トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 アイリス認識方法及び装置、データ変換方法及び装置
【発明者】 【氏名】小田 高広

【要約】 【課題】新規に撮影したアイリスの識別データと過去のアイリスの識別データとの照合が、被験者の頭や顔等の傾きに影響を受けずに安定して実施できる装置を実現する。

【解決手段】先ず、撮影手段101で撮影した両目の画像データから、両目の瞳孔を抽出する(ステップS11)。次に、両目の瞳孔の中心を通る基準直線を求める(ステップS12)。次に、基準直線上の輝度分布により、識別アイリス領域を求める(ステップS13)。次に、識別アイリス領域の識別コードを作成し(ステップS20)、これを登録する(ステップS32)。一方、照合する場合は、予め登録した識別コードを読込み(ステップS33)、新たに作成した識別コードと照合する(ステップS34)。照合の結果、一致した場合は本人承認とし(ステップS36)、一致しない場合は照合NGとする(ステップS37)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 両目の中心点を通る直線を基準直線とし、当該基準直線上に位置するアイリス部分を、照合するアイリス領域の抽出データと、照合対象となるアイリス領域の登録データとの双方の基準点としたことを特徴とするアイリス認識方法。
【請求項2】 請求項1に記載のアイリス認識方法において、アイリス領域を複数個の同心円に分割して、各同心円の輝度分布を円周に沿ってコード化すると共に、各同心円の前記基準直線上に位置するアイリス部分を前記コード化する場合の開始パターンと終了パターンに設定したことを特徴とするアイリス認識方法。
【請求項3】 請求項1または2に記載のアイリス認識方法において、左右の目のアイリス領域の抽出データと登録データとのうち、いずれかの目のデータを選択して用いることを特徴とするアイリス認識方法。
【請求項4】 請求項1または2に記載のアイリス認識方法において、左右の目のアイリス領域のコードを合成することを特徴とするアイリス認識方法。
【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載のアイリス認識方法において、先ず、基準直線と直交しかつ左右それぞれの目の中心を通る補助基準直線上のアイリス領域の輝度分布により、当該補助基準直線上におけるアイリスとアイリス以外の生体的特徴との境界点を算出し、次に、前記境界点を通り、前記基準直線と同じ傾きを有する境界基準直線を求め、瞳孔とアイリスとの境界円と、アイリスと白目との境界円および前記境界基準直線に囲まれたアイリス部分を、照合を行うための識別アイリスコア領域として設定することを特徴とするアイリス認識方法。
【請求項6】 両目の中心点を通る直線を基準直線とすると共に、アイリス領域を複数個の同心円に分割して、各同心円の輝度分布を円周に沿ってコード化し、かつ、各同心円の前記基準直線上のアイリス部分を前記コード化する場合の開始パターンと終了パターンに設定して前記アイリス領域の識別コードを求め、前記識別コードを暗号化の鍵として用い、予め決められた関数で元データを暗号化することを特徴とするデータ変換方法。
【請求項7】 両目を一度に撮影する撮影手段と、前記撮影手段で撮影された両目の画像から、両目の瞳孔領域を抽出する瞳孔領域抽出手段と、前記両目の瞳孔の中心点を結ぶ基準直線を求める基準直線導出手段と、前記基準直線上の白目とアイリスと瞳孔の輝度を測定して、アイリスと白目の境界円の半径と、瞳孔とアイリスとの境界円の半径とを求め、これら瞳孔とアイリスとの境界円と、アイリスと白目の境界円とに囲まれたアイリス領域を識別アイリス領域に設定する識別アイリス領域抽出手段と、前記識別アイリス領域に含まれる前記基準直線上に存在するアイリスパターンを識別コード作成時の開始パターンと終了パターンに設定し、かつ、当該識別アイリス領域を前記瞳孔の中心位置で定義した複数個の同心円に分割し、各同心円の円周に沿ってアイリスパターンの輝度分布を解析して、前記各同心円のアイリスパターンの識別コードを作成する識別コード作成手段と、前記識別コードを登録する識別コード登録手段と、前記識別コード登録手段によって予め登録されている識別コードと、前記識別コード作成手段で求めた照合対象となる識別コードとを照合し、アイリスの同一性を識別する照合手段とを備えたことを特徴とするアイリス認識装置。
【請求項8】 請求項7に記載のアイリス認識装置において、左右の目のうち、いずれか一方のアイリスパターンの識別コードを、登録または照合するための識別コードとする選択手段を備えたことを特徴とするアイリス認識装置。
【請求項9】 請求項7に記載のアイリス認識装置において、左右の目の識別コードを合成して登録および照合を行うための識別コードとする識別コード作成手段を備えたことを特徴とするアイリス認識装置。
【請求項10】 請求項7〜9のいずれかに記載のアイリス認識装置において、左右の瞳孔の中心座標を通る基準直線と直交する傾きを持ち、各瞳孔の中心座標を通る二つの補助基準直線を求め、当該補助基準直線上のアイリス領域の輝度分布により、アイリスとアイリス以外の生体的特徴との境界点を算出すると共に、当該境界点を通り、前記基準直線と同じ傾きを持つ境界基準直線を求め、瞳孔とアイリスとの境界円と、アイリスと白目との境界円と、前記境界基準直線に囲まれたアイリス部分を識別アイリスコア領域と設定する識別前補助処理手段と、識別コード作成手段で作成された識別コードのうち、識別アイリス領域から前記識別アイリスコア領域を除いた部分の識別コードを除いて登録する識別コード登録手段とを備えたことを特徴とするアイリス認識装置。
【請求項11】 請求項7〜9のいずれかに記載のアイリス認識装置において、左右の瞳孔の中心座標を通る基準直線と直交する傾きを持ち、各瞳孔の中心座標を通る二つの補助基準直線を求め、当該補助基準直線上のアイリス領域の輝度分布により、アイリスとアイリス以外の生体的特徴との境界点を算出すると共に、当該境界点を通り、前記基準直線と同じ傾きを持つ境界基準直線を求め、瞳孔とアイリスとの境界円と、アイリスと白目との境界円と、前記境界基準直線に囲まれたアイリス部分を識別アイリスコア領域と設定する識別前補助処理手段と、登録されている識別コードのうち、識別アイリス領域から前記識別アイリスコア領域を除いた部分の識別コードを除いて照合する照合手段とを備えたことを特徴とするアイリス認識装置。
【請求項12】 請求項7〜11のいずれかに記載のアイリス認識装置において、両目に対して近赤外光を照射する照明装置を備えたことを特徴とするアイリス認識装置。
【請求項13】 両目を一度に撮影する撮影手段と、前記撮影手段で撮影された両目の画像から、両目の瞳孔領域を抽出する瞳孔領域抽出手段と、前記両目の瞳孔の中心点を結ぶ基準直線を求める基準直線導出手段と、前記基準直線上の白目とアイリスと瞳孔の輝度を測定して、アイリスと白目の境界円の半径と、瞳孔とアイリスとの境界円の半径とを求め、これら瞳孔とアイリスとの境界円と、アイリスと白目の境界円とに囲まれたアイリス領域を識別アイリス領域に設定する識別アイリス領域抽出手段と、前記識別アイリス領域に含まれる前記基準直線上に存在するアイリスパターンを識別コード作成時の開始パターンと終了パターンに設定し、かつ、当該識別アイリス領域を前記瞳孔の中心位置で定義した複数個の同心円に分割し、各同心円の円周に沿ってアイリスパターンの輝度分布を解析して、前記各同心円のアイリスパターンの識別コードを作成する識別コード作成手段と、前記識別コード作成手段で作成した識別コードを暗号化の鍵として用い、予め決められた関数で元データを暗号化する変換手段とを備えたことを特徴とするデータ変換装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人間や動物の目のアイリス(虹彩)を用いて個体識別を行うアイリス認識方法および装置と、アイリスデータを用いてデータを暗号化するデータ変換方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、人間の目のアイリス(虹彩)を用いて個人識別を行うアイリス認識装置が知られている。このアイリス認識装置は、人間の目のアイリスを撮影し、アイリスコードを、予め登録しておいたアイリスコードと照合することにより、個人識別を行うものである。
【0003】図15は、従来のアイリス認識装置の説明図である。図において、201は被験者、202は被験者201の目、203は撮影レンズ、204は撮影レンズ203を介して被験者201の目画像を取得する撮像素子を有するカメラ、205はカメラ204の撮影光軸、206は被験者201の瞳孔、207はアイリス、208は白目、209はまつげを示している。
