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【発明の名称】 血中成分濃度測定装置
【発明者】 【氏名】林 克巳

【要約】 【課題】生体の血中成分の濃度を精度良く、非侵襲で測定する。

【解決手段】生体2に対して、光源手段1より相異なる波長成分からなる測定光Sを照射し、生体2で散乱される光の中から直進光弁別手段3により直進光成分あるいはそれに近い散乱光成分を抽出する。そして、この直進光弁別手段3が抽出した直進光成分の減光度変化を減光度変化検出手段4により検出し、演算手段5により、測定光Sの各波長成分ごとの減光度変化に基づいて血中成分濃度を演算する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 生体の血管を含む部分に、相異なる複数の波長成分からなる測定光を照射する光源手段と、前記生体を通過した光の中から直進光成分あるいはそれに近い散乱光成分を抽出する直進光弁別手段と、この直進光弁別手段が抽出した前記直進光成分あるいはそれに近い散乱光成分の減光度変化を検出する減光度変化検出手段と、測定光の各波長成分ごとの前記減光度変化に基づいて血中成分濃度を求める演算を行なう演算手段とからなる血中成分濃度測定装置。
【請求項2】 前記光源手段が、被測定成分を含む被測定変数の数と等しい数の波長成分からなる測定光を照射するものであることを特徴とする請求項1記載の血中成分濃度測定装置。
【請求項3】 前記直進光弁別手段が、前記直進光成分あるいはそれに近い散乱光成分のみを示すビート信号を生成する光ヘテロダイン干渉計からなることを特徴とする請求項1または2記載の血中成分濃度測定装置。
【請求項4】 前記直進光弁別手段が、前記直進光成分あるいはそれに近い散乱光成分を、それよりも遅れて入射する散乱光成分と時間軸上で区別して検出するストリークカメラからなることを特徴とする請求項1または2記載の血中成分濃度測定装置。
【請求項5】 前記減光度変化検出手段が、生体の動脈動による減光度変化を検出するものであることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の血中成分濃度測定装置。
【請求項6】 前記減光度変化検出手段が、前記直進光成分あるいはそれに近い散乱光成分を検出した信号の最大値と最小値との差を求めることにより、前記生体の動脈動による減光度変化を検出するものであることを特徴とする請求項5記載の血中成分濃度測定装置。
【請求項7】 前記演算手段が、前記被測定成分を含む被測定変数の数をnとしたとき、n元連立Lambert-Beer方程式を解いて前記血中成分濃度を求めるものであることを特徴とする請求項1から6いずれか1項記載の血中成分濃度測定装置。
【請求項8】 前記演算手段が、前記被測定変数の中にヘマトクリット値を含んで前記演算を行なうものであることを特徴とする請求項1から7いずれか1項記載の血中成分濃度測定装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体の血中成分の濃度を非侵襲で光学的に測定する装置に関し、特に詳細には、血中Hb(oxyHb、deoxyHb、COHb、MetHb等)濃度や、血中ビリルビン濃度を測定するのに適した血中成分濃度測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知のように、臨床において生体組織の酸素濃度をモニタする意義は極めて大きい。臨床における酸素ダイナミクス評価法は、生体内での酸素の動きという側面から大別すると、酸素化、酸素供給、酸素消費、および酸素需給バランス、のように分類される。
【0003】上記分類の中でも、とりわけ、酸素化、酸素供給に関するパラメータが重要と考えられている。これは、生命活動維持のために酸素が最重要な物質であり、わずかな時間でも酸素供給が絶たれると、生体組織細胞は重大な傷害を受けるからである。そのため、酸素供給が不安定になりうる麻酔中や、呼吸不全、循環不全患者の集中治療では、特に酸素が適切に供給されているか否かをモニタすることが重要になる。
【0004】生体組織への酸素供給は、動脈血によって行なわれる。そこで、生体組織への酸素供給が適切に行なわれているか否かを把握するために、動脈血中の各種Hb(ヘモグロビン)濃度を測定することにより血中酸素濃度をモニタすることが考えられている。
