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【発明の名称】 MRI内視鏡及びMRI用RFコイル
【発明者】 【氏名】森 一生

【要約】 【課題】適切な感度領域を有するRFコイルを被検体内に安全に挿入し、高画質の被検体内MRI画像を得る。

【解決手段】先端部16及び順次これに連なる湾曲部17、可撓部18よりなり被検体内に導入可能な挿入部11を有する内視鏡本体3と、湾曲部17の少なくとも一部に内設されたMRI画像を得るための可撓性RFコイル2と、を備えたことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 先端部と順次これに連なる湾曲部及び可撓部よりなり被検体内に導入可能な挿入部を有する内視鏡本体と、前記湾曲部の少なくとも一部に内設されたMRI画像を得るための可撓性RFコイルと、を備えたことを特徴とするMRI内視鏡。
【請求項2】 先端部と順次これに連なる湾曲部及び可撓部よりなり被検体内に導入可能な挿入部を有する内視鏡本体と、前記湾曲部の内部または近傍に設けられたMRI画像を得るための可撓性RFコイルと、前記湾曲部の断面形状を保持するように互いに連結されて該湾曲部に内設され、少なくとも一部分は絶縁体から構成された複数の関節駒と、を備えたことを特徴とするMRI内視鏡。
【請求項3】 前記湾曲部の最外部に膨脹可能手段を備え、該膨脹可能手段の内側に前記可撓性RFコイルが設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のMRI内視鏡。
【請求項4】 前記可撓性RFコイルの少なくとも一部は、フレキシブルプリント基板により形成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のMRI内視鏡。
【請求項5】 前記可撓性RFコイルの少なくとも一部の部材の厚さは、使用周波数における表皮厚さの10倍程度以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のMRI内視鏡。
【請求項6】 前記可撓性RFコイルの少なくとも一部は、結束または編組された良導体の細径の素線により形成されたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のMRI内視鏡。
【請求項7】 前記可撓性RFコイルの長手方向に用いられる少なくとも一部の部材の幅は、前記湾曲部の直径の3分の1程度以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のMRI内視鏡。
【請求項8】 前記可撓性RFコイルは、略平板状に形成され、前記湾曲部の湾曲の軸が該可撓性RFコイルと略平行であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のMRI内視鏡。
【請求項9】 前記可撓性RFコイルは、被検体内への導入方向に位置する一端が湾曲部に固着され、他端が固着されず滑動可能であることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のMRI内視鏡。
【請求項10】 被検体内に導入可能な挿入部と、該挿入部の前部に設けられた上下及びまたは左右に湾曲可能な湾曲部と、該湾曲部の内部または近傍に設けられたMRI画像を得るための可撓性RFコイルと、を備えたことを特徴とするMRI用RFコイル。
【請求項11】 被検体内に導入可能な挿入部と、該挿入部の前部に設けられた上下及びまたは左右に湾曲可能な湾曲部と、該湾曲部の内部または近傍に設けられたMRI画像を得るための可撓性RFコイルと、前記湾曲部の断面形状を保持するように互いに連結されて該湾曲部に内設され、少なくとも一部分は絶縁体から構成された複数の関節駒と、を備えたことを特徴とするMRI用RFコイル。
【請求項12】 前記湾曲部の最外部に膨脹可能手段を備え、該膨脹可能手段の内側に前記可撓性RFコイルが設けられたことを特徴とする請求項10または請求項11記載のMRI用RFコイル。
【請求項13】 前記可撓性RFコイルの少なくとも一部は、フレキシブルプリント基板により形成されたことを特徴とする請求項10ないし請求項12のいずれかに記載のMRI用RFコイル。
【請求項14】 前記可撓性RFコイルの少なくとも一部の部材の厚さは、使用周波数における表皮厚さの10倍程度以下であることを特徴とする請求項10ないし請求項13のいずれかに記載のMRI用RFコイル。
【請求項15】 前記可撓性RFコイルの少なくとも一部は、結束または編組された良導体の細径の素線により形成されたことを特徴とする請求項10ないし請求項13のいずれかに記載のMRI用RFコイル。
【請求項16】 前記可撓性RFコイルの長手方向に用いられる少なくとも一部の部材の幅は、前記湾曲部の直径の3分の1程度以下であることを特徴とする請求項10ないし請求項15のいずれかに記載のMRI用RFコイル。
【請求項17】 前記可撓性RFコイルは、略平板状に形成され、前記湾曲部の湾曲の軸が該可撓性RFコイルと略平行であることを特徴とする請求項10ないし請求項16のいずれかに記載のMRI用RFコイル。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、核磁気共鳴による画像情報を得るための感度分布の高い核磁気共鳴検出プローブを容易に被検体内に導入でき、かつ信号雑音比の高い画像を得る手段を備えたMRI内視鏡及びMRI用RFコイルに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、被検体の体腔部に存在する表皮癌等の検出診断には、核磁気共鳴映像装置の磁場中に置いた被検体に、先端部あるいは湾曲部にRFコイルを設けた内視鏡を挿入し、RFコイルより核磁気共鳴信号を検出して核磁気共鳴映像を作成していた。
【0003】この分野の第1の従来例としては、特開昭63−270038号公報記載の内視鏡が知られている。これによれば、RFコイルは内視鏡挿入部先端部のフード部分に設けられている。また、第2の従来例として、特開平2−200244号公報記載の磁気共鳴画像撮影装置用体腔内コイルが知られている。