【0004】このように構成された従来のアイリス認識装置において、被験者201がアイリス入力装置のカメラ204に登録、あるいは照合する目202を一つだけ入力する。そのとき、カメラ204の撮影範囲において、被験者201のアイリス207が所定のサイズと位置に位置決めされたとき、同入力装置はアイリスパターンの撮影を開始し、アイリスパターンを画像データとして取得する。取得されたアイリス画像データは所定の画像処理を経て識別コードに変換され、同入力装置で登録される。
【0005】また、従来装置では、上記のアイリス認識装置と同様な方法で過去に登録されていた識別コードを、新規に撮影されたアイリスパターンから得られた識別コードと照合し、被験者201の個人識別を実施する。このとき、照合した結果から過去の識別コードとの一致性が確認できた場合、被験者201に照合が正常に完了した結果を通知する。被験者201は、この結果から本人の個人識別が正常に完了できたことを確認する。
【0006】カメラ204には、被験者201の目202をできるだけ大きく撮影するためのレンズ203が備えられている。個人識別に使用するのは、目202の中央にある瞳孔206の外周にあるアイリス207部分である。
【0007】従来装置では、被験者201が個人識別するために登録されている目202を撮影レンズ203の撮影光軸205上に位置するよう、体の姿勢を変化させ、カメラ204に登録されている目が写るようにする。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のような従来の装置では、一つの撮影光軸205に二つの目202のうちどちらか一方の目の視線を合わせることになるため、こまめに体や頭の姿勢や位置を調整することになり、アイリス207の入力操作において、うまくできる人とできない人との差が大きく、非常に使いにくいという問題があった。
【0009】更に、上記のように、カメラ204とアイリス207との光軸合わせが難しいことから、同じ人物でも過去に登録したときと同じ姿勢でアイリスパターンを入力することが非常に困難である。これでは、同一人物でも撮影姿勢が違ったために、新規に入力したアイリスパターンから作成した識別コードを、過去に登録した識別コードと照合したときに、両者が一致しない確率が高くなり、場合によっては新規に作成された識別コードは別の人物の識別コードであると判定される可能性があった。
【0010】このような点から、常に一定したアイリスパターンが得られ、新規に撮影したアイリスの識別データと過去のアイリスの識別データとの照合が、被験者の頭や顔等の傾きに影響を受けずに安定して実施することができるアイリス認識方法および装置の実現が望まれていた。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の課題を解決するため次の構成を採用する。
〈請求項1の構成〉両目の中心点を通る直線を基準直線とし、基準直線上に位置するアイリス部分を、照合するアイリス領域の抽出データと、照合対象となるアイリス領域の登録データとの双方の基準点としたことを特徴とするアイリス認識方法である。
【0012】〈請求項1の説明〉アイリス認識は、例えば人間のアイリス認識であるが、人間に限定されるものではなく、人間以外の動物であってもよい。請求項1の発明は、照合するデータと、照合対象となる登録データとの双方に基準点を有するため、アイリス領域のデータを標準化することができる。
【0013】〈請求項2の構成〉請求項1に記載のアイリス認識方法において、アイリス領域を複数個の同心円に分割して、各同心円の輝度分布を円周に沿ってコード化すると共に、各同心円の基準直線上に位置するアイリス部分をコード化する場合の開始パターンと終了パターンに設定したことを特徴とするアイリス認識方法である。
【0014】〈請求項2の説明〉請求項2の発明は、基準直線上に位置するアイリス部分を基準点として各同心円の輝度分布をコード化するようにしたものである。これにより、コード化の開始パターンと終了パターンとが常に一定となり、その結果、例えば、アイリスと瞳孔との境界円の半径が変動しても、アイリス領域のコードは常に同じものが得られる。
【0015】〈請求項3の構成〉請求項1または2に記載のアイリス認識方法において、左右の目のアイリス領域の抽出データと登録データとのうち、いずれかの目のデータを選択して用いることを特徴とするアイリス認識方法である。
【0016】〈請求項3の説明〉請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、左右いずれかの目のデータを選択して用いるようにしたものである。これにより、照合時間を短縮できると共に、照合処理の負担を軽減することができる。
【0017】〈請求項4の構成〉請求項1または2に記載のアイリス認識方法において、左右の目のアイリス領域のコードを合成することを特徴とするアイリス認識方法である。
【0018】〈請求項4の説明〉請求項1または2の発明では、左右の目のアイリスのコードの基準点が設けられていることから、コードの標準化が図れるという作用がある。これにより、請求項4の発明のように、左右のアイリスのコードを合成することが可能となる。そして、このような合成することにより、更に認識精度を向上させることができると共に、コードの偽造防止を図ることができる。
【0019】〈請求項5の構成〉請求項1〜4のいずれかに記載のアイリス認識方法において、先ず、基準直線と直交しかつ左右それぞれの目の中心を通る補助基準直線上のアイリス領域の輝度分布により、補助基準直線上におけるアイリスとアイリス以外の生体的特徴との境界点を算出し、次に、境界点を通り、基準直線と同じ傾きを有する境界基準直線を求め、瞳孔とアイリスとの境界円と、アイリスと白目との境界円および境界基準直線に囲まれたアイリス部分を、照合を行うための識別アイリスコア領域として設定することを特徴とするアイリス認識方法である。
【0020】〈請求項5の説明〉請求項5の発明は、先ず、目の中心を通る補助基準直線上のアイリス領域の輝度分布に基づき、アイリスとアイリス以外の生体的特徴との境界点を算出する。ここで、アイリス以外の生体的特徴とは、例えばまぶたやまつげといった部分であるが、アイリス領域にかかっている領域であればどのようなものも対象とする。そして、境界点を求めたら、この境界点を通り基準直線と同じ傾きを持つ境界基準直線を求め、瞳孔とアイリスとの境界円と、アイリスと白目との境界円および境界基準直線に囲まれたアイリス部分を、照合を行うための識別アイリスコア領域として設定する。これにより、まぶたやまつげといったアイリス以外の部分による認識精度を低下を防止することができる。
【0021】〈請求項6の構成〉両目の中心点を通る直線を基準直線とすると共に、アイリス領域を複数個の同心円に分割して、各同心円の輝度分布を円周に沿ってコード化し、かつ、各同心円の基準直線上のアイリス部分をコード化する場合の開始パターンと終了パターンに設定してアイリス領域の識別コードを求め、識別コードを暗号化の鍵として用い、予め決められた関数で元データを暗号化することを特徴とするデータ変換方法である。
【0022】〈請求項6の説明〉請求項6の発明は、請求項2の発明のアイリス認識方法で求めたアイリスのコードを、暗号化の鍵として用いるようにしたデータ変換方法である。これにより、アイリスパターンが持つセキュリティ性の高さでデータの暗号化が行え、しかも鍵を記憶する必要がないため、管理方法も簡単であるという効果が得られる。
【0023】〈請求項7の構成〉両目を一度に撮影する撮影手段と、撮影手段で撮影された両目の画像から、両目の瞳孔領域を抽出する瞳孔領域抽出手段と、両目の瞳孔の中心点を結ぶ基準直線を求める基準直線導出手段と、基準直線上の白目とアイリスと瞳孔の輝度を測定して、アイリスと白目の境界円の半径と、瞳孔とアイリスとの境界円の半径とを求め、これら瞳孔とアイリスとの境界円と、アイリスと白目の境界円とに囲まれたアイリス領域を識別アイリス領域に設定する識別アイリス領域抽出手段と、識別アイリス領域に含まれる基準直線上に存在するアイリスパターンを識別コード作成時の開始パターンと終了パターンに設定し、かつ、識別アイリス領域を瞳孔の中心位置で定義した複数個の同心円に分割し、各同心円の円周に沿ってアイリスパターンの輝度分布を解析して、各同心円のアイリスパターンの識別コードを作成する識別コード作成手段と、識別コードを登録する識別コード登録手段と、識別コード登録手段によって予め登録されている識別コードと、識別コード作成手段で求めた照合対象となる識別コードとを照合し、アイリスの同一性を識別する照合手段とを備えたことを特徴とするアイリス認識装置である。
【0024】〈請求項7の説明〉撮影手段は、両目を一度に撮影するものであれば、どのような構成であってもよい。瞳孔領域抽出手段は、例えば、画像の濃度値により瞳孔を抽出し、基準直線導出手段は、両目の瞳孔の中心点を結ぶ基準直線を求める。また、識別アイリス領域抽出手段は、基準直線上の白目とアイリスと瞳孔の輝度を測定し、識別アイリス領域を抽出する。識別コード作成手段は、識別アイリス領域を複数の同心円に分割し、かつ、基準直線上に存在するアイリスパターンを識別コード作成時の開始パターンと終了パターンとして各同心円の識別コードを作成する。ここで、同心円の分割数は例えば半径方向に4分割であるが、この分割数および同心円の円周に沿った分割数はセキュリティレベルによって種々選択が可能であるとする。
