トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 検眼機器
【発明者】 【氏名】三宅 信行

【要約】 【課題】被検眼の調節が生じていない状態で他覚測定を行うことのでき、また被検眼の調節力を自動的に測定すること等のできる検眼機器を提供する。

【解決手段】被検眼と該被検眼に視標を提示するチャート3との間に検眼レンズを配置するレンズ配置機構6と、被検眼を他覚的に測定する他覚測定器5とを備える検眼機器において、レンズ配置機構6を制御し、他覚測定器5にて測定された被検眼の第1他覚測定値に対応するレンズ度数に、所定のレンズ度数を加算した第1検眼レンズを生成する生成手段と、第1検眼レンズを介して被検眼を他覚的に測定し、被検眼の第2他覚測定値を求めるように、他覚測定器5を制御する他覚測定制御手段と、第1他覚測定値と、第2他覚測定値とに基づいて、被検眼の屈折力の変化を判別する判別手段とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】被検眼と該被検眼に視標を提示する視標提示手段との間に検眼レンズを配置するレンズ配置手段と、前記被検眼を他覚的に測定する他覚測定手段とを備える検眼機器において、前記レンズ配置手段を制御し、前記他覚測定手段にて測定された前記被検眼の第1他覚測定値に対応するレンズ度数に、所定のレンズ度数を加算した第1検眼レンズを生成する生成手段と、前記第1検眼レンズを介して前記被検眼を他覚的に測定し、前記被検眼の第2他覚測定値を求めるように前記他覚測定手段を制御する他覚測定制御手段と、前記第1他覚測定値と、前記第2他覚測定値とに基づいて、前記被検眼の屈折力の変化を判別する判別手段と、を備えたことを特徴とする検眼機器。
【請求項2】前記生成手段は、前記判別手段で屈折力の変化があると判別された時、前記第2検眼レンズのレンズ度数に、さらに所定のレンズ度数を加算することを特徴とする請求項1に記載の検眼機器。
【請求項3】前記判別手段は、前記第2他覚測定値から前記所定のレンズ度数を減算して正視状態か否かを判別することを特徴とする請求項1に記載の検眼機器。
【請求項4】被検眼と該被検眼に視標を提示する視標提示手段との間に検眼レンズを配置するレンズ配置手段と、前記被検眼を他覚的に測定する他覚測定手段とを備える検眼機器において、前記レンズ配置手段を制御し、前記他覚測定手段にて測定された前記被検眼の第1他覚測定値に対応するレンズ度数から、所定のレンズ度数を減算した第1検眼レンズを生成する生成手段と、前記第1検眼レンズを介して前記被検眼を他覚的に測定し、前記被検眼の第2他覚測定値を求めるように、前記他覚測定手段を制御する他覚制御手段と、前記第1他覚測定値と、前記第2他覚測定値とに基づいて、前記被検眼の調節力の有無を判別する判別手段と、を備えたことを特徴とする検眼機器。
【請求項5】前記判別手段は、前記第1他覚測定値と前記第2他覚測定値との差分を算出し、前記差分が前記所定のレンズ度数と等しいか否かに基づいて、前記調節力の有無を判別することを特徴とする請求項4に記載の検眼機器。
【請求項6】被検眼と該被検眼に視標を提示する視標提示手段の間に検眼レンズを配置し、被検眼の屈折力を自覚的に測定する自覚測定手段と、被検眼の屈折力を他覚的に測定する他覚測定手段とを備えてなる検眼機器において、前記自覚測定手段と前記他覚測定手段とを制御し、前記検眼レンズを介して前記被検眼の屈折力を自覚的に測定している時、前記検眼レンズを介して前記被検眼の屈折力を他覚的に測定し、第1他覚測定値を求める第1制御手段と、前記自覚測定手段を制御し、前記検眼レンズのレンズ度数を変更する度数変更手段と、前記他覚測定手段を制御し、変更されたレンズ度数の前記検眼レンズを介して前記被検眼の屈折力を他覚的に測定し、第2の他覚測定値を求める第2制御手段と、前記第1の他覚測定値と前記第2の他覚測定値とから、前記被検眼の屈折力の変化の有無を判別する判別手段とを有する検眼機器。
【請求項7】前記判別手段が前記被検眼の屈折力の変化が有ると判別した時、前記被検眼に調節が生じた旨の信号を出力する警報出力手段を備えたことを特徴とする請求項6に記載の検眼機器。
【請求項8】前記判別手段から調節が生じた旨の信号が出力された場合、前記第1他覚測定値と前記第2他覚測定値との差分を算出し、前記差分に対応するレンズ度数を加算した検眼レンズを生成するように、前記レンズ配置手段を制御する生成手段を備えることを特徴とする請求項6又は7に記載の検眼機器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被検眼の屈折力等を測定する検眼機器に関する。
【0002】
