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【発明の名称】 超音波プローブ
【発明者】 【氏名】仁科 研一

【要約】 【課題】1つの超音波振動子でラジアル走査とセクタ走査とを行える小型で構造の簡単な超音波プローブを提供すること。

【解決手段】先端キャップ20の内部には第1シャフト21の先端部に固定されて内視鏡の長手軸方向を中心軸にして回転自在な凹字形状のハウジング23と、このハウジング23の一端部に固定され超音波の出射方向を長手軸方向に向けた超音波振動子24と、ハウジング23の他端部に固設した軸受部25に回動自在に配設された樹脂製の従動ギア26と、超音波振動子24に対向する従動ギア26に一体的に固定され、超音波振動子24に対向する面が約45度傾いた傾斜面であるミラー27と、第1シャフト21の内孔内を挿通し、第2シャフト22の先端部に固設され従動ギア26に噛合する駆動ギア28とを配設している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 超音波振動子と、この超音波振動子に対向して前記超音波振動子から出射される超音波を反射させるミラーと、前記超音波振動子及びミラーを保持するハウジングと、このハウジングへ駆動力を伝達する第1のシャフトと、前記ミラーへ駆動力を伝達する第2のシャフトとを備える超音波プローブであって、前記ミラーは前記超音波振動子に対向し、この対向軸を中心に回転する一方、前記ハウジングは前記ミラーの回転軸に対して略垂直な軸を中心にして回転し、前記一方のシャフトの内孔内に他方のシャフトが挿通していることを特徴とする超音波プローブ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、メカニカル走査型の超音波プローブに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、超音波振動子から生体組織内に超音波パルスを繰り返し送信し、この生体組織から反射される超音波パルスのエコーを同一、或いは、別体に設けた超音波振動子で受信して、この超音波パルスを送受信する方向を徐々にずらすことによって、生体内の複数の方向から収集した情報を可視像の超音波診断画像として表示する超音波診断装置が種々提案されている。
【0003】これらは、体外式超音波プローブによるものが一般的であるが、内視鏡と組み合わせたものや、細径の超音波プローブ、体腔内に挿入する体腔内超音波プローブなど体内式超音波プローブも広く用いられている。
【0004】これら超音波プローブには超音波振動子を機械的に走査することによって超音波の出射方向あるいは出射位置を変えて超音波断層像を得るようにしたメカニカルスキャン方式のものと、前記走査を電子的に行う電子的スキャン方式のものとがある。そして、前記メカニカル走査型の超音波プローブとしては超音波内視鏡、経直腸プローブ、経膣プローブ等が知られており、これら超音波プローブの走査方式には、挿入軸方向に対して直交する方向を走査してオリエンテーションを付け易くして診断等に有用なラジアル走査や、挿入軸方向に対して前方方向を走査して穿刺などの際に針の全長方向や穿刺深さなどを描出して病変へのガイドとして有用なセクタ走査などがある。
【0005】しかし、通常の超音波プローブでは、走査方式がラジアル走査又はセクタ走査のどちらか一方だけであるため、先ず診断のためにラジアル走査方式の超音波プローブを体腔内に挿入して検査した後、前記超音波プローブの代わりにセクタ走査方式の超音波プローブを体腔内に挿入して穿刺などを行っていた。このため、超音波プローブが2種類必要になって装置購入費が増大すると共に、1症例で2本の超音波プローブを使用するので検査時間が増えるばかりでなく患者に対する負担が増加すると共に、洗浄・消毒等の作業が増大し、また2種類の超音波プローブを保管するための保管場所が必要になるなど種々の問題があった。
