トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 内視鏡のアングルリング連結構造
【発明者】 【氏名】小林 理

【要約】 【課題】前後のアングルリングを、透孔を形成した連結部と、突起を形成した連結部とを重ね合わせて、突起を透孔に嵌合させることによって、アングル部を構成する複数のアングルリングを容易に連結することができ、かつ連結状態で高い強度を保持させる。

【解決手段】アングルリング30はリング部31の前後の両端から連結部32,32及び33,33を延在させることにより個数性され、内側の連結部33には外向きに突出する突起34が形成され、その先端側側面にテーパ状の切り欠き部34aが形成されており、外側に位置する連結部33には透孔35が形成されている。連結部32,33を相互に重ね合わせると、連結部33が連結部32に形成した突起34の切り欠き部34aのテーパ面に乗り上げて、この突起34が透孔35内に嵌入し、前後のアングルリング30,30は、スナップアクション作用により、突起34を中心として回動可能に連結される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内視鏡の挿入部におけるアングル部を構成するアングルリングを相互に枢動可能に連結したものにおいて、前記アングルリングには、前後にそれぞれ一対の平面形状で延在させた連結部を設けて、一方側の連結部には円形の透孔を形成し、他方の連結部には略円柱状の突起を形成して、前後のアングルリングを、前記透孔を設けた連結部と、前記突起を形成した連結部とを重ね合わせて、突起を透孔に嵌合することにより前後のアングルリングを枢動可能に連結する構成としたことを特徴とする内視鏡のアングルリング連結構造。
【請求項2】 前記突起には、その先端側の側面部にテーパ面を形成する構成としたことを特徴とする請求項1記載の内視鏡のアングルリング連結構造。
【請求項3】 前記透孔を形成した連結部には、その先端面に内向きに傾斜するテーパ面を形成する構成としたことを特徴とする請求項1記載の内視鏡のアングルリング連結構造。
【請求項4】 前記アングルリングはプラスチックで形成したものであることを特徴とする請求項1記載の内視鏡のアングルリング連結構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医療用等として用いられる内視鏡の挿入部のアングル部を構成するアングルリングの連結構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】医療用等として用いられる内視鏡は、概略図7に示したように構成される。同図から明らかなように、本体操作部1に体腔等の内部に挿入される挿入部2が連設され、また本体操作部1からは光源装置等に着脱可能に接続されるユニバーサルコード3が延在されている。
【0003】挿入部2は、本体操作部1への連設側から大半の長さ部分は軟性部2aで、この軟性部2aの先端にはアングル部2bが、さらにこのアングル部2bの先端には先端硬質部2cが連設されている。先端硬質部2cには少なくとも照明部及び観察部が設けられており、アングル部2bはこの先端硬質部2cを所望の方向に向けるためのものであって、本体操作部1にはアングルノブ4が設けられており、このアングルノブ4を操作することによって、アングル部2bを湾曲操作できるようになっている。このアングル部2bの湾曲方向としては、上下方向にのみ湾曲できるように構成したものと、上下及び左右に湾曲できるようにしたものとがある。
【0004】アングル部2bの構成としては、図8に示したように、幅の短い円筒形状をしたアングルリング10を有し、このアングルリング10にはその前後の端部からそれぞれ一対の連結部11,11と12,12とが延在されている。そして、同じ側から延在させた一対の連結部は円周方向に180°位相を変えた位置に形成されている。ここで、アングル部2bを上下方向にのみ湾曲させる構成とした場合には、一方側から延在させた連結部11,11と他方側から延在させた連結部12,12とは円周方向において同じ位置となるが、アングル部2bを上下及び左右に湾曲できるようにするには、連結部11,11と連結部12,12とは90°位相を変えた位置に形成される。図8には各一対の連結部11,12は円周方向の同じ位置から延在させ、上下方向にのみ湾曲させるように構成したものを示す。