【0005】他方、新生児において血中ビリルビンが体内に蓄積されると、新生児黄疸を引き起こすことが知られている。この点から、新生児黄疸の監視のために、血中ビリルビン濃度を精度良く測定したいという要求もある。
【0006】以上説明した血中Hbや血中ビリルビン等の濃度を測定する装置としては、従来、以下のようなものが知られている。
【0007】血中Hb濃度測定装置(1) パルスオキシメータ(光学式血液測定装置)
この装置は、動脈血の脈動による減光度変化に着目して血液の減光度を抽出し、そこから酸素飽和度=oxyHb/(oxyHb + deoxyHb)を測定するものである。基本的には、生体に照射した2波長の光の減光度変化の比と、予め求めておいた血中酸素飽和度との回帰直線に基づいて酸素飽和度が求められる。
【0008】この装置は、非侵襲で簡便に測定ができる、比較的安価である、といった特長を有している。なおこのパルスオキシメータについては、特公昭53−26437号に詳しい記載がなされている。
【0009】(2) コオキシメータこの装置は、採血した血液を溶解し、キュベット内で複数波長についての吸光度を測定することにより、oxyHb、deoxyHb、COHb、MetHb等の各種Hbの絶対値濃度を求めるものである。このコオキシメータは、血液の酸素化の程度のみならず酸素含有量を求めることができる、高精度である、といった特長を有する。
【0010】血中ビリルビン濃度測定装置(1) 血清ビリルビン濃度測定器この装置は、新生児の足の踵にメスを入れる等して採取された血液を遠心分離器にかけ、それにより得られた血清を測定器にかけて血清ビリルビン濃度を求めるものである。血清ビリルビン濃度の測定には、少量の血清で測定可能な直接比色法が多く採用される。
【0011】(2) ミノルタ黄疸計この装置は、ビリルビンの吸光係数に差のある波長λ1とλ2の光についての光学濃度差はビリルビン濃度と相関があることを利用して、新生児の皮膚の黄染度合を、青と緑の波長領域の光学濃度差として非侵襲で検出するものである。具体的には、皮膚に青と緑の波長領域の光を入射させ、皮下脂肪を黄染しているビリルビンによって短波長側の吸収を受けた後、散乱・反射して再び皮膚表面に出て来たこれらの光の一部を検出し、それらの光についての光学濃度差を求めるように構成されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】以上説明した4つの従来装置においては、次のような問題が認められている。まず血中Hb濃度測定装置のうち(1) のパルスオキシメータは、測定精度が低いという問題がある。すなわちこの装置は、2波長の減光度変化の比と、予め求めておいた血中酸素飽和度との回帰直線に基づいて酸素飽和度を測定するものであるが、血液は強散乱体であるため、回帰直線と酸素飽和度は広い範囲に亘っては符合し得ないのである。そこで一般に、酸素飽和度が70%以下の場合においては、測定値が回帰直線から大きくずれてしまう。
【0013】また、酸素飽和度はoxyHb/(oxyHb + deoxyHb)=血液の酸素化の程度を意味しており、oxyHbの相対値を示している。したがって、パルスオキシメータでは血中の酸素供給量(酸素含有量)を求めることはできない。
【0014】さらにこのパルスオキシメータには、ヘマトクリット値によって計測値が異なるという問題も認められる。
【0015】次に(2) のコオキシメータは、侵襲的である、血液の溶解を必要とするので測定作業が煩雑なものとなる、といった問題を有している。
【0016】一方、血中ビリルビン濃度測定装置のうち(1) の血清ビリルビン濃度測定器は、侵襲を伴うため頻繁に実施できない、という問題を有している。
【0017】また(2) のミノルタ黄疸計には、得られる測定値はビリルビン濃度ではなくビリルビン濃度に対応した相対値である、という難点がある。そしてこの相対値である前記光学濃度差は、出生体重によって血清ビリルビン濃度との相関が大きく異なるので、同じ血清ビリルビン濃度であっても出生体重によって測定値が大きく異なることがある。
【0018】さらに上記光学濃度差は、測定部位、人種、皮膚の色等によって血清ビリルビンとの相関が大きく異なるので、同一症例であっても、測定部位や各個人によって測定値が異なるという問題が生じる。