【0025】識別コード登録手段は、識別コード作成手段によって作成された識別コードを登録し、照合手段は、識別コード登録手段によって予め登録されている識別コードと、新たに作成された照合するための識別コードとを照合する。
【0026】このような構成により、請求項7の発明では、新規に撮影したアイリスデータと過去のアイリスデータとの照合が、被験者の頭や顔等の傾きに影響を受けずに安定して実施することができる。また、アイリスパターンから作成した識別コードの標準化も実現できる。
【0027】しかも、アイリスパターンの識別コード化において、基準直線上にあるアイリスパターンを識別コード化の開始パターンと終了パターンとしたので、識別コード化の開始パターンと終了パターンが常に一定となり、従って、アイリスと瞳孔との境界円の半径が変動しても、常時、同じ識別コードを得ることができる効果がある。
【0028】また、請求項1の発明では、両目を一度に撮影しているため、各目の位置関係も算出でき、その結果、アイリスパターンから作成した識別コード以外に、被験者の目の位置関係も識別コードとして登録することが可能となる。
【0029】〈請求項8の構成〉請求項7に記載のアイリス認識装置において、左右の目のうち、いずれか一方のアイリスパターンの識別コードを、登録または照合するための識別コードとする選択手段を備えたことを特徴とするアイリス認識装置である。
【0030】〈請求項8の説明〉請求項8の発明は、請求項7の発明に加えて、左右の目の識別コードのうち、いずれか一方を用いる選択手段を備えたものである。即ち、請求項7の発明では両目を一度に撮影するため、同時に左右両方の識別コードを得ることができる。従って、左右いずれか一方の識別コードであってもアイリス照合が可能となる。ここで、選択手段としては、用いる左右いずれかの識別コードを装置で予め決定するといった構成や、被験者が装置に対して用いる目を登録するといった構成であるが、その構成は種々選択が可能である。
【0031】〈請求項9の構成〉請求項7に記載のアイリス認識装置において、左右の目の識別コードを合成して登録および照合を行うための識別コードとする識別コード作成手段を備えたことを特徴とするアイリス認識装置である。
【0032】〈請求項9の説明〉請求項9の発明は、左右の目の識別コードを合成して、登録および照合を行うための識別コードとしたものである。ここで、合成方法は、例えば、左右の目の識別コードの単純に繋げるといったものであるが、どのような合成方法であってもよい。このような構成により、更に認識精度を向上させることができると共に、コードの偽造防止を図ることができる。
【0033】〈請求項10の構成〉請求項7〜9のいずれかに記載のアイリス認識装置において、左右の瞳孔の中心座標を通る基準直線と直交する傾きを持ち、各瞳孔の中心座標を通る二つの補助基準直線を求め、補助基準直線上のアイリス領域の輝度分布により、アイリスとアイリス以外の生体的特徴との境界点を算出すると共に、境界点を通り、基準直線と同じ傾きを持つ境界基準直線を求め、瞳孔とアイリスとの境界円と、アイリスと白目との境界円と、境界基準直線に囲まれたアイリス部分を識別アイリスコア領域と設定する識別前補助処理手段と、識別コード作成手段で作成された識別コードのうち、識別アイリス領域から識別アイリスコア領域を除いた部分の識別コードを除いて登録する識別コード登録手段とを備えたことを特徴とするアイリス認識装置である。
【0034】〈請求項10の説明〉請求項10の発明は、基準直線と直交する傾きを持ち、各瞳孔の中心座標を通る二つの補助基準直線を設定し、この補助基準直線上の輝度分布により識別アイリスコア領域を求める識別前補助処理手段を備え、識別コード登録手段は、この識別アイリスコア領域のみの識別コードを登録するようにしたものである。
【0035】従って、例えば、アイリスがまぶたやまつげ等で隠れている目の被験者であっても、登録する識別コードとして、これらのまぶたやまつげ等で隠されている領域の識別コードを削除して登録することができるため、このような状態の被験者であっても認識精度の低下を防止することができる。
【0036】〈請求項11の構成〉請求項7〜9のいずれかに記載のアイリス認識装置において、左右の瞳孔の中心座標を通る基準直線と直交する傾きを持ち、各瞳孔の中心座標を通る二つの補助基準直線を求め、補助基準直線上のアイリス領域の輝度分布により、アイリスとアイリス以外の生体的特徴との境界点を算出すると共に、境界点を通り、基準直線と同じ傾きを持つ境界基準直線を求め、瞳孔とアイリスとの境界円と、アイリスと白目との境界円と、境界基準直線に囲まれたアイリス部分を識別アイリスコア領域と設定する識別前補助処理手段と、登録されている識別コードのうち、識別アイリス領域から識別アイリスコア領域を除いた部分の識別コードを除いて照合する照合手段とを備えたことを特徴とするアイリス認識装置である。
【0037】〈請求項11の説明〉請求項11の発明は、基準直線と直交する傾きを持ち、各瞳孔の中心座標を通る二つの補助基準直線を設定し、この補助基準直線上の輝度分布により識別アイリスコア領域を求める識別前補助処理手段を備え、照合手段は、予め登録されている識別コードから、識別アイリスコア領域の識別コードのみを用いて照合するようにしたものである。
【0038】従って、登録時の識別コードに対して照合時の識別コードがまぶたやつけまつげ等の影響により変化した場合でも、認識精度の低下を防止することができる。
【0039】〈請求項12の構成〉請求項7〜11のいずれかに記載のアイリス認識装置において、両目に対して近赤外光を照射する照明装置を備えたことを特徴とするアイリス認識装置である。
【0040】〈請求項12の説明〉請求項12の発明は、両目に対して近赤外光を照射して撮影するようにしたものである。即ち、アイリスは近赤外領域の波長を持つ照明に対する反射強度が強いという生体的特徴を利用し、目に対して近赤外光を照射することで、瞳孔よりもアイリスを明るく撮影することができ、両者の輝度差から瞳孔を正確に抽出することができる。
【0041】〈請求項13の構成〉両目を一度に撮影する撮影手段と、撮影手段で撮影された両目の画像から、両目の瞳孔領域を抽出する瞳孔領域抽出手段と、両目の瞳孔の中心点を結ぶ基準直線を求める基準直線導出手段と、基準直線上の白目とアイリスと瞳孔の輝度を測定して、アイリスと白目の境界円の半径と、瞳孔とアイリスとの境界円の半径とを求め、これら瞳孔とアイリスとの境界円と、アイリスと白目の境界円とに囲まれたアイリス領域を識別アイリス領域に設定する識別アイリス領域抽出手段と、識別アイリス領域に含まれる基準直線上に存在するアイリスパターンを識別コード作成時の開始パターンと終了パターンに設定し、かつ、識別アイリス領域を瞳孔の中心位置で定義した複数個の同心円に分割し、各同心円の円周に沿ってアイリスパターンの輝度分布を解析して、各同心円のアイリスパターンの識別コードを作成する識別コード作成手段と、識別コード作成手段で作成した識別コードを暗号化の鍵として用い、予め決められた関数で元データを暗号化する変換手段とを備えたことを特徴とするデータ変換装置である。
【0042】〈請求項13の説明〉請求項13の発明は、請求項7の発明のアイリス認識装置で作成した識別コードを暗号化の鍵として用いるようにしたものである。これにより、アイリスパターンが持つセキュリティ性の高さで元データの暗号化が行え、しかも、鍵を記憶する必要がないため、管理方法も簡単であるという効果が得られる。
【0043】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
《具体例1》
〈構成〉図1は本発明のアイリス認識装置における具体例1の処理内容を示す説明図であるが、図1の説明に先立ち、本具体例1のアイリス認識装置の構成を説明する。
【0044】図2は、本発明のアイリス認識装置の機能ブロック図である。図の装置は、撮影手段101、瞳孔領域抽出手段102、基準直線導出手段103、識別アイリス領域抽出手段104、識別コード作成手段105、識別コード登録手段106、照合手段107からなる。
【0045】撮影手段101は、人間の両目を一度に撮影する装置であり、これについては後述する。瞳孔領域抽出手段102は、撮影手段101にて撮影された両目の画像から、両目の瞳孔領域を抽出する手段である。基準直線導出手段103は、瞳孔領域抽出手段102で抽出された両目の瞳孔の中心点を求め、これら二つの中心点を通る基準直線を求める機能部である。
