トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 骨粗鬆症診断装置
【発明者】 【氏名】石井 徹哉

【氏名】栗脇 真史

【氏名】中森 勇一

【要約】 【課題】首振り型超音波トランスデューサの基準軸と被験者の測定箇所の位置関係を適正に設定する。

【解決手段】超音波トランスデューサ3を、超音波インパルスを被験者の脛骨に発射しそのエコーを受波するトランスデューサ本体11と、所定の基準軸Kを中心としてトランスデューサ本体を首振り運動させ、超音波インパルスの発射方向を絶えず変化させる首振り機構12とで構成し、この超音波トランスデューサを首振り運動可能な状態でトランスデューサ固定装置4に支持固定し、足固定装置5で被験者Mの足を固定することにより、超音波トランスデューサの基準軸Kを被験者の脛骨Mbの所定の位置に所定の方向で固定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 超音波インパルスを被験者の脛骨に発射しそのエコーを受波するトランスデューサ本体と、所定の基準軸を中心として前記トランスデューサ本体を首振り運動させ、超音波インパルスの発射方向を絶えず変化させる首振り機構とを備える超音波トランスデューサと、この超音波トランスデューサを首振り運動可能な状態で支持固定するトランスデューサ固定装置と、前記超音波トランスデューサの基準軸が被験者の脛骨の所定の位置に所定の方向で固定されるように、被験者の足を固定する足固定装置とを備えていることを特徴とする骨粗鬆症診断装置。
【請求項2】 前記足固定装置が、着座姿勢の被験者の膝を固定する膝固定部と、踵を固定する踵固定部とを備えていることを特徴とする請求項1記載の骨粗鬆症診断装置。
【請求項3】 前記膝固定部が位置調整可能に設けられていることを特徴とする請求項2記載の骨粗鬆症診断装置。
【請求項4】 前記踵固定部が位置調整可能に設けられていることを特徴とする請求項2又は3記載の骨粗鬆症診断装置。
【請求項5】 前記足固定装置が、着座した被験者の腰の位置を固定す腰固定部を備えていることを特徴とする請求項2乃至4の何れか1に記載の骨粗鬆症診断装置。
【請求項6】 前記トランスデューサ固定装置が、超音波トランスデューサの基準軸の高さを調整する機構を備えていることを特徴とする1乃至5の何れか1に記載の骨粗鬆症診断装置。
【請求項7】 前記足固定装置が、着座した被験者の大腿骨の延びる方向に対して所定角度斜めの位置に前記超音波トランスデューサの基準軸が位置するように被験者の足を固定することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1に記載の骨粗鬆症診断装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、超音波インパルスを被験者の脛骨に向けて発射しそのエコーを受波することで骨粗鬆症を診断する骨粗鬆症診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の骨粗鬆症診断装置として、特開平9−140707号公報に記載されているような首振り型超音波トランスデューサを用いた骨粗鬆症診断装置が知られている。この公報に記載の首振り型超音波トランスデューサは、超音波インパルスを測定箇所の骨に発射しそのエコーを受波するトランスデューサ本体と、所定の基準軸を中心としてトランスデューサ本体を首振り運動させ、超音波インパルスの発射方向を絶えず変化させる首振り機構とから構成されている。
【0003】超音波インパルスを骨に向けて発射しそのエコーを受波する場合、超音波インパルスの入射方向と骨の表面の法線が一致したときに最大エコーを受波することができ、高精度の診断が可能となる。この点、上記首振り型超音波トランスデューサを用いた骨粗鬆症診断装置によれば、首振り運動によって超音波インパルスの発射方向を絶えず変化させるので、脛骨の表面の法線と超音波インパルスの入射方向の一致点を自動的に探し出すことができ、操作者を煩わせることなく、あるいは操作の巧拙に関係なく、自動的に最大エコーを受波できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような首振り型超音波トランスデューサを用いた骨粗鬆症診断装置では、検査すべき箇所(脛骨)に対して、著しく超音波トランスデューサの基準軸の向きが不適正に置かれた場合、超音波トランスデューサの首振り範囲に骨表面の法線の向きが入らなくなり、この結果、正しく計測できなくなることがあった。
【0005】この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、首振り型超音波トランスデューサの基準軸と被験者の測定箇所の位置関係を適正に設定することができ、常に正しい計測ができる骨粗鬆症診断装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1記載の発明に係る骨粗鬆症診断装置は、超音波インパルスを被験者の脛骨に発射しそのエコーを受波するトランスデューサ本体と、所定の基準軸を中心として上記トランスデューサ本体を首振り運動させ、超音波インパルスの発射方向を絶えず変化させる首振り機構とを備える超音波トランスデューサと、この超音波トランスデューサを首振り運動可能な状態で支持固定するトランスデューサ固定装置と、上記超音波トランスデューサの基準軸が被験者の脛骨の所定の位置に所定の方向で固定されるように、被験者の足を固定する足固定装置とを備えていることを特徴とする。