【0004】さらに、第3の従来例として、特開平6−7320号公報記載のMR内視鏡装置が知られている。これにおいては、RFコイル(前記公報の中では核磁気共鳴用アンテナまたは高周波アンテナと記載されている)を装備したバルーンを体腔内で膨脹させる。そして、バルーン膨脹状態の一定でないことに伴って発生するRFコイルのマッチング状態の変化を回避するために、バルーン膨脹途中でのRFコイルのマッチング状態を観察し、所定のマッチング状態となったところでバルーン膨脹を停止させている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記第1の従来例の構造では、以下に説明する第1ないし第3の問題点があった。
第1の問題点:MRI画像による病変診断の際には、例えば悪性腫瘍の浸潤の広がり度合いを観察するなど、ある程度広い感度領域が必要である。しかしながら第1の従来例の構造では、内視鏡挿入方向に短いフード部分にRFコイルが設けられているため、RFコイルは自ずと挿入方向に対して短いものとなり、これはRFコイルの感度分布もその方向に自ずと短いことを意味する。従って、その感度領域の大きさが不十分であり、上記病変診断に効果的な画像が得られない。
【0006】第2の問題点:また、この第1の従来例では、(これに限らず多くの他の公知例でも)RFコイル近傍にバリアブルコンデンサによるインピーダンス整合回路が設けられている。しかしながら、被検体性状や被検体とRFコイルとの位置関係により変化するRFコイルのインピーダンスを所定のインピーダンスに変換するためにどのようにバリアブルコンデンサを制御するか述べられていない。具体的にはおそらくバラクタダイオードに印加するバイアス電圧により可変容量を制御するのであろうが、これは、バイアス電圧供給線をそれでなくても混んだ内視鏡挿入部に実装しなければならない。
【0007】第3の問題点:また、この第1の従来例では(これに限らず多くの他の公知例でも)、インピーダンス変換回路の出力が内視鏡挿入部の外部にある前置増幅器(本従来例では明示されていない)に届くまでに数メートルの伝送線を通らねばならず、この伝送線で1〜2dBの信号減衰を起こし、これは得られるMRI画像の信号雑音比が低下することを意味する。特に挿入部内に用いる伝送線は可撓性に優れた細い同軸ケーブルとなるであろうが、このような同軸ケーブルは信号減衰が著しいのは周知である。さらに、インピーダンス変換回路によってもRFコイルと伝送線とのインピーダンス整合が十分正確にはとれないことがしばしばであるが、そのような場合は定在波損失によって、さらに伝送線路内での信号減衰が増大し、得られるMRI画像の品質を低下させる。
【0008】また上記第2の従来例においては、RFコイルは、挿入方向に沿って長いRFコイルとなっており、第1の従来例などにおける感度領域が狭いという第1の問題点は回避できる。しかし、前記第3の問題点が未解決であるばかりでなく、下記の第4ないし第6の問題点がある。
【0009】第4の問題点:RFコイルは、可撓性に対する考慮がなされておらず、その部分は屈曲できず、屈曲の著しい体内に挿入するのに困難が発生する。
第5の問題点:内視鏡構造を伴っていないので、被検体内を目視しながらRFコイルを導入していくことが出来ず、目標病変部近傍にRFコイルを位置させることが困難であり、さらに導入過程で被検体に損傷を与える危険もある。
【0010】第6の問題点:送信信号阻止回路として、ダイオードとソレノイドコイルからなる並列共振回路を開示しているが、このようなパッシブトラップ(我々はこのような回路形式をパッシブトラップと呼んでいる)では、磁場強度の高い即ちラーモア周波数の高い(例えば1.5テスラでのプロトンは63.9MHz)場合は回路損失が大きく、得られる信号雑音比が著しく低下することを我々は経験上知っている。
【0011】また第3の従来例においては、第1の従来例のような、RFコイルの感度領域が著しく短いという第1の問題点は解決される。しかし、下記に示す第7ないし第10の問題点がある。
第7の問題点:バルーン膨脹状態は、マッチング最適となった状態が実使用に際して最適とは限らない。バルーンが十分膨脹して被検体に押し当てられるまでになれば、被検体が体動によって動くことを阻止でき安定なMRI画像が得られるが、被検体が遠ければこのような膨脹状態になる前に、マッチング状態最適となってしまう。また、被検体が近過ぎれば、マッチング状態最適とする程度にバルーンを膨脹せしめると、バルーンが被検部を過度に抑圧し、正常な血行状態などが保たれていない異常な生理状態で被検部を観察することになる。
【0012】第8の問題点:開示されている内容によればマッチング回路は挿入部の外側にある。この状態では、RFコイルからマッチング回路までの伝送線は、伝送線固有の特性インピーダンスから大きく逸脱した信号源インピーダンスで駆動されることになり、大幅な信号損失は免れない。
【0013】第9の問題点:バルーンとともに膨脹収縮あるいは折り曲げ自在の導体でRFコイルは形成されている。RFコイルに用いる導体は導電率が著しく高い例えば銅のような良導体でなければ、抵抗損失による雑音が著しく、高い信号雑音比のMRI画像は得られない。一般にRFコイルに用いられる導体は銅であるが、銅線あるいは銅板と本従来例に用いれば、バルーンの膨脹収縮に伴い、金属疲労で破断するであろう。あるいは、折り曲げ性の良い何らかの導体を用いてもそれは導電率が不十分であり抵抗損失による信号雑音比の低下を生じるであろう。
【0014】第10の問題点:膨脹させて使用するRFコイルであるから、その面積はかなり大きなものであり、外部の送信RFコイルから送信される高周波磁場によってRFコイルに誘起される誘導起電力は大きなものとなる。この誘導起電力によりRFコイルに電流が流れると、その電流が作る高周波磁場が、もとの送信された高周波磁場を乱す。従ってこのままでは送信高周波磁場が不均一となり、正しいMRI画像が得られない。従って第2の従来例で開示されている送信信号抑圧手段が必要となる。しかし、勿論第2の従来例で開示されている方法では第6の問題点として指摘した問題は残る。
【0015】なお、第2の従来例で使用している逆接続されたダイオードの代わりに、PINダイオードを使用し、外部RFコイルから高周波磁場を送信するときに該PINダイオードに順方向直流電流を流すことで、低損失の並列共振回路を形成し、この高インピーダンスでRFコイルに流れる誘導電流を最少にでき、かつMR信号の回路損失も小さくできる。
【0016】しかし、該PINダイオードへ電流を供給するバイアスラインにMR信号が漏れることが無いように、該PINダイオードのすぐそば、即ちRFコイルのすぐそばでバイアスライン上に直流は通すが高周波は通さない回路を挿入する必要がある。一方、バルーン部を細く柔軟にするには、バルーン部近傍の回路は最少にすべきであり、PINダイオードによる方法は、この点不利であり、これも最適ではない。さらに、挿入部に挿通するコントロールラインも増えるので、挿入部を細くしにくくなる点でも不利である。
