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【発明の名称】 データ入力装置およびそれを用いた情報機器保護方法
【発明者】 【氏名】杉野 創

【氏名】伊藤 健介

【氏名】清水 正

【氏名】安川 薫

【要約】 【課題】本発明は、パソコンを初めとする種々の情報機器の正当な利用者以外の者による不正使用を防止し、あるいは正当な利用者であるが不用意な使用を防止することができる情報機器保護方法およびそれを用いたマウスを提供することを目的とする。

【解決手段】右手でマウスが握られた場合、マウス本体1の側面に取り付けられたセンサ201は、右手親指のマウス側面への接触により窓601を介して入射する光に基づいて生体情報を得るための電気信号を発生させる。センサ202は、薬指および小指の接触により窓602を介して入射する光に基づいて生体情報を得るための電気信号を発生させる。これら電気信号は、マウス本体1内部にある検出手段により、生体情報に変換される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】情報機器へデータを入力するデータ入力装置において、利用者の生体情報を検知するセンサと、前記センサで得られた前記生体情報を前記情報機器に通知する通知手段とを有することを特徴とするデータ入力装置。
【請求項2】請求項1記載のデータ入力装置において、前記センサで得られた前記生体情報に基づいて、前記利用者の前記情報機器の利用可否を判断する判断手段をさらに有し、前記通知手段は、前記判断手段で得られた判断結果を前記情報機器に通知することを特徴とするデータ入力装置。
【請求項3】請求項1または2に記載のデータ入力装置において、前記センサは、データ入力装置本体の両側面部の少なくともいずれか一方に複数配列した受光素子を有していることを特徴するデータ入力装置。
【請求項4】請求項1乃至3のいずれかに記載のデータ入力装置において、前記センサは、前記受光素子に隣接して複数配列した発光素子を有し、前記発光素子から射出して前記利用者の指を介して前記受光素子に入射した光から前記利用者の脈拍信号を検出することを特徴とするデータ入力装置。
【請求項5】請求項4記載のデータ入力装置において、前記センサで検出された前記脈拍信号の振幅から前記指の接触圧力を検知することを特徴とするデータ入力装置。
【請求項6】請求項1乃至5のいずれかに記載のデータ入力装置において、前記通知手段は、前記情報機器との間のデータ授受の際、暗号化手段を用いることを特徴とするデータ入力装置。
【請求項7】請求項6記載のデータ入力装置において、前記通知手段は、前記暗号化手段を用いて前記判断結果を前記情報機器に通知することを特徴とするデータ入力装置。
【請求項8】利用者が情報機器を使用するに際し、前記利用者の生体情報を検出し、前記生体情報に基づいて、前記利用者の前記情報機器の利用可否を判断する情報機器保護方法において、前記利用者が握った請求項1乃至7のいずれかに記載の前記データ入力装置の前記センサからの検出結果を前記利用者の前記生体情報として取得することを特徴とする情報機器保護方法。
【請求項9】請求項8記載の情報機器保護方法において、前記利用者が握った請求項1乃至7のいずれかに記載のデータ入力装置の前記側面部に接する指の位置を前記利用者の前記生体情報として取得することを特徴とする情報機器保護方法。
【請求項10】請求項8または9に記載の情報機器保護方法において、前記利用者が握った請求項1乃至7のいずれかに記載のデータ入力装置の前記側面部に接する指がデータ入力装置側面に与える接触圧力を前記利用者の前記生体情報として取得することを特徴とする情報機器保護方法。
【請求項11】請求項8乃至10のいずれかに記載の情報機器保護方法において、前記利用者の脈拍信号から得られる心拍数を前記生体情報として取得することを特徴とする情報機器保護方法。
【請求項12】請求項8乃至11のいずれかに記載の情報機器保護方法において、前記利用者の心拍数あるいはその変化に応じて、前記情報機器へのアクセスを拒否し、あるいはアクセスを制限することを特徴とする情報機器保護方法。
