| 【発明の名称】 |
骨塩量測定装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】吉田 義輝
【氏名】服部 俊幸
【氏名】山田 聰
【氏名】野田 耕二
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| 【要約】 |
【課題】精確に生体の骨塩量測定が可能となる骨塩量測定装置を提供する。
【解決手段】単一の放射性同位元素を所定量用いたもの、又は複数の放射性同位元素を夫々所定量混合したものを所定の大きさの容器に収納したX線・γ線の点状線源20と、前記X線・γ線の線源20からの固有X線又はγ線の、或いは前記X線・γ線の線源20から生体を透過した固有X線又はγ線の、夫々の数とエネルギ値を計測し、かつ夫々の生体の透過経路を判別することにより、所望の位置の生体の固有X線又はγ線の透過率を測定するようにした測定機能30と、前記測定機能30により測定した生体の固有X線又はγ線の夫々の透過率に基づいて、当該生体の骨塩量を算出する計算機能40とを備えた構成とした。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 単一の放射性同位元素を所定量用いることにより、又は複数の放射性同位元素を夫々所定量混合することにより、所望のエネルギの固有X線又はγ線を所望の強度で発生するようにした1又は2以上のX線・γ線の線源と、前記X線・γ線の線源からの固有X線又はγ線の、或いは前記X線・γ線の線源から生体を透過した固有X線又はγ線の、夫々のエネルギ値を計測することによって夫々の線種を同定し、かつ夫々の生体の透過経路を判別する測定系により、所望の位置の生体の所望のエネルギ値の固有X線又はγ線の透過率を測定するようにした測定機能と、前記測定機能により測定した生体の夫々の固有X線又はγ線の透過率に基づいて、当該生体の骨塩量を算出する計算機能とを備え、非破壊で、生体の骨塩量を計測するようにしたことを特徴とする骨塩量測定装置。 【請求項2】 上記単一の放射性同位元素を所定量用いたX線・γ線の線源、又は複数の放射性同位元素を夫々所定量混合したX線・γ線の線源を略点状に作製するか、所定の大きさの容器に収納するか、或いはコリメータを用いることにより、上記X線・γ線の線源としては、ほぼ点状線源となるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の骨塩量測定装置。 【請求項3】 上記X線・γ線の線源として、3種以上のエネルギの固有X線又はγ線を放射する単一の放射性同位元素を所定量用いるようにし、又は複数の放射性同位元素を夫々所定量混合したものを使用するように構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の骨塩量測定装置。 【請求項4】 上記X線・γ線の線源に使用する複数の放射性同位元素として、241Am、133Ba、204Tlを用い、夫々所定量混合したX線・γ線の線源を使用するように構成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の骨塩量測定装置。 【請求項5】 上記測定機能として、位置及びエネルギ検出型の比例計数管又は半導体検出器を用いたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の骨塩量測定装置。 【請求項6】 上記測定機能として、縦長の比例計数管又は半導体検出器等の検出器を用いたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の骨塩量測定装置。 【請求項7】 x軸、y軸よりなる2次元平面、又はy軸、θ軸よりなる2次元平面において、上記測定機能を、x軸又はθ軸方向の1次元位置検出器、或いはx軸又はθ軸方向とy軸方向の2次元位置検出器とし(検出器の短い方向がy軸方向とする)、当該検出器をy軸方向にスキャニングすることにより、広い面積の生体の上記X線・γ線の線源からの固有X線又はγ線の透過率を測定するようにしたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の骨塩量測定装置。 【請求項8】 上記検出機能として、内部封入ガスを高圧にすると共に、内部に薄いベリリウム板又は金属グリッドに仕切られた多数の有感部分を、上記X線・γ線の線源からの固有X線又はγ線の飛程方向に設けた比例計数管を用いたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の骨塩量測定装置。 【請求項9】 複数の放射性同位元素として、241Am、133Ba、204Tlを夫々所定量混合することにより、所望のエネルギの固有X線又はγ線を所望の強度で発生するようにしたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の骨塩量測定装置のX線・γ線の線源。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、骨粗しょう症等の診断を中心とする各種医学診断分野に係り、特に、非破壊で人体や動物等の生体の骨塩量を計測する骨塩量測定装置の改良に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、人口構成が老齢化にシフトしている中で、骨粗しょう症や骨軟化症等の対応策として骨塩量の測定が重要になってきている。ここで、骨粗しょう症とは、骨基質と骨塩との比率は正常であるが、骨の量自体が減少した病態をいい、一方、骨軟化症とは、骨石灰化障害により骨塩のみが減少した病態をいう。また、骨塩量BMD(Bone Mineral Density)[g/cm2]と骨密度ρ[g/cm3]との関係は次式で与えられる。 骨密度ρ[g/cm3]=骨塩量BMD[g/cm2]/骨の厚さd[cm]従来より、種々の骨塩定量法が、骨粗しょう症をはじめとする代謝性骨疾患の骨状態の正確な把握や早期診断の一助として試みられている。 【0003】測定方法としては、microdensity法(MD)、単一光子吸収計測法(SPA)、153Gdを線源とした2重光子吸収測定法(DPA)や定量的CT法(QCT)が行われて来ている。しかし、近年では、2つの異なるエネルギのX線を用いた骨塩定量法(DualEnergy X-ray Absorptiometry;DEXA法或いはDXA法)が、骨塩量の測定精度や測定器の感度が良く、しかも検査時間も短く、被曝線量も少ないという利点があるということで、最もよく利用されている。 【0004】以下、上記した従来のDXA法の原理を図12を用いて説明する。なお、前記した他の骨塩量の測定方法については説明を省略するが、X線或いはγ線(以下、適宜「X線」或いは「光子」と総括的に記載する場合がある。)が人体を透過する際の減衰率を測定することにより骨塩量を算出する点では、DXA法と原理的に同様である。 【0005】図12は、従来のDXA法を用いた骨塩量測定装置100の原理を説明するための概略構成図である。図12において、70はX線の線源(以下、適宜単に「X線源」という場合がある。)であり、図示は省略したが、X線管に回折格子或いはKエッジフィルターを備えることにより構成される。また、60は人体で、人骨61部分(以下単に「骨」或いは「皮質骨」という場合がある。)と軟部組織62から構成される。更に、72はシンチレーション検出器、或いは半導体検出器等のX線の検出装置であり、単独で、又は複数の検出器を配列させることにより、X線源70から照射され、人体60の軟部組織62のみ、或いは人骨61部分及び軟部組織62を透過したX線の線量を計測する。また、X線源70は、人体60の所望の位置のX線の透過率を測定するために、図12に示す矢印方向、或いは矢印方向及びその垂直方向にスキャニングするようになっている。このように、従来のDXA法の骨塩量測定装置100は、X線源70とX線の検出装置72より構成される。 【0006】以上の構成において、X線源70から人骨61部分の所望の位置の骨塩量Mb[g/cm2]の算出方法を説明する。図12に示すように、先ず、I0を人体60に入射するX線の強度とし、Iを人体60を透過したX線の強度とする。また、μs、ρsとTsは、夫々、軟部組織62における質量吸収係数、密度、厚さとし、μb、ρbとTbは、夫々、骨61における質量吸収係数、密度、厚さとする。このように各パラメータを定義すると、I0とIの間には次式のような関係が成り立つ。 I=I0・exp(−μb・ρb・Tb)・exp(−μs・ρs・Ts) (1)【0007】ところで式(1)は、種々のエネルギのX線で成り立つ関係式であるので、異なるエネルギのX線を用いた場合は、次の2式が成立する。 IL=I0L・exp(−μbL・ρb・Tb)・exp(−μsL・ρs・Ts) (2)IH=I0H・exp(−μbH・ρb・Tb)・exp(−μsH・ρs・Ts) (3)ここで、低エネルギ(エネルギ値;EL)のX線(XL)が人体60に入射する強度をI0L、人体60を透過した低エネルギ(EL)のX線(XL)の強度をIL、また、当該低エネルギ(EL)のX線(XL)の軟部組織62における質量吸収係数をμsL、骨61における質量吸収係数をμbLとしている。