【0006】これら問題を解決するため、特開平4−82540号公報には挿入部の先端に2つの超音波探触子を設け、これら2つの超音波探触子をそれぞれ挿入方向に対して垂直な方向及び挿入軸方向を走査するようにした超音波プローブが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特開平4−82540号公報の超音波プローブでは先端部に走査面方向の異なる2種類の超音波探触子を設けていたので先端部の硬質長が長くなるという不具合があった。また、2つの振動子を挿入方向に併設させていたので走査面を切り換える際の操作が煩わしく検査時間が長くなるという不具合があった。
【0008】本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、1つの超音波振動子でラジアル走査とセクタ走査とを行える小型で構造の簡単な超音波プローブを提供することを目的にしている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の超音波プローブは、超音波振動子と、この超音波振動子に対向して前記超音波振動子から出射される超音波を反射させるミラーと、前記超音波振動子及びミラーを保持するハウジングと、このハウジングへ駆動力を伝達する第1のシャフトと、前記ミラーへ駆動力を伝達する第2のシャフトとを備え、前記ミラーは前記超音波振動子に対向し、この対向軸を中心に回転する一方、前記ハウジングは前記ミラーの回転軸に対して略垂直な軸を中心にして回転し、前記一方のシャフトの内孔内に他方のシャフトが挿通している。
【0010】この構成によれば、2つのシャフトを同期させて超音波振動子とミラーとが対向した状態でミラーとハウジングとを回転させることによってラジアル走査が行え、ハウジングを固定してミラーだけを回転させることによってセクタ走査が行える。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1ないし図8は本発明の第1実施形態に係り、図1は超音波内視鏡システムの概略構成を示す説明図、図2は超音波内視鏡の先端部分の構成を示す断面図、図3は内側シャフト及び外側シャフトとの関係を説明する図、図4は内側シャフト及び外側シャフトの基端部の構成を説明する図、図5はラジアル走査状態を説明する図、図6はセクタ走査状態を説明する図、図7は他の走査例を示す説明図、図8は別の走査例を示す説明図である。本実施形態においては超音波プローブを超音波内視鏡として説明する。
【0012】図1に示すように本実施形態の超音波内視鏡システムは、挿入部10の先端硬性部11から突出する先端キャップ20内に後述する超音波振動子を内蔵した超音波内視鏡(以下内視鏡と略記する)1と、この内視鏡1に設けられている照明光学系に照明光を供給する光源部(不図示)や前記超音波振動子の制御を行う駆動制御部及び超音波振動子との信号の送受を行う信号処理部等を備えた超音波観測装置2と、この超音波観測装置2で生成された画像信号を表示するモニタ3と、このモニタ3に表示された画像を記録する画像記録装置4等で主に構成されている。
【0013】前記超音波内視鏡1は、体腔内に挿入される可撓性を有する挿入部10と、この挿入部10の基端部に連結された把持部を兼ねる主操作部5と、この主操作部5の後端部に設けられ接眼部6を備えた副操作部7と、前記主操作部5の側部から延出し基端部に、図示しない光源部に着脱自在に接続される光源用コネクタ8aを備えた光源ケーブル8と、前記副操作部7の側部から延出し基端部に前記超音波診断観測装置2に着脱自在に接続される超音波用コネクタ9aを備えた超音波コード9とで主に構成されている。
【0014】前記挿入部10は、先端側から順に、硬質な部材で形成された先端硬性部11、上下左右方向に湾曲自在な湾曲部12、柔軟で細長なシースで形成された可撓管部13を連接して構成されている。
【0015】前記主操作部5には穿刺針などの処置具を前記挿入部10内を挿通して図2に示す先端硬性部11の先端面11aで開口する処置具導出口(単に導出口と記載する)14aが出口になる処置具挿通用チャンネル14への入り口になる処置具挿入口5aが設けられている。また、この主操作部5には前記湾曲部12を所望の方向に湾曲操作する湾曲操作ノブ5bや送気及び送水の操作を行う送気・送水ボタン5c、吸引を行う吸引ボタン5dが設けられている。さらに、前記副操作部7には切り換えスイッチ7aが設けられている。この切り換えスイッチ7aは、ラジアル走査とセクタ走査とを選択するためのスイッチである。
