| 【発明の名称】 |
生体状態測定装置及び生体状態測定方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】天野 和彦
【氏名】上馬場 和夫
【氏名】石山 仁
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| 【要約】 |
【課題】簡易な構成で中枢部血圧を正確に推定する。実際の心筋負荷に対応するより正確な心筋負荷指数WPを算出する。
【解決手段】マイクロコンピュータ4は、脈波検出装置1により出力された脈波波形を解析することにより得られた循環動態パラメータに基づいて大動脈起始部血圧の推定値を算出するので、構成を簡略化して中枢部血圧を正確に推定できる。また、マイクロコンピュータ4は、生体の心拍数を検出し、大動脈起始部血圧の推定値及び検出した心拍数に基づいて心筋負荷指数を算出するので、末梢部血圧を用いて心筋負荷指数を算出する場合と比較して、より広範な条件下で、最適な心筋負荷指数を算出することが可能となる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 生体の末梢部の脈波波形に基づいて概略駆出期間を含む前記生体の状態を測定する測定手段と、前記生体の状態をもとに、前記生体の中枢部から末梢部に至る動脈系の循環動態を表わす循環動態パラメータとして、大動脈の粘弾性を含む循環動態パラメータを算出する解析手段と、前記循環動態パラメータに基づいて前記生体の大動脈起始部血圧の推定値を算出する大動脈血圧算出手段と、を備え、前記解析手段は、前記循環動態パラメータを算出するに際し、前記概略駆出期間を初期値として算出した左心室加圧時間を用いることを特徴とする生体状態測定装置。 【請求項2】 生体の末梢部血圧あるいは前記生体の末梢部の脈波波形に基づいて、前記生体の大動脈起始部血圧の推定値を算出する大動脈血圧算出手段と、前記生体の心拍数を検出する心拍数検出手段と、前記大動脈起始部血圧の推定値及び前記検出した心拍数に基づいて心筋負荷指数を算出する心筋負荷指数算出手段と、を備えたことを特徴とする生体状態測定装置。 【請求項3】 生体の末梢部の脈波波形から所定の伝達関数に基づいて前記生体の大動脈起始部血圧の推定値を算出する大動脈血圧算出手段と、前記生体の心拍数を検出する心拍数検出手段と、前記大動脈起始部血圧の推定値及び前記検出した心拍数に基づいて心筋負荷指数を算出する心筋負荷指数算出手段と、を備えたことを特徴とする生体状態測定装置。 【請求項4】 請求項1記載の生体状態測定装置において、前記生体の心拍数を検出する心拍数検出手段と、前記大動脈起始部血圧の推定値及び前記検出した心拍数に基づいて心筋負荷指数を算出する心筋負荷指数算出手段と、を備えたことを特徴とする生体状態測定装置。 【請求項5】 請求項1記載の生体状態測定装置において、前記脈波波形に基づいて前記生体の心拍数を検出する心拍数検出手段と、前記大動脈起始部血圧の推定値及び前記検出した心拍数に基づいて心筋負荷指数を算出する心筋負荷指数算出手段と、を備えたことを特徴とする生体状態測定装置。 【請求項6】 生体の末梢部の脈波波形に基づいて前記生体の状態を測定する測定手段と、前記生体の状態をもとに、前記生体の中枢部から末梢部に至る動脈系の循環動態を表わす循環動態パラメータとして、大動脈の粘弾性を含む循環動態パラメータを算出する解析手段と前記循環動態パラメータに基づいて前記生体の大動脈起始部血圧の推定値を算出する大動脈血圧算出手段と、前記生体の心拍数を検出する心拍数検出手段と、前記大動脈起始部血圧の推定値及び前記検出した心拍数に基づいて心筋負荷指数を算出する心筋負荷指数算出手段と、を備えたことを特徴とする生体状態測定装置。 【請求項7】 請求項1、請求項4ないし請求項6のいずれかに記載の生体状態測定装置において、前記循環動態パラメータは、前記中枢部での血液粘性による血管抵抗,血液の慣性,前記末梢部での血管抵抗,前記末梢部での血管の粘弾性を含む、ことを特徴とする生体状態測定装置。 【請求項8】 請求項1、請求項4ないし請求項7のいずれかに記載の生体状態測定装置において、前記大動脈血圧算出手段は、大動脈弁に対応するダイオードと,前記中枢部での血液粘性による血管抵抗に対応する第1の抵抗と,血液の慣性に対応するインダクタンスと,前記大動脈の粘弾性に対応する第1の静電容量と,前記末梢部での血管抵抗に対応する第2の抵抗と,前記末梢部での血管の粘弾性に対応する第2の静電容量を有するモデルであって、一対の入力端子間に前記ダイオードと前記第1の静電容量の直列回路が接続され、一対の出力端子間に前記第2の静電容量及び前記第2の抵抗からなる並列回路が挿入され、前記第1の静電容量の両端子間と前記出力端子との間に前記第1の抵抗及び前記インダクタンスからなる直列回路が挿入されてなる五要素集中定数モデルにより前記動脈系の循環動態をモデル化して、前記循環動態パラメータを決定するとともに、前記第1の静電容量の両端子間の電圧波形を前記大動脈圧波形とする、ことを特徴とする生体状態測定装置。 【請求項9】 請求項1、請求項4ないし請求項8のいずれかに記載の生体状態測定装置において、前記生体の状態は前記動脈系の末梢部における脈波であり、前記血圧算出手段は、前記生体の左心室圧に対応する電気信号が前記入力端子間に与えられたときに、前記脈波の波形に対応する電気信号が前記出力端子から得られるように、前記五要素集中定数モデルを構成する各素子の値を決定することを特徴とする生体状態測定装置。 【請求項10】 請求項1、請求項4ないし請求項8のいずれかに記載の生体状態測定装置において、前記生体の状態は前記動脈系の末梢部における脈波であり、前記脈波の波形から該脈波のひずみを算出するひずみ算出手段を有し、前記血圧算出手段は、前記循環動態パラメータと前記脈波のひずみとの相関関係に基づいて前記循環動態パラメータを決定することを特徴とする生体状態測定装置。 【請求項11】 請求項1、請求項4ないし請求項10のいずれかに記載の生体状態測定装置において、前記生体の1回拍出量を検出する1回拍出量検出手段を有し、前記血圧算出手段は、前記大動脈圧波形から得られる1回拍出量の計算値と、前記1回拍出量測定手段で測定された1回拍出量の実測値とが一致するように、前記循環動態パラメータの値を調整することを特徴とする生体状態測定装置。 【請求項12】 請求項1、請求項4ないし請求項11のいずれかに記載の生体状態測定装置において、前記大動脈圧波形に基づいて前記生体の心臓の仕事量を算出する仕事量算出手段を有することを特徴とする生体状態測定装置。 【請求項13】 請求項1、請求項4ないし請求項12のいずれかに記載の生体状態測定装置において、前記検出した心拍数の安静時の心拍数である基準心拍数に対する変動率が予め設定した基準心拍数変動率を越えたか否かを判別する判別手段を有し、前記心筋負荷指数算出手段は、前記判別に基づいて前記変動率が前記基準心拍数変動率以上の場合に、前記大動脈起始部血圧及び前記検出した心拍数に基づいて心筋負荷指数を算出することを特徴とする生体状態測定装置。 【請求項14】 請求項13記載の生体状態測定装置において、前記生体の末梢部血圧を非観血的に検出する末梢部血圧検出手段と、前記心筋負荷指数算出手段は、前記判別に基づいて前記変動率が前記基準心拍数変動率未満の場合に前記末梢部血圧及び前記検出した心拍数に基づいて心筋負荷指数を算出することを特徴とする生体状態測定装置。 