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【発明の名称】 視機能検査装置
【発明者】 【氏名】田村 正明

【要約】 【課題】視機能検査装置の小型化を図ると共に、動体視力検査等も行えるようにする。

【解決手段】視標を表示するカラー液晶パネル30と、液晶パネル30からの視表像1を被検者5に導く視標像光学系20と、カラー液晶パネル30を視標像光学系の光軸方向に移動させるパネル移動機構32をそれぞれ有している左右鏡体11L,11Rを備えている。被検者5に虚像としての視標像1を見せているので、視標を表示する液晶パネル30と被検眼6との間隔を短くすることができるので、装置の小型化を図ることができる。さらに、視標を表示する手段として、液晶パネル30を用いているので、被検者に動画を見せることができる上に、液晶パネル30が移動するので、動体視力検査も行うことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】大きさ、形、位置の少なくともいずれかが変化する視標を表示する動画表示手段と、前記動画表示手段の表示内容を制御する表示制御手段と、前記動画表示手段からの前記視標像が入射する収束光学素子を有し、該視標像を被検眼に導く視標像光学系と、前記収束光学素子の光軸方向に、該収束光学素子と前記動画表示手段とのいずれかを相対移動させて、被検者に前記動的視標像の提示距離があたかも変わったように見せる視標像移動手段と、を備えていることを特徴とする視機能検査装置。
【請求項2】請求項1に記載の視機能検査装置において、左右の鏡体を備え、該左右の鏡体は、それぞれ、前記動画表示手段と前記視標像光学系と前記視標像移動手段を有していることを特徴とする視機能検査装置。
【請求項3】大きさ、形、位置の少なくともいずれかが変化する視標を表示する動画表示手段と、前記動画表示手段の表示内容を制御する表示制御手段と、外景像を被検眼に導く外景像光路を形成する外景像光学系と、前記動画表示手段からの前記視表像を前記外景像光路中に導いて、被検者に外景像と共に該視標像を見せる視標像光学系と、を備えていることを特徴とする視機能検査装置。
【請求項4】請求項3に記載の視機能検査装置において、左右の鏡体を備え、該左右の鏡体は、それぞれ、前記動画表示手段と前記外景像光学系と前記視標像光学系とを有していることを特徴とする視機能検査装置。
【請求項5】請求項2及び4のいずれか一項に記載の視機能検査装置において、前記左右の鏡体の相対的位置関係を変えて、該左右の鏡体の眼幅距離を変える鏡体移動機構を備えていることを特徴とする視機能検査装置。
【請求項6】請求項4に記載の視機能検査装置において、前記視標像光学系は、前記動画表示手段からの前記視標像が入射する収束光学素子と、前記外景像光路中に位置し、該収束光学素子からの該視標像を該外景像光路に沿って被検眼に向わせる反射光学素子と、を有し、前記収束光学素子の光軸方向に、該収束光学素子と前記動画表示手段とのいずれかを相対移動させて、被検者に前記視標像の提示距離があたかも変わったように見せる視標像移動手段を備えていることを特徴とする視機能検査装置。
【請求項7】請求項6に記載の視機能検査装置において、前記外景像光学系は、前記外景像光路中の前記視標像の領域における前記外景像を遮光する遮光手段を備えていることを特徴とする視機能検査装置。
【請求項8】請求項7に記載の視機能検査装置において、前記遮光手段は、前記外景像光路中に位置し、任意の領域を遮光できる液晶シャッタであることを特徴とする視機能検査装置。
【請求項9】請求項1から8のいずれか一項に記載の視機能検査装置において、被検者の頭部に装着するための頭部装着部を備えていることを特徴とする視機能検査装置。
【請求項10】請求項1,2,6,7,8のいずれか一項に記載の視機能検査装置において、前記表示制御手段は、前記視標として、動体視力検査視標を予め記憶しており、指示に応じて、該表示制御手段が該動体視力検査視標を前記動画表示手段に表示させると共に、前記視標像移動手段に動作させて、被検者に該動体視力検査視標像の提示距離があたかも変わったように見せることを特徴とする視機能検査装置。
【請求項11】請求項10に記載の視機能検査装置において、前記動体視力検査視標像の移動速度を選択する速度選択手段を有し、前記視標像移動手段は、前記速度選択手段により、特定の移動速度が選択されると、前記動体視力検査視標像が該特定の移動速度で移動しているように被検者が見えるよう、前記視標像光学系の光軸方向に、前記収束光学素子と前記動画表示手段とのいずれかを相対移動させることを特徴とする視機能検査装置。
【請求項12】請求項2及び4のいずれか一項に記載の視機能検査装置において、前記視標は、移動視標と固定視標であり、前記表示制御手段は、前記移動視標と前記固定視標とを記憶しており、指示に応じて、前記動画表示手段に、該固定視標を表示させると共に、該移動視標が被検者にとってあたかも遠近方向に移動しているように見え得るよう表示させることを特徴とする視機能検査装置。
【請求項13】請求項1から12のいずれか一項に記載の視機能検査装置において、前記視標は、相互に異なる位置で順次点灯する複数の輝点であり、前記表示制御手段は、複数の輝点の点灯位置及び点灯順序のパターンを記憶しており、指示に応じて、複数の該輝点を前記動画表示手段に順次表示させることを特徴とする視機能検査装置。
【請求項14】請求項1から13のいずれか一項に記載の視機能検査装置において、前記動画表示手段は、カラー動画表示手段であり、前記表示制御手段は、前記視標として、色覚検査視標を記憶しており、指示に応じて、該色覚検査視標を前記動画表示手段に表示させることを特徴とする視機能検査装置。
【請求項15】請求項1から14のいずれか一項に記載の視機能検査装置において、被検者が前記視標像を認識したことを検者に知らせる被検者応答手段を備えていることを特徴とする視機能検査装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大きさ、形、位置のいずれかを変化させた視標を被検者に見せて、被検者の視機能を検査する視機能検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の視機能検査装置としては、例えば、特開平6−197867号公報に記載されているものがある。
【0003】この視機能検査装置は、自覚式検眼器と視力表表示器とを備えている。視力表表示器は、凹面鏡と、この凹面鏡の焦点位置に配されている視力表と、視力表の像を透過させて凹面鏡に導く一方で、凹面鏡で反射された視力表像の向きを変えるハーフミラーと、これらを覆う筐体とを備えている。筐体内には、そのほぼ中央にハーフミラーが配され、このハーフミラーを中心として一方の側に視力表が配され、他方の側に凹面鏡が配されている。筐体の側面で、ハーフミラーからの反射光が通過する位置には、開口が形成されている。
