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【発明の名称】 磁気共鳴分光法での信号処理方法および装置
【発明者】 【氏名】ラルフ・ハード

【要約】 【課題】渦電流効果、B0 磁界のドリフトおよび患者の運動などのような外来の源からのスプリアス信号を含む残留水の干渉する側波帯を除去するための純水減算法を提供する。

【解決手段】未抑圧および部分的水抑圧磁気信号データを求め、これらに低周波水位相補正を適用する。水位相補正された部分的抑圧データを、水位相補正された未抑圧データから減算して、純水基準信号を得る(すなわち、代謝物質信号を相殺する)。適切にスケーリングした純水基準信号を、部分的抑圧データから減算して、スプリアス水信号を除去する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 磁気共鳴分光法で、純水基準の干渉する側波帯を除去するように信号を処理する方法において、(a)未抑圧磁気共鳴信号データを求めるステップ、(b)部分的水抑圧磁気信号データを求めるステップ、および(c)スケーリングした純水基準データを未抑圧データから減算して、干渉する側波帯およびスプリアス水信号を低減するステップを含んでいることを特徴とする信号処理方法。
【請求項2】 前記ステップ(a)が複数のフレームを平均化して平均化データを求めることを含み、前記ステップ(b)が平均純水基準を求めることを含んでいる請求項1記載の方法。
【請求項3】 前記ステップ(b)が、前記平均化データおよび前記平均純水基準に低周波水位相補正を適用して、水位相補正されたデータおよび水位相補正された未抑圧データを求めることを含んでいる請求項2記載の方法。
【請求項4】 前記ステップ(c)が、前記水位相補正されたデータのサンプリング時間にわたる積分値を、純水基準のサンプリング時間にわたる積分値によって除算して、純水基準データをスケーリングするための乗数係数を求めることを含んでいる請求項3記載の方法。
【請求項5】 前記乗数係数が商の実成分である請求項4記載の方法。
【請求項6】 前記サンプリング時間にわたる積分が、純吸収ゼロ周波数水信号のフーリエ選択である請求項4記載の方法。
【請求項7】 磁気共鳴分光法で、純水基準の干渉する側波帯を除去するように信号を処理する装置において、(a)未抑圧磁気共鳴信号データを求める手段、(b)部分的水抑圧磁気信号データを求める手段、および(c)スケーリングした純水基準データを未抑圧データから減算して、干渉する側波帯およびスプリアス水信号を低減する手段を含んでいることを特徴とする信号処理装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は一般に磁気共鳴分光法に関するものであり、更に詳しくは寄生信号の干渉を低減したボリューム分光法に関するものである。
【0002】
【発明の背景】ボリューム局在化磁気共鳴分光法は、特に脳内の化学的変化の拡散を招く異常の検出のための有効な日常的な診療手段になってきている。関心のあるボリューム(体積)内のコリン、クレアチンおよびNAAのような代謝物質のスピンを直接励起して、誘導エコーの使用およびカー・パーセル・エコーの使用を含む三次元選択を達成するための幾つかの技術が知られている。これらの技術は1回の走査で局在化スペクトルを求める。例えば、ポイント分解分光法(PRESS;米国特許第4,480,228号明細書参照)では、3パルスの系列が使用され、各々のパルスは周波数選択性である。多くの重要な診療用途でのプロトン磁気共鳴分光イメージング(MRSI)は、限られたボリュームの励起の位相符号化に基づいている。典型的には、このボリューム励起はPRESSを使用して達成され、これは3つの直交スライスを二重スピン・エコーの形態で利用して、関心のある特定の領域を選択する。
【0003】代謝物質信号中には強い水信号が存在し、水信号は外来の作用による位相および周波数誤差を補正するために使用される。しかしながら、残留水のコヒーレント側波帯が局在化プロトン分光法における代謝物質の測定に干渉することがある。典型的には、代謝物質および残留水信号の低周波歪みが、未抑圧水基準を使用して補正されるが、20Hz以上の高調波歪みは代謝物質信号周波数の範囲内にあり、この方法では必然的に補正されない。音響および渦電流結合効果を含めて、寄生側波帯の潜在的な源は多数ある。問題を引き起こす側波帯は、インビボ(生体内)プロトン化学シフト周波数範囲(1.5テスラで30Hz〜20Hz)と一致するものであり、10msより大きい時定数を持ち、且つ0.2%より大きいピーク・ピーク値を持つ。これらの側波帯は磁石および勾配磁界システムに左右され、またパルス系列およびTEに左右される。TE35における典型的なプローブP(PRESS)スペクトルでは、これらの側波帯は関心のあるスペクトル領域全体にわたって観察され、大きさは0.1%から1.0%以上までの範囲に及ぶ。典型的な減衰定数はTE144スペクトルにおいて重大な問題を引き起こさないように選択される。それらはまた、水が完全に抑圧された場合は何ら問題を生じない。しかしながら、この条件は、水抑圧自動化における制約により、またより重要なことには、非常に長い時定数の渦電流効果、B0 磁界のドリフトおよび患者の運動による時間的な(フレーム毎の)位相および周波数誤差を補正するために比較的強い残留水信号を必要とすることにより、制限される。従って、信号対ノイズ比(SNR)に影響を与えずに、これらの側波帯をそれ以外は有用な水信号から除去することが必要である。
