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【発明の名称】 赤外線体温計
【発明者】 【氏名】山口 慶二

【要約】 【課題】体温の測定時間のバラツキを軽減し得る赤外線体温計を提供する。

【解決手段】赤外線体温計(体温計)は、赤外線センサー101、制御手段31、第1アンプ33、第2アンプ34、切り替えスイッチ35、積分回路36、比較器37、温度センサー107、基準抵抗38、切り替えスイッチ39、中継回路41、表示部5およびブザー42を有している。そして、環境温度が低いほど、すなわち体温と環境温度との温度差が大きいほど、TP´信号の検出時間が短く、かつ、環境温度が低いほど、Fth信号の検出時間が長くなるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 環境温度を検出する温度センサーと、測定部位から発せられる赤外線の強度を検出する赤外線センサーとを有し、前記温度センサーおよび前記赤外線センサーからの信号に基づいて体温を測定する赤外線体温計において、前記温度センサーからの信号の検出時間および前記赤外線センサーからの信号の検出時間は、それぞれ、温度依存性を有し、それらの長短関係が逆になるよう構成されていることを特徴とする赤外線体温計。
【請求項2】 環境温度を検出する温度センサーと、測定部位から発せられる赤外線の強度を検出する赤外線センサーとを有し、前記温度センサーおよび前記赤外線センサーからの信号に基づいて体温を測定する赤外線体温計において、前記環境温度が低いほど前記温度センサーからの信号の検出時間が長く、かつ、前記測定部位の温度と前記環境温度との温度差が大きいほど前記赤外線センサーからの信号の検出時間が短くなるよう構成されていることを特徴とする赤外線体温計。
【請求項3】 前記赤外線センサーからの信号のレベルを時間に変換する変換手段を有し、その時間情報を利用して体温を求めるよう構成されている請求項1または2に記載の赤外線体温計。
【請求項4】 前記変換手段は、積分回路を有している請求項3に記載の赤外線体温計。
【請求項5】 前記温度センサーを含む発振回路を有し、前記発振回路から出力される信号の周期の整数倍の時間を計測し、その時間情報を利用して体温を求めるよう構成されている請求項1ないし4のいずれかに記載の赤外線体温計。
【請求項6】 前記温度センサーからの信号の検出時間と、前記赤外線センサーからの信号の検出時間との合計時間が、可及的に一定になるよう構成されている請求項1ないし5のいずれかに記載の赤外線体温計。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、赤外線体温計に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、赤外線の技術が進歩する中で、赤外線体温計が多く使用されるようになっている。
【0003】赤外線体温計では、測定部位から発生する赤外線の強度を赤外線センサーで検出するとともに、環境温度を温度センサーで検出し、これら赤外線センサー出力および温度センサー出力とから短時間で体温を求める。このため、従来より使用されている一般的な体温計と比較すると測定時間が極めて短い(例えば、1〜2秒程度)という大きな利点があり、例えば、落ち着きのない幼児や子供の体温を測定する場合には極めて有用である。
【0004】しかしながら、赤外線センサーからの信号の検出時間と温度センサーからの信号の検出時間の少なくとも一方が温度依存性を有する場合、特に、異なる環境温度により、体温の測定時間にバラツキが生じるという欠点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、体温の測定時間のバラツキを軽減し得る赤外線体温計を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記(1)〜(6)の本発明により達成される。
【0007】(1) 環境温度を検出する温度センサーと、測定部位から発せられる赤外線の強度を検出する赤外線センサーとを有し、前記温度センサーおよび前記赤外線センサーからの信号に基づいて体温を測定する赤外線体温計において、前記温度センサーからの信号の検出時間および前記赤外線センサーからの信号の検出時間は、それぞれ、温度依存性を有し、それらの長短関係が逆になるよう構成されていることを特徴とする赤外線体温計。