【0017】本発明は上記の問題点に鑑みて成されたもので、その第1の課題は、適切な感度領域を有するRFコイルを屈曲部を伴う被検体に安全に挿入することである。
【0018】また本発明の第2の課題は、RFコイルから前置増幅器までの信号減衰を最少にするとともに、外部から送信される高周波磁場によってRFコイル内に誘導される電流を最小に抑制して、高い画質の被検体内MRI画像を得ることである。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明は次の構成を有する。すなわち、請求項1記載のMRI内視鏡は、先端部と順次これに連なる湾曲部及び可撓部よりなり被検体内に導入可能な挿入部を有する内視鏡本体と、前記湾曲部の少なくとも一部に内設されたMRI画像を得るための可撓性RFコイルと、を備えたことを要旨とする。
【0020】請求項1記載のMRI内視鏡は、湾曲部の少なくとも一部に内設されたRFコイルが可撓性を有するため、挿入部を被検体内部へ導入する際に湾曲部を被検体の体腔部の屈曲状況に合わせて湾曲させることができ、安全に被検体内部へ導入することができる。
【0021】また請求項2記載のMRI内視鏡は、先端部と順次これに連なる湾曲部及び可撓部よりなり被検体内に導入可能な挿入部を有する内視鏡本体と、前記湾曲部の内部または近傍に設けられたMRI画像を得るための可撓性RFコイルと、前記湾曲部の断面形状を保持するように互いに連結されて該湾曲部に内設され、少なくとも一部分は絶縁体から構成された複数の関節駒と、を備えたことを要旨とする。
【0022】請求項2記載のMRI内視鏡は、関節駒の少なくとも一部分が絶縁体から構成されているので、湾曲状態の変化による関節駒が可撓性RFコイルに及ぼす影響を避けることができる。
【0023】また請求項3記載のMRI内視鏡は、請求項1または請求項2において、前記湾曲部の最外部に膨脹可能手段を備え、該膨脹可能手段の内側に前記可撓性RFコイルが設けられたことを要旨とする。
【0024】この膨脹可能手段は、例えばゴム等の弾性に富む材料で構成され、内視鏡制御部から空気などの気体または水等の液体を送り込むことにより膨脹させて、可撓性RFコイルがMRI画像を得るための信号を受信する際に、被検体内部でコイルの位置を固定することができる。
【0025】また請求項4記載のMRI内視鏡は、請求項1ないし請求項3のいずれかにおいて、前記可撓性RFコイルの少なくとも一部は、フレキシブルプリント基板により形成されたことを要旨とする。
【0026】また請求項5記載のMRI内視鏡は、請求項1ないし請求項4のいずれかにおいて、前記可撓性RFコイルの少なくとも一部の部材の厚さは、使用周波数における表皮厚さの10倍程度以下であることを要旨とする。
【0027】また請求項6記載のMRI内視鏡は、請求項1ないし請求項3のいずれかにおいて、前記可撓性RFコイルの少なくとも一部は、結束または編組された良導体の細径の素線により形成されたことを要旨とする。
【0028】また請求項7記載のMRI内視鏡は、請求項1ないし請求項6のいずれかにおいて、前記可撓性RFコイルの長手方向に用いられる少なくとも一部の部材の幅は、前記湾曲部の直径の3分の1程度以下であることを要旨とする。
【0029】また請求項8記載のMRI内視鏡は、請求項1ないし請求項7のいずれかにおいて、前記可撓性RFコイルは、略平板状に形成され、前記湾曲部の湾曲の軸が該可撓性RFコイルと略平行であることを要旨とする。
【0030】また請求項9記載のMRI内視鏡は、請求項1ないし請求項8のいずれかにおいて、前記可撓性RFコイルは、被検体内への導入方向に位置する一端が湾曲部に固着され、他端が固着されず滑動可能であることを要旨とする。
【0031】また請求項10記載のMRI用RFコイルは、被検体内に導入可能な湾曲部及びこれに連なる可撓部と、前記湾曲部の少なくとも一部に内設されたMRI画像を得るための可撓性RFコイルと、を備えたことを要旨とする。
【0032】また請求項11記載のMRI用RFコイルは、被検体内に導入可能な湾曲部及びこれに連なる可撓部と、前記湾曲部の内部または近傍に設けられたMRI画像を得るための可撓性RFコイルと、前記湾曲部の断面形状を保持するように互いに連結されて該湾曲部に内設され、少なくとも一部分は絶縁体から構成された複数の関節駒と、を備えたことを要旨とする。
【0033】また請求項12記載のMRI用RFコイルは、請求項10または請求項11において、前記湾曲部の最外部に膨脹可能手段を備え、該膨脹可能手段の内側に前記可撓性RFコイルが設けられたことを要旨とする。
【0034】また請求項13記載のMRI用RFコイルは、請求項10または請求項11において、前記可撓性RFコイルの少なくとも一部は、フレキシブルプリント基板により形成されたことを要旨とする。
【0035】また請求項14記載のMRI用RFコイルは、請求項10または請求項11において、前記可撓性RFコイルの少なくとも一部は、結束または編組された良導体の細径の素線により形成されたことを要旨とする。
【0036】また請求項15記載のMRI用RFコイルは、請求項10または請求項11において、前記可撓性RFコイルの少なくとも一部の部材の厚さは、使用周波数における表皮厚さの10倍程度以下であることを要旨とする。
【0037】また請求項16記載のMRI用RFコイルは、請求項10または請求項11において、前記可撓性RFコイルの長手方向に用いられる少なくとも一部の部材の幅は、前記湾曲部の直径の3分の1程度以下であることを要旨とする。
【0038】また請求項16記載のMRI用RFコイルは、請求項10または請求項11において、前記可撓性RFコイルは、略平板状に形成され、前記湾曲部の湾曲の軸が該可撓性RFコイルと略平行であることを要旨とする。
【0039】
【発明の実施の形態】次に、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1ないし図6、図10、図14及び図15は、本発明に係る第1の実施の形態であるMRI内視鏡を示すもので、図1はMRI内視鏡装置の全体構成図、図2はMRI内視鏡の挿入部の先端側の湾曲部の構成を示す説明図、図3は湾曲チューブを膨脹させない通常の状態を示す説明図、図4は制御装置の構成を示すブロック図、図5は切換弁の設定状態を示す断面図、図6は、RFコイルの形状を示す斜視図、図10は可撓部に内蔵される回路部の構成を示す回路図、図12はチューニング回路の構成を示す回路図、図14は湾曲部の湾曲状態を示す説明図、図15は関節駒の連結状態を示す側面図及び平面図である。
