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【発明の名称】 自他覚検眼装置
【発明者】 【氏名】田村 正明

【要約】 【課題】上下方向のアライメント状態を適正に調整できる自他覚検眼装置を提供する。

【解決手段】レンズ室1,2を有する自覚検眼器3と、レンズ室1,2を左右方向又は上下方向に駆動するレンズ室駆動機構と、他覚検眼器4と、他覚検眼器4の測定光を左右一方に導く回転ミラー11と、測定光をレンズ室1,2の一方を介して被検眼に導くダイクロックミラー12とを備えた自他覚検眼装置であって、測定光を上下方向に偏向する反射ミラー13と、レンズ室1,2と共にダイクロックミラー12を相互に独立に上下動自在とし、レンズ室1,2と共にダイクロックミラー12及び反射ミラー13を相互に独立に左右動自在とする駆動機構5と、他覚検眼器4の測定光路長を一定に調整するための調整機構20とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】被検眼と視表との間に配置される左右一対のレンズ室を有し、被検眼の屈折力を自覚的に測定する自覚検眼手段と、前記一対のレンズ室を相互に独立で左右方向又は上下方向に駆動するレンズ室駆動手段と、被検眼の屈折力を他覚的に測定する他覚検眼手段と、前記他覚検眼手段の測定光を前記左右方向の少なくとも一方向に導く導光手段と、前記一対のレンズ室の各視野窓と前記視表との間にそれぞれ配置され、前記導光手段にて導かれた測定光を前記一対のレンズ室のうち少なくとも一方を介して被検眼に導く第2の導光手段と、を備えた自他覚検眼装置であって、前記導光手段と前記第2の導光手段との間に配置され、前記導光手段にて前記左右方向の少なくとも一方に導かれた測定光を前記上下方向に偏向して前記第2の導光手段に導く第3の導光手段と、前記一対のレンズ室と共に前記第2の導光手段をそれぞれ相互に独立に上下動自在とし、かつ、前記一対のレンズ室と共に前記第2の導光手段及び前記第3の導光手段をそれぞれ相互に独立に左右動自在とする駆動手段と、前記他覚検眼手段から前記一対のレンズ室のうち測定に用いているレンズ室に至る測定光路長が常に一定となるように測定光路長を調整する調整手段と、を備えたことを特徴とする自他覚検眼装置。
【請求項2】前記調節手段は、前記他覚検眼手段から前記一対のレンズ室に至る測定光路中に配置されたレンズを有し、該レンズをその光軸方向に移動させることにより前記測定光路長を調整すること、を特徴とする請求項1に記載の自他覚検眼装置。
【請求項3】前記調整手段は、被検眼に対する前記左右のレンズ室のアライメント状態が適正にされた際、前記他覚検眼手段から左右いずれか一方のレンズ室に至る測定光路長と、前記他覚検眼手段から他方のレンズ室に至る測定光路長とを算出し、これら両測定光路長の差分を求める差分算出手段を有し、左右の被検眼のうち一方から他方へ測定を切換える際、前記差分算出手段にて求められた差分だけ前記他覚検眼手段を移動させること、を特徴とする請求項1又は2に記載の自他覚検眼装置。
【請求項4】前記各レンズ室を輻輳回転させるための中空筒状の回転軸を設け、該回転軸の軸線上方に前記第3の導光手段を配置すると共に軸線下方に前記第2の導光手段を配置してなり、前記回転軸の内部を通して前記第3の導光手段から前記第2の導光手段に前記測定光を導いてなること、を特徴とする請求項1乃至3に記載の自他覚検眼装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自覚検眼手段と他覚検眼手段とを組み合わせた自他覚検眼装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、眼鏡店等で被検眼の屈折力を自覚的に測定するための自覚検眼装置が広く用いられている。ここで一般に、左右の被検眼の瞳孔間距離に個人差があり、また人間の顔は鼻を中心として左右対称になっておらず、左右の被検眼が相互に上下に違うことが多いことから、自覚検眼装置の被検眼に対するアライメント状態の調整は、左右方向(左右のレンズ室の並設方向に平行な方向)及び上下方向(左右方向に対し直交する鉛直方向)にそれぞれ独立して移動可能である。