【従来の技術】被検眼の屈折力を測定する場合、まず他覚検眼機器によって被検眼の屈折力を他覚的に求め、次に、この結果を参考にして自覚検眼機器による検眼を自覚的に行って、レンズ度数を決定する方法が一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、他覚測定は他覚検眼機器内部の視表を用いて行われるために被検眼の視角が狭いこと、他覚検眼機器に対する被検眼のアライメント状態を適切に保つために被検者の顔が他覚検眼機器の顎受けや額当てに固定されており被検者に圧迫感を与えること等から、自覚測定に比べて被検眼の調節が生じ易かった。その結果、他覚測定の測定結果の信頼性が低下し、その測定結果が自覚測定の参考にならない場合が生じ、他覚測定を終えてから自覚測定に移る場合、被検眼の屈折力を初めから測定し直す必要がある等、自覚測定に余分な時間がかかってしまうという不具合が生じていた。このことから、被検眼の調節が生じていない状態で他覚測定を行うことのできる検眼機器が要望されていた。
【0004】また他覚測定を終えて自覚測定に移行する際、視表の切替が面倒であるという問題があった。すなわち、他覚測定において被検眼に視表を提示し、この視表を見ている状態の被検眼の屈折力を測定した後、この屈折力に応じた度数の検眼レンズを用いて自覚測定を開始する場合、他覚測定で用いた視表と同じ視表は被検眼にとって既に見ることの出来る視表であるため、検者が視表を1段階小さい形状の視表に切替えることが多かった。したがって、他覚測定から自覚測定に移行する際、視表切替の手間が省略できる検眼機器が要望されていた。
【0005】また、被検眼にどの程度の調節力があるのかを知りたい場合があるが、従来、被検眼の調節力を測定するためには、被検眼の眼前に検眼レンズを配置し、被検者に視表の見え方を訪ね、その結果に応じて検眼レンズの度数を変えていた。したがって、検眼レンズの交換や被検者への質問に手間や時間を要しており、自動的に被検眼の調節力を測定することのできる検眼機器が要望されていた。
【0006】また自覚測定においても被検者の緊張等によって被検眼に調節が生じる場合があるが、調節が生じているか否かは検者にとって分かりづらく、調節が生じた状態で自覚測定を終えてしまい、正確な自覚測定を行えない場合があった。このことから、自覚測定中に被検眼に調節が生じているか否かを監視することのできる検眼機器が要望されていた。
【0007】このような従来の検眼機器における問題点に鑑みて本発明は、被検眼の調節が生じていない状態で他覚測定を行うことのでき、他覚測定から自覚測定に移行する際の視表の切替えの手間が省略でき、自動的に被検眼の調節力を測定でき、あるいは自覚測定中に被検眼に調節が生じているか否かを監視することのできる検眼機器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような従来の検眼機器の問題点を解決するために請求項1記載の本発明は、被検眼と該被検眼に視標を提示する視標提示手段との間に検眼レンズを配置するレンズ配置手段と、前記被検眼を他覚的に測定する他覚測定手段とを備える検眼機器において、前記レンズ配置手段を制御し、前記他覚測定手段にて測定された前記被検眼の第1他覚測定値に対応するレンズ度数に、所定のレンズ度数を加算した第1検眼レンズを生成する生成手段と、前記第1検眼レンズを介して前記被検眼を他覚的に測定し、前記被検眼の第2他覚測定値を求めるように、前記他覚測定手段を制御する他覚測定制御手段と、前記第1他覚測定値と、前記第2他覚測定値とに基づいて、前記被検眼の屈折力の変化を判別する判別手段とを備えたことを特徴として構成されている。
【0009】また請求項2記載の本発明は、請求項1記載の本発明において、前記生成手段は、前記判別手段で屈折力の変化があると判別された時、前記第2検眼レンズのレンズ度数に、さらに所定のレンズ度数を加算することを特徴として構成されている。
【0010】また請求項3記載の本発明は、請求項1記載の本発明において、前記判別手段は、前記第2他覚測定値から前記所定のレンズ度数を減算して正視状態か否かを判別することを特徴として構成されている。
【0011】また請求項4記載の本発明は、被検眼と該被検眼に視標を提示する視標提示手段との間に検眼レンズを配置するレンズ配置手段と、前記被検眼を他覚的に測定する他覚測定手段とを備える検眼機器において、前記レンズ配置手段を制御し、前記他覚測定手段にて測定された前記被検眼の第1他覚測定値に対応するレンズ度数から、所定のレンズ度数を減算した第1検眼レンズを生成する生成手段と、前記第1検眼レンズを介して前記被検眼を他覚的に測定し、前記被検眼の第2他覚測定値を求めるように、前記他覚測定手段を制御する他覚制御手段と、前記第1他覚測定値と、前記第2他覚測定値とに基づいて、前記被検眼の調節力の有無を判別する判別手段とを備えたことを特徴として構成されている。