【0004】この視機能検査装置を用いて、視力検査する際には、自覚式検眼器を視力表表示器の筐体の開口に対向させ、筐体の開口から自覚式検眼器を1m程度離した位置に配置する。そして、被検者に自覚式検眼器を覗かせて、視力表示器からの視力表像を見せる。前述したように、筐体内の視力表は、同じく筐体内の凹面鏡の焦点位置に配置されているので、被検者は、無限遠の視力表像を見ることになる。
【0005】また、従来の他の視機能検査装置としては、特開昭61−171032号公報に記載されているものがある。
【0006】この視機能検査装置は、眼位検査装置で、左右それぞれの眼に視標を提示する二つの液晶パネルと、これを囲む筐体とを備えている。この筐体の奥には、二つの液晶パネルが並んで配置されている。また、筐体の二つの液晶パネルと対向する面には、被検者が覗き込むための左右の窓が形成されている。この装置を用いて眼位を検査する際には、被検者に鏡筒の左右の窓から内部を覗かせて、その内部で左右の液晶パネルに映し出される各種視標の見え具合を聞き、この見え具合から眼位量を求めている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平6−197867号公報に記載された従来技術では、被検者が筐体からある程度離れていても、被検者にある程度の大きさ以上の視力表を提示しなければならないために、筐体の開口を大きくして、この開口いっぱいに視力表像を見せる必要が生じ、その結果として、視力表表示器が大型化してしまうという問題点がある。さらに、自覚式検眼器と視力表示器とをある程度以上離す必要があることから、視機能検査装置が全体として大きくなってしまうという問題点もある。
【0008】また、特開昭61−171032号公報に記載された従来技術では、眼位検査において、ある程度離れた位置から視標を被検者に見せる必要があるため、視標が表示される液晶パネルと被検眼とをある程度以上離さなければならない。このため、従来技術では、筐体内の液晶パネルと筐体の窓との間の距離を大きくとる必要があり、装置が大型化してしまうと言う問題点がある。
【0009】また、近年では、スポーツ選手等の動体視力を簡易に検査できる装置が望まれている。
【0010】本発明は、以上のような従来技術の問題点及び要望に着目してなされたもので、小型で、動体視力検査等を行うことができる視機能検査装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するための第1の視力表表示装置は、大きさ、形、位置の少なくともいずれかが変化する視標を表示する動画表示手段と、前記動画表示手段の表示内容を制御する表示制御手段と、前記動画表示手段からの前記視標像が入射する収束光学素子を有し、該視標像を被検眼に導く視標像光学系と、前記収束光学素子の光軸方向に、該収束光学素子と前記動画表示手段とのいずれかを相対移動させて、被検者に前記動的視標像の提示距離があたかも変わったように見せる視標像移動手段と、を備えていることを特徴とするものである。
【0012】前記目的を達成するための第2の視機能検査装置は、前記第1の視機能検査装置において、左右の鏡体を備え、該左右の鏡体は、それぞれ、前記動画表示手段と前記視標像光学系と前記視標像移動手段を有していることを特徴とするものである。
【0013】前記目的を達成するための第3の視機能検査装置は、大きさ、形、位置の少なくともいずれかが変化する視標を表示する動画表示手段と、前記動画表示手段の表示内容を制御する表示制御手段と、外景像を被検眼に導く外景像光路を形成する外景像光学系と、前記動画表示手段からの前記視表像を前記外景像光路中に導いて、被検者に該視標像と共に外景像を見せる視標像光学系と、を備えていることを特徴とするものである。
【0014】前記目的を達成するための第4の視機能検査装置は、前記第3の視機能検査装置において、左右の鏡体を備え、該左右の鏡体は、それぞれ、前記動画表示手段と前記外景像光学系と前記視標像光学系とを有していることを特徴とするものである。
【0015】前記目的を達成するための第5の視機能検査装置は、前記第2又は4の視機能検査装置において、前記左右の鏡体の相対的位置関係を変えて、該左右の鏡体の眼幅距離を変える鏡体移動機構を備えていることを特徴とするものである。
【0016】前記目的を達成するための第6の視機能検査装置は、前記第4の視機能検査装置において、前記視標像光学系は、前記動画表示手段からの前記視標像が入射する収束光学素子と、前記外景像光路中に位置し、該収束光学素子からの該視標像を該外景像光路に沿って被検眼に向わせる反射光学素子と、を有し、前記収束光学素子の光軸方向に、該収束光学素子と前記動画表示手段とのいずれかを相対移動させて、被検者に前記視標像の提示距離があたかも変わったように見せる視標像移動手段を備えていることを特徴とするものである。
【0017】前記目的を達成するための第7の視機能検査装置は、前記第6の視機能検査装置において、前記外景像光学系は、前記外景像光路中の前記視標像の領域における前記外景像を遮光する遮光手段を備えていることを特徴とするものである。
【0018】前記目的を達成するための第8の視機能検査装置は、前記第7の視機能検査装置において、前記遮光手段は、前記外景像光路中に位置し、任意の領域を遮光できる液晶シャッタであることを特徴とするものである。
【0019】前記目的を達成するための第9の視機能検査装置は、前記第1から8のいずれかの視機能検査装置において、被検者の頭部に装着するための頭部装着部を備えていることを特徴とするものである。
【0020】前記目的を達成するための第10の視機能検査装置は、前記第1,2,6,7,8のいずれかの視機能検査装置において、前記表示制御手段は、前記視標として、動体視力検査視標を予め記憶しており、指示に応じて、該表示制御手段が該動体視力検査視標を前記動画表示手段に表示させると共に、前記視標像移動手段に動作させて、被検者に該動体視力検査視標像の提示距離があたかも変わったように見せることを特徴とするものである。
【0021】前記目的を達成するための第11の視機能検査装置は、前記第10に記載の視機能検査装置において、前記動体視力検査視標像の移動速度を選択する速度選択手段を有し、前記視標像移動手段は、前記速度選択手段により、特定の移動速度が選択されると、前記動体視力検査視標像が該特定の移動速度で移動しているように被検者が見えるよう、前記視標像光学系の光軸方向に、前記収束光学素子と前記動画表示手段とのいずれかを相対移動させることを特徴とするものである。
【0022】前記目的を達成するための第12の視機能検査装置は、前記第2又は4のいずれかの視機能検査装置において、前記視標は、移動視標と固定視標であり、前記表示制御手段は、前記移動視標と前記固定視標とを記憶しており、指示に応じて、前記動画表示手段に、該固定視標を表示させると共に、該移動視標が被検者にとってあたかも遠近方向に移動しているように見え得るよう表示させることを特徴とするものである。