【0046】識別アイリス領域抽出手段104は、基準直線導出手段103にて求められた基準直線上に位置する白目とアイリスと瞳孔との輝度を測定し、アイリスと白目の境界円の半径と、瞳孔とアイリスとの境界円の半径とを求め、これら瞳孔とアイリスとの境界円と、アイリスと白目の境界円とに囲まれたアイリス領域を識別アイリス領域に設定する機能部である。
【0047】識別コード作成手段105は、識別アイリス領域抽出手段104で求めた識別アイリス領域に含まれる基準直線上に存在するアイリスパターンを、識別コード作成時の開始パターンと終了パターンに定義し、この識別アイリス領域を瞳孔の中心位置で定義した複数の同心円の円周に沿ってアイリスパターンの輝度分布を解析して識別コードを作成する機能部である。また、識別コード登録手段106は、識別コード作成手段105で作成された識別コードを図示省略した記憶装置に登録する機能部である。
【0048】照合手段107は、識別コード登録手段106によって登録された識別コードと、前記の撮影手段101から識別コード作成手段105の処理によって得られた識別コードとを照合し、アイリスの同一性を判定する機能部である。
【0049】尚、これら瞳孔領域抽出手段102〜照合手段107は、プロセッサ、主記憶装置、外部記憶装置等からなる電子計算機上に実現されている。
【0050】次に、図1を用いて、撮影手段101の具体的な構成と、その撮影動作を説明する。図1において、1は被験者、2は左目、3は右目である。また、撮影手段101は、撮影レンズ4、撮像素子5、可視光カットミラー6、照明装置7からなる。
【0051】撮影手段101における各部の位置関係は、被験者1側から、可視光カットミラー6、撮影レンズ4、撮像素子5の順となっている。また、照明装置7は、撮影レンズ4の下側に位置し、被験者1の両目を含む領域(図中の四角枠で囲んだ範囲)に対して、近赤外領域の光線を照射する照明装置である。
【0052】撮影手段101では、先ず、照明装置7によって照明された被験者1の両目領域の反射画像から可視光カットミラー6にて可視光分をカットし、近赤外領域の反射画像だけにする。そして、この反射画像を撮影レンズ4にて撮像素子5の表面に結像させる。
【0053】このとき、本具体例の撮影手段101では、図中の四角枠で示した範囲(幅W0、高さH0)を一度にアイリス認識が可能となる分解能で撮影できるように、撮影レンズ4の焦点距離、撮像素子5のサイズ(幅W、高さH)と、撮影可能な画素数を設定している。
【0054】また、撮影レンズ4と撮像素子5との距離を固定すると、撮影レンズ4と被験者1との距離も固定されるため、被験者1は撮影レンズ4との距離を、固定された値に一致するよう顔を前後させ、撮像素子5に結像する画像のピントを調整する必要がある。
【0055】そこで、本具体例では、被験者1が可視光カットミラー6にて反射された可視光による影像を目視し、被験者1が可視光カットミラー6に写った図中の四角枠の反射画像の大きさと位置を見て、可視光カットミラー6と被験者1との距離を推定することで、撮影画像のピント調整と撮影範囲の位置決め等を行う。即ち、可視光カットミラー6に目印を付けておき、この目印に向かって、被験者1が四角枠の画像が反射して見え、しかも所定の大きさになるように、顔や頭および姿勢を調整する。
【0056】〈動作〉次に、撮影手段101にて撮影された四角枠の範囲の画像についての画像処理を説明する。これは図1における撮像素子5から矢印で示されている瞳孔抽出処理以降の動作の説明である。
【0057】先ず、画像処理プロセスは、大きく分けて、認識前処理(ステップS10)、識別コード作成(ステップS20)、アイリス認識(ステップS30)の三つのプロセスからなる。ステップS10の認識前処理は、瞳孔抽出(ステップS11)、基準直線導出(ステップS12)、識別アイリス領域抽出(ステップS13)のステップから構成されている。ここで、瞳孔抽出(ステップS11)〜識別アイリス領域抽出(ステップS13)は、それぞれ、瞳孔領域抽出手段102、基準直線導出手段103、識別アイリス領域抽出手段104が行う処理である。
【0058】また、ステップS30のアイリス認識では、ステップS20の識別コード作成プロセスで新規に作成された識別コードを登録したり、新規に作成された識別コードを過去に作成された識別コードと照合し、一致性を判断したりする。この照合作業から識別コードの一致性が確認できた場合にのみ、被験者1の本人性が承認される。このような画像処理プロセスを更に詳細に説明する。
【0059】図3、図4、図5は、画像処理プロセスの詳細を示す説明図である。先ず、撮像素子5によって、図3の(a)に示すような画像データが取得されたとする。ここで、8は撮影範囲、9は眉毛、10aは左目の白目、10bは右目の白目、11aは左目のアイリス、11bは右目のアイリス、12aは左目の瞳孔、12bは右目の瞳孔を表す。
【0060】このような画像データに対して、先ず、ステップS11における瞳孔抽出処理を説明する。識別アイリス領域を抽出する場合、目の特徴からすると、白目とアイリスの輝度の違いを利用した方が簡単であるが、通常、目の開きには個人差があり、アイリスの全周と白目との境界が確認できるように目をあけて撮影することは不可能である。しかし、瞳孔は人間がものを見るときには常にほぼ円形の状態で開いた状態にあり、アイリスとの境界も目を強制的にあけなくても普通の目の状態で瞳孔全体が撮影できる。但し、瞳孔は室内の暗い環境では黒く観察されるため、日本人のような黒褐色のアイリスの場合には、アイリスと瞳孔の区別が難しくなる。
【0061】そこで、アイリスが近赤外領域の波長を持つ照明に対する反射強度が強いという生体的特徴を利用することで、本具体例の照明装置7によって、瞳孔よりもアイリスを明るく撮影でき、両者の輝度差から瞳孔を抽出することができる。よって、図3の(b)における撮影範囲8において、最も暗く、かつ、ほぼ円形をしているという画像抽出条件を設定し、画像処理を実施することで、図3の(c)に示すような円を二つ抽出することができる。
【0062】ここで、これらの抽出された円に含まれる画素数から面積を算出し、各円の中心座標■と■を求める。それぞれの座標を、点■(xi1,yi1)、点■(xi2,yi2)とする。このときの座標軸は、図3(c)に示すように、縦軸をY、横軸をXとする。
【0063】上記の瞳孔抽出処理が完了したら、各瞳孔の中心座標が点■(xi1,yi1)、点■(xi2,yi2)として求められたから、次の基準直線導出処理(ステップS12)を実行する。ここで、基準直線13とは、図3の(b)に示すように、両目の瞳孔の中心を通る直線である。そして、本具体例では、基準直線13とアイリスとが交差している部分を、アイリスパターンを識別コードに変換する時の開始パターンと完了パターンに利用する。これは、人間がものを見ている場合、この基準直線13で結ばれたラインでは必ず白目、アイリス、瞳孔の三つの生体的特徴が撮影することができるからである。尚、点■(xi1,yi1)、点■(xi2,yi2)の2点を通る直線の式は、(y−yi1)/(yi2−yi1)=(x−xi1)/(xi2−xi1
で表される。
【0064】上記ステップS12における基準直線導出処理が終了すると、ステップS13の識別アイリス領域抽出処理を行う。ここで、上記で定義された基準直線13のライン上は、常に白目、アイリス、瞳孔の三つの生体的特徴が撮影できることから、基準直線13上に存在する生体的特徴の輝度分布を解析する。
【0065】図4の(d)に被験者1の右目3を解析した結果を示す。ここで、基準直線13と右目3が持つ生体的特徴との交差点を点■から■で示す。尚、点■は目の外側の皮膚と白目10bとの境界線と基準直線13との交差点、■および■はアイリス11bと白目10bとの境界円と基準直線13との交差点、■および■は瞳孔12bとアイリス11bとの境界円と基準直線13との交差点、■は涙丘と白目10bとの境界線と基準直線13との交差点である。
【0066】図4の(d)の下側に示す曲線Aは、基準直線13で解析した右目の輝度分布を示す。被験者1の右目3には、左目2と同様に、照明装置7から近赤外光が照射されているため、最も明るいのは白目10bで、最も暗いのは瞳孔12bとなる。尚、同図において、縦軸は輝度値を示し、横軸は目の位置に対応している。
【0067】ここで、アイリス11bの形状を、瞳孔12bと同様に、瞳孔12bから算出した中心座標■と同じ中心で定義できる円環形状と仮定する。よって、距離b1とb2の大小比較からアイリス11bと瞳孔12bの境界円の半径を、距離a1とa2の大小比較からアイリス11bと白目10bの境界円の半径を推定する。このとき、アイリスパターンから認識に有効な識別コードを安定して作成できるようにするため、距離a1とa2を比較して小さい値になる距離を、同様に距離b1とb2で比較して大きい値になる距離を採用し、アイリス11bと瞳孔12bの境界円の半径およびアイリス11bと白目10bの境界円の半径と定義する。以上の作業を左目についても同様に実行する。
【0068】図4の(e)には、図4の(d)の解析結果から定義されたアイリス11a,11bと瞳孔12a,12bとの境界円、アイリス11a,11bと白目10a,10bの境界円および基準直線13で設定された識別アイリス領域を示す。
