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【発明の名称】 傾斜磁場コイル装置
【発明者】 【氏名】鶴野 大八郎

【要約】 【課題】本発明の目的は、低騒音でしかもコイル導体からの発熱による温度上昇を抑制できる傾斜磁場コイル装置を提供することである。

【解決手段】本発明は、静磁場中に載置された被検体に対して、傾斜磁場を印加するための傾斜磁場コイル装置において、非磁性の容器5内に充填された非磁性の液体7中に傾斜磁場コイル1を浸下したことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 静磁場中に載置された被検体に対して、傾斜磁場を印加するための傾斜磁場コイル装置において、非磁性の容器内に充填された非磁性の液体中に傾斜磁場コイルを浸下したことを特徴とする傾斜磁場コイル装置。
【請求項2】 前記液体を前記容器との間で循環するための手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の傾斜磁場コイル装置。
【請求項3】 前記容器内で前記傾斜磁場コイルを支持する弾性体をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の傾斜磁場コイル装置。
【請求項4】 前記傾斜磁場コイルは非磁性樹脂の含浸材に含浸されることを特徴とする請求項1記載の傾斜磁場コイル装置。
【請求項5】 前記傾斜磁場コイルは、弾性材で被膜されることを特徴とする請求項4記載の傾斜磁場コイル装置。
【請求項6】 前記傾斜磁場コイルは、弾性特性の異なる複数の弾性材で多層に被膜されることを特徴とする請求項4記載の傾斜磁場コイル装置。
【請求項7】 静磁場中に載置された被検体に対して、傾斜磁場コイルから傾斜磁場を印加するための傾斜磁場コイル装置において、前記傾斜磁場コイルを複数種類の振動減衰材で包囲することを特徴とする傾斜磁場コイル装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁場強度が空間的に変化する傾斜磁場を発生するための傾斜磁場コイル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気共鳴診断では、励起範囲を限定したり、磁気共鳴信号に空間的な位置情報を与える等のために静磁場に傾斜磁場が重畳される。傾斜磁場としては、磁場傾斜の向きが静磁場と平行なZ軸傾斜磁場と、磁場傾斜の向きが静磁場と直交なX軸傾斜磁場と、磁場傾斜の向きが静磁場及びX軸と直交なY軸傾斜磁場との3種類が使い分けられている。これら3軸に対応する3種の傾斜磁場コイルのセットが、非磁性の硬質樹脂に含浸され例えば円筒形に成形される。
【0003】このような傾斜磁場コイルに電流を流すと、静磁場に垂直な電流成分の強度に応じた強さで、静磁場の向きと上記電流成分の向きとに直交する向きにローレンツ力がコイル導体に発生する。
【0004】このローレンツ力は、樹脂を伝達し、樹脂表面を振動し、騒音を発生させてしまう。この騒音の問題は、近年のエコープレナー法等のような激しい交番磁場を必要とする高速撮影法では、さらに顕著である。また、高速撮影法ではコイル導体の発熱による温度上昇の対策も重要な課題である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、低騒音でしかもコイル導体の発熱による温度上昇を抑制できる傾斜磁場コイル装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、静磁場中に載置された被検体に対して、傾斜磁場を印加するための傾斜磁場コイル装置において、非磁性の容器内に充填された非磁性の液体中に傾斜磁場コイルを浸下したことを特徴とする。