【0008】(2) 環境温度を検出する温度センサーと、測定部位から発せられる赤外線の強度を検出する赤外線センサーとを有し、前記温度センサーおよび前記赤外線センサーからの信号に基づいて体温を測定する赤外線体温計において、前記環境温度が低いほど前記温度センサーからの信号の検出時間が長く、かつ、前記測定部位の温度と前記環境温度との温度差が大きいほど前記赤外線センサーからの信号の検出時間が短くなるよう構成されていることを特徴とする赤外線体温計。
【0009】(3) 前記赤外線センサーからの信号のレベルを時間に変換する変換手段を有し、その時間情報を利用して体温を求めるよう構成されている上記(1)または(2)に記載の赤外線体温計。
【0010】(4) 前記変換手段は、積分回路を有している上記(3)に記載の赤外線体温計。
【0011】(5) 前記温度センサーを含む発振回路を有し、前記発振回路から出力される信号の周期の整数倍の時間を計測し、その時間情報を利用して体温を求めるよう構成されている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の赤外線体温計。
【0012】(6) 前記温度センサーからの信号の検出時間と、前記赤外線センサーからの信号の検出時間との合計時間が、可及的に一定になるよう構成されている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の赤外線体温計。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の赤外線体温計を添付図面に示す好適実施例に基づいて詳細に説明する。
【0014】図1および図2は、それぞれ、本発明の赤外線体温計(以下、単に「体温計」と言う)の正面図および側面図、図3は、本発明の体温計においてプローブにプローブカバーを装着した状態を示す図1中のA−A線断面図、図4は、本発明の体温計の内部構造を模式的に示す断面側面図、図5は、検温部の構造を示す斜視図、図6は、本発明の体温計の回路構成例を示すブロック図である。なお、説明の都合上、図1、図2の上側を「上部」、下側を「下部」、図3、図4の上側を「先端」、下側を「基端」と言う。
【0015】図1〜図4に示すように、本発明の体温計1は、耳内(鼓膜)から発せられる赤外線の強度を測定することにより体温を検出する耳式体温計であり、ケーシング21を有する体温計本体2と、体温計本体2の正面に設置された電源スイッチ3および表示部5と、体温計本体2の背面上部に設置された測定スイッチ4とを有している。
【0016】プローブ6は、体温計本体2の上部正面側に、体温計本体2に対し着脱自在に設置されている。図3に示すように、支持台7は、大径部71と、その先端側の小径部72とを有し、大径部71および小径部72の外周には、それぞれ、雄螺子73、74が形成されている。
【0017】一方、管状のプローブ6の基端には、大径部71の先端面に当接する基部61を有するとともに、プローブ6の基端側内面には、前記雄螺子74と螺合する雌螺子62が形成されている。これらの雄螺子74と雌螺子62を螺合することにより、プローブ6が支持台7に支持、固定される。
【0018】また、プローブ6は、その外径が先端に向かって漸減する形状をなしており、プローブ6の先端外周部(縁部)63は、耳腔内へ挿入したときの安全性を考慮して、丸みを帯びた形状をなしている。
【0019】支持台7の中心部には、その先端から導入された赤外線(熱線)を検温部10の赤外線センサー101へ導くライトガイド(導波管)8が立設されている。ライトガイド8は、好ましくは熱伝導性の良い銅などの金属で構成され、その内面には、金メッキが施されている。
【0020】また、ライトガイド8には、その先端開口を覆うように保護シート81が被覆されている。これにより、ライトガイド8の内部にゴミ、塵等が侵入することが防止される。なお、保護シート81は、赤外線透過性を有するものであり、その構成材料としては、後述するプローブカバー11と同様の樹脂材料が挙げられる。
【0021】支持台7の大径部71には、リングナット9が螺合される。すなわち、リングナット9の基端側内面には、雌螺子91が形成され、この雌螺子91が大径部71の雄螺子73と螺合することにより、リングナット9が支持台7に支持、固定される。
【0022】このリングナット9は、雌螺子91の先端付近からその外径が先端方向へ向かって漸減するテーパ部92を有し、テーパ部92の内面には、プローブカバー11の胴部12に係合する係合部93が形成されている。