【0003】また近年、自覚検眼装置と他覚検眼装置とを組合わせた自他覚検眼装置が提案されている。この自他覚検眼装置は、被検眼と視表との間に配置される左右一対のレンズ室を有し被検眼の屈折力を自覚的に測定する自覚検眼器と、被検眼の屈折力を他覚的に測定する他覚検眼器と、他覚検眼器の上下いずれかに配置され該他覚検眼器の測定光を左右方向の少なくとも一方に導く反射ミラーと、一対のレンズ室の各視野窓と視表との間にそれぞれ配置され、反射ミラーにて導かれた測定光を一対のレンズ室のうち少なくとも一方を介して被検眼に導くハーフミラーとから構成されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、自他覚検眼装置は自覚検眼装置と異なり、他覚測定器の測定光を前記反射ミラー及びハーフミラーを介して左右のレンズ室いずれかに導く必要があるため、単に左右のレンズ室を上下動可能としたのでは他覚測定器から自覚測定器に至る導光経路が維持されず、他覚測定器の測定光を左右のレンズ室の両方に導光可能とすることができなかった。
【0005】したがって左右の被検眼が相互に上下に違う場合に、左右のレンズ室を上下方向に移動して被検眼に対して適正なアライメント状態とすることができず、被検者に顔を傾けてもらう等する必要があって被検者に負担を強いたり、正確な測定を行うことができないというおそれがあった。
【0006】また自他覚検眼装置においては、左右いずれか一方の被検眼に対する他覚検眼及び自覚検眼が終了した後、他方の被検眼に対する他覚検眼及び自覚検眼を行う。ここで、左右のレンズ室を互いに左右又上下の異なる位置に移動させた場合には、他覚測定器から右のレンズ室に至る測定光路と左のレンズ室に至る測定光路が異なる長さになるため、一方の被検眼から他方の被検眼への検査に切り替える際には、他覚測定器を移動させて一方の被検眼を検眼した際と同じアライメント状態を維持する必要がある。
【0007】しかし従来の自他覚検眼装置においては、被検眼を切替る毎にアライメント状態を調節していたので、アライメント調整に時間を要しており、改善が望まれていた。
【0008】このような従来の自他覚検眼装置における問題点に鑑みて本発明は、上下方向のアライメント状態を適正に調整できる自他覚検眼装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような従来の自他覚検眼装置の問題点を解決するために請求項1に記載の本発明は、被検眼と視表との間に配置される左右一対のレンズ室を有し、被検眼の屈折力を自覚的に測定する自覚検眼手段と、前記一対のレンズ室を相互に独立で左右方向又は上下方向に駆動するレンズ室駆動手段と、被検眼の屈折力を他覚的に測定する他覚検眼手段と、前記他覚検眼手段の測定光を前記左右方向の少なくとも一方に導く導光手段と、前記一対のレンズ室の各視野窓と前記視表との間にそれぞれ配置され、前記導光手段にて導かれた測定光を前記一対のレンズ室のうち少なくとも一方を介して被検眼に導く第2の導光手段とを備えた自他覚検眼装置であって、前記導光手段と前記第2の導光手段との間に配置され、前記導光手段にて前記左右方向の少なくとも一方に導かれた測定光を前記上下方向に偏向して前記第2の導光手段に導く第3の導光手段と、前記一対のレンズ室と共に前記第2の導光手段をそれぞれ相互に独立に上下動自在とし、かつ、前記一対のレンズ室と共に前記第2の導光手段及び前記第3の導光手段をそれぞれ相互に独立に左右動自在とする駆動手段と、前記他覚検眼手段から前記一対のレンズ室のうち測定に用いているレンズ室に至る測定光路長が常に一定となるように測定光路長を調整する調整手段とを備えたことを特徴として構成されている。