【0040】図1に示すように第1の実施の形態のMRI内視鏡装置1は、MRI画像を得るためのRFコイル2を有するMRI内視鏡3と、このMRI内視鏡3に照明光を供給する光源装置4と、MRI内視鏡3の撮像手段に対する信号処理を行う映像信号処理装置5と、この映像信号処理装置5の出力信号を表示するモニタ6と、湾曲部への送気・排気の制御を行うとともにMRI内視鏡3に設けたRFコイル2のチューニング等を行う制御装置7と、核磁気共鳴のための磁場と高周波を発生させRFコイル2から受信した核磁気共鳴信号からMRI画像を構成するMRI装置8とから構成される。
【0041】MRI内視鏡3は、被検体の体腔内に挿入可能な細長で可撓性の挿入部11を備え、この挿入部11の後端に太幅の操作部本体12が連設されている。この操作部本体12の後部からは可撓性のユニバーサルコード13が延設され、このユニバーサルコード13は第1のコード13aと、第2のコード13bとに分岐され、第1のコード13aの先端のコネクタ14aは制御装置7に接続され、第2のコード13bの先端のコネクタ14bは光源装置4に接続される。コネクタ14bはさらに信号ケーブル15を介して映像信号処理装置5に接続される。
【0042】上記挿入部11は、硬質の先端部16と、この先端部16の後端に隣接して形成された湾曲可能な湾曲部17と、この湾曲部17の後端から操作部本体12まで形成された長尺の可撓部18とから構成されている。湾曲部17は、操作部本体12に設けられた湾曲操作ノブ19を回動することによって図示しない湾曲操作用ワイヤーが引張られ、上下、左右方向に湾曲できるようになっている。
【0043】又、操作部本体12の基端近くには処置具を挿入する鉗子チャンネル挿入口20が設けてあり、この鉗子チャンネル挿入口20は挿入部11内の図示しないチャンネルに連通しており、先端部16で開口するチャンネル出口から鉗子等の処置具を突出することができる。
【0044】挿入部11内には図2に示すように、照明光を伝送するライトガイド21が挿通され、このライトガイド21は操作部本体12から延出されたユニバーサルコード13及び第2のコード13bを経て光源装置4に着脱自在で接続される。光源装置4から供給された照明光はこのライトガイド21で伝送され、先端部16に設けられた照明窓から前方に出射される。
【0045】この照明窓から出射された照明光によって照射された患部等の被写体は、観察窓に取り付けられた対物レンズ22によってその焦点面に配置固定されたCCD23の撮像面に結像され、このCCD23によって光電変換される。このCCD23に接続された信号線24は挿入部11、操作部本体12、ユニバーサルコード13、第2のコード13b及び信号ケーブル15を経て映像信号処理装置5に接続され、この映像信号処理装置5内部のドライブ回路からのドライブ信号の印加により光電変換された撮像信号が読み出され、映像信号処理装置5により標準的な映像信号が生成され、モニタ6に表示される。
【0046】上記先端部16において、対物レンズ22、CCD23等のハウジングとなる先端部本体33の後端には、第1の関節駒26aの先端側が固定され、この第1の関節駒26aの後端には第2の関節駒26bの先端側が連結軸25により上下に回動自在に接続され、この第2の関節駒26bの後端には第3の関節駒26aの先端側が連結軸25により左右に回動自在に接続されるという具合で互い違いに2種の略円筒状の関節駒26a,26b,26a,26b,…が相互に回動自在に(挿入部11の長手方向に)縦列接続されて湾曲部17の基本構造が構成されている。
【0047】この湾曲部17を構成する関節駒26a,26b,26a,26b,…の周囲は、湾曲し易い柔らかい特性を有し且つ膨脹及び収縮し易いゴム等の弾性が大きく絶縁性を有する湾曲チューブ27で覆われ、この湾曲チューブ27の前後の端部は、糸巻き等の固定部材28で先端部本体33及び固定部材32に固定されている。
【0048】この湾曲部17の後端は、固定部材32を介して可撓部18を構成する可撓性チューブ29に接続され、この可撓性チューブ29の内側には、CCD23の信号線24、ライトガイド21、送気チューブ31、回路部50、伝送線51、コントロール線52等が収納されている。
【0049】この湾曲部17の後端には送気チューブ31の先端が固定部材32に固定されており、この送気チューブ31の先端は湾曲部17の内部で開口している。このため、この送気チューブ31によって送気されると、湾曲部17を形成する湾曲チューブ27は膨らむようになる。この場合、可撓部18側は固定部材32によって仕切られているので、可撓部18を構成する可撓性チューブ29は膨らまない。
【0050】この湾曲チューブ27の内側にはRFコイル2が設けられている。RFコイル2の片端は先端部本体33に固定され、他端は固定部材には固定されておらず、湾曲チューブ内で自由に滑動可能となっている。RFコイル2は例えば図6のように、サドルコイル状になっていて、その詳細は後述される。
【0051】尚、MRI内視鏡3は、RFコイル2、先端部16、関節駒26等の少なくとも挿入部11を形成する挿入部構成部材が少なくとも強磁性体でない材料を用いて形成され、MRI画像を得るために強い静磁場中に配置された状態における磁場の影響を小さくなるようにしている。
【0052】上記RFコイル2の端部は信号線34と接続され、信号線34は一部はRFコイル2のコイルパターンを相互連結し、一部はRFコイル2と可撓部18の先端部に配設された回路部50とを連結する。そして、回路部50の出力は伝送線51を経由して制御装置7へ送られ、チューニング回路46に接続されている。
【0053】送気チューブ31は、コネクタ14a内で口金35と接続され、この口金35は制御装置7側の口金受けが設けられたパイプ36に接続される。このパイプ36には切換弁37を経て送気ポンプ38と吸引ポンプ39と接続される。この送気ポンプ38と吸引ポンプ39は制御回路41によりドライバ42,43をそれぞれ介してその動作が制御される。又、切換弁37も制御回路41によりドライバ44を介してその切換動作が制御される。
