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【発明の名称】 内視鏡
【発明者】 【氏名】荒井 敬一

【要約】 【課題】本発明は、観察手段と洗浄ノズルと湾曲牽引手段との関係を考慮することによって、内視鏡の性能を確保しながら先端部の格段な細径化を達成することを目的とする。

【解決手段】本発明は洗浄ノズル21の、対物レンズ12に向く方向が先端部5の略中心部を通し、さらに隣り合う湾曲操作ワイヤ26と先端中心と先端外径が形成する扇状領域内の洗浄ノズル21の供給管路を配設するようにして先端部の細径化を達成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】内視鏡挿入部の先端面部に観察手段と、この観察手段の外表面に流体を噴き付けて洗浄する洗浄ノズルとを設け、さらに内視鏡挿入部の湾曲部を湾曲するための複数の湾曲牽引手段を設けた内視鏡において、流体噴出方向を先端部の略中心に向けて上記洗浄ノズルを設置するとともに、上記先端部の略中心を点対称の中心として上記洗浄ノズルと点対称の位置に上記観察手段を配置し、さらに上記先端部の中心を通り、隣り合う2つの湾曲牽引手段の中心をそれぞれ通る2本の直線を想定し、これらの2本の直線と、これらの2本の直線が上記先端部外円と交差する点を結ぶ円弧とからなる扇状の領域内に、上記洗浄ノズルに流体を供給する管路を配置したことを特徴とする内視鏡。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、挿入先端部に観察窓及び洗浄ノズルを有した内視鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】内視鏡の挿入部は狭い体腔内に挿入されるために、極力細いものであることが望ましい。先端部の先端面部分には観察窓、洗浄ノズル、照明窓や鉗子口等が配設されている。さらに先端部内にはそれらに対応して接続される光学系や管路系等の多くの部材が高密度で組み込まれている。
【0003】従来、挿入部を細径化するには先端部の細径化が重要であるとされ、このため、先端部に組み付けられる機能部品の形状や配置が種々工夫されてきた。例えば特開平7−43621号公報において提案された内視鏡は、観察窓に向けて送気ノズルと送水ノズルを設け、送気ノズルを送水ノズルよりも対物レンズ中心に近付け、固体撮像素子の略角形の表示エリアの一辺の側方に近接してノズルを設置するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の内視鏡にあっては、ノズルを観察窓に近付けることにより洗浄性の向上と同時に先端部のコンパクト化を図ることを意図してきた。その結果、図17で示すように洗浄ノズル101と観察窓102は先端面103内において側方領域に片寄り互いに近接して並置されるようになっている。また、照明窓104と鉗子口105は他方の側方領域に片寄り並置されている。
【0005】しかしながら、最近の内視鏡のように、先端部がどんどん細径化してくると、各機能部分が近接し過ぎて、次のような問題が起きることになる。つまり、先端部の外径を小さくする場合、洗浄ノズル101と観察窓102とを合わせた総和面積が、先端面が占める全面積の約40〜50%に至ると、逆に洗浄ノズル101を観察窓102から離さないと、観察画面内に洗浄ノズル101の一部が表れ、画面の一部が切れてしまう(図17,図18参照)。また、洗浄ノズル101の尻部は先端部105の周縁丸み部分106にはみ出してしまう。
【0006】かといって、洗浄ノズル101を小さくすると、洗浄水の噴出勢いが弱くなり、洗浄性が落ちる。また、観察窓102を小さくすることは画像の劣化につながるので、洗浄ノズル101と観察窓102の2つを極力大きくしたままで先端部の径を小さくする必要がある。
【0007】しかし、先端面に設置する各機能部分のレイアウトだけを考える方策だけではこれまで以上に先端部を小さくすることが不可能であり、先端部の細径化に限界があることが分かった。その理由は、先端部の裏側では内蔵物の断面積が先端部の断面積に比べて大きいからである。具体的には電子内視鏡でいえば対物レンズより固体撮像素子の方が大きく、鉗子口の大きさよりも先端部に固着された口金とチャンネルチューブとを接続する部位のほうが大きく、また、照明系もレンズ系よりも先端部に固着された口金や保護チューブを被覆したライトガイドの径の方が大きいためである。