【請求項13】請求項8乃至12のいずれかに記載の情報機器保護方法において、前記利用者の心拍数あるいはその変化に応じて、前記データ入力装置の動作を停止させることを特徴とする情報機器保護方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パソコンを初めとする種々の情報機器における正当な利用者以外の者による不正使用を防止するための、あるいは正当な利用者であるが不用意な使用を防止するための情報機器保護方法に関し、また、情報機器保護方法を用いたデータ入力装置、特にポインティングデバイスとしてのマウスに関する。
【0002】
【従来の技術】パソコンを初めとする種々の情報機器について、正当な利用者以外の者による不正使用を防止するため、正当な利用者のIDコードとパスワードを用いる方法が一般に広く使われている。IDコードとパスワードとを用いて情報機器を不正使用から保護するには、自分のIDコードとパスワードを盗まれないように正当な利用者自身による保護管理上の責務が重要となる。従ってIDコードとパスワードによる情報機器の保護は、事実上、利用者のモラルに任せれているのが現状である。
【0003】IDコードとパスワードを用いない保護方法としては、指紋など身体的特徴を利用した不正使用の防止策がある。例えば、特開平4−311266号公報では、表示画面の所定位置を指し示すポインティングデバイスとしてのマウスに、利用者照合方式として、指紋等の検出手段を備えさせて照合を行うシステムが開示されている。上記公報ではマウスに検出手段を設けることで、利用者が特に意識することなく利用者の照合チェックを行うことができることが記述されている。また上記公報には指紋を照合として使うことが実施例に記載されているが、指紋を用いた場合、検出器部分が複雑であり、指の汚れやかすれにより照合ができないことがある。
【0004】特にマウスに検出器を取り付けた場合には、マウスが卓上で操作されるため検出器が汚れ易く、読み取り精度を確保することが難しい。また、マウスとコンピュータ本体の間の通信経路において、データの盗用や詐称などが行われることが考えられる。このようにマウスに身体的特徴の検出手段を設けることは、利用者からすると自然な本人照合手段ではあるが、指紋を用いた場合には、必ずしも本人照合ができるとはかぎらない。
【0005】また、人体の身体的特徴である脈拍を検出する方法として、光学的に血流を検出する方法が運動管理用および自動車の安全運転用として利用されている。例えば、特開昭58−165821号公報では、腕時計に心拍数計を組み込んで運動中の心拍数の測定を可能にした例が開示されており、特開平6−22914号公報では自動車のハンドルに心拍センサを取り付ける例が開示されている。これらの脈拍を読み取る方法としては、指に光を照射する光源と受光素子からなる構造のものあるいは2個の電極間の電位差から脈拍を読みとるものが示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、パーソナルコンピュータを初めとする種々の情報機器を不正利用から保護するために正当な利用者の照合を行おうとするのであれば、上述の腕時計やハンドルではなく、ポインティングデバイスとして広く用いられているマウスに情報機器を保護するための手段を設ける方が現実的である。ところが、上述のように、マウスに検出器を取り付けた場合には、マウスが卓上で操作されるため検出器が汚れ易く読み取り精度を確保することが困難であるという問題を有している。また、マウスとコンピュータ本体の間の通信経路において、データの盗用や詐称などが行われ得るという問題も有している。
【0007】本発明の目的は、パソコンを初めとする種々の情報機器の正当な利用者以外の者による不正使用を防止し、あるいは正当な利用者であるが不用意な使用を防止することができる情報機器保護方法およびそれを用いたマウスを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的は、情報機器へのデータを入力するデータ入力装置(例えば、マウス)において、利用者の生体情報を検知するセンサと、センサで得られた生体情報を情報機器に通知する通知手段とを有することを特徴とするデータ入力装置によって達成される。本発明のデータ入力装置において、センサで得られた生体情報に基づいて、利用者の情報機器の利用可否を判断する判断手段をさらに有し、通知手段は、判断手段で得られた判断結果を情報機器に通知することを特徴とする。
