| 【発明の名称】 |
核磁気共鳴検査装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】河野 理
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| 【要約】 |
【課題】検査部位によらず容易に水の共鳴周波数を求めることができるようにする。
【解決手段】RF出力を調整し(ステップ42)、RFパルスのフリップ角が正確になるようにした上で、飽和回復法によるパルスシーケンスを実行してNMR信号を発生させてそのデータを収集する(ステップ43)。これによって脂肪の信号を抑制することができるため、そのNMR信号を1次元フーリエ変換して得た周波数スペクトルにおいて最大となるのは水のピークであるから、この最大ピーク位置(周波数)から水の共鳴周波数を求める(ステップ44)。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被検査空間内に静磁場を発生する静磁場発生手段と、該被検査空間内に直交3軸の各方向に磁場強度が傾斜している傾斜磁場を発生する傾斜磁場発生手段と、該被検査空間内にRF信号を送信するRF送信手段と、NMR信号を受信する受信手段と、上記RF送信手段を制御し、反転180°パルスと励起90°パルスとリフォーカス180°パルスとを順次印加してNMR信号を発生させる飽和回復法によるパルスシーケンスを、上記反転180°パルスと励起90°パルスとの間の時間を約20msから約200ms程度に設定して行い、採取したNMR信号をフーリエ変換して得た周波数スペクトルにおいて最大ピークを示す周波数を検出する手段を有することを特徴とする核磁気共鳴検査装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、核磁気共鳴現象(NMR現象)を利用してイメージングなどを行う核磁気共鳴検査装置に関し、とくにCHESS法を行うのに好適な核磁気共鳴検査装置に関する。 【0002】 【従来の技術】CHESS(CHEmical Shift Selective)法は脂肪抑制イメージングを行うもので、通常のスピンエコー法などのパルスシーケンスの直前に、脂肪の共鳴周波数にキャリア周波数が合致させられたRFパルスを印加して脂肪のスピンを磁気的に飽和させ、これによって脂肪からの信号を抑制した画像を得ようというものである。この脂肪の共鳴周波数を見出すため、従来では、スピンエコー法によるパルスシーケンスを行い、NMR信号を発生させてこれを採取し、フーリエ変換し、その周波数スペクトルにおける最大のピークを示す周波数を探すようにしている。この最大のピークは通常、水からの信号によるものであり、これによって水の共鳴周波数を知ることができるので、一般に脂肪の共鳴周波数が水の共鳴周波数よりも3.5ppm低いことを利用して、脂肪の共鳴周波数を求める。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来では必ずしも確実に水の共鳴周波数を求めることができないという問題がある。すなわち、人体の腹部や膝などでは、脂肪組織の方がスペクトルのピークが高い場合があり、そのような場合には、水ではなくて脂肪の共鳴周波数を検出してしまう。そうなると、これに基づいて脂肪抑制のためのCHESS法のパルスシーケンスを行うと、予期に反して脂肪の信号を抑制することができなくなる。たとえば、人体の腹部を検査対象としてスピンエコー法によるパルスシーケンスを行い、そこからNMR信号を発生させると図6の(a)の曲線71で示すような波形となる。これを1次元フーリエ変換して周波数スペクトルを求めると図6の(b)のようになり、腹部では脂肪の成分が多いため水のピーク72よりも脂肪のピーク73の方が高くなってしまい、単に最大ピークの周波数を求めると、水ではなくて脂肪の共鳴周波数を求めてしまうことになる。 【0004】さらに、通常、静磁場の不均一がある場合には、採取したNMR信号の周波数スペクトルに複数のピークが現れるので、脂肪のピークが水のピークよりも大きいとき、この周波数スペクトルから水の共鳴周波数を探し出すことは極めて困難となる。そこで、結局は、人間がこの周波数スペクトルを観察して水のピークと思われるピークを特定し、これからマニュアルでキャリア周波数を設定する、というのが一般的な方法となっており、操作がきわめて煩雑で、操作者の負担が大きい。 【0005】この発明は、上記に鑑み、RFパルスのキャリア周波数を脂肪等の共鳴周波数に自動的に対応させることができるように改善した核磁気共鳴検査装置を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、この発明による核磁気共鳴検査装置においては、被検査空間内に静磁場を発生する静磁場発生手段と、該被検査空間内に直交3軸の各方向に磁場強度が傾斜している傾斜磁場を発生する傾斜磁場発生手段と、該被検査空間内にRF信号を送信するRF送信手段と、NMR信号を受信する受信手段と、上記RF送信手段を制御し、反転180°パルスと励起90°パルスとリフォーカス180°パルスとを順次印加してNMR信号を発生させる飽和回復法によるパルスシーケンスを、上記反転180°パルスと励起90°パルスとの間の時間を約20msから約200ms程度に設定して行い、採取したNMR信号をフーリエ変換して得た周波数スペクトルにおいて最大ピークを示す周波数を検出する手段が備えられることが特徴となっている。 