【0023】プローブ6にプローブカバー11を被せ、リングナット9を装着し、所定方向に回転操作して螺合すると、プローブカバー11の胴部12がプローブ6の傾斜部64とリングナット9の係合部93とで挟持され、プローブカバー11がプローブ6に対し確実に固定される。
【0024】なお、本実施例のプローブカバー11の開口端(基端)の周囲にフランジ取り付け基部等を設け、このフランジ等をプローブ6とリングナット9の間で挟持してプローブカバー11を固定することもできる。
【0025】従って、体温測定中等に、プローブカバー11がプローブ6に対しズレを生じたり、容易に離脱することが防止される。また、プローブカバー11をプローブ6から取り外すには、リングナット9を相当の力で回転操作して大径部71との螺合を解除しなければならないので、乳幼児が誤ってプローブカバー11を取り外し、口に入れる等の不都合も防止される。
【0026】リングナット9の先端面94は、ほぼ平坦な面を構成している。プローブ6を耳腔に挿入したとき、この先端面94は、耳腔入口付近に当接し、プローブ6の耳腔への挿入深さを一定の深さに規制する。このため、常に適正条件での測定が可能となり、耳腔への挿入深さの変動による測定誤差を防止することができるとともに、プローブ6の耳腔内に深く入り過ぎて耳の奥部を傷つけるといった不都合も生じない。
【0027】また、リングナット9のテーパ部92の外周面には、リングナット9を締めつける方向または弛める方向に回転操作する際の滑り止め効果を発揮する複数の溝(滑り止め手段)95が円周方向に所定間隔をおいて形成されている。なお、溝95のような凹部に限らず、凸部であっても同様の機能を発揮することができる。また、ゴムのような高摩擦材料を配してもよい。
【0028】プローブカバー11は、基端が開放し、先端が閉じた形状をなしている。このプローブカバー11は、外径および内径が先端へ向かって漸減する筒状の胴部12と、胴部12の先端部に形成された赤外線を透過し得る膜14と、膜14の外周部に形成され、該膜14より先端側に突出するリング状のリップ部15とで構成されている。
【0029】そして、胴部12、膜14およびリップ部15は、好ましくは樹脂材料により一体的に形成されている。この樹脂材料としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル等が挙げられる。
【0030】このプローブカバー11では、リップ部15が存在することにより、膜14がプローブカバー11の先端から所定距離だけ基端側へ下がった状態となる。これにより、プローブ6にプローブカバー11を装着し、耳腔内に挿入したとき、膜14が耳腔の内面やその周辺部に触れることや、プローブカバー11のプローブ6への着脱操作時等に指等が触れることが防止され、膜14の表面を清浄に保つことができるので、より高い測定精度を維持することができる。
【0031】このリップ部15は、その内側がプローブ6の先端部に嵌合する形状をなしている。すなわち、図3に示すように、プローブ6にプローブカバー11を装着した状態では、リップ部15がプローブ6の先端外周部63に嵌合する。これにより、耳腔内への挿入時(測定時)等に、プローブカバー11の先端部がプローブ6に対しズレを生じることが防止されるとともに、膜14が一定の張力で張られ、膜14にしわやたるみが生じることが防止されるので、測定精度の向上に寄与する。
【0032】また、リップ部15の先端は、丸みを帯びた形状をなしている。これにより、耳腔内への挿入に際し、痛みを感じたり、耳腔内壁を傷つけたりすることがなく、高い安全性が確保される。
【0033】図4に示すように、ケーシング21内には、回路基板30が設置されており、図4および図6に示すように、この回路基板30には、検温部10、マイクロコンピュータよりなる制御手段31、増幅手段32、切り替えスイッチ35、積分回路36、比較器37、基準抵抗38、切り替えスイッチ39、中継回路41およびブザー42が搭載されている。また、ケーシング21内には、バッテリーを収納する電源部40が設置され、この電源部40より、回路基板30の各部へ電力が供給される。
【0034】検温部10は、赤外線センサー101と、温度センサー107とで構成されている。
【0035】制御手段31は、演算部311、メモリー(RAM、ROM、EEPROM)312、タイマー(オートパワーオフタイマーを含む)313およびカウンター314を内蔵している。