【0016】図2に示すように先端硬性部11の先端には超音波透過性に優れた高密度ポリエチレン、ポリメチルペンテン等のプラスチック材料や超音波を透過する弾性体で形成された袋状の先端キャップ20が配設されている。この先端キャップ20の内部には例えばフレキシブルシャフトからなる第1のフレキシブルシャフト(以下第1シャフトとも記載する)21の先端部に固定されて内視鏡の長手軸方向を中心軸にして回転自在な略凹字形状のハウジング23と、このハウジング23の一端部に固定され超音波の出射方向を長手軸に対向して直交する方向に向けた超音波振動子24と、前記ハウジング23の他端部に固設した軸受部25によって上記長手軸方向と直交する軸回りに回動自在に配設されたポリアセタールなど樹脂製の従動側ベベルギア(従動ギアとも略記する)26と、前記超音波振動子24に対向する前記従動ギア26に一体的に固定され、前記超音波振動子24に対向する面が約45度傾いた傾斜面であるミラー27と、前記第1シャフト21の内孔内を挿通し、前記第1シャフトと同様なフレキシブルシャフトからなる第2のフレキシブルシャフト(以下第2シャフトとも記載する)22の先端部に固設され前記従動ギア26に噛合する樹脂製の駆動側ベベルギア(駆動ギアとも略記する)28とが配設されている。
【0017】また、先端硬性部11の先端面には体液の吸引や体腔内へ処置具を案内する処置具挿通用チャンネル14の処置具導出口14aや体腔内を照明する照明光学系の先端に配置された照明窓15、体腔内の観察を行うための観察光学系を構成するる観察レンズカバー16、このレンズカバー16に付着した汚物などを除去するための送気・送水ノズル17などが配置されている。
【0018】なお、ミラー27と超音波振動子24とが図に示すように対向した状態、即ち、ミラー27の反射面が、内視鏡の長手軸(挿入軸)に対して平行であると共に、内視鏡の長手軸(挿入軸)と超音波の出射方向を含む平面に対して約45°傾いた状態を初期対向状態とする。また、前記先端キャップ20内には超音波を伝達する特性を有する流動パラフィン、水、カルボキシルメチルセルロース水溶液、KYゼリー等、液体の超音波伝達媒体18が充填されている。さらに、前記超音波振動子24から延出する信号ケーブル29は、このハウジング23に設けた案内孔23aを通って第1シャフト21と第2シャフト22との間に導かれている。案内孔23aを形成して信号ケーブル29を第1シャフト21と第2シャフト22との間に導く代わりに、第1シャフト21を構成する素線の一部を信号ケーブルとして構成するようにしてもよい。
【0019】図3に示すように前記第2シャフト22は、前記第1シャフト21の内孔内を挿通している。前記第2シャフト22と前記第1シャフト21との間にはこの第1シャフト21と第2シャフト22との接触を防止すると共に、前記超音波振動子24から延出した信号ケーブル29が回転する第2シャフト22に接触することを防止する保護チューブを兼ねるガイドチューブ30で覆われている。なお、このガイドチューブ30の内部には潤滑油が充填されている。また、前記第1シャフト21もガイドチューブで覆うようにしてもよい。
【0020】図4に示すように前記第1シャフト21の基端部にはスリップリング33が設けられており、このスリップリング33に前記第1シャフト21と保護チューブであるガイドチューブ30との間を通って導かれた信号ケーブル29が接続されている。また、前記第1シャフト21の基端側にはこの第1シャフト21を回転させる駆動部である第1シャフト用アクチュエータ(不図示)及びこの第1シャフト21の回転角度を検出する第1シャフト用エンコーダを備えた第1回転駆動制御部31が設けられている。さらに、前記第1シャフト21内を挿通する第2シャフト22の基端部にはこの第2シャフト22を回転させる駆動部である第2シャフト用アクチュエータ(不図示)及びこの第2シャフト22の回転角度を検出する第2シャフト用エンコーダを備えた第2回転駆動制御部32が設けられている。前記第1回転駆動制御部31及び第2回転駆動制御部32は、前記超音波観測装置2の駆動制御部2aに電気的に接続されている。また、前記スリップリング33に接続された信号ケーブル29は超音波観測装置2の信号処理部2bに電気的に接続されている。