【0007】飽和回復法のパルスシーケンスにおいて、反転時間(反転180°パルスと励起90°パルスとの間の時間)を約20msから約200ms程度に設定している。通常のシステムにおいて脂肪の回復時間は約20msから約200ms程度であり、水のそれは2s〜5s程度であるから、この反転時間は脂肪の回復時間に対応しており、そのため、この飽和回復法のパルスシーケンスで得られるNMR信号では脂肪からの信号が抑圧される。そこで、このNMR信号を採取し、1次元のフーリエ変換を行うことにより周波数スペクトルを得れば、水からの信号により最大のピークが生じる。そこでこの最大のピークを示す周波数を求めれば、水の共鳴周波数が検出されたことになり、これより3.5ppm低い周波数をキャリアの周波数に設定することなどを自動的に行うことができる。そのため、CHESS法などの脂肪抑制パルスシーケンスにより、脂肪の信号を効果的に抑制した画像を得ることができる。 【0008】 【発明の実施の形態】つぎに、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この発明にかかるMRイメージング装置は図1に示すように構成される。この図1において、マグネットアセンブリ11には、静磁場を発生するための主マグネットと、この静磁場に重畳する傾斜磁場Gx,Gy,Gzを発生する傾斜磁場コイルが含まれる。傾斜磁場Gx,Gy,Gzは、X、Y、Zの直交3軸方向に磁場強度が傾斜している磁場である。この静磁場及び傾斜磁場が加えられる空間には、検査対象たる被検者31が検査台32に載せられて挿入される。この被検者31には、RFパルスを被検者31に照射するとともにこの被検者31で発生したNMR信号を受信するためのRFコイル12が取り付けられている。 【0009】マグネットアセンブリ11の傾斜磁場コイルに傾斜磁場用電流を供給する回路として、磁場制御回路13が設けられる。この磁場制御回路13には波形発生回路14からの波形信号が送られる。この波形発生回路14には、傾斜磁場Gx、Gy、Gzの各パルス波形に関する情報が、あらかじめコンピュータ16によってセットされている。シーケンスコントローラ15から指示されたタイミングで波形発生回路14から傾斜磁場Gx、Gy、Gzの各々についての波形信号が生じ、これが磁場制御回路13に送られることにより、所定の波形のパルスとされた傾斜磁場Gx、Gy、Gzがそれぞれ発生することになる。 【0010】RF発振回路19により発生させられたRF信号は振幅変調回路18に送られ、これがキャリア信号となり、波形発生回路14から送られてくるRF波形信号に応じて振幅変調される。この振幅変調後のRF信号は、RF電力増幅器17を経て増幅された後、RFコイル12に加えられる。このRF発振回路19の発振周波数はコンピュータ16によって制御され、被検者31の身体組織の共鳴周波数に一致させられる。上記の変調信号の波形に関する情報はコンピュータ16から波形発生回路14にあらかじめ与えられる。波形発生回路14やRF発振回路19のタイミングはシーケンスコントローラ15により定められる。 【0011】RFコイル12によって受信されたNMR信号は前置増幅器20を経て位相検波回路21に送られて位相検波される。この位相検波のためのリファレンス信号として上記のRF発振回路19からのRF信号が送られている。位相検波によって得られた信号は、シーケンスコントローラ15によって制御されたA/D変換器22により所定のサンプリングタイミングでサンプルされ、デジタルデータに変換される。A/D変換器22から得られたデータはコンピュータ16に取り込まれる。コンピュータ16は、そのデータを2次元フーリエ変換して各ピクセルの画像データを再現する処理などを行う。 【0012】このコンピュータ16にはディスプレイ装置23、キーボード24、マウス25、記録装置26が接続されている。ディスプレイ装置23により、再構成されたMR画像などが表示される。キーボード24、マウス25などによって撮像シーケンスや撮像パラメータ等の入力・設定が行なわれる。記録装置26は光磁気ディスク装置などからなり、収集された生データや再構成後の画像データ等を記録する。 【0013】このように構成されたMRイメージング装置において、CHESS法による脂肪抑制イメージングを行う場合には、それに先立って図2のフローチャートで示されるように水の共鳴周波数を求める。まずスタートさせた(ステップ41)後、RFパルスの出力を調整し(ステップ42)、その後図3のパルスシーケンスを行いNMR信号のデータを収集する(ステップ43)。RFパルスの出力調整は、図3のパルスシーケンスにおいてRFパルスのフリップ角が正確になるようにするためである。 【0014】こうして、図3のように、反転180°パルス51、90°パルス52、180°パルス53を順次印加し、スピンエコー信号54を発生させる飽和回復法のパルスシーケンスを行う。これにより、図4の(a)の曲線61で示されるような信号を得ることができる。そして、この信号を受信してA/D変換した後、1次元フーリエ変換し、その周波数スペクトルにおいて最大ピークの位置から水の共鳴周波数を求め(ステップ44)、その後終了する(ステップ45)。