同様に、高エネルギ(エネルギ値;EH)のX線(XH)の人体60に入射する強度をI0H、人体60を透過した高エネルギ(EH)のX線(XH)の強度をIH、また、当該高エネルギ(EH)のX線(XH)の軟部組織62における質量吸収係数をμsH、骨61における質量吸収係数をμbHとしている。 【0008】骨塩量Mbは、Mb=Tb・ρbで与えられるが、式(2)及び式(3)を連立方程式として、骨塩量Mbについて解くと、骨塩量Mbは次式で求めることができる。 Mb=Tb・ρb={μsH・ln(I0L/IL)−μsL・ln(I0H/IH)} /{μsH・μbL−μsL・μbH} (4) ここで、低エネルギのX線(XL)及び高エネルギのX線(XH)の軟部組織62における質量吸収係数μsL、μsH、及び骨61における質量吸収係数μbL、μbHは、低エネルギのX線(XL)及び高エネルギのX線(XH)のエネルギ値(EL、EH)によって決定される量である。従って、結局、骨塩量Mbは、低エネルギのX線(XL)、及び高エネルギのX線(XH)の測定値(I0L/IL)、及び(I0H/IH)を、X線の検出装置72によって測定し、その値を式(4)に代入することにより算出することができる量である。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した従来の測定装置は総て、計測した各光子(X線やγ線)に関し、次のような問題の一方、或いは双方を共通に有している。 (1−1)計測した光子が、複雑な内部構造をしている人体のどの部分を透過したものであるかについては、不明か或いは充分な精度で測定することができない(問題1)。 (1−2)計測した光子のエネルギ値について、不明か或いは充分な精度で測定することができない(問題2)。 【0010】更に、注意しなければならないのは、式(1)乃至式(4)は、厳密には高いエネルギの光子と低いエネルギの光子とが人体の全く同じ位置を透過し、しかも夫々が単一のエネルギであるときにのみに成り立つ式であることである。従って、上記(1−1)及び(1−2)の如く、この条件が満たされないにもかかわらず、高いエネルギの光子と低いエネルギの光子に関する夫々の式(1)乃至式(4)において、図12に示す骨61の厚さTbと密度ρb、及び軟部組織62の厚さTsと密度ρsに共通の値を用いたり、骨61の質量吸収係数μb及び軟部組織62の質量吸収係数μsを一定の値として、式(2)及び式(3)を連立方程式として解く従来の方法は、その方法自体が根本的な誤りである。 【0011】以下に、上記(1−1)の(問題1)及び(1−2)の(問題2)のために、骨塩量の測定値にどの程度の誤差がもたらされるかに関して、具体的な場合について計算し、検討した結果生じる誤差を(2−1)乃至(2−6)に記す。これらの結果により、ある特別な条件により求めた、従来の骨塩量測定装置の測定値再現性(従来の骨塩量測定装置では、これを「精度」と称している場合が多い。)に関する数値とは大いに異なって、従来の測定装置では、根本原理的に充分な精度と信頼性では骨塩量の測定ができないことが分かる。従って、従来の骨塩量測定装置では、平均的な加齢に伴う、年約1%の骨減少や、代謝性骨疾患の多くの、年約3〜5%の骨減少を根本原理的に充分な精度と信頼性で骨塩量の測定ができないことが順次明らかにされる。 【0012】(2−1)人体骨は複雑な形状をしていることに起因する誤差(形状誤差) 例えば図13に示すように、人体骨61は、非常に複雑な形状をしており、図示による説明は省略するが、更に骨61の内部も複雑な構造をしている。一方、従来のDXA法(又はDEXA法)による骨塩量測定装置100では、各光子(X線やγ線)に関し、図13に示すX線の発生源であるX線管70のどの位置から放出されたのか(XLとXH)、或いは検出器72のどの位置で各X線を測定したのか(DLとDH)、の一方又は双方に関して不明であるか、或いは骨61の位置による形状変化に対比して、不充分な位置分解能での測定になっている。 【0013】それ故、結局のところ、従来の測定法による骨塩量測定装置100では、検出する各X線に関し、複雑な人体60のどの位置を透過してきたものか不明のまま、或いは解明が不充分なまま測定を行っていることになる。一方、式(1)は、X線のエネルギが低いとき(エネルギ値;EL)と、高いとき(エネルギ値;EH)の夫々で式(2)、式(3)が成立して、それらを連立方程式として、骨塩量Mbを求めることは上述したが、この算出法が許されるのは、低いエネルギのX線(XL)と高いエネルギのX線(XH)が、夫々人体60の全く同じ位置を透過した場合、或いは、図12に示す骨61の厚さTbと密度ρb、及び軟部組織62の厚さTsと密度ρsの総てが、低いエネルギのX線(XL)と高いエネルギのX線(XH)において全く等しい場合のみであることに注意しなければならない。この意味で、従来からのDXA法(又はDEXA法)による骨塩量測定装置100は、人体骨塩量Mbの測定において、原理的に間違っているか、或いは精度的に不充分であることになる。 【0014】ところで、従来の測定法による骨塩量測定装置では、全体としてみれば、低いエネルギのX線(XL)と高いエネルギのX線(XH)は共に、ほぼ同じ人体の部分を透過しているのだから、平均的にはそれ程大きな測定誤差にはならないのではないかという見解が採られていた可能性がある。しかし、X線は実際は人体内で、式(1)に示すように指数関数的にその強度が減衰するという性質のために、この誤差は現実には極めて大きいものとなる。以下に、上記連立方程式である式(2)及び式(3)が成り立つとして求めた式(4)に、いくつかの典型的な人体形状が変化する具体例における各数値を代入して求めた骨塩量は、いかに本来の骨塩量の平均値と異なった値になっているかを具体的に計算によって示す。 【0015】図14は、人体60を軟部組織62と皮質骨61に分類し、X線(XL1、XL2、XH1、XH2)が人体60の異なる部分を透過した場合について、影響の違いを計算するために皮質骨61の厚さを段階的に変化させた状態を示す模式図である。図14において、人体60は皮質骨61の薄い部分Tb1と皮質骨61の厚い部分Tb2より成り、他の軟部組織62部分Ts1、Ts2を含めて同じ厚さTが示されている。この模式化した人体60において、低エネルギX線(XL)のエネルギ:EL=30keV、40keV、50keV (A-1)高エネルギX線(XH)のエネルギ:EH=60keV、80keV、100keV (A-2)が、夫々透過した場合について骨塩量を計算する。 【0016】この皮質骨61の厚さが違う部分を、低いエネルギのX線(XL)と高いエネルギのX線(XH)が夫々透過した場合、具体的なエネルギの上記総ての組み合わせについて、軟部組織62部分の質量吸収係数μsL値、μsH値、及び皮質骨61における質量吸収係数μbL値、μbH値を求め、更に(IL/I0L)値、又は(IH/I0H)値は、図15(B)の表2に示す各場合(a〜f)について、IL/I0L=(1/2)・exp(-μbL・ρb・Tb1-μsL・ρs・Ts1) +(1/2)・exp(-μbL・ρb・Tb2-μsL・ρs・Ts2) (5) IH/I0H=(1/2)・exp(-μbH・ρb・Tb1-μsH・ρs・Ts1) +(1/2)・exp(-μbH・ρb・Tb2-μsH・ρs・Ts2) (6) 当該式(5)に、低いエネルギのX線(XL)の質量吸収係数μbL、μsL、皮質骨61の密度ρb、軟部組織62の密度ρs、皮質骨61の厚さTb1、Tb2、軟部組織62の厚さTs1、Ts2値を代入し、同様に式(6)に、高いエネルギのX線(XH)の質量吸収係数μbH、μsH、皮質骨61の密度ρb、軟部組織62の密度ρs、皮質骨61の厚さTb1、Tb2、軟部組織62の厚さTs1、Ts2値を代入して求めることにより、それらを式(4)に代入して骨塩量Mb値を求めた(以下、この値をMbc値とする。)。なお、式(5)や式(6)の中の係数に(1/2)を用いたのは、典型的な例として、図14の皮質骨61の薄い部分Tb1と皮質骨61の厚い部分Tb2とが、夫々等しい面積の場合について、計算したためである。 【0017】この式(4)により求めた骨塩量Mbc値は、図14のように人体60の皮質骨61の厚さが内部的に2種(Tb1、Tb2)あってそれらが等面積の時、それらが判別されずに、従来法で正しく測定されたときに従来のDXA法(又はDEXA法)により求められる骨塩量である。図15(B)の表2の各場合(a〜f)における、骨塩量Mbの真の平均値(これをMb0値とする。)は、当然ながらMb0=(1/2)・(Tb1+Tb2)・ρb (7) である。 【0018】以上により、X線の各エネルギ値(ELとEH)に関する上記(A-1)、(A-2)の各3個の値に対して、これらの総ての組み合わせである計9個の場合について、図15(B)の表2の(a〜f)の各皮質骨形状の夫々に関し、上記により計算で求めた骨塩量Mbc値の、骨塩量Mb0値に対する比(Mbc/Mb0)をまとめて図15(A)のグラフに示す。この計算は、皮質骨61の厚さTb1、Tb2、軟部組織62の厚さTs1、Ts2において、Tb1+Ts1=Tb2+Ts2=T=8cmの場合について行った。図15(A)により、皮質骨61の厚さTb1値とTb2値に違いがあることにより、従来より考えられていた程度とは比較にならないほどの大きな誤差が生じることが分かる。また、図15(A)には記してないが、人体60の厚さT値(従って、軟部組織62の厚さの値Ts1やTs2)が、図15(A)の場合の2倍或いは3倍になっても、皮質骨61の厚さ(Tb1とTb2)が同じ場合は、ほぼ同様の結果になることが、別の計算結果として得られている。 