【0021】上述のように構成した超音波内視鏡1の作用を説明する。まず、超音波内視鏡1の切り換えスイッチ7aを操作してラジアル走査を選択した場合について説明する。
【0022】切り換えスイッチ7aによってラジアル操作を選択する。すると、超音波観測装置2から超音波振動子24へ高電圧パルスの送信が開始されると共に、図5の矢印A,Bに示すように第1シャフト21及び第2シャフト22が回転を開始して、この第2シャフト22に固定されている駆動ギア28及び従動ギア26と、前記第1シャフト21に固定されているハウジング23が回転を開始する。このとき、図に示すようにハウジング23は図中矢印Cに示すように回転する一方、ミラー27は回転する前記ハウジング23に固定されている超音波振動子24に対して初期対向状態を保持するように同期して回転する。このため、ミラー27と超音波振動子24との相対位置が変化しない状態でハウジング23だけが回転している状態になる。
【0023】そして、前記第1シャフト21及び第2シャフト22とが回転した状態で前記超音波振動子24が高電圧パルスによって励振されて超音波を出射する。この超音波は、超音波振動子24から対向するミラー27に向かって出射され、このミラー27で挿入軸方向に対して垂直な方向に反射されて先端キャップ20を通過して生体内に伝播されていく。このとき、前記第1シャフト21と第2シャフト22とが同期して回転しているため、続いて超音波振動子24から対向するミラー27に向かって出射された超音波は挿入軸方向に対して垂直な方向に反射されてラジアル走査面を形成する。
【0024】次に、超音波内視鏡1の切り換えスイッチ7aを走査してセクタ走査を選択した場合について説明する。
【0025】切り換えスイッチ7aによってセクタ操作を選択する。すると、図6に示すように超音波観測装置2から超音波振動子24へ高電圧パルスの送信が開始されると共に、第1シャフト21の回転を停止させた状態で第2シャフト22だけが図中矢印Dに示すように回転を開始して、この第2シャフト22に固定されている駆動ギア28及び従動ギア26が回転を開始する。すると、ハウジング23に対してミラー27だけが図中の矢印Eに示すように回転する。
【0026】そして、前記第2シャフト22だけが回転した状態で前記超音波振動子24が高電圧パルスによって励振されて超音波を出射する。この超音波は、超音波振動子24から対向する回転中のミラー27に向かって出射され、このミラー27で挿入軸方向に対して平行な方向に反射されて先端キャップ20を通過して生体内に伝播されていく。このとき、ミラー27が回転しているため、続いて超音波振動子24からミラー27に向かって出射された超音波は挿入軸方向に平行な方向に反射されてセクタ走査面を形成する。
【0027】なお、切り換えスイッチ7aを操作してラジアル走査からセクタ走査に切り換える場合、又はセクタ走査からラジアル走査に切り換える場合、一旦初期対向状態で停止されてから次の操作に移行するようになっている。この初期対向状態は、第1回転駆動制御部の第1シャフト用エンコーダ及び第2回転駆動制御部の第1シャフト用エンコーダによって制御されている。
【0028】また、図7に示すようにミラー27と超音波振動子24との初期対向状態に対してミラー27の角度を斜めに位置ずれさせて上方に傾けた状態にしてラジアル走査を選択した場合、第1シャフト21及び第2シャフト22が回転して、初期対向状態に対してミラー27の角度が斜めに位置ずれした傾いた相対位置を保持した状態でハウジング23だけが回転する。すると、超音波は、超音波振動子24から対向するミラー27に向かって出射され、このミラー27で挿入軸方向に対して斜め方向に反射されて先端キャップ20を通過して生体内に伝播されていく。このとき、前記第1シャフト21と第2シャフト22とが同期して回転しているため、続いて超音波振動子24から対向するミラー27に向かって出射された超音波は挿入軸方向に対して傾いた方向に反射されて円錐形状のコニカル走査面を形成する。なお、前記ミラー27の角度を位置ずれさせる操作は例えば前記超音波観測装置2に角度調整部等を設けてこの位置ずれ角度(偏角)の設定を行うようにする。