なお、ここではスライス選択用の傾斜磁場は省略しているが、特定のスライス面での信号を観測する場合は、スライス選択用の傾斜磁場を適宜印加するようにする。 【0015】このとき、反転180°パルス51を印加してから90°パルス52を印加するまでの時間、つまり反転時間TIは、脂肪の回復時間に合わせる。脂肪の回復時間は、0.5テスラ〜1.5テスラ程度の静磁場中で100ms〜130msほどであり、反転時間TIをこの程度に設定する。なお、脂肪の回復時間は通常の静磁場強度では約20ms〜約200msほどの値をとり得るので、反転時間TIのとり得る値もそれに対応することになる。これに対して水の回復時間は同じ静磁場中で2s〜5s程度である。 【0016】そのため、脂肪からの信号は抑圧されることとなり、発生した信号61(図4)を1次元フーリエ変換して得た周波数スペクトルは図4の(b)のようになって、水のピーク62の方が脂肪のピーク63よりも格段に高いものとなる。なお、この信号61は、被検者31の腹部を検査対象としたときのものである。その結果、周波数スペクトルにおいて最大ピークを示す位置(周波数)を求めれば、水の共鳴周波数が検出されたことになる。 【0017】ここでは腹部を検査対象としたときの信号について述べたが、図3の飽和回復法によるパルスシーケンスによればこのように脂肪を抑制できることはどの部位でも同じであり、したがって、単に周波数スペクトルにおける最大ピークを求めれば水の共鳴周波数を求めることができることとなって、従来のように周波数スペクトルを操作者が観察して水のピークを探し出すという手間をかける必要がなくなる。 【0018】そこでこのように水の共鳴周波数が求められたら、それよりも3.5ppm低い周波数を脂肪の周波数と定めて、図5のようなCHESS法による脂肪抑制イメージングのためのパルスシーケンスを行う。図5の例では、SE(スピンエコー)法にCHESS法を適用したものとなっており、SE法によるパルスシーケンスの直前に脂肪抑制パルス99を付加したものとなっている。 【0019】SE法では、90°パルス91をスライス選択用の傾斜磁場(ここではGz)パルス93とともに加えて選択されたスライス面での磁化を90°倒し、その後180°パルス92をスライス選択用の傾斜磁場(Gz)パルス94とともに加えてそのスライス面での磁化を180°反転させてスピンエコー信号98を発生させる。このときGxパルス96、97を180°パルスの前後に印加して位相を揃えさせるとともにX方向の周波数エンコードを行う。またGyパルス95を印加することによりY方向の位相エンコードを行う。このようなSE法のパルスシーケンスの直前に脂肪抑制パルス99を付加する。この脂肪抑制パルス99は先に求めた脂肪の周波数にキャリアの周波数が合致させられたもので、このパルス99の印加により脂肪のスピンを磁気的に飽和させる。 【0020】そのため、脂肪抑制パルス99により脂肪からの信号を抑制することができ、スピンエコー信号98から収集したデータより再構成することによって、脂肪の抑制された画像が得られる。これにより、脂肪成分によって観察が妨げられることなく組織判別および形態把握が容易になる。 【0021】なお、上記の説明はこの発明の一つの実施形態に関するものであり、そのため例示にすぎず、この発明が上記の説明に限定されるものでないことはいうまでもない。具体的な構成などは図1の構成に限定されないし、水または脂肪の周波数を求めた後必ずしも図5のCHESS法によるパルスシーケンスを行わなければならないというものでもない。また図5のCHESS法によるパルスシーケンスで用いる傾斜磁場Gx,Gy,Gzも例示であって、X,Y,Zの各方向以外の傾斜磁場(たとえばGx,Gy,Gzの2つまたは3つを組み合わせて作る)を用いることも可能である。 【0022】 【発明の効果】以上実施例について説明したように、この発明の核磁気共鳴検査装置によれば、どのような検査部位についても周波数スペクトルにおいて最大ピークから水の共鳴周波数を求めることができるので、操作が容易でかつ確実に水の共鳴周波数を検出することができる。そのため、たとえばCHESS法による脂肪抑制イメージングのためのパルスシーケンスを実行して、脂肪の抑制された画像を得ることを容易に行うことができるようになる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001993 【氏名又は名称】株式会社島津製作所
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)1月30日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】佐藤 祐介
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| 【公開番号】 |
特開平11−216126 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)8月10日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−34042 |
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