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【発明の名称】 脈拍波形検出装置
【発明者】 【氏名】山田 道治

【氏名】若山 聡

【氏名】水野 哲哉

【氏名】寺田 重雄

【氏名】前田 光俊

【氏名】伊藤 博

【氏名】松田 守弘

【氏名】稲垣 大

【要約】 【課題】人体を固定せずに測定する際に、安定して脈拍信号を得ることができる脈拍波形検出装置を提供する。

【解決手段】LED2は人体の一部に光を照射し、LED3はLED2とは異なる波長の光を人体の一部に照射する。PD7はLED2の光に対する人体からの反射光を受光して受光強度に応じた電気信号に変換し、PD8はLED3の光に対する人体からの反射光を受光して受光強度に応じた電気信号に変換する。差動増幅器15はPD7による電気信号とPD8による電気信号とを入力して両信号の差分をとり、人の動きにより発生する体動信号を除去して脈拍信号のみを抽出する。PD16はLED2の発光強度を検出し、PD17はLED3の発光強度を検出する。コンピュータ20はLED2の発光強度とLED3の発光強度との比が予め定めた一定値となるように発光強度を制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 人体の一部に光を照射する第1の光源と、前記第1の光源とは異なる波長の光を人体の一部に照射する第2の光源と、前記第1の光源の光に対する人体からの反射光を受光して受光強度に応じた電気信号に変換する第1の受光素子と、前記第2の光源の光に対する人体からの反射光を受光して受光強度に応じた電気信号に変換する第2の受光素子と、前記第1の受光素子による電気信号と前記第2の受光素子による電気信号とを入力して両信号の差分をとり、人の動きにより発生する体動信号を除去して脈拍信号のみを抽出する差分処理手段と、前記第1の光源の発光強度を検出する第1の発光強度検出段と、前記第2の光源の発光強度を検出する第2の発光強度検出手段と、前記第1の発光強度検出手段による第1の光源の発光強度と前記第2の発光強度検出手段による第2の光源の発光強度との比が予め定めた一定値となるように発光強度を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする脈拍波形検出装置。
【請求項2】 人体の一部に光を照射する第1の光源と、前記第1の光源とは異なる波長の光を人体の一部に照射する第2の光源と、前記第1と第2の光源の時分割駆動に伴う各光源の光に対する人体からの反射光を受光して受光強度に応じた電気信号に変換する受光素子と、前記受光素子による第1の光源の駆動時の電気信号と第2の光源の駆動時の電気信号とを入力して両信号の差分をとり、人の動きにより発生する体動信号を除去して脈拍信号のみを抽出する差分処理手段と、前記第1の光源の発光強度を検出する第1の発光強度検出段と、前記第2の光源の発光強度を検出する第2の発光強度検出手段と、前記第1の発光強度検出手段による第1の光源の発光強度と前記第2の発光強度検出手段による第2の光源の発光強度との比が予め定めた一定値となるように発光強度を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする脈拍波形検出装置。
【請求項3】 第1の光源の発する光の波長は600nm未満であり、第2の光源の発する光の波長は600nm以上である請求項1または2に記載の脈拍波形検出装置。
【請求項4】 第1および第2の光源の光軸を一致させるとともに、光源と受光素子の光軸を一致させた請求項1または2に記載の脈拍波形検出装置。
【請求項5】 ビームスプリッター、ハーフミラー及びダイクロックミラーのうちのいずれか1つを用いて光軸を一致させた請求項4に記載の脈拍波形検出装置。
【請求項6】 光ファイバーを用いて第1および第2の光源の光を混合して均一に照射することにより両光源の光軸を一致させ、さらに当該光ファイバーを用いて受光することにより光源と受光素子の光軸を一致させた請求項4に記載の脈拍波形検出装置。
【請求項7】 第1および第2の光源を位相の異なる方形波信号または正弦波信号で駆動させる駆動手段を備えるとともに、受光信号を前記駆動信号で同期検波する同期検波手段を備えた請求項2に記載の脈拍波形検出装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、光を人体の一部に照射するとともにその反射光から少なくとも脈拍波形を検出する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】脈拍波形検出装置として従来、人体の一部に光を照射し、その反射光の光量の変化から脈拍波形を検出する技術がある。以下、原理を述べる。光が生体に当たると一部が赤血球に吸収され、残りが皮膚組織により散乱された反射光となる。また、血液中の赤血球量は血管の脈動に伴い変化しているため、赤血球による赤外線吸収量は脈動に同期して変化する。この吸収量の変化を測定することにより脈拍波形が検出できる。