【0007】また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の骨粗鬆症診断装置に係り、上記足固定装置が、着座姿勢の被験者の膝を固定する膝固定部と、踵を固定する踵固定部とを備えていることを特徴とする。
【0008】また、請求項3記載の発明は、請求項2記載の骨粗鬆症診断装置に係り、上記膝固定部が位置調整可能に設けられていることを特徴とする。
【0009】また、請求項4記載の発明は、請求項2又は3に記載の骨粗鬆症診断装置に係り、上記踵固定部が位置調整可能に設けられていることを特徴とする。
【0010】請求項5記載の発明は、請求項2乃至4の何れか1に記載の骨粗鬆症診断装置に係り、上記足固定装置が、着座した被験者の腰の位置を固定す腰固定部を備えていることを特徴とする。
【0011】また、請求項6記載の発明は、請求項1乃至5の何れか1に記載の骨粗鬆症診断装置に係り、上記トランスデューサ固定装置が、超音波トランスデューサの基準軸の高さを調整する機構を備えていることを特徴とする。
【0012】また、請求項7記載の発明は、請求項1乃至6の何れか1に記載の骨粗鬆症診断装置に係り、上記足固定装置が、着座した被験者の大腿骨の延びる方向に対して所定角度斜めの位置に上記超音波トランスデューサの基準軸が位置するように被験者の足を固定することを特徴とする。
【0013】
【作用】この発明の骨粗鬆症診断装置によれば、足固定装置によって被験者の足を固定することにより、自動的に、超音波トランスデューサの基準軸が、被験者の脛骨の所定の位置に所定の方向で固定される。したがって、首振り機構によってトランスデューサ本体に所定の首振り運動をさせた際に、その首振り範囲に確実に脛骨表面の法線の向きが入ることになり、最大エコーを受波できる。この場合、被験者の脛骨の向きは、膝と踵の位置を固定することで適正に設定することができる。
【0014】また、固定位置は被験者の体格等に応じて適宜調節すればよいし、被験者の腰の位置を固定すれば、より正確に無理なく、被験者の足の位置を固定することができる。また、脛骨の前側の平面の向きは、大腿骨の延びる向きと所定の角度を持つので、大腿骨の向きを所定の方向に固定することで、超音波トランスデューサの基準軸と脛骨のフラット面の向きを適正な関係に設定することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。図1は、この発明の一実施形態である骨粗鬆症診断装置1により被験者Mの脛Maの検査を行っている状態を示す側面図、図2は、図1のII−II矢視図、また、図3は、同骨粗鬆症診断装置の要部構成を示すと共に、使用状態を示す平面図、また、図4は、同骨粗鬆症診断装置で計測する場合の脛骨とトランスデューサ本体の関係を示す平面図である。
【0016】この骨粗鬆症診断装置1は、超音波トランスデューサ3と、超音波トランスデューサ3を支持するトランスデューサ固定装置4と、被験者Mの足を固定する足固定装置5とからなる。これらはベースフレーム2上に配されている。超音波トランスデューサ3は、超音波インパルスを被験者Mの脛Maの脛骨Mbに発射しそのエコーを受波するトランスデューサ本体11と、所定の基準軸Kを中心としてトランスデューサ本体3を首振り運動させ、超音波インパルスの発射方向を絶えず変化させる首振り機構12とからなる。
【0017】首振り機構12は、垂直に配されたプレート状の可動フレーム15と、可動フレーム15に水平向きに固定された3つのアクチュエータ20を有する。3つのアクチュエータ20は、可動フレーム15の中心に設定された略水平な基準軸Kを中心に、周方向120度の間隔で配されており、それぞれ水平方向に延びる等長のネジ軸16を有している。
【0018】ネジ軸16は、アクチュエータ20を回転駆動することで、矢印(イ)のように、水平方向に伸縮動作させられるようになっており、3本のネジ軸16の先端に、ボールジョイント(自在継手)17を介してトランスデューサ本体11のブラケット18が結合されている。これにより、3本のネジ軸16の伸縮動作を適当に組み合わせることで、トランスデューサ本体11を上記基準軸Kを中心に、首振り運動させることができるようになっている。この場合、首振り運動は無制限にできるわけではなく、機構的な制約により、所定の立体角の範囲で限定してできるようになっている。
【0019】上記首振り機構12のベース部に相当する可動フレーム15は、トランスデューサ固定装置4により支持されている。トランスデューサ固定装置4は、ベースフレーム2上に間隔をおいて垂直に立てられたネジ軸21とガイド軸22とからなり、可動フレーム15を上下方向移動可能に支持している。可動フレーム15には、ネジ軸受23とガイド軸受24とが設けられており、ネジ軸受23がネジ軸21に螺合され、ガイド軸受24がガイド軸22に嵌合されることで、可動フレーム15が支持されている。