【0069】ここで、中心座標を点■と点■とする2種類の大小の円で囲まれた領域が本具体例でアイリスパターンを識別コード化に変換する範囲であり、これらを識別アイリス領域と定義している。右目の瞳孔半径をr1、左目の瞳孔半径をr2、右目のアイリス半径をr3、左目のアイリス半径をr4とすると、図示する大小の円の式は、以下のように定義できる。
【0070】(1)[右目]瞳孔とアイリスとの境界円:(x−xi12+(y−yi12=r12(2)[右目]アイリスと白目との境界円:(x−xi12+(y−yi12=r32(3)[左目]瞳孔とアイリスとの境界円:(x−xi22+(y−yi22=r22(4)[左目]アイリスと白目との境界円:(x−xi22+(y−yi22=r42【0071】上記の定義により、識別アイリス領域が確定できたことから、次は、識別コード作成手段105による識別コード作成の作業を開始する。アイリスと境界円の半径は、人間の目が反応する可視光の強さで簡単に変動し、しかも、アイリスの模様のほとんどは、この瞳孔が行う伸縮運動に関係して、半径方向(半径に沿った方向)および円周方向(円周に沿った方向)に変形する生体模様である。
【0072】そこで、本具体例では、アイリスパターンの識別コード化においては、前工程で定義した識別アイリス領域内部で基準直線13の直線上にあるアイリスパターンを識別コード化の開始パターンと完了パターンにして、半径方向と円周方向に所定の分割数で輝度測定を行い、各帯状円の輝度分布を求める。
【0073】図5の(f)は、この輝度分布の説明図である。具体的には、図4の(e)で定義した識別アイリス領域と、撮像素子5を構成する画素の配列とを一致させ、撮像素子5の画素の配列位置と画素数から識別アイリス領域における半径方向と円周方向の輝度測定の分割数を決定する。図5の(f)に示す例が本発明の識別コード作成の基本的な具体例である。つまり、識別アイリス領域内部で基準直線13の直線上にあり、最も瞳孔に近い位置となる撮像素子5の画素Sで輝度測定したアイリスパターンを識別コード化の開始パターン、最も白目に近い位置になる撮像素子5の画素Eで輝度測定したアイリスパターンを識別コード化の終了パターンとする。また、図5の(f)では、識別アイリス領域を先ず半径方向へ四つに分割し、各四つの帯状円の輝度測定の方向を図示する矢印方向(反時計回り)とする。
【0074】次に、各帯状円の円周方向への分割数は、アイリスと瞳孔の境界円に最も近い帯状円を分割したときの短冊帯の長さとほぼ同一になるように決める。図5の(f)では、アイリスと瞳孔の境界円に最も近い帯状円を21個の短冊帯に分割している。よって、残りの帯状円の分割数は、この21個に分割された短冊帯の長さとほぼ同じになるように決める。即ち、残りの帯状円の分割数は21個以上となる。
【0075】最後に四つの帯状円を一つに繋げることで、識別アイリス領域の識別コードとする。ここで、四つの帯状円の連結方法としては、図5(f)の基準直線13部分に示す矢印の方向のように、連結前の帯状円の最終の短冊帯の次に、連結後の帯状円の最初の短冊帯を連結するように定義する。
【0076】図5の(g)に、アイリスと瞳孔の境界円に最も近い帯状円について、21個の短冊帯の輝度値を測定した結果を示す。ここで、縦軸は輝度値、横軸は21個の短冊帯の番号を示す。本具体例では、この輝度値の変化が識別アイリス領域に存在するアイリスパターンによって生じると考える。
【0077】次に、図5(g)の特性曲線14に含まれる低周波成分をハイパスフィルタで除去することで、アイリスパターン自身による輝度変化だけを求める。特性曲線14は、図5の(h)に示す特性曲線15のようになる。
【0078】最後に、特性曲線15のアナログ信号を、図5の(i)に示すデジタル信号に変換することで、帯状円の識別コードとする。つまり、21個の各短冊帯毎に特性曲線15の輝度値の符号に着目し、輝度値の符号が“+”の場合には「1」、“−”の場合には「0」とする変換を実行することで、図5(h)の特性曲線15のアナログ信号は、図5(i)の最上段に記述されたデジタル信号の識別コードに定義できる。
【0079】上記の一連の工程は、アイリスと瞳孔の境界円に最も近い帯状円の識別コードを作成する工程で説明したが、残り三つの帯状円についても、同様の工程で識別コードを作成することができる。但し、本具体例では、四つの帯状円から作成された識別コードを、図5(f)の基準直線13に示す矢印方向に連結して一つのコードに合成することとする。よって、図5の(f)で設定された識別アイリス領域の識別コードは、図5の(i)でデジタル信号で記述された識別コードとなる。尚、本コードの開始コードはSで、完了コードはEである。
【0080】以上の右目3の識別コード化が完了した後、左目2についても同様の工程を実行し、それぞれの目の識別コード列を作成すると、図5の(j)で定義した内容になり、本具体例の図1で説明したプロセス中、識別コード作成処理(ステップS20)まで完了したことになる。尚、図5の(j)中、17は右目の識別コード、18は左目の識別コードを示す。
【0081】ここで、アイリスパターンを識別コード化するときの識別アイリス領域の半径方向と円周方向の分割数は、本発明のアイリス認識装置を使用するセキュリティレベルで決めることにする。即ち、セキュリティを高めるためには分割数を多くするが、識別コードに使用する短冊帯の数が増加するため、識別コードを作成するまでに時間がかかり、作成時間を短縮するためには、これに対応した画像処理速度をもつ装置が必要になり、その結果、設備コストが高くなるためである。
【0082】また、本発明の撮影方法から、左右の目を同時に撮影しているため、上記のように、左右の目が持つアイリスパターンについて、図5の(j)に示す二つの識別コード列が作成できた。よって、本発明では、両方の識別コード列を使用しても、どちらか一方の識別コードを選択してもアイリス照合が可能となる。
【0083】図6は、どちらか一方の識別コードを選択するための選択手段を備えたアイリス認識装置の機能ブロック図である。ここで、選択手段108は、識別コード作成手段105で作成された識別コードから、左右の目のうち、いずれか一方のアイリスコードを識別コード登録手段106に送り、かつ、照合手段107に送る機能部である。尚、他の各構成は図2と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0084】どちらか一方を選択する方法としては、装置自身が右目か左目を決める方法と、被験者1自身が決める方法とが考えられる。いずれの方法も、図1に示すステップにおいて、AとB部分で選択手段108による選択処理を追加することで、上記の選択によるアイリス認識が可能となる。
【0085】先ず、装置自身が決定する場合を説明する。識別コードを登録する場合には、図1中のA部で、装置にて予め例えば右目と設定されていれば、図5(j)の識別コード17と18の中から、識別コード17のコード列のみが選択手段108によって選択された後、識別コード登録手段106によって登録され、照合時には、図1中のB部において右目の識別コードのみが照合手段107によって読み込まれ、照合が実行される。逆に、左目で設定されていれば、図5(j)の識別コード17と18の中から18のコード列のみ選択されて登録され、照合時にはB部において、左目の識別コードのみ読み込まれて照合が実行される。
【0086】次に、被験者1が選択する場合について説明する。尚、この場合の選択手段108の機能としては、右目か左目のいずれか一方を被験者1に選択させるための選択部を備え、この選択部で選択された結果に基づき、識別コード作成手段105の出力からいずれか一方の目の識別データを選択して識別コード登録手段106と照合手段107とに出力するといった構成となる。
【0087】識別コードを登録する場合には、図1中のA部において、被験者1が装置に登録する目を指定し、その結果から、図5(j)の識別コード17と18のどちらかの識別コード列が選択されて登録される。照合時には、Bにおいて被験者1が装置へ照合する目を指定し、その結果から左右の目のどちらかの識別コードが読み込まれ、照合が実行される。
【0088】上記のステップS20の識別コード作成処理によって、識別コードが作成されると、次のプロセスを実行する。次のプロセスは、アイリス認識処理(ステップS30)である。ここでは、被験者1からアイリスパターンを撮影する目的に応じて作業内容を二つに分類している。一つは自分のアイリスパターンを新規に登録する登録作業、もう一つは過去に登録したアイリスパターンとの照合を行う照合作業である。