【0003】しかし、被検出対象である人体の一部が動いた場合には、動きによる反射光量変化が起き体動信号が発生してしまい、そのために脈拍信号が検出できないという問題がある。つまり、脈拍信号成分は反射光量の約1/1000と微弱であるため、人体の一部が動き反射光量が1/1000以上変化した場合、脈拍信号は体動信号に埋もれてしまう。これを回避するため、例えば、図8に示すように、固定バンド(指挿入管)100の内面に発光素子101と受光素子102を配置し、固定バンド100の中に指Fを入れた状態で発光素子101からの光の反射光を受光素子102にて受光するようにしている。つまり、発受光素子101,102に対し指Fを固定することにより、指Fの動きによる反射光の変化が起きないようする。
【0004】しかし、この方法では発受光素子101,102を指F(人体の一部)に押し当てなければならないため、測定時に煩わしさと不快感があった。そこで、脈拍波形検出装置の発受光素子101,102を人体に完全に固定できず、振動などで測定部位がズレる場合、複数の波長の光を用いて脈拍信号と体動信号を検出し、差分処理により脈拍信号のみを検出する方法がある(特開昭53−122284号公報、特開昭60−135029号公報、特開平7−88092号公報、特表平5−506802号公報)。より詳しくは、図9に示すように、第1の波長の光を発する発光素子110と第2の波長の光を発する発光素子111とにより発光部を構成し、手Hの反射光を受光素子112にて受光するようにし、図10に示すように、受光素子112による脈拍信号と体動信号を含む信号SG10,SG11から差分処理により脈拍信号SG12のみを抽出する。
【0005】しかしながら、図9のように、人体に脈拍波形検出装置の発受光素子110,111,112を固定せずに人体Hと発受光素子110,111,112との間の距離や測定部位が変化する非接触方式で差分処理を行う場合、各波長での光における体動信号成分を一致させる必要があるが、使用環境等で時間経過と共に各波長の発光強度が変動してしまい脈拍信号SG12が得られなくなるという問題がある。つまり、図10において当初、信号SG10のレベルが実線で示す状態であったが経時変化等により破線で示すようにレベルダウンすると信号SG10’とSG11とが交差しなくなり脈拍信号SG12が得られなくなる。
【0006】そのため、差分処理を行っても体動信号を除去できず、人体から非接触方式で脈拍信号を検出することができない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この発明はこのような背景の元になされたものであり、その目的は、人体を固定せずに測定する際に、安定して脈拍信号を得ることができる脈拍波形検出装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は、人体の一部に光を照射する第1の光源と、前記第1の光源とは異なる波長の光を人体の一部に照射する第2の光源と、前記第1の光源の光に対する人体からの反射光を受光して受光強度に応じた電気信号に変換する第1の受光素子と、前記第2の光源の光に対する人体からの反射光を受光して受光強度に応じた電気信号に変換する第2の受光素子と、前記第1の受光素子による電気信号と前記第2の受光素子による電気信号とを入力して両信号の差分をとり、人の動きにより発生する体動信号を除去して脈拍信号のみを抽出する差分処理手段と、前記第1の光源の発光強度を検出する第1の発光強度検出段と、前記第2の光源の発光強度を検出する第2の発光強度検出手段と、前記第1の発光強度検出手段による第1の光源の発光強度と前記第2の発光強度検出手段による第2の光源の発光強度との比が予め定めた一定値となるように発光強度を制御する制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0009】よって、第1と第2の光源から異なる波長の光が人体の一部に照射されると人体からの反射光が第1と第2の受光素子にて受光され、差分処理手段において第1の受光素子による電気信号と第2の受光素子による電気信号との差分がとられ、人の動きにより発生する体動信号を除去して脈拍信号のみが抽出される。