【0008】さらに内視鏡挿入部には湾曲部を湾曲操作する湾曲牽引手段が設けられ、その湾曲牽引手段のワイヤは4本あるいは2本あり、その湾曲牽引手段の断面積も先端部の径の大きさに影響する。ワイヤの断面積は先端部の断面積が小さくなってもそれに比例して小さくなるものではない。先端部を牽引するのに必要な力は先端部の大小に応じてあまり変わらないものである。よって、先端部の断面積が小さくなればなる程、ワイヤの断面の占める面積の割合が大きくなり、その結果、湾曲牽引手段のワイヤも細径化を図る上で大きな問題となる。
【0009】本発明は上記課題に着目してなされたものであり、観察手段と洗浄ノズルと湾曲牽引手段との関係を総合的に考慮することによって、内視鏡の性能を確保しながら先端部の格段な細径化を図ることを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明は、内視鏡挿入部の先端面部に観察手段と、この観察手段の外表面に流体を噴き付けて洗浄する洗浄ノズルとを設け、さらに内視鏡挿入部の湾曲部を湾曲するための複数の湾曲牽引手段を設けた内視鏡において、上記洗浄ノズルの流体噴出方向を先端部の略中心に向けるとともに、上記先端部の中心を点対称の略中心として上記洗浄ノズルと点対称の位置に上記観察手段を配置し、さらに上記先端部の略中心を通り、隣り合う2つの湾曲牽引手段の中心をそれぞれ通る2本の直線を想定し、これらの2本の直線と、これらの2本の直線が上記先端部外円と交差する点を結ぶ円弧とからなる扇状の領域内に、上記洗浄ノズルに流体を供給する管路を配置したものである。
【0011】すなわち、先端部が細くなるにつれ、その先端部の外径に対する洗浄ノズルや観察窓の大きさの割合が高くなるため、洗浄ノズルの観察窓に向く方向が中心部を通っていないと、洗浄ノズルが観察視野内に入り込んだり先端部からはみ出したりしてしまうが、本発明では、観察窓に洗浄ノズルが向く方向を、先端部の中心近域を通過するように配置すると同時に、上記先端部の中心を点対称の略中心として上記洗浄ノズルと点対称の位置に上記観察手段を配置し、さらに上記先端部の略中心を通り、隣り合う2つの湾曲牽引手段の中心をそれぞれ通る2本の直線を想定し、これらの2本の直線と、これらの2本の直線が上記先端部外円と交差する点を結ぶ円弧とからなる扇状の領域内に、上記洗浄ノズルに流体を供給する管路を配置したから一段と先端部の細径化が達成できる。
【0012】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)図1乃至図7を参照して本発明の第1実施形態を説明する。図1は内視鏡全体の斜視図である。内視鏡1は、操作部2、挿入部3及びユニバーサルコード4を備える。挿入部3は先端部5と湾曲部6と可撓管7とを備えた長尺な部材として構成されている。ユニバーサルコード4の延出先端には外部の装置と接続するコネクタ8が設けられている。操作部2には挿入部3の湾曲部6を湾曲させるための複数の操作ノブ9が設けられている。操作部2内には図示しない牽引機構が組み込まれており、牽引機構を操作ノブ9により操作することによって後述する4本の牽引ワイヤ(図4参照)を牽引し、挿入部3の湾曲部6を上下左右方向へ湾曲することができるようになっている。湾曲部6の最先端に位置する湾曲コマ10は先端部5の本体5aの後端部外周に被嵌し、図示しないネジにより固定されている。これらの外周には外皮11が被嵌されている。
【0013】図2及び図3で示すように、挿入部3の先端部5には、観察手段として、先端面側に位置した複数の対物レンズ12とその内側に位置した固体撮像素子13等からなる観察ユニットが設けられている。そして、図3での矢印で示すように、観察視野像の光が複数の対物レンズ12を通じて固体撮像素子13の撮像用受光エリアに入射結像するようになっている。ここで、固体撮像素子13の受光エリアは、図2で示すように、上下左右の辺を有した矩形または角形に形成されている。
【0014】また、先端部5の先端面には照明手段の照明レンズ14が設けられ、この照明レンズ14の後方には挿入部3内に挿通された照明ファイバー束15の先端が位置している。照明ファイバー束15は挿入部3、操作部2及びユニバーサルコード4内を通じてコネクタ8まで導かれている。コネクタ8は図示しない光源に接続されるようになっている。そして、照明ファイバー束15を通じて光源からの照明光を照明レンズ14に導き、照明レンズ14を介して体腔内に照明光を広範囲に照射して体腔内を照明する。
【0015】また、先端部5の先端面には鉗子口16が開口して設けられており、この鉗子口16は図示しない接続管を介して後述するチャンネルチューブ17に接続されている。チャンネルチューブ17は挿入部3内を通じて操作部2の鉗子挿入口部18に接続されている。