【請求項15】 請求項1、請求項4ないし請求項12のいずれかに記載の生体状態測定装置において、前記心筋負荷指数算出手段は、前記算出した循環動態パラメータの所定のタイミングにおける前記循環動態パラメータである基準循環動態パラメータに対する変動率が予め設定したパラメータ基準変動率以上の場合に、前記大動脈起始部血圧及び前記検出した心拍数に基づいて心筋負荷指数を算出することを特徴とする生体状態測定装置。 【請求項16】 請求項15記載の生体状態測定装置において、前記生体の末梢部血圧を非観血的に検出する末梢部血圧検出手段を有し、前記心筋負荷指数算出手段は、前記判別に基づいて前記変動率が前記基準パラメータ変動率未満の場合に前記末梢部血圧及び前記検出した心拍数に基づいて心筋負荷指数を算出することを特徴とする生体状態測定装置。 【請求項17】 生体の末梢部の脈波波形に基づいて概略駆出期間を含む前記生体の状態を測定する測定プロセスと、前記生体の状態をもとに、前記生体の中枢部から末梢部に至る動脈系の循環動態を表わす循環動態パラメータとして、大動脈の粘弾性を含む循環動態パラメータを算出する解析プロセスと、前記循環動態パラメータに基づいて前記生体の大動脈起始部血圧の推定値を算出する大動脈血圧算出プロセスと、を備え、前記解析プロセスは、前記循環動態パラメータを算出するに際し、前記概略駆出期間を初期値として算出した左心室加圧時間を用いることを特徴とする生体状態測定方法。 【請求項18】 生体の末梢部の脈波波形に基づいて前記生体の状態を測定する測定プロセスと、前記生体の状態をもとに、前記生体の中枢部から末梢部に至る動脈系の循環動態を表わす循環動態パラメータとして、大動脈の粘弾性を含む循環動態パラメータを算出する解析プロセスと前記循環動態パラメータに基づいて前記生体の大動脈起始部血圧の推定値を算出する大動脈血圧算出プロセスと、前記生体の心拍数を検出する心拍数検出プロセスと、前記大動脈起始部血圧及び前記検出した心拍数に基づいて心筋負荷指数を算出する心筋負荷指数算出プロセスと、を備えたことを特徴とする生体状態測定方法。 【請求項19】 請求項18記載の生体状態測定方法において、前記検出した心拍数の安静時の心拍数である基準心拍数に対する変動率が予め設定した基準心拍数変動率を越えたか否かを判別する判別判別プロセスを有し、前記心筋負荷指数算出プロセスは、前記判別に基づいて前記変動率が前記基準心拍数変動率以上の場合に、前記大動脈起始部血圧及び前記検出した心拍数に基づいて心筋負荷指数を算出することを特徴とする生体状態測定方法。 【請求項20】 請求項19記載の生体状態測定方法において、前記生体の末梢部血圧を非観血的に検出する末梢部血圧検出プロセスを有し、前記心筋負荷指数算出プロセスは、前記判別に基づいて前記変動率が前記基準心拍数変動率未満の場合に前記末梢部血圧及び前記検出した心拍数に基づいて心筋負荷指数を算出することを特徴とする生体状態測定方法。 【請求項21】 請求項17記載の生体状態測定方法において、前記生体の心拍数を検出する心拍数検出プロセスと、前記大動脈起始部血圧の推定値及び前記検出した心拍数に基づいて心筋負荷指数を算出する心筋負荷指数算出プロセスと、を備えたことを特徴とする生体状態測定方法。 【請求項22】 請求項17記載の生体状態測定方法において、前記脈波波形に基づいて前記生体の心拍数を検出する心拍数検出プロセスと、前記大動脈起始部血圧の推定値及び前記検出した心拍数に基づいて心筋負荷指数を算出する心筋負荷指数算出プロセスと、を備えたことを特徴とする生体状態測定方法。 【請求項23】 請求項17ないし請求項22のいずれかに記載の生体状態測定方法において、前記心筋負荷指数算出プロセスは、前記算出した循環動態パラメータの所定のタイミングにおける前記循環動態パラメータである基準循環動態パラメータに対する変動率が予め設定したパラメータ基準変動率を以上の場合に、前記大動脈起始部血圧及び前記検出した心拍数に基づいて心筋負荷指数を算出することを特徴とする生体状態測定方法。 【請求項24】 請求項23記載の生体状態測定方法において、前記生体の末梢部血圧を非観血的に検出する末梢部血圧検出プロセスを有し、前記心筋負荷指数算出プロセスは、前記判別に基づいて前記変動率が前記基準パラメータ変動率未満の場合に前記末梢部血圧及び前記検出した心拍数に基づいて心筋負荷指数を算出することを特徴とする生体状態測定方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、生体としての人体の状態を測定するために好適な生体状態測定装置及び生体状態測定方法に係り、特に心筋負荷指数の算出に好適な生体状態測定装置及び生体状態測定方法に関する。 【0002】 【従来の技術】人体の循環器系の状態について診断を行う場合、最も一般的には血圧や心拍数等が用いられている。しかし、さらに詳しい診断を行うためには、血管の粘性抵抗やコンプライアンスといったいわゆる循環動態パラメータを測定することが必要となる。 【0003】ところで、これらの循環動態パラメータをモデル化して表わす場合、動脈系の振る舞いを記述するモデルとして、四要素集中定数モデルが用いられている。一方、上記循環動態パラメータを測定するには、大動脈起始部と切痕部における圧力波形や血流量を測定する必要がある。すなわち、動脈にカテーテルを挿入して直接測定する方法を採るか、或いは、超音波等で間接的に測定する方法を採ることになる。 【0004】上記、脈にカテーテルを挿入して直接測定する方法では侵襲的な測定となるため被験者への負担が大きいとともに、装置も大がかりなものとなるという問題があった。一方、超音波等で間接的に測定する方法では、血管内の血流を非侵襲的に観測することができ、被験者への負担を低減することはできるが、測定に熟練を要し、測定のための装置もやはり大がかりなものとなるという問題があった。 【0005】そこで、本発明者は、橈骨動脈の脈波波形と1回拍出量を測定することにより四要素集中定数モデルのパラメータを近似的に算出する方法を見い出した。そして、この方法を用いることにより、循環動態パラメータの評価を非侵襲的かつ手軽に行うことが可能な脈波解析装置を提案してきた(特開平6−205747号、発明の名称:脈波解析装置)。 【0006】ところで、上記橈骨動脈の脈波波形と1回拍出量を測定することにより四要素集中定数モデルのパラメータを近似的に算出する方法においては、血管のコンプライアンスを動脈系の中枢部と末梢部とに分けて取り扱うモデルを採用していない。したがって、運動時や循環動態動作薬を患者に投与した場合等に、循環動態作動薬を患者に投与した場合に、その効果を中枢部と末梢部に分けて評価することはできなかった。 【0007】次に、上述した血圧の測定について簡単に説明する。従来から一般的に用いられている非観血型の血圧測定装置は、カフ(腕帯)を被験者の上腕部等に装着させ、カフに圧力をかけて被験者の脈波を検出することにより血圧値を測定している。このように、被験者の末梢部における血圧の測定装置として、例えば、特開平4−276234号公報が挙げられる。すなわち、図29に示すように、カフ110を被験者の上肢の上腕部に巻回させて取り付けるとともに、バンド138を手首140に巻回し、脈波センサ134を被験者の橈骨動脈部に密着させて、被験者の脈波を検出する。そして、カフ110を加圧させた後に、降圧時において周知のオシロメトリック法により最高血圧値や最低血圧値を計測するものである。 【0008】ところで、人体の動脈系における中枢側の血圧値と末梢側の血圧値を実測してみると、特に最高血圧値については、中枢側と末梢側の血圧値に差異が見られる。しかも、この差異の程度は、末梢側で観察される脈波の形状によって様々である。図22〜図24に、このような脈波の形状に依存した血圧値の変動の様子を示す。 