【0010】一方、第1の発光強度検出手段にて第1の光源の発光強度が、第2の発光強度検出手段にて第2の光源の発光強度が検出され、制御手段は、第1の発光強度検出手段による第1の光源の発光強度と第2の発光強度検出手段による第2の光源の発光強度との比が予め定めた一定値となるように発光強度を制御する。
【0011】その結果、各波長での光における体動信号成分を一致させることができ、差分処理後に安定して脈拍信号を得ることができる。請求項2に記載の発明は、人体の一部に光を照射する第1の光源と、前記第1の光源とは異なる波長の光を人体の一部に照射する第2の光源と、前記第1と第2の光源の時分割駆動に伴う各光源の光に対する人体からの反射光を受光して受光強度に応じた電気信号に変換する受光素子と、前記受光素子による第1の光源の駆動時の電気信号と第2の光源の駆動時の電気信号とを入力して両信号の差分をとり、人の動きにより発生する体動信号を除去して脈拍信号のみを抽出する差分処理手段と、前記第1の光源の発光強度を検出する第1の発光強度検出段と、前記第2の光源の発光強度を検出する第2の発光強度検出手段と、前記第1の発光強度検出手段による第1の光源の発光強度と前記第2の発光強度検出手段による第2の光源の発光強度との比が予め定めた一定値となるように発光強度を制御する制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0012】よって、時分割駆動にて第1と第2の光源から異なる波長の光が人体の一部に照射され、第1と第2の光源の時分割駆動に伴う各光源の光に対する人体からの反射光が受光素子にて受光される。そして、差分処理手段において受光素子による第1の光源の駆動時の電気信号と第2の光源の駆動時の電気信号との差分がとられ、人の動きにより発生する体動信号を除去して脈拍信号のみが抽出される。
【0013】一方、第1の発光強度検出手段にて第1の光源の発光強度が、第2の発光強度検出手段にて第2の光源の発光強度が検出され、制御手段は、第1の発光強度検出手段による第1の光源の発光強度と第2の発光強度検出手段による第2の光源の発光強度との比が予め定めた一定値となるように発光強度を制御する。
【0014】その結果、各波長での光における体動信号成分を一致させることができ、差分処理後に安定して脈拍信号を得ることができる。さらに、第1の発明における第1および第2の受光素子が共通化され受光素子の個数を減らすことができ、実用上好ましいものとなる。
【0015】ここで、請求項3に記載の発明のように、第1の光源の発する光の波長は600nm未満であり、第2の光源の発する光の波長は600nm以上であるものとすると、実用上好ましいものとなる。
【0016】また、請求項4に記載の発明のように、第1および第2の光源の光軸を一致させるとともに、光源と受光素子の光軸を一致させると、安定した差分処理を行うことが可能となる。
【0017】つまり、図9に示す従来技術では各発光部の光軸L10,L11が一致しておらず、かつ、発光部の光軸L10,L11と受光部の光軸L12が一致していない。そのため、手Hの動きにより各波長の反射光量比が変化する。これを詳しく説明すると、図9のA点での測定とB点での測定を考えた場合、A点での測定では図11(a)のように両方の光を均等に受光し反射光量比が「1」である。これに対し、図9のB点での測定では図11(b)のように一方の光しか受光できず反射光量比が「0」または無限大となってしまう。これに対し、本発明のように、複数の発光部の光軸および発光部と受光部の光軸を一致させると、動きによる各波長での光の体動信号成分と脈拍信号成分の比率が変化せず、安定した差分処理が可能となる。
【0018】ここで、請求項5に記載のように、ビームスプリッター、ハーフミラー及びダイクロックミラーのうちのいずれか1つを用いて光軸を一致させると、実用上好ましいものとなる。
【0019】また、請求項6に記載のように、光ファイバーを用いて第1および第2の光源の光を混合して均一に照射することにより両光源の光軸を一致させ、さらに当該光ファイバーを用いて受光することにより光源と受光素子の光軸を一致させると、実用上好ましいものとなる。
【0020】また、請求項7に記載のように、請求項2に記載の発明において、第1および第2の光源を位相の異なる方形波信号または正弦波信号で駆動させる駆動手段を備えるとともに、受光信号を前記駆動信号で同期検波する同期検波手段を備えると、時分割駆動する際に実用上好ましいものとなる。
【0021】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)以下、この発明を具体化した実施の形態を図面に従って説明する。