【0036】この制御手段31は、無駄な電力消費を抑制するために、オートパワーオフタイマーを備えている。
【0037】このオートパワーオフタイマーは、電源スイッチ3をオンの状態で放置した場合、タイマーをスタートさせてから所定時間(例えば60秒)後に、自動的に電源をオフにするものである。オートパワーオフタイマーをスタートさせてから所定時間以内に、電源スイッチ3がオフされた場合でも、所定時間経過するまでは、タイマーは、そのカウント動作(時間計測)を継続する。
【0038】図5に示すように、赤外線センサー101は、サーモパイル(熱電対列)102を備えている。そして、熱絶縁帯105を介して中心側に位置する集熱部106にサーモパイル102の温接点103が、熱絶縁帯105の外周側に冷接点104がそれぞれ設置された構成をなしている。
【0039】また、赤外線センサー101の近傍には、温度センサー107が設置されている。この温度センサー107は、赤外線センサー101の熱絶縁帯105より外周側の温度、すなわち冷接点104の温度を検出するとともに、雰囲気の温度(環境温度)を検出する。温度センサー107としては、抵抗体で温度を測定するセンサーを用いる。抵抗体で温度を測定するセンサーとしては、例えば、サーミスタを用いることができる。
【0040】このような検温部10では、赤外線センサー101および温度センサー107により、それぞれ赤外線照射により暖められた温接点103と赤外線が照射されない冷接点104との温度差に相当する信号と、冷接点104の近くの温度(環境温度)に相当する信号とを検出し、これらの関数により体温を測定することができる。
【0041】次に、体温計1の使用方法、回路構成および作用について説明する。体温計本体2の支持台7の小径部72に前述したようにしてプローブ6を螺合、装着し、さらに、該プローブ6にプローブカバー11を被せる。次いで、その上から、リングナット9を挿通し、支持台7の大径部71に螺合する。これにより、プローブカバー11の胴部12がプローブ6の傾斜部64とリングナット9の係合部93とで挟持され、プローブカバー11がプローブ6に対し固定される。これにより、プローブカバー11の装着が完了する。
【0042】次に、電源スイッチ3をONの状態とし、所定時間経過後、体温計本体2を把持し、プローブカバー11で被包されたプローブ6を耳腔内に挿入する。
【0043】次に、測定スイッチ4を所定時間押圧する。これにより、体温の測定がなされる。すなわち、耳内(鼓膜)から放射された赤外線(熱線)は、膜14および保護シート81を順次透過し、ライトガイド8内に導入され、その内面で反射を繰り返して検温部10の赤外線センサー101に到達し、集熱部106に照射される。
【0044】図6に示すように、赤外線センサー101からは、正出力端子である温接点103からの出力信号(TP信号)と負出力端子である冷接点104からの出力信号(VREF信号)が得られる。
【0045】赤外線センサー101の冷接点104からのVREF信号のレベル(電圧)は、環境温度によらず、一定(固定)である。
【0046】増幅手段32は、第1アンプ33と、この第1アンプ33の出力側に接続された第2アンプ34とで構成されている。なお、これら第1アンプ33および第2アンプ34は、それぞれ差動アンプである。
【0047】赤外線センサー101から出力されたTP信号は、第1アンプ33で増幅され、第2アンプ34に入力される。なお、第1アンプ33では、必要に応じて、TP信号、VREF信号に含まれる不要な周波数帯域成分が除去される。
【0048】また、赤外線センサー101から出力されたVREF信号は、第1アンプ33と、第2アンプ34に入力される。なお、第2アンプ34でも、必要に応じて、後述するTP″信号、VREF信号に含まれる不要な周波数帯域成分が除去される。
【0049】第1アンプ33では、TP信号とVREF信号との差分が増幅され、VREF信号が加算された信号、TP″信号が得られる。さらに、第2アンプ34で、TP″信号とVREF信号との差分が増幅され、VREF信号が加算されてTP´信号として出力される。このTP´信号のレベルは、温接点103と冷接点104との温度差に対応する。そして、特定されない限り、赤外線センサーからの信号とは、TP´信号を意味する。