【0089】先ず、被験者1のアイリスパターンを新規に登録する作業を説明する。このとき、被験者1から新規登録の指示が撮影前にあるため、図1中のステップS31において、登録作業(ステップS32)へ移行し、識別コード登録手段106は、ステップS20の識別コード作成プロセスから得られた識別コードを、本装置の図示省略した記憶装置に保存する。これで、アイリスパターンの新規登録は完了する。登録が完了した場合、被験者1に作業完了を通知する。具体的には、図示省略した照明を点滅する、あるいは消灯するといった動作により被験者1がこれを目で確認できるようにする。
【0090】次に、被験者1がアイリスパターンを照合する場合を説明する。この場合も上述した新規登録と同様に、撮影前に本装置へ指示するため、図1のステップS31において、照合作業へ移行する。ここでは、照合手段107が、新規登録に使用した記憶装置に保存されている識別コードの読み込みを先ず実行する(ステップS33)。次に、照合のために撮影されたアイリスパターンから作成された識別コード(ステップS20の識別コード作成処理で作成された識別コード)と、ステップS33で読み込まれた識別コードとの照合を開始する(ステップS34)。
【0091】照合の結果、ステップS35において両者が一致した場合は、被験者1が過去にアイリスパターンを登録したときの人物と同一人物であると承認されたことになる(ステップS36)。よって、この場合には、本装置から被験者1には「本人承認が完了した」ことを通知する。そして、通知後、本装置はアイリス認識装置の全プロセスを完了する。
【0092】一方、ステップS35の一致判定において、両者に一致性が発見されなかった場合には、今回撮影した被験者1が過去に本装置にてアイリスパターンを登録していないことが判明したことになる。よって、不一致の場合には、本装置から被験者1には「照合NG」を通知する。このときの通知方法としては、図示しない照合NGのときのみ点灯する照明を設けておき、照合NGとなったときのみ本照明を点灯することで、被験者1に対して通知することができる。また、「該当するアイリスパターンの登録データがありません」といったメッセージを、図示しないモニタやLCD等で表示しても同様な効果を得ることができる。そして、通知後、本装置はアイリス認識装置の全プロセスを完了する。
【0093】〈効果〉以上のように、具体例1によれば、アイリスパターンの登録あるいは照合するための基準点を設けたので、新規に撮影したアイリスデータと過去のアイリスデータとの照合が、被験者の頭や顔等の傾きに影響を受けずに安定して実施することができる。また、アイリスパターンから作成した識別コードの標準化も実現できる。
【0094】しかも、アイリスパターンの識別コード化において、基準直線上にあるアイリスパターンを識別コード化の開始パターンと終了パターンとし、半径方向と円周方向に所定の分割数で輝度測定を行い、各帯状円の輝度分布を求めて識別コード化したので、識別コード化の開始パターンと終了パターンが常に一定となり、従って、アイリスと瞳孔との境界円の半径が変動しても、常時、同じ識別コードを得ることができる効果がある。
【0095】また、本具体例では、被験者1は撮影手段101が持つ横長の撮影範囲に両目を入力するだけでよいため、カメラと目との光軸合わせが従来装置よりも容易となる。しかも、両目を同時に撮影するため、被験者1は可視光カットミラー6に映し出された両目を見ることで撮影状態を判断することができる。
【0096】更に、本具体例では、両目を同時に撮影するため、撮影された画像データの分解能が識別コードを作成するのに十分に高ければ、従来装置のように、一つずつ交替に左右の目の登録および照合をする必要がなくなる。これは、従来装置よりもアイリスパターンを一度に大量にかつ高速に取得できるため、セキュリティの面で高い精度を得ることができる。
【0097】そして、本具体例では、被験者の両目を一度に撮影し、各目の位置関係を算出できるため、アイリスパターンから作成した識別コード以外に、被験者の目の位置関係(例えば、両目の中心座標を通る基準直線の傾き等)も識別情報として登録することが可能となる。このような識別情報も用いるようにすれば、本人を別の人物として認識する確率は、両目のアイリスパターンと両目の位置関係の全てが偽造されなければあり得ないことになり、個人識別の信頼性を更に向上させることができる。
【0098】《具体例2》具体例2は、上述した具体例1における図5(j)のように、左右の目の識別コードをそれぞれ独立に管理し保存することを不要にし、しかも、将来、上記具体例1の識別コードの作成方法を用いて本人以外のアイリスを撮影し、無断で識別コードを作成された場合でもその偽造を防止するための方法を示す具体例である。
【0099】〈構成〉図面上の機能ブロック構成は図2または図6と同様であるため、その図示は省略する。具体例2において、具体例1と異なるのは、識別コード作成手段105が、左右の目の識別コードを合成して登録および照合を行うための識別コードとする機能を有している点である。他の構成は、具体例1と同様である。
【0100】〈動作〉具体例2では、識別コード作成手段105が、具体例1の図3〜図5の手順で作成された左右の目の識別コードを、次に示すように組み合わせる。
【0101】図7は、本発明のアイリス認識装置の具体例2における識別コードの合成処理の説明図である。ここで、図中の(a)に示す19は右目の最終識別コード、20は左目の第1識別コード、21は直列合成による識別コード列である。また、図中の(b)に示す22は右目の第1円の最終識別コード、23は左目の第1円の第1識別コード、24は左目の第1円の最終識別コード、25は右目の第2円の第1識別コード、26は右目の第2円の最終識別コード、27は左目の第2円の第1識別コード、28は左目の第2円の最終識別コード、29は右目の第3円の第1識別コード、30は右目の第3円の最終識別コード、31は左目の第3円の第1識別コード、32は左目の第3円の最終識別コード、33は右目の第4円の第1識別コード、34は右目の第4円の最終識別コード、35は左目の第4円の第1識別コード、36は8の字合成による識別コード列を示している。
【0102】図中の(a)では、図3〜図5において説明した具体例1における識別コード作成処理において、左右の目が持つ識別アイリス領域から作成したそれぞれの識別コード17、18を直列的に連結する形で一つの識別コードに作成する場合の一例を示す。具体的には、図5の(j)に示した右目の識別コード17の最終コードであるEコードと、同図の左目の識別コード18の開始コードであるSコードとを削除し、右目の識別コード17の次に左目の識別コード18を直線的に繋げる。
【0103】このような考え方から、図7の(a)に示す識別アイリス領域については、右目の第1円の第1識別コードSから順に図示された矢印の方向へ、第1円から第4円まで識別コードを作成し、右目の第4円の最終識別コード19が作成できた後は、左目の第1円の第1識別コード20へ移動する。左目の第1円の第1識別コード20以後は、第1円から第4円まで図示された矢印の方向へ識別コードを作成し、左目の第4円の最終識別コードEで識別コードの作成完了とする。このようにして作成した直列合成による識別コード列が、図中(a)の識別コード21である。
【0104】次に、図中の(b)に示す方法は、上述した(a)のように、左右の目の識別コードを単純に直線的に合成するのではなく、左右の目の同一順位にある円の識別コードを8の字を描くように合成する方法である。
【0105】具体的には、右目の第1円について、第1識別コードSから最終識別コード22まで作成できたら、左目の第1円へ移動し、左目の第1円の第1識別コード23から最終識別コード24までを作成する。次は、右目の第2円の第1識別コード25へ移動し、右目の第2円の第1識別コード25から最終識別コード26までを作成する。その次以降は、左目の第2円の第1識別コード27から最終識別コード28までというように、(b)に示す作成順序を実施し、最終的には図中の36に示す識別コードとする。この識別コード36が8の字合成によって作成された識別コード列である。
【0106】尚、上記の二つの方法以外にも、右目と左目の識別アイリス領域にある四つの円の識別コードを合成する方法は考えられる。これは、本発明が識別コードを作成するときに基準直線13と識別アイリス領域との関係を基準にしたからである。即ち、帯状円の識別コードに基準点があるため、どのように組み合わせても、照合する識別コードと辞書データとなる識別コードとの対応関係を正確に設定できるからである。
【0107】〈効果〉以上のように具体例2によれば、左右の識別コードを合成するようにしたので、単に、アイリスを撮影し、同心円上に識別コードを作成しただけでは、本人になりすますことができず、本人データの偽造を防止することができる。
【0108】また、従来の装置のように、左右の目を一つ一つ順番に撮影する方法では時間がかかるだけでなく、コード化の基準がないため、作成された識別コードの同一性の保証ができなかったが、本具体例では、左右の目を同時に撮影し、かつ、コード化の基準点を設けたため、左右の目の識別コードをどのように合成しても、作成された識別コードの同一性を容易に保証することができる。