【0010】また請求項2記載の本発明は、請求項1記載の本発明において、前記調節手段は、前記他覚検眼手段から前記一対のレンズ室に至る測定光路中に配置されたレンズを有し、該レンズをその光軸方向に移動させることにより前記測定光路長を調整することを特徴として構成されている。
【0011】また請求項3記載の本発明は、請求項1又は2記載の本発明において、前記調整手段は、被検眼に対する前記左右のレンズ室のアライメント状態が適正にされた際、前記他覚検眼手段から左右いずれか一方のレンズ室に至る測定光路長と、前記他覚検眼手段から他方のレンズ室に至る測定光路長とを算出し、これら両測定光路長の差分を求める差分算出手段を有し、左右の被検眼のうち一方から他方へ測定を切換える際、前記差分算出手段にて求められた差分だけ前記他覚検眼手段を移動させることを特徴として構成されている。
【0012】また請求項4記載の本発明は、請求項1乃至3記載の本発明において、前記各レンズ室を輻輳回転させるための中空筒状の回転軸を設け、該回転軸の軸線上方に前記第3の導光手段を配置すると共に軸線下方に前記第2の導光手段を配置してなり、前記回転軸の内部を通して前記第3の導光手段から前記第2の導光手段に前記測定光を導いてなることを特徴として構成されている。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の自他覚検眼装置の第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本実施形態における自他覚検眼装置を被検者と共に示す側面断面図、図2は自他覚検眼装置を検者側からみた正面断面図である。
【0014】図1、2において本装置は、左右一対のレンズ室1,2を有する自覚検眼器3と、他覚検眼器4とを備えて構成されている。このうち他覚検眼器4は自覚検眼器3の上方に配置された筐体6に納められており、この筐体6内の後述する駆動機構5に連係された回転軸7の下端に左右のレンズ室1,2が固定されている。この筐体6及び駆動機構5は、左右一対のレンズ室1,2を支持する支持部材として機能する(なお「左右方向」とは左右のレンズ室1,2の並設方向に平行な方向、「上下方向」とは左右方向に対し直交する鉛直方向、「前後方向」とは上下方向及び左右方向に対し直交する方向をいい、以下同様である)。
【0015】自覚検眼器3は、被検眼の屈折力を自覚的に測定するためのもので、図1に示すように、被検眼の眼前に各種検眼用レンズを配置するためのレンズ配置機構10を備える。このレンズ配置機構10は、図1の紙面に平行な回転軸を中心として回転する複数のタ−レット板8を備え、各タ−レット板8に取り付けた図示しない開口部及び複数の各種検眼用レンズのうちの任意のいずれかが、視野窓9内に配置される。この視野窓9内に配置された開口部又は各種検眼用レンズを介して、自覚検眼器3を挟んで被検者と反対側に配置された図示しない視表を被検者に見せ、被検者との応答を通じて視表を最も良く見ることのできる各種検眼用レンズを選択することにより自覚測定が行われる。
【0016】他覚検眼器4は、タ−レット板8の開口部又は各種検眼用レンズを介して被検眼の屈折力を他覚的に測定する。この他覚検眼器4は、図2に示すように、その測定光を略鉛直下方に投光するように配置されている。他覚検眼器4の略鉛直下方には、図2に示すように、他覚検眼器4の測定光を左右のレンズ室1,2の移動方向(左右方向)の少なくとも一方に導く導光手段たる回転ミラー11が設けられている。この回転ミラー11は図2の紙面に垂直な図示しない回転軸を中心として回転され、他覚検眼器4の測定光を左右いずれか一方向に反射する。このように反射された測定光は左右のレンズ室1,2に直接反射投光されるのではなく、後述する第2及び第3の導光手段を介してレンズ室1,2に投光される。この意味において、回転ミラー11は測定光を直接的でなく間接的にレンズ室1,2に導く。
【0017】またレンズ室1,2内部の、視野窓9と図示しない視表との間の位置には、図1に示すように、回転ミラー11からの測定光を被検眼に向け導くと共に、被検眼からの反射光を回転ミラー11に向け導く第2の導光手段たるダイクロックミラー12が固定されている。また同時に、ダイクロックミラー12は被検眼に対して図示しない視表を透過し、被検者に視表を見せた状態での自覚検眼を可能とする。