【0022】図1には、本実施形態における脈拍波形検出装置の全体構成図を示す。発受光部1に対し、測定対象である手(人体の一部)Hが自由に動けるようになっている。
【0023】発受光部1は、LED2,3とビームスプリッター4,5,6とフォトダイオード(以下、PDという)7,8を具備している。LED2からは600nm未満(緑色〜青色)の光が発せられ、LED3からは600nm以上(赤外〜赤色)の光が発せられる。本例においては、LED2が第1の光源となるとともに、LED3が第2の光源となる。また、PD7はLED2の光(緑色〜青色)に対する反射光を受光(感光)する第1の受光素子であり、PD8はLED3の光(赤外〜赤色)に対する反射光を受光(感光)する第2の受光素子である。
【0024】LED2,3には駆動回路9,10が接続され、駆動回路9,10によりLED2,3が発光する。LED2,3はビームスプリッター4に対向して配置され、LED2の発する光は、ビームスプリッター4を通過して、さらにビームスプリッター5を通過して手Hに向かうようになっている。また、LED3の発する光は、ビームスプリッター4で反射されて、さらにビームスプリッター5を通過して手Hに向かうようになっている。
【0025】このように、ビームスプリッター4によりLED2,3から手Hへの光軸が一致し、手H(人体)に光が照射される。この時、照射した光の一部は、生体、特に血液中のヘモグロビンにより吸収される。血液中のヘモグロビン量は、脈動に伴い変化しているため、吸収量も変化する。手(生体)Hから反射した光は、ビームスプリッター5により受光側(図の上)へ反射させられ、ビームスプリッター6に向かう。ビームスプリッター6において、入射した光は通過してPD7に向かうとともに、その一部がビームスプリッター6にて反射しPD8に向かう。
【0026】このように人体に反射させられた光はビームスプリッター5,6により光軸を合わせながら2分割され、2分割された光は、それぞれ、PD7とPD8に受光されて受光強度に応じた電気信号に変換される。
【0027】なお、光を照射する生体には、本実施形態では手を示したが、腕や頬等の顔面や髪の生えた後頭部等、どこでもよい。ここで、図3に示す波長に対する脈拍信号光量/反射光量の関係において、脈拍信号光量/反射光量は波長依存性がある。そのため、LED2に600nm未満(緑色〜青色)の光を、LED3に600nm以上(赤外〜赤色)の光を用い、さらに、PD7で緑色光〜青色光を用いた脈拍信号と体動信号、PD8で赤外光〜赤色光を用いた脈拍信号と体動信号を検出すると、2つの受光信号には人の動きによる体動信号と脈拍信号の比率に差が現れる。
【0028】なお、PD7とPD8は異なる波長の光を感じるフォトダイオード(PD)としたが、他にも、PD7とPD8は同じ波長感度特性のフォトダイオード(PD)とし、赤色光透過用フィルタと緑色光透過用フィルタを用いて分光して各PDで受光して電気信号に変換するようにしてもよい。
【0029】図1に示すように、PD7にはI−V変換回路11が、PD8にはI−V変換回路12が接続され、I−V変換回路11,12においてPD7,8により得られた信号が電圧信号に変換される。I−V変換回路11にはLPF(ローパスフィルタ)13が、I−V変換回路12にはLPF(ローパスフィルタ)14が接続されている。さらに、LPF13,14の出力は差分処理手段としての差動増幅器15の入力端子にそれぞれ接続され、差動増幅器15において両入力信号の差が増幅して出力される。この出力信号は人の動きにより発生する体動信号が除去され、脈拍信号のみが抽出される。この詳細については後述する。
【0030】一方、LED2の近傍には、LED2の発光強度を検出する第1の発光強度検出手段としてのPD16が配置されるとともに、LED3の近傍には、LED3の発光強度を検出する第2の発光強度検出手段としてのPD17が配置されている。PD16にはI−V変換回路18が接続されるとともに、PD17にはI−V変換回路19が接続されている。I−V変換回路18,19においてPD16,17により得られた信号が電圧信号に変換される。I−V変換回路18,19には制御手段としてのコンピュータ20が接続され、I−V変換値がコンピュータ20に取り込まれる。このように、LED2,3の発光量はPD16,17によりモニタされ、I−V変換回路18,19を通してコンピュータ20に取り込まれる。コンピュータ20ではPD16,17の出力信号が設定値になるようにLED2,3の駆動回路9,10に制御信号を送る。