【0007】傾斜磁場コイルで発生した振動は、液体で減衰される。したがって、低騒音が実現される。また、傾斜磁場コイル装置の熱容量は液体により増大するので、温度上昇を抑制できる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明による傾斜磁場コイル装置の一実施形態を説明する。傾斜磁場コイル装置は、磁気共鳴診断装置の主要構造体としてのコイルアセンブリに組み込まれる。ここで、磁気共鳴診断装置について簡単に説明する。被検体を収容できるように例えば円筒状の内部空間が形成されたコイルアセンブリには、静磁場を発生するための静磁場コイルと、静磁場コイルの内側に配置され、傾斜磁場を発生するための傾斜磁場コイル装置と、傾斜磁場コイル装置の内側に配置され、被検体内の対象核種の磁化スピンを高周波磁場で励起し、また励起された磁化スピンからの磁気共鳴信号を検出するための高周波磁場コイルとが組み込まれる。検出された磁気共鳴信号に基づいて、画像データやスペクトロスコピー等様々な診断情報がプロセッサで生成される。
【0009】図1は本実施例による傾斜磁場コイル装置の外形を示している。傾斜磁場コイル装置は、シリンダー型のコイルアセンブリに対応して、外形円筒に形成される。なお、傾斜磁場コイル装置はこれに限定されることはなく、側壁が開放されているいわゆるオープンアクセス型(垂直磁場型)のコイルアセンブリに対応する平板状の傾斜磁場コイル装置であってもよい。
【0010】図2に図1の傾斜磁場コイル装置の横断面を示している。図3に図1の傾斜磁場コイル装置の縦断面を示している。図4(a),(b),(c)にXYZ各軸に対応する傾斜磁化コイルのコイルパターンの一例を示している。
【0011】傾斜磁場コイルセット1は、XYZ各軸の傾斜磁化コイルを有する。この傾斜磁場コイルセット1は、例えば円筒に成形される非磁性樹脂の含浸材3に含浸され、その含浸材3と共に、中空円筒の非磁性容器5の内部に充填された水や絶縁オイル等の非磁性液体7の中に浸下される。なお、傾斜磁場コイルセット1は、含浸材3に含浸されるこなく、そのまま液体7の中に浸下されていてもよい。
【0012】含浸材3は、容器5の内壁13,15から、ゴム、スポンジ、ジャバラ、スプリング、ダンパー等の非磁性の弾性体としての支持部材9,11を介して容器5の内部に支持される。
【0013】傾斜磁場コイルセット1のXYZ各軸の傾斜磁化コイルの電流供給端子は、図示しない液体シール構造を介して容器5の外部に引き出される。熱交換機17は、容器5との間で液体7を循環し、冷却する。
【0014】図5(a)〜(d)に、傾斜磁場コイルの横断面を示す。断面円形又は矩形の傾斜磁場コイル(コイル導体)19は、ゴムやビニール等の弾性材としての被膜21,23により1層又は多層に被膜される。後者の場合、音速特性(弾性特性)の異なる複数の被膜21,23でコイル導体19を多層に被膜することが好ましい。
【0015】図6に傾斜磁場コイル装置の詳細な断面図を示す。傾斜磁場コイル(コイル導体)19は、被膜21や液体7等の複数種類の振動減衰材で包囲される。傾斜磁場コイル(コイル導体)19で発生した振動は、その被膜21及び液体7で十分減衰される。また、含浸材3の振動は、支持部材9,11で十分減衰される。したがって、容器5の振動は十分低減され、低騒音が実現される。
【0016】また、液体7によって傾斜磁場コイル装置の熱容量は増大するので、傾斜磁場コイル(コイル導体19)で発生した熱による温度上昇を抑制するという効果も実現する。この効果は熱交換機17によりさらに増大される。
【0017】このように本実施形態によれば、低騒音でしかもコイル導体の発熱による温度上昇を抑制することができる。本発明は、上述した実施の形態に限定されることなく種々変形して実施可能であるのは勿論である。
【0018】
【発明の効果】本発明は、静磁場中に載置された被検体に対して、傾斜磁場を印加するための傾斜磁場コイル装置において、非磁性の容器内に充填された非磁性の液体中に傾斜磁場コイルを浸下したことを特徴とする。
【0019】傾斜磁場コイルで発生した振動は、液体で減衰される。したがって、低騒音が達成される。また、傾斜磁場コイル装置の熱容量は液体により増大するので、温度上昇を抑制できる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成10年(1998)2月16日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外6名)
【公開番号】 特開平11−225983
【公開日】 平成11年(1999)8月24日
【出願番号】 特願平10−33040