【0018】また回転ミラー11の左右であってダイクロックミラー12の鉛直上方には、図2に示すように、回転ミラー11からの測定光をダイクロックミラー12に導くと共に、ダイクロックミラー12からの測定光を回転ミラー11に導く第3の導光手段たる反射ミラー13が設けられている。この反射ミラー13は、後述の眼幅調整ユニットに対して固定的に設けられている。すなわち他覚検眼器4からの測定光は、回転ミラー11によって左右いずれかの反射ミラー13に導かれ、反射ミラー13によってその鉛直下方のダイクロックミラー12に導かれ、ダイクロックミラー12によって被検眼に導かれる(以下、この経路を単に「他覚検眼器の測定光路」という)。そしてこの測定光路を逆方向に通って、被検眼にて反射された測定光が他覚検眼器4に導かれる。
【0019】また本自他覚検眼装置には、左右一対のレンズ室1,2を相互に独立で左右方向及び上下方向に駆動するレンズ室駆動手段であり、かつ、左右一対のレンズ室1,2と共にダイクロックミラー12をそれぞれ相互に独立に上下動自在とし、また一対のレンズ室1,2と共にダイクロックミラー12及び反射ミラー13をそれぞれ相互に独立に左右動自在とする駆動手段である駆動機構5が設けられている。この駆動機構5は、図1に示すように、眼幅調整ユニット14及び回転軸7にて構成されている。眼幅調整ユニット14には図示しないモータによって回転するウォームホイール15が納められており、該ウォームホイール15の内径に形成されたリードネジに回転軸7の上端部が噛合している。また回転軸7に係止する図示しない回転規制ガイドが設けられている。
【0020】したがってウォームホイール15を回転させることによって回転軸7に回転力が与えられるが、回転規制ガイドが回転軸7に係止しているので回転軸7の回転が規制されることによりレンズ室1,2が上下動する。この場合においてダイクロックミラー12はレンズ室1,2に対し固定されているのでレンズ室1,2に伴って上下動する。したがって、各レンズ室1,2を相互に独立に上下動し、しかもレンズ室1,2とダイクロックミラー12が互いに一体に上下動して他覚検眼器4の測定光路が維持される。
【0021】また眼幅調整ユニット14は図1に示す直進ガイドレール16によって筐体6に対し、左右方向に摺動可能に取り付けられており、図示しないモータによって左右動する。ここで反射ミラー13は、眼幅調整ユニット14に対して固定されており、したがって眼幅調整ユニット14と共に左右動する。また眼幅調整ユニット14内のウォームホイール15に噛合する回転軸7も眼幅調整ユニット14に伴って左右動するため、眼幅調整ユニット14、反射ミラー13、回転軸7及びレンズ室1,2が一体に左右動し、他覚検眼器4の測定光路を維持しつつ、左右方向におけるアライメント状態の調整を左右独立に行うことができる。
【0022】また本装置には、他覚検眼器4から左右のレンズ室1,2のうち測定に用いているレンズ室に至る測定光路長を常に一定となるように調整する調整手段たる調節機構20が設けられている。図2において、調節機構20は、左右のレンズ室1,2の移動量を相対的に検出する図示しないレンズ室検出部と、他覚検眼器のその光軸方向への移動量を相対的に検出する図示しない他覚検出部と、被検眼に対する左右のレンズ室1,2のアライメント状態が適正にされた際、レンズ室検出部及び他覚検出部の検出結果に基づいて、他覚検眼器4から左右いずれか一方のレンズ室に至る測定光路の長さと、他覚検眼器4から他方のレンズ室に至る測定光路の長さとを算出し、これら両測定光路長の差分を求める差分算出部21と、他覚検眼器4をその光軸方向に移動させるモータ22と、差分算出部21にて算出された差分だけ他覚検眼器4をその光軸方向に移動させるようモータ22を制御する制御部23とを有する。