【0012】また請求項5記載の本発明は、請求項4記載の本発明において、前記判別手段は、前記第1他覚測定値と前記第2他覚測定値との差分を算出し、前記差分が前記所定のレンズ度数と等しいか否かに基づいて、前記調節力の有無を判別することを特徴として構成されている。
【0013】また請求項6記載の本発明は、被検眼と該被検眼に視標を提示する視標提示手段との間に検眼レンズを配置し、被検眼の屈折力を自覚的に測定する自覚測定手段と、被検眼の屈折力を他覚的に測定する他覚測定手段とを備える検眼機器において、前記自覚測定手段と前記他覚測定手段とを制御し、前記検眼レンズを介して前記被検眼の屈折力を自覚的に測定している時、前記検眼レンズを介して前記被検眼の屈折力を他覚的に測定し、第1他覚測定値を求める第1制御手段と、前記自覚測定手段を制御し、前記検眼レンズのレンズ度数を変更する度数変更手段と、前記他覚測定手段を制御し、変更されたレンズ度数の前記検眼レンズを介して前記被検眼の屈折力を他覚的に測定し、第2の他覚測定値を求める第2制御手段と、前記第1の他覚測定値と前記第2の他覚測定値とから、前記被検眼の屈折力の変化の有無を判別する判別手段として構成されている。
【0014】また請求項7記載の本発明は、請求項6記載の本発明において、前記判別手段が前記被検眼の屈折力の変化が有ると判別した時、前記被検眼に調節が生じた旨の信号を出力する警報出力手段を備えたことを特徴として構成されている。
【0015】また請求項8記載の本発明は、請求項6又は7記載の本発明において、前記判別手段から調節が生じた旨の信号が出力された場合、前記第1他覚測定値と前記第2他覚測定値との差分を算出し、前記差分に対応するレンズ度数を加算した検眼レンズを生成するように、前記レンズ配置手段を制御する生成手段を備えることを特徴として構成されている。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の検眼機器の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本実施形態における検眼機器1を被検者2及び視表提示手段3と共に示す図、図2は図1の制御部10及び記憶部30の構成を示すブロック図、図3、4、5はそれぞれ検眼機器1の雲霧状態での他覚測定動作、調節力の測定動作、調節有無の監視動作を説明するためのフローチャート、図6、7、8はそれぞれ雲霧状態での他覚測定動作、調節力の測定動作、調節有無の監視動作における具体的数値の一例を示す図である。
【0017】図1に示すように、被検者2の前方には視表を提示するための視表提示手段たるチャート3が配置されており、このチャート3と被検者2との間に、自覚測定手段たる自覚測定器4と他覚測定手段たる他覚測定器5とを筐体7内に納めて構成された検眼機器1が配置されている。自覚測定器4は、被検眼の屈折力を自覚的に測定するためのもので、被検眼と視表との間に検眼レンズを配置するためのレンズ配置手段たるレンズ配置機構6を備える。このレンズ配置機構6は、図1の紙面に平行な回転軸を中心として回転する複数のタ−レット板6aと、該複数のタ−レット板6aを回転させるための駆動モータ6bと、該駆動モータ6bを制御するためのモータドライバー6cとから構成されている。各タ−レット板6aには図示しない開口部及び複数の検眼レンズが設けられており、タ−レット板6aに連係された駆動モータ6bをモータドライバー6cにて制御して、タ−レット板6aを任意の位置まで回転させるこにより、タ−レット板6aの図示しない開口部又は複数の検眼レンズのうちの任意のいずれかが、筐体7に設けた視野窓7a内に配置される。
【0018】他覚測定器5は、タ−レット板6aの開口部又は検眼レンズを介して被検眼の屈折力を他覚的に測定するためのもので、図1に示すように、複数のタ−レット板6aに対しチャート3側に配置されている。他覚測定器5の下方で、かつ視野窓7aとチャート3との間には、他覚測定器5からの測定光を被検眼に向け導くと共に、被検眼からの反射光を他覚測定器5に向け導くハーフミラー8が配置されている。また同時に、ハーフミラー8は被検眼に対して視表を透過し、被検者2に視表を見せた状態での自覚検眼及び他覚検眼を可能とする。