【0005】アングルリング10は曲面形状となっているが、図9に示したように、このアングルリング10から延在させた両連結部11,12は平面形状となっており、これら各連結部11,12にはそれぞれ透孔11a,12aが穿設されている。そして、一方側の連結部11,11の間隔は、他方側の連結部12,12の間隔よりこの連結部12の幅分だけ狭くなっている。従って、前後のアングルリング10を、その一方側の連結部11,11を相手方のアングルリング10の連結部12,12と対向させて、連結部11,11を相手方の連結部12,12間に進入させ、連結部11と連結部12とを重ね合わせて、両透孔11a,12aを一致させる。この状態で、両透孔11a,12aに枢支ピン13を挿入して、この枢支ピン13の端部をかしめることにより前後のアングルリング10,10が、枢支ピン13を中心として相互に回動可能な状態に連結される。
【0006】アングル部2bは、前述したアングルリング10を所定数だけ順次連結することにより必要な長さを持たせるように組み付けられる。そして、図8に示したように、このアングルリング10の連結体にはネット14が被着されており、さらにこのネット14の外側に外皮層15を積層することによりアングル部2bが形成される。そして、両端のアングルリングを、ぞれぞれ軟性部2a及び先端硬質部2cに連結することによって、挿入部2が構成される。このようにして形成した挿入部2の内部にはライトガイド等からなる光学繊維束やケーブル、さらには処置具挿通チャンネル、送気送水管等が挿通される。
【0007】アングル部は以上のようにして形成されるが、多数のアングルリングを連結する際には、枢支ピンを前後のアングルリングの連結部における透孔に挿通させた後にかしめる必要がある。このように、枢支ピンを用いると、部品点数が多くなるだけでなく、枢支ピンは両連結リングの連結部に挿通させた後にかしめる必要があり、このかしめは衝撃的な加圧を伴うことから、アングルリングを変形させるおそれがあり、またかしめ力が弱いと枢支ピンが脱落してしまう可能性もあることから、アングル部を組み立てる作業は著しく面倒であり、また熟練を要するものとなっていた。
【0008】以上の点に鑑みて、枢支ピンを用いずにアングルリングを連結するように構成したものが、例えば特開平9−299317号公報に開示されている。この公知のアングルリングの連結構造は、図10に示したように、アングルリング20に形成した連結部21,22のうちの一方の連結部21には円柱形状の突起23を設け、他方の連結部22にはこの突起23が挿入されるL字状の溝24を形成するようにしたもので構成される。そして、溝24の幅は突起23の外径寸法より僅かに狭くなっており、この溝24の端部には突起23の外径と一致する形状となるように開口したストッパ部24aが設けられている。このように構成することによって、突起23を溝24に嵌入させて、所定の角度回動させることによって突起23をストッパ部24aに位置させるだけで前後のアングルリング20が枢動可能に連結されるようになる。
【0009】アングル部を湾曲させるために操作ワイヤが用いられる。操作ワイヤは、アングル部を上下方向にのみ湾曲させるように構成した場合には上下一対、また上下及び左右に湾曲させる構成とした場合には、上下及び左右に各一対の4本の操作ワイヤが挿通される。操作ワイヤは、アングル部の内部では、軸線方向にのみ移動可能とするために、アングルリングまたは前後のアングルリングを連結する部材に挿通させており、軟性部内では密着コイル内に挿通させるように構成する。そして、操作ワイヤは本体操作部内に延在させて、この本体操作部に設けたアングル操作ノブにより押し引き操作される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、操作ワイヤの押し引きによりアングル部を湾曲操作を行う際には、前後のアングルリング間に引っ張り方向及び圧縮方向に大きな力が繰り返し作用することになる。しかも、観察視野を広くするために、アングル部は180°乃至それ以上の角度で湾曲するように構成したものもある。このように、アングル部を大きく湾曲させると、前後のアングルリングを引き離す方向及び相互に圧迫する方向に大きな力が作用する。前後のアングルリングは溝と突起とで連結されており、溝はL字状となり、かつ端部にストッパ部が形成されていることから、この部位に応力が集中して、亀裂が生じたり、損傷が生じる等といった問題点がある。
【0011】本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、前後のアングルリングを容易に連結することができ、かつ連結状態で高い強度を保持する構成としたアングルリング連結構造を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成するために、本発明は、内視鏡の挿入部におけるアングル部を構成するアングルリングを相互に枢動可能に連結したものであって、前記アングルリングには、前後にそれぞれ一対の平面形状で延在させた連結部を設けて、一方側の連結部には円形の透孔を形成し、他方の連結部には略円柱状の突起を形成して、前後のアングルリングを、前記透孔を設けた連結部と、前記突起を形成した連結部とを重ね合わせて、突起を透孔に嵌合することにより前後のアングルリングを枢動可能に連結する構成としたことをその特徴とするものである。