【0109】《具体例3》アイリスパターンを個人識別に使用する場合、本人を他人と誤認する確率は極めて少ない。しかし、目の開け方が登録時よりも変化したり、つけまつげ等で登録時よりもアイリスパターンが隠れたりすると、同一人物であっても、新規に作成された識別コードが登録時の識別コードと変化してしまい、両方のコードを照合した結果照合NGとなり、本人と認められない状態が発生する可能性がある。つまり、登録時は識別コードとして使用できるアイリスパターンが存在していたが、照合時には上記の理由からアイリスパターン以外のものになったことが認識できないために、全てを識別コードに作成し登録時の識別コードと食い違い部分が発生したものと考えられる。
【0110】そこで、具体例3では、目の開け方や装飾品の装着状態を二つの瞳孔の中心座標を通る基準直線と直交する傾きを持ち、各瞳孔の中心座標を通る二つの補助基準直線の式を導出し、同補助基準直線の線上におけるアイリスとアイリス以外のまぶたやつけまつげ等との境界点の座標を算出し、同境界点を通り基準直線と同じ傾きを有する境界基準直線の式を導出し、瞳孔とアイリスとの境界円とアイリスと白目との境界円および同境界基準直線に囲まれたアイリス領域を設定する。
【0111】この部分は、まぶたやつけまつげ等の影響がない部分であり、識別に使用するアイリスパターンのコア(核心部)といえる領域である。これを本具体例3では、識別アイリスコア領域としている。そして、このコア領域を画像取得された画像データから抽出する手段を識別前補助処理手段としている。
【0112】〈構成〉図8は、具体例3の機能ブロック図である。図の装置は、撮影手段101〜識別前補助処理手段109からなる。ここで、撮影手段101〜識別コード登録手段106は、具体例1、2と同様であるため、その説明は省略する。識別前補助処理手段109は、左右の瞳孔の中心座標を通る基準直線と直交する傾きを持ち、各瞳孔の中心座標を通る二つの補助基準直線を求め、この補助基準直線の線上におけるアイリスとアイリス以外の生体的特徴との境界点の座標を算出し、この境界点を通り、基準直線と同じ傾きを持つ境界基準直線を求め、瞳孔とアイリスとの境界円と、アイリスと白目との境界円と、境界基準直線に囲まれたアイリスを識別アイリスコア領域に設定する機能を有している。
【0113】また、照合手段107は、登録されている識別コードのうち、識別アイリス領域から、識別前補助処理手段109で求めた識別アイリスコア領域を除いた部分を排除領域とし、この排除領域に相当する識別コードを除いて照合を行う機能を有している。
【0114】〈動作〉図9および図10は、具体例3による識別アイリスコア領域の抽出ステップの説明図である。ここで、図9中の(a)と(g)は登録時の被験者の画像データである。また、図9中の(b)は(a)で登録した被験者の目が細くなったときを示す画像データであり、図9中の(h)は(g)で登録した被験者の目につけまつげ38を装着したときの画像データを示す。
【0115】先ず、図9中の(a)から(b)へ目の状態が変化したときについての問題点を説明する。図9中の(c)と(d)は、図3〜図5で説明した方法で識別アイリス領域を算出した結果を示す。
【0116】図9の(c)は、(a)の目の状態から識別アイリス領域を算出したためにアイリスパターンを的確に抽出できている。しかし、図中の(d)では、(b)のように目が細くなっているにもかかわらず、識別アイリス領域を算出するための基準直線13上の目の輝度分布では、(b)の状態が(a)と同じになってしまう。従って、(b)から算出した識別アイリス領域は、(c)と同じ結果になる。その結果、(d)の領域37は、目を細くした結果として識別アイリス領域にあるはずの、アイリスパターンが上まぶたあるいはまつげ等に変化した領域といえる。そして、この部分が識別コードの照合でNGの原因となる。
【0117】同様の考察を(g)と(h)について実施すると、両者の識別アイリス領域は全く同じになることが分かる。その結果として、(j)では識別アイリス領域の上半分はつけまつげ38で変化していることが分かる。
【0118】次に、本具体例3で定義する識別アイリスコア領域の算出方法を説明する。特徴としては、基準直線13だけでは目の変化が認識できない点に着目し、しかも本発明の基本原理である識別コード化の基準化の主旨を変えない方法として、基準直線13と直交する傾きを持ち、各瞳孔の中心座標を通る二つの補助基準直線の式を導出し、同補助基準直線の線上に沿って、まぶたとまつげと白目およびアイリス並びに瞳孔の輝度を測定することで、目の状態が認識できるようにした。
【0119】図10の(e)(f)は、上記の考え方で基準直線39と補助基準直線40および基準直線44と補助基準直線45の各直線上に沿って、輝度分布を測定した結果を示している。ここで、41は白目、42はアイリス、43は瞳孔、46は補助基準直線40の線上輝度分布曲線、47は補助基準直線45の線上の輝度分布曲線、48は基準直線39、44の線上の輝度分布曲線を示す。各図に示す点(1)から(15)は目の生体的特徴(アイリス、瞳孔、まつげ、まぶた、等)と基準曲線39、44および補助基準直線40、45との境界点を示す。
【0120】ここで、図10中の(e)と(f)の輝度分布の測定結果から、基準直線39と44については目の状態とは無関係に同じ結果となる(図中の(f)の下図参照)。しかし、補助基準直線40と45については、輝度分布の特性曲線に違いがはっきりと現れる。これにより、目の状態を認識するためには補助基準直線40と45を算出し、同直線上に輝度分布を測定することが必要であることが分かる。
【0121】先ず、瞳孔とアイリスとの境界円の半径を算出する。このときは基準直線39あるいは44の直線上の輝度分布を測定した特性曲線48で最も輝度値が低い範囲を求めることで算出できる。ここでは、点(2)から点(5)と、点(5)から点(3)まで境界円の半径の大きさを決めるための候補値となる。尚、点(5)は瞳孔の中心座標である。両者の大きさを比較し、小さい方の値を選択し、瞳孔とアイリスとの境界円の半径とする。
【0122】次に、アイリスと白目との境界円の半径を算出する。このときは、近赤外光と目との反射特性から、白目部分が最も明るく、瞳孔部分が最も暗いことが分かっていることから、アイリス部分は特性曲線48で最も輝度値が低い範囲と最も輝度値が高い範囲とに囲まれた範囲となり、よって、アイリスと白目との境界円の半径を算出する場合には、点(1)と点(5)間距離とを比較し、小さい方の値を選択し、アイリスと白目との境界円の半径とする。
【0123】最後に、上記の処理から得られた二つの境界円で設定された識別アイリス領域において、図9の(a)から(b)へ目が変化したときの影響部分37を削除するための境界点を算出する。
【0124】ここで、近赤外光と目との反射特性から、輝度値の大きさは瞳孔、まぶた、アイリス、白目の順番に高くなることがあるが、まぶたとアイリスとの輝度値の差については、肌の色等の関係から変動する場合もある。そこで、本具体例3では、特性曲線48の点(1)と点(5)間距離および点(5)と点(4)間距離、更に、点(1)と点(2)および点(3)と点(4)の輝度値を基準値として、特性曲線47の点(5)を中心に、輝度値が上記の基準値となる輝度値から大小に変化する部分の解析を行う。よって、上記解析結果から点(8)、(12)、(9)、(13)の四つの点が候補に挙がるが、ここではアイリスと瞳孔と境界円以外に、アイリスの範囲を制限する部分を見つけ出すことが目的であることから、上記四つの点のうち、点(12)と点(13)が境界点として設定できる。
【0125】よって、点(5)と点(12)間距離および点(5)と点(13)間距離を算出し、識別アイリス領域から、点(12)より上側および点(13)より下側の部分の識別コードを削除することで、図9中の(a)と(b)の変化で識別コード作成に影響しない部分を求めることができる。図10中の(f)に示す範囲Bが影響しない範囲である。尚、点(12)と点(13)は、補助基準直線45上にある点であるため、図4の(e)で定義したx−y座標系で位置座標が設定できる。
【0126】また、図10中の(j)のつけまつげ38の場合についても、上述した被験者の目が細くなった場合と同様に輝度特性の解析を実施することで、図10中の(g)と(h)の変化で識別コード作成に影響しない部分(図10中の(k)に示す範囲D)を求めることができる。尚、この場合の境界点は輝度特性曲線51の点(12)と点(7)となる。
【0127】図11は、具体例3による照合処理のフローチャートである。また、図12は、具体例3による識別コードの作成プロセスを示す図である。
【0128】図11に示すフローチャートは、図1における撮影手段101より下側のフローチャートに対応する図である。また、図12は、図9および図10にて設定された識別アイリス領域で作成した識別コードから、図9および図10で説明した影響を削除し識別コードを求めるプロセスを説明する図である。
