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【発明の名称】 耳鼻用ビデオスコープおよびそれを用いた耳鼻用ビデオスコープシステム
【発明者】 【氏名】大嶋 希代子

【氏名】熱田 裕史

【氏名】内田 真司

【氏名】山北 裕文

【要約】 【課題】耳腔に装着した状態で手振れがなく、簡単に焦点合わせのおこなえるコンパクトで扱いやすい耳鼻用ビデオスコープを提供することを目的とする。

【解決手段】撮像系に移動機構を設け、倍率可変させることで焦点を可変させる。入射窓、レンズ等を有する先端部の軸方向と交錯する方向に握り部を設け、前記先端部の軸方向に移動可能に撮像素子を配置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】撮像光の入射窓および照明光を投光する照明窓を有した先端を小径とする略円錐状を形成し、前記入射窓内にレンズと撮像素子を有する撮像系を設けた先端部と、この先端部に固定され、その軸方向に対し略直角に配置された握り部を備え、前記握り部に設けた照明用の光源と撮像素子用回路と、この光源と前記撮像素子用回路を動作させる電源を設けたことを特徴とする耳鼻用ビデオスコープ。
【請求項2】前記先端部と前記撮像系を有するヘッド部に、前記撮像素子を一体的に保持し且つ前記先端部内を摺動可能な撮像素子保持部と、この撮像素子保持部を前記先端部の軸方向と交錯する方向に移動させる可動部と、前記撮像素子保持部と前記可動部間に介在させた弾性体とからなる、前記撮像素子の移動機構を設けたことを特徴とする請求項1記載の耳鼻用ビデオスコープ。
【請求項3】前記撮像系から取り込まれた画像を任意に静止及び静止解除させる静止画手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の耳鼻用ビデオスコープ。
【請求項4】撮像光の入射窓および照明光を投光する照明窓を有し、前記入射窓内にレンズと撮像素子を有する撮像系を設けた先端部で形成されるヘッド部と、この先端部固定され、前記前記先端部の軸方向に略直角に配置された握り部を備えた耳鼻用ビデオスコープにおいて、前記ヘッド部を前記握り部に回動自在に設けたことを特徴とする耳鼻用ビデオスコープ。
【請求項5】撮像光の入射窓および照明光を投光する照明窓を有し、前記入射窓内にレンズと撮像素子を有する撮像系を設けた先端部と、この先端部が略直角に配置され操作者が保持する握り部を備えた耳鼻用ビデオスコープにおいて、前記先端部外部あるいは前記先端部内部に耳垢吸引用あるいは鼻汁吸引用の処置用経路を設けたことを特徴とする耳鼻用ビデオスコープ。
【請求項6】撮像光の入射窓および照明光を投光する照明窓を有し、前記入射窓内にレンズと撮像素子を有する撮像系を設けた先端部と、前記先端部に固定されその軸方向に略直角に配置された握り部を備えた耳鼻用ビデオスコープと、病理診断用症例データを搭載しこの症例データと前記ビデオスコープの撮影画像とを選択的表示あるいは画面分割同時表示が可能な表示装置と、前記ビデオスコープの撮影画像及び前記症例データを記憶させる画像記憶手段とを備えた耳鼻用ビデオスコープシステム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、CCD等の撮像素子を内蔵したビデオスコープおよび耳鼻咽喉科等で耳腔鼻腔観察等に用いる耳鼻用ビデオスコープシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、耳鼻咽喉科において耳腔の観察には、金属からなる略円錐形筒状の耳鏡や、あるいは特開平5−253184号公報、特開平6−269474号公報のように内視鏡で観察するものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、症状や治療方法について、医者と患者との意思の疎通を図るインフォームドコンセントが重要になってきている。その際、口頭のみで説明するより、例えば写真やモニターテレビ等で患部の状態を見ることが出来れば、一層説明が具体的に行え且つ理解されやすいものである。例えば、患者本人が直接見ることのできない耳の疾病においては、患部がどのような状態なのか患者本人には全くわからず、また、疾病はないが耳垢がたまっているという状態でも自分自身で耳垢の状態を見ることができず、第三者に確認してもらわねばならない。特に乳児や幼児は自分で耳垢をとることができず、保護者が定期的に観察し除去する作業が必要であるが、除去しきれず耳腔内にたまってしまい、保健所の検診等で発見され来院するということも多い。このような場合、医者が耳垢の状態を保護者にわかりやすく見せるということがなく、ただ口頭での注意で終わっているのが現状である。
【0004】従来の技術は、医者が患部の観察を直接視するためのものであり、他者に見せるためには例えばこの内視鏡の観察部にカメラを接続しその状態をモニターテレビや写真として映像を示すことができるが、カメラの着脱やピント合わせなど作業が大変煩わしく、時間もかかるものである。
【0005】また、耳腔内は複雑に曲がっており且つ鼓膜までの距離が長く、大人と小児、乳幼児では鼓膜までの距離や耳腔内の大きさが異なり且つその形態は個人差があるため、例えば固定倍率のビデオスコープであると耳に装着したスコープ本体を動かし焦点を合わせることになり、焦点位置での固定が難しい。
【0006】また、真直で細径な形状の内視鏡では、耳腔や鼻腔の奥深くに挿入し過ぎないよう、細心の注意が必要であり取扱が煩わしい。また、像伝送手段に光路長の長いレンズやイメージガイドファイバーを使用しているため、構成部品数が多く光軸調整など組立が複雑になり