【0019】これら自覚測定器4及び他覚検眼手段5は筐体7内に納めた制御部10に電気的に接続されており、この制御部10には、同じく筐体7内に納めた記憶部30及び筐体7外部に配置された表示部40が電気的に接続されている。このうち制御部10及び記憶部30の構成を図2にブロック図として示す。この図2に示すように、制御部10は、中央制御部11、雲霧度数生成部12、雲霧度数減算部13、他覚終了判断部14、調節度数生成部15、調節力算出部16、視表切替部17、度数入力部18、他覚測定制御部19、変化度数減算部20、調節有無判断部21、警報出力部22及び打消度数生成部23を備えて構成されている。また記憶部30は、雲霧度数記憶部31、他覚終了範囲記憶部32、調節度数記憶部33、調節基準度数記憶部34、調節回数カウンタ35、変更度数記憶部36及び変更前屈折力記憶部37を備えて構成されている。
【0020】このうち中央制御部11は制御部10内の各部を制御する。また雲霧度数生成部12は、他覚測定器5にて測定された被検眼の屈折力、又は雲霧度数減算部13の減算にて得られた屈折力に対応するレンズ度数に所定のレンズ度数を加算した検眼レンズをレンズ配置機構6にて生成するようにレンズ配置機構6を制御する。また雲霧度数減算部13は、雲霧度数生成部12にて生成されたレンズ度数の検眼レンズを介して他覚測定器5にて測定された屈折力から、雲霧度数生成部12にて加算されたレンズ度数に対応する屈折力を減算する減算手段である。
【0021】他覚終了判断部14は、雲霧度数減算部13にて算出された屈折力と他覚終了範囲記憶部32に記憶された屈折力とを比較し、他覚測定を終了するか否かを判断する。調節度数生成部15は、他覚測定器5にて測定された被検眼の屈折力に対応するレンズ度数、又は前回自己が生成したレンズ度数から所定のレンズ度数を減算した検眼レンズをレンズ配置手段にて生成するようにレンズ配置機構6を制御する。また調節力算出部16は、調節度数生成部15にて生成されたレンズ度数の検眼レンズを介して他覚測定器5にて測定された屈折力と、調節基準度数記憶部34に記憶されている調節度数生成部15による減算が行われる前の屈折力とを比較し、調節力の測定を終了するか否かを判断する調節力算出手段である。そしてこの判断結果に基づいてさらに調節度数の生成指示又は調節力の算出を行う。
【0022】視表切替部17は、他覚測定器5による測定が終了した際、チャート3に対し該チャート3にて提示されている視表を所定段階小さい形状の視表に切替えるための切替信号を出力する視表切替手段である。度数入力部18は、被検者2が配置したい検眼レンズの度数を入力するための入力手段である。他覚測定制御部19は、自覚測定器4の測定中にレンズ配置機構6にて検眼レンズの度数が変更される場合、該変更の前後で他覚測定器5に測定を行わせる他覚制御手段である。
【0023】変化度数減算部20は、レンズ度数変更後の検眼レンズを介して行われた他覚測定器5にて得られた被検眼の屈折力から、レンズ度数変更による検眼レンズのレンズ度数の変化分に対応する屈折力を減算する減算手段である。調節有無判断部21は、変化度数減算部20の減算にて得られた屈折力と、レンズ度数が変更される前に他覚測定器5にて測定された被検眼の屈折力とを比較し、両屈折力が相互に異なる場合には被検眼に調節が生じた旨の信号を出力する調節有無判断手段である。
【0024】警報出力部22は、調節有無判断部21から調節が生じた旨の信号が出力された場合、被検眼に調節が生じた旨の警報を出力する警報出力手段である。打消度数生成部23は、調節有無判断部21から調節が生じた旨の信号が出力された場合、変化度数減算部20の減算にて得られた屈折力と、レンズ度数が変更される前に他覚測定器5にて測定された被検眼の屈折力との差分を算出し、該差分に対応するレンズ度数をレンズ配置機構6にて配置されている検眼レンズのレンズ度数に加算することにより、レンズ配置機構6にて配置される検眼レンズのレンズ度数を生成する生成手段である。制御部10の備える上記各部は、CPUとプログラムによって、あるいはアナログ回路によって、それぞれ別個に又は任意の各部を一体として構成される。
【0025】また雲霧度数記憶部31は雲霧度数生成部12にて加算されるレンズ度数、他覚終了範囲記憶部32は他覚終了判断部14にて判断の基準となる屈折力、調節度数記憶部33は調節度数生成部15にて減算されるレンズ度数、調節基準度数記憶部34は調節力算出部16にて判断の基準となる屈折力、調節回数カウンタ35は調節度数生成部15で減算が行われた回数、変更度数記憶部36はレンズ配置機構6による検眼レンズのレンズ度数変更の前後におけるレンズ度数、変更前屈折力記憶部37はレンズ配置機構6による検眼レンズのレンズ度数変更の前に他覚測定器5にて測定された屈折力、をそれぞれ記憶する。記憶部30の備える上記各部は、半導体記憶素子、磁気記憶素子、光磁気記憶素子によって、それぞれ別個に又は任意の各部を一体として構されている。