【0016】さらに、先端部5の先端面には次のような配置で洗浄ノズル21が設けられている。すなわち、この洗浄ノズル21の、流体を噴出する方向は、図2で矢印22で示すように、先端部5の略中心(長軸中心)の位置に向くものであり、内視鏡1の上下の湾曲目標のUD軸か左右の湾曲目標のRL軸に対し、約45゜の角度を成している。また、洗浄ノズル21の、流体を噴出する方向は、固体撮像素子13の撮像用受光エリアの1つの対角線と一致し、また、略平行に配置されている。先端部5の先端面において、洗浄ノズル21は対物レンズ12で形成される観察窓外表面に向いており、対物レンズ12と洗浄ノズル21は先端部5の略中心位置を対称の中心とした点対称の位置にそれぞれ配置される。また、同時に先端部5の略中心位置を通る線に関して、線対称の位置に配置されるものでもある。つまり、対物レンズ12と洗浄ノズル21はいわゆる対角な関係で配置されている。
【0017】一方、照明レンズ14と鉗子口16も、図2で示す如く、先端部5の略中心(長軸中心)を対称の中心として点対称の位置(先端部5の略中心位置を通る線に関して線対称の位置)に配置されている。そして、照明レンズ14と鉗子口16は固体撮像素子13の撮像用受光エリアの他方の対角線と略平行な向きで向き合って、いわゆる対角な関係で配置されている。
【0018】すなわち、先端部5の先端面において、洗浄ノズル21と対物レンズ12の中心部分を結ぶ線と、照明レンズ14と鉗子口16の中心部分を結ぶ線とは、先端部5の略中心(長軸中心)付近で交差する関係にあり、各組はいわゆる対角な関係で配置されると同時に交差する関係、つまり交差する対角な関係にある。このとき、各結び線、つまり対角線は90°の角度で交差している。
【0019】図4は先端部5を裏側から見た断面図である。図4で示すように、湾曲部6を引っ張って湾曲させるための湾曲牽引手段として4本の湾曲操作ワイヤ26が、湾曲部6内に略90゜間隔で、湾曲目標UD軸と湾曲目標RL軸上またはその近くにそれぞれ位置して配置されている。4本の湾曲操作ワイヤ26の先端は湾曲部6の先端部の内側部分または先端部5の本体5aに溶接等により固定されている。これらの湾曲操作ワイヤ26は、照明ファイバー束15、チャンネルチューブ17、洗浄チューブ36、ケーブル47の間の空間を利用してその空間内に配置されている。つまり、洗浄ノズル21を初めとする洗浄手段、観察手段、照明手段、チャンネル手段等の内蔵部材が隣り合う間の空間内に湾曲牽引手段の湾曲操作ワイヤ26が配置される構成になっている。
【0020】そして、湾曲牽引手段、ここでは、4つの湾曲牽引手段の湾曲操作ワイヤ26が内蔵物との関係において、つまり、隣り合う内蔵物の間の空間に位置するように湾曲牽引手段、特に湾曲操作ワイヤ26を設けるようにする。従って、内蔵物と湾曲操作ワイヤ26が一致して干渉し合わない。
【0021】特に、上記洗浄ノズル21の流体噴出方向を先端部5の略中心に向けるとともに、上記先端部5の中心を点対称の中心として上記洗浄ノズル21と点対称の位置に上記観察手段の対物レンズ12を配置する。さらに上記先端部5の中心を通り、隣り合う2つの湾曲牽引手段の中心をそれぞれ通る2本の直線を想定し、これらの2本の直線と、これらの2本の直線が上記先端部5の外円と交差する点を結ぶ円弧とからなる扇状の領域内に、上記洗浄ノズル21に流体を供給する管路を配置した。
【0022】上記洗浄ノズル21はステンレス鋼製パイプかプラスチック製パイプで作られたノズル体27によって形成されている。すなわち、図5で示すように、ノズル体27は基部28と頭部29とからなり、頭部29には噴出口30が形成されている。ノズル体27の基部28は先端部5の本体5aに形成された嵌合穴32に嵌着される。図5で示すように嵌合穴32の部分は先端部5の中心軸に対して平行ではなく、中心軸に鋭角な角度を成して斜めに形成され、洗浄ノズル21の噴出口30の噴出方向とは鈍角を成している。また、流体を供給する管路部分において、ノズル体27の基部28における部分から噴出口30に向かう屈曲管路部分33の屈曲角は鈍角である。このため、洗浄水の勢いが直角のものに比べて損なわず、洗浄性が高くなる。また、この損失のない分、ノズル体27の小型化により先端部5をさらに細径小型化することができる。
【0023】ノズル体27の基部28を嵌め込む嵌合穴32の部分は斜めの穴になっている。このため、ノズル体27が回転し難い。洗浄ノズル21を強く拭いたときでも回転することがないので、ノズル体27が脱落しにくい。
