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【発明の名称】 眼科装置
【発明者】 【氏名】岸田 伸義

【要約】 【課題】測定中の血流速度の信頼性を判断可能にする。

【解決手段】移動データ処理部51bにおいて、測定開始から10mS毎にトラッキング状態を5段階で判別し、移動データ処理部51bからの移動状態データを使用して血流速度表示部52に血流速度を表示する。血流速度データと移動状態データも測定開始から10mS毎に求めているので、両者のデータ数は1つの移動状態データに対応する100個の血流速度が存在し、時間的に対応がとれている。従って、血流速度のグラフと移動状態データを対比させることにより、移動状態データの値が大きい即ち移動量が大きい個所は、血流速度の信頼性が低いことが分かる。このようにして、血流速度の不良データを同一時間内の移動データの値から瞬時に判別することが可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 眼底のトラッキングを行いながら経時的に眼底の物理量を測定する測定手段を有し、前記物理量と共にトラッキング情報を同時に記録することを特徴とする眼科装置。
【請求項2】 前記トラッキング情報はトラッキング中心からのずれ量とした請求項1に記載の眼科装置。
【請求項3】 前記物理量は血流速度とした請求項1に記載の眼科装置。
【請求項4】 前記トラッキング情報と前記物理量を同時に表示手段に表示する請求項1に記載の眼科装置。
【請求項5】 前記血流速度の拍動切出手段を有する請求項3に記載の眼科装置。
【請求項6】 前記拍動切出手段は前記トラッキング情報に応じて切り出す拍動を選択する請求項5に記載の眼科装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば眼底血管内の血流速度等の測定を行う眼底血流計等の眼科装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、被検眼の眼底血管をトラッキングし、トラッキングした血管の絶対血流速度を測定するレーザードップラ眼底血流計が知られており、この眼底血流計においては、例えば眼底の血管にトラッキング用のレーザー光と血流速度測定用のレーザー光を共に照射する装置が、特開平7−031596号公報等に開示されている。このレーザードップラ眼底血流計では、眼底の血管に照射した血流速度測定用のレーザー光が、血管中を流れる血球によりドップラシフトした反射光をフォトマルチプライヤで受光し、ドップラシフトから求めた血流速度の変化を観測したり血流量の算出等を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上述の従来例においては、測定中の血流速度の測定の正確さや信頼性を判断する方法が考えられていないという問題がある。
【0004】本発明の目的は、上述の問題点を解消し、測定中の血流速度の信頼性を判断可能な眼科装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための本発明に係る眼科装置は、眼底のトラッキングを行いながら経時的に眼底の物理量を測定する測定手段を有し、前記物理量と共にトラッキング情報を同時に記録することを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。図1は実施例の眼底血流計の構成図を示し、白色光を発するタングステンランプ等から成る観察用光源1から被検眼Eと対向する対物レンズ2に至る照明光路上には、コンデンサレンズ3、例えば黄色域の波長光のみを透過するバンドパスフィルタ付フィールドレンズ4、被検眼Eの瞳孔Epとほぼ共役な位置に設けられたリングスリット5、被検眼Eの水晶体とほぼ共役な位置に設けられた遮光部材6、リレーレンズ7、光路に沿って移動自在な固視標表示用素子である透過型液晶板8、リレーレンズ9、被検眼Eの角膜近傍と共役に設けられた遮光部材10、孔あきミラー11、黄色域の波長光を透過し他の光束を殆ど反射するバンドパスミラー12が順次に配列されている。
【0007】孔あきミラー11の背後には眼底観察光学系が構成されており、光路に沿って移動自在なフォーカスレンズ13、リレーレンズ14、スケール板15、光路中に挿脱自在な光路切換ミラー16、接眼レンズ17が順次に配列され、検者眼eに至っている。光路切換ミラー16が光路中に挿入されている際の反射方向の光路上には、テレビリレーレンズ18、CCDカメラ19が配置されており、CCDカメラ19の出力は液晶モニタ20に接続されている。