【0129】先ず、図11に示すフローチャートの識別前処理(ステップS10)において、ステップS11の瞳孔抽出処理からステップS13の識別アイリス領域抽出処理までは、具体例1と同様である。次の識別前補助処理(ステップS14)は、識別前補助処理手段109の行う処理であり、図12にその詳細を示す。
【0130】図12中の(a)は図10中の(f)の解析結果から得られた識別アイリスコア領域、図12中の(b)は図10中の(k)の解析結果から得られた識別アイリスコア領域をそれぞれ示している。
【0131】図12の(a)において、53は基準直線、54は識別アイリスコア領域、55は図10中の(f)と(k)のような輝度特性の解析から得られた二つの境界点と瞳孔中心点(5)との距離を比較し、大きい方を半径として求めた境界基準円、56と57は境界基準円に接し、基準直線53と同じ傾きを持つ境界基準直線、58と59は排除領域を示す。また、図12の(b)において、60は基準直線、61は境界基準直線、62は識別アイリスコア領域、63は境界基準円55と同様の解析で算出された境界基準円、64は排除領域を示す。
【0132】ステップS14の識別前補助処理では、このようなアイリスコア領域54、62を求める。そして、ステップS20の識別コード作成処理では、このようなアイリスコア領域54、62のみの識別コードを作成する。
【0133】次のアイリス認識処理(ステップS30)では、照合手段107が先ず図示しない記憶装置より予め登録されているアイリス領域の識別アイリスコードを読み込む(ステップS33)。尚、この処理は、図1におけるアイリスコード読込み処理と同様であり、登録されている識別アイリスコードは、識別アイリス領域のコードであるとする。
【0134】次に、照合手段107は、読み込んだ識別アイリスコードのうち、識別前補助処理手段109で求めたアイリスコア領域(図12における54、63)以外の排除領域(図12における58、59および64)の識別コードを削除し、ステップS20で作成した識別コードとの照合を行う(ステップS34)。ここで、本発明では、登録されている識別コードと照合する識別コードとの基準点が同一であるため、たとえ排除領域(58、59、64)を削除したとしても、登録されている識別コードと照合する識別コードとの対応関係は完全に同一に保つことができる。
【0135】図11におけるステップS35以降の処理については、図1と同様であるためその説明は省略する。
【0136】また、具体例3の考え方を、被験者の識別コードを新規に登録する場合に適用することも可能である。即ち、図9中の(b)や(h)の場合、この状態の識別アイリスコードを照合するための辞書データとして登録する。
【0137】特に、日本人の場合は、一般に目が細くアイリスと白目との境界線が円としてはっきりと撮影できる人は非常に少なく、ほとんどの人のアイリス上部は上まぶたおよびまつげで隠れている。更に、アイリス下部が下まぶたで隠れている場合もある。従って、日本人のように、アイリスと白目との境界線が円としてはっきり撮影することが困難な場合には、このような状態で登録することが望ましい。
【0138】この場合、識別コード登録手段106は、例えば、図12における識別アイリスコア領域54、62の識別アイリスコードを識別コードとして登録する。また、このように登録した場合も、照合時においては、上述した照合処理(被験者のアイリスコア領域を求め、このアイリスコア領域の識別アイリスコードを照合する処理)を行うことにより、登録時と被験者の撮影状態が変わった場合でも、照合の精度が低下することを防止することができる。
【0139】〈効果〉以上のように具体例3によれば、識別前補助処理手段を設けたので、具体例1の効果に加えて、登録時の識別コードに対して照合時の識別コードがまぶたやつけまつげ等の影響により変化した場合でも、認識精度の低下を防止することができる。
【0140】また、アイリスがまぶたやまつげ等で隠れている目の被験者であっても、登録する識別コードとして、これらのまぶたやまつげ等で隠されている領域の識別コードを削除して登録することができるため、このような状態の被験者であっても認識精度の低下を防止することができる。
【0141】以上の具体例3の効果は、照合する識別コードと登録した識別コードとの双方に基準点を設けたという本発明の特徴点により、識別コードの一部分を削除しても、これら双方の識別コードの対応関係を一致させることができるという効果によるものである。
【0142】《具体例4》本発明のアイリス認識装置の効果として、アイリスパターンの識別コード化において、開始位置と完了位置との明確になり、被験者の入力姿勢に影響しないことが挙げられる。その結果、従来では不可能であった、アイリスパターンによる識別コードの標準化が可能になる。
【0143】ところで、現在、パーソナルコンピュータやワープロ機器等で作成された電子データは膨大にあり、これをいかに他人に盗用されないようにするかが重要な技術となっており、暗号化技術はそのキーテクノロジーである。ここで、暗号化する方法は、基本的には暗号化するために鍵となるデータがあり、この鍵を使ってある関数で元のデータを変換し、変換後のデータからは元のデータが推定できない状態にすることである。
【0144】そのため、一度変換されたデータはこの鍵と変換する関数を知らないと、二度と元のデータを読むことができない。しかし、この暗号の鍵の管理は暗号化する人の個人管理に依存するため、その人自身が忘れてしまうという危険性がある。また、暗号化するデータの重要度に合わせて鍵を難しくしたいという要求もあり、鍵を記憶という方法では益々管理できなくなる。
【0145】そこで、本発明のアイリス認識装置では、アイリスパターンの識別コード化において、開始位置と完了位置が明確になり、被験者の入力姿勢に影響せず、従来は不可能であったアイリスパターンによる識別コードの標準化が可能になったことから、上記の暗号化の鍵にアイリスパターンから作成された識別コードを用いることができる。これにより、アイリスパターンが持つセキュリティ性の高さでデータの暗号化ができ、しかも鍵を記憶する必要がないため、管理方法も簡単となる。
【0146】〈構成〉図13は、具体例4としてデータ変換装置を示す機能ブロック図である。図中、撮影手段101〜識別コード作成手段105は、上記各具体例と同様の構成であるため、ここでの説明は省略する。変換手段110は、識別コード作成手段105で作成した識別コードを暗号化の鍵として用い、予め決められた関数で元データを暗号化する機能部である。
【0147】〈動作〉図14は、具体例4によるデータ変換装置のデータ変換プロセスを示す説明図である。図中、65は鍵に使用するアイリスパターンによる識別コード列、66は元のデータ、67は変換後のデータを示す。尚、図示例はデータ変換処理を簡単に説明するための一例であり、この考え方を用いることで変換方法は種々選択することが可能である。
【0148】先ず、アイリスパターンから作成した識別コード65(識別コード作成手段105で作成した識別コード)を構成する各コードを開始コードSから順に(1)コード、(2)コード、…、(M-2)コード、(M-1)コード、(M)コードとする。つまり、M個のコードからなる識別コード列とする。次に、元のデータ66はN個のコードからなるとする。本具体例では、N/Mの値に相当する数nで、元のデータ66を分割する。図14では、データの開始コードXから上記分割したブロックを順に、A(1)ブロック、A(2)ブロック、…、A(n-1)ブロック、A(n)ブロックとする。
【0149】次に、変換手段110は、元データの各ブロックを構成するコードを、識別コード65のコードで変換する。図14の中央部にその例を示す。ここでは、変換前後に元データが復元できるようにすることから、「XOR」の関数を用いる。
【0150】A(1)ブロックのデータでは、識別コード65のコード「0」を鍵とし、「XOR」の関数で図示のようにデータ変換を行う。変換後の結果は、B(1)ブロックのデータとなる。その他も、本変換方法と同じように行い、変換後をBブロックとする。以上の変換により、元のデータ66は、データ67に変換されたことになる。データ67を元のデータ66に戻すには、識別コード65を用いて、上記で説明した変換の方法を全く逆に行うことで、元のデータに復元できる。但し、変換するための関数は「XOR」の関数である。
【0151】〈効果〉以上のように、具体例4によれば、アイリスパターンを暗号化の鍵として用いるようにしたので、鍵の管理が容易でかつセキュリティを高めることができる。
【出願人】 【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月5日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 幸男 (外1名)
【公開番号】 特開平11−244261
【公開日】 平成11年(1999)9月14日
【出願番号】 特願平10−71419