【0024】先端部5の本体5aには嵌合穴32の部分に連続した洗浄孔34が形成されており、この洗浄孔34の部分は嵌合穴32に嵌め込むノズル体27の基部28の管路部分から直線的に延長するように形成されている。そして、洗浄孔34から嵌合穴32に嵌め込まれるノズル体27内にわたり洗浄ノズル21に流体を供給する管路が形成されているため、洗浄し易い。さらに、洗浄孔34及び嵌合穴32は先端部5の中心軸に対して平行ではなく、その中心軸に鋭角な角度を成しており、先端にいくほど対物レンズ12側に近付くように斜めに形成されている。従って、先端部5の後端側にある接続パイプ35やこれに接続する洗浄チューブ36の部分が、固体撮像素子13や、これに接続されて電気信号を図示しないビデオプロセッサ等に伝えるためのケーブル37の位置から離れる。このため、ケーブル37がEMC対策等で太くなっても組み立て易い。
【0025】洗浄孔34の後端には接続パイプ35が接続されている。この接続パイプ35の後端には洗浄チューブ36が接続されている。洗浄チューブ36は例えば図示しない送水チューブと送気チューブに接続されていて、洗浄ノズル21に送水または送気を行うようになっている。
【0026】図6は先端部5に組み込まれる観察手段のユニットの具体的な構造を示す縦断面図である。すなわち、このユニットは、複数の対物レンズ12や各種光学フィルタ41を組み込んだ円筒形のレンズ枠42と、各種光学フィルタ41を組み込んだ別の円筒形のレンズ枠43とが設けられている。レンズ枠42,43は嵌合して組み立てられており、これらのレンズ枠42,43は組立て時に嵌合状態で前後移動可能である。後側のレンズ枠43の後端部内には固体撮像素子13が固定的に取り付けられている。また、最後端に位置する光学フィルタ41はその固体撮像素子13の受光面(接合面)に密着して取り付けられている。レンズ枠42,43は嵌合状態で前後移動可能であるため、固体撮像素子13にピントを合わせるときの微調整が可能である。
【0027】固体撮像素子13のパッド部44にはフレキシブル基板回路45が半田等で電気的に接続されている。フレキシブル基板回路45は固体撮像素子13の後方位置で斜めに中心側へ折り曲げられており、このフレキシブル基板回路45にはコンデンサや抵抗などの電子部品46が半田付されている。フレキシブル基板回路45や電子部品46には接続ケーブル47の単線48がその先端部分の絶縁被覆を剥がした状態で半田付されている。
【0028】さらに、固体撮像素子13を組み付ける後側のレンズ枠43の後端において、パッド部44とは逆側に位置して対向する一部分にはこれよりケーブル47まで延長された延長部49を一体的に形成されている(図7参照)。この延長部49はレンズ枠42,43の中心軸と平行に後方へ延長され、上記フレキシブル基板回路45や電子部品46の側方に位置している。延長部49の延長先端部はケーブル47の部分に糸51で巻き付け固定されている。さらに、レンズ枠43の後端部分からケーブル47の部分までの領域において、上記延長部49、フレキシブル基板回路45、電子部品46及び単線48の全体が、熱収縮チューブ52によって被覆されている。熱収縮チューブ52内の隙間は絶縁接着剤53やエポキシ樹脂等で埋められている。
【0029】このように観察手段のユニットが延長部49を設けて一体的に構成されるので、長尺のケーブル47が内視鏡1の湾曲操作などにより繰り返し引っ張り力を受けても強度的に弱い基板回路45、固体撮像素子13の半田接続部のパッド部44、電子部品46とケーブル47の端の半田付け部、固体撮像素子13と光学フィルタ41の接着剤による接合面54等の各部分に直接に力が加わることがなく、その力はレンズ枠43に加わるのでユニットの強度が高まる。要するに上記延長部49を設けることにより脊椎動物の如くユニットには背骨ができ、耐久性が向上し、衝撃などにも強いものとなる。また、何度もリペア(再生)できる。さらに、延長部49を設けるという簡単な構成でありながら強度が高まり、その観察手段のユニットの小型化が図れる。
【0030】この実施形態では先端部5に組み込む対物レンズ12と洗浄ノズル21を対角な関係で配置したので、先端部5の外径を小さくした場合でも対物レンズ12及び洗浄ノズル21を先端部5の先端面の領域内で極端に近づけることなく余裕を持って配置でき、対物レンズ12及び洗浄ノズル21の部分が近づき過ぎたり先端部5の外周部分からはみ出したりすることなく設置できるようになる。さらに、照明レンズ14及び鉗子口16を対角な関係で配置し、これらの組みを互いに交差するように配置したので、対物レンズ12、洗浄ノズル21、照明レンズ14及び鉗子口16の全体が、先端部5の先端面の領域内でコンパクトに配置することができる。つまり、対物レンズ12、洗浄ノズル21、照明レンズ14及び鉗子口16の部分が先端部5の外周部分に寄り過ぎたりはみ出したりすることなく余裕を持って設置できる。先端部5の先端面外周縁部分には全周にわたりアール状の面取り部25を形成する余地を確保できるようになる。