【0019】図15(A)、(B)より明らかに以下の(a)〜(d)に記すことが指摘し得る。 (a)従来のDXA法(又はDEXA法)では、特別な測定条件を設定したときの測定結果の繰り返し再現性が1%以下であることにより、これがあたかもDXA法の測定精度であるかのように言われてきている可能性があるが、従来のDXA法では、人体の内部形状を正確におさえることなく、測定結果を出していることにより必然的に、その10倍以上、場合によると数10倍の絶対値としての測定誤差が多くの場合においてあることが推測される。また、測定面積を変えたり、測定位置が少しずれた測定をしたとき、それらの骨塩量の測定結果間に、説明のし難い大きな相違が生じる可能性がある。 (b)骨形状には個人差があるため、従来のDXA法では、同じ骨塩量であったとしても、人によりかなり異なった測定結果になる。 (c)ほんの少しの測定位置や測定角度の違いにより、測定結果に大きな違いが生じ得ることにより、人により、また同一人物であっても測定時期が異なることにより大きな誤差が見込まれる。 (d)同一人物でも経時的に骨形状が変化することにより大きな測定誤差が見込まれる。 【0020】(2−2)X線のエネルギ値に拡がりがあることに起因する誤差(エネルギ拡がり誤差) 従来よりDXA法(又はDEXA法)による骨塩量測定に用いられているX線管より出るX線のエネルギ値は、連続スペクトルでかなりの拡がりを持つ。このため、各種のKエッジフィルターが用いられてきているが、これらを用いたとしてもX線のエネルギの単色化(単一化)にはほど遠い。少数ではあるが、従来の骨塩量測定装置でも、回折格子を用いてX線のエネルギを単色化することが行われている。しかし、この場合は、X線源としての空間的な拡がりが避けられず、上記(2−1)に記した形状誤差が問題になる。また、大部分の場合、X線の検出にはシンチレーション検出器が用いられているが、このエネルギ領域では、かなりエネルギ分解能が悪く、個々のX線のエネルギ分析をした測定ということにはなっていない。 【0021】以下に、DXA法(又はDEXA法)における、骨塩量測定において、一つの例として、低エネルギのX線のエネルギ値(EL)が40keV±10keVの範囲で拡がり、また高エネルギのX線のエネルギ値(EH)が80keV±20keVの範囲で拡がっている場合に関し、個々のX線のエネルギ値の分析をすることなく、測定結果の(IH/I0H)値や、(IL/I0L)値は、EL=40keV、EH=80keVのときの値であると見なして、式(4)により骨塩量Mb値を求めたとすると、EL=40keVやEH=80keVとは異なるX線のエネルギ値のEL値やEH値の夫々の場合における骨塩量Mb値に関する夫々エネルギ2.5keVステップの計算結果(これをMbe値とする)は、本来の骨塩量Mb値(これをMb0値とする)と大きく異なる結果になることが分かる。この結果の一例を図16にまとめて表3として、そして図17にはそれらをまとめてグラフにして示す。 【0022】この計算は、皮質骨塩量Mb0=1.85[g/cm2](皮質骨の厚さTb=1cm)、全軟部組織量Mso=7.49[g/cm2](全軟部組織厚さTS=8cm)の場合について、式(4)において夫々の(IH/I0H)値や、(IL/I0L)値は共通にEL=40keV、EH=80keVのときの軟部組織62部分の質量吸収係数μs値及び皮質骨61における質量吸収係数μb値を、式(3)や式(2)に代入することにより求め、また、式(4)の軟部組織62部分の質量吸収係数μsL、μsH、皮質骨61における質量吸収係数μbL、μbH値は夫々のX線のエネルギ値がEL、EHのときの値を代入することにより求めた。 【0023】低エネルギ(EL)のX線及び高エネルギ(EH)のX線のエネルギスペクトルを夫々矩形とした場合、即ち、低エネルギのX線のエネルギELが30keVから50keVまで、高エネルギのX線のエネルギEHが60keVから100keVまで、夫々等分布のときは、図16の表3の全Mbe/Mb0値を平均することにより、Mbe/Mb0=1.48が得られ、また、低エネルギのX線のエネルギELが35keVから45keVまで、高エネルギのX線のエネルギEHが70keVから90keVまで(表3で打点して示した中心枠部分)夫々等分布のときは、同じく、図16の表3のそのエネルギ範囲の全Mbe/Mb0値を平均することにより、Mbe/Mb0=1.114が得られる。即ち、X線が単色でなく、エネルギ値に幅があるとDEXA法(又はDXA法)により求めた骨塩量には1%というような値ではなく、その10倍或いは数10倍の大きな誤差が発生する可能性があることが分かる。 【0024】(2−3)散乱線の混入に起因する誤差図18に一例として測定対象とする部分の人体の厚さ(x)が10[g/cm2]のときの、光子(X線やγ線)の光電吸収の確率(1−Ip;Ip=exp(-μp・x))及びコンプトン散乱の確率(1−Is;Is=exp(-μs・x))、そしてそれらの比(1−Ip)/(1−Is)を光子エネルギ(Ex)の関数として示す。図18より明白に、光子(X線やγ線)エネルギが30keVを超すと、人体ではコンプトン散乱される確率が、光電吸収される確率より大きくなり、更に50keV以上では、コンプトン散乱される確率が圧倒的に大きくなる。 【0025】コンプトン散乱された光子は、散乱される前のエネルギより低くなるが、前方方向に散乱される光子の場合、その差は極めて小さく、例えばエネルギが80keV光子で散乱角が10゜以内のときは、0.16keV以内で、20゜以内の場合は0.75keV以内となる。それ故、特別に高エネルギ分解能のゲルマニウム検出器を使用したとしても、検出エネルギをスペクトル化して分離することはほぼ不可能である。従って、X線源及び検出器の双方の面積が、それらが置かれている間の距離に比し、充分に小さく、かつ、X線源と検出器が共に充分にコリメートされていない限り、散乱X線の混入による測定誤差は極めて大きく、そして避けられないものである。即ち、従来のDXA法(又はDEXA法)による測定では、この点に関する充分な対策が為されていなかった。 【0026】(2−4)2種のエネルギのX線だけで骨塩量を求めることに起因する誤差人体の骨塩量を、2種のエネルギのX線の夫々の透過率の測定値だけから求めようとすることは、基本的に以下の2つの問題点があり、誤差発生の原因になっている。 (a)DXA法(又はDEXA法)では、人体は骨と軟部組織の2種の物質のみから構成されていると仮定して、測定値を満足するように夫々の厚さを求めているが、骨も軟部組織も、双方共に多数の物質から構成されており、またその構造も複雑である。2種のX線のエネルギによるデータのみで解析しようとするDXA法は、原理的には構成物質が2種のときのみ有効であるので、多種のものを2種として解析する誤差はかなり大きくなる可能性があり、また、骨塩量測定の信頼性を小さくしている。 (b)総て放射線計測は、計測カウント数に伴って統計誤差が生ずることは必然であり、更にまた、個々の測定はその他にも必然的に各種の誤差を含む。それ故、求めたいパラメータ数よりも、より多種・多数の測定値を求め、それらの測定値間で最適フィットするようにすることで、正確な値が得られることになるはずであるが、従来のDEXA法(又はDXA法)では、2個のパラメータ(皮質骨の厚さTbと軟部組織の厚さTs)を2個の測定値(I0L/IL、I0H/IH)から求めるという意味なので、それがなされていないことになる。 【0027】(2−5)カウンタアレイ検出器の使用上の問題点近年、DXA法による骨塩量測定において、カウンタアレイ検出器を用いる場合が増えてきた。これを用いることにより、スキャニング回数を1桁以上減らして短時間の測定を可能にする、という大きなメリットが生じる。しかし、このカウンタアレイ検出器は、本来の位置検出器に比し、以下の問題点がある。 (a)個々のカウンタ間に不感領域がある。(b)個々のカウンタには感度上そして有感面積上ばらつきがあり、それらを揃えるのが困難である。 (c)個々のカウンタの感度は、経時的に変化することがあり、それらを常に調整しておくことは困難なことである。 【0028】(2−6)回折格子使用上の問題点上記(2−2)に詳しく記した通り、DXA法で骨塩量を測定する上で、X線のエネルギ値に拡がりがあることによる誤差は極めて大きい。この誤差を極小化する意味で、近年、X線管の後方に回折格子を置き、X線のエネルギを選別(単色化)してから、人体に照射する方法が一部で行われるようになった。回折格子を使用することは、骨塩量の測定誤差を小さくする上で非常に大きな意味を持つことになるが、しかし、必然的にX線源としての回折格子の面積はかなりの拡がりを持たざるを得なくなり、このため、X線源の点状線源化は不可能である。このため、もう一方のDXA法での大きな誤差である、(2−1)に詳しく記した、人体のどの部分を透過したかの判別が不可能になることによる形状誤差の問題は避けられなくなる。 【0029】本発明は、上記課題(問題点)を解決し、精確に生体の骨塩量測定が可能となる骨塩量測定装置を提供することを目的とする。 