【0026】このように構成された検眼機器1による被検眼測定動作について説明する。この測定動作では、雲霧状態での他覚測定動作、調節力の測定動作、視表の切替動作、調節有無の監視が順次行われる。まず雲霧状態での他覚測定動作について説明する。この測定動作のフローチャートを図3に示す。この図3に示すように、検眼機器1の電源を入れ(ステップS1)、被検眼に対する自覚測定器4及び他覚測定器5のアライメント状態を調整した後(ステップS2)、自覚検眼手段のレンズ配置機構6によってタ−レット板6aの開口部を視野窓7a内に配置し、開口部を介して被検者2に視表を見てもらう。そして他覚測定を行い、被検眼の屈折力、例えば「3D(ディオプタ−)」を得る(ステップS3)。この屈折力は、第1他覚測定値に対応する。この屈折力は図2の雲霧度数生成部12に出力される。雲霧度数生成部12では、入力された屈折力に対応するレンズ度数に対し、雲霧度数記憶部31に予め記憶されたレンズ度数が加算され、加算後のレンズ度数の検眼レンズがレンズ配置機構6にて図1の視野窓7a内に配置される(ステップS4)。
【0027】ここで雲霧度数記憶部31に予め記憶されるレンズ度数とは、被検眼に対し雲霧状態、すなわち被検眼の調節力が働きにくい状態を作り出すための正の度数である。本形態においては、1回目の生成で加算されるレンズ度数は「1D」、2回目の生成で加算されるレンズ度数は「0.75D」というように、「1D」から順次「0.25D」減らした度数が雲霧度数記憶部31に記憶されている。
【0028】したがって1回目の他覚測定が終了すると、屈折力「3D」に対応するレンズ度数に対して「1D」加算されて、「4D」がレンズ配置機構6にて配置される検眼レンズの度数として生成され、レンズ配置機構6に出力されて、レンズ度数「4D」の検眼レンズ(第1検眼レンズ)が視野窓7a内に配置される。
【0029】そしてこのレンズ度数「4D」の検眼レンズを介して、他覚測定器5による他覚測定が行われる(ステップS5)。この他覚測定は、レンズ度数「1D」が加算されたことによって生じる雲霧状態下で行われるため、被検眼による調節が防止され、被検眼の調節力を含まない屈折力を測定することができる。この屈折力は、第2他覚測定値に対応する。このように他覚測定器5にて測定された屈折力、例えば「2.5D」は雲霧度数減算部13に出力される。この雲霧度数減算部13では、雲霧度数生成部12にて加算されたレンズ度数「1D」が雲霧度数記憶部31から読み出され、該レンズ度数に対応する屈折力が他覚測定器5にて測定された屈折力「2.5D」から減算され、屈折力「1.5D」を得る(ステップS6)。この減算により得られた屈折力「1.5D」は、雲霧状態を生成するために加算されたレンズ度数に対応する屈折力分が除去された屈折力であるため、故意に作り出した雲霧状態が解除された状態における(通常の測定状態における)被検眼の屈折力となる。
【0030】雲霧度数減算部13にて得られた屈折力「1.5D」は、他覚終了判断部14に出力される。他覚終了判断部14では、雲霧度数減算部13から屈折力が入力されると、この屈折力が他覚終了範囲記憶部32に記憶された屈折力の範囲内であるか否かが判断される(ステップS7)。この判断において、範囲内であれば他覚測定を終了するための終了信号が他覚終了判断部14から中央制御部11へ出力されるが、範囲外であれば測定の前後で被検眼の屈折状態が変化したこと(すなわち、被検者2がレンズを通して見てることで屈折異常が出てしまった)になり、さらに他覚測定を継続する必要があるため、雲霧度数減算部13にて得られた屈折力が雲霧度数生成部12へ出力される。本形態においては、他覚終了範囲記憶部32には屈折力「0D」が記憶されており、この屈折力「0D」は雲霧度数減算部13にて得られた屈折力「1.5D」に該当しないため、この屈折力「1.5D」が雲霧度数生成部12へ出力される。
【0031】屈折力「1.5D」を入力された雲霧度数生成部12では、この屈折力「1.5D」に対し2回目の生成で加算されるレンズ度数「0.75D」を加算される。以降、上記と同様に、他覚終了判断部14から終了信号が出力されるまで、図3のステップS4〜S7の動作が繰り返される。この繰返し動作中における数値例を図6に示す。この図6において、4回目に雲霧度数減算部13にて減算された屈折力「0D」は、他覚終了範囲記憶部32に記憶された屈折力「0D」に該当するため、他覚終了判断部14から中央制御部11へ終了信号が出力され、他覚測定が終了する(ステップS8)。また終了信号を入力された中央制御部11は、表示部40に制御信号を出力して測定した屈折力を表示させる。