【0054】この制御回路41はマニュアル送気ボタン45a、マニュアル吸引ボタン45bの操作に応じて、送気ポンプ38、吸引ポンプ39、切換弁37の動作を制御する。例えば、マニュアル送気ボタン45aが操作された場合には、送気ポンプ38を動作状態に設定すると共に、送気ポンプ38による空気を送気できるように切換弁37を切り換える。この場合には図4又は図5(a)に示す切換弁37の状態にする。このマニュアル送気ボタン45aの操作による送気は、内視鏡湾曲部17を被検体内の関心領域近傍に挿入し他後、湾曲チューブ27を膨脹させて湾曲部17を被検体内で固定し、湾曲部17に内蔵したRFコイル2でMRI画像を得る場合に行われる。
【0055】又、マニュアル吸引ボタン45bが操作された場合には、吸引ポンプ39を動作状態に設定すると共に、吸引ポンプ39による空気の吸引を行うことができるように切換弁37を切り換える。この場合には図5(b)に示す切換弁37の状態にする。このマニュアル吸引ボタン45bは、RFコイル2でMRI画像を得た後に、湾曲チューブ27を収縮させて被検体内から挿入部11を引き出す場合等に使用される。
【0056】又、マニュアル送気ボタン45a及びマニュアル吸引ボタン45bが操作された後、さらにマニュアル送気ボタン45a及びマニュアル吸引ボタン45bが操作されると、送気と吸引とがストップされた状態となり、この場合には図5(c)に示す状態になる。
【0057】回路部50の出力を伝送する伝送線51および回路部50をコントロールするコントロール線52は、コネクタ14aを介して、制御装置7のチューニング回路46と接続される。このチューニング回路46は、RFコイル2が検出し、回路部50の中にある前置増幅器(PA)501で増幅したMR信号が最大となるように、回路部50の中にある同調用可変容量(可変容量ダイオード又はバラクタダイオードD1)を制御するバイアス電圧を発生し、コントロール線52により回路部50へ供給するものである。なお、MR信号は、MRI装置8より被検体に高周波磁場を照射した後、被検体より発生する。この調整は、MRI画像撮影に先立ち、RFコイル2を被検体の関心領域近傍に設定し、湾曲チューブ27を膨脹させて被検体との位置関係を固定させた後に行う。
【0058】この後、MRI画像撮影に伴って発生したMR信号は、チューニング回路46を経由してMRI装置8に送られ、画像再構成に供される。
【0059】図6は、RFコイル2の形状を示す斜視図である。図6に示すように、RFコイル2の形状は、フレキシブルプリント基板100上に薄い導体パターン101が形成された2つの分離された鞍型コイルからなっている。そして、2つの鞍型コイルを図6の上下に分離する平面が、図2の紙面に垂直な平面となるような向きで、湾曲部17の内部に実装されている。RFコイル2の前縁部と後縁部の各々二つの円弧状構造は、前縁部の二つの円弧状構造のみ、図2のように、固定部材33に固定されており、後縁部の二つの円弧状構造は、固定部材32には固定されず、湾曲部17の湾曲に応じて湾曲チューブ27の内部を滑動できるようになっている。
【0060】RFコイル2の薄い導体パターン101を形成する導体の材質は、抵抗率が小さい必要があり、一般に銅が適当である。挿入部11を被検体導入時に湾曲部17とともに湾曲しても、導体が疲労破断しないように、フレキシブルプリント基板100の導体パターン101は薄くしてある。過度に薄くては抵抗損失が増大し、MRI画像の信号雑音比が低下する。高周波抵抗は、導体厚さがスキンデプス(表皮厚さ)の3倍程度であれば、それ以上厚くても殆ど低減しない。
【0061】一般にMRI画像撮影の対象にするのは水素原子核であり、MRI装置8の典型的な磁場強度0.5〜1.5テスラでの水素原子核のラーモア周波数は21〜64MHzである。この周波数では、銅のスキンデプスは10ミクロン前後である。従って導体パターン101の厚さは数10ミクロンが適正である。
【0062】また挿入部11の挿入方向に沿って、導体パターン101、フレキシブル基板100ともに、その幅を細くしてある。幅が広いと、被検体導入時に湾曲させられたときに、自然に湾曲せずに挫屈状態で不自然に曲がり、疲労破断の可能性が増すためである。なお、挿入方向全長にわたり細くするのではなく、数カ所部分的に細くすることでも、疲労破断の可能性は低減できる。
【0063】図14は、挿入部11の先端部16および湾曲部17近傍の、湾曲させた状態を示すものである。互いに連結された関節駒26a,26bは、連結軸25を軸にして上下または左右に相互に傾くことにより、湾曲部17を断面形状がつぶれることなく上下左右に湾曲させることができる。湾曲部17を湾曲させるに当たり、湾曲操作ノブ19に連設されたプーリーによりワイヤ牽引するなどの手段が必要だが、周知の手段であるので図示しない。湾曲部17の湾曲に伴い、RFコイル2の片端は固定部材32に固定していないので、多少の変形を伴いつつ関節駒26に沿って摺動し、もって湾曲を容易としている。
【0064】なお、この状態で湾曲チューブ27を膨脹させることも可能であり、さらにその状態でMRI画像を得ることも可能である。この場合、RFコイル2の形状寸法は、通常時(湾曲部を湾曲させない状態)とくらべて殆ど変化していないので、RFコイル2のインダクタンスも殆ど変化しておらず、チューニングが著しくずれることは生じないのでチューニングの再調整は不要である。
【0065】図10は、回路部50の構成を示す回路説明図である。同図において、信号線34、および伝送線51、コントロール線52との接続関係も示されている。回路部50は、ある程度の可撓性があるようにフレキシブルプリント基板に実装する。これにより、回路部50を内蔵する可撓性チューブ29の撓みやねじれを可能とする。Ct1の容量と、Ct2の容量とバラクタダイオードD1の静電容量の並列容量と、Ct2と、の合成容量が、RFコイル2と信号線34との合成インダクタンスと、ラーモア周波数で共振するように、Ct1、Ct2、D1、の回路定数が選ばれている。バラクタダイオードD1の両端に接続された抵抗R1,R2は、例えば1Mオームの高抵抗であり、コントロール線52を経由して、チューニング回路46からバラクタダイオードバイアス電圧を供給するラインに挿入され、MR信号がコントロールラインに漏れることを防いでいる。
【0066】前置増幅器(PA)501は、FETと少数の受動素子で構成された入力インピーダンスの低い増幅器である。前置増幅器501は、信号源インピーダンスが特定の値付近であれば雑音指数を低くできる。従って前置増幅器501から、RFコイル2側を見込んだ信号源インピーダンスが、該特定インピーダンス近傍となるような制約をCt1,Ct2,C1,L1の定数選択にあたっては考慮する必要がある。そのようにしても、使用の都度バラクタダイオードD1のバイアス電圧の変化あるいは被検体とRFコイル2との位置関係の変化により、該信号源インピーダンスは変動する。しかし、適正なFETを選べば、該特定インピーダンスから多少はずれても妥当な雑音指数を維持できるので、インピーダンスマッチングを使用の都度調整するようなことは不要である。