【0030】 【課題を解決するための手段】本発明の骨塩量測定装置では、上記課題を解決するために、請求項1に記載のものでは、単一の放射性同位元素を所定量用いることにより、又は複数の放射性同位元素を夫々所定量混合することにより、所望のエネルギの固有X線又はγ線を所望の強度で発生するようにした1又は2以上のX線・γ線の線源と、前記X線・γ線の線源からの固有X線又はγ線の、或いは前記X線・γ線の線源から生体を透過した固有X線又はγ線の、夫々のエネルギ値を計測することによって夫々の線種を同定し、かつ夫々の生体の透過経路を判別する測定系により、所望の位置の生体の所望のエネルギ値の固有X線又はγ線の透過率を測定するようにした測定機能と、前記測定機能により測定した生体の夫々の固有X線又はγ線の透過率に基づいて、当該生体の骨塩量を算出する計算機能とを備え、非破壊で、生体の骨塩量を計測するように構成した。このように、X線・γ線の線源としては、所定量の放射性同位元素を用いて、所望のエネルギの固有X線又はγ線を所望の強度で発生するようにすることにより、エネルギ分布幅のない単色(単一のエネルギ)のX線・γ線の線源とすることができ、また、測定系としては、線源からのX線・γ線の夫々の線種をエネルギ的に分別し得る分解能を持つので、夫々のX線・γ線の線種を同定することができ、これらにより、従来の骨塩量測定装置に存在したX線エネルギ値の拡がりに起因する上記(2−2)に記した骨塩量の測定誤差は、充分になくすことができる。また、各固有X線又はγ線の夫々の生体への透過経路を計測する測定系により、所望の位置の生体の固有X線又はγ線の透過率を測定するようにすると、複雑な人体又は動物等の生体の形状を反映したX線又はγ線の透過率分布(マップ)が分かるようになり、最終的には上記計算機能により人体の骨塩量分布(マップ)が分かることになり、従来の骨塩量測定装置に存在した、上記(2−1)に記した形状に起因する誤差の問題は解決し、測定精度が飛躍的に向上した骨塩量測定装置とすることができる。更に、計算機能も、上記測定機能から計測した生体の透過率に基づいて骨塩量を算出できるようにしたため、即座に骨塩量を求めることができるようになる。 【0031】請求項2に記載した骨塩量測定装置では、上記単一の放射性同位元素を所定量用いたX線・γ線の線源、又は複数の放射性同位元素を夫々所定量混合したX線・γ線の線源を略点状に作製するか、所定の大きさの容器に収納するか、或いはコリメータを用いることにより、上記X線・γ線の線源としては、ほぼ点状線源となるように構成した。このように、X線・γ線の線源をほぼ点状線源とすることにより、光子の生体への透過経路は点状線源の位置と、線源からの光子が直進して生体を透過し、検出器に入射する位置の測定により、幾何学的に判定される。即ち、X線・γ線の線源をほぼ点状線源とすることは、上記(2−1)に記した形状に起因する誤差を極小にするための重要な要素であり、また、従来の骨塩量測定装置に存在した上記(2−3)に記したコンプトン散乱線の混入に起因する誤差の問題を解消する上でも重要であるので、点状線源にすることにより骨塩量測定装置の測定精度をより向上させることができる。また、上記(2−6)に記した、X線管に回折格子を使用したときの問題点を回避することができる。 【0032】請求項3に記載した骨塩量測定装置では、上記X線・γ線の線源として、3種以上のエネルギの固有X線又はγ線を放射する単一の放射性同位元素を所定量用いるようにし、又は複数の放射性同位元素を夫々所定量混合したものを使用するように構成した。このようにすると、従来の骨塩量測定装置に存在した(2−4)に記した2種のエネルギのX線だけで骨塩量を求めることに起因する誤差を解決することができるので骨塩量測定装置の測定精度をより向上させることができる。 【0033】請求項4に記載したように、当該骨塩量測定装置に用いるX線・γ線の線源としては、具体的には、上記X線・γ線の線源に使用する複数の放射性同位元素として、241Am、133Ba、204Tlを用い、夫々所定量混合するように構成するようにすると良い。これらの放射性同位元素からのX線やγ線は、骨塩量測定上適したエネルギ値であるのみならず、相互に適当なエネルギ間隔があるので、エネルギ測定による線種の同定が容易になる利点を有する。 【0034】請求項5に記載したように、当該骨塩量測定装置に用いる測定機能として、具体的には、位置及びエネルギ検出型の比例計数管又は半導体検出器を用いるように構成すると良い。即ち、このようにすると、上記(2−1)、(2−2)、(2−3)、(2−4)、(2−5)及び(2−6)の総ての問題を解決することができる。 【0035】請求項6に記載した骨塩量測定装置では、上記測定機能として、縦長の比例計数管又は半導体検出器等の検出器を用いるように構成した。このように、検出器を縦長とすると、従来の骨塩量測定装置に存在した(2−3)に記したコンプトン散乱線の混入に起因する誤差を充分に小さくすることができるので骨塩量測定装置の測定精度をより向上させることができる。 【0036】請求項7に記載した骨塩量測定装置では、x軸、y軸よりなる2次元平面、又はy軸、θ軸よりなる2次元平面において、上記測定機能を、x軸又はθ軸方向の1次元位置検出器、或いはx軸又はθ軸方向とy軸方向の2次元位置検出器とし(検出器の短い方向がy軸方向とする)、当該検出器をy軸方向にスキャニングすることにより、広い面積の生体の上記X線・γ線の線源からの固有X線又はγ線の透過率を測定するように構成した。このようにすると、広い面積の生体の骨塩量を、上記(2−1)に記した形状に起因する誤差、及び、上記(2−3)に記したコンプトン散乱線の混入による誤差を充分に小さくし、更に(2−5)のカウンタアレイ使用上の問題点を克服した骨塩量測定装置とすることが可能となる。 【0037】請求項8に記載した骨塩量測定装置では、上記検出機能として、内部封入ガスを高圧にすると共に、内部に薄いベリリウム板又は金属グリッドに仕切られた多数の有感部分を、上記X線・γ線の線源からの固有X線又はγ線の飛程方向に設けた比例計数管を用いるように構成した。これにより、比例計数管の検出効率が上がり、測定時間が短く精度の良い骨塩量測定装置とすることができる。 【0038】請求項9に記載のX線・γ線の線源は、複数の放射性同位元素として、241Am、133Ba、204Tlを夫々所定量混合することにより、所望のエネルギの固有X線又はγ線を所望の強度で発生するように構成した。本発明の骨塩量測定装置に用いるX線・γ線の線源としては最も適したものである。また、これらの放射性同位元素は、半減期が3年以上のため、経時的減衰による線源交換を3年以上しないで済む利点を有する。 【0039】 【発明の実施の形態】先ず、本発明の骨塩量測定装置を概説する。上述した夫々の従来技術の問題点は、(a)X線のエネルギ値と生体の透過経路の双方を、同時かつ精密に分析可能な検出器系の開発と、(b)必要な数種のエネルギ値と強度を持った、数種の混合放射性同位元素の点状線源の活用により、根本的な解決となることを、以下に具体的に記す。なお、以下に記すことは総て、人体の骨塩量測定に限らず動物体(以下総括的に「生体」という場合がある。)の骨塩量測定に関しても同様に有効である。 【0040】(3−1)検出器の基本仕様先ず、本発明の骨塩量測定装置の検出機能として用いる検出器系の基本仕様は以下の通りである。 (a1) 測定可能エネルギ範囲;14keV〜81keV(a2) エネルギ分解能 ;半値幅10keV以下(Ex,γ>50keV) 半値幅 5keV以下(Ex,γ<50keV) (a3) 位置分解能 ;半値幅 2mm以下 (x軸或いはθ軸方向:及びy軸方向) (a4) 有感面積 ;180mm以上(x軸方向)×10mm以上(y軸方向) 或いは、測定対象とする人体部分より大きなx軸方向の有感幅があること。(y軸方向は、有感幅2mmの検出部が5個以上により構成され、更に必要長だけスキャニングして測定するものとする。) 但し、Ex,γは検出器により検出するX線又はγ線のエネルギである。 【0041】(3−2)X線・γ線の線源の基本仕様次に、本発明の骨塩量測定装置のX線・γ線の線源の基本仕様は以下の通りである。 (b1) 数本の固有(特性)X線或いはγ線を放出する混合放射性同位元素線源(b2) 線源寸法 ;直径2mm以下(b3) 半減期 ;3年以上(b4) エネルギ値;14keVから81keVまでの間の数本の固有X線(特性X線) 又はγ線で、エネルギが50keV以上のX線やγ線では、相互に10keV程度以上のエネルギ値差があること。また、エネルギが50keV以下のX線やγ線では、相互に5keV程度以上のエネルギ値差があること。 【0042】次に、本発明の骨塩量測定装置の一実施の形態を図1乃至図11を用いて説明する。図1は、本発明の骨塩量測定装置10の概略構成を示すブロック図で、骨塩量測定装置10の主要構成は、X線・γ線の線源(S)20、測定機能である比例計数管30、後述するエレクトロニクス系と計算機40である。エレクトロニクス系としては、3つの電荷有感型プリアンプ(C.S.P.A.)31〜33、2つの主増幅器(M.A.)34a1、35とアナログ割り算器(DIVIDER)36、リニアゲート(L.G.)38a1〜38an、39、単一チャンネル波高分析器(S.C.A.)37a1〜37an、37e、波高分析器(PHA)41を備え、更に、3つの抵抗器R1〜R3と4つのコンデンサC1〜C4と高圧電源Eを有している。 【0043】なお、単一チャンネル波高分析器37a1〜37an、37eとリニアゲート38a1〜38an、39は、X線・γ線源20からの測定に用いる線種の数nプラス1台用いる。