【0032】その後、調節力の測定動作に移る。この測定動作のフローチャートを図4に示す。この図4に示すように、調節力の測定では、まず上述した最初の他覚測定(図3のステップS3)で得た被検眼の屈折力「3D」が、中央制御部11を介して調節度数生成部15に出力される。調節度数生成部15では、入力された屈折力に対応するレンズ度数から調節度数記憶部33に記憶されているレンズ度数が減算されることにより、レンズ配置機構6にて配置される検眼レンズの度数が生成され、減算後のレンズ度数の検眼レンズがレンズ配置機構6にて図1の視野窓7a内に配置される(ステップS10)。
【0033】ここで調節度数記憶部33に記憶されたレンズ度数とは、被検眼に対して調節状態、すなわち被検眼の調節力が働き易い状態を作り出すための負の度数である。本形態においては、1回目のレンズ度数の生成では「1D」、2回目のレンズ度数の生成では「0.75D」というように、「1D」から順次「0.25D」減らした度数が調節度数記憶部33に記憶されている。
【0034】したがって屈折力「3D」に対応するレンズ度数に対して「1D」減算されて、「2D」がレンズ配置機構6にて配置される検眼レンズの度数として生成される。このように生成部にて生成されたレンズ度数「2D」はレンズ配置機構6に出力され、このレンズ度数「2D」の検眼レンズが視野窓7a内に配置される。また調節度数生成部15での減算の基準となったレンズ度数「3D」は、調節基準度数記憶部34に記憶される。また調節度数生成部15での減算が行われる毎に、その回数が調節回数カウンタ35に記録される。
【0035】そしてこのレンズ度数「2D」の検眼レンズを介して、他覚測定器5による他覚測定が行われる(ステップS11)。この他覚測定は、レンズ度数「1D」が減算されることによって被検眼に調節力が働き易い状態、すなわち視表がより見えにくい状態で行われるため、被検眼に調節力があれば、この調節力が働いて被検眼の屈折力が調整された状態で測定が行われる。このように他覚測定器5にて測定された屈折力、例えば「3D」は調節力算出部16に出力される。調節力算出部16では、屈折力が入力されると、調節基準度数記憶部34に記憶されている屈折力「3D」が読み出され、この屈折力「3D」と入力された屈折力「3D」とが比較される(ステップS12)。
【0036】ここで、両度数が同じ場合には、被検眼による調節力が働いたことによって、調節度数生成部15にて減算された屈折力だけ被検眼の屈折力が調節されたものと判断し、さらに被検眼に調節力が残っている可能性があるため、調節力測定動作を継続するための継続信号が調節力算出部16から調節度数生成部15へ出力される。一方、両度数が異なる場合には、調節度数生成部15にて減算された屈折力だけ被検眼の屈折力が調節できなかった、すなわち被検眼の調節力の限界であると判断され、調節力が算出される。上記の場合には、両度数とも「3D」であり互いに同じであるため、継続信号が出力される。
【0037】継続信号を入力された調節度数生成部15は、前回自己が生成した度数「2D」を基準として、再度、度数生成を開始する(ステップS10)。以降、上記と同様に、図4のステップS10〜S12の動作が繰り返される。この繰返し動作中における数値を図7に示す。この図7において、3回目に減算後の検眼レンズを介して測定された屈折力「1D」は、調節度数生成部15に入力された屈折力「1.25D」と異なるため、調節力算出部16にて調節力が算出される(ステップS13)。
【0038】調節力算出部16では、調節力の測定動作が開始されてから今までに被検眼によって調節された屈折力の合計値を、被検眼の調節力として算出する。このため、まず終了信号が入力された時点で調節回数カウンタ35に記録されている減算回数を読み出し、この減算回数から1を引いた数を算出する。図7に示すように減算を3回行った場合には、この場合には3−1=2を算出する。これは最後に減算された屈折力は被検眼によって調節できなかったので、その分の屈折力を合計値から除外するためである。そして調節力算出部16によって、調節度数記憶部33に記憶されているレンズ度数のうち、算出した数だけレンズ度数が読み出され合計され、この合計値を被検眼の屈折力として表示部40に出力する。表示部40では、被検眼の屈折力が表示される。この場合には1+0.75=1.75が被検眼の屈折力として表示される。また調節力算出部16は合計値を表示部40に出力するのと同時に、調節力測定が終了した旨の信号を中央制御部11に出力し、調節力の測定が終了する(ステップS14)。