【0029】さらに、前記第1シャフト21と、前記第2シャフト22とを同期させて回転させているとき、例えば1回のラジアル走査が終わる毎に対向するミラー27と超音波振動子24との角度を一定角度ずつ位置ずれさせるために両軸を相対的に変化させてラジアル走査を繰り返し行うことによって、図8(a)に示すような3D走査面が形成される。また、第2シャフト22だけを回転させ、この第2シャフト22が1回転する毎に第1シャフト21を調節してセクタ走査を挿入軸回りに回転させることによって同図(b)に示すような3D走査面が形成される。なお、位置ずれさせる角度は、上述のように超音波観測装置2に設けた角度調整部で設定して行う。
【0030】このように、ハウジングに固定された超音波振動子とミラーとを対向させ、前記超音波振動子を配設したハウジングとミラーとをそれぞれ回転可能にし、操作部に設けた切り換えスイッチで走査方式を選択することによって、1つの超音波振動子を先端キャップ内に配置した超音波内視鏡でラジアル走査とセクタ走査とを選択的に行うことができる。このことにより、検査時間を短縮して、患者への苦痛を低減すると共に、洗浄・消毒などの手間を省け、保管の際にも場所をとらない。そして、超音波振動子が1つだけであるので安価な装置になる。
【0031】また、超音波観測装置側に角度調整部を設け、超音波振動子とミラーとの位置関係を適宜切り換えていくことによって、ラジアル走査及びセクタ走査のみならずコニカル走査や3D走査を行うことができる。このことによって、立体的な観測が可能になって病変部の把握が容易になり、例えば病変部の体積測定を行うことによって、治療効果判定に役立つ。
【0032】図9及び図10は本発明の第2実施形態に係り、図9は内側シャフト及び外側シャフトの基端部の他の構成及びこの構成でのセクタ走査状態を説明する図、図10は図9の構成でのラジアル走査状態を説明する図である。
【0033】本実施形態では第1シャフト21及び第2シャフト22にそれぞれ回転駆動制御部31,32を設ける代わりに、回転駆動制御部を1つだけ設け、機械的にセクタ走査状態とラジアル走査状態とを切り換えられるようにしている。
【0034】図9に示すように本実施形態においては第1シャフト21内を挿通する第2シャフト22の基端部にこの第2シャフト22を回転させる駆動部である第2シャフト用アクチュエータ(不図示)及びこの第2シャフト22の回転角度を検出する第2シャフト用エンコーダを備えた回転駆動制御部40を設けている。この回転駆動制御部40が配置される筐体41には下面側に凹部を設けたスライドスイッチ42が設けられている。このスライドスイッチ42の凹部には略筒形状のスライド部材50のフランジ部51が係入しており、前記スライドスイッチ42を図に示す矢印a方向又は矢印b方向に移動させることによって、前記スライド部材50がスライドスイッチ42と同様の方向に移動するようになっている。
【0035】前記スライド部材50には前記第2シャフト22が挿通する透孔52及び第1シャフト21の基端部が配置される穴部53が形成されており、前記穴部53の内周面には前記第1シャフト21の基端部に突出させて設けた係合突起21aが係入する軸方向に細長な係合溝54が形成されている。また、前記透孔52の前記回転駆動制御部40側基端面には第2シャフト22の基端部に突出させて設けた回転力伝達突起22aが係入する回転力伝達溝55が形成されている。更に、前記スライド部材50の外周側側面にはスライド部材回転規制孔56が形成されており、このスライド部材回転規制孔56は筐体41の内周面に凸設させた回転規制凸部43に係止されるようになっている。
【0036】なお、前記回転駆動制御部40は、超音波観測装置2の駆動制御部2aに電気的に接続されている。また、前記スリップリング33に接続された信号ケーブル29は超音波観測装置2の信号処理部2bに電気的に接続されている。その他の構成及び作用は前記第1実施形態と同様であり、同部材に同符号を付して説明を省略する。