【0009】また、本発明のデータ入力装置において、センサは、データ入力装置本体の両側面部の少なくともいずれか一方に複数配列した受光素子を有していることを特徴する。また、センサは、受光素子に隣接して複数配列した発光素子を有し、発光素子から射出して利用者の指を介して受光素子に入射した光から利用者の脈拍信号を検出することを特徴とする。さらに、センサで検出された脈拍信号の振幅から指の接触圧力を検知することを特徴とする。また、本発明のデータ入力装置において、通知手段は、情報機器との間のデータ授受の際、暗号化手段を用いることを特徴とする。そして、通知手段は、暗号化手段を用いて判断結果を情報機器に通知することを特徴とする。
【0010】また、上記目的は、利用者が情報機器を使用するに際し、利用者の生体情報を検出し、生体情報に基づいて、利用者の情報機器の利用可否を判断する情報機器保護方法において、利用者が握った上述の本発明に係るデータ入力装置のセンサからの検出結果を利用者の生体情報として取得することを特徴とする情報機器保護方法によて達成される。そして、本発明の情報機器保護方法において、利用者が握った上述の本発明のデータ入力装置の側面部に接する指の位置を利用者の生体情報として取得することを特徴とする。
【0011】また、上述の本発明のデータ入力装置の側面部に接する指がデータ入力装置側面に与える接触圧力を利用者の生体情報として取得することを特徴とする。また、本発明の情報機器保護方法において、利用者の脈拍信号から得られる心拍数を生体情報として取得することを特徴とする。また、本発明の情報機器保護方法において、利用者の心拍数あるいはその変化に応じて、情報機器へのアクセスを拒否し、あるいはアクセスを制限することを特徴とする。さらに、利用者の心拍数あるいはその変化に応じて、データ入力装置の動作を停止させることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施の形態による情報機器保護方法およびそれを用いたデータ入力装置としてのマウスを図1乃至図6を用いて説明する。まず、本実施の形態によるマウスの概略の構成を図1を用いて説明する。
【0013】図1においてマウス本体1の側面に取り付けられたセンサ201およびセンサ202は、右手でマウスが握られた場合、センサ201は右手親指のマウス側面への接触により、生体情報を得るための電気信号を発生させる。センサ202は薬指および小指の接触により、生体情報を得るための電気信号を発生させる。これら電気信号は図2(a)に示すように、マウス本体1内部にある検出手段30により、生体情報に変換される。生体情報としては、例えば指にセンサが触れることによる指の位置や指の血流により生じる脈拍信号および脈拍信号の出方によって測定できる指の押し付け圧力と接触位置である。
【0014】この生体情報はマウスを握る人物を判別するために十分な情報を有しており、予め、記憶手段34に記憶された情報機器(例えば、パーソナルコンピュータ、以下、パソコンと略称する)の正当な利用者の生体情報と検出された生体情報とが判定手段32で比較される。比較の結果、記憶手段34に記憶された生体情報と検出された生体情報が一致したと判定したならば、通知手段36を用い、第三者による不正なデータの進入を防止しつつ、確実にパソコン本体のプログラムあるいはハードウェア装置にその判定結果を通知するようになっている。
【0015】図3および図4はセンサ201、202の内部構造を示している。図3に示すセンサ201、202は、複数のフォトダイオード3を基板4上にライン状に配置した構造を有している。基板4の材料としては、ガラスエポキシでできたプリント配線基板を使うことができる。また基板4の材料としてセラミック基板を用いれば基板上の配線密度が上がり、フォトダイオード3の実装密度を上げることができる。