【0019】本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、生体の血中に存在する種々成分の濃度、特に血中Hb(oxyHb、deoxyHb、COHb、MetHb等)濃度や血中ビリルビン濃度の絶対値を、精度良く、非侵襲で測定できる装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明による血中成分濃度測定装置は、血中成分濃度成分を非侵襲で光学的に測定できるように構成されたもので、具体的には、生体の血管を含む部分に、相異なる複数の波長成分からなる測定光を照射する光源手段と、前記生体を通過した光の中から直進光成分あるいはそれに近い散乱光成分を抽出する直進光弁別手段と、この直進光弁別手段が抽出した前記直進光成分あるいはそれに近い散乱光成分の減光度変化を検出する減光度変化検出手段と、測定光の各波長成分ごとの前記減光度変化に基づいて血中成分濃度を求める演算を行なう演算手段とからなることを特徴とするものである。
【0021】なお前記光源手段としては、被測定成分を含む被測定変数の数と等しい数の波長成分からなる測定光を照射するものが好適に用いられる。
【0022】一方直進光弁別手段としては、前記直進光成分あるいはそれに近い散乱光成分のみを示すビート信号を生成する光ヘテロダイン干渉計や、あるいは、前記直進光成分あるいはそれに近い散乱光成分を、それよりも遅れて入射する散乱光成分と時間軸上で区別して検出するストリークカメラ等を好適に用いることができる。
【0023】また減光度変化検出手段としては、生体の動脈動による減光度変化を検出するもの、さらに具体的には、直進光成分あるいはそれに近い散乱光成分を検出した信号の最大値と最小値との差を求めることにより、生体の動脈動による減光度変化を検出するものを好適に用いることができる。
【0024】また演算手段としては、前記被測定成分を含む被測定変数の数をnとしたとき、n元連立Lambert-Beer方程式を解いて血中成分濃度を求めるものを好適に用いることができる。
【0025】
【発明の効果】図1は、本発明による血中成分濃度測定装置の基本構成を示すものである。以下、この図1を参照して、本装置により血中成分濃度を正確に測定できることを説明する。
【0026】例えばn個の光源Q1〜QnおよびダイクロイックミラーM等からなる光源手段1は、血管を有する生体2に対して、被測定変数の数nと同じ数の波長成分からなる測定光Sを照射する。これらの成分の各波長をλ1、λ2、λ3……λnとする。ここで生体2は強散乱体であるため、生体2へ入射した測定光Sはほとんどが散乱され、その大部分が多重散乱光として振る舞う。しかしここで、僅かに直進光成分も残り、その直進光の強度Iは下式で表される。なお図2には、上記直進光や散乱光が生じる様子を概略的に示してある。
【0027】I=I0exp(μ・C・L)ただしI0:入射光強度μ:減衰係数L:試料の厚さC:減光を起こさせる血中成分の濃度直進光弁別手段3は、生体2によって散乱される光の中から直進光成分、あるいはそれに近い散乱光成分、つまり直進光成分とほぼ同様の光路を進む散乱光成分のみを弁別する。
【0028】生体2は図3に概略図示するように、組織、静脈、および動脈に大別できる。生体2に光を入射させると、組織、静脈、および動脈の各々において吸収・散乱が生じ、射出光が減衰する。周知のように動脈は脈動をしており、射出光強度を観察すると脈動に対応した減光度変化をモニタできる。
【0029】減光度変化検出手段4は、直進光弁別手段3によって抽出された直進光成分、あるいはそれに近い散乱光成分の減光度変化を検出する。動脈拡張時および収縮時の減光度は各々、ln(I/I0)1=μ・C・L1ln(I/I0)2=μ・C・L2ただし、L1:動脈拡張時の光路長L2:動脈収縮時の光路長で表される。
【0030】また動脈拡張時と収縮時との減光度変化ΔAは、ΔA=μ・C・ΔLで表され、これは動脈血液による減光度変化のみ(すなわち、組織あるいは静脈血による減光度は含まれない)を意味する。なお、ΔLは動脈脈動による動脈血の光路長変化を表す。
【0031】ここで測定光波長λ1〜λnは、被測定成分の濃度C1〜Cn-1とΔLとを合わせた数nに対応させて、n通り用意されたものである。演算手段5は、これらn通りの測定光波長λ1〜λnの各々毎の減光度変化ΔAに基づいたn元連立Lambert-Beer方程式すなわち、【0032】
【数1】