【0067】さらに、C1とインダクタンスL1とはラーモア周波数付近で共振するような定数に選ばれている。このような構成は、P.B.Roemer,“The NMR Phased Array”,Journal of MagneticResonance in Medicine,Vol.16,Number2,Nov.,1990に詳述されている。Roemerらはこの回路をプリダンプ回路と呼んでいる。この回路の特徴は、RFコイル2側から見て共振周波数において、C1とL1と前置増幅器501とのなす合成インピーダンスが高くなることである。この技術は、複数のRFコイルを併設したときにRFコイル間の電磁誘導結合を減殺することに用いられている公知技術である。
【0068】一般の場合、外部RFコイルによって送信される高周波磁場がRFコイルに誘起する誘導起電力は、大きいので、これによりRFコイル2に流れる誘導電流を十分抑圧するには、特開平2−200244号公報で開示されている送信信号抑圧手段に相当する回路、あるいは特開平2−200244号公報で開示されている送信信号抑圧手段の逆接続されたダイオードの代わりにPINダイオードを用いた回路、あるいはその他の、送信信号抑圧効果の高い手段が必要となる。しかし、本発明におけるRFコイル2は小型であり、外部RFコイルによって送信される高周波磁場がRFコイル2に誘起する誘導起電力は比較的小さい。したがって、プリダンプ回路でも、RFコイル2に流れる誘導電流を妥当なレベルに抑圧できる。
【0069】なお、前置増幅器501の入力インピーダンスが純抵抗でない場合、あるいはCt1,Ct2のリアクタンスが十分小さくない場合は、RFコイル2に誘起する誘導起電力を最少にするためにはC1とL1との定数は、C1とL1とがラーモア周波数で共振する条件から少しずれたところに最適値があることを、発明者は見いだしたことを付記しておく。
【0070】伝送線51には同軸ケーブルを用いており、その中心導体には前置増幅器501用の直流電源電圧、例えば+12Vが印加されている。その外部導体には制御装置7の基準電位0Vが接続されている。これら直流電位はL3,L4を経由して前置増幅器501に接続されており、もって、前置増幅器501の電源となっている。
【0071】L2とC2とはラーモア周波数で並列共振する値に選ばれており、さらにL2/C2の平方根は伝送線51の特性インピーダンスの値と等しい値にしてある。また前置増幅器501の出力インピーダンスも伝送線51の特性インピーダンスの値と等しい値にしてある。このように回路定数が選ばれたL2とC2のブリッジ型回路は平衡不平衡変換回路の一例であり、RFコイル2と制御装置7との間に挿入することにより、制御装置7の基準電位からRFコイル2を高周波的に隔離でき、RFコイル2の平衡動作を確保している。RFコイル2の平衡動作を確保するということは、不要な電界による被検体の誘電損失を最少にするということであり、従って得られるMR信号の信号雑音比を向上させられる。さらに、外来雑音に対する感受性を低減できる。
【0072】C3とL3と、およびC4はL4と、ラーモア周波数付近での並列共振回路を構成しており、従ってラーモア周波数では高いインピーダンスを形成しており、平衡不平衡変換回路により高周波的に制御装置7から隔離されたRFコイル2が、再び高周波的に電源線を通じて高周波的に制御装置7につながることはない。かかる平衡不平衡変換回路は、なるべくRFコイル2に近いところに位置させたほうが効果的であり、例えば図12の増幅器510の後に位置させたのでは無効である。
【0073】Cbは、前置増幅器501の電源インピーダンスが低くなるようにするためのバイパスコンデンサである。Cc1とCc2とは、直流電位を有する伝送線51に前置増幅器501の出力を接続するための結合コンデンサである。
【0074】図12はチューニング回路46の構成を示す回路図である。伝送線51の出力は直流カットのコンデンサC6を経由して増幅器510に接続されており、増幅器510の出力はMR信号を検波する検波回路511に接続しており、検波回路511の出力はA/D変換器512によりディジタル信号に変換されてコントローラ513に取り込まれる。コントローラ513はMRI装置8の制御を受けながら、A/D変換器512の出力をサンプリングする。
【0075】そしてサンプリングした検波器511出力のピークレベルをチェックし、D/A変換器514へバラクタダイオードD1へのバイアス電圧コントロール信号を変更し、それに応じて、D/A変換器514はL7,C7の並列共振回路を経由してバラクタダイオードD1へ変更された直流バイアス電圧を送り、バラクタダイオードD1の静電容量を変更する。コントローラ513はこれを繰り返し、検波器511出力のピークレベルが最大となったときのバラクタダイオード電圧を判定し、以後その電圧に固定し、チューニング過程を終了する。L7とC7とはラーモア周波数付近で共振するように回路定数が選ばれており、高周波的に高いインピーダンスとなっている。L8とC8も同様である。
【0076】L5とC5とはラーモア周波数付近で共振するように回路定数が選ばれており、高周波的に高いインピーダンスとなっている。これを経由して、同軸ケーブルである伝送線51の中心導体へ電源電圧12Vを供給している。伝送線51の外部導体はチューニング回路の基準電位即ち制御装置7の基準電位へ接続されている。
【0077】検波器511はMR信号のピークレベルを検出できる程度の簡易なものでよい。チューニング終了後のMRI撮影時のMR信号は、この簡易な検波器511でなく、MRI装置8内の高度な検波回路へ、増幅器510より出力される。
【0078】図15(a)は、関節駒26a,26bの連結状態を示す側面図であり、図3と同じ角度(図3の紙面と垂直な方向)から見たものである。図15(b)は、同平面図であり、図3の紙面内の上方から見たものである。
【0079】一般の内視鏡装置においては、関節駒26a,26bは、金属でつくられている。この場合、RFコイル2に仮に電流を流したとしてその電流が作る磁束は、連結された関節駒が作る閉ループと鎖交する。即ち、関節駒のつくる閉ループとRFコイル2との間に相互インダクタンスが存在することを意味する。