【0009】これらの図には、中枢側である大動脈圧波形及び最高/最低血圧値、並びに、末梢側である橈骨動脈圧波形及び最高/最低血圧値を示してある。図22に示す第1のタイプの脈波波形の場合には、点線で示す大動脈圧波形と実線で示す橈骨動脈波形から得られるそれぞれの最高血圧値は、若干橈骨動脈側が高いものの概ね等しいと言って良い。 【0010】ところが、図23に示す第2のタイプの脈波波形の場合には、最高血圧差が14.9mmHg となって、図22に示した第1のタイプの脈波波形の場合と比較してかなり大きくなってくる。さらに、図24に示す第3のタイプの脈波波形になると、最高血圧差は26.1mmHgといっそう大きくなる上に、第1ないし第2のタイプの脈波波形とは逆に、大動脈圧波形が全体的に橈骨動脈波形を大きく上回るようになる。 【0011】ちなみに、これらの図22〜図24によれば、橈骨動脈側における最低血圧値は、脈波の形状によらず略同じであることがわかる。ここで、既述した第1ないし第3のタイプの脈波について簡単に説明しておく。第1のタイプの脈波波形は、正常な健康人の脈象であって、その波形はゆったりとして緩和であり、リズムが一定であって乱れの少ないことが特徴である。 【0012】また、第2のタイプの脈波波形は、急激に立ち上がった後にすぐに下降し、大動脈切痕が深く切れ込むと同時に、その後の弛期峰が通常よりもかなり高いのが特徴である。また、第3のタイプの脈波波形は、急激に立ち上がり、その後はすぐには下降せず血圧の高い状態が一定時間持続するのが特徴である。 【0013】例示したこれらの図から導かれることは、橈骨部や上腕部といった末梢側の血圧値が高くとも大動脈起始部、すなわち中枢側,の血圧値が低い場合がある上、これとは逆に末梢側の血圧値が低くとも中枢側の血圧値が高い場合もある。このような関係は脈波波形の形状によって異なり、しかもこれらの関係が脈波波形の形状に如実に現れることである。 【0014】例えば、高血圧治療のために患者に血圧降下剤を投与し、橈骨動脈部の血圧をもとにして薬の効果を見るとする。そうした場合、末梢側で測定した血圧が下がってきても、実際には中枢側の血圧は下がっていないこともあるわけである。したがって、末梢側の血圧からだけでは、薬効を正しく把握することが困難な場合があると言える。 【0015】また、これとは反対に、末梢側の血圧には変化が見られなくとも、大動脈圧波形が変化して中枢側での血圧が下がっていれば、実際には心臓の負担は軽くなっているわけである。このような場合には、無理に末梢側の血圧を下げなくとも、薬の効果は充分現われているわけであるが、これを末梢側の血圧だけから判断することは難しい。 【0016】ところで、従来より心筋に対する負荷がどの程度であるのかを推し量るための指標として、心筋負荷指数(W−Product)が用いられている。心筋負荷指数WPは、末梢側の血圧をPperiとし、心拍数をHRとすると、以下のように表される。 WP=Pperi×HR【0017】 【発明が解決しようとする課題】上述したように、末梢側の血圧値が高い場合でも大動脈起始部、すなわち、中枢側の血圧値が低い場合がある。さらに、これとは逆に末梢側の血圧値が低くい場合でも中枢側の血圧値が高い場合もあり、末梢側の血圧値は、必ずしも中枢側の血圧値に連動しているわけではない。 【0018】ところで、心筋負荷指数は、本来心臓の負担がどの程度なのかを見るための指標とすべきものであるにもかかわらず、従来から行われているように末梢側で測定した血圧値(収縮期血圧)に基づいて心筋負荷指数を算出すると、心臓の負担を過大評価してしまうこともあるし、逆に過小評価してしまうという不具合があった。 【0019】そこで、本発明の第1の目的は、簡易な構成で正確に中枢部血圧を推定することが可能な生体状態測定装置及び生体状態測定方法を提供することにある。 【0020】また本発明の第2の目的は、実際の心筋負荷に対応するより正確な心筋負荷指数WPを算出することができる生体状態測定装置及び生体状態測定方法を提供することにある。 【0021】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、請求項1記載の構成は、生体の末梢部の脈波波形に基づいて概略駆出期間を含む前記生体の状態を測定する測定手段と、前記生体の状態をもとに、前記生体の中枢部から末梢部に至る動脈系の循環動態を表わす循環動態パラメータとして、大動脈の粘弾性を含む循環動態パラメータを算出する解析手段と、前記循環動態パラメータに基づいて前記生体の大動脈起始部血圧の推定値を算出する大動脈血圧算出手段と、を備え、前記解析手段は、前記循環動態パラメータを算出するに際し、前記概略駆出期間を初期値として算出した左心室加圧時間を用いることを特徴としている。 【0022】請求項2記載の構成は、生体の末梢部血圧あるいは前記生体の末梢部の脈波波形に基づいて、前記生体の大動脈起始部血圧の推定値を算出する大動脈血圧算出手段と、前記生体の心拍数を検出する心拍数検出手段と、前記大動脈起始部血圧の推定値及び前記検出した心拍数に基づいて心筋負荷指数を算出する心筋負荷指数算出手段と、を備えたことを特徴としている。 【0023】請求項3記載の構成は、生体の末梢部の脈波波形から所定の伝達関数に基づいて前記生体の大動脈起始部血圧の推定値を算出する大動脈血圧算出手段と、前記生体の心拍数を検出する心拍数検出手段と、前記大動脈起始部血圧の推定値及び前記検出した心拍数に基づいて心筋負荷指数を算出する心筋負荷指数算出手段と、を備えたことを特徴としている。 【0024】請求項4記載の構成は、請求項1記載の構成において、前記生体の心拍数を検出する心拍数検出手段と、前記大動脈起始部血圧の推定値及び前記検出した心拍数に基づいて心筋負荷指数を算出する心筋負荷指数算出手段と、を備えたことを特徴としている。 【0025】請求項5記載の構成は、請求項1記載の構成において、前記脈波波形に基づいて前記生体の心拍数を検出する心拍数検出手段と、前記大動脈起始部血圧の推定値及び前記検出した心拍数に基づいて心筋負荷指数を算出する心筋負荷指数算出手段と、を備えたことを特徴としている。 【0026】請求項6記載の構成は、生体の末梢部の脈波波形に基づいて前記生体の状態を測定する測定手段と、前記生体の状態をもとに、前記生体の中枢部から末梢部に至る動脈系の循環動態を表わす循環動態パラメータとして、大動脈の粘弾性を含む循環動態パラメータを算出する解析手段と、前記循環動態パラメータに基づいて前記生体の大動脈起始部血圧の推定値を算出する大動脈血圧算出手段と、前記生体の心拍数を検出する心拍数検出手段と、前記大動脈起始部血圧の推定値及び前記検出した心拍数に基づいて心筋負荷指数を算出する心筋負荷指数算出手段と、を備えたことを特徴としている。 【0027】請求項7記載の構成は、請求項3記載の構成において、前記循環動態パラメータは、前記中枢部での血液粘性による血管抵抗,前記中枢部での血液の慣性,前記末梢部での血管抵抗,前記末梢部での血管の粘弾性を含む、ことを特徴としている。 【0028】請求項8記載の構成は、請求項1、請求項4ないし請求項7のいずれかに記載の構成において、前記血圧算出手段は、大動脈弁に対応するダイオードと,前記中枢部での血液粘性による血管抵抗に対応する第1の抵抗と,前記中枢部での血液の慣性に対応するインダクタンスと,前記大動脈の粘弾性に対応する第1の静電容量と,前記末梢部での血管抵抗に対応する第2の抵抗と,前記末梢部での血管の粘弾性に対応する第2の静電容量を有するモデルであって、一対の入力端子間に前記ダイオードと前記第1の静電容量の直列回路が接続され、一対の出力端子間に前記第2の静電容量及び前記第2の抵抗からなる並列回路が挿入され、前記第1の静電容量の両端子間と前記出力端子との間に前記第1の抵抗及び前記インダクタンスからなる直列回路が挿入されてなる五要素集中定数モデルにより前記動脈系の循環動態をモデル化して、前記循環動態パラメータを決定するとともに、前記第1の静電容量の両端子間の電圧波形を前記大動脈圧波形とする、ことを特徴としている。 