【0023】前記目的を達成するための第13の視機能検査装置は、前記第1から12のいずれかの視機能検査装置において、前記視標は、相互に異なる位置で順次点灯する複数の輝点であり、前記表示制御手段は、複数の輝点の点灯位置及び点灯順序のパターンを記憶しており、指示に応じて、複数の該輝点を前記動画表示手段に順次表示させることを特徴とするものである。
【0024】前記目的を達成するための第14の視機能検査装置は、前記第1から13のいずれかの視機能検査装置において、前記動画表示手段は、カラー動画表示手段であり、前記表示制御手段は、前記視標として、色覚検査検査視標を記憶しており、指示に応じて、該色覚検査視標を前記動画表示手段に表示させることを特徴とするものである。
【0025】前記目的を達成するための第14の視機能検査装置は、前記第1から14のいずれかの視機能検査装置において、被検者が前記視標像を認識したことを検者に知らせる被検者応答手段を備えていることを特徴とするものである。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る視機能検査装置の各種実施形態について、図面を用いて説明する。
【0027】まず、本発明に係る第1の実施形態としての視機能検査装置について、図1〜図12を用いて説明する。
【0028】この実施形態における視機能検査装置は、図1に示すように、被検者5の頭部に装着される装置本体10と、検者からの指示を赤外線等の無線で装置本体10に伝える操作盤40と、被検者5が視標像を認識したことを検者に知らせる被検者応答スイッチ9とを備えている。装置本体10は、左眼用鏡体11Lと、右眼用鏡体11Rと、左右鏡体11L,11Rの連結体12とを備えている。
【0029】左右鏡体11L,11Rは、それぞれ、視標等を表示するカラー液晶パネル30と、この液晶パネル30の表示を制御する表示制御回路31と、液晶パネル30と向い合う位置に配置されている凸レンズ21と、凸レンズ21に対する遠近方向に液晶パネル30を移動させるパネル移動機構32と、凸レンズ21を中心として液晶パネル30と反対側に配置されている第1のハーフミラー22及び第2のハーフミラー23と、第2のハーフミラー23を中心として被検眼6と反対側に配置されている液晶シャッタ26と、この液晶シャッタ26の動作を制御するシャッタ駆動回路33と、被検眼6を観察するための観察光学素子38及び観察用撮像素子39と、各種検眼レンズ29が取り付けられる検眼レンズ取付部28と、を備えている。
【0030】検眼レンズ取付部28に取り付けられた検眼レンズ29と、第2のハーフミラー23と、液晶シャッタ26とは、被検眼6側からこの順序で同一直線上に配置されている。液晶シャッタ26と第2のハーフミラー23とは、外景像光学系25を構成し、外景像2を被検眼6に導く外景像光路を形成する。凸レンズ21の光軸上には、液晶パネル30、第1のハーフミラー22、第2のハーフミラー23が配置されている。凸レンズ21と第1のハーフミラー22と第2のハーフミラー23とは、視標像光学系20を構成し、液晶パネル30からの視標像1を被検眼6に導く視標像光路を形成している。したがって、第2のハーフミラー23は、外景像光学系25と視標像光学系20との共有光学素子を成している。第1のハーフミラー22を基点として、凸レンズ21の光軸に対して垂直な方向には、観察光学素子38及び観察用撮像素子39が設けられている。
【0031】以上の構成により、液晶パネル30からの視標像1は、凸レンズ21、第1のハーフミラー22を通過し、第2のハーフミラー23で反射されて、被検眼6に至る。但し、検眼レンズ取付部28に検眼レンズ29が取り付けられている際には、第2のハーフミラー23を通過した視標像1は、検眼レンズ28を通過した後に被検眼6に至る。外景像2は、液晶シャッタ26の非遮光領域、第2のハーフミラー23を通って、さらに、検眼レンズ29が装着されている場合には検眼レンズ29を通って、被検眼6に至る。
【0032】液晶パネル30は、前述したように、収束光学素子の一種である凸レンズ21の光軸上に配置されている。また、液晶パネル30は、パネル移動機構32により、凸レンズ21の焦点の位置から凸レンズ21に近づく方向に移動させられる。したがって、液晶パネル30からの視標像は、液晶パネル30が凸レンズ21の焦点に位置している際には、この凸レンズ21により平行光と成って被検眼6に至り、被検者5には、あたかも、無限遠の提示距離に位置している視標像1として映る。また、液晶パネル30を凸レンズ21に近づけると、液晶パネル30からの視標像1は、この凸レンズ21により拡大されてから被検眼6に至り、被検者には、あたかも、ある有限の提示距離に位置している視標像として映る。すなわち、この実施形態では、被検者5に対して、視標を無限遠から任意の有限遠の提示距離に位置している視標像1として見せることができる。なお、以下における「提示距離」も、以上で述べたように、視標と被検眼との現実の距離ではなく、仮想的な意味での提示距離のことである。
【0033】連結体12は、左右鏡体11L,11Rのそれぞれの外景像光路が平行になるよう、左右鏡体11L,11Rを連結するものである。この連結体12は、左右鏡体11L,11Rを相対的に外景像光路に対して平行な方向と垂直な方向に移動させる左右鏡体移動機構14と、この左右鏡体移動機構14、左右鏡体11L,11Rの表示制御回路31,31、左右鏡体11L,11Rのパネル移動機構32,32、左右鏡体11L,11Rのシャッタ駆動回路33,33をそれぞれ制御する主制御回路13と、被検者5の頭部の位置変化量及び向き変化量を検出して主制御回路13にこれらの値を送る三次元位置センサ16と、操作盤40からの無線信号を受信して主制御回路13に送ると共に主制御回路13からの信号を操作盤40に送る操作信号受送信器15とを有している。
【0034】被検者応答スイッチ9は、信号ケーブルで装置本体10の主制御回路13に接続されている。
【0035】操作盤40は、図2に示すように、視標切換キー群41と、その他の操作キー群51と、液晶パネル60と、装置本体10との受送信器との間で無線信号の受送信を行うための受送信器69と、を有している。
【0036】視標切換キー群41は、通常の視力値を検査するための視力値視標キー41a〜41c、眼位等を検査するための眼位検査視標キー42a,42b、動体視力を検査するための動体視力検査視標キー43a〜43c、時刻表や新聞等の多数の極小文字や極小数字で構成される文字列の像を示す文字列指標キー44a,44b、深径覚の検査をするための深径覚視標キー45、視野を検査するための視野検査視標キー46a,46b、色覚検査をするための色覚検査視標キー47a,47bがある。これらのキーに対応した視標は、装置本体10の表示制御回路31中のメモリ内に予め記憶されている。