【0050】切り替えスイッチ35がTP´信号側に切り替わると、TP´信号が比較器37に入力され、切り替えスイッチ35がVREF信号側に切り替わると、第1アンプ33からのVREF信号が比較器37に入力される。この切り替えスイッチ35の駆動は、制御手段31により制御される。
【0051】第1アンプ33からのVREF信号は、前記TP´信号を規格化する赤外線検出規格化信号にもなっている。このVREF信号でTP´信号を規格化(厳密には、後述するTvrefでTtpを規格化)することにより、例えば、回路の浮遊容量や、チップ部品のバラツキによる影響を軽減(キャンセル)することができ、これにより測定精度が向上する。なお、冷接点104および第1アンプ33により、赤外線検出規格化信号生成手段が構成される。
【0052】積分回路36には、一定(固定)レベルの基準電圧が印加されている。積分回路36では、この基準電圧に基づいて、基準信号が生成され、その基準信号は、比較器37に入力される。なお、基準電圧は、TP´信号のレベルおよびVREF信号のレベルに比べ十分大きく設定されている。
【0053】TP´信号を検出する場合には、制御手段31からの制御信号により、切り替えスイッチ35がTP´信号側に切り替わる。そして、制御手段31から積分回路36に、STC信号(サンプリングスタート信号)が送信される。
【0054】図7に示すように、積分回路36では、STC信号を受信すると、基準信号のレベルを基準電圧から一定の勾配(傾き)で減少(降下)させる。
【0055】図6に示すように、比較器37では、基準信号のレベルとTP´信号のレベルとを比較し、基準信号のレベルがTP´信号のレベルに一致すると、制御手段31にEOC信号(サンプリング終了信号)を送信するとともに、積分回路36にトリガ信号を送信する。
【0056】図7に示すように、積分回路36では、トリガ信号を受信すると、基準信号のレベルを瞬時に元のレベル、すなわち基準電圧に復帰させる。
【0057】制御手段31では、タイマー313により、STC信号を送信してからEOC信号を受信するまでの時間(Ttp)を計測する。この時間情報、すなわちTtpは、メモリー312に記憶される。
【0058】TP´信号のレベルは、温接点103と冷接点104との温度差に応じて変化し、Ttpもそれに応じて変化する。この場合、温接点103と冷接点104との温度差が大きいほど、TP´信号のレベルが大きく、Ttpは短い(小さい)。
【0059】なお、積分回路36および比較器37により、TP´信号のレベルや後述するVREF信号のレベルを時間に変換する変換手段が構成される。
【0060】図6に示すように、VREF信号を検出する場合(赤外線検出規格化信号生成手段からの信号を検出する場合)には、制御手段31からの制御信号により、切り替えスイッチ35がVREF信号側に切り替わる。そして、制御手段31から積分回路36に、STC信号が送信される。
【0061】図7に示すように、積分回路36では、STC信号を受信すると、基準信号のレベルを基準電圧から一定の勾配で減少させる。
【0062】図6に示すように、比較器37では、基準信号のレベルとVREF信号のレベルとを比較し、基準信号のレベルがVREF信号のレベルに一致すると、制御手段31にEOC信号を送信するとともに、積分回路36にトリガ信号を送信する。
【0063】図7に示すように、積分回路36では、トリガ信号を受信すると、基準信号のレベルを瞬時に元のレベル、すなわち基準電圧に復帰させる。
【0064】制御手段31では、タイマー313により、STC信号を送信してからEOC信号を受信するまでの時間(Tvref)を計測する。この時間情報、すなわちTvrefは、メモリー312に記憶される。
【0065】図6に示すように、中継回路41は、図示しないコンデンサー等を有し、発振回路(CR発振回路)の一部を構成する。
【0066】切り替えスイッチ39が温度センサー107側に切り替わると、中継回路41と温度センサー107とで発振回路が構成され、切り替えスイッチ39が基準抵抗38側に切り替わると、中継回路41と基準抵抗38とで発振回路が構成される。この切り替えスイッチ39の駆動は、制御手段31により制御される。
【0067】温度センサー107の抵抗値THは、環境温度に応じて変化するが、基準抵抗38の抵抗値RHは、環境温度によらず、一定(固定)である。
【0068】温度センサー107の抵抗値THを検出する場合(温度センサー107からの信号を検出する場合)には、制御手段31からの制御信号により、切り替えスイッチ39が温度センサー107側に切り替わる。