【0033】を解いて、被測定成分の濃度C1〜Cn-1およびΔLを算出する。
【0034】以上により、本発明によれば、(n−1)個の血中成分の濃度C1〜Cn-1 の絶対値(含有量)を非侵襲で正確に測定することができる。また、絶対値測定を行なわない場合でも、成分濃度を広い測定レンジに亘って精度良く計測可能となる。
【0035】
【発明の実施の形態】<第1実施形態>図4は、本発明の第1実施形態による血中成分濃度測定装置を示すものである。この血中成分濃度測定装置は、動脈血中の各種Hb濃度(含有量)を測定するように構成されたものであり、図中の100は光源手段、200は人体の一部である被測定試料、300は直進光弁別手段、400は減光度変化検出手段、500は演算手段を示している。
【0036】なお本例では被測定変数を、ヘマトクリット値、oxyHb濃度、deoxyHb濃度、COHb濃度、MetHb濃度、および光路長変化ΔLとする。
【0037】光源手段100は、一例として6個の光源101〜106、それらに各々対応した光源ドライバ107〜112、反射ミラー113、およびダイクロイックミラー114〜118からなる。ここで図5に示すように、oxyHb、deoxyHb、COHb、MetHbは、測定波長によって吸光度が異なる。そこで光源101〜106としては、それぞれ波長660nm、790nm、805nm、830nm、850nm、890nmの光を発するものが用いられている。
【0038】被測定試料200としては、光が透過しやすい人体中の部位、例えば耳朶等の薄い部位が選ばれる。
【0039】直進光弁別手段300としては、光ヘテロダイン干渉計が用いられている。この光ヘテロダイン干渉計300は、ハーフミラー301および304、ミラー302および303、周波数シフター305および306からなる。周波数シフター305、306としてはAOMが用いられ、それらは各々、光源手段100から入射する測定光Sに90MHzおよび89.9MHzの周波数シフトを与える。
【0040】周波数シフター305を経てから被測定試料200を透過した信号光S1と、周波数シフター306を経た局発光S2とをハーフミラー304により重ね合わせると、上記各周波数の差のビート信号が乗った光S3が得られる。このビート信号を検出すると、試料200から出射した直進光成分のみが抽出されるので、該直進光弁別手段300において直進光が弁別されたことになる。
【0041】上記直進光を検出すると、光路長は測定光波長によらず一定になる。なお試料200での散乱が極端に大きい場合、直進光は多重散乱光に埋もれてしまう。しかしこの場合でも、見かけ上の直進光(直進光成分とほぼ同様の光路を進む散乱光)を抽出することで、光路長は測定光波長によらずほぼ一定と見なせる。図6は、被測定試料の厚さあるいは被測定試料の濃度と減光度との概略関係を示しており、図中aが直進光に関するもの、bが上記見かけ上の直進光に関するものであるが、この見かけ上の直進光も真の直進光と同様に減光度が線形になっているので、直進光と同様に扱えるのである。
【0042】減光度変化検出手段400は、光検出器401、アンプ402、および連続駆動するAD変換器403からなる。光検出器401は、光源101〜106が発する各波長ごとの光を検出し、その出力に含まれる前記ビート信号はアンプ402によって増幅されて、減光度信号Dとされる。そして、図7に示すように脈動するこの各減光度信号Dの最大値と最小値とがAD変換器403によってサンプリングされ、それらの差すなわち減光度変化ΔAが上記各波長ごとに求められる。
【0043】演算手段500は、oxyHb濃度(含有量)Coxy、deoxyHb濃度(含有量)Cdeoxy、COHb濃度(含有量)Cco、MetHb濃度(含有量)Cmet、光路長変化ΔL、ならびにヘマトクリット濃度hemを被測定変数として、6波長に対応した以下の6元連立Lambert-Beer方程式を解いてCoxy、Cdeoxy、Cco、Cmetを算出する。
【0044】
【数2】