【0013】ここで、突起と透孔との連結を容易にするためには、突起の外周面における先端側にテーパ面を形成するか、または透孔を形成した側の連結部の先端部に内向きに傾斜するテーパ面を形成すれば良い。そして、透孔を形成した連結部を反らせるように変形させた状態で突起に係合させることから、アングルリングの材質としては変形に対する復元性が良好なプラスチックで形成するのが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。まず、図1にアングルリングの連結状態の構成を、また図2及び図3にアングルリングの形状を、図4には突起の外観形状を、さらに図5に前後のアングルリング相互間の連結方法をそれぞれ示す。さらにまた、図6には他の実施の形態を示す。なお、以下の説明においては、アングル部を上下及び左右に湾曲できるように構成したものについて説明するが、連結部の張り出し方向を図8と同じ方向とすることにより、上下方向にのみ湾曲する形状とすることもできるのは言うまでもない。
【0015】図1乃至図3において、30はアングルリングを示し、アングルリング30は幅の狭い円環状の部材からなるリング部31を有し、このリング部31の前後の両端からそれぞれ一対からなる連結部32,32及び33,33が延在されており、これら各連結部32,33の先端部は円弧形状となっている。そして、連結部32と32及び連結部33と33はそれぞれ円周方向に180°の位置関係に配置されており、連結部32と連結部33とでは90°位相がずれている。また、これら連結部32,33は平面形状のものであり、一方側の連結部32,32間の間隔は、他方の連結部33,33間の間隔より連結部33の2枚の厚み分だけ広くなっている。従って、前後のアングルリング30,30を連結した時には、一方側の連結部32と他方側の連結部33とが、連結部33を外側にして相互に接合される状態になる。
【0016】ここで、リング部31は円筒形となっており、連結部32,33は平面形状となっていることから、リング部31の外径より連結部32,33の外表面の方が内側に位置するように構成している。従って、これら連結部32,33からリング部31への移行部には、段差32a,33aが形成される。そして、連結部32,33は相対回動することになるので、段差32a,33aは連結部32,33の先端の円弧形状とほぼ同じか、それより僅かに曲率半径の大きな円弧形状としている。
【0017】前後のアングルリング30,30を連結させた状態で、内側に位置する連結部33には外向きに突出する突起34が形成されており、また外側に位置する連結部33には透孔35が形成されている。そして、突起34の外径は透孔35の開口径とほぼ同じか、それより僅かに小さいものとなっている。また、突起34の高さは、好ましくは連結部33の肉厚とほぼ同じ程度とする。ただし、段差33aの高さ分以下であれば、連結部33の外表面から多少突出しても良く、また連結部33の肉厚寸法分より多少低くすることができる。従って、前後のアングルリング30,30を枢動可能に連結する際には、連結部32に設けた突起34を連結部33に形成した透孔35内に嵌合させるようにする。ここで、連結部32に設けた突起34は円柱形状となっているが、図4に示したように、完全な円柱ではなく、その側面における先端側、即ちアングルリング30からの延在方向の前方側にはテーパ状の切り欠き部34aが形成されている。
【0018】さらに、アングルリング30におけるリング部31の内面には、それぞれ2箇所、円周方向において、連結部32が延在されている部位と同じ位置か、または連結部33が延在されている部位と同じ位置かのいずれかに操作ワイヤ(図示せず)を挿通させるワイヤ挿通部36が形成されいる。このワイヤ挿通部36は、リング部331の内周側の一部に軸線方向に向けての突条を形成して、この突出部に貫通孔を形成したものである。
【0019】次に、図5に基づいて、前後のアングルリング30,30間の連結方法について説明する。まず、同図(a)で示したように、前方のアングルリング30Fに対して、後方のアングルリング30Rを90°回転させて、前方のアングルリング30Fのリング部31から延在させた連結部32と、後方のアングルリング30Rのリング部31から延在させた連結部33とを対向配置させる。この状態で、同図(b)に示したように、連結部32と連結部33とを接合させるようにする。そうすると、連結部33の先端が連結部32に形成した突起34に突き当たるが、この突起34のうちの切り欠き部34aに当接することから、連結部33はこの切り欠き部34aのテーパ面に乗り上げることにより外向きに反る方向に変形し、また連結部32は内向きに変形する。そして、突起34が連結部33の透孔35の位置に対応する位置になると、同図(c)に示したように、透孔35内に嵌入することになって、連結部32,33の反りが解消されて、連結部32,33が当接する状態に復元する。これによって、前後のアングルリング30,30はスナップアクション作用により連結されることになる。以上のようにしてアングルリング30を順次所要数連結することによって、所定の長さを有するアングル部の構造体が形成される。