【0029】請求項9記載の構成は、請求項1、請求項4ないし請求項8のいずれかに記載の構成において、前記生体の状態は前記動脈系の末梢部における脈波であり、前記血圧算出手段は、前記生体の左心室圧に対応する電気信号が前記入力端子間に与えられたときに、前記脈波の波形に対応する電気信号が前記出力端子から得られるように、前記五要素集中定数モデルを構成する各素子の値を決定することを特徴としている。 【0030】請求項10記載の構成は、請求項1、請求項4ないし請求項8のいずれかに記載の構成において、前記生体の状態は前記動脈系の末梢部における脈波であり、前記脈波の波形から該脈波のひずみを算出するひずみ算出手段を有し、前記血圧算出手段は、前記循環動態パラメータと前記脈波のひずみとの相関関係に基づいて前記循環動態パラメータを決定することを特徴としている。 【0031】請求項11記載の構成は、請求項1、請求項4ないし請求項10のいずれかに記載の構成において、前記生体の1回拍出量を検出する1回拍出量検出手段を有し、前記血圧算出手段は、前記大動脈圧波形から得られる1回拍出量の計算値と、前記1回拍出量測定手段で測定された1回拍出量の実測値とが一致するように、前記循環動態パラメータの値を調整することを特徴としている。 【0032】請求項12記載の構成は、請求項1、請求項4ないし請求項11のいずれかに記載の構成において、前記大動脈圧波形に基づいて前記生体の心臓の仕事量を算出する仕事量算出手段を有することを特徴としている。 【0033】請求項13記載の構成は、請求項4ないし請求項12のいずれかに記載の構成において、前記検出した心拍数の安静時の心拍数である基準心拍数に対する変動率が予め設定した基準心拍数変動率を越えたか否かを判別する判別手段を有し、前記心筋負荷指数算出手段は、前記判別に基づいて前記変動率が前記基準心拍数変動率以上の場合に、前記大動脈起始部血圧及び前記検出した心拍数に基づいて心筋負荷指数を算出することを特徴としている。 【0034】請求項14記載の構成は、請求項13記載の構成において、前記生体の末梢部血圧を非観血的に検出する末梢部血圧検出手段を有し、前記心筋負荷指数算出手段は、前記判別に基づいて前記変動率が前記基準心拍数変動率未満の場合に前記末梢部血圧及び前記検出した心拍数に基づいて心筋負荷指数を算出することを特徴としている。 【0035】請求項15記載の構成は、請求項1、請求項4ないし請求項12のいずれかに記載の構成において、前記心筋負荷指数算出手段は、前記算出した循環動態パラメータの所定のタイミングにおける前記循環動態パラメータである基準循環動態パラメータに対する変動率が予め設定したパラメータ基準変動率以上の場合に、前記大動脈起始部血圧及び前記検出した心拍数に基づいて心筋負荷指数を算出することを特徴としている。 【0036】請求項16記載の構成は、請求項15記載の構成において、前記生体の末梢部血圧を非観血的に検出する末梢部血圧検出手段を有し、前記心筋負荷指数算出手段は、前記判別に基づいて前記変動率が前記基準パラメータ変動率未満の場合に前記末梢部血圧及び前記検出した心拍数に基づいて心筋負荷指数を算出することを特徴としている。請求項17記載の構成は、生体の末梢部の脈波波形に基づいて概略駆出期間を含む前記生体の状態を測定する測定プロセスと、前記生体の状態をもとに、前記生体の中枢部から末梢部に至る動脈系の循環動態を表わす循環動態パラメータとして、大動脈の粘弾性を含む循環動態パラメータを算出する解析プロセスと、前記循環動態パラメータに基づいて前記生体の大動脈起始部血圧の推定値を算出する大動脈血圧算出プロセスと、を備え、前記解析プロセスは、前記循環動態パラメータを算出するに際し、前記概略駆出期間を初期値として算出した左心室加圧時間を用いることを特徴としている。 【0037】請求項18記載の構成は、生体の末梢部の脈波波形に基づいて前記生体の状態を測定する測定プロセスと、前記生体の状態をもとに、前記生体の中枢部から末梢部に至る動脈系の循環動態を表わす循環動態パラメータとして、大動脈の粘弾性を含む循環動態パラメータを算出する解析プロセスと、前記循環動態パラメータに基づいて前記生体の大動脈起始部血圧を算出する大動脈血圧算出プロセスと、前記生体の心拍数を検出する心拍数検出プロセスと、前記大動脈起始部血圧及び前記検出した心拍数に基づいて心筋負荷指数を算出する心筋負荷指数算出プロセスと、を備えたことを特徴としている。 【0038】請求項19記載の構成は、請求項18記載の構成において、前記検出した心拍数の安静時の心拍数である基準心拍数に対する変動率が予め設定した基準心拍数変動率を越えたか否かを判別する判別判別プロセスを有し、前記心筋負荷指数算出プロセスは、前記判別に基づいて前記変動率が前記基準心拍数変動率以上の場合に、前記大動脈起始部血圧及び前記検出した心拍数に基づいて心筋負荷指数を算出することを特徴としている。 【0039】請求項20記載の構成は、請求項18記載の構成において、前記生体の末梢部血圧を非観血的に検出する末梢部血圧検出プロセスを有し、前記心筋負荷指数算出プロセスは、前記判別に基づいて前記変動率が前記基準心拍数変動率未満の場合に前記末梢部血圧及び前記検出した心拍数に基づいて心筋負荷指数を算出することを特徴としている。 【0040】請求項21記載の構成は、請求項17記載の構成において、前記生体の心拍数を検出する心拍数検出プロセスと、前記大動脈起始部血圧の推定値及び前記検出した心拍数に基づいて心筋負荷指数を算出する心筋負荷指数算出プロセスと、を備えたことを特徴としている。 【0041】請求項22記載の構成は、請求項17記載の構成において、前記脈波波形に基づいて前記生体の心拍数を検出する心拍数検出プロセスと、前記大動脈起始部血圧の推定値及び前記検出した心拍数に基づいて心筋負荷指数を算出する心筋負荷指数算出プロセスと、を備えたことを特徴としている。 【0042】請求項23記載の構成は、請求項17ないし請求項22のいずれかに記載の生体状態測定方法において、前記心筋負荷指数算出プロセスは、前記算出した循環動態パラメータの所定のタイミングにおける前記循環動態パラメータである基準循環動態パラメータに対する変動率が予め設定したパラメータ基準変動率を以上の場合に、前記大動脈起始部血圧及び前記検出した心拍数に基づいて心筋負荷指数を算出することを特徴としている。 【0043】請求項24記載の構成は、請求項23記載の構成において、前記生体の末梢部血圧を非観血的に検出する末梢部血圧検出プロセスを有し、前記心筋負荷指数算出プロセスは、前記判別に基づいて前記変動率が前記基準パラメータ変動率未満の場合に前記末梢部血圧及び前記検出した心拍数に基づいて心筋負荷指数を算出することを特徴としている。 【0044】 【発明の実施の形態】次に図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。 第1実施形態以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。 【0045】[1] 血圧測定装置の概要構成図1に第1実施形態による生体状態測定装置としての血圧測定装置の構成ブロック図を示す。本第1実施形態では、非侵襲的なセンサによって人体から得た情報に基づいて、人体の動脈系の循環動態パラメータを評価し、得られた循環動態パラメータに基づいて中枢部における最高血圧、最低血圧、心筋負荷指数及び心仕事量を算出するが、循環動態パラメータの具体的内容については後述することとする。 