【0031】さらに本実施形態では湾曲牽引手段と他の機能部品との配置関係を考慮することによって、先端部5のさらなる細径化を図るものである。湾曲牽引手段、すなわち通常、4つの牽引手段と、洗浄ノズル21を初めとする照明系、対物系、鉗子チャンネルといった内蔵物との関係において、隣り合う内蔵物の間の空間に湾曲牽引手段を設けるため、先端部5のさらなる細径化が達成できる。
【0032】すなわち、上記洗浄ノズル21の流体噴出方向を先端部5の略中心に向けるとともに、上記先端部5の中心を点対称の中心として上記洗浄ノズル21と点対称の位置に上記観察手段の対物レンズ12を配置し、さらに上記先端部5の中心を通り、隣り合う2つの湾曲牽引手段の中心をそれぞれ通る2本の直線を想定し、これらの2本の直線と、これらの2本の直線が上記先端部5の外円と交差する点を結ぶ円弧とからなる扇状の領域内に、上記洗浄ノズル21に流体を供給する管路を配置することにより各部の機能を損なうことなく、先端部5のさらなる細径化を図ったものである。
【0033】(第1実施形態の変形例)第1実施形態の他の変形例として、湾曲牽引手段を2つとしたものである。上下の湾曲目標のUD軸上か左右の湾曲目標のRL軸上に湾曲牽引手段を配設し、洗浄ノズル21からの流体噴出方向をそれらの湾曲目標軸線に対して略45゜に設ける。このように2方向の湾曲方式とすることで、先端部5がよりコンパクトな構成にすることができる。また、必要に応じてチャンネルを大きくしたり、照明手段、観察手段、洗浄手段を大型化することも可能である。
【0034】(第2実施形態)図8を参照して本発明の第2実施形態を説明する。この第2実施形態では前述した第1実施形態での鉗子口16の位置にその鉗子口16の代わりに照明手段の照明レンズ14が設けられ、この照明レンズ14の後方にも挿入部3内に挿通された図示しない照明ファイバー束の先端が位置して接続されている。この点を除けば他の構成は前述した第1実施形態のものと同じである。このように先端部5の先端面に2つの照明手段を設ければ、照明を明るくできる。
【0035】(第3実施形態)図9を参照して本発明の第3実施形態を説明する。図3は先端部5の部分を後側から見た横断面図である。
【0036】先の実施形態では固体撮像素子13を保持する後側のレンズ枠43の後端においての、パッド部44の逆側に180°離れて位置する部分から延長するように延長部49を設けていたが、この第3実施形態ではパッド部44と90゜ずれた位置に同様な延長部49を設け、先端部5の後方に設けられた撮像装置装着溝61の開口部側にその延長部49を設けるようにした。
【0037】このように延長部49を配設すれば、上下に湾曲させる際、その湾曲方向に対する延長部49の剛性が高くなる。一般に上下方向の湾曲が左右方向の湾曲よりも頻繁に使われるので、延長部49を上下方向と平行にしたことで、上下方向にアングルをかけたときの力を受けても撮像装置の各種接合部の耐性が高まると共に、湾曲部6の湾曲コマの開口部の衝撃に対しての強度が高まる。
【0038】(第4実施形態)図10及び図11を参照して本発明の第4実施形態を説明する。図10は観察手段のユニットの縦断面図であり、図11は固体撮像素子13を保持する後側のレンズ枠43と延長部49の斜視図である。
【0039】この第4実施形態ではまず、延長部49とケーブル47の単線48を糸65で結束したものである。この場合、糸65をケーブル47の単線48の間を縫うように通して延長部49とケーブル47を固定し、それらに接着剤53を塗布し、これらの外面に熱収縮チューブ66を被覆し、熱収縮させて固定してある。尚、この実施形態の場合、延長部49の長さは短く、延長部49の先端はケーブル47の太い部分までには達していない。
【0040】また、ここでの延長部49は図11で示すように、固体撮像素子13を保持する後側のレンズ枠43の後端に別部材のものとして延長部49を取り付けるようにしたものである。延長部49は電気的絶縁体で作られ、レンズ枠43の後端に設けられた嵌合溝67に延長部49の基部を嵌め込み、接着剤で固定的に取り付けられている。また、延長部49の後端には糸65を巻き易くするための糸かけ溝68が設けてある。