また、波高分析器41は、n個の単一チャンネル波高分析器37a1〜37anからの各出力信号に基づいてn個に分別して、各線種毎に検出器入射位置信号の波高分析を行う。 【0044】また、後述するが、エレクトロニクス系のうち、アナログ割り算器36、単一チャンネル波高分析器37a1〜37an、、37e、リニアゲート38a1〜38an、39、波高分析器41は図4に示すCAMAC系によって行うことも可能である。このCAMAC系は説明は省略するが、物理実験分野での放射線計測装置として標準化されているものである。なお、X線・γ線の線源20は、その大きさが、線源20から比例計数管30までの距離に比べて充分に小さく、点状の線源20と見なせるものとする。 【0045】先ず、X線・γ線の線源20は、(3−2)の(b1)に述べたように、数本の固有X線或いはγ線を放出する混合放射性同位体線源であるが、具体的には、図2の表1の■〜■欄に示すような3核種、即ち241Am、133Ba、204Tlの混合線源が用いられている。更に、エネルギ的に詳しく分析したい場合は、図2の表1の■欄に示す核種153Gdを加えると良い。 【0046】次に、上記基本仕様を満足する固有X線やγ線のエネルギ値と生体への透過経路の双方を、同時かつ精密に分析可能な検出器は、図1に示す高圧アルゴンガスフロー型の比例計数管30が最適であるが、この比例計数管30の原理的な解説図を図3に示す。 【0047】図3において、点状の線源(S)20より放出された固有X線又はγ線は、Be(ベリリウム)板を窓22fとし、細い(直径約10ミクロン)ニクロム線を陽極芯線22eとする比例計数管30に入射する。また、窓22fや陽極芯線22eは、点状線源20を中心とした同心円状に配置する。この比例計数管30は、光子の検出効率を高くするために、10乃至30気圧のアルゴンガスを充填し、導線(陽極線間の結線)22hにより直列に結ばれた陽極芯線22eとBe板或いはメッシュ22c、22f、22gよりなる何層もの有感部分22dよりなる。また、クエンチングガスとして、微量のCO2(二酸化炭素)ガスをアルゴンガスに混合し、測定中は常時孔22aから流入し、孔22bから排出される。 【0048】ガス増倍率を大きくして、大きな信号電荷量(Qc)を得ることによって、良好なエネルギ分解能と、有感部分22dへの入射位置分解能を得るために、陽極には図1に示す高圧電源Eにより、10乃至30kVの高い電圧(VB)を印加する。図1に示す陰極(C)は、高抵抗R3を接続してアースより浮かしてあり、光子エネルギに比例するガス増倍された全電荷パルス(Qc)は陰極(C)に集められて、電荷有感型プリアンプ32と主増幅器35で増幅され、これをリニアゲート39を通して波高分析器41に入力して光子エネルギの波高スペクトルに処理して、それを計算機(COMPUTER)40で処理及び記憶をする。 【0049】一方、全電荷パルス(Qc)と同量で反対符号の電荷が陽極芯線22eに集められるが、陽極のニクロム線は、長さ1mm当たり約12オームの一定の抵抗値を持つため、光子の検出位置より陽極の両端(A1)と(A2)に至るまでのニクロム線の長さに逆比例して分割されて、陽極両端(A1、A2)に集められる。ニクロム線の全長をLとし、光子検出位置より陽極端A2までのニクロム線の長さを(x)とすると、陽極端A1に集められる電荷信号量QA1は、QA1=(x/L)・Qcである。電荷信号量QA1を図1に示す電荷有感型プリアンプ31と主増幅器34a1で増幅した信号波高を、パルス的に割り算器36により上記したQcに比例する主増幅器35の信号波高で割り算することにより、光子検出位置より陽極端A2までのニクロム線の長さ(x)に比例した波高のパルスを得、これを波高分析器41に入力することにより、光子が比例計数管30に入射する位置のスペクトルを得て、計算機40で処理及び記憶する【0050】なお、主増幅器35の出力波高を、測定線種の数のnに等しい台数の単一チャンネル波高分析器37a1〜37anで、光子エネルギに応じて線種を分別し、夫々の単一チャンネル波高分析器37a1〜37anの出力を入力した、n個の夫々のリニアゲート38a1〜38anで各線種に分別して、割り算器36の出力信号を波高分析器41で集計することにより、各線種毎の検出器入射位置スペクトルを得る。また、エレクトロニクス系のうち、アナログ割り算器36、単一チャンネル波高分析器37a1〜37an、37e、リニアゲート38a1〜38an、39、波高分析器41は図4に示すCAMAC系を使用しても同様の結果を得ることができる。 【0051】なお、光子エネルギに比例する全電荷パルス(Qc)は、上記のごとく、陰極(C)からの信号を用いてもよいが、陽極両端(A1、A2)からの夫々の電荷パルス(QA1とQA2)の和を用いてもよい。即ち、主増幅器34a1と主増幅器34a2の各出力パルスを、和算回路(図示せず)に入力し、この出力を主増幅器35の出力の代わりに割り算回路36に入力する方式でも、同様の結果を得ることができる。 【0052】図4は、本発明の骨塩量測定装置10のブロック図である図1に示すエレクトロニクス系、アナログ割り算器36、単一チャンネル波高分析器37a1〜37an、37e、リニアゲート38a1〜38an、39、波高分析器41の機能を、CAMAC系で実施する場合のブロック図である。図4に示すように、主増幅器34a1、35からの入力信号は、夫々CAMAC ADCモジュール55に入力する。同時に上記出力信号は、2個のディスクリ(discri)51、52及びゲート発生器53により同時性を検出し、ゲート発生器53(G.G)の出力で上記ADCモジュール55のゲート(Gate)を開く。 【0053】また、ゲート発生器53の出力は、遅延回路(D.L.)54で若干遅延させてCAMACインタラプトモジュール56に入力信号を与え、CAMACクレート57及びクレートコントローラ58を介してコンピュータ40の入力動作を起動する。コンピュータ40は、主増幅器34a1の出力波高と主増幅器35の出力波高の各ADC出力信号を読みとり、それらの割り算を実行し、入射X線の位置情報(x)を得る。また、主増幅器35の出力のエネルギ情報のn個の夫々指定された範囲データにより、位置情報(x)を振り分ける。これは、図示による説明は省略するが、実際は画面上のマウスカーソルで任意に指定することができる。 【0054】なお、CAMAC系を使用する場合は、上記のごとく、陽極の一方の端(A1)からの信号と、陰極(C)からの信号を、CAMAC ADCモジュール55のCH1とCH2に入力してもよいが、陽極の両端(A1とA2)からの信号を夫々CH1とCH2に入力し、コンピュータ40により、QA1/(QA1+QA2)の演算をすることにより、位置情報(x)を得るようにしてもよい。 【0055】図3には示されてはいないが、紙面に垂直に(y軸方向に)計5本のアノード線を平行に張り、それらの中間に金属板を置いて互いに分離することにより、そしてそれらには、夫々図1の電子回路を結合させることにより、どのアノード線からの信号かによってy軸方向の位置分析も行う。検出器30へのX線又はγ線のx軸方向及びy軸方向双方の入射位置が分かれば、X線又はγ線の線源20は上記した通り点状線源であるので、線源20と前記入射位置を直線で結ぶことにより、幾何学的にX線又はγ線の人体60における透過経路が判別でき、しかもそれは上記の如く各線種毎に判別できることになる。従って、以上により、上述した検出器の基本仕様を満足する検出器とすることができる。 【0056】 なお、アノード同士の結線は、図3或いは図1の陽極線間の結線22hのごとく、X線又はγ線の進行方向の各アノードを結線してもよいが、同図紙面に垂直に(y軸方向に)平行に張った、(計5本の)各アノード線同士を結線し、その両端に図1の電子回路を結合することにより、検出器入射位置のx軸及びy軸両方向の分析をするようにしてもよい。アノード線の長さを余り長くする(1m以上にする)と、位置分解能が劣化するので、X線又はγ線の進行方向2列目(検出器2層目)の(計5本の)各アノード線については、別途結線にして電子回路を結合し、また、3列目(3層目)は3列目同士で結線する、という方法により、検出感度も向上させつつ、x、y両位置情報を得ることも可能になる。 【0057】なお、位置検出器の校正は、後述するように、検出器前面に、多数のスリットを所定の間隔をあけて、機械的に精度良くy軸方向に(平行に)開けた校正用コリメータを置き、点状線源によりX線又はγ線をその全面に照射して、各スリットを通過して検出器に入射したX線又はγ線の波高分析器41のスペクトルの各ピークチャンネルナンバーの測定結果より、図3に示すX線の検出器30への入射位置(x,y)と波高分析器スペクトルのチャンネルナンバーとの関係を精密に得ることができる。 【0058】次に、X線・γ線の線源のy軸方向のスキャニングと検出器コリメータの使用に関して図5を用い、図3を参照して説明する。図3の検出器30は、同図の紙面に垂直な方向(y軸方向)には、2mm(人体60の形状変化の影響を±1mm内で計測する場合)の有感幅で、図5に示すように隣の検出器と金属メッシュ又はBe板22cで分離されていなければならない。 【0059】一方、50keV以上のX線・γ線の検出感度を上げるためには、使用ガスの選定(アルゴン)とガス圧を上げる(10〜30気圧)だけではなく、X線・γ線の飛行方向有感厚が大きく(例えば100mm)なければならず、また、y軸方向の位置検出のためには、(y軸方向に)薄い検出器にする必要性が出てくる。