【0008】バンドパスミラー12の反射方向の光路上には、イメージローテータ21、紙面に垂直な回転軸を有する両面研磨された一部切欠き形状を有するガルバノメトリックミラー22が配置され、このガルバノメトリックミラー22の下側反射面22aの反射方向には第2のフォーカスレンズ23が配置され、上側反射面22bの反射方向にはレンズ24、光路に沿って移動自在なフォーカスユニット25が配置されている。なお、レンズ24の前側焦点面は被検眼Eの瞳孔Epと共役関係にあり、この焦点面にガルバノメトリックミラー22が配置されている。
【0009】また、ガルバノメトリックミラー22の上方には、光路長補償半月板26、光路中に遮光部を有する黒点板27、凹面ミラー28が光路上に同心状に配置され、かつ共働してガルバノメトリックミラー22の上側反射面22bと下側反射面22aとを−1倍に結像し、ガルバノメトリックミラー22の下側反射面22aで反射されずに通過する光束を、ガルバノメトリックミラー22の上側反射面22bへ導くリレー光学系が構成されている。なお、光路長補正用半月板26はガルバノメトリックミラー22の上側反射面22b、下側反射面22aの位置がそのミラー厚によって生ずる図面上下方向へのずれを補正するためのものであり、イメージローテータ21に向かう光路中にのみ作用するようになっている。
【0010】フォーカスユニット25においては、レンズ24と同一光路上にダイクロイックミラー29、集光レンズ30が順次配列され、ダイクロイックミラー29の入射方向の光路上にはマスク31、ミラー32が配置されており、このフォーカスユニット25は一体的に矢印で示す方向に移動ができるようになっている。
【0011】集光レンズ30の入射方向の光路上には、固定ミラー33、光路から退避可能な光路切換ミラー34が平行に配置され、光路切換ミラー34の入射方向の光路上には、コリメータレンズ35、コヒーレントな例えば赤色光を発する測定用のレーザーダイオード36が配列されている。更に、ミラー32の入射方向の光路上には、シリンドリカルレンズ等から成るビームエクスパンダ37、高輝度の他の光源と異なる例えば緑色光を発するトラッキング用光源38が配列されている。
【0012】ガルバノメトリックミラー22の下側反射面22aの反射方向の光路上には、光路に沿って移動自在なフォーカスレンズ23、ダイクロイックミラー39、フィールドレンズ40、拡大レンズ41、イメージインテンシファイヤ付一次元CCD42が順次に配列され、血管検出系が構成されている。また、ダイクロイックミラー39の反射方向の光路上には、結像レンズ43、共焦点絞り44、被検眼Eの瞳孔Epとほぼ共役に設けられたミラー対45a、45bが配置され、ミラー対45a、45bの反射方向にはそれぞれフォトマルチプライヤ46a、46bが配置され、測定用受光光学系が構成されている。なお、図示の都合上、全ての光路を同一平面上に示したが、ミラー対45a、45bの反射光路、トラッキング用光源38の出射方向の測定光路、レーザーダイオード36からマスク31に至る光路はそれぞれ紙面に直交している。
【0013】また、制御回路49には一次元CCD42の出力が血管位置検出回路50を介して接続されており、血管位置検出回路50の出力は血管位置処理部51に接続され、血管位置処理部51の出力は血流速度表示部52に接続されている。そして、システム制御部47の出力は血管位置処理部51と血流速度表示部52に接続されている。
【0014】このような構成において、観察用光源1から発した白色光はコンデンサレンズ3を通り、バンドパスフィルタ付フィールドレンズ4により黄色の波長光のみが透過し、リングスリット5、遮光部材6、リレーレンズ7を通って、透過型液晶板8を背後から照明し、リレーレンズ9、遮光部材10を通って孔あきミラー11で反射し、黄色域の波長光のみがバンドパスミラー12を透過し、対物レンズ2を通り、被検眼Eの瞳孔Ep上で眼底照明光光束像として一旦結像した後に、眼底Eaをほぼ一様に照明する。このとき、透過型液晶板8には固視標が表示されており、照明光により被検眼Eの眼底Eaに投影され、視標像として被検者に呈示される。なお、リングスリツト25、遮光部材6、10は被検眼Eの前眼部において眼底照明光と眼底観察光を分離するためのものであり、必要な遮光領域を形成するものであれば、その形状は問題とならない。
【0015】眼底Eaからの反射光は同じ光路を戻り、瞳孔Ep上から眼底観察光光束として取り出され、孔あきミラー11の中心の開口部、フォーカスレンズ13、リレーレンズ14を通り、スケール板15で眼底像Ea' として結像した後に、光路切換ミラー16に至る。ここで、光路切換ミラー16が光路から退避しているときは、検者眼eにより接眼レンズ17を介して眼底像Ea' が観察可能となる。また、光路切換ミラー16が光路に挿入されているときは、スケール板15上に結像した眼底像Ea' が、テレビリレーレンズ18によりCCDカメラ19上に再結像され、液晶モニタ20に映出される。