【0020】以上のようにしてアングルリング30が順次連結されていくが、この連結はスナップアクション作用によることから、枢支ピン等といった他の部品を用いる必要はなく、またかしめを行う必要もないことから、連結作業を容易に、しかも円滑に行うことができ、さらに連結時にアングルリング30を変形させる等のおそれはない。
【0021】このように、連結部32,33が一度反るように変形することから、アングルリング30の材質としては、確実に元の状態に復元するように、復元力が良好な部材で形成する必要がある。また、アングルリング30はアングル部の構造体として機能するものであるから、リング部31を圧縮させる方向に対する強度を高くする必要がある。以上のことから、アングルリング30を構成する部材としては、例えばポリカーボネートというように、高強度であり、しかも変形に対する復元力が良好なプラスチック材で形成するのが好ましい。特に、連結部32側には突起34が形成され、またリング部31の内面にはワイヤ挿通部36が形成されているが、これらは一体的に成形するのが好ましく、従って前述したプラスチック材を用いることによって、成形手段によりアングルリング30をこれら突起34及びワイヤ挿通部36と共に一体成形することができる。
【0022】前述したように、アングルリング30を所要数だけ連結することによって、アングル部の構造体が形成されるが、その外周には、さらにネット及び外皮層が被装される。このようにして形成したアングル部は、その基端側が軟性部に、また先端側は先端硬質部に連結されて、挿入部が形成される。
【0023】挿入部におけるアングル部を湾曲操作した時には、アングルリング30,30間の連結部に大きな力が作用することになる。この湾曲操作時に作用する力は、突起34と透孔35との連結部に作用することになるが、突起34は透孔35内に挿嵌されており、突起34にどの方向の力が加わっても、透孔35には応力が集中する箇所がないので、連結強度は極めて高く亀裂等が発生するおそれはない。また、突起34は透孔35に対して所定の嵌合深さをもって嵌合しているので、前後のアングルリング30,30を引き離す方向に外力が作用しても、その間が分離するおそれはない。ただし、連結部33が突起34に円滑に乗り越えるようにするために、切り欠き部34aが形成されているから、前後のアングルリング30,30が相互に圧迫する方向の外力が作用すると、透孔35の内壁が切り欠き34aを乗り越える可能性がある。しかしながら、リング部31からの連結部33の延在部には円弧状の段差33aが形成されているので、連結部32の先端部が段差33aに押し付けられることから、透孔35の突起34における切り欠き34aへの乗り上げも確実に防止できることになる。従って、スナップアクション作用により前後のアングルリング30,30を連結させているにも拘らず、連結後には極めて安定することになり、外力の作用でみだりに分離するおそれはない。
【0024】なお、前述した実施の形態においては、連結部33の突起34への乗り上げを可能にするために、突起34に切り欠き34aを形成する構成としたが、図6に示したように、連結部32′に設けた突起34′を完全な円柱形状となし、連結部33′における先端部の内面にテーパ面33a′を形成するようにしても、同様に、連結部33′の突起34′への乗り上げを容易に行えるようになる。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、前後のアングルリングを、透孔を形成した連結部と、突起を形成した連結部とを重ね合わせて、突起を透孔に嵌合することにより枢動可能に連結する構成としたので、アングル部を構成する複数のアングルリングを容易に連結することができ、かつ連結状態で高い強度を保持させることができる等の効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000005430
【氏名又は名称】富士写真光機株式会社
【出願日】 平成10年(1998)2月27日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】影井 俊次
【公開番号】 特開平11−244224
【公開日】 平成11年(1999)9月14日
【出願番号】 特願平10−62035