【0016】図4では、面実装タイプのフォトダイオード5で構成したセンサ201、202を示す。図3の例と同じく基板4上に上面に受光面のある面実装タイプのフォトダイオード5をライン状に実装している。センサ201、202においてフォトダイオード5をライン状に並べた全長は指の接触が十分になされる長さを考慮して、30mmから50mmが望ましい。センサ201、202の全長が短いと、十分にセンサ部分に指が接触しない可能性があり望ましくない。また、全長が長すぎれば、フォトダイオード5の数が多くなりコストがかかってしまう。
【0017】また、アレイのフォトダイオード3、5を設置する間隔は、0.1mmから3mm程度が望ましい範囲である。間隔を長くすると、判定に必要な生体情報が得られないことがある。また、間隔を短くするとフォトダイオード3、5の数が多くなりコストがかかる。フォトダイオード3、5の代わりとして、CdS(硫化カドミューム素子)、フォトトランジスタ、あるいはアモルファスシリコンフォトダイオードなどの光電変換素子を用いることができる。また、半導体プロセスを用いて、直接シリコン基板やガラス基板にフォトダイオードをライン状に形成するセンサーも用いることができる。また半導体プロセスで製作されたラインCCDセンサを用いれば、処理手段である検出回路を簡単にできる。
【0018】これらのセンサは図1に示すようにマウス本体1の筐体内部に収納され、その受光面は透明であるか、あるいは検出光の波長領域を透過させるプラスチック等で加工されている。受光面は、マウス両側面の窓601、602から外部に向けられるように配置してある。マウス側面の窓601、602を透過して入射する外部の光が各フォトダイオードに到達する前に、指の接触により遮られることを利用して種々の生体情報が検出される。
【0019】各フォトダイオードの信号線は検出手段である検出回路に接続し、ここで時系列の信号を得てこれを生体情報とする。図5は指の接触、センサおよび検出回路の構成を示す図である。センサであるフォトダイオードアレー8の受光面が、マウス本体を握った指7により遮光される。検出回路は、指7で一部遮光されたフォトダイオードアレー8からの信号を増幅するために、単一の増幅器14をフォトダイオードアレー8のダイオードの数だけ備えた増幅回路9を有している。また、この出力信号を時系列信号に変換するアナログマルチプレクサ回路10、レベル補正回路11およびA/Dコンバータ12を有している。
【0020】アナログマルチプレクサ回路10は、フォトダイオードアレー8の一端部にあるフォトダイオード301より、他端部のフォトダイオード302まで、逐一出力につなぎ換える。このことにより、フォトダイオードアレイ8すべてのフォトダイオードの信号を時系列信号に変換することができる。アナログマルチプレクサ回路10の動作は内部のFET(電解効果型トランジスタ)によるアナログスイッチの各ゲート電圧を順次オンにすることで行う。アナログマルチプレクサ回路10の出力信号はレベル補正回路11を通じてA/Dコンバータ12によってディジタル信号に変換されるようになっている。
【0021】アナログマルチプレクサ回路10の出力信号は、レベル補正回路11を通じてA/Dコンバータ12に入力される。レベル補正回路11には、フォトダイオードアレイ8の近傍で、マウスを握った状態で指7が光の入射を遮らない位置に取り付けた基準用フォトダイオード13からの信号を入力し、これを基準に補正を加える。図6はレベル補正回路11の入力と出力の関係を示している。図6(a)はレベル補正回路11に入力する入力信号を示している。横軸はフォトダイオードアレイ8の各フォトダイオードの位置を表し、横軸は、各フォトダイオードの光電流レベルを示している。図中の矢印Refで示したレベルは、基準用フォトダイオード13の光電流レベルを示す。図6(b)は、レベル補正回路11からの出力電圧を示している。