【0080】これにより二つの問題が発生する。第1に、湾曲部の湾曲状態によって、回路部50からRFコイル2を見たインダクタンスが変化し、従ってチューニング状態が不安定になる。特に連結軸25と関節駒26a,26bとの電気的接続状態が不安定な場合は、この問題が著しい。第2に、関節駒26a,26bの作る閉ループの電気抵抗がRFコイル2の負荷となり、RFコイル2の出力信号の信号雑音比を低下せしめることである。これらは、例えばプリダンプ回路の採用により、即ち、RFコイル2と回路部50との形成するループインピーダンスを高めることにより、相当程度その影響が緩和されることが期待されるが、それでも不十分の可能性がある。
【0081】よって本発明においては、図15の関節駒26a,26bを電気的絶縁体で形成している。関節駒の全体でなくても、その一部、例えば図16に示すような関節駒の長手方向を弧状に湾曲させた板200と、I型連結肢201と、Y型連結肢202とのいずれかを絶縁体にするだけでも問題の殆どは解消される。この場合、板200を絶縁体にするのが効果的である。なぜならある程度の大きさを持った導体面はその面内にRFコイル2と誘導結合する閉ループを形成するからである。
【0082】なお、RFコイル2の近傍に十分小さくない閉ループが存在することによる障害は、前記チューニング状態の不安定と信号雑音比の低下との他に、図示しない傾斜磁場の変動による誘導電流の問題がある。即ちMRI画像撮影においては、MR信号に位置情報を付与するために、MR信号観測中およびその前に、静磁場分布を空間的に変調することを目的として傾斜磁場を印加する。この傾斜磁場のスイッチングに伴い、被検体近傍に存在する閉ループに低周波の誘導電流が発生し、これは静磁場分布を暫時歪ませる。この結果MR信号の位相が変調され、MR信号の位置情報は乱される。この結果、画像の歪みやアーチファクトをもたらす。この点においても、閉ループを極力無くすことは重要である。
【0083】以上説明した第1の実施の形態によれば、次のことが可能になる。モニタ6に投影された内視鏡画像を観察しながら挿入部を被検体内部へ前進させ、屈曲部通過の際は、湾曲し得ない先端部16は十分に短いので、湾曲部17を湾曲することで通過容易となり、もってMRI画像を得るべき場所まで、RFコイル2を安全に送り込める。
【0084】RFコイル2は、先端部からさほど遠くないところに位置するので、内視鏡画像で確認したMRI画像化対象部付近からRFコイル2が遠く行きすぎたり、行き足りなかったりすることが起きにくく、MRI画像化対象部付近にRFコイル2を位置させることが容易である。
【0085】RFコイル2は挿入方向に十分長いので、感度領域が広い。即ち、一回のMRI撮影で撮れる範囲が広いのでRFコイル2を数カ所に前後させてMRI撮影を繰り返す必要性が減る。RFコイル2の近傍にチューニング回路と前置増幅器(PA)を配置してあるので、伝送線による信号損失がなく、高品質のMRI画像が得られる。
【0086】外部のRFコイルから送信する高周波磁場を、RFコイル2に誘導される電流が発生する高周波磁場が乱すことがないので、高品質のMRI画像が得られる。
【0087】湾曲部支持構造がRFコイル2と電気的に干渉することが無いので、高品質のMRI画像が得られる。前置増幅器PAへの電源供給を伝送線51に重畳して行っており、その分挿入部に挿通する電線が減るので挿入部が太くならない。RFコイル2が外部の電位と高周波的に隔離されているので、高品質のMRI画像が安定に得られる。
【0088】次に、本発明の第1の実施の形態の変形例を詳細に説明する。図7ないし図9は、それぞれRFコイル2の変形例の構造を示す斜視図である。図7は、RFコイル2を平板のフレキシブルプリント基板で形成した第1の変形例を示すものである。このRFコイルは撓み方向に軸がRFコイルのなす平面内に位置する限り、挫屈の危険無く撓み得る。したがって、このRFコイルを、RFコイルのなす平面が図2の紙面に直交するように、湾曲部内に実装すれば、湾曲部湾曲方向と、RFコイルが自由に撓める方向が一致するので、この場合挿入部長手方向に送部材は細くする必要は無い。よって、幅広の導体を使えるので、導体抵抗による損失が減らせる。
【0089】図8は、RFコイル2を、フレキシブルな母材400に印刷された導体パターン401と、該フレキシブル母材に結紮糸403で固定された、細径の銅線を束ねた細径銅線束402とで構成したものである。導体パターン401と細径銅線束403とは、半田付けなどの手段で電気的接続されている。長手方向導体が細い銅線で構成されているので、銅線の疲労破断の心配なく湾曲可能である。
【0090】図9は、細径銅線束402の代わりに、細径の銅線からなる撚線502に置き換えたものであり、他は図8と同様である。これも銅線の疲労破断の心配なく湾曲可能である。さらに、図示しないが、細径銅線束402や、撚り線502のかわりに、細径の素線を編組線に加工したものを用いても良い。さらに、編組線の中でも、各素線が編組の外周部と内周部と交番に通るように編組したリッツ線とよばれるものを使用すれば、各素線に高周波電流が均等に分布するので、抵抗損失が減り、信号雑音比が多少向上する。
【0091】以上の実施の形態及びその変形例の説明において、RFコイル2は、湾曲部17とほぼ同じ長さであることを想定したが、不要に感度領域が長すぎる場合は、湾曲部の途中までの長さとしても良い。
【0092】また、これまでRFコイル2の実装位置は、湾曲部にほぼ一致するものとしてきたが、RFコイル2の前端部の位置は、極力先端部16の先端に近づけるほうが、内視鏡画像で被検部の位置を確認した後、被検部へRFコイル2を近づけるときに位置誤差が少なくなり得るので、好ましい。
【0093】これまで、RFコイル2は、いわゆるリニアコイルを想定して説明したきた。これらリニアコイルを直交方向に二つ配置していわゆるQD(quardrature)コイルとすれば、さらに信号雑音比の優れたものとなること、およびその実施手段詳細は、当業者には周知のことであるから詳述しないが、これも本発明の変形例となる。
【0094】これまで、RFコイル2は、長手方向の複数の導体パターンは平行に走行するものとしてきたが、斜めに走行する例えばクロス楕円と呼ばれるようなコイルパターンを採用してもよい。
【0095】図11及び図13は、それぞれ回路部50とチューニング回路46の変形例の構成を示す回路図である。この変形例は、固定チューニングとし、いわゆるアクティブトラップを設け、アクティブトラップを駆動する電流を伝送線51に重畳して供給するものである。