【0031】図2には、図1の駆動回路9,10の構成例を示す。図2において、電源Vccにはトランジスタ30と抵抗31とLED2と抵抗32が直列に接続されている。抵抗31とLED2との間のa点は抵抗33を介して接地されるとともにa点は差動増幅器34の反転入力端子に接続されている。また、差動増幅器34の非反転入力端子にはD/A変換器36の出力端子36aが接続されるとともに、差動増幅器34の出力端子は抵抗35を介してトランジスタ30のベース端子と接続されている。D/A変換器36は図1のコンピュータ20からの指令値(デジタル信号)をアナログ信号に変換して出力端子36aに出力する。つまり、コンピュータ20からの指令値に応じた電圧が差動増幅器34の非反転入力端子に印加されるとともにLED2の通電電流に応じた電圧が差動増幅器34の反転入力端子に印加され、そして、両方の電圧値を一致させる電圧がトランジスタ30のベース端子に印加され、LED2の通電電流が制御されて所望の強度の光がLED2から発せられる。
【0032】一方、図2の電源Vccにはトランジスタ37と抵抗38とLED3と抵抗39が直列に接続されている。抵抗38とLED3との間のb点は抵抗40を介して接地されるとともにb点は差動増幅器41の反転入力端子に接続されている。また、差動増幅器41の非反転入力端子にはD/A変換器36の出力端子36bが接続されるとともに、差動増幅器41の出力端子は抵抗42を介してトランジスタ37のベース端子と接続されている。D/A変換器36は図1のコンピュータ20からの指令値(デジタル信号)をアナログ信号に変換して出力端子36bに出力する。つまり、コンピュータ20からの指令値に応じた電圧が差動増幅器41の非反転入力端子に印加されるとともにLED3の通電電流に応じた電圧が差動増幅器41の反転入力端子に印加され、そして、両方の電圧値を一致させる電圧がトランジスタ37のベース端子に印加され、LED3の通電電流が制御されて所望の強度の光がLED3から発せられる。
【0033】次に、このように構成した脈拍波形検出装置の作用を説明する。図1において、コンピュータ20は駆動回路9,10を駆動制御してLED2,3から光を手Hに照射させる。すると、その光はビームスプリッター4を通してビームスプリッター5に向かうとともに、ビームスプリッター5を通して手Hに照射される。手Hにおいて反射した光はビームスプリッター5を通してビームスプリッター6に向かう。その光の一部はビームスプリッター6を透過してPD7に達し、PD7において電気信号に変換される。一方、手Hにおいて反射した光の一部はビームスプリッター6にて反射されてPD8に達し、PD8において電気信号に変換される。
【0034】さらに、PD7,8からの電気信号はI−V変換回路11,12にて電圧信号に変換され、LPF(ローパスフィルタ)13,14を介して差動増幅器15に入る。差動増幅器15において、脈拍信号が出力される。これを図4を用いて説明すると、図4において、人体が静止している場合のPD7の出力波形とPD8の出力波形を示す。この場合において、PD7の出力波形とPD8の出力波形の差分処理を行うと、脈拍信号のみが抽出される。また、人体が大きく動いた場合に、PD7の出力波形とPD8の出力波形の差分処理を行うと、脈拍信号のみが抽出される。このように差分処理後の信号として人の動きの有無に係わらず脈拍信号のみが抽出される。
【0035】一方、図1のLED2,3の発する光の強さはPD16,17にて電気信号に変換され、その電気信号はI−V変換回路18,19にて電圧信号に変換されてコンピュータ20に取り込まれる。コンピュータ20はLED2,3の発する光の強さが予め定めた一定の比率となるように駆動回路9,10を制御する。
【0036】これにより、波長間の発光強度の比率が常時一定になり、各波長での反射光における体動信号成分を一致させることができ、差動増幅器15において常時差分処理を行うことができ、脈拍信号のみを抽出することができる。以上のことより、使用環境等で時間経過と共にLED2,3の特性が変化しても差動増幅器15から脈拍信号が得られる。
【0037】このように本実施形態は、下記の特徴を有する。
(イ)図1のLED2,3から異なる波長の光を人体の一部に照射するとともに、人体からの反射光をPD7,8にて受光し、差動増幅器15においてPD7による電気信号とPD8による電気信号との差分をとり、人の動きにより発生する体動信号を除去して脈拍信号のみを抽出する。一方、PD16にてLED2の発光強度を、PD17にてLED3の発光強度を検出し、コンピュータ20において、LED2の発光強度とLED3の発光強度との比が予め定めた一定値となるように発光強度を制御するようにした。その結果、各波長での光における体動信号成分を一致させることができ、差分処理後に安定して脈拍信号を得ることができる。このように、脈拍波形検出装置の発受光部1を生体に固定せず、距離が離れても、各波長の発光強度をモニタし、波長間の発光強度の比率が常時一定になるようにフィードバック制御することにより、各波長での光における体動信号成分を一致させることができ、常時差分処理を可能とし脈拍信号のみを検出することができる。