【0023】次に、本自他覚検眼装置による被検眼の屈折力測定動作について説明する。まず左右の被検眼に対する自覚検眼器3及び他覚検眼器4の上下及び左右方向の相対位置を概略合わせるための粗アライメントが行われる。この粗アライメントは、検者が視野窓9を覗き、該視野窓9を通して被検眼を覗くことができるような位置に左右のレンズ室1,2を手動で移動させることによって行われる。
【0024】次に左右の被検眼に対する自覚検眼器3及び他覚検眼器4の上下、左右及び前後方向の相対位置を詳細に合わせるための微アライメントが行われる。この微アライメントは左右いずれか一方の被検眼に対し行った後、他方の被検眼に対して行う。まず、一方の被検眼、例えば右の被検眼に対する微アライメントを行うため、回転ミラー11を回転させ、他覚検眼器4からの測定光が右方向に導かれるようにする。すると他覚検眼器4の照明光学系にて照明された被検眼と、他覚検眼器4の測定光の中心を示すアライメントマ−クとが、図示しないモニタに重ねて表示させる。
【0025】検者はこのモニタを見ながら、被検眼の瞳孔中心とアライメントマ−クとがほぼ一致するように、レンズ室1,2を上下及び左右方向に駆動機構5を操作して移動させることにより、上下及び左右方向の微アライメントを行う。また図示しないモニタに表示されるアライメントマ−クは、他覚検眼器4の前後方向における微アライメント状態が適正となった時にピントが合うように設定されているため、検者はモニタに表示されたアライメントマ−クのピントが合うように、被検者を固定する額当て17を前後方向に移動させることにより、前後方向の微アライメントを行う。
【0026】次に、他方の被検眼、例えば左の被検眼に対する微アライメントを行うため、回転ミラー11を回転させ、他覚検眼器4からの測定光が左方向に導かれるようにする。そして上記と同様に左の被検眼に対する上下及び左右方向の微アライメントを行う。また前後方向の微アライメントに関しては、検者はモニタに表示されたアライメントマ−クのピントが合うように、他覚検眼器4をその光軸に移動させることにより、前後方向の微アライメントを行う。
【0027】ここでレンズ室検出部は左右のレンズ室1,2が所定の基準からどの程度移動されたかの移動量を検出することにより、これらレンズ室1,2の相対移動量を検出する。また他覚検出部は右の被検眼に対する微アライメント完了時点でイニシャライズ状態とされ、それ以降、左の被検眼に対する微アライメントが完了するまでに他覚検眼器4がどの程度移動されたかを検出する。またこのように検出されたレンズ室1,2の相対移動量及び他覚検眼器4の移動量は、図2の差分算出部21に入力され、差分算出部21によって、他覚検眼器4から右のレンズ室2に至る測定光路の長さと、他覚検眼器4から左のレンズ室1に至る測定光路の長さが算出され、これら両光路長の差分が算出される。
【0028】左右の被検眼に対する租アライメント及び微アライメント終了後、まず他覚検眼器4により微アライメントが最後に行われた方の被検眼(現在微アライメント状態が適正である方の被検眼)、すなわち左の被検眼に関する他覚検眼を行い、左の被検眼の屈折力を得る。そして、この屈折力に基づいて決定した度数のレンズを、左のレンズ室1の視野窓9内に配置し、同じく左の被検眼に対して自覚検眼器3による検眼を行う。
【0029】このように左の被検眼に対する他覚検眼及び自覚検眼終了後、他方、すなわち右の被検眼に対する他覚検眼及び自覚検眼に移る。このため、回転ミラー11を回転させ、他覚検眼器4からの測定光が右方向に導かれるようにする。また差分算出部21にて算出された差分が制御部23に出力される。差分を入力された制御部23は、差分だけ他覚検眼器4が移動するようにモータ22を制御する。