【0016】検者はこの眼底像Ea' を観察しながら、接眼レンズ17又は液晶モニタ20により装置のアライメントを行う。このとき、適切な目的に応じて観察方式を採用することが好適であり、接眼レンズ17による観察の場合は、一般的に液晶モニタ20等よりも高解像でかつ高感度なので、眼底Eaの微細な変化を読み取って診断する場合に適している。一方、液晶モニタ20による観察の場合は、視野を制限しないので検者の疲労を軽減することができ、更にCCDカメラ19の出力を外部のビデオテープレコーダやビデオプリンタ等に接続することにより、眼底像Ea' 上の測定部位の変化を逐次に電子的に記録することが可能となるので、臨床上極めて有効である。
【0017】レーザーダイオード36を発した測定光は、コリメータレンズ35によりコリメートされ、光路切換ミラー34が光路に挿入されている場合には、光路切換ミラー34、固定ミラー33でそれぞれ反射され、集光レンズ30の下方を通過する。また、光路切換ミラー34が光路から退避している場合には、直接集光レンズ30の上方を通過し、ダイクロイックミラー29を透過する。
【0018】一方、トラッキング用光源38から発したトラッキング光は、ビームエクスパンダ37により縦横異なる倍率でビーム径が拡大され、ミラー32で反射された後に、整形用マスク31で所望の形状に整形された後に、ダイクロイックミラー29に反射され、集光レンズ30によってマスク31の開口部中心と共役な位置にスポット状に結像している測定光と重畳される。
【0019】更に、これら測定光とトラッキング光はレンズ24を通り、ガルバノメトリックミラー22の上側反射面22bで一度反射し、黒点板27を通った後に凹面鏡48で反射し、再び黒点板27、光路長補正用半月板26を通り、ガルバノメトリックミラー22の方に戻される。このとき測定光とトラッキング光は、ガルバノメトリックミラー22の上側反射面22b内で反射して再び戻されるときは、対物レンズ2の光路から偏心した状態でガルバノメトリックミラー22に入射する。ここで、切換ミラー34を光路中へ挿入/退避することにより、ガルバノメトリックミラー22の裏面で反射された光束は、ガルバノメトリックミラー22の切欠き部位置に戻されることになり、ガルバノメトリックミラー22に反射されることなくイメージローテータ21に向かう。そして、イメージローテータ21を経て、バンドパスミラー12により対物レンズ2の方向に偏向された測定光とトラッキング光は、対物レンズ2を介し被検眼Eの眼底Eaを照射する。
【0020】眼底Eaでの散乱反射光は再び対物レンズ2で集光し、バンドパスミラー32で反射してイメージローテータ21を通り、ガルバノメトリックミラー22の下側反射面22aで反射し、フォーカスレンズ23を通り、ダイクロイックミラー39において測定光とトラッキング光とが分離される。
【0021】ここで、トラッキング光はダイクロイックミラー39を透過し、フィールドレンズ40、結像レンズ41により一次元CCD42上で眼底観察光学系による眼底像Ea' よりも拡大された血管像として結像する。そして、一次元CCD42で撮像された血管像に基づいて、血管位置検出回路50において血管像の中心への移動量が作成され、ガルバノメトリックミラー制御回路49に出力される。制御回路49はこの移動量を補償するように、ガルバノメトリックミラー22を駆動する。
【0022】一方、測定光はダイクロイックミラー39により反射され、共焦点絞り44の開口部を経てミラー対45a、45bで反射され、それぞれフォトマルチプライヤ46a、46bに受光される。フォトマルチプライヤ46a、46bの出力はそれぞれシステム制御部47に出力され、この受光信号は周波数解析されて眼底Eaの血流速度が求められる。
【0023】図2は制御部の構成図を示し、血管位置処理部51は血管位置を記録する移動データ記録部51aと移動状態データを算出する移動データ処理部51bから構成されている。移動データ記録部51aは移動データ処理部51bと血管検出回路50に接続されており、移動データ処理部51bは血流速度表示部52を介してシステム制御部47に接続されている。システム制御部47は、フォトマルチプライヤ46a、46bの出力から周波数解析して血流速度を算出する血流速度算出部47aと、血流速度算出部47aで算出した血流速度を記録する血流速度記録部47bとから成っている。