【0037】その他の操作キー群51としては、左右鏡体11L,11Rのうち操作する側の筐体、言い換えると被検者5の左右眼6R,6Lのうち検査する側の眼を指示する眼選択キー51a〜51c、液晶シャッタ26による遮光状態を指示する遮光状態選択キー52a〜52c、被検者5の頭部の位置や向きの変化量の検出を指示する検出選択キー53、左右鏡体11L,11Rの間隔、言い換えると眼幅を変えるPD調節キー54a,54b、被検者5が見る映像を後述する初期状態に戻すリセットキー55、視標像を上下左右に移動させる視標移動キー57a〜57d、視標像の提示距離を調節する視標距離切換キー58a,58b、視標像の移動速度を調節する移動速度調節キー59a,59bがある。
【0038】視標切換キー群41を構成する複数のキーと眼選択キー51a〜51cと遮光状態選択キー52a〜52cの側には、LED等のランプ49が設けられており、これらのキーが押されると、点灯して、いずれのキーが現在押されているのか検者に分かるようになっている。
【0039】操作盤40の液晶パネル60には、左右の鏡体11L,11Rの光路に対する左右の被検眼の位置、左右両眼のPD値や、水平方向及び垂直方向の眼位量、遮光状態、視標像の提示距離、現在被検者に見せている視標等が表示される。なお、左右の鏡体11L,11Rの光路に対する左右の被検眼の位置は、左右の鏡体11L,11Rの光軸と共に、観察用撮像素子39、39で撮影された左右の被検眼6L,6Rが光軸を基準位置として表示される。また、水平方向の眼位量のうち、内側(被検者の鼻側)への眼位量(内斜位)に関しては「BO」の文字の後に表示され、外側(被検者の鼻側と反対側)への眼位量(外斜位)に関しては「BI」の文字の後に表示される。さらに、垂直方向の眼位量のうち、下側への眼位量(下斜位)に関しては「BU」の文字の後に、上側の眼位量(上斜位)に関しては「BD」の文字の後に表示される。
【0040】図3に示すように、この実施形態における装置本体10は、ヘッドマウント型で、被検者5の耳に掛ける耳掛け部19を有している。
【0041】なお、この実施形態において、動画表示手段は、装置本体10のカラー液晶パネル30を有して構成され、収束光学素子は凸レンズ21で構成され、反射光学素子は第2のハーフミラー23で構成され、視標像移動手段はパネル移動機構32を有して構成され、遮光手段は液晶シャッタ26を有して構成されている。また、視標像制御手段は、主制御回路13と表示制御回路31とを有して構成されている。また、速度選択手段は、移動速度調節キー59a,59bを有して構成され、被検者応答手段は、被検者応答スイッチ9を有して構成されている。
【0042】次に、この実施形態における視機能検査装置の使用態様及び作用について説明する。まず、図3に示すように、装置本体10の耳掛け部19を被検者5の耳に掛けさせ、装置本体10を被検者5の頭部に装着させる。
【0043】そして、検者が、例えば、操作盤40上の両眼選択キー51aを押した後、視力値視標キー41bを押し、続いて部分遮光キー52bを押したとする。すると、左右鏡体11L,11Rの液晶パネル30,30には、押した視力値視標キー41bに対応した視力値視標が表示される。この視力値視標像1は、前述したように、凸レンズ21と第1のハーフミラー22とを通過し、第2のハーフミラー23で反射されて、被検眼6に至る。このとき、液晶パネル30は、凸レンズ21の焦点に位置しているので、被検者は、無限遠の距離に位置している視力値視標像1を見ることになる。また、視力値視標は、液晶パネル30の中央に表示されるので、被検者5は、図4(a)に示すように、視野の中央に視力値視標を見ることになる。外景像2は、液晶シャッタ26と第2のハーフミラー23とを通過して、被検眼6に至る。液晶シャッタ26は、部分遮光キー52bが押されたことで、視力値視標像1の領域に相当する領域のみ遮光され、この領域内の外景像は被検眼6に至らない。このため、視力値視標像中に外景像2が重ならず、被検者5は、視力値視標像を明確に見ることができる。また、被検者5は、図4(a)に示すように、この明確な視力値視標像1の周りに、液晶シャッタ26の非遮光領域及び第2のハーフミラー23を通った外景像2も見る。
【0044】この状態で、検者は、観察用撮像素子39,39で撮られた被検眼6L,6Rを操作盤40の液晶パネル60で見て、左右鏡体11L,11R内の光軸の中央に、左右の瞳がそれぞれ位置するように、操作盤40上のPD調節キー54a,54bを押して、左右鏡体移動機構14を駆動させ、左右鏡体11L,11Rの間隔、つまり眼幅を調節する。
【0045】この状態で、リセットキー55を長めに押すと、この状態が初期状態として主制御回路13のメモリ内に記憶される。また、いくつかの検査をしてから、このリセットキー55を短めに押すと、初期状態に戻る。つまり、当初、リセットキー55を長めに押した際の視力値視標像等の視表像が、視野の中央にその際の視標提示の距離で映し出され、しかも、眼幅もその際の眼幅になる。
【0046】また、以上の初期状態において、視標距離切換キー56a,56bを押すと、パネル移動機構32が駆動して、液晶パネル30が凸レンズ21に対して遠近方向に移動し、被検者5は、無限遠から任意の有限位置の視力値視標像等の視標像1を見ることができる。この時、視標の提示距離は、等間隔で変わるのではなく、例えば、∞→10m→9m→・・・・→1m→90cm→80cm→・・・・→50cm→45cm→40cm→・・・というように、検査に必要される距離間隔で切り換わって行く。但し、この視標距離の設定位置は、断続的であるが、液晶パネル30の移動は連続的に行われるので、被検者5は、視標の提示距離が突然変わったように見えることはない。なお、この実施形態では、液晶パネル30を移動させているが、凸レンズ21を移動させても、視標像の提示距離を変えることができる。
【0047】被検者5にとって、視標虚像1が比較的遠方に見えている状態から近づいてくると、視標虚像1が次第に大きく見えるようになる。このため、検者が操作盤40を用いて視標虚像の遠近操作を行うと、この信号が主制御回路13を介してパネル移動機構32に送られると共に、主制御回路13を介して液晶シャッタ駆動回路33にも送られ、視標虚像1の大きさに合わせて、液晶シャッタ26の遮光領域が大きくなったり小さくなったりする。また、視標像1の提示距離が変わると、被検眼6が輻輳(内斜)し、眼幅も変わるので、検者が操作盤40を用いて視力値視標虚像の遠近操作を行うと、主制御回路13で、視力値視標虚像の提示距離に応じた眼幅が演算され、この値に基づいて左右鏡体移動機構14が駆動し、眼幅が自動調節される。
【0048】ここで、眼幅自動調節について、図5を用いて簡単に説明する。仮に、図5(a)に示すように、無限遠の視標を見ているときの左右の眼幅をそれぞれPDL,PDRとし、眼6L,6Rの旋回中心から各鏡体11L,11Rの基準位置迄の距離をAとする。無限遠の視標を見せてから、有限距離の視標を見せると、前述したように、被検眼6が輻輳するので、同図(b)に示すように、左右の鏡体11L,11RをそれぞれdL,dRだけ内側に寄せる必要が生じる。この時の左右鏡体11L,11Rの移動距離dL,dRは、次式で求められる。