【0030】ここで、被検者が額当て17によって固定されており右のレンズ室2と右の被検眼の距離及び左のレンズ室1と左の被検眼の距離は互いに略同じであるため、他覚検眼器4を右のレンズ室2に至る測定光路長と左のレンズ室1に至る測定光路長との差分だけ移動することによって、右の被検眼に関する測定光路長と左の被検眼に関する測定光路長を互いに等しくできる。またこの場合、上記最後の微アライメントによって左の被検眼に対する他覚検眼器4のアライメント状態が適正に調整されているので、他覚検眼器4を上記差分だけ移動させることによって右の被検眼に対する他覚検眼器4のアライメント状態を適正とできる。そして左の被検眼の場合と同様に、右の被検眼に対する他覚検眼及び自覚検眼を行って、測定が完了する。
【0031】次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態と同じ構成を同符号にて示し、また特に説明なき構成は第1の実施形態と略同様である。図3は本実施形態における自他覚検眼装置を被検者と共に示す側面断面図、図4は自他覚検眼装置を検者側からみた正面断面図である。
【0032】図3、4において本装置は、固定的に設置されたベース板30と、該ベース板30に対し前後左右に移動自在に設置されたベースユニット31とを備えて構成されており、このベースユニット31に他覚検眼器4、眼幅調整ユニット14を納めた筐体6が配置されている。そして眼幅調整ユニット14に連係された回転軸7の上端部に左右のレンズ室1,2が連係されている。
【0033】他覚検眼器4は前方に測定光を投光するように配置されており、この他覚検眼器4の前方に、図4に示すように、回転ミラー11が設けられている。この回転ミラー11は左右のレンズ室の間に配置される。またレンズ室1,2内部の、視野窓9と図示しない視表との間の位置には、図3に示すように、ダイクロックミラー12が固定されており、また図4に示すように、回転ミラー11の左右であって、ダイクロックミラー12の鉛直下方には、反射ミラー13が設けられている。
【0034】本自他覚検眼装置の駆動機構5は第1の実施形態と略同様である。すなわち眼幅調整ユニット14には図示しないウォームホイール15が納められており、該ウォームホイール15に回転軸7の上端部が噛合して、該回転軸7の回転に伴って左右のレンズ室1,2が上下動又は回転する。
【0035】また眼幅調整ユニット14は直進ガイドレール16によって筐体6に対し、左右方向に摺動可能に取り付けられており図示しないモータによって左右動する。ここで反射ミラー13は、眼幅調整ユニット14に対して固定されており、したがって他覚検眼器4の測定光路を維持しつつ、左右方向におけるアライメント状態の調整を左右独立に行うことができる。
【0036】また調節機構20も第1の実施形態と略同様であるが、他覚検眼器4は、モータ22によって、筐体6内のベース板32に対してその光路方向すなわち前方に移動自在とされている。
【0037】さて、これまで本発明の第1及び第2の実施形態について説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態において実施されてよいものであり、以下、これら異なる形態について説明する。まず上記実施形態においては第2の導光手段たるダイクロックミラー12を用いたが、これは自他覚検眼装置の光源として近赤外光が用いられているためであり、通常のハーフミラーを用いても良い。
【0038】また調整機構20によって他覚検眼器4をその光軸方向に移動させて左右の光路長を調節したが、他覚検眼器4は固定し、その変わりに図2に点線にて示すように他覚検眼器4から被検眼に至る測定光路中にレンズ40を設け(あるいはその他のリレーレンズや同測定光路中の光学要素を移動可能にし)、該レンズ40等をその光軸方向に移動させること等によって、左右の光路長を一定にしてもよい。
【0039】またレンズ検出部によってレンズ室1,2の相対移動量を検出し、また他覚検出部によって他覚検眼器4の移動量を相対的に検出するようにしたが、レンズ検出部にてレンズ室1,2の絶対位置検出を行ったり、他覚検出部によって他覚検眼器4の絶対位置検出を行ってもよい。また上記形態のように他覚検出部による相対的な検出を行う場合でも、一方の微アライメント完了時にイニシャライズするのでなく、所定の基準位置から一方の微アライメント完了時における他覚検眼器4の相対移動量を求めると共に、所定の基準位置から他方の微アライメント完了時における他覚検眼器4の相対移動量を求め、これら両相対移動量に基づいて他覚検眼器4の移動量を求めてもよい。また前後方向の微アライメントを額当て17の移動でなく他覚検眼器4の移動のみによって行ってもよい。