【0024】このような構成において、フォトマルチプライヤ46a、46bの出力は、血流速度算出部47aに入力され、周波数解析されて測定時間中の血流速度として算出される。血流速度算出部47aにおいて算出された血流速度は、血流速度記録部47bに記録され、測定終了後に血流速度表示部52に入力される。一方、測定中の移動データを記録した移動データ記録部51aのデータは、移動データ処理部51bに出力され移動状態データとして変換される。移動データ処理部51bで変換された移動状態データは血流速度表示部52に入力され、血流速度表示部52では、移動データ処理部51bからの移動状態データに応じて、血流速度算出部47aにより算出した血流速度を表示する。
【0025】測定に際して、検者が入力手段48中の図示しないトラッキング開始スイッチを押すと、一次元CCD42が撮像している血管がトラッキングされる。このようにトラッキングしている間は、移動データ記録部51aには移動データは記録されない。トラッキング状態を確認後に、入力手段48中の図示しない測定開始スイッチを押すと測定ビームが照射され、測定ビームの反射光がフォトマルチプライヤ46a、46bに受光される。そして、測定ビームが照射されると同時に、移動データ記録部51aに血管位置の記録が開始される。本実施例では、トラッキング制御を10mS毎にフィードバック制御で行っているので、トラッキングのタイミング信号に同期して、移動データ記録部51aには1秒間に100個のデータが取り込まれる。
【0026】一方、血流速度の算出はフォトマルチプライヤ46a、46bに入射するドップラ信号を100kHzでサンプリングして、周波数解析を約10mS毎に行っているので、1秒間に100個の血流速度データが存在する。所望の測定時間が終了すると測定ビームの照射を終了し、同時に移動データ記録部51aへの血管位置の記録を終了し、更に血管のトラッキングを終了する。そして、移動データ記録部51aに記録したデータが移動データ処理部51bに送られ、移動データ処理部51bでは、測定開始直後の移動データから順次に測定終了までの移動データが処理される。
【0027】測定時間中においては、血流速度算出部47aにより血流速度が算出され、血流速度記録部47bに記録されるので、血流速度のデータ数と移動データのデータ数は時間的に対応がとれている。従って、血流速度の表示は移動データ処理部51bにより算出した移動状態データと共に血流速度表示部52に表示される。このとき、測定時間中の血流の変化の様子を液晶モニタ20等で観測することもでき、またトラッキング制御と血流速度の算出を10mS毎に設定しているが、このタイミングは同時である必要はなく、ドップラ信号のサンプリング周波数や周波数解析を行う時間を任意に設定してもよい。この場合に、測定の間即ちフォトマルチプライヤ46a、46bに測定ビームの反射光が受光されている間、移動データを記録することが大切である。
【0028】移動状態データを作成する場合には、移動データ記録部51aに記録しているデータは、ガルバノメトリックミラー22を移動する量として表されているので、この移動量が零に近い程ガルバノメトリックミラー22が移動していないことになり、測定対象の血管の中心に測定ビームが照射されていることになる。図3に示すように時間的にこのデータを追っていくと、移動量が零又は零に近い値が続いた時には、ガルバノメトリックミラー42の移動がなく、測定対象としている血管の中心に測定ビームが照射されていると考えることができる。
【0029】或る時間の移動量とその次の時間の移動量で、両者の移動量の値が共に−1〜+1に入る時を状態1、−2〜+2に入る時を状態2、−3〜+3に入る時を状態3、−4〜+4に入る時を状態4、その他を状態5として区別して変換する。図3に示すように時間t1と次の時間t2を考えると、時間t1では移動量が0.7、時間t2では移動量が3.8となるので、状態4と変換することができる。従って、測定時間中の移動量を状態データに変換すると、10mS毎に図3の下に示した数字に変換することができ、最も移動量が小さい状態が状態1で、最も移動量が大きい状態が状態5である。
【0030】このように本実施例においては、移動データ記録部51a及び移動データ処理部51bを設け、移動データ処理部51bにおいて測定開始から10mS毎にトラッキング状態を5段階で判別し、この移動データ処理部51bからの移動状態データを使用して血流速度表示部52に血流速度を表示する。