(ロ)LED2の発する光の波長は600nm未満であり、LED3の発する光の波長は600nm以上であるので、実用上好ましいものとなる。
(ハ)ビームスプリッター4,5,6を用いてLED2とLED3の光軸を一致させるとともに、LED2とPD7の光軸を一致させ、さらに、LED3とPD8の光軸を一致させたので、安定した差分処理を行うことが可能となる。つまり、これらの光軸を一致させ、動きによる各波長での光の体動信号成分と脈拍信号成分の比率が変化しないように差分処理すると、安定した差分処理が可能となり、脈拍信号のみを検出することができる。
(第2の実施の形態)次に、第2の実施の形態を、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0038】図5には、本実施形態における脈拍波形検出装置の全体構成を示す。発受光部49において、600nm未満の波長の光を発するLED50と、600nm以上の波長の光を発するLED51と、PD52とを具備している。LED50は人体の一部に光を照射する第1の光源であり、LED51はLED50とは異なる波長の光を人体の一部に照射する第2の光源であり、LED50とLED51は後述するように時分割駆動される。また、PD52はLED50とLED51の時分割駆動に伴う各LED51,50の光に対する人体からの反射光を受光して受光強度に応じた電気信号に変換する受光素子である。つまり、本例においては受光はPD52のみで行うようになっている。そして、LED50が光ファイバー54の端面に配置されるとともにLED51が光ファイバー56の端面に配置され、さらに、PD52が光ファイバー55の端面に配置されている。また、これら光ファイバー54,55,56の他端面には太い光ファイバー53が接続されている。光ファイバー53の他端面は手Hに向かって開口している。
【0039】そして、LED50,51の発する光は光ファイバー54,56を通って光ファイバー53に入り、光ファイバー53内において2つの光が混合して均一化される。その光は光ファイバー53から手Hに向かって照射される。手Hにて反射した光は光ファイバー53を通って光ファイバー55に入り、光ファイバー55を通してPD52に至る。
【0040】よって、光ファイバー群(53,54,55,56)を用いてLED50,51の光を混合して均一に照射することにより、LED50,51の光軸を容易に一致させることができる。さらに、光ファイバー群(53,54,55,56)の一部の光ファイバー53,55を用いて受光をすることによりLED50,51とPD52の光軸を容易に一致させることができる。
【0041】つまり、図1に示す装置においてはビームスプリッター4,5,6の位置合わせやLED2,3の位置合わせがやりにくく光軸合わせが行いにくくなることもあったが、本実施形態においては図5の光ファイバー53,54,55,56を用いることによりLED50,51の位置合わせ以外の位置合わせは容易であり、光軸を容易に一致させることが可能となる。
【0042】なお、太い光ファイバー53の代わりに、多数本からなる光ファイバーの束を用いてもよい。また、図5において、LED50,51には駆動回路59,60が接続され、発振回路61,62からの信号SG1,SG2にてLED50,51が発光動作を行う。つまり、図6に示すように、LED50,51は発振回路61,62からのパルス信号SG1,SG2により駆動される。但し、LED50,51の駆動パルス信号SG1,SG2は互いに位相が180°異なる。図5のPD52にはI−V変換回路63を介して同期検波回路64,65が接続され、同期検波回路64,65において発振回路61,62からの信号SG1,SG2に同期した検波が行われる。つまり、PD52からの信号はI−V変換回路63で電圧信号に変換された後、図6に示すようにLED50,51の駆動パルス信号SG1,SG2により同期検波され信号SG3,SG4として出力される。同期検波した信号SG3,SG4はLPF66,67を通して図6に示すように信号SG5,SG6として差動増幅器68に送られる。差動増幅器68において、差分処理され、脈拍信号が検出される。
【0043】このように差分処理手段としての差動増幅器68は、PD52によるLED50の駆動時の電気信号とLED51の駆動時の電気信号とを入力して両信号の差分をとり、人の動きにより発生する体動信号を除去して脈拍信号のみを抽出する。