薄い検出器にした場合の問題点は、検出器内でのX線・γ線の吸収或いは衝突により、エネルギを与えられた電子が、壁22cに衝突することによって、そのエネルギの一部を失い、検出器ガスを充分に電離できなくなり、このことによってX線・γ線のエネルギ値の測定が不正確になることである。 【0060】以上の問題は、図5に示すように、検出器窓(Be板)22fの前面に、検出器コリメータ22kを取り付けることにより、充分に避けることができる。即ち、検出器コリメータ22kは、2mm幅のスリットを各検出器の中央に取り付けたもので、各検出器幅はその4倍の8mmとする。測定X線・γ線の最大エネルギ値は81keVなので、上記電子の最大エネルギ値は81keVである。エネルギ値が81keVの電子の、30気圧アルゴンガス中での最大飛程は2.7mmなので、検出器コリメータ22kを付けたときのX線・γ線の壁までの最短距離3mmよりも短く、従って、壁に衝突してエネルギを失う可能性はなくなる。なお、検出器コリメータ22kは、1mm厚のタンタル板等で作成すると良い。 【0061】図5に示すように、検出器コリメータ22kを使用した場合は、一度測定した(スキャニングS1)後、y軸方向にそのスリット幅(2mm)だけ動かして、また、測定(スキャニングS2)し、これを検出器幅(8mm)のスリット幅に対する倍数回(計4回)繰り返して、その都度測定(スキャニング)することにより、y軸方向は全検出器幅W(5×8=40mm)を、2mm幅の精度で位置測定ができることになる。5回目のスキャニング(S5)では、全検出器幅Wだけ移動させることにより、更に全検出器幅Wのスキャニングが可能になり、同様のスキャニングを更に行えば、全検出器幅Wの整数倍のy軸方向の位置測定が可能になる。なお、図5では、一番右側の検出器のスキャニング位置(S1〜S5)のみ記したが、2番目乃至5番目の検出器も同様である。 【0062】次に、本発明の骨塩量測定装置10を用いて人体60の骨塩量を算定する解析方法の方針について説明する。先ず、当該解析方法を概説すると、X線やγ線が透過する人体60の測定対象部65を図6に示すように多数のセグメントに細分割し、夫々の各セグメントのX線の透過率を計測することにより、前述した複雑な人体60の構造を反映したものにする。また、上記(2−4)に記したように、人体60は多数の物質から構成されており、この骨塩量や軟部組織量等の人体60を構成する物質の数を人体変数mとすると、人体変数mと同じか、或いは人体変数mよりも多数のn個のエネルギ値(正確なエネルギ値を同定して)のX線の透過率を測定し、n個のm元連立方程式を解き、必要に応じて最小二乗法によりフィットすることにより、人体60の骨塩量Mbの測定精度を上げるものとする。 【0063】本発明の骨塩量測定装置10を用いて人体60の測定対象部65の骨塩量Mbを算定する解析方法の方針は上記の通りだが、以下、骨塩量Mbの解析方法の概要を図6を参照し、図7及び図8のフローチャートを用いて概説する。 (4−1)先ず、図6に示すように、人体60の測定対象部65の大きさを、x軸方向にX、y軸方向にYとしたとき、Xを上記セグメントのx軸方向の長さであるΔxでimax等分し(X=Δx・imax)、同様にYをセグメントのy軸方向の長さであるΔyでjmax等分する(Y=Δy・jmax)(SP1)。 【0064】(4−2)次に、図6に示す測定対象部65の位置(xi,yj)の微分部分(面積:Δx・Δy)の、エネルギ値EkのX線又はγ線の透過率t(i,j,k)は、人体60が無いときのX線又はγ線の計測値をn0(i,j,k)とし、人体60があるときのX線又はγ線の計測値をn(i,j,k)とした場合、次式によって求めることができる(SP2)。 t(i,j,k)=n(i,j,k)/n0(i,j,k) (8) なお、i及びjはi=1〜imax、j=1〜jmaxの間を変動するものとする。また、n種のX線又はγ線の各エネルギ値Ek(k=1〜n)に対する透過率t(i,j,k)の総てを図示したものが、エネルギ値EkのX線又はγ線の透過率マップと称するものとする。さらに、iは後述するように位置検出器の出力の波高分析器のチャネル数に相当し、jは位置検出器の何本目のアノードの何回目のスキャニング計測かによって一意的に決定される。 【0065】(4−3)上記した方法で測定した測定対象部65の各微小部分位置(xi,yj)のエネルギ値EkのX線又はγ線の透過率t(i,j,k)に基づいて、次に、各微小部分位置(xi,yj)の骨塩量b1(i,j)は図8に示すフローチャートのように求める。 (a)先ず、検出器30によるn種のX線又はγ線の透過率t(i,j,k)の測定値がコンピュータ40に入力されると(ST1)、人体変数mとX線又はγ線の線種の数nとが等しい場合(m=n)は(ST2)、式(4)についてのn個のm元連立方程式が成立する。従って、このn(=m)個のm元連立方程式を解くことにより(ST3)、骨塩量b1(i,j)を始め、他の測定対象部65の(m−1)個の構成部分の量b2(i,j)〜bm(i,j)が夫々一意に定まる(ST4)ので、当該各微小部分位置(xi,yj)の骨塩量b1(i,j)を即座に決定することができる(ST7、SP3)。 【0066】(b)次に、人体変数mがX線又はγ線の線種の数nよりも小さい場合(m<n)は(ST2)、上記同様に式(4)についてのn個のm元連立方程式が成立する。ところで、このn(>m)個のm元連立方程式を解くと、人体変数mよりも方程式の個数nの方が多いので、一般に、各セグメントの骨塩量b1(i,j)を始め、他の人体60のm−1個の構成部分の量b2(i,j)〜bm(i,j)の解は夫々複数解となる(ST5)。従って、人体変数mより連立方程式の個数が多いときは、最小二乗法によるフィットにより(ST6)、各セグメントの骨塩量b1f(i,j)を始め、他の人体60のm−1個の各セグメントの構成部分の量b2f(i,j)〜bmf(i,j)の量も決定する(ST7、SP3)。なお、このn個のm元連立方程式を解くプログラム及び最小二乗法によりフィットするプログラムは、図1に示すコンピュータ40に予め入力されている。 【0067】このように、各セグメントについての骨塩量b1(i,j)、或いはb1f(i,j)が求まると、i=1〜imax、j=1〜jmaxの各セグメントについての骨塩量b1(i,j)、或いはb1f(i,j)の総和を求めることにより(SP4)、人体60の測定対象部65の骨塩量Mb、Mbfを【数1】
又は【数2】
の式(9)又は式(10)に代入することにより求めることができる(SP5)。なお、この骨塩量b1(i,j)、或いはb1f(i,j)の総和を求める計算も図1に示す計算機40が行うようになっている。また、ここで、Mbは上記(a)の解法により求めた骨塩量、Mbfは上記(b)の解法(最小二乗法によるフィット)により求めた骨塩量である。更に、上記解法では、各セグメントの位置を(xi,yj)とするx,yの直交座標系で解析するようにしたが、xi=R・θi、Δxi=R・Δθiとし、極座標系で測定及び解析するようにすると、より高精度で骨塩量Mb、Mbfを計測できるようになる。ここで、Rは、図1に示すX線の線源20と人体60間の平均距離とする。 【0068】以上、人体変数をmとし、X線又はγ線の線種の数をnとした一般的な場合で説明したが、以下は、(5−1)でm=n=2、(5−2)でm=2、n=3(5−3)でm=n=3の値とした具体的な場合について説明する。 (5−1) m=n=2とした場合人体60を、人骨61と軟部組織62から構成され、人体変数mが2とし、X線又はγ線の線種の数を高エネルギ(EH)と低エネルギ(EL)の2種類とした点で、従来の測定法と共通するが、本発明の骨塩量測定装置では、上述したように、X線又はγ線のエネルギ誤差が無く、また、人体60の骨塩量Mbの測定対象部65を細かくセグメントに分割することにより、人体形状の変化に比較して透過位置測定精度に優れているので、従来の式(4)は各セグメントについて微視的には正しいと言える。 【0069】従って、各セグメントについて式(4)を適用し、a=μsH/{μsH・μbL−μsL・μbH} b=μsL/{μsH・μbL−μsL・μbH} とすると、骨塩量Mbは【数3】
の式(11)に示すようになり、人体60が人骨61と軟部組織62から構成されるとした仮定が正しい場合は、正確な骨塩量Mbを算出できる。ここで、低エネルギ(EL)のX線(XL)の軟部組織62における質量吸収係数をμsL、骨61における質量吸収係数をμbLとしている。同様に、高エネルギ(EH)のX線(XH)の軟部組織62における質量吸収係数をμsH、骨61における質量吸収係数をμbHとしている。なお、従来法では、人体60におけるX線又はγ線の透過位置を測定していなかったので、【数4】