【0040】また輻輳を行うための輻輳機構を設ける場合には、回転軸7をレンズ室1,2を輻湊回転させるための輻湊軸として構成してもよい。具体的には、回転軸7の軸線上方に反射ミラー13を配置され、軸線下方にダイクロックミラー12を配置する。また回転軸7を中空筒状に形成し、その内部空間を通して他覚検眼器4の測定光を反射ミラー13からダイクロックミラー12へ導き、またダイクロックミラー12から反射ミラー13へ導くようにしても良い。このように回転軸7の中心軸を輻輳時の回転中心とすれば輻輳時の光路ずれを抑えることができる。そしてこの回転軸7を含む輻輳機構により、被検眼のPD値から近点視時の輻輳角を算出しその角度にレンズ室1,2を回転させると共に、レンズ室1,2を左右に移動させて必要となるPD補正を行う。なお駆動機構5や調節機構には上記実施形態に示した構成の他、周知あるいは公知のあらゆる構成が採用されてよい。
【0041】
【発明の効果】これまで説明したように請求項1記載の本発明は、導光手段と第2の導光手段との間に配置され、導光手段にて左右方向の少なくとも一方に導かれた測定光を上下方向に偏向して第2の導光手段に導く第3の導光手段と、一対のレンズ室と共に第2の導光手段をそれぞれ相互に独立に上下動自在とし、かつ、一対のレンズ室と共に第2の導光手段及び第3の導光手段をそれぞれ相互に独立に左右動自在とする駆動手段と、他覚検眼手段から一対のレンズ室のうち測定に用いているレンズ室に至る測定光路長が常に一定となるように測定光路長を調整する調整手段とを備えたことにより、レンズ室を相互に上下独立に移動可能とでき、また移動させた場合でも常時他覚検眼手段から被検眼に至る測定光路が維持され、左右の被検眼に対して上下方向のアライメント状態を適正にすることができる。
【0042】さらに請求項2記載の本発明は、調節手段は、他覚検眼手段から一対のレンズ室に至る測定光路中に配置されたレンズを有し、該レンズをその光軸方向に移動させることにより測定光路長を調整することにより、他覚検眼器を移動させる場合よりもより簡易に測定光路長の調整を行うことができる。
【0043】さらにまた請求項3記載の本発明は、調整手段は、被検眼に対する左右のレンズ室のアライメント状態が適正にされた際、他覚検眼手段から左右いずれか一方のレンズ室に至る測定光路長と、他覚検眼手段から他方のレンズ室に至る測定光路長とを算出し、これら両測定光路長の差分を求める差分算出手段を有し、左右の被検眼のうち一方から他方へ測定を切換える際、差分算出手段にて求められた差分だけ他覚検眼手段を移動させることにより、左右いずれか一方の被検眼から他方の被検眼へ測定を切替える際、他覚検眼手段を左右のレンズ室の差分のみ移動させることによって被検眼に対するアライメント状態を維持できるので、切替を迅速に行うことができる。
【0044】しかも請求項4記載の本発明は、各レンズ室を輻輳回転させるための中空筒状の回転軸を設け、該回転軸の軸線上方に第3の導光手段を配置すると共に軸線下方に前記第2の導光手段を配置してなり、回転軸の内部を通して第3の導光手段から第2の導光手段に測定光を導いてなることにより、回転軸の中心軸を輻輳時の回転中心とでき、輻輳時の光路ずれを抑えることができる。
【出願人】 【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
【出願日】 平成9年(1997)10月17日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】村田 幹雄 (外1名)
【公開番号】 特開平11−113845
【公開日】 平成11年(1999)4月27日
【出願番号】 特願平9−303633