【0045】ここで、【0046】
【数3】

【0047】であり、これらは前述の通りにして求められる。また、【0048】
【数4】

【0049】であり、これらについては予めデータを用意しておく。
【0050】なお酸素飽和度を求める際には、下式【0051】
【数5】

【0052】によって計算で求めることができる。
【0053】以上説明した通り、本第1実施形態の装置によれば、oxyHb、deoxyHb、COHb、MetHbの含有量、ならびに酸素飽和度を求めることができる。ヘマトクリット値も被測定変数の中に含まれているので、ヘマトクリット値が異なることによって酸素飽和度測定の精度が劣化することはない。
【0054】<第2実施形態>図8は、本発明の第2実施形態による血中成分濃度測定装置を示すものである。この血中成分濃度測定装置は、新生児を対象とした動脈血中ビリルビン濃度(含有量)を測定するように構成されたものであり、図中の100は光源手段、200は人体の一部である被測定試料、300は直進光弁別手段、400は減光度変化検出手段、500は演算手段を示す。
【0055】なお本例では被測定変数を、ビリルビン濃度、oxyHb濃度、deoxyHb濃度、および光路長変化ΔLとする。
【0056】光源手段100は、一例として4個の光源101〜104、それらに各々対応した光源ドライバ107〜110、反射ミラー113、およびダイクロイックミラー114〜116からなる。ここで図9に示すように、ビリルビンは450〜470nm近辺に大きな吸収帯がある。そこで光源101としては、波長473nmの光を発するものが用いられている。また光源102〜104としては、それぞれ波長660nm、790nm、830nmの光を発するものが用いられている。
【0057】被測定試料200としては、光が透過しやすい人体中の部位、例えば耳朶等の薄い部位が選ばれる。
【0058】直進光弁別手段300としては、光ヘテロダイン干渉計が用いられている。この光ヘテロダイン干渉計300は、ハーフミラー301および304、ミラー302および303、周波数シフター305および306からなる。周波数シフター305、306としてはAOMが用いられ、それらは各々、光源手段100から入射する測定光Sに90MHzおよび89.9MHzの周波数シフトを与える。
【0059】周波数シフター305を経てから被測定試料200を透過した信号光S1と、周波数シフター306を経た局発光S2とをハーフミラー304により重ね合わせると、上記各周波数の差のビート信号が乗った光S3が得られる。
【0060】減光度変化検出手段400は、光検出器401、アンプ402、および連続駆動するAD変換器403からなる。光検出器401は、光源101〜104が発する各波長ごとの光を検出し、その出力に含まれる前記ビート信号はアンプ402によって増幅されて、減光度信号Dとされる。そして、図7に示したように脈動するこの各減光度信号Dの最大値と最小値とがAD変換器403によってサンプリングされ、それらの差すなわち減光度変化ΔAが上記各波長ごとに求められる。
【0061】演算手段500は、ビリルビン濃度(含有量)Cbil、oxyHb濃度(含有量)Coxy、deoxyHb濃度(含有量)Cdeoxy、ならびに光路長変化ΔLを被測定変数として、4波長に対応した以下の4元連立Lambert-Beer方程式を解いてCbil、Coxy、およびCdeoxyを算出する。
【0062】
【数6】

【0063】ここで、【0064】
【数7】

【0065】であり、これらは前述の通りにして求められる。また、【0066】
【数8】

【0067】であり、これらについては予めデータを用意しておく。
【0068】<第3実施形態>図10は、本発明の第3実施形態による血中成分濃度測定装置を示すものである。この血中成分濃度測定装置は、血中のoxyHb、deoxyHb 、COHb、MetHbの相対濃度を広いレンジで測定するように構成されたものであり、図中の150は光源手段、200は人体の一部である被測定試料、350は直進光弁別手段、450は減光度変化検出手段、500は演算手段を示している。
【0069】光源手段150は、ピコ秒オーダーの極く短い時間幅の光を発するいわゆるピコ秒光源151〜154、およびそれらの各々に対応した光源ドライバ161〜164からなる。なおピコ秒光源151〜154としては、それぞれ波長780nm、805nm、830nm、850nmの光を発するものが用いられている。
【0070】被測定試料200としては、光が透過しやすい人体中の部位、例えば耳朶等の薄い部位が選ばれる。
【0071】直進光弁別手段350としては、高い時間分解能で入射光強度を検出できるストリークカメラが用いられている。ピコ秒光源151〜154とこのストリークカメラ350とを用いて時間ゲートをかけることにより、被測定試料200から出射した直進光成分あるいは直進光に近い成分を抽出することができる。
【0072】図11は、このことを説明するものである。すなわち、ピコ秒光源151〜154から出射する光の強度I(t)は、同図(a)のような急峻な時間変化を示すのに対し、ストリークカメラ350は直進光のみならずそれより遅れて入射する散乱光も検出するため、その検出光強度I’(t)の時間変化は同図(b)のようなものとなる。そこで、ストリークカメラ350が検出した光強度I’(t)を、変化開始の時刻T1から短い時間経過した時刻T1’においてとらえると、直進光のみの強度を検出することができる。
【0073】一方減光度変化検出手段450は連続駆動するAD変換器であり、上記ストリークカメラ350が出力する直進光強度信号すなわち減光度信号Dの最大値と最小値とが該AD変換器403によってサンプリングされ、それらの差すなわち動脈動による減光度変化ΔAが光源151〜154の各波長ごとに求められる。
【0074】演算手段500は、oxyHb、deoxyHb、COHb、MetHb濃度を被測定変数として、4波長に対応した以下の演算を行なう。
【0075】
【数9】

【0076】各計算式の比をとって【0077】
【数10】

【0078】以上より、【0079】
【数11】

【0080】ならびに、各種Hbの相対濃度を測定することができる。
【出願人】 【識別番号】000005201
【氏名又は名称】富士写真フイルム株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月3日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史 (外1名)
【公開番号】 特開平11−244267
【公開日】 平成11年(1999)9月14日
【出願番号】 特願平10−50494