【0046】脈波検出装置1は、図2に示すように、被験者の手首へ装着された圧力センサS2を介して橈骨動脈波形を検出するとともに、被験者の上腕部に装着されたカフ帯S1を介して被験者の血圧を検出する。そして、測定した橈骨動脈波形を血圧によって校正し、アナログ電気信号として出力する。このアナログ信号は、A/D(アナログ/デジタル)変換器3へ入力され、所定のサンプリング周期毎にデジタル信号に変換される。 【0047】1回拍出量測定器2は、図2に示すように、カフ帯S1に接続されており、このカフ帯S1を介して、心臓から1回の拍で流出される血液の量である1回拍出量を測定し、その測定結果を1回拍出量データとしてデジタル信号で出力する。この種の測定器としては、いわゆる収縮期面積法により測定を行う装置を用いることができる。 【0048】マイクロコンピュータ4は、A/D変換器3から取り込んだ脈波波形を格納するための波形メモリと、作業領域としての一時記憶メモリを内蔵している。そして、マイクロコンピュータ4は、入力装置であるキーボード5から投入されたコマンドに従って、図6に示すような、各種の処理を行い、これら処理から得られた結果を出力装置6へ出力する。 【0049】ここでは、処理の概要についてのみ説明し、それらの処理の詳細に関しては、動作説明の際に詳述することとする。 ■ 脈波の測定データ読込処理(ステップS1) a) A/D変換器3を介して得られる橈骨動脈波形の時系列デジタル信号を内蔵の波形メモリ(図示略)に取り込む。 b) 波形メモリへ取り込んだ橈骨動脈波形を”拍”毎に平均化して、1拍に対応した橈骨動脈波形(以下、平均波形と呼ぶ)を求める。 【0050】■ 1回拍出量の測定データ読込処理(ステップS2) 1回拍出量データを、マイクロコンピュータ4内蔵の一時記憶メモリへ取り込む■ パラメータ算出処理(ステップS3) 1拍に対応した橈骨動脈波形を表わす数式を求め、この数式に基づいて動脈系に対応した電気的モデルの各パラメータを算出する。 【0051】■ データ算出処理(ステップS4) 得られた循環動態パラメータから、大動脈起始部における脈波波形を求めるとともに、大動脈起始部における最高血圧値,最低血圧値,心筋負荷指数WP及び心臓の仕事量を算出する。 ■ 出力処理(ステップS5) 得られた循環動態パラメータ,最高血圧値,最低血圧値,心筋負荷指数WP及び心臓の仕事量を出力装置6へ出力する。 【0052】[2] 出力装置の詳細構成次に、出力装置6の詳細について図1を参照して説明する。実測血圧表示部61は、橈骨動脈波形に基づいて実測された最高血圧、最低血圧および平均血圧を表示する。 【0053】中枢部推定血圧表示部62は、後述する処理によって求められた中枢部の平均血圧E01、最高血圧Em’、最低血圧Eoを表示する。警告表示部63は、横一列に配列された複数のLEDによって構成されており、これらLEDは、実測された最高血圧と中枢部の最高血圧Em’との差に対応して点灯する。 【0054】すなわち、両者の差が±10mmHg以下であれば、「NORMAL」の緑色のLEDが点灯され、差が±10mmHgを越えた場合は「CAUTION」の赤色のLEDが点灯される。 【0055】パラメータ表示部64は、マイクロコンピュータ4から静電容量Cc、電気抵抗Rc、インダクタンスL、静電容量C、電気抵抗Rp、左心室加圧時間ts、1拍の時間tp、1回拍出量SVおよび心仕事量Wsが供給されると、これらのパラメータを表示する。なお、これらパラメータの詳細については後述する。CRTディスプレイ67は、橈骨動脈波形、左心室圧波形、大動脈圧波形等、各種の波形を表示する。 【0056】プリンタ65は、プリント指令ボタン66が押下されると、実測血圧表示部61、中枢部推定血圧表示部62、警告表示部63、パラメータ表示部64に表示された各種のデータと、CRTディスプレイ67に表示された波形とを用紙にプリントアウトする。 【0057】心筋負荷指数表示部68は、後述する処理によって求められた心筋負荷指数WPを表示する。ここで、警告表示部63において警告表示を行う意義について説明する。 【0058】先に図22〜図24について説明したように、推定された大動脈圧波形と橈骨動脈波形の最高血圧差には3つのタイプがある。そして、脈波波形が第1のタイプ(図22)である被験者は健康人である可能性が高く、第2および第3のタイプの場合は被験者が何らかの疾患を有している場合が多い。 【0059】例えば、第2のタイプ(図23)は血流状態の異常に原因するもので、浮腫,肝腎疾患,呼吸器疾患,胃腸疾患,炎症性疾患などの疾患を有する可能性が高い。また、第3のタイプは、血管壁の緊張度の上昇に原因するもので、肝胆疾患,皮膚疾患,高血圧,疼痛性疾患などを有する可能性が高い。 【0060】そこで、本実施形態にあっては、最高血圧差が異常であると考えられる場合に、赤色のLEDを点灯させて警告表示を行うこととしたものである。なお、上記例にあっては、大動脈圧波形と橈骨動脈波形の最高血圧差に基づいて診断を行ったが、最高血圧差に代えて最低血圧差あるいは平均血圧差を用いてもよい。さらに、最高血圧差、最低血圧差および平均血圧差の全てを用いて診断を行ってもよいことは言うまでもない。 【0061】[3] 五要素集中定数モデルについて本第1実施形態では、動脈系の電気的モデルとして新たに「五要素集中定数モデル」を採用している。この五要素集中定数モデルでは、人体の循環系の挙動を決定する要因のうち、特開平6−205747号(発明の名称:脈波解析装置)が開示する四要素集中定数モデルで採用されている中枢部での血液による慣性,中枢部での血液粘性による血管抵抗(粘性抵抗),末梢部における血管のコンプライアンス(粘弾性),末梢部における血管抵抗(粘性抵抗)の4つのパラメータに、新たなパラメータとして大動脈コンプライアンスを追加し、これらの5つのパラメータを電気回路としてモデリングしたものである。なお、コンプライアンスとは血管の軟度を表わす量である。 【0062】図3(a)には、四要素集中定数モデルの回路図を示してあり、また、図3(b)には、五要素集中定数モデルの回路図を示してある。以下、五要素集中定数モデルを構成する各素子と各パラメータの対応関係を示す。 静電容量Cc :大動脈コンプライアンス〔cm5/dyn〕 電気抵抗Rc :動脈系中枢部での血液粘性による血管抵抗〔dyn・s/cm5〕 インダクタンスL:動脈系中枢部での血液の慣性 〔dyn・s2/cm5〕 静電容量C :動脈系末梢部での血管のコンプライアンス〔cm5/dyn〕 電気抵抗Rp :動脈系末梢部での血液粘性による血管抵抗〔dyn・s/cm5〕 【0063】ここで、電気回路内の各部を流れる電流i,ip,ic,isは、各々対応する各部を流れる血 流〔cm3/s〕に相当する。中でも、電流iは大動脈血流であり、電流isは左心室から拍出される血流である。また、入力電圧eは左心室圧〔dyn/cm2〕に相当し、電圧v1は大動脈起始部の圧力〔dyn/cm2〕に相当する。さらに、静電容量Cの端子電圧vpは橈骨動脈部での圧力〔dyn/cm2〕に相当するものである。加えて、図3(b)に示すダイオードDは大動脈弁に相当するものであって、収縮期に相当する期間においてオン(弁が開いた状態)となり、拡張期に相当する期間ではオフ(弁が閉じた状態)となる。 【0064】後述するように、本第1実施形態においては、これら5つのパラメータを一度に算出してしまうのではなく、静電容量Ccを除くパラメータを前述の文献に開示されている四要素集中定数モデルを用いて算出した後に、静電容量Ccを決定するようにしている。