【0049】dL=A・X/PDLdR=A・X/PDRそこで、主制御回路13は、操作盤40の操作で設定された視標像の距離Xと以上の式とを用いて、左右鏡体11L,11Rの移動距離dL,dRを求め、この値だけ左右鏡体11L,11Rが移動するよう左右鏡体移動機構14に指示を与える。
【0050】また、検出選択キー53を押すと、その時からの被検者5の頭部の位置変化量及び頭部の向き変化量が三次元位置センサ16で検出される。なお、この三次元位置センサ16は、角度計、距離計を含む複合的なセンサである。三次元位置センサ16で検出された変化量は、主制御回路13を介して表示制御回路31及びシャッタ駆動回路33に送られ、表示制御回路31により、液晶パネル30内の視標の表示位置が変化させられると共に、シャッタ駆動回路33により、視標像の位置変化に伴う液晶シャッタ26内の遮光領域も変化させられる。具体的には、例えば、被検者5の頭部の初期位置及び初期向きにおいて、図4(a)に示すように、被検者5は、視標像1と共に、この周りに外景像2を見たとする。すなわち、被検者5は、視野の中央に視標像1を見て、その周りに外景像2として、検査室内の壁、右側に時計及び机を見たとする。そして、被検者5が、例えば、初期の頭部向きから右側に僅かに向きを変え、視野を右側にズラしたとする。この場合、被検者5は、図4(c)に示すように、視野の右側に見えていた時計及び机が視野の中央に見えるようになる。また、液晶パネル30内の視標の表示位置を変えなければ、装置本体10が被検者5の頭部に装着され、頭部の向き変化と一体的に視標像の位置も変わるので、視野の中央に視標像1が見えることになる。これに対して、この実施形態では、被検者5が、初期の頭部の向きから右側に僅かに向きを変え、視野を右側にズラしたとすると、図4(b)に示すように、外景像2は同図(c)と同じであるものの、液晶パネル30内の視標の表示位置が変化して、視野内において視標像1が左側へ移動し、外景像2との相対位置が変化しない。すなわち、図3に示すように、被検者5の頭部の位置や向きが変化しても、検査室内の壁に視標があたかも固定されているように見える。なお、このとき、視野内における視標像1の移動に伴って、液晶シャッタ26の遮光領域も移動する。また、被検者5が、例えば、検者を見るために、さらに右側を向いたとすると、被検者5の視野から視標像は消える。また、初期状態において、視標が見えていた方向の検査室内壁に対して、被検者5が遠ざかったとすると、その分だけ視標像1の提示距離が遠くに変化する。すなわち、この実施形態では、被検者5の初期の頭部位置及び頭部向きの変化による視野の変化を打ち消す方向に、視標像を移動させて、外景像と視標像との相対位置を変化させないようにしている。
【0051】一般的に、被検者5は、検査中、視標像1を視野の中央に捕らえようとするので、例えば、前述した図4(a)の視界状態から、被検者5が頭部の向きを変えて図4(b)の視界状態に変化すると、被検者5は、再び、図4(a)のように視標像が視野の中央に来るように、頭部の向きを変える。このため、視標が一定の背景内にあたかも固定されているように見えるので、安定した検査を行うことができると共に、被検者5に安心感を与えることができる。特に、図4(c)に示すように、視野の中央近傍に机等の厚みのあるものが存在すると、被検者5が虚像の意図した提示距離を誤って認識してしまい、検査精度に悪影響を及ぼすことが予想されるので、初期状態での視野の中央近傍での外景像が図4(a)に示すように壁にしておくと、この壁に視標が常に固定されて見えることにより、以上のような悪影響を回避することができる。
【0052】なお、以上と同様の構成をとれば、被検者5が水平方向を向いていれば遠方用視標のみが選択され、被検者5が下方向を向いていれば、新聞や小説等の近方用視標のみが選択されるようにすることも可能である。
【0053】眼位検査を行う場合には、検者が操作盤40の眼位検査視標キー43a,43b及び眼選択キー51b,51cを押して、図6(a)に示すような左右で異なる視標像1R,1Lを被検者5に見せる。正視の被検者5がこれらの視標を両眼でそれぞれ見ると、図6(b)に示すように、両視標1R,1Lが中央で交差しているように見える。一方、斜位のある被検者5がこれらの視標1R,1Lを両眼でそれぞれ見ると、図6(c)に示すように、両視標1R,1Lが中央で交差しているようには見えない。そこで、検者は、被検者5に対して視標がどのように見えるか尋ね、もし、両視標1L,1Rが中央で交差しているように見えなければ、操作盤40の視標移動キー57a〜57d及び眼選択キー52b,52cを押して、液晶パネル内における眼位視標の表示位置を変えて、眼位視標像を上下左右に動かして、図6(b)に示すように、両視標1R,1Lが中央で交差して見える位置を探す。そして、両視標1R,1Lが中央で交差して見えるまでの両視標1R,1Lの移動量、言い換えるとズレ量Zを、この時の提示距離Yで割って、眼位量(=Z/Y)を算出する。この眼位量の演算は、主制御回路13で行われ、その結果が、装置本体10の信号受送信器15から操作盤40に送られて、操作盤40の液晶パネル60に表示される。さらに、その時の提示距離Yも、操作盤40の液晶パネル60に同時に表示される。また、この実施形態では、ズレ量Zは表示されないが、これも同時に表示するようにしてもよい。
【0054】なお、眼位量の単位としては、一般的に、プリズムディオプトリーと呼ばれる単位が用いられており、1プリズムディオプトリーとは、提示距離1mの視標が1cmズレていることをいう。
【0055】この眼位検査の際には、検者は、観察ビデオカメラ39,39で撮られた被検眼6L,6Rを操作盤40の液晶パネル60で見て、被検者が眼をすぼめていないか等を観察しておくことが重要である。また、この眼位検査の際には、片眼を断続遮蔽しながら検査を行うことが好ましい。断続遮蔽する眼を眼選択キー51b,51cで選択の上、断続遮光キー52cを押すと、選択した眼側の液晶シャッタ26が断続的に全遮光と部分遮光とを繰り返すと共に、同周期で液晶パネル30が断続的に視標の消灯と点灯とを繰り返す。この結果、被検者5には、両眼で眼位視標像とその周りに外景像とが見えている状態と、片眼だけでこれらを見ている状態とが繰り返される。このため、眼位検査を行う際の運動性融像、つまり、同一の視標をしばらく見ていると、両視標が中央で交差して見えるように自然に調節してしまう機能、を除去することができる。
【0056】また、操作盤40の液晶パネル60での被検眼の表示機能、及び光路の遮光機能を利用することにより、カバーテストと呼ばれる眼位検査も簡単に行うことができる。
【0057】また、操作盤40の全遮光キー52aを操作すると、液晶シャッタ26は全遮光状態になり、被検者5には、外景像が至らなくなり、視標虚像のみが見ることになる。