【0069】これにより、中継回路41と温度センサー107とで発振回路が構成され、この発振回路により発振が生じる。そのときの信号(発振信号)、すなわち、Fth信号は、中継回路41から出力され、制御手段31に入力される。
【0070】図8に示すように、制御手段31では、カウンター314により、入力されたFth信号のパルス数を計数し、タイマー313により、前記カウンター314が所定数(例えば、256) のパルスを計数するに要する時間(Tth)、すなわちFth信号の周期(波長)の整数倍(例えば、256倍)の時間(Tth)を計測する。この時間情報、すなわちTthは、メモリー312に記憶される。
【0071】温度センサー107の抵抗値THは、環境温度に応じて変化し、Tthもそれに応じて変化する。この場合、環境温度が低いほど、温度センサー107の抵抗値THは大きくなる。そして、CR発振回路では、発振信号の周期(波長)は、抵抗値に比例するので、環境温度が低いほど、Fth信号の周期が長く、Tthは長い(大きい)。
【0072】図6に示すように、基準抵抗38の抵抗値RHを検出する場合(温度検出規格化信号を検出する場合)には、制御手段31からの制御信号により、切り替えスイッチ39が基準抵抗38側に切り替わる。
【0073】これにより、中継回路41と基準抵抗38とで発振回路が構成され、この発振回路により発振が生じる。そのときの信号(発振信号)、すなわち、Frh信号は、中継回路41から出力され、制御手段31に入力される。
【0074】このFrh信号は、前記Fth信号を規格化する温度検出規格化信号である。このFrh信号でFth信号を規格化(厳密には、後述するTrhでTthを規格化)することにより、例えば、回路の浮遊容量や、チップ部品のバラツキによる影響を軽減(キャンセル)することができ、これにより測定精度が向上する。なお、基準抵抗38および中継回路41により、温度検出規格化信号生成手段が構成される。
【0075】図8に示すように、制御手段31では、カウンター314により、入力されたFrh信号のパルス数を計数し、タイマー313により、前記カウンター314が所定数(例えば、256) のパルスを計数するに要する時間(Trh)、すなわちFrh信号の周期(波長)の整数倍(例えば、256倍)の時間(Trh)を計測する。この時間情報、すなわちTrhは、メモリー312に記憶される。
【0076】基準抵抗38の抵抗値RHは、環境温度によらず一定であるので、Frh信号の周期は一定であり、よって、Trhは一定である。
【0077】制御手段31の演算部311では、メモリー312からTtp、Tvref、TthおよびTrhを読み出し、TtpをTvrefで規格化し、TthをTrhで規格化する。すなわち、Ttp/TvrefおよびTth/Trhをそれぞれ求める。
【0078】そして、これらTtp/TvrefおよびTth/Trhに基づいて、所定の演算処理を行い、また、必要に応じて所定の温度補正を行って、測定部位(熱源)の温度、すなわち、体温を求める。
【0079】求められた体温は、表示部5に表示される。また、体温の測定が終了すると、それを報知するためにブザー42が鳴る。このブザー42の報知により、操作者は、プローブ6を耳腔から抜き取る。
【0080】この体温計1では、体温の測定において、前述したTP´信号の検出(赤外線センサー101からの信号の検出)、すなわちTtpの計測(測定)と、VREF信号の検出、すなわちTvrefの計測と、Fth信号の検出(温度センサー107からの信号の検出)、すなわちTthの計測と、Frh信号の検出、すなわちTrhの計測とを所定の順序で行う(時分割して行う)。
【0081】この場合、TP´信号、VREF信号、Fth信号およびFrh信号の検出時間は、それぞれ、Ttp、Tvref、TthおよびTrhと相関(実質的に一致)しているので、前述したように、この体温計1では、温接点103と冷接点104との温度差が大きいほど、TP´信号の検出時間が短く、環境温度が低いほど、Fth信号信号の検出時間が長い。なお、VREF信号の検出時間およびFrh信号の検出時間は、それぞれ、環境温度や、温接点103と冷接点104との温度差によらず、一定である。
【0082】ここで、測定部位の温度(体温)は、変動しても37±2℃程度であるが、環境温度は、例えば、0〜35℃程度の範囲で変動する。このためTP´信号の検出時間のバラツキの原因の多くは、体温より環境温度のバラツキによるものである。