【0022】レベル補正回路11では、この図6(b)に示すように、基準用フォトダイオード13の光電流レベルが必ず図に示す電圧Vrになるように、全体のレベルの増幅あるいは減衰をする。電圧Vrは、A/Dコンバータ12のフルスケール電圧と同電圧にする。あるいは、フルスケール電圧に対して90%から95%の範囲で設定する。この範囲に設定することにより、基準用フォトダイオード13の光電流レベルよりも大きな光電流レベルであるフォトダイオードがあったとしても、A/Dコンバータ12の入力にはフルスケール電圧以上の電圧がかかりにくくなるため、A/Dコンバータ12での変換不能を避けることができる。以上の一連の基準用フォトダイオード13およびレベル補正回路11の動作により、マウスの置かれる位置や照明の関係で変動する各フォトダイオードからの信号レベルの全体的な変動を補正する。A/Dコンバータ12の出力はディジタル化された生体情報として判定回路に渡される。
【0023】図2(a)に示した判定手段32である判定回路は、生体情報である時系列ディジタル信号と、記憶回路に記憶されている正当な利用者がマウスを握った際に同様なセンサおよび検出回路で得た時系列ディジタル信号とを比較して、正当な利用者が握ったものかどうか判定する。以下に判定方法の一例を示す。検出した時系列ディジタル信号Xiと、正当な利用者が握った場合の時系列ディジタル信号Piとの二乗誤差Sの値により判定を行う。センサアレイの数をNとすると、二乗誤差Sは、【0024】
【数1】

【0025】で示される。Sの値がある閾値以下の場合に、マウスを握った人物が予め記憶回路に記録されている正当な人物と同一であるとし、閾値以上の場合は正当な人物ではないと判断する。以上の計算および判定をするために、プログラムが内蔵できるマイクロプロセッサを使うことが設計の上で最も適切な方法である。
【0026】通知手段36は判定結果を確実にパソコン本体のプログラムあるいはハードウェア装置に通知する。図2(a)に示したように判定回路がマウス側に置かれている構成において、マウスとパソコン本体との接続間でデータの盗用および盗用したデータによる不正使用などが生じ得ると考えられる状況があれば、マウス本体1を図2(b)に示すような構成にしてもよい。図2(b)におけるマウスは、判定手段32および記憶手段34が取り除かれており、センサ201、202からの検出信号は検出手段30に入力した後そのまま通知手段36により、パソコン本体側に通知される。そして、図示を省略したがパソコン本体側に判定手段32と記憶手段34とを持たせるようにしている。
【0027】また、マウス1本体において、通知すべきデータの暗号化、パソコン本体での平文化をもとにした通知手段36が有効である。暗号化方式はマウスおよびパソコン本体のICチップに埋め込まれた共通鍵による共通鍵方式が比較的簡単で有効である。また、公開鍵暗号方式を用いて、マウスに公開鍵と秘密鍵のペアの設定をすることで、マウスにID機能を持たせることもできる。いずれにせよ、これら暗号方式により、マウスとパソコン本体あるいは内部ソフトウエアの間での判定結果のやり取りを外部からの不正な使用や詐称から保護することができる。また通知手段36は、マウス本体のハードウェア装置としての機能であるマウスの移動量信号、あるいはボタンの押し下げ信号のパソコン本体への送出動作に働きかけて、判定結果が正当な利用者でない場合はこれら信号の送出動作を停止するようにしてもよい。
【0028】次に本発明の第2の実施の形態による情報機器保護方法およびそれを用いたマウスを図7乃至図11を用いて説明する。まず、本実施の形態によるマウスの概略の構成を図7を用いて説明する。図7は脈拍センサーセル単体を示したものである。このセンサの上に指7を置くと、直流電源Vsおよび電流調整のための抵抗器R1によって電流を流す発光ダイオード15により指7に光が照射され、照射した光のうち指先端部の血液の脈動により吸収された量を受光素子16により検出するようになっている。発光ダイオード15の発光波長は、800nmから900nmの範囲であると、効率よく脈拍信号が得られる。
【0029】受光素子16はフォトダイオード、フォトトランジスタ、CdSおよびアモルファスシリコンフォトダイオードなどを用いることができるが、いずれの受光素子を用いたとしても、発光ダイオード15の発光波長に波長感度領域が入る受光素子を選択することが必要である。受光素子16としてフォトダイオードを用いた場合、逆バイアス電圧を印加するための抵抗器R2、直流成分を遮断するためのカップリングコンデンサC1および入力抵抗R3を図のように接続し増幅器A1の入力に導く。また、カップリングコンデンサC1および入力抵抗R3は、CR型のハイパスフィルタを構成しており、T1=C1×R3で決まる時定数T1は2秒から10秒に設定することが望ましい。この時定数T1を大きくすると直流レベルが安定するまで時間がかかり、短くすると脈拍信号の波形が変わってしまう。