【0039】中央制御部11に調節力測定が終了した旨の信号が入力されると、中央制御部11から視表切替部17に視表の切替を開始するための開始信号が出力される。開始信号を入力された視表切替部17は、チャート3に制御信号を出力し、チャート3によって現在提示されている視表を予め設定された段階、例えば1段階小さい形状の視表に切替える。例えば視力「1.5」の視表を用いて他覚測定を行っていた場合には、それより一段階小さい視力「1.2」の視表に切替える。これは、他覚検眼において被検眼の屈折力「0D」が得られたことから、少なくとも現在提示されている視表は被検者2に見えている視表であるといえるので、自覚検眼を始める際には、さらに小さな視表から検眼が開始できるようにするためである。チャート3によって視表の切替が完了すると、該チャート3から完了信号が出力され、この完了信号が視表切替部17を介して中央制御部11に出力され、視表の切替が終了する。
【0040】中央制御部11に完了信号が入力されると自覚測定が開始される。この自覚検眼においては、同時に他覚測定が行われ、自覚検眼中に被検眼の調節力が生じているか否かが監視される。この調節監視動作のフローチャートを図5に示す。まず自覚測定のため、他覚測定にて測定された被検眼の屈折力に応じた度数の検眼レンズが視野窓7a内に配置される(ステップS20)。その後、検者から被検者2への問診結果に応じて検者が検眼レンズのレンズ度数を変更する際、検者は度数入力部18を用いて新たに配置したい検眼レンズのレンズ度数を入力する(ステップS21)。このように入力されたレンズ度数は変更度数記憶部36及び他覚測定制御部19に出力される。
【0041】一方、度数を入力された他覚測定制御部19は、検眼レンズが変更される前後の両時点において他覚測定器5に他覚測定を行わせる。このため、度数を入力された他覚測定制御部19は、まず他覚測定器5に制御信号を出力して他覚測定を行わる(ステップS22)。この測定にて得た屈折力、例えば{3D」は変更前屈折力記憶部37に出力され記憶される。また他覚制御部は、他覚測定が完了した後に、自己に入力された度数をレンズ配置機構6に出力して検眼レンズの交換を行わせる(ステップS23)。この交換の前後のレンズ度数、例えば「1D」は変更度数記憶部36に入力され記憶される。そして、検眼レンズの交換が完了した後、再び、他覚測定器5に制御信号を出力して他覚測定を行わせる(ステップS24)。この測定にて得た屈折力、例えば「4D」は変化度数減算部20に出力される。
【0042】屈折力を入力された変化度数減算部20では、変更度数記憶部36に記憶されている変更の前後のレンズ度数「3D」、「4D」が読み出され、これらの差分「1D」が算出され、この差分「1D」が自己に入力された屈折力「4D」から減算されて、変更によるレンズ度数の変化分を除去した屈折力「3D」が算出される(ステップS25)。このように算出された屈折力「3D」は調節有無判断部21に出力される。調節有無判断部21では、変更前屈折力記憶部37に記憶されているレンズ度数変更前の屈折力「3D」が読み出され、この屈折力「3D」と自己に入力された屈折力「3D」とが比較される(ステップS26)。ここで、両屈折力が同じである場合には、被検眼の屈折力が変化していないと判断できるので調節有無判断部21からは何ら信号が発せられず、自覚測定が継続される。一方、両屈折力が異なる場合には、検眼レンズを交換したことによってレンズの変化分以上に被検眼の屈折力が変化したと言えることから、被検眼に調節があった旨を示す信号が警報出力部22に出力される。
【0043】本実施形態の場合には、レンズ度数変更前の屈折力「3D」と自己に入力された屈折力「3D」とが同じであるため、自覚測定が継続される。以降同様に、図5のステップS21〜S26の動作が繰り返される。この繰返し動作中における数値を図8に示す。この図8において、2回目の測定では、検眼レンズ交換前の屈折力「3D」と調節有無判断部21に入力された屈折力(レンズ度数の変化分を除いた屈折力)「3.5D」とが異なるため、警報出力部22によって警報、例えばブザーが発せられる(ステップS27)。
【0044】また両者が異なる場合には、両屈折力の差分が調節有無判断部21から打消度数生成部23に出力される。差分を出力された打消度数生成部23では、現在レンズ配置機構6にて配置されているレンズ度数に対し、自己に入力された屈折力の差分に対応するレンズ度数を加算することによって、被検眼の調節を打消すための新たなレンズ度数を生成する(ステップS28)。このレンズ度数は他覚測定制御部19に出力され、図5のステップS23〜S28が繰り返される。