そこで、まず、図3(a)に示す四要素集中定数モデルの挙動についての理論的説明を行うこととする。 【0065】同図(a)に示す四要素集中定数モデルにおいては、下記微分方程式が成立する。 v1=Rci+L(di/dt)+vp …(1) ここで、電流iは、 i=ic+ip=C(dvp/dt)+(vp/Rp) …(2) と表わすことができるから、式(1)は次式のように変形される。 v1=LC(d2vp/dt2)+{RcC+(L/Rp)}(dvp/dt) +{1+(Rc/Rp)}vp …(3) 【0066】周知のように、式(3)によって示される2次の定係数常微分方程式の一般解は、式(3)を満足する特殊解(定常解)と、次式の微分方程式を満足する過渡解の和によって与えられる。 0=LC(d2vp/dt2)+{RcC+(L/Rp)}(dvp/dt) +{1+(Rc/Rp)}vp …(4) 【0067】次に、微分方程式(4)の解は次のようにして得られる。まず、微分方程式(4)の解として次式によって表わされる減衰振動波形を仮定する。 vp=exp(st) …(5) 式(5)を式(4)に代入すると、式(4)は次のように変形される。 [LCs2+{RcC+(L/Rp)}s+{1+(Rc/Rp)}]vp=0 …(6) 【0068】式(6)をsについて解くと、 s=[−{RcC+(L/Rp)}±√{{RcC+(L/Rp)}2 −4LC{1+(Rc/Rp)}}]/2LC …(7) となる。式(7)において、 {RcC+(L/Rp)}2<4LC{1+(Rc/Rp)} …(8) である場合には、第2項の根号√の中が負となり、sは以下のようになる。 s=[−{RcC+(L/Rp)}±j√(4LC{1+(Rc/Rp)} −{RcC+(L/Rp)}2)]/2LC =−α±jω …(9) 【0069】ここで、減衰率をα,角周波数をωとしており、 α={RcC+(L/Rp)}/2LC =(L+RpRcC)/2LCRp …(10) ω=[√{4LC{1+(Rc/Rp)}−{RcC+(L/Rp)}2}] /2LC …(11) である。そして、 A1=LC …(12) A2=(L+RcRpC)/Rp …(13) A3=(Rc+Rp)/Rp …(14) とおくと、式(10),式(11)は以下のように表わすことができる。 α=(A2/2A1) …(15) ω=√{(A3/A1)−α2} …(16) 【0070】このようにしてsの値が確定し、微分方程式(4)を満足する解が得られる。以上の知見に基づくことで、四要素集中定数モデルの応答波形に含まれる減衰振動成分を近似する式として、式(5)を用いることができる。次に、大動脈起始部における圧力波形のモデリングを行う。一般に、大動脈起始部の圧力波形は図4の太線の如き波形であって、同図における時間tp は波形の1拍分の時間,時間tsは左心室の加圧時間である。四要素集中定数モデルでは、この圧力波形を図5に示す三角波で近似することにする。図5において近似波形の振幅と時間がEo,Em,tp,tp1で表わされるとすると、任意の時間tにおける大動脈圧v1は以下の式で表わされる。ここで、Eoは最低血圧(拡張期血圧)、Emは脈圧,(Eo+Em)は最高血圧(収縮期血圧),tpは1拍の時間、tp1は大動脈圧の立ち上がりから圧力が最低血圧値になるまでの時間である。0≦t<tp1の区間: v1=Eo+Em{1−(t/tp1)} …(17) tp1≦t<tpの区間: v1=Eo …(18) 【0071】そして、式(17),式(18)によって表わされる電圧v1を図3(a)の等価回路へ入力した時の応答波形vp(即ち橈骨動脈波)は以下のようになる。0≦t<tp1の区間: vp=Emin+B(1−t/tb)+Dm1exp(−αt) ・sin(ωt+θ1) …(19) tp1≦t<tpの区間: vp=Emin+Dm2・exp{−α(t−tp1)} ×sin{ω(t−tp1)+θ2} …(20) 【0072】ここで、Eminは、脈波検出装置1が測定する橈骨動脈波形における最低の血圧値(後述する 図11を参照)である。式(19)における右辺第3項および式(20)における右辺第2項が既述した式(5)の減衰振動成分であって、これらの項におけるαおよびωは式(15),式(16)により与えられている。なお、B,tb,Dm1,Dm2は後述する手順にしたがって算出される定数値である。 【0073】次に、式(19),式(20)の各定数のうち、既に確定したα,ω以外のものについて検討する。まず、式(17),式(19)を微分方程式(3)に代入すると、次式が得られる。 Eo+Em{1−(t/tp1)} ={1+(Rc/Rp)}(Emin+B) −(B/tb){RcC+(L/Rp)}t +{LC(α2−ω2)Dm1−αDm1{RcC+(L/Rp)} +Dm1{1+(Rc/Rp)}} ・exp(−αt)sin(ωt+θ1) +{ωDm1{RcC+(L/Rp)}−2LCαωDm1} ・exp(−αt)cos(ωt+θ1) …(21) 【0074】式(21)が成立するためには、以下の条件が必要となる。 Eo+Em={1+(Rc/Rp)}(Emin+B) =Eo+A3B−(B/tb)A2 …(22) (Em/tp1)=(B/tb){1+(Rc/Rp)} =(A3B/tb) …(23) LC(α2−ω2)−α{RcC+(L/Rp)}+(1+Rc/Rp)=0 …(24) RcC+(L/Rp)=2LCα …(25) 【0075】なお、式(24)および(25)はαおよびωを拘束するものであるが、既に式(15),式(16)により得られたα,ωはこれらの式を満足する。一方、式(18),式(20)を微分方程式(3)に代入すると、次式が得られる。 Eo= {1+(Rc/Rp)}Emin +[LC(α2−ω2)Dm2−α{RcC+(L/Rp)}Dm2 +{1+(Rc/Rp)}Dm2] ・exp{−α(t−tp1)}sin{ω(t−tp1)+θ2} +[ω{RcC+(L/Rp)}Dm2−2LCαωDm2] ・exp{−α(t−tp1)}cos{ω(t−tp1)+θ2} …(26) 【0076】式(26)が成立するためには式(24),式(25)が成立することに加えて、次式が成立することが必要である。 Eo={1+(Rc/Rp)}Emin=A3Emin …(27) 次に、微分方程式(3)が成立するための条件式(22)〜(25),式(27)に基づいて、式(19),式(20)の各定数を算定する。 【0077】まず、Eminは式(27)より次式のように得られる。 Emin=(EO/A3) …(28) また、式(23)よりBは、 B=(tbEm)/(tp1A3) …(29) となる。また、式(22)に式(29)を代入して、tbについて解くと、 tb=(tp1A3+A2)/(A3) …(30) となる。 【0078】さらに、残りの定数Dm1,Dm2,θ1,θ2は、橈骨動脈波形vpがt=0,tp1,tpにおいて連続性を維持し得るような値、すなわち、下記に示す条件■〜■を満足する値が選ばれる。 ■ 式(19)のvp(tp1)と式(20)のvp(tp1)とが一致すること■ 式(20)のvp(tp)と式(19)のvp(0)とが一致すること■ 式(19)および式(20)におけるt=tp1の微分係数が一致すること■ 式(19)のt=0での微分係数と、式(20)のt=tpでの微分係数が一致すること【0079】すなわち、Dm1およびθ1は、 Dm1=√(D112+D122)/ω …(31) θ1=tan-1(D11/D12) …(32) なる値が選ばれる。