の式(4)´のように算出され、更に大きな誤差原因となっていたことは、式(4)´を上記の正しい式(11)と比較することにより明白になる。つまり、式(4)´では、高エネルギ(EH)のX線(XH)の透過率t(i,j,H)、或いは低エネルギ(EL)のX線(XL)の透過率t(i,j,L)の小さい部分、即ち骨塩量の大きい部分の寄与を過小評価していることになる。このことが、図15に示したように、従来法ではどの具体例においても、常にそして大幅に、骨塩量の計測値(Mbc)がそれの真の値(Mb0)よりも小さくなってしまう原因となっている。 【0070】(5−2) m=2、n=3とした場合人体60を、人骨61と軟部組織62から構成され、従って、人体変数mを2とし、X線又はγ線の線種の数を3種類とした場合である。3種類のX線又はγ線の線種のエネルギをE1、E2、E3とし、μbE1・ρb=β1、 μsE1・ρs=σ1μbE2・ρb=β2、 μsE2・ρs=σ2μbE3・ρb=β3、 μsE3・ρs=σ3とおくと、人体60の各セグメント(xi,yj)の骨61の厚さTb(i,j)[cm]と軟部組織62の厚さTs(i,j)[cm]とが未知数として、【数5】
の式(12)によって表されるUの値が最小となるような骨61の厚さTb(i,j)と軟部組織62の厚さTs(i,j)を、図1に示す計算機40により算出し、その値を夫々Tbf(i,j)とTsf(i,j)として、測定値である3種類のX線又はγ線の線種の透過率t(i,j,k)と、上記一定値β1、β2、β3、σ1、σ2、σ3を使って人体60の測定対象部65の骨塩量Mbf及び軟部組織Msfを【数6】
と【数7】
の式(13)と式(14)により求める。 【0071】(5−3) m=3、n=3とした場合人体60を、人骨61と、図示は省略するが、人骨61以外の第2及び第3の組織から構成され、従って、人体変数mを3とし、X線又はγ線の線種の数を3種類とした場合である。(5−2)の場合同様に、3種類のX線又はγ線の線種のエネルギEkをE1、E2、E3とし、μbE1・ρb=β1、 μsE1・ρs=σ1μbE2・ρb=β2、 μsE2・ρs=σ2μbE3・ρb=β3、 μsE3・ρs=σ3とおき、更に第3の組織に対して、μuE1・ρu=ν1、μuE2・ρu=ν2、μuE3・ρu=ν3とすると、3種類のX線又はγ線の線種のエネルギEkのE1、E2、E3の夫々に対して、ln{t(i,j,k)}+βk・Tb(i,j)+σk・Ts(i,j) +νk・Tu(i,j)=0 (15) が成り立つので、Tb(i,j)、Ts(i,j)、Tu(i,j)に関する3個の連立方程式を解き、式(9)のb1(i,j)にρb・Tb(i,j)を代入することによって骨塩量Mbを求めることができる。また、人骨61以外の第2及び第3の組織の量Ms、Muは、式(9)のb1(i,j)にρs・Ts(i,j)、或いはρu・Tu(i,j)を代入することによって夫々求めることができる。 【0072】次に、図9を用い図3を参照して、本発明の骨塩量測定装置10に用いるX線・γ線の線源の混合線源20の補足説明をする。図9は、図2に示す表1の上記4種の各線源が同一強度(同一ベクレル数)のときの、各線種の計数率に関して図3に示す検出器30を用いたときの相対値を一例として図示したものである。横軸には各線種のエネルギ値、縦軸には検出器30の(アルゴンガス圧)×(有効厚)=300気圧・cmのときの各線種の検出効率(εDET)と、人体の皮質骨の厚さ(Tb)と軟部組織の厚さ(Ts)が、同図内の表の夫々の場合(○、△、×)における各線種の人体透過率(TBODDY)と、そして各線源の1崩壊(ベクレル)当たりの各線種の放出確率(Is[%])との、3個の積の値、即ち各線種の人体60透過後の計数率の相対値を示す。 【0073】図9より、特に30keVから50keVまでは、皮質骨61の厚さ(Tb)に計数率が鋭敏に影響を受ける、即ち骨塩量Mbを正確に定量するのに適していることが分かる。測定精度を上げるためには、解析に用いる各測定線種の計測カウント数を大きくして、統計精度を上げなければならない。計測カウント数は、(計数率)×(計測時間)であるが、計測時間は診断時間としての限りがあり、また、計数率は余り大きくなると検出器のエネルギ分解能や位置検出精度に悪影響を与えるため、使用線源は解析に用いる各測定線種の計数率がほぼ同じようになるように、混合比を選ぶと良い。 【0074】241Am線源は半減期が400年以上もあって、一度購入するといつまでも減弱することなくX線・γ線源として使用可能なので、241Am線源を基準にすると、133Ba線源はほぼ同じ強度(ベクレル)、204Tl線源や153Gd線源ならば約1/3の強度(ベクレル)となるように混合したX線・γ線源を使用すればよいことが図9より分かる。 【0075】133Ba線源の半減期は図2の表1に示すように約11年、204Tl線源の半減期は約4年なので、241Am線源も含めた3種を混合したX線・γ線の混合線源の場合は、5年以上同一線源のまま使用可能である。153Gd線源は半減期が約240日と短いので、特別の場合のみ上記の混合線源の直前又は直後に置いて同時に使用するようにし、毎年153Gd線源のみ交換するようにすればよい。 【0076】なお、解析法のところで、測定対象である人体があるときの計数率nと、ないときの計数率n0との比として透過率tを求めるように式に記したが、現実の診断は計数率nによりする以上、計数率n0の測定は別途強度比の分かっている弱い線源を用いて、nとほぼ同程度の計数率で測定する必要がある。 【0077】このように、X線・γ線の線源と検出器系と計算機が共に上記基本仕様を満足することにより、上述した図12の従来の骨塩量測定装置100が有していた(2−1)乃至(2−6)の誤差が解決されることは上記の通り詳細に記してきたが、更にまとめて図10と図11を用いて以下に示す。 (6−1)形状誤差の極小化検出機能で検出する各光子(X線やγ線)に関して、その光子が複雑な内部形状をしている人体のどの部分を透過してきたかが判定できれば、即ち、人体の形状を反映した光子の詳細な透過率分布(マップ)が分かれば、人体の骨塩量分布(マップ)が分かることになり、前記した形状誤差の問題は解決する。 【0078】X線・γ線の線源と検出器が共に基本仕様に記したように、図10の線源20は直径2mm以下の点状線源で、図3の検出器30は位置分解能が半値幅2mm以下であれば、図10に示すように、光子の人体60への入射位置精度が約±1mmの人体60(骨61、軟部組織62)の光子透過率分布(マップ)が作成できることになる。人体60に入射する光子に垂直な±1mm内で、骨61の厚さが大幅に変化する部分の面積の総和が、測定対象とする人体60部分の総面積に比し、かなり大きくなるような特別な場合は稀であるので、上記(1−1)の問題(1)に記した人体60の形状変化に起因する骨塩量の測定誤差を極小化することができる。 【0079】(6−2)X線エネルギ値の拡がりによる誤差の消滅上記X線・γ線の線源が基本仕様のように、夫々一定のエネルギ値(単色)で、かつ、相互に5keV以上(Ex,γ<50keV)或いは、10keV以上(Ex,γ>50keV)のエネルギ値差がある数種のX・γ線を放出する、数種類の放射性同位元素からなり、更に検出器系としては基本仕様として、上記のX線・γ線を分離して測定できるエネルギ分解能を持ったものを使用すれば、検出する各光子に関しては、そのエネルギ値が厳密に同定(特定)されることになるので、上記問題に記した光子のエネルギに拡がりがあることに起因する骨塩量の測定誤差は厳密になくすことが可能になる。これらは図2の表1中の任意の放射性同位元素からなる混合線源と、(3−1)の(a2)に記したエネルギ分解能に関する基本仕様を持った検出器系により達成できる。 【0080】(6−3)散乱線の混入による誤差の除去上記(2−3)に記したように、従来の骨塩量測定装置では、X線・γ線の線源や検出器が夫々大きく、光子のコリメートが充分になされていないと、検出器で計測する光子数は圧倒的に散乱光子によるものの方が多くなり、このため計測値に大きな誤差をもたらすことになる。従って散乱線の混入を極力避けて精度がよい測定をするには以下の条件が重要になる。 (a)X線・γ線の線源が点状線源であること。 (b)検出器の有感面は細長く、線源及び人体から極力離れていること。 (c)人体に入射する光子及び人体から検出器有感面へ入射する光子は、線源より検出器有感面を見込むもののみにコリメートすること。 【0081】上記の基本仕様を満足する検出器と線源を用い、上記(c)を満足するようにコリメートし、検出器と人体及び線源間の距離を夫々12cm(平均)及び24cmとすると、図11の計算結果に示すように、大幅に検出器系に入射する散乱光子の数を減少させることが可能になる。なお、計算はTOTAL BODYの厚さが10[g/cm2]の場合についてのみ行った。また、人体内で散乱後、検出器に入射するまで、散乱確率の角度分布及び人体内での減衰と検出器を見込む立体角も考慮して計算を行った。ここで検出器の有感面積は18cm×1cmとした。図11に示す通り、上記の条件では、検出器に入射する散乱光子数は、全入射光子数(=散乱光子数+透過光子数)の約6〜7%(光子エネルギが40keV〜150keVのとき)、或いは約13%(光子エネルギが30keVのとき)になり、大幅に減少させることができるのが分かる。ここでCは、C=(散乱して検出器に入る光子数)/(検出器に入る全光子数)とする。なお、図11のC0は、人体内で散乱された光子が、人体内で減衰することを考慮していないときのCの計算値である。 【0082】(6−4)多数エネルギ値での分析による効果上記従来の骨塩量測定装置では、2個のエネルギ(Dual Energy)値のみの測定を行っていたが、これでは2重の意味で問題点があることを(2−4)に記した。