【0031】図4は動脈を測定したときの平均血流速度算出部47aにおける処理の様子を示し、血流速度データは測定開始から10mS毎に求めており、移動状態データも10mS毎に求めているので、血流速度のデータ数と移動状態データのデータ数は、1つの移動状態データに対応する100個の血流速度が存在し、図4に示すように上部に移動データ、下部に血流速度を表示すると、時間的に対応がとれていることが分かる。
【0032】図5は図4の四角で囲んだ部分の拡大グラフ図を示し、拡大した血流速度のグラフの下に移動状態データを対比させると、移動状態データとそのときの血流速度の変化の様子が分かる。エリアXにおいては、移動状態データの値が大きく即ち移動量が大きく、このエリアX内の血流速度の信頼性は低い。従って、図4に示すように血流速度の不良データは、同一時間内の移動データの値によって自動的に判別できることが分かる。ここでは、移動データが状態1〜状態2の場合はそのままの線で血流速度を表示し、状態3〜状態5の場合に太い線で血流速度を表示している。このようにして、検者はこれを見て測定中の血流速度の信頼性を容易に判断することが可能となる。
【0033】また本装置においては、測定時間中における血流速度の変化を信頼性で色分けして表示することもできる。ここでは、移動状態データの値を状態1〜状態2と、状態3〜状態5で区別しているが、状態1〜状態5の全てで色分けする方法等の表示の方法は多様である。また、血管像の移動量を表すデータを血管位置処理部51で記録して処理しているが、制御回路49からガルバノメトリックミラー22に出力する駆動信号を接続しても構成することができる。
【0034】図6は静脈を測定した場合の血流速度変化のグラフ図を示す。静脈にトラッキングビームを合わせて血流速度測定を実行すると、静脈の血流速度と共にトラッキングの移動データが同時に記録される。記録された移動データは、移動状態データに変換されて、図6に示すように2つの波形が得られ、上側が移動データの変化の様子、下側が血流速度を表している。移動状態データの値が大きいエリアAの血流速度は信頼性が低く、従って平均血流速度はエリアAの血流速度を除外して算出すればよい。
【0035】従来では、測定時間中の全ての血流速度の平均値を算出しており、測定時間中の全ての血流速度を対象とすると、エリアAのように明らかに眼球の急激な変化による不良データも含めて平均値を算出している。本実施例では、このような不良データを含まずに平均値を算出することができるので、明らかに信頼性の高い平均値を求めることができる。
【0036】図7は動脈を測定した場合の血流速度変化のグラフ図を示し、静脈の血流速度の測定と同様に、動脈の血流速度と共にトラッキングの移動データが同時に記録される。ここでは、移動データの変化の様子は省略しているが、移動状態データの値が大きいエリアBとエリアC中の血流速度は、信頼性が低いことが分かる。動脈の場合には、心拍の1拍動分の平均の速度を平均血流速度として求めるので、エリアDを1拍動として考える。エリアD中に含まれる信頼性の低いエリアBとエリアCの血流速度データは、点線で示すように前後の信頼性の高い血流速度により補完され、平均血流速度はエリアBとエリアC中の補完された血流速度とそれ以外のエリアD中にある血流速度の平均値として算出される。この場合も不良データを補完して平均値を算出することができるので、信頼性の高い平均値を求めることができる。
【0037】更に、通常は測定開始後の最初の拍動を切り出しているが、エリアB、エリアCのように信頼性の低い血流速度が多い場合は、次の拍動を切り出して平均血流速度を求めるようにすることも可能である。なお、中間値から一定値離れた値を除外して平均血流速度を求める方法も考えられるが、図7に示すような血流の波形では、目的とするデータを除外することはできない。即ち、統計的手法によって、全てのデータからの特異データとしてエリアB、Cを選択することは難しいので、この場合の平均血流速度を求める場合に統計的手法は有効ではない。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る眼科装置は、眼底のトラッキングを行いながら経時的に眼底の物理量を測定し、物理量と共にトラッキング情報を同時に記録することにより、測定時間内の血管の移動データから移動状態を求めて、血流速度の信頼性を判断することができ、正確な平均血流速度を求めることができる。
【出願人】 【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月8日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
【公開番号】 特開平11−113847
【公開日】 平成11年(1999)4月27日
【出願番号】 特願平9−291537