ただし、 D11=(vO1−B−Emin)ω …(33) D12=(vO1−B−Emin)α+(B/tp)+(iO1/C) …(34) であり、vO1とiO1はt=0におけるvpとicの初期値である。 【0080】また、Dm2およびθ2は、 Dm2=√(D212+D222)/ω …(35) θ2=tan-1(D21/D22) …(36) なる値が選ばれる。ただし、 D21=(vO2−Emin)・ω …(37) D22=(vO2−Emin)・α+(iO2/C) …(38) であり、vO2とiO2はt=tp1でのvpとicの初期値である。 【0081】このようにして、式(19),式(20)の各定数が得られた。さて、式(16)の角周波数ωから逆算することにより、血管抵抗RCは、 Rc=[L−2Rp√{LC(1−ω2LC)}]/CRp …(39) となる。ここで、Rcが実数でかつ正となる条件は、 {4Rp2C}/{1+(2ωRpC)2}≦L≦(1/ω2C) …(40) である。 【0082】一般に、Rpは103[dyn・s/cm5]程度,Cは10-4[cm5/dyn]程度であり、ωは脈波に重 畳している振動成分の角周波数であるから10(rad/s)以上であるとみてよい。このため、式(40)の下限はほぼ1/(ω2C)と見なせる。そこで、簡略化のため、Lを近似的に、 L=1/(ω2C) …(41) とおくと、Rcは、 Rc=L/(CRp) …(42) となる。 【0083】また、式(41),式(42)の関係より式(15)の減衰定数αは、 α=1/(CRp) …(43) となる。式(41)〜式(43)の関係を用いて、α,ω,Lによって四要素集中定数モデルの残りのパラメータを表わすと、 Rc=αL …(44) Rp=(ω2L/α) …(45) C=1/(ω2L) …(46) となる。これらの式(44)〜式(46)より、パラメータはα,ω,Lが得られることにより確定することが明らかである。 【0084】ここで、後述するようにα,ω,B,tbは橈骨動脈波の実測波形から得られ、Lは1回拍出量SVに基づいて算出できる。以下に1回拍出量SVに基づくLの算出手順について説明する。まず、大動脈起始部の圧力波の平均値E01は次式により与えられる。 E01={Eotp+(tp1Em/2)}/tp …(47) 一方、Rc,Rp,α,ω,Lの間には次式が成立する。 Rc+Rp=αL+(ω2L/α)=(α2+ω2)L/α …(48) 【0085】そして、四要素集中定数モデルを流れる平均電流,すなわち平均値E01,を(Rc+Rp)によって除算したものは、拍動により動脈を流れる血流の平均値(SV/tp)に相当するから、次式が成立する。 SV/tp=(α)/{(α2+ω2)L}(1/tp){Eotp+(tp1Em/2)} …(49) 【0086】このようにして得られた式(49)をLについて解くことにより、1回拍出量SVからLを求めるための式が次の通りに得られる。 L= α・{Eotp+(tp1Em/2)}/{(α2+ω2)SV} …(50) なお、血流量を測定することにより式(49)中の平均電流(1/tp){Eotp+(tp1Em/2)}に相当する値を求め、この結果に基づいてインダクタンスLを算出してもよい。血流量を測定する装置としては、インピーダンス法によるもの,ドップラー法によるもの等が知られている。また、ドップラー法による血流量測定装置には、超音波を利用したもの,レーザを利用したもの等がある。 【0087】[4] 循環動態パラメータの算出方法の原理説明次に、五要素集中定数モデルに基づいた循環動態パラメータの算出方法の原理的な説明をおこなう。先に触れたように、循環動態パラメータの中のRc,Rp,C,Lが、四要素集中定数モデルを用いて決定されるので、これらのパラメータをもとに静電容量Ccの値を決定する。そのために、図3(b)における電流i,電流is,電圧v1,電圧vp等を求める必要がある。 【0088】まず、左心室圧波形eを図4に示すような正弦波で近似する。すなわち、ωs=π/tsとおいて、左心室圧波形eを次式で表わす。 e=Em’ sinωst …(51) ここで、Em’は最高血圧であって、図5で言えば(Em+Eo)に相当する。以下、図4に示すように、時間tがt1≦t<t2の収縮期とt2≦t<(tp+t1)の拡張期に場合分けして説明することとする。ここで、時刻t1,時刻t2は左心室圧波形と大動脈圧波形との交点における時刻である。 【0089】[4.1] 収縮期この場合、v1=eが成立するとともに、電圧v1と電流iについてはそれぞれ式(1)と式(2)が成立する。したがって、式(1)〜式(3)と式(12)〜式(14),式(51)から、次に示す微分方程式が成立する。 A1(d2vp/dt2)+A2(dvp/dt)+A3vp=Em’sinωst …(52) 【0090】そこでまず、四要素集中定数モデルと同様にして、この微分方程式の定常解vpstを求める。そのために、定常解vpstを次式のように仮定する。 vpst=E1cosωst+E2sinωst …(53) 式(53)を式(52)のvpに代入して係数を比較することにより、次の2式が得られる。 (A3・ωs2A1)E1+ωsA2E2=0 …(54) −ωsA2E1+(A3−ωs2A1)E2=Em’ …(55) 【0091】これらの式を解くことにより、 E1=(−ωsA2Em’)/{(ωsA2)2+(A3−ωs2A1)2} …(56) E2={(A3−ωs2A1)Em’}/{(ωsA2)2+(A3−ωs2A1)2} …(57) が得られる。 【0092】次に、式(52)の微分方程式の過渡解vptrを求める。そのために、vptr=exp(λt) とおいて、次式のvpへ代入する。 A1(d2vp/dt2)+A2(dvp/dt)+A3vp=0 …(58) これにより、次式が得られる。 A1λ2+A2λ+A3=0 …(59) 【0093】そこで、この式をλについて解くと次式が得られる。λ={−A2±√(A22−4A1A3)}/(2A1)={−A2/(2A1)}±√[{A2/(2A1)}2−(A3/A1)]…(60) 【0094】ここで、{A2/(2A1)}2<(A3/A1)とする(振動モード)と、次式が得られる。 λ=−A2/(2A1)±j√[(A3/A1)−{A2/(2A1)}2] =−β1±jω1 …(61) 【0095】このとき、 β1=A2/(2A1) …(62) ω1=√(A3/A1−β12 …(63) である。 【0096】ここで、さらに過渡解vptrを次式のように置く。 vptr=(a1cosω1t+ja2sinω1t)exp(−β1t)…(64) すると、電圧vpは定常解と過渡解との和で表わされることから、式(53)と式(64)によって次式で与えられる。 vp=(E1cosωst+E2sinωst)+ (a1cosω1t+ja2sinω1t)exp(−β1t)…(65) 【0097】また、電流iは、式(65)を式(2)へ代入することによって、次式のように得られる。 i=(E1/Rp+ωsCE2)cosωst+(−ωsCcE1+E2/Rp)sinωst+[[{(1−β1CRp)/Rp}cosω1t−ω1Csinω1t]a1+j[ω1Ccosω1t+{(1−β1CRp)/Rp}sinω1t]a2]exp(−β1t) …(67) 【0098】次に、t=t1のときのvp,iを各々v02,i0として次式の如く仮定する。 i0=J0+(a1J1+ja2J2)exp(−β1t1) …(68) v02=P0+(a1P1+ja2P2)exp(−β1t1) …(69) すると、式(65)〜式(69)より以下の式が成立する。 