【0083】また、体温は、37±2℃程度であり、環境温度は、0〜35℃程度であるので、環境温度が低いほど、体温と環境温度との温度差が大きく、よって、温接点103と冷接点104との温度差が大きい。
【0084】上記の関係を図9に示す。なお、図9に示すグラフは、体温計1における体温の測定の際のTP´信号およびFth信号の検出時間と、環境温度と、体温と環境温度との温度差との関係を模式的に示す。
【0085】図9に示すように、この体温計1では、環境温度が低いほど、すなわち体温と環境温度との温度差が大きいほど(温接点103と冷接点104との温度差が大きいほど)、TP´信号の検出時間が短い。そして、環境温度が低いほど、Fth信号の検出時間が長い。
【0086】すなわち、この体温計1は、TP´信号検出時間の温度変化による特性と、Fth信号検出時間の温度変化による特性とが逆になるよう構成されている。換言すれば、TP´信号の検出時間が短いほど、Fth信号の検出時間が長い(長短関係が逆になっている)。
【0087】よって、TP´信号の検出時間とFth信号の検出時間との合計時間は、一定に近づく。
【0088】この場合、TP´信号の検出時間とFth信号の検出時間との合計時間が、可及的に一定になるように、各回路定数等の諸条件を設定するのが好ましい。
【0089】以上説明したように、この体温計1によれば、環境温度の変動による体温の測定時間の変動を少なくすることができる。これにより、誤操作が防止される。
【0090】この体温計1は、さらに、下記の利点を有する。Fth信号やFrh信号の検出には、図11に示すように、一定時間内、すなわちゲート信号51の立ち上がり52から立ち下がり53までの期間(計数期間)に入力されたパルス数を計数し、このパルス数を利用する方式(検出時間=一定)もあるが、この方式では、例えば、わずかに周期の異なる信号Aと信号Bについて、それぞれ、パルス数が4となり、4周期でΔtの誤差が生じる。この誤差の影響を軽減するには、ゲート信号51の幅、すなわち計数期間を長くすればよいが、計数期間を長くすると、体温の測定時間が増大してしまう。
【0091】これに対し、体温計1では、前述したように、入力されたパルス数を計数し、所定数のパルスを計数するに要する時間を計測するので、測定時間を増大することなく、正確にTthおよびTrhを計測することができる。すなわち、測定時間を増大することなく、体温の測定精度を向上することができる。
【0092】以上、本発明の体温計を添付図面に示す実施例に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。
【0093】例えば、本発明では、図10に示すように、環境温度が低いほど、すなわち測定部位の温度(体温)と環境温度との温度差が大きいほど(温接点103と冷接点104との温度差が大きいほど)、TP´信号(赤外線センサーからの信号)の検出時間が長く、かつ、環境温度が低いほど、Fth信号(温度センサーからの信号)の検出時間が短くなるように構成されていてもよい。
【0094】この場合も前述した体温計1と同様に、TP´信号の検出時間とFth信号の検出時間との合計時間は、一定に近づき、環境温度の変動による体温の測定時間の変動を少なくすることができる。
【0095】また、前記実施例は、耳式体温計であるが、本発明は、測定部位から発せられる赤外線の強度を検出して体温を測定する体温計であれば、耳式体温計には限定されない。また、本発明は、体温計でない一般の温度計にも適用できる。
【0096】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の赤外線体温計によれば、環境温度の変動による体温の測定時間の変動を軽減することができる。これにより、誤操作が防止される。
【0097】また、発振回路から出力される信号の周期の整数倍の時間を計測し、その時間情報を利用して体温を求めるよう構成されている場合には、体温の測定時間を短くしつつ、測定精度を向上することができる。
【出願人】 【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月21日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
【公開番号】 特開平11−123179
【公開日】 平成11年(1999)5月11日
【出願番号】 特願平9−307963