【0030】図7に示す回路により、増幅器A1の出力端Pで図8に示すような脈拍信号が得られる。この信号振幅は指の接触状態によりその振幅Aeが変化し、その周期Teから脈拍数を算出できる。このセンサにおいては前例のセンサが生体情報として握ったときの指の位置を検出するのに加えて、握る圧力および心拍数を生体情報として得ることができる。これらは、個人により異なる要素であり、個人識別の確度を前例のものに比べて格段に向上させることができる。
【0031】図9および図10はいずれも脈拍を検出するセンサの例である。図9におけるセンサでは、図3に示したセンサの例と同様であり、複数のフォトダイオード17が基板4上にライン状に配置されている。フォトダイオードアレイの代わりに、直接シリコン基板やガラス基板にフォトダイオードをライン状に形成したセンサも用いることができる。また半導体プロセスで製作されたラインCCDセンサを用いることもできる。また、発光ダイオード18はフォトダイオード17の近傍に複数配置されている。フォトダイオード17と発光ダイオード18の数は必ずしも同じでなくてもよい。要するに発光ダイオード18は、接触する指に光を照射できる位置に配置されていればよい。図10は、面実装タイプのフォトダイオード19と発光ダイオード20で構成したセンサを示す。図9の例と同じく基板4上に上面に受光面のある面実装タイプのフォトダイオード19と上面に発光面がある発光ダイオード20がライン状に実装されている。
【0032】次に、図11は指の接触、センサおよび検出回路の構成を示している。センサ21は図9あるいは図10で示したセンサであり、発光ダイオードの発光によりマウス本体を握った指7に光を照射する。指の先端部分の血流により、照射した光の反射量および吸収量が変化し、この変化をセンサ21にライン状に設けた受光素子25により検出する。センサ21からの脈拍信号を検出するため、検出回路22には図7で示した検出回路部分23がセンサ21の受光素子の数だけ設けられている。
【0033】検出回路22からの信号はアナログマルチプレクサ回路24に導かれ、時系列データに変換される。このとき、アナログマルチプレクサ回路24が入力信号を走査する周波数Frは、脈拍信号を十分に再生できるように、10Hzから100Hzの範囲で設定する。この周波数が低いと、検出する脈拍信号の波形を十分にとり込めないことがあり、周波数が高いと振幅検出に関わるデータ量が増大しコストがかかってしまう。アナログマルチプレクサ回路24の信号は、CPUバス50に直結したA/Dコンバータ46に入力される。A/Dコンバータ46の変換周波数Fsはセンサ21の受光素子の数をNとすると、Fs=Fr・Nとなると共に、アナログマルチプレクサ回路24の各スイッチング素子のスイッチングタイミングに同期するさせる。この走査により、A/Dコンバータ46のディジタル出力には、センサ21の各受光素子からの信号を一秒間にFr回取り込むことになる。
【0034】このようにして、ディジタル信号として取り込まれた脈拍信号は、マウスの本体に組み込まれた、CPU40、RAM42、ROM44および通信用インターフェイス48が接続されたCPUバス50を通じてRAM42に一時的に収納される。ROM44に組み込まれたプログラムによって動作するCPU40により、脈拍信号の振幅Aeをセンサ21の各受光素子について求めた値、Aei(i=1,N)を得る。これと同時に、脈拍信号の周期TeもCPU40による波形解析処理により求める。Teの波形解析処理としてはピーク点の間隔を測定しある回数平均化する方法が比較的簡単な方法である。