【0020】そして、ネジ軸21の上端のハンドル21aを回すことで、ネジ軸21とネジ軸受23の作用により、可動フレーム15の高さを調整し、超音波トランスデューサ3の基準軸Kの高さを調節できるようになっている。したがって、ここでは、ネジ軸21とネジ軸受23が、超音波トランスデューサ3の高さ調整機構に相当する。また、可動フレーム15の調節高さを被験者Mの身長に対応して合わせられるように、図2に示すように、可動フレーム15の側方には身長を記したスケール26が設けられている。
【0021】また、足固定装置5は、爪先固定部31と踵固定部32と膝固定部33と腰固定部34と、膝固定部33を支持する垂直支柱35とを有している。爪先固定部31は、図3に示すように、足の親指と人差し指の付け根の位置つまり爪先Mdの位置を固定し、踵固定部32は足の踵Meの位置を固定する。これら爪先固定部31と踵固定部32により、踝から下の部分Mcを確実に固定することができる。なお、踵固定部32は、垂直支柱35に設けたブラケット36に矢印(ロ)の方向にスライド自在に取り付けられており、足の大きさに応じて爪先固定部31との間隔を調節できるようになっている。37は踵固定部32の位置を固定する固定ネジである。
【0022】膝固定部33は、被験者の膝Mfの位置を固定するものであり、垂直支柱5にブラケット38を介して取り付けられている。この場合、ブラケット38の高さを調節することで、膝固定部33の高さを矢印(ハ)のように調整できるようになっている。また、膝固定部33は、ブラケット38にスライド自在に取り付けられており、踵固定部32の調整と合わせて、同じ矢印(ニ)方向に位置調整できるようになっている。39はブラケット38の高さを固定する固定ネジ、40は膝固定部33の位置を固定する固定ネジである。
【0023】腰固定部34は、椅子42に着座した被験者Mの腰Mg(特に骨盤の端)を固定するものであり、椅子42の座部44に設けられている。椅子42は、脚部43が矢印(ホ)のように水平方向に位置調節でき、座部44が矢印(ヘ)のように高さ調節できるものである。
【0024】以上の足固定装置5で被験者Mの足を固定した場合、図3に示すように、着座した被験者の大腿骨Mjの延びる方向に対して所定角度θ(15度〜75度)だけ傾いた位置に、超音波トランスデューサ3の基準軸Kが位置するようになっている。そして、この関係に基準軸Kを設定できることにより、図4に示すように脛骨Mbの前側のフラット面Mhの法線Mkの方向を、超音波トランスデューサ3の基準軸Kと一致、あるいは、基準軸Kを中心にして行う首振り運動の範囲内に確実に入れることができる。したがって、首振り機構12によってトランスデューサ本体11に所定の首振り運動をさせた際に、脛骨Mgからの最大エコーを受波することができ、正しい計測を行うことができる。
【0025】なお、上記3本のネジ軸16を用いた首振り機構12によれば、トランスデューサ本体11の位置を、ネジ軸16の軸線方向に沿って自由に変えることができる。例えば、全部のネジ軸16を同じ長さ伸長させれば、脛Maとの間隔を詰めることができるし、全部のネジ軸16を同じ長さ退縮させれば、脛Maとの間隔を開くことができる。また、ネジ軸16の伸縮長さに変化をつければ(この操作自体が首振り動作の一部を利用することになる)、基準軸Kをある程度傾けることもできる。したがって、被験者Mの脛Maを固定した状態でのトランスデューサ本体11の位置を、後から適正に修正することができ、修正後の位置を基準にして首振り運動をさせることができる。
【0026】なお、被験者Mの足の長さや身長に応じて、踵固定部32、膝固定部33、腰固定部34の位置を調節すると共に、超音波トランスデューサ3の高さを調節する。そうすることにより、被験者Mの体格差によらず、超音波トランスデューサ3と被験者Mの関係を適正に設定することができ、適正な骨粗鬆症の診断が可能となる。
【0027】以上、この発明の実施形態を図面により詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更などがあっても、この発明に含まれる。例えば、首振り機構12の構造やアクチュエータ20の種類等は任意に変更可能であるし、可動フレーム15の高さを調節する機構も自由に選定可能である。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の骨粗鬆症診断装置によれば、被験者の足を足固定装置で固定するだけで、確実に超音波トランスデューサの首振り範囲に脛骨表面の法線を入れることができる。したがって、首振り機構によってトランスデューサ本体に所定の首振り運動をさせた際に、最大エコーを受波することができ、再現性よく、適正な計測を行うことができる。この場合、膝と踵の位置、それに加えて腰の位置を固定すれば、脛骨を超音波トランスデューサに対して適正な関係に設定できるので、被験者に無理を強いることもなく、簡単に検査することができる。
【0029】また、足の長さ等が変わる場合には、膝や踵の固定位置や超音波トランスデューサの位置を調節すればよいので、被験者の体格差によらず、適正な検査を行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)12月11日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−169370
【公開日】 平成11年(1999)6月29日
【出願番号】 特願平9−341537