| 【発明の名称】 |
経口寛容の新規測定法 |
| 【発明者】 |
【氏名】嶋田 貴志
【氏名】大橋 一智
【氏名】伊藤 健次
【氏名】山本 哲郎
|
| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】抗原を連続経口投与することで誘導される経口寛容の測定において、即時型アレルギー反応系を利用し、惹起の前に尾静脈に投与した色素が皮膚へ漏出する量を、吸光度で測定することを特徴とする経口寛容の新規測定法 |
【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は経口寛容を起こしている状態を色素を用いて容易に定量化するために、例えばBALB/cマウスを用いて、能動型皮膚アナフィラキシーをおこさせ、皮膚に漏出した色素の濃度によって容易に数値化する方法に関するものである。くわしくは、即時型アレルギー(I型アレルギー)モデルの実験系である能動型皮膚アナフィラキシーを用い、経口寛容誘導の強弱をみることにより、花粉症やアトピー性皮膚炎などの即時型アレルギーが関与しているアレルギー性疾患の減感作療法への応用や寛容を強く誘導する薬剤の開発の前臨床試験や物質のスクリーニングを行うことができる方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】消化管には、腸管免疫と呼ばれる全身性免疫と異なる機能が存在する。免疫は異物を認識し排除しようとする働きがある。粘膜部位では免疫を誘導するが全身系では、同一抗原に対し不応答となる。その仕組みを、経口寛容という。 【0003】経口寛容が誘導されていることをアレルギー反応を用いて確認する実験系では、IV型アレルギー反応を応用した、足や耳の腫れを測定する遅延型アレルギーの実験系がある。また、I型アレルギーを用いたものでは、モルモットの全身性アナフィラキシーによる一般状態の変化や致死率で測定する実験系が知られている。また、自己免疫疾患モデルである自己免疫性脳脊髄膜炎、コラーゲン関節炎の抑制などが知られている。 【0004】花粉症や気管支喘息、アトピー性皮膚炎などのI型アレルギー反応に関係する疾患に対し、実際に、減感作療法という花粉や食物抗原を皮内に注射する方法が行われている。しかし、注射を数多く行わなければならないことおよび長期間にわたる治療が必要であることに対する患者の負担は大きい。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】経口寛容誘導の確認方法として、I型アレルギーを用いる方法で使われているモルモットの全身性アナフィラキシーでは、モルモットの虚脱状態や呼吸困難などの極端な生体反応を、実験者の主観で判断しているため、客観的に数値化されたデーターとするには困難である。また、モルモットは、1匹1万円弱と高価であるため、経口寛容の指標として、経済的な方法が求められている。 【0006】 【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、皮膚の湿疹状態を指標とする能動型皮膚アナフィラキシーの実験系に着目し、BALB/c系マウスを用い、あらかじめ投与した色素の血管透過性による皮膚の着色量を数値化する方法を行った。経口寛容の状態によって、測定値が明らかに変化することから、この方法を用いることによって客観的に判断することができることを見出し、本発明を完成させた。 【0007】この方法は、簡単な技術習得でだれでもでき、設備もたいそうなものを必要としない。動物についても、安価なマウスを用いるため、モルモットより簡易に飼育でき、大きな飼育面積を必要とせず、動物単価と合わせると経済的である。 【0008】実施例では、抗原として普遍的に用いられている卵白アルブミンを使用したが、花粉や食物抗原等、様々な抗原での条件検討を行うことができる。また、経口寛容の状態が数値化されるため、薬剤と組み合わせ、新規薬剤のスクリーニング方法としても用いることができる。 【0009】経口寛容に要する日数は、通常の実験例では28日間の投与が必要である。しかし、実施例2に示すように最低でも7日間の投与で経口寛容の状態が得られるため、実験期間の短縮ができる。 【0010】 【実施例】 実施例1.抗原投与量の検討5週齢のBALB/c系雌性マウス(日本SLC)を4群に分け、それぞれを対照群、低群、中群および高群とした。低群、中群および高群には、卵白アルブミンをマウス1匹当たり1.25、5.0および20.0mgずつ実験終了日までの28日間連日経口投与を行った。対照群には生理食塩水を投与した。 【0011】実験開始14日目に卵白アルブミンを生理食塩水に溶解し、マウス1匹当たり1mg量となるよう両大腿部に投与して感作した。 【0012】実験終了日(28日目)に1%エバンスブルー(シグマ)を各マウスの尾静脈から0.06ml量投与した。その直後にエーテル麻酔下で、左右の側部に生理食塩水で600μg/mlに調整した卵白アルブンミンを0.05mlずつ皮内に投与してアレルギー反応を惹起した。 【0013】惹起30分後に二酸化炭素ガスで致死させ、背部の皮膚を剥離した。各惹起部位の色素斑を切りとり、それぞれを小さく切り刻んだ。これをアセトン:0.5%硫酸ナトリウム=7:3の割合で混合した溶液3mlに入れ、室温で24時間振盪して色素を抽出した。それを遠心分離(3000rpm、10分)して得られた上清の波長620nmの吸光度を測定した。 【0014】結果を図1に示す。漏出した色素量を吸光度であらわした対照群が0.41を示したのに対し、低、中および高群はそれぞれ0.12、0.06および0.03を示し、卵白アルブミンの投与量に依存して抑制された。 【0015】実施例2 抗原投与期間の検討5週令のBALB/c系雌マウス(日本SLC)を4群に分け、それぞれを対照群、7日群、14日群および28日群とした。7日群には、実験開始7日目から14日目までの7日間、14日群には、実験開始日から14日目までの14日間、28日群には、実験開始日から28日目までの28日間卵白アルブミンをマウス1匹当たり20mgずつ経口投与した。感作、惹起方法は実施例1に準じて行った。 【0016】結果を図2に示す。漏出した色素量を吸光度であらわした対照群が0.41を示したのに対し、7日群、14日群および28日群はそれぞれ0.07、0.05および0.03を示し、抗原の投与期間に依存して抑制が見られたが、各群間に明らかな差は認められなかった。このことより、経口寛容の誘導に要する経口投与の日数として7日でよいことが示された。 【0017】 【発明の効果】本発明による測定法を用いることにより、簡単に経口寛容の状態を数値化することができる。そして、経口寛容を誘導するための手段として、I型アレルギーの実験モデルである能動型皮膚アナフィラキシーを用いているため、花粉症やアトピー性皮膚炎といったI型アレルギーが関与するアレルギー性疾患に対して経口寛容を利用した治療法や寛容を強く誘導する薬剤の開発に利用することができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】591246849 【氏名又は名称】ニチニチ製薬株式会社
|
| 【出願日】 |
平成9年(1997)10月18日 |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開平11−113855 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)4月27日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−303515 |
|