【0037】図9を用いてセクタ走査状態について説明する。まず、筐体41に設けたスライドスイッチ42をa側に移動してセクタ操作を選択する。すると、スライド部材50が図の左側に移動してこのスライド部材50に形成したスライド部材回転規制孔56が回転規制凸部43に係止される。このとき、第2シャフト22に設けた回転力伝達突起22aとスライド部材50の回転力伝達溝55とが係入していない状態になっている。このことによって、第2シャフト22が回転を開始したとき、第1シャフト21の回転が停止した状態になる。このため、第2シャフト22の回転によってハウジング23に対してミラー27だけが回転して超音波振動子24からミラー27に向かって出射された超音波は挿入軸方向に平行な方向に反射されてセクタ走査面を形成する。
【0038】次に、図10を参照してラジアル走査状態について説明する。筐体41に設けたスライドスイッチ42をb側に移動してラジアル操作を選択する。すると、スライド部材50が図の右側に移動してこのスライド部材50に形成したスライド部材回転規制孔56と回転規制凸部43との規制状態が解除される一方、第2シャフト22に設けた回転力伝達突起22aとスライド部材50の回転力伝達溝55とが係入した状態になる。このことによって、第2シャフト22が回転を開始したとき、この第2シャフト22の回転力が回転力伝達突起22aからスライド部材50の回転力伝達溝55に伝達されてスライド部材50が回転する。そして、このスライド部材50の回転力は、係合溝54から係合突起21aに伝達されて第1シャフト21が第2シャフト22と同期した回転状態になる。このことによって、ミラー27と超音波振動子24との相対位置が変化しない状態でハウジング23だけが回転して超音波振動子24から対向するミラー27に向かって出射された超音波は挿入軸方向に対して垂直な方向に反射されてラジアル走査面を形成する。なお、回転力伝達突起22aと回転力伝達溝55との位置関係を適宜設定することによってコニカル走査に対応可能になる。
【0039】このように、第2シャフトに回転駆動制御部を1つ設け、スライドスイッチの移動操作によってスライド部材を移動させて、回転駆動制御部の駆動力を第1シャフトに伝達する状態と第2シャフトだけを単独で回転させる状態とに切り換えることによって、ラジアル走査とセクタ走査とを行えるので、超音波内視鏡に設ける回転駆動制御部を1つにして装置を安価にすることができると共に、軽量化を図ることができる。また、超音波観測装置として従来のラジアル走査用のもの流用することが可能である。その他の作用及び効果は第1実施形態と同様である。
【0040】図11は本発明の第3実施形態に係る超音波内視鏡の先端部分の他の構成を示す断面図である。本実施形態においてはハウジング23を固設した第1シャフト21と駆動側ベベルギア28を固設した第2シャフト22との位置関係が第1実施形態と逆の関係になっている。つまり、第1のシャフト21が第2シャフト22の内孔を挿通している。このため、ベベルギアとハウジングとの位置関係も第1実施形態とは逆にベベルギア26,28の内面側にハウジング23が配置されている。また、信号ケーブル29は、第1シャフト21の内孔を挿通している。このため、ガイドチューブ30が不要である。さらに、セクタ走査を行う際には外側に配置されている第2シャフト22だけを回転させる。同様に、前記第2実施形態のように回転駆動制御部を1つだけ設ける場合、外側に配置されている第2シャフト22に回転駆動制御部を設ける。その他の構成及び作用は前述の実施形態と同様である。
【0041】このように、ハウジングが固設される第1シャフトを、駆動側ベベルギアが固設される第2シャフトの内孔に配置することにより、最小形状が略規定されるベベルギアの内面側に小径化が可能なハウジング及びミラーを配置して挿入部外径寸法を細径に形成することができる。その他の効果は前述の実施形態と同様である。
【0042】ところで、超音波プローブにおいては先端キャップ20内に充填されている超音波伝達媒体18内に気泡が発生すると、この気泡が超音波観察に悪影響を及ぼしていた。このため、常に超音波伝達媒体内18に発生した気泡が除去される超音波プローブが望まれていた。