【0041】この実施形態によれば、熱収縮チューブ66により全体的に収縮させて固定してあるため、先の実施形態のものよりコンパクトに構成することができる。尚、上記延長部49は別の補強用板材としてもよいし、この場合、電気的絶縁体で作るようにしてもよい。
【0042】(第5実施形態)図12を参照して本発明の第5実施形態を説明する。図12は先端部付近の一部の縦断面図である。
【0043】この第5実施形態では先端部5と、この本体5aの後端に接続される湾曲部6の最先端の湾曲コマ10との接続構造についてのものである。各湾曲コマ10の材質はステンレス鋼などであり、隣接する湾曲コマ10同士は図示しないリベットによって回転可動に連結されている。これらの湾曲コマ10には変形自在な編組管71が被覆され、編組管71の両端は湾曲コマ10等に接着剤で固定されている。編組管71はステンレス線や合成樹脂繊維で作られている。先端部5の本体5aと編組管71の外周上にはフッ素ゴム製の防水用弾性管72が被嵌して設けられている。
【0044】先端部5の本体5aの後端部周面には最も先端側に位置する湾曲コマ10の内周の径と略等しい外径に形成された嵌合段部73が形成されている。この嵌合段部73には最も先端側に位置する湾曲コマ10の先端部分が嵌着されている。
【0045】湾曲コマ10の嵌合端部には少なくとも2つ以上のコマ孔75があいており、コマ孔75に対応して、嵌合段部73には固定穴76が形成されている。そして、少なくとも1つ以上のコマ孔75とこれに対応する固定穴76にはその両者にわたりステンレス鋼製の固定ピン77が嵌め込まれている。嵌合段部73の深さは湾曲コマ10の厚さと略等しく、また、固定ピン77は嵌合段部73以上に突き出さないようになっている。これにより先端部5と湾曲コマ10は中心軸廻りの回転と長手軸方向の動きが阻止されて連結されている。
【0046】さらに、先端部5の本体5aの外周には、上記嵌合段部73よりも先までの範囲にわたり嵌合用段差外周面78が形成され、嵌合用段差外周面78には上記弾性管72の先端部が嵌合されている。弾性管72の外周上にはPTFE製の熱収縮チューブ74が、少なくとも固定ピン77の上に至る長さで被着され、収縮固定されている。尚、嵌合用段差外周面78は上記熱収縮チューブ74が加熱により収縮した時に熱収縮チューブ74が先端部5の本体5aの先端部外周と同一面になるように形成されている。
【0047】このように構成したので、仮に無理な力が湾曲コマ10に加わって、コマ孔75が固定ピン77を乗り越えそうになったとき、柔らかい弾性管72だけでは乗り越えを止められないが、弾性管72に比べ硬い熱収縮チューブ74が収縮して締め付け状態にあり、このため、縮んだ弾性管72が硬くなっているのでコマ孔75が固定ピン77を乗り越えにくくする。
【0048】このような接続構成によれば接続強度が向上し、また、コマ穴75及びピン穴76の径を小さくできるので、先端部5付近をコンパクトに構成することができる。尚、修理などで先端部5と湾曲コマ28を分解するときには、固定ピン77をほじくり出して分解することになる。
【0049】(第6実施形態)図13及び図14を参照して第6実施形態を説明する。図13は先端部付近の一部の縦断面図であり、図14は図13中A−A線に沿う部分の断面図である。
【0050】この第6実施形態は前述した第5実施形態の変形例であり、固定ピン77の外端に径の大きい頭部79を形成し、固定ピン77の頭部79の高さと湾曲コマ10の厚さの和が嵌合段部73の深さに略等しく、固定ピン77の頭部79が嵌合段部73から突き出さないようになっている。固定ピン77に頭部79を設けた分、湾曲コマ10が乗り越えて、固定ピン77から外れることを防ぐことができる。
【0051】また、図14で示すように、嵌合段部(嵌合部)73には湾曲コマ10の少なくとも1つのコマ孔75の周辺部分とこれに対応した固定穴76の周辺部分は平坦に形成されており、湾曲コマ10の平坦部81が嵌合段部73の平坦部82に係合している。このように湾曲コマ10の一部と嵌合段部73の一部が平打ちされていて、この平坦部81,82が嵌め合いになっているため、この部分自体でも回転止め効果が得られる。また、固定ピン77には頭部79があるのでコマ孔75の部分が固定ピン77を乗り越えて外れることがない。
【0052】(第7実施形態)図15を参照して第7実施形態を説明する。図15は先端部付近の一部の縦断面図である。
【0053】これは前述した第6実施形態のものにおいて、湾曲コマ10のコマ孔75に嵌まり込む固定ピン77の一端部が皿型の頭部85とし、この頭部85に対応してコマ孔75も皿型に形成されている。このため、固定ピン77の頭部85が湾曲コマ10の厚み内にあり、これにも拘わらず、固定ピン77から湾曲コマ10の嵌合部分が乗り越えて外れにくい。