【0058】動体視力検査を行う場合には、検者が、例えば、操作盤40の左眼選択キー51c及び全遮光キー52aを押して、被検者の左眼には何も見えないようにすると共に、右眼選択キー51b及び動体視力検査視標キー43aを押して、被検者の右眼には動体視力検査視標像が見えるようにする。この動体視力検査視標像1aは、図7に示すように、はじめ、提示距離が50mの位置に虚像として提示され、30km/hの移動速度で、提示距離が2mの位置まで近づいてくる。この虚像である動体視力検査視標像1aの移動は、パネル移動機構32により液晶パネル30が凸レンズ21に対して遠近方向に移動することで実現する。この動体視力検査視標像1aの移動過程で、被検者は、動体視力検査視標1aの形状を明確に確認すると、被検者応答スイッチ9を押す。被検者応答スイッチ9が押されると、その旨の信号が装置本体10の主制御回路13及び操作信号受送信器15を介して、操作盤40に送られる。操作盤40の液晶パネル60には、動体視力検査視標像1aの基準サイズと、被検者応答スイッチ9が押された時点での提示距離とに応じた動体視力が表示される。同様の検査を左眼及び両眼でも行う。なお、以上では、動体視力検査視標像1aの移動速度が30km/hであるが、移動速度調節キー59a,59bを押すことで、移動速度を、7.5km/h、15km/h、60km/hのいずれかに設定することもできる。また、動体視力検査の際には、動体視力検査視標像1と共に外景像を被検者に見せてもよいが、外景像が動きうるような場合には、動体視力検査視標像1と共に外景像を被検者に見せないほうが好ましい。
【0059】深径覚の検査をする場合には、両眼選択キー51a及び深径覚視標キー45を押す。すると、被検者の左右のそれぞれの眼には、図8に示すように、深径覚視標像が見える。この実施形態における深径覚の検査では、三桿法を採用しているので、深径覚視標像は、二つの固定桿像1b,1bと、これらの間に位置している一つの移動桿像1cとで構成される。被検者に深径覚視標像が提示された当初においては、二つの固定桿像1b,1bの提示距離が例えば2.5mで、一つの移動桿像1cの提示距離が例えば5.0mである。その後、中央の移動桿像1cのみがゆっくりと近づいてくる。この移動桿像1cの移動過程で、被検者は、固定桿像1b,1bに対する移動桿像1cの前後方向のズレがなくなったと認識すると、被検者応答スイッチ9を押す。被検者応答スイッチ9が押されると、その旨の信号が装置本体10の主制御回路13及び操作信号受送信器15を介して、操作盤40に送られる。操作盤40の液晶パネル60には、被検者応答スイッチ9が押された時点での固定桿像1b,1bと移動桿像1cとの前後方向のズレ量が表示される。固定桿像1b,1bと移動桿像1cとの前後方向のズレ量が特定の距離以内、例えば、10cm以内であれば、被検者の深径覚は正常であると判断される。
【0060】ところで、初期段階において、固定桿像1b,1bと移動桿像1cの提示距離設定は、主制御回路13からの指示で、パネル移動機構32が液晶パネル30を移動させることで実現している。また、その後の移動桿像1cのみの移動は、主制御回路13からの指示を受けた表示制御回路31が、液晶パネル30の表示面上の移動桿を被検者の鼻側に移動させつつ拡大させることで実現している。
【0061】なお、この実施形態では、液晶パネル30を移動させずに、液晶パネル30の表示画面上の移動桿を被検者の鼻側に移動させつつ拡大させることで、移動桿像1cのみが前方に移動しているように見せているが、液晶パネル30の表示画面上の固定桿を被検者の鼻側と反対側へ移動させつつ縮小する一方で、固定桿像1b及び移動桿像1cが拡大する方向へ液晶パネル30を移動させることでも、移動桿像1cのみが前方に移動しているように見せることができる。
【0062】また、この実施形態の三桿法では、固定桿像1bに対して移動桿像1cが後方にズレている状態から、移動桿像1cを前方に近づけているが、逆に、固定桿像1bに対して移動桿像1cが前方にズレている状態から、移動桿像1cを後方に下げて検査を行ってもよい。さらに、固定桿像1bと移動桿像1cとが同じ提示距離の状態から、移動桿像1cを後方又は前方へズラして検査を行ってもよい。
【0063】視野検査を行う場合には、検者が、例えば、操作盤40の左眼選択キー51c及び全遮光キー52aを押して、被検者の左眼には何も見えないようにすると共に、右眼選択キー51b及び視野検査視標キー46aを押して、被検者の右眼には視野検査視標像が見えるようにする。この視野検査視標像1dは、図9に示すように、複数の輝点である。この輝点は、視標像光学系20の光軸を基点としたXY座標上に、一つずつ、ランダムな位置に順次表示される。被検者は、ランダムな位置に順次点灯される輝点を確認すると、そのたびに、被検者応答スイッチ9を押す。被検者応答スイッチ9が押されると、その旨の信号が装置本体10の主制御回路13及び操作信号受送信器15を介して、操作盤40に送られる。操作盤40の液晶パネル60には、被検者応答スイッチ9が押された直前に点灯していた輝点が表示される。仮に、被検者が緑内障等で一部の輝点を確認できなかった場合には、図10に示すように、操作盤40の液晶パネル60に、被検者が確認できなかった輝点が、表示されない、又は、確認できた輝点と異なる表示形態で表示される。被検者は、この液晶パネル60の表示結果を見て、被検者の視野欠損があるか否か、さらには欠損位置はどこかを知る。この表示結果をハードコピーしたい場合には、操作盤40をプリンタに接続して、これをプリンタから出力させる。
【0064】以上の検査で、被検者に視野欠損が確認され、視野欠損位置を詳細に調べたい場合には、高密度視野検査視標キー46bを押す。すると、図11(a)に示すように、先の視野検査視標の複数の輝点よりも、高密度の複数の輝点が一旦全て表示される。そして、視標移動キー57a〜57dを操作して、同図(b)に示すように、この高密度の輝点群を先の検査で得た視野欠損位置を含む位置に移動させ、再度、高密度視野検査視標キー46bを押す。すると、高密度の輝点群が一つずつランダムな位置に順次点灯する。以下は、先の検査と同様に、被検者に、輝点の確認ごとに、被検者応答スイッチ9を押させる。
【0065】色覚検査を行う場合には、検者が操作盤40の色覚検査視標キー47aを押して、被検者に図12に示すような色覚検査視標像1eが見えるようにする。この色覚検査視標像1eは、複数色の斑点で形成されており、被検者には、この視覚検査視標像1eがどのように見えるか答えさせる。図12に示す色覚検査視標像1eに対して、もし、「5」が見えると被検者が答えた場合には、この被検者の色覚は正常であるであり、もし、何かよく分からないと被検者が答えた場合には、この被検者は色覚異常の恐れがある。
【0066】以上のように、この実施形態では、液晶パネル30に表示された視標を収束光学素子の一種である凸レンズ21で拡大して、任意の距離に存在しているように、視標虚像として被検者に提供しているので、眼位検査で必要とされる視標と被検眼との距離を装置内部に確保する必要がない。また、従来技術のように、鏡体を覗き込んだ状態で、視標像と共にこの周りに真っ暗な背景を見ることはなく、被検者5には、視標像の周りに外景像が見えるので、被検者5が機械近視の影響を受けることはほとんどない。このため、第2のハーフミラー23と被検眼6との間隔を数cm程度までを近づけることができる。さらに、第2のハーフミラー23と被検眼6との間隔を数cm程度までを近づけることができることから、各ハーフミラー23,22、凸レンズ21、液晶パネル30等を小さくすることができると共に、全体の光路長も短くでき、装置全体の小型化を図ることもできる。