【0004】従来、周波数に独立なライン形状誤差を補正するために使用された多数のライン形状補正方法があるが、これらの方法では、基準信号が抽出され、理想的な信号によって除算され、次いで生のスペクトルを補正するために乗数として使用されている。この方式は、基準ライン形状を抽出する方法に非常に敏感であり、しばしば余分なノイズを導入する。
【0005】
【発明の概要】本発明によれば、残留水の干渉する側波帯を除去するために、純水基準信号の適切にスケーリングした部分を、部分的に抑圧された磁気基準信号から減算する。
【0006】渦電流効果、B0 磁界のドリフトおよび患者の運動のような外来の源からの水信号の高い周波数の歪みが、抑圧方法の周波数選択性とは関係なく、主水信号ピークの残留振幅によりスケーリングされることを見出した。そこで未抑圧の信号から部分的に抑圧した水スペクトルを減算したものが、関心のある代謝物質信号を相殺して、水ライン基準およびその寄生側波帯のみを残す。その結果の信号は側波帯を持つ純水基準である。
【0007】本発明の好ましい実施態様では、未抑圧の磁気共鳴水基準信号が部分的水抑圧データと共に取得される。これらの水基準およびデータに、Mgnetic Resonance In Medicine31:365−373(1994)に所載のウェブ(Webb)等の論文に記載のように、低周波水位相補正が適用される。次いで、水位相補正されたデータを水位相補正された未抑圧のデータから減算することにより、代謝物質信号データのない純水基準が得られる。水位相補正されたデータはサンプリング時間にわたって積分され、次いで純水基準のサンプリング時間にわたる積分値によって除算される。その商の実成分が乗数Rとして取り出される。次いで、乗数Rと純水基準との積を、B0 補正され部分的に抑圧されたデータから減算することにより、スプリアス水信号が除去される。
【0008】本発明の構成、目的および特徴は、添付の図面を参照した以下の説明および特許請求の範囲からより完全に理解されよう。
【0009】
【発明の実施の形態】図1および図2は、未抑圧データ、本発明に従って得られた純水基準、および適切にスケーリングした純水基準を未抑圧データから減算することによってスプリアス水信号を除去した未抑圧データを周波数(Hzおよびppm)に対して示すグラフである。
【0010】一番上の曲線で表されている通常の未抑圧データは、20Hzと100Hzとの間の広い正のベースライン歪み、および108Hzにおける鋭い負の側波帯を示す。これらは組み合わさって、測定される代謝物質の見かけのレベル、特にコリン、クレアチンおよびNAAの相対量を歪ませる、真中の点線の曲線で表されているスペクトルは残留水の大きさに対して適切にスケーリングされた純水基準である。一番下の曲線で表されているスペクトルは、適切にスケーリングした純水基準を減算した後のデータを示す。
【0011】このデータは下記の式で表すことが出来る。
[1] 未抑圧データ=信号(H2O)+信号(代謝物質)+ノイズ(基準)
[2] 部分的抑圧データ=信号(残留H2O)+信号(代謝物質)+ノイズ(データ)
「3」 純水=未抑圧データ−部分的抑圧データ=信号(H2O−残留)+RMS(ノイズ(基準)+ノイズ(データ))
[4] PWS補正されたデータ=信号(代謝物質)+ノイズ(データ)+R(ノイズ(純水))
[5] R=信号(残留H2O)/信号(純水)<0.1【0012】水補正データのノイズからの何らかの測定可能な影響を避けるために、水抑圧は最小限10:1にすべきである。これは過大な要件ではない。この場合、水磁化の過回転(+Mz)は、「純水基準」が過回転における残余分だけ増大して乗数Rを小さくするので、不足回転(+Mz)よりも僅かに良好である。
【0013】乗数Rを求める際、サンプリング時間にわたる積分は、事実上、前のステップにおける水位相補正によって保証される、純吸収ゼロ周波数水信号のフーリエ選択である。このステップは、代謝物質が部分的水抑圧FIDまたはエコーの有意な部分である場合、小さい残留水信号の推定において特に重要である。上述のように、本発明の方法は時間領域で完全に作用するが、等価な手順を周波数領域で構成することが出来る。
【0014】本発明はオフライン処理パッケージsage/idlでPROBE Reconにおいて実現され、インビボおよびファントム・データの両方で試験された。この方法のインビボ例が図1に示されている。
【0015】本発明を特定の好ましい実施態様について詳述したが、上記の好ましい実施態様は例示の目的で開示したもので、本発明を制限するものと解すべきではない。当業者には特許請求の範囲に記載した本発明の真の精神および範囲内で種々の変形、変更および置換をなし得よう。
【出願人】 【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【出願日】 平成10年(1998)11月20日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】生沼 徳二
【公開番号】 特開平11−225979
【公開日】 平成11年(1999)8月24日
【出願番号】 特願平10−330078