたことを特徴とする。
【0008】なお、上記螺旋管が一重又は多重に重ねて設けられていて、その螺旋管の外面に一重又は多重に網状管が被覆され、その網状管の外面に上記外皮部材が塗布されていてもよく、上記螺旋管の内面の全部又は一部が、上記外皮部材の浸透部分により被覆されていてもよい。
【0009】また、本発明の内視鏡の可撓管の製造方法は、最内層に螺旋管を配置し、外皮は外皮部材を溶融した状態で塗布した後に硬化させて形成した内視鏡の可撓管の製造方法において、上記最内層の螺旋管内に芯材を緩く挿通した状態で、上記外皮部材を上記最内層の螺旋管の隙間からその螺旋管の内面に達する位置まで浸透させ、上記外皮部材が硬化した後に上記芯材を抜去するようにしたことを特徴とする。
【0010】なお、上記螺旋管が一重又は多重に重ねて設けられていて、その螺旋管の外面に一重又は多重に網状管が被覆され、その網状管の外面に上記外皮部材が塗布されていてもよい。
【0011】また、上記外皮部材が熱可塑性の合成樹脂であり、押出機によって塗布されてもよく、上記外皮部材が塗布される側の部材の表面に、上記外皮部材との結合を強めるための結合増強処理が施されていてもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態の内視鏡の可撓管の中間部分の側面断面図であり、内視鏡の挿入部の外装又はライトガイドを光源装置に接続するためのライトガイドケーブルの外装等に用いられる。
【0013】可撓管の最内層には、ステンレス鋼等の帯材を一定の径でピッチ間に隙間をあけて螺旋状に巻いて形成された螺旋管11が配置されている。この実施の形態においては、螺旋管11は巻方向の異なる二重構造に構成されているが、一重でもよく或いは三重以上であってもよい。
【0014】螺旋管11の外面には、ステンレス鋼細線等を編組して管状に形成された網状管12が被覆されている。この網状管12も、一重又は多重のどちらであってもよい。
【0015】網状管12の外面には、例えばポリウレタン樹脂等の熱可塑性合成樹脂からなる外皮13が被覆されている。この外皮13は、溶融された合成樹脂材(外皮部材)1を押し出し成形機で網状管12の外面に被覆した後に冷却硬化させて形成されており、外表面には耐薬品性のあるコーティングが被覆されている。
【0016】外皮部材1は、溶融状態の時に網状管12の網の目から螺旋管11のピッチ間の隙間へ浸透し、螺旋管11のピッチ間の隙間から螺旋管11の内側に頭を出した状態で硬化されている。したがって、螺旋管11の内面のエッジ部分は全て外皮部材1によって被覆されている。
【0017】したがって、可撓管内に挿通配置されている光学繊維束(図示省略)の被覆チューブは螺旋管11のエッジ部に直接触れることがなく、エッジ部を被覆している外皮部材1にしか触れない。
【0018】その結果、可撓管が使用時に小さな曲率半径でいろいろな向きに屈曲されたり真っ直ぐに戻されたりしても、光学繊維束の被覆チューブが損傷せず、したがって光学繊維折れが発生しない。
【0019】上述のように、螺旋管11の内面に達する位置まで外皮部材1を浸透させるためには、押し出し成形時の樹脂圧力を増大したり、押し出しノズル付近で樹脂をさらに加熱すればよい。
【0020】ただし、単にそのようにすると、図2に示されるように、螺旋管11のピッチ間の隙間から螺旋管11の内側に侵入する外皮部材1の量が多すぎたり不均一になってしまう。図1に示されるような均一な状態にするためには、押し出し成形の条件設定を非常に厳密に行う必要がある。
【0021】そこで、図3に示されるように、押し出し成形時に螺旋管11内に芯金20を緩く挿通して、外皮部材1が硬化した後に芯金20を抜去すれば、図4に示されるように、螺旋管11の内面位置まで浸透した外皮部材1が螺旋管11の内面全体を均一に薄く覆う状態に成形することができ、押し出し成形時の温度や圧力の多少のバラツキに影響されない。
【0022】その結果、螺旋管11のエッジ部が外皮部材1で被覆されて、光学繊維束の被覆チューブの損傷による光学繊維折れが発生しないだけでなく、螺旋管11と網状管12との間が外皮部材1によって機械的に強固に結合されるので、内視鏡の使用を繰り返した後であっても、螺旋管11と網状管12と外皮13との一体性が失われず、当初の可撓性が維持されると共に座屈や皺発生等の不具合が発生しない。
【0023】なお、芯金20としてはステンレス鋼等の金属棒を用いてもよいが、プラスチック材やゴム材等からなる柔軟性のある素材を用いれば、押し出し成形を連続的に行うことができる。
【0024】また、外皮部材1が押し出し成形で塗布される側の部材(即ち、螺旋管11に網状管12が被覆された状態の管材)の表面に、コーティング、メッキ等の表面処理、プライマー処理あるいは接着剤塗布等を行って、外皮部材1との結合を増強してもよい。
【0025】図4に示される実施の形態のように螺旋管11の内面位置まで浸透した外皮部材1で螺旋管11の内面全体を覆うようにすると、製作された可撓管は可撓性の低い硬いものになる。
【0026】そこで、芯金20を使用して押し出し成形を行う際に外皮部材1の浸透量を少なくすれば、図5に示されるように、螺旋管11の内面位置まで浸透した外皮部材1が螺旋管11の内面を部分的に覆う状態にすることができる。
【0027】このように形成された可撓管は、螺旋管11の内面全体を外皮部材1で覆った図4の実施の形態の場合と同様の特長を有しながら、適度の可撓性を得ることができる。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、溶融状態で塗布された後に硬化される外皮部材を、最内層の螺旋管の隙間からその螺旋管の内面に達する位置まで浸透させたことにより、螺旋管の内面エッジ部分が外皮部材で被覆されるので、内視鏡が繰り返し使用された後であっても内部に挿通配置された光学繊維束等が最内層の螺旋管の内面によって損傷されず、また、螺旋管の内面の全部又は一部を外皮部材の浸透部分で被覆すれば、螺旋管と他の部材との結合状態が強化され、繰り返し使用後の可撓性の変動も少なくなる。
【出願人】 【識別番号】000000527
【氏名又は名称】旭光学工業株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月18日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】三井 和彦
【公開番号】 特開平11−262468
【公開日】 平成11年(1999)9月28日
【出願番号】 特願平10−67545