【0067】さらに、前述したように、視標像の周りに外景像が見えるので、従来技術のように、筐体の窓から真っ暗な筐体内部を覗き込み、そこに見映し出されている視標を見る、つまり、暗い背景の中の視標を見ることによる眼の調節作用が働くことがなく、正確な検査を行うことができる。さらに、前述したように、断続遮光キー52cを押した状態で眼位検査を行うと、その際の運動性融像を除去することができ、より正確な検査を行うことができる。
【0068】また、この実施形態では、視標を表示する手段としてカラー液晶パネル30を用いているので、移動する視標、変形する視標、拡大縮小する視標等の多様な視標を表示することができ、動体視力検査、視野検査、色覚検査等の多数の視機能検査を一台の装置で行うことができる。さらに、ボールが近づいてくるといった動画を見せることもできるし、また、この実施形態では、左右の眼用にそれぞれ光学系を有し、しかもそれぞれに液晶パネル30があることで、左右の眼に異なる視標を見せることができ、眼位検査や、立体視検査(深径覚検査)等も行うことができる。
【0069】また、この実施形態の装置本体10には、検眼レンズ取付部28が設けられているので、眼鏡の装用試験も行うことができる。この装用試験では、操作盤40の文字列視標キー44a,44bを押して、被検者5に新聞等を見せることができる。この際、外景像を全遮光して、被検者5の視野いっぱいに新聞等の視標像を見せることが好ましい。
【0070】次に、本発明に係る第2の実施形態としての視機能検査装置について、図13を用いて説明する。
【0071】この実施形態における視機能検査装置も、第1の実施形態と同様に、ヘッドマウント型で、被検者5の頭部に装着される装置本体10aと、検者からの指示を無線で装置本体10に伝える操作盤40とを備えている。この実施形態の装置本体10aも、また、第1の実施形態と同様に、カラー液晶パネル30と表示制御回路31とパネル移動機構32とハーフミラー23aと液晶シャッタ26とシャッタ駆動回路33と主制御回路13と操作信号受送信器15と三次元位置センサ16と検眼レンズ取付部28と、を備えている。さらに、この実施形態の装置本体10aは、第1の実施形態における凸レンズ21の換わりに、同じ収束光学素子の一種である凹面ハーフミラー21aも備えている。
【0072】なお、この実施形態においても、第1の実施形態と同様に、左右鏡体と左右鏡体移動機構とを有し、左右鏡体にはそれぞれ各種光学系等が設けられているが、図13では一方の鏡体のみを装置本体として示し、他方の鏡体及び左右鏡体移動機構を省略して描いている。また、以下に述べる第3及び第4の実施形態においても、左右鏡体と左右鏡体移動機構とを有しいるが、該当図面においては、一つの鏡体及び左右鏡体移動機構を省略して描いている。
【0073】凹面ハーフミラー21aの光軸上には、検眼レンズ取付部28、ハーフミラー23a、液晶シャッタ26が配置されている。これらは、被検眼6側から、検眼レンズ取付部28、ハーフミラー23a、凹面ハーフミラー21a、液晶シャッタ26の順で、配置されて、外景像光学系25aを構成し、外景像光路を形成している。液晶パネル30は、凹面ハーフミラー21aの光軸に対して垂直な方向で、液晶パネル30からの視標像がハーフミラー23aで反射されて被検眼6に導ける位置に配置されている。視標像光学系20aは、ハーフミラー23aと凹面ハーブミラー21aとで構成されている。したがって、視標像光学系20aは、外景像光学系25aの一部を構成している。
【0074】以上のように、この実施形態は、第1の実施形態に対して光学系が異なる以外、基本構成は第1の実施形態と同じである。
【0075】以上の構成により、液晶パネル30からの視標像は、ハーフミラー23aで反射され、凹面ハーフミラー21aに向い、そこで反射されて、再びハーフミラー23aに至り、これを通過して、被検眼6に至る。但し、検眼レンズ取付部28に検眼レンズ29が取り付けられている際には、ハーフミラー23aを通過した視標像は、検眼レンズ29を通過した後に被検眼6に至る。外景像は、液晶シャッタ26の非遮光領、凹面ハーフミラー21a、ハーフミラー23aを通って、さらに、検眼レンズ29が装着されている場合には検眼レンズ29を通って、被検眼6に至る。この実施形態においても、液晶シャッタ26の領域のうち、視標像の領域に相当する領域のみ遮光され、この領域内の外景像は被検眼6に至らないので、被検者5は、明確な視標像の周りに、外景像が見る。
【0076】したがって、この実施形態においても、第1の実施形態と同様に、被検者に視標像を見せているので、液晶パネル30と被検眼6との間隔を短くすることができると共に、機械近視の影響を受けることがないので、ハーフミラー23aと被検眼6との間隔を近づけることができる。このため、装置内の全光路長を短くすることができると共に、ハーフミラー23a、凹面ハーフミラー21a、液晶パネル30等を小さくすることができ、装置全体の小型化を図ることもできる。
【0077】また、前述したように、この実施形態における光学系以外の基本構成は、第1の実施形態と同じなので、この実施形態においても、眼位検査、動体視力検査、深径覚検査、視野検査、色覚検査等を行うことができる。
【0078】次に、本発明に係る第3の実施形態としての視機能検査装置について、図14を用いて説明する。
【0079】この実施形態における視機能検査装置も、以上の実施形態と同様に、ヘッドマウント型で、被検者5の頭部に装着される装置本体10bと、検者からの指示を無線で装置本体10bに伝える操作盤40とを備えている。この実施形態における視機能検査装置は、さらに、検査室内の壁等に固定されて位置信号を出力する位置信号発信器18も備えている。装置本体10bは、第1の実施形態と同様に、液晶パネル30と表示制御回路31とパネル移動機構32とハーフミラー23bと液晶シャッタ26とシャッタ駆動回路33と操作信号受送信器15とを備えている。また、この実施形態の装置本体10bは、位置信号発信器18からの位置信号を受信する位置信号受信器17と、第1の実施形態における凸レンズ21の換わりに、同じ収束光学素子の一種である凹面鏡21bと、を備えている。
【0080】凹面鏡21bの光軸上には、凹面鏡側から順に、ハーフミラー23b、液晶パネル30が配置されている。凹面鏡21bの光軸に対して垂直な方向で、ハーフミラー23bを中心として被検眼6と反対側には、液晶シャッタ26が配置されている。この実施形態において、外景像光学系25bは、液晶シャッタ26とハーフミラー23bとを有して構成され、外景像光路を形成している。また、視標像光学系20bは、ハーフミラー23bと凹面鏡21bとを有して構成され、視標像光路を形成している。