【0043】図12(a)に示すように本実施形態においてはミラー27に内部空間部27aを設け、この内部空間部27aに超音波伝達媒体18内で発生した気泡を集めるようにしたものである。このため、ミラー27を、ミラー部61とミラー固定部62とで構成し、ミラー固定部62にミラー部61を接着固定している。そして、前記ミラー固定部62の少なくとも一部には超音波伝達媒体18を通過させて気泡の通過を阻止する網状部63を設けている。また、この内部空間部27aと先端キャップ20内とを連通させるため、従動側ベベルギア26には透孔26aが設けられ、ミラー固定部62には前記透孔26aに対応する気泡孔62aが形成されている。そして、同図(b)に示すように従動ギア26に形成した透孔26aの外周側には、この従動ギア26が回転駆動したとき超音波伝達媒体18を内部空間部27aに導くような流体の流れを発生させる水車65が複数形成されている。
【0044】このため、ラジアル走査又はセクタ走査を行うために従動ギア26が回転すると、この従動ギア26に形成されている水車65によって超音波伝達媒体18を内部空間部27aに導く流体の流れが発生する。このとき、超音波伝達媒体18内に気泡66が存在した場合には透孔26a、気泡孔62aを通って気泡66が内部空間部27a内に流れ込んでくる。内部空間部27aに流れ込んだ超音波伝達媒体18は網状部63を通過していくが、気泡66はこの網状部63を通過することを阻止されて、内部空間部27a内に留まる。
【0045】このように、超音波伝達媒体内に発生した気泡が、従動ギアの回転によって発生する流体の流れによって、内部空間部内に導かれて留まることによって、気泡による影響を受けることなく超音波観察を行うことができる。
【0046】なお、上述の実施形態においては超音波プローブを超音波内視鏡として説明したが超音波プローブは超音波内視鏡に限定されるものではない。
【0047】尚、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【0048】[付記]以上詳述したような本発明の上記実施形態によれば、以下の如き構成を得ることができる。
【0049】(1)超音波振動子と、この超音波振動子に対向して前記超音波振動子から出射される超音波を反射させるミラーと、前記超音波振動子及びミラーを保持するハウジングと、このハウジングへ駆動力を伝達する第1のシャフトと、前記ミラーへ駆動力を伝達する第2のシャフトとを備える超音波プローブであって、前記ミラーは前記超音波振動子に対向し、この対向軸を中心に回転する一方、前記ハウジングは前記ミラーの回転軸に対して略垂直な軸を中心にして回転し、前記一方のシャフトの内孔内に他方のシャフトが挿通している超音波プローブ。
【0050】(2)前記第1シャフトの内孔内に前記第2シャフトが挿通している付記1記載の超音波プローブ。
【0051】(3)前記第2シャフトの内孔内に前記第1シャフトが挿通している付記1記載の超音波プローブ。
【0052】(4)前記第2シャフトからミラーへの駆動力の伝達をベベルギアを介して行う付記1記載の超音波プローブ。
【0053】(5)前記第1シャフト及び前記第2シャフトを駆動する駆動部をそれぞれのシャフトに設けた付記1記載の超音波プローブ。
【0054】(6)前記第1シャフト及び前記第2シャフトを駆動する駆動部を1つだけ設け、この駆動部によって第2シャフト又は第1及び第2シャフトの両方を駆動させる付記1記載の超音波プローブ。
【0055】(7)前記第1シャフト及び前記第2シャフトの少なくとも一部がフレキシブルシャフトである付記1記載の超音波プローブ。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、1つの超音波振動子でラジアル走査とセクタ走査とを行える小型で構造の簡単な超音波プローブを提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス光学工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)11月10日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
【公開番号】 特開平11−137556
【公開日】 平成11年(1999)5月25日
【出願番号】 特願平9−307496