【0096】図11の変形例と図10と実施の形態との相違を説明する。図11の回路部50は、チューニング微調整用のバラクタダイオードD1を有しない。前置増幅器(PA)501は、特に入力インピーダンスの低くない普通の前置増幅器である。Ct1,Ct2,C1は、合計容量が、典型的使用状態において、信号線34とRFコイル2との合計リアクタンスとラーモア周波数付近で共振するような値であり、かつ前置増幅器501にとって雑音指数が低くなるような信号源インピーダンス付近となるように選ばれる。平衡不平衡変換回路は、回路スペース低減のため省略したが、あっても良い。C9は、低周波分をカットするためのコンデンサである。前置増幅器501の電源は、コントロール線52で供給される。L10とCt2とはラーモア周波数付近で共振するような値に選ぶことができる。
【0097】D2はPINダイオードであり、順方向に直流バイアス電流が流れているとき、高周波的に短絡状態となる。PINダイオードのバイアスは伝送線51に重畳されており、並列共振回路C11とL11およびC12とL12とを経由して供給されている。並列共振回路でなくとも高周波的に十分インピーダンスの高いインダクタンスであってもよい。このようにすると、外部RFコイルによる送信時にPINダイオードD2に順電流が供給されると、RFコイル2にとって、高いインピーダンスが挿入されたことになり、RFコイル2に誘導電流が流れず、送信高周波磁場を乱さない。PINダイオードD2とCt2とL10とで構成された回路はいわゆるアクティブトラップとして公知である。
【0098】図13の変形例と図12のと実施の形態との相違を説明する。図13において、チューニングは使用毎に調整しないので、「チューニング回路」と本回路は名付けられているけれどもチューニング機能はこの場合存在しない。検波器、A/D,D/A、コントローラは無く、増幅器510の出力はそのままMRI装置8に供給される。PIN順電源はPINダイオードD2に順電流を供給するための直流電源である。PIN逆電源は、PINダイオードD2に逆バイアスを供給するための直流電源である。R3は、PINダイオードD2の順方向電流を所定値にするための電流リミッター抵抗である。MRI装置8は、外部RFコイルにより送信している期間中、本回路のドライバ521に信号(ゲーティング信号と称する)を送る。ドライバ521はゲーティング信号を受けて、その間、R3がPIN順電源につながるようにスイッチ520を駆動する。ゲーティング信号が来ていないときは、R3はPIN逆電源につながる。
【0099】このようにして、送信高周波磁場による誘導電流を効果的に抑制する回路を実装し、そのバイアス供給用の導線を増やさないで済む。なお、アクティブトラップを用いるのではなく、PINダイオードD2をRFコイル2やCt1,Ct2と直列に入れることによっても、送信高周波磁場による誘導電流を効果的に抑制し得、この方法も公知であり、この場合にもPINダイオードバイアス電流は、本発明におけるように伝送線に重畳できる。この場合、外部RFコイルによる送信時は、スイッチは、PIN逆電源につなぎ、非送信時はPIN順電源につながるよう制御する。
【0100】さらに、回路部50及びチューニング回路46の変形例を説明する。これまで、伝送線51に前置増幅器501の電源を重畳させる方法と、PINダイオードD2のバイアス電流を重畳させる方法とを説明した。もはや図示の必要は無いと思うが、チューニング用のバラクタダイオードD1のバイアス電圧を伝送線51に重畳させることも可能である。その他、取り扱うMR信号と周波数が著しく異なるかぎり、電源でも電気的信号でも伝送線に重畳して供給することが可能であり、これにより、コントロール線を増やして細い挿入部に実装する困難を回避できる。
【0101】さらに、これまでは、伝送線に重畳する信号あるいは電源として、RFコイル2の機能に直接関わるものについて述べたが、内視鏡機能に関わるもの、例えば、CCD23の制御信号あるいは出力信号である信号線24の一部を伝送線に重畳してもよい。あるいは、先端部にマイクロモータやアクチュエータなどの機械的力の発生源を実装することもあり得るが、その電源あるいは制御信号を伝送線に重畳させても良い。
【0102】さらなる変形例としては、被検部を挿入部に対して固定する必要がない場合は、湾曲チューブ27を膨脹させることなくMRI画像を得ることも当然可能である。特開平6−7320号公報記載の従来例とは異なり、RFコイル2の寸法形状およびインダクタンスは湾曲チューブ27の膨脹状態には依存しないからである。従って、膨脹可能な湾曲チューブ27の存在や、送気チューブ31の存在は、本発明にとって必須ではない。
【0103】次に、本発明の第2の実施の形態として、内視鏡の観察機構を備えないMRI用コイルを説明する。これまで第1の実施の形態として、内視鏡装置でRFコイル2を被検部近傍まで誘導するものとしたが、安全に挿入できる部位においては、内視鏡装置の存在は必須ではなく、これまでの説明から内視鏡での観察機能にかかわるものを全て、例えば、光源装置4、映像処理装置5、モニタ6、ライトガイド21、対物レンズ22、CCD23等を削除したMRI用RFコイルでも本発明の目的を達成できることは明らかである。
【0104】なお、第1の実施の形態において説明した全ての変形例は、第2の実施の形態においても同様に適用できる。
【0105】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、十分感度領域の長いRFコイルを湾曲可能な状態で挿入部に実装でき、MR信号以外の信号あるいは電源を伝送線に重畳することにより挿入部の径の増大を避けることができるので、屈曲部を伴う被検体内部へ安全に挿入することができるという効果がある。
【0106】また被検体の関心領域近傍へ容易にRFコイルを位置させることができ、著しいインピーダンス変化が使用の都度起きることが無く、また前置増幅器を挿入部に設置しているので、被検体内部の高品質なMR画像を安定に得ることができるという効果がある。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成10年(1998)2月17日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和 (外3名)
【公開番号】 特開平11−225986
【公開日】 平成11年(1999)8月24日
【出願番号】 特願平10−34997