【0045】さて、これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記に示した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に示した技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいものであり、以下、これら異なる形態について説明する。まず上記実施形態においては、、雲霧状態での他覚測定、調節力の測定、視表の切替及び調節有無の監視を全て行う検眼機器について説明したが、これらのうち任意の一部のみを行う検眼機器として構成してもよい。また上記実施形態においては、調節力の測定では雲霧状態における他覚測定動作で最初に測定された被検眼の屈折力を初期値として用いたが、調節力の測定を独立して行う場合には、図示しない開口部を視野窓7a内に配置した状態で他覚測定器5を用いて他覚測定を行い、この結果得られた屈折力を初期値として用いる。
【0046】また雲霧度数記憶部31、他覚終了範囲記憶部32、調節度数記憶部33及び調節基準度数記憶部34に予め記憶させるレンズ度数や屈折力は上記形態に示したものに限られず、いかなる数値が設定されてもよい。
【0047】また自覚測定時における被検眼の調節の監視においては、調節があると判断された際に調節を考慮した新たな検眼レンズの度数を生成し(図5のステップS28)、検眼レンズを配置するものとしたが、検眼レンズが新たに配置されることによって被検眼に新たな調節が生じ、レンズ度数が安定しない状態が生ずることも考えられるため、所定回数検眼レンズが配置し直された場合には調節の監視を停止する等の手段を設けてもよい。
【0048】
【発明の効果】これまで説明したように請求項1〜3記載の本発明は、レンズ配置手段を制御し、他覚測定手段にて測定された被検眼の第1他覚測定値に対応するレンズ度数に、所定のレンズ度数を加算した第1検眼レンズを生成する生成手段と、第1検眼レンズを介して被検眼を他覚的に測定し、被検眼の第2他覚測定値を求めるように、他覚測定手段を制御する他覚測定制御手段と、第1他覚測定値と、第2他覚測定値とに基づいて、被検眼の屈折力の変化を判別する判別手段とを備えたこと等により、被検眼の調節が入りにくい状態(雲霧状態)を自動的に維持しながら他覚測定を行うことができ、他覚測定の信頼性を一層向上させることができる。したがって他覚測定の測定結果を自覚測定でそのまま利用でき、検眼時間を短縮することができる。
【0049】しかも請求項4、5記載の本発明は、レンズ配置手段を制御し、他覚測定手段にて測定された被検眼の第1他覚測定値に対応するレンズ度数から、所定のレンズ度数を減算した第1検眼レンズを生成する生成手段と、第1検眼レンズを介して被検眼を他覚的に測定し、被検眼の第2他覚測定値を求めるように、他覚測定手段を制御する他覚制御手段と、第1他覚測定値と、第2他覚測定値とに基づいて、被検眼の調節力の有無を判別する判別手段とを備えたこと等により、従来できなかった被検眼の調節力の自動測定を行うことができる。
【0050】さらに請求項6記載の本発明は、自覚測定手段と他覚測定手段とを制御し、検眼レンズを介して被検眼の屈折力を自覚的に測定している時、検眼レンズを介して被検眼の屈折力を他覚的に測定し、第1他覚測定値を求める第1制御手段と、自覚測定手段を制御し、検眼レンズのレンズ度数を変更する度数変更手段と、他覚測定手段を制御し、変更されたレンズ度数の検眼レンズを介して被検眼の屈折力を他覚的に測定し、第2の他覚測定値を求める第2制御手段と、第1の他覚測定値と第2の他覚測定値とから、被検眼の屈折力の変化の有無を判別する判別手段とを備えたこと等により、自覚測定における被検眼の調節を常時自動的に監視でき、自覚測定の信頼性を一層向上させることができる。
【0051】さらにまた請求項7記載の本発明は、判別手段が被検眼の屈折力の変化が有ると判別した時、被検眼に調節が生じた旨の信号を出力する警報出力手段を備えたことにより、被検眼に調節が生じた場合にその旨を検者に迅速かつ容易に知らせることができる。
【0052】また請求項8記載の本発明は、判別手段から調節が生じた旨の信号が出力された場合、第1他覚測定値と第2他覚測定値との差分を算出し、差分に対応するレンズ度数を加算した検眼レンズを生成するように、前記レンズ配置手段を制御する生成手段を備えたことにより、被検眼の調節を打消す度数の検眼レンズを自動的に配置でき、検眼レンズ交換の手間を省略することができる。
【出願人】 【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
【出願日】 平成9年(1997)10月14日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】村田 幹雄 (外1名)
【公開番号】 特開平11−113848
【公開日】 平成11年(1999)4月27日
【出願番号】 特願平9−296372