【0054】(第8実施形態)図16を参照して第8実施形態を説明する。この実施形態はここでの内視鏡1に使用されているチャンネルチューブもしくは吸引チャンネルチューブの例である。このチャンネルチューブ90の構成は次のようになっている。つまり、ゴム硬度85〜95度の熱可塑性ポリウレタンエラストマー製の中間層91の内外面に軟質ポリウレタン系樹脂に四ふっ化エチレン・六ふっ化プロピレン樹脂、FEPのファインパウダーと、フッ素系撥水剤を混合した添加剤を重量比で、30%混合したコート剤を30〜50ミクロンの厚さでコートし、乾燥して、内コート層92と外コート層93を形成したものである。
【0055】このように構成したので、内外面のコート層92,93が添加剤により滑り易くなっている。また、チューブ90を曲げた場合、中間層91に比べ硬い内外面のコート層92,93が突っ張るため座屈しにくい。また、座屈しても元の形に回復する。弾発性があり曲り癖もつきにくい。FEPとフッ素系撥水剤により、水残りが少ない水切りのよいチューブ90を提供することができる。
【0056】このチューブ材を使用すれば、滑りやすいので、処置具や掃除用ブラシの挿通力量が軽い。また、曲げた状態でも挿通可能、外面も滑り易いので他の内蔵物の動きを阻害しない。更には挿入部やユニバーサルコードの蛇管より座屈しにくいチューブができるので、これらの内部に用いることができる。
【0057】また、一度、座屈しても、変形が弾性回復により略元通りに戻るので、処置具や掃除用ブラシが通る、洗浄もし易い。湾曲部や挿入部内に用いて繰り返し曲げても曲り癖がつかないので、湾曲部形状を初期状態に保持できる。
【0058】FEPとフッ素系撥水剤の添加により、内面の撥水性に優れ汚れがつきにくいし、洗浄や消毒後の水残りが少ない。その他、所望の内外径サイズや柔らかさを得るため中間層91の肉厚や添加剤の配分量や、中間層91のゴム硬度を変化させることが可能であり、内外面でコート厚を変化させたり、部分的にコート厚を変えたりすることも可能である。
【0059】また、内外面でコートの種類を変えることも可能である。コート剤の滑り性を向上するために、本願ではFEPを用いたが、PTFEやPFAなどの他のフッ素樹脂やMoS2 や窒化ボロンなどの固体潤滑剤を混ぜてもよい。また、コートの基材として軟質系ポリウレタン樹脂の変わりにフッ素系塗料を用いても良い。
【0060】前述した実施形態では挿入部を4方向に湾曲するものについて説明してきたが、本発明はそれに限定されるものではなく、例えば2方向に湾曲するものであってもよい。また、上下や左右方向へ正確に湾曲させるものに限らず、それとは異なる向きに湾曲させる場合でもよい。従って、湾曲牽引手段の位置も上下左右側に定める必要はなく片寄って湾曲牽引手段を配置するようにしてもよい。また、上記実施形態では洗浄ノズルと観察手段の位置は湾曲目標UD軸と湾曲目標RL軸に対し約45度としているが、湾曲牽引手段が理想軸から外れた10〜15度位の位置に設けることもある。このような場合、隣り合う牽引手段は最大120度の位置に離れるので、その中間として60度の位置にノズルを配置することも考えられる。
【0061】上記説明によれば少なくとも以下に列記する事項及びその任意の組み合わせの事項のものが得られる。
<付記>1.内視鏡挿入部の先端面部に観察手段と、この観察手段の外表面に流体を噴き付けて洗浄する洗浄ノズルとを設け、さらに内視鏡挿入部を湾曲するための複数の湾曲牽引手段を設けた内視鏡において、上記洗浄用ノズルの流体噴出方向を先端部の略中心に向けるとともに、上記先端部の中心を点対称の中心として上記洗浄用ノズルと点対称の位置に上記観察手段を配置し、さらに上記先端部の中心を通り、隣り合う2つの湾曲牽引手段の中心をそれぞれ通る2本の直線を想定し、これらの2本の直線と、これらの2本の直線が上記先端部外円と交差する点を結ぶ円弧とからなる扇状の領域内に、上記洗浄ノズルに流体を供給する供給管路を配置したことを特徴とする内視鏡。
【0062】2.湾曲牽引手段を4つ設けたことを特徴とする付記項1。
3.湾曲牽引手段を2つ設けたことを特徴とする付記項1。
4.流体噴出方向がいずれかの湾曲方向と、略45゜を成してなる付記項1〜3。
【0063】5.上記観察手段は対物レンズと固体撮像素子からなり、固体撮像素子の表示エリアの形状が略角形であり、その角形の対角線と略平行に流体噴出方向を一致させたことを特徴とする付記項1。
【0064】6.上記観察手段は、対物レンズと光学繊維束からなることを特徴とする付記項1。