【0044】なお、駆動回路59,60および発振回路61,62によるLED50,51を駆動させる信号は、位相の異なる方形波信号の他にも、位相の異なる正弦波信号を用いてもよい。
【0045】また、図5のLED50の近傍には第1の発光強度検出段としてのPD57が配置され、PD57によりLED50の発光強度が検出される。同様に、LED51の近傍には第2の発光強度検出段としてのPD58が配置され、PD58によりLED51の発光強度が検出される。PD57にはI−V変換回路69を介してコンピュータ71が接続されるとともにPD58にはI−V変換回路70を介してコンピュータ71が接続されている。PD57,58の信号はI−V変換回路69,70を介してコンピュータ71に取り込まれる。そして、制御手段としてのコンピュータ71は、PD57によるLED50の発光強度とPD58によるLED51の発光強度との比が予め定めた一定値となるように駆動回路59,60を駆動制御してLED50,51の発光強度を制御する。
【0046】このように本実施形態は、下記の特徴を有する。
(イ)時分割駆動にて図5のLED50とLED51から異なる波長の光を人体の一部に照射し、この時分割駆動に伴う各LED50,51の光に対する人体からの反射光をPD52にて受光するようし、差動増幅器68においてPD52によるLED50の駆動時の電気信号とLED51の駆動時の電気信号との差分をとり、人の動きにより発生する体動信号を除去して脈拍信号のみを抽出するようにした。また、PD57にてLED50の発光強度を、PD58にてLED51の発光強度を検出して、コンピュータ71においてPD57によるLED50の発光強度とPD58によるLED51の発光強度との比が予め定めた一定値となるように発光強度を制御するようにした。
【0047】その結果、各波長での光における体動信号成分を一致させることができ、差分処理後に安定して脈拍信号を得ることができる。さらに、図1でのPD7,8が共通化され受光素子の個数を減らすことができ、実用上好ましいものとなる。
(ロ)特に、駆動回路59,60および発振回路61,62にてLED50,51を位相の異なる方形波信号または正弦波信号で駆動させるとともに、同期検波回路64,65にて受光信号を駆動信号SG1,SG2で同期検波するようにしたので、時分割駆動する際に実用上好ましいものとなる。
(ハ)光ファイバー53を用いてLED50,51の光を混合して均一に照射することにより、LED50,51の光軸を一致させ、さらに光ファイバー53を用いて受光することによりLED50,51とPD52の光軸を一致させることができる。
【0048】本実施形態の駆動・信号処理回路に関する応用例として、図7のように、発受光部80においてビームスプリッター84,85を用いた光学系に適用してもよく、同様の効果がある。つまり、図7において、ビームスプリッター85の近傍にLED81,82が配置され、ビームスプリッター84と85が近接配置されている。また、ビームスプリッター84には図5のPD52に代わるPD83が固定されている。さらた、LED81,82の近傍にはフィードバック用PD86,87が配置されている。他の構成は図5と同じであり、同一符号を付すことにより説明は省略する。
【0049】これまで説明してきた実施の形態の他にも下記のように実施してもよい。図1,7においてはビームスプリッター4〜6,84,85を用いて光軸を一致させたが、ビームスプリッターの代わりにハーフミラー、ダイクロックミラー等を用いて光軸を一致させてもよい。
【0050】また、受光素子としてフォトダイオード(PD)を用いたが、フォトトランジスタ等の他のデバイスを用いてもよい。さらに、第1の光源としてLED(2)を用いるとともに第2の光源としてLED(3)を用い、かつLED(2,3)の発光強度をフィードバックする場合について述べたが、第1の光源として多数のLEDを用いるとともに第2の光源として多数のLEDを用い、かつ発光させるLEDの個数を調整することにより光源の発光強度を調整してもよい。
【出願人】 【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社日本自動車部品総合研究所
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
【出願日】 平成10年(1998)1月19日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
【公開番号】 特開平11−197126
【公開日】 平成11年(1999)7月27日
【出願番号】 特願平10−8060