しかし、基本仕様を満足する数本の固有(特性)X線或いはγ線を放出する混合線源を用い、基本仕様を満足する検出器系で測定するならば、多数のエネルギ値よりなる線種の夫々に対して人体の透過率分布(マップ)を同時に測定することができるので(Multi-Energy X and γray Absorptiometry;MEXA法と称することにする。)、人体の構成物質数を3種以上にして、夫々の分布量を求めたり、また、そのことによって測定誤差を少なくすることを可能にしたり、求めるパラメータ数よりも多くのエネルギ値による分析データによって最適フィットをすることにより、誤差をより小さくすることが可能になる。 【0083】(6−5)位置検出器使用によるカウンタアレイの問題点の克服上記基本仕様を満足する検出器系は、基本的に1個乃至数個の位置検出器であるので、カウンタアレイの問題点として記した3点は総て克服される。即ち、離散的な不感領域があったり、位置による感度のばらつきや、経時変化があったりするようなことは総てなくすことができる。 【0084】(6−6)回折格子使用による問題点の点状放射性同位元素線源使用による克服X線管からのブロードなX線は、回折格子により単色化することができるが、しかしこの場合、X線源としては空間的に幅の広いものになってしまうため、回折格子を使用すると、骨形状に起因する誤差は避けられないことは上述した。基本仕様の点状放射性同位元素線源使用の場合、エネルギ値はどれも単一であり、また空間的に点状であるので、エネルギ拡がりに起因する誤差と、骨形状に起因する誤差の両方共、極小化することが可能になる。 【0085】本発明の骨塩量測定装置は、上記実施の形態には限定されない。先ず、上記実施の形態では、X線・γ線の線源の形状として、測定対象とする生体内骨形状の位置変化に比し、充分に小さい点状線源の例で説明した。これは上述したように、線源の位置と検出器がX線又はγ線を検出した位置を直線的に結ぶことにより、X線又はγ線の骨の透過経路を幾何学的に正確に判別するためである。本発明の骨塩量測定装置でいう点状線源とは、線源そのものが文字通り点状であることを必ずしも意味するものではない。線源そのものは面状であれ、線状であれ、或いは点列状であれ、点状のコリメータによって実効的に点状とされた線源であれば、人体の透過経路の判別その他の測定等において問題となることではない。 【0086】また、上記の点状コリメータは、面状、線状、点列状等の線源と共に、時間的に移動させて使用したり、或いは複数個であったとしても、或いはまた、点状線源そのものが複数個であったとしても、それらの夫々の線源を使用する時間や、夫々の線源のX線又はγ線のエネルギ値より、X線又はγ線の出射位置が判定できるならば、X線又はγ線の検出器における検出位置を測定することにより、上記したように、X線又はγ線の人体における透過経路が判別できることになり、骨塩量(骨密度)測定上有効である。そしてまた、この方法では、測定時間の短縮に繋がるメリットがある場合もある。但し、人体には厚みがあるため、異なる位置の各点状線源による光子の人体透過経路は夫々異なるため、測定結果の解析上大きな誤差をもたらすこともあることは、個々の実施上の場合について注意しなければならない。 【0087】上記実施の形態では、最も精度を必要とする場合について、そしてまた、その重要性について記した。その結果、点状線源が基本的に最良であることは上記したが、それ程精度を必要としない場合や、人体形状に特別な仮定が可能な場合については、本発明の骨塩量測定装置に用いる測定機能や計算機能により、線源の形状は点状線源に限定されず、種々の形状が考えられる。 【0088】また、(3−1)で述べたが、これは本発明の骨塩量測定装置に用いる線源を考慮して、最も望ましい検出器の仕様を示したものであり、線源に用いる放射性同位体の種類の変更等に応じて、当該仕様についても種々の変更が考えられるのは勿論のことである。 【0089】 【発明の効果】本発明の骨塩量測定装置は、上述のように構成したために、以下のような優れた効果を有する。 (1)請求項1に記載したように構成すると、X線・γ線の線源としては、所定量の放射性同位元素を用いて、所望のエネルギの固有X線又はγ線を所望の強度で発生するようにすることにより、エネルギ分布幅のない単色(単一のエネルギ)のX線・γ線の線源とすることができ、従来の骨塩量測定装置に存在したX線エネルギ値の拡がりに起因する骨塩量の測定誤差をなくすことができる。 (2)また、各固有X線又はγ線の夫々のエネルギ値及び生体への透過経路を計測することにより、所望の位置の生体の固有X線又はγ線の透過率を測定するようにすると、複雑な生体の形状を反映した多線種の固有X線又はγ線の夫々の透過率分布(マップ)が分かるようになり、最終的には計算機能により生体の骨塩量分布(マップ)が分かることになり、従来の骨塩量測定装置に存在した、上記した形状に起因する誤差及びエネルギの拡がりに起因する誤差の問題は解決し、測定精度が飛躍的に向上した骨塩量測定装置とすることができる。 (3)更に、計算機能も、検出機能から計測した生体の透過率に基づいて骨塩量を算出できるようにしたため、即座に骨塩量を求めることができるようになる。 【0090】(4)請求項2に記載したように、単一の放射性同位元素を所定量用いたX線・γ線の線源、又は複数の放射性同位元素を夫々所定量混合したX線・γ線の線源を略点状に作製するか、所定の大きさの容器に収納するか、或いはコリメータを用いることにより、X線・γ線の線源としては、ほぼ点状線源となるように構成すると、光子の人体の透過経路を判定する測定機能を持つ上で、本質的な効果を持ち、また、従来の骨塩量測定装置に存在したコンプトン散乱線の混入に起因する誤差の問題を解消する上でも本質的な効果を持つことができるので骨塩量測定装置の測定精度をより向上させることができる。 【0091】(5)請求項3に記載したように、X線・γ線の線源として、3種以上のエネルギの固有X線又はγ線を放射する単一の放射性同位元素を所定量用いるようにし、又は複数の放射性同位元素を夫々所定量混合するように構成すると、従来の骨塩量測定装置に存在した、2種のエネルギのX線だけで骨塩量を求めることに起因する誤差を解消することができるので骨塩量測定装置の測定精度をより向上させることができる。 【0092】(6)請求項4に記載したように、当該骨塩量測定装置に用いるX線・γ線の線源としては、具体的には、X線・γ線の線源に使用する複数の放射性同位元素として、241Am、133Ba、204Tlを用い、夫々所定量混合するように構成すると、X線・γ線の線源として適した線源を備えた骨塩量測定装置とすることができる。 【0093】(7)請求項5に記載したように、当該骨塩量測定装置に用いる測定機能として、具体的には、位置及びエネルギ検出型の比例計数管又は半導体検出器を用いるように構成すると、適した測定機能を備えた骨塩量測定装置とすることができる。 【0094】(8)請求項6に記載したように、測定機能として、縦長の比例計数管又は半導体検出器等の検出器を用いるように構成とすると、従来の骨塩量測定装置に存在したコンプトン散乱線の混入に起因する誤差の問題を解消する上で本質的な効果を持つことができるので骨塩量測定装置の測定精度をより向上させることができる。 【0095】(9)請求項7に記載したように、x軸、y軸よりなる2次元平面、又はy軸、θ軸よりなる2次元平面において、上記測定機能を、x軸又はθ軸方向の1次元位置検出器、或いはx軸又はθ軸方向とy軸方向の2次元位置検出器とし、当該検出器をy軸方向にスキャニングすることにより、広い面積の生体の上記X線・γ線の線源からの固有X線又はγ線の透過率を測定するように構成すると、広い面積の生体の骨塩量を短い時間で測定できる骨塩量測定装置とすることが可能となる。 【0096】(10)請求項8に記載したように、検出機能として、内部封入ガスを高圧にすると共に、内部に薄いベリリウム板又は金属グリッドに仕切られた多数の有感部分を、X線・γ線の線源からの固有X線又はγ線の飛程方向に設けた比例計数管を用いるように構成すると、比例計数管の検出効率が上がり、一層精度の良い骨塩量測定装置とすることができる。 【0097】(11)請求項9に記載のX線・γ線の線源では、複数の放射性同位元素として、241Am、133Ba、204Tlを夫々所定量混合することにより、所望のエネルギの固有X線又はγ線を所望の強度で発生するように構成すると、本発明の骨塩量測定装置に用いるX線・γ線の線源としては最も適したものとすることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】598013231 【氏名又は名称】吉田 義輝 【識別番号】598013242 【氏名又は名称】服部 俊幸
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)1月14日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】高橋 陽介
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| 【公開番号】 |
特開平11−197143 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)7月27日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−17649 |
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