【0035】また、FFT(高速フーリエ変換)による周波数解析の手法を用いることもできる。周期Teを求めるために用いる脈拍信号はAeiが最大となる受光素子から得られた信号から求めるのが最も正確である。脈拍信号に含まれる雑音が影響して正確にこれら脈拍信号の解析ができない場合がある。そのため、脈拍信号に含まれる雑音を除去する処理を行うことが正確な解析のために必要である。脈拍信号に含まれる雑音成分でもっとも大きいものが、照明による電源周波数成分を有する雑音である。そのため、一般に使われる電源周波数である50Hzあるいは60Hzの信号成分を除去する処理を行うこともある。この処理はFIRフィルタを使うことが簡単で有効である。
【0036】以上の処理によって求められた各受光素子の振幅Aeiは、記憶手段であるRAM42あるいはROM44に予め記憶されている、正当な利用者がマウスを握ったときに得られる振幅の値Api(i=1,N)と比較される。この比較方法は前述と同じよう二乗誤差Spを用いる。二乗誤差Spは、【0037】
【数2】

【0038】として表され、Spの値がある閾値以下の場合に、マウスを握った人物が予め記憶回路に記録されている正当な人物と同一であるとし、閾値以上の場合は正当な人物ではないと判断する。
【0039】また、正当な利用者の安静時の心拍周期Tpを記憶回路に記憶しておき、センサおよび検出回路で得られた脈拍周期Teを比較する。脈拍周期Teが正当な利用者の安静時の脈拍周期Tpと大きく異なるときは、正当な利用者でないと判定する。正当な利用者であるとする判定範囲は、周期が短く心拍が早い方向には10%、周期が長く心拍が遅い方向に5%とすることが望ましい。一般に心拍は、その時の心理状態等により変化しやすく、正当な利用者と判断するには適さないものであるが、補助的な手段としては有効である。
【0040】心拍数は、安静時より早くはなり易いが遅くすることは難しい。不正な利用者が正当な利用者となりすまして、上記の許容範囲の中に心拍数を調整するのは難しい行為である。特に、心拍数を少ない状態に持っていくことは難しい。また、心拍数が大きく変化する場合も利用者が何らかの異常な精神状態とみて、不正な利用者と判断を下すこともある。いずれにしても心拍数やその変化が許容範囲に収まらなかった場合は、正当な利用者であるとする判定を利用者が安静状態になる時間である5分程度の間、保留する。その後再度マウスを握ったときに振幅の比較と心拍周期より判定を行う。
【0041】次に、本発明の第3の実施の形態による情報機器保護方法およびそれを用いたマウスを図12を用いて説明する。まず、本実施の形態によるマウスは、心拍周期による判定のみを行う点に特徴を有している。これは、脈拍検出用のセンサ26、27を、マウスが右手で操作されることを前提として、多くの人が親指を接触する部分と手のひらが当たる部分に設け、脈拍信号のみを検出するものである。したがってこのマウスの例においては脈拍信号のみの判定によるものではあるが、構成が簡単であることが特徴である。この場合、脈拍検出用のセンサの数は1つでもよい。また、さらに多くの心拍検出用のセンサをマウスに設ける場合には、図12に示した場所以外にも設置することができ、確実に利用者の脈拍信号の検出ができる。
【0042】この例では、脈拍のデータを採取できることから、利用者がマウスに触れているかどうかのチェックおよび脈拍から判断した利用者の精神状態によるサービス、プログラムあるいはファイルへのアクセス拒否あるいは制限に利用できる。心拍数が多い心身的状態にある利用者は、情報機器の扱いを停止あるいは制限してデータ等の安全性を向上させることができる。
【0043】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、パーソナルコンピュータ等のマウスを利用する種々の情報機器において、それらの情報機器の正当な利用者のみが当該情報機器を利用できるようになる。また、脈拍が速く冷静な判断ができない状態にある利用者へのアクセス拒否や制限ができ、情報機器の利用上の安全性を向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
【出願日】 平成10年(1998)1月16日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 正樹
【公開番号】 特開平11−197136
【公開日】 平成11年(1999)7月27日
【出願番号】 特願平10−20289