7.内視鏡の先端部に嵌合穴を設け、これに洗浄用ノズルの基部を挿入固定する内視鏡において、ノズルの挿入固定部の軸と上記の嵌合穴の軸を、先端部の長手軸に対し斜めに設けたことを特徴とする内視鏡。
【0065】8.対物レンズ群と各種フィルターと、固体撮像素子と、これらを光学的に結像する位置で固定する枠体と、上記固体撮像素子の後方に配設され、固体撮像素子に電気的に接続される、回路基板とこの基板を介し、固体撮像素子と電気的に接続される電子部品及び複数本のケーブルと、上記回路基板、電子部品、ケーブルを被覆する絶縁体とからなる内視鏡の撮像装置において、上記枠体の一部を回路基板部に延長し、基板と共に絶縁体の接着剤で覆い固めたことを特徴とする内視鏡の撮像装置。
【0066】9.枠体の延長部を角形の固体撮像素子の辺側に設けたことを特徴とする付記項6。
10.枠体の延長部にケーブルを固定したことを特徴とする付記項6、7。
【0067】11.枠体の延長部を角形の固体撮像素子と回路基板とを接続する辺側に対向する辺側に設けたことを特徴とする付記項6。
12.補強板材を枠体とケーブルの間に橋渡しし、両端をそれぞれ枠体とケーブルに固定したことを特徴とする付記項6。
【0068】13.枠体の延長部を、内視鏡の先端部の構成体の撮像装置の装着溝の開口部に配設したことを特徴とする付記項6。
14.補強板材を内視鏡の先端部の構成体の撮像装置の装着溝の開口部側に設けたことを特徴とする付記項10。
【0069】15.枠体の延長部の剛性が高い方向を、内視鏡の複数湾曲方向のうち湾曲の頻度の高い湾曲方向と略平行としたことを特徴とする付記項6。
16.補強板体の剛性の高い方向を、内視鏡の複数湾曲方向のうち湾曲頻度の高い湾曲方向と略平行にしたことを特徴とする付記項10。
【0070】17.補強板体を絶縁体にしたことを特徴とする付記項10,14,12。
18.枠体の延長部の延長方向軸を、内視鏡挿入部の長手方向の軸に対し傾斜させたことを特徴とする付記項6,13,11。
【0071】19.内視鏡の先端部と、この後端に着脱自在に嵌着固定される短い複数の筒体から構成される湾曲可能な湾曲部と、これに被覆され上記先端部構成体に水密固定される弾性管と、先端部と湾曲部を貫通固定するピンとを有する内視鏡において、先端部と弾性管の固定手段を固定ピンを覆う位置に設けたことを特徴とする内視鏡。
【0072】20.上記固定手段は、熱収縮チューブと接着剤とからなることを特徴とする付記項17。
21.上記固定手段は、弾性管外周に締め付け被覆される第2の弾性管と、第2の弾性管の加熱熔着手段とからなることを特徴とする付記項17。
【0073】22.水密固定手段は、弾性管外周に締め付け巻回される糸と、この糸の外に塗布固化される接着剤からなることを特徴とする付記項17。
23.固定ピンは先端部構成体に挿入される部分より外径の大きい頭部を有することを特徴とする付記項17。
【0074】24.内視鏡の先端部と、この先端部の長手方向に貫通する複数の穴と、これらの穴に挿入固定される撮像装置、洗浄ノズル、照明手段と、これらの穴と直角方向に装着される固定ピンと、撮像装置、洗浄ノズル、照明手段の外周に設けられる固定ピン装着溝と、先端部後端に嵌合固定される湾曲部と、湾曲部に締め付け状態で被覆される弾性管と、先端部と弾性管の固定手段を有する内視鏡において、固定手段を少なくとも撮像装置、洗浄ノズル、照明手段のいずれか1つの固定ピンを覆って施したことを特徴とする内視鏡。
【0075】25.ノズルの固定部と、この固定部が挿入される内視鏡の先端部の嵌合穴の軸が先端部の長手軸に対しある角度を成して設けられる内視鏡で、その傾きを先端ほど対物レンズに近付くようにしたことを特徴とする付記項5。
26.上記の近付く方向を観察手段の角型の固体撮像素子の対角方向に一致させたことを特徴とする付記項23。
【0076】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、観察手段と洗浄ノズルと湾曲牽引手段との関係を考慮することによって、内視鏡の性能を確保しながら先端部の格段な細径化を達成できる。
【出願人】 【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス光学工業株式会社
【出願日】 平成10年(1998)2月4日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外4名)
【公開番号】 特開平11−216116
【公開日】 平成11年(1999)8月10日
【出願番号】 特願平10−23302