【0081】以上の構成により、液晶パネル30からの視標像は、ハーフミラー23bを通って、凹面鏡21bで反射され、再びハーフミラー23bに至り、そこで、被検眼6の方向に向けられる。外景像は、液晶シャッタ26の非遮光領域及びハーフミラー23bを通って被検眼6に至る。この実施形態においても、液晶シャッタ26の領域のうち、視標像の領域に相当する領域のみ遮光され、この領域内の外景像は被検眼6に至らないので、被検者5は、明確な視標像の周りに、外景像が見る。
【0082】したがって、この実施形態においても、第1の実施形態と同様に、被検者に視標虚像を見せているので、液晶パネル30と被検眼6との間隔を短くすることができると共に、機械近視の影響を受けることがないので、ハーフミラー23bと被検眼6との間隔を近づけることができる。このため、装置内の全光路長を短くすることができると共に、ハーフミラー23b、凹面鏡21b、液晶パネル30等を小さくすることができ、装置全体の小型化を図ることもできる。
【0083】また、この実施形態では、検査室内の壁等に固定されている位置信号発信器18からの位置信号を位置信号受信器が受信したときに、液晶パネル30に視標が表示され、この視標像が被検眼6に至ると共に、液晶シャッタ26の領域のうち視標像の領域に相当する領域のみ遮光され、被検者5は、視標像の周りに外景像を見ることになる。また、検査室内の壁等に固定されている位置信号発信器18からの位置信号を位置信号受信器が受信できないときは、液晶パネル30が消灯されると共に、液晶シャッタ26が全開放状態になり、被検者5は、外景像のみを見ることになる。すなわち、この実施形態では、位置信号発信器18が取り付けられている壁等の方向を被検者5が見ているときに、被検者5は、視標像と共にこの周り外景像が見え、被検者5が検者に呼ばれるなどして頭の向きを変えると、被検者5は、外景像のみが見える。このため、被検者5は特定の外景像のときのみ視標像を見ることになるので、以上の実施形態と同様に、安定した検査を行うことができると共に、被検者5は装置本体10を頭部に装着した状態であっても、検査していないときには外景像のみが見えるため、検者の方向を向いて話すときなど、検者を見ながら話すことができ、被検者5に安心感を与えることができる上に行動の自由度も高めることができる。
【0084】なお、この実施形態において、頭部位置検出手段は、位置検出信号発信器18と位置検出信号受信器17とを有して構成されている。
【0085】次に、本発明に係る第4の実施形態としての視機能検査装置について、図15を用いて説明する。
【0086】この実施形態における視機能検査装置は、以上の実施形態とは異なり、机上等への設置型であり、机上等の上に設置される装置本体10cと、操作盤40cとを備えている。
【0087】装置本体10cは、第1の実施形態と同様に、液晶パネル30と表示制御回路31とパネル移動機構32と液晶シャッタ26とシャッタ駆動回路33と主制御回路13とを備えている。また、この実施形態では、液晶パネル30と向い合う位置に配置されている凹面鏡(収束光学素子)21cと、凹面鏡21cと液晶パネル30との間に配置されている第1のハーフミラー22cと、外景像を取り込んで被検者5の被検眼6に向わせると共に第1のハーフミラー22からの視標像を被検眼6に向わせる第2のハーフミラー23cと、被検者5の頭部の位置を固定するための額当て19b及び顎当て19aと、を備えている。
【0088】この実施形態において、外景像光学系25cは、液晶シャッタ26と第2のハーフミラー23cとを有して構成され、外景像光路を形成している。また、視標像光学系20は、第1のハーフミラー22cと凹面鏡21cと第2のハーフミラー23cとを有して構成され、視標像光路を形成している。
【0089】以上の構成により、液晶パネル30から視標像は、第1のハーフミラー22cを透過し、凹面鏡21cで反射され、再び、第1のハーフミラー22cに至り、そこで、反射して第2のハーフミラー23cに向い、この第2のハーフミラー23cで被検眼6の方向に向けられる。また、外景像は、液晶シャッタ26の非遮光領域及び第2のハーフミラー23cを経て、被検眼6に至る。この実施形態においても、液晶シャッタ26の領域のうち、視標像の領域に相当する領域のみ遮光され、この領域内の外景像は被検眼6に至らないので、被検者5は、明確な視標像の周りに、外景像が見る。
【0090】したがって、この実施形態においても、第1の実施形態と同様に、被検者に視標虚像を見せているので、液晶パネル30と被検眼6との間隔を短くすることができると共に、機械近視の影響を受けることがないので、第2のハーフミラー23cと被検眼6との間隔を近づけることができる。このため、装置内の全光路長を短くすることができると共に、各ハーフミラー22c,23c、凹面鏡21c、液晶パネル30等を小さくすることができ、装置全体の小型化を図ることもできる。
【0091】なお、この実施形態では、被検者5の額及び顎が、装置本体10の額当て19b及び顎当て19aに当てられた状態で検査することことになり、検査中、被検者5の頭部が移動しないので頭部位置検出手段を有していない。
【0092】また、この実施形態では、装置本体10cが机上等に置かれるものであるため、装置本体が第1〜第3の実施形態のように被検者5の頭部の移動に伴って移動することがないので、装置本体10cの移動性を考慮する必要があまりなく、装置本体10cと操作盤40cとは信号線で接続されている。
【0093】また、第1〜第3の実施形態は、いずれも、ヘッドマウント型であるが、この実施形態のように、机上等への設置型にしてもよい。この場合、前述したように、頭部位置検出手段は、不要になる。
【0094】
【発明の効果】本発明によれば、被検者に虚像としての視標像を見せているので、動画表示手段手段と被検眼との間隔を短くすることができるので、装置の小型化を図ることができる。また、視標の表示手段として動画表示手段を用いているので、眼位検査、深径覚検査、視野検査等を行うことができる。特に、動画表示手段としてカラー動画手段を有するものでは、色覚検査も行うことができる。さらに、視標像移動手段を有するものでは、動体視力検査も行うことができる。
【0095】また、外景像光学系を有するものでは、視標像の周りに外景像を被検者に見せることができるので、機械近視を防ぐことができ、装置の光学系と被検眼との間隔を近づけることができる。このため、装置内の全光路長を短くすることができると共に、装置内の各種光学系や視標表示手段を小さくすることができ、より、装置全体の小型化を図ることもできる。
【出願人】 【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
【出願日】 平成10年(1998)3月2日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】三品 岩男 (外1名)
【公開番号】 特開平11−244239
【公開日】 平成11年(1999)9月14日
【出願番号】 特願平10−49593