J0=(E1/Rp+ωsCE2)cosωst1+−ωsCE1+E2/Rp) ・sinωst1 …(70) J1={(1−β1CRp)/Rp}cosω1t1−ω1Csinω1t1…(71) J2=ω1Ccosω1t1+{(1−β1CRp)/Rp}sinω1t1…(72) P0=E1cosωst1+E2sinωst1 …(73) P1=cosω1t1 …(74) P2=sinω1t1 …(75) 【0099】また、式(68)〜式(69)をa1,a2について解くと、次のようになる。 a1=[{(v02−P0)J2−(i0−J0)P2}/(J2P1−J1P2)] ・exp(β1t1) …(76) a2=[{−(v02−P0)J1+(i0−J0)P1} /{j(J2P1−J1P2)}]・exp(β1t1) …(77) 【0100】さらに、式(71)〜式(75)から次式の関係が成立することがわかる。 J2P1−J1P2=ω1C …(78) したがって、式(64)に式(76)〜式(77)を代入し、その際に式(78)を用いると、過渡解vptrとして次式が得られる。 vptr=[(v02−P0)cosω1(t−t1)−[{(1−β1CRp) ・(v02−P0)−Rp(i0−J0)}{sinω1(t−t1)} ] /(ω1CRp)]exp(β1t1)exp(−β1t)…(80) 【0101】ここで、 B1tr=v02−P0 …(81) t’ =t−t1 …(82) B2tr=−{(1−β1CRp)(v02−P0)−Rp(i0−J0)} /(ω1CRp) …(83) とおくと、 vptr=(B1trcosω1t’+B2trsinω1t’) exp(−β1t’) …(84) が得られる。 【0102】結局、式(65)は次式のようになる。 vp=(E1cosωst+E2sinωst)+ (B1trcosω1t’+B2trsinω1t’) exp(−β1t’) …(85) 【0103】次に、前述した式(67)において D1st=(E1/Rp)+ωsCE2 …(86) D2st=−ωsCE1+(E2/Rp) …(87) D1tr={(1−β1CRp)/Rp}B1tr+ω1CB2tr …(88) D2tr=−ω1CB1tr+{(1−β1CRp)/Rp}B2tr …(89) とする。 【0104】すると、電流iとしては、 i=(D1stcosωst+D2stsinωst) +(D1trcosω1t’+D2trsinω1t’)exp(−β1t’) …(90) が得られる。 【0105】また、電流isは、 is=Cc(dv1/dt)+i=ωsCcEm’cosωst+i …(91) として得られる。 【0106】[4.2] 拡張期拡張期においては、ダイオードDがオフとなって、左心室圧eがダイオードDのカソード側の回路へ印加されなくなり、静電容量CCを流れる電流は、電流iと大きさが等しく、逆方向の電流となる。したがって、電圧v1は上述した式(1)で表わされるとともに、電流i,電流icはそれぞれ以下の式で表わされる。 i=−Cc(dv1/dt) …(92) ic=C(dvp/dt) …(93) 【0107】したがって、電圧vpは、 vp=Rp(i−ic)=−Rp{Cc(dv1/dt)+C(dvp/dt)} …(94) となる。 【0108】また、i−ic=ip=vp/Rp であるから、 i=vp/Rp+C(dvp/dt) …(95) となる。 【0109】次に、式(1)に式(95)を代入して、得られた式の両辺を時間tで微分すると次式が得られ る。 dv1/dt=LC(d3vp/dt3) +(L/Rp+CRc)(d2vp/dt2) +(Rc/Rp+1)(dvp/dt) …(96) 【0110】また、式(92)と式(95)から次式が導かれる。 dv1/dt=−{vp/Rp+C(dvp/dt)}/Cc …(97) そして、式(96)と式(97)から次式が得られる。 LC(d3vp/dt3)+{(L+CRcRp)/Rp}(d2vp/dt2) + {(CcRc+CcRp+CRp)/CcRp}(dvp/dt) +{1/(CcRp)}vp=0 …(98) 【0111】したがって、この式を変形すると次式が得られる。 (d3vp/dt3)+A1’(d2vp/dt2) +A2’(dvp/dt)+A3’vp=0 …(99) ここで、 A1’=(L+CRcRp)/(LCRp) …(100) A2’=(CcRc+CcRp+CRp)/(LCcCRp) …(101) A3’=1/(LCcCRp) …(102) 【0112】次に、vp=exp(λt)とおいて、これを式(99)へ代入すると次式が得られる。 (λ3+A1’λ2+A2’λ+A3’)exp(λt)=0 …(103) さらに、以下のような定義をおこなう。 p=(A1’2/9)−(A2’/3) …(104) q=−A1’3/27+(A1’A2’)/6−A3’/2 …(105) u={q+√(q2−p3)}1/3 …(106) v={q−√(q2−p3)}1/3 …(107) α’=−(u+v)+A1’/3 …(108) β2=(u+v)/2+A1’/3 …(109) ω2=(u−v)√(3)/2 …(110) λ1=−α’ …(111) λ2=−β2+jω2 …(112) λ3=−β2−jω2 …(113) なお、(q2−p3)>0であれば振動モードである。 【0113】そして、電圧vpをさらに次式のように仮定する。 vp=b1exp(−α’t)+b2exp{(−β2+jω2)t} +b3exp{(−β2−jω2)t} …(114) 【0114】すると、式(95)へ式(114)を代入することにより、電流iは次式のように変形される。 i=g0b1exp(−α’t) +(g1+jg2)b2exp{(−β2+jω2)t} +(g1−jg2)b3exp{(−β2−jω2)t} …(115) 【0115】ここで、 g0=(1−α’CRp)/Rp …(116) g1=(1−β2CRp)/Rp …(117) g2=(ω2CRp)/Rp …(118) 【0116】したがって、電圧v1は式(115)から次式のようになる。 v1=−(1/CC) ∫i dt =f0b1exp(−α’t) +(f1+jf2)b2exp{(−β2+jω2)t} +(f1−jf2)b3exp{(−β2−jω2)t} …(119) 【0117】ここで、 f0=g0/(α’Cc) …(120) f1=(β2g1−ω2g2)/{(β22+ω22)Cc} …(121) f2=(ω2g1+β2g2)/{(β22+ω22)Cc} …(122) 次に、計算の簡略化を図るために、以後の説明においては、図4に示す時刻t2をt=0とおくことにする。そして、t=0における電圧v1,電圧vp,電流iを各々v01,v02,i0とすると、これらは式(119),式(114),式(115)のtをt=0とおくことで以下のように得られる。 v01=f0b1+(f1+jf2)b2+(f1−jf2)b3 …(123) v02=b1+b2+b3 …(124) i0=g0b1+(g1+jg2)b2+(g1−jg2)b3 …(125) 【0118】次に、式(114)における第2項と第3項を変形することで、電圧vp は次式のようになる。 vp=b1 exp(−α’t)+{(b2+b3)cosω2t +j(b2−b3)sinω2t}exp(−β2t) =B0exp(−α’t) +(B1cosω2t+B2sinω2t)exp(−β2t)…(126) 【0119】ここで、 B0=b1 =v02−(k1g2−k2f2)/(k4g2−k3f2) …(127) B1=b2+b3 =(k1g2−k2f2)/(k4g2−k3f2) …(128) B2=j(b2−b3)=(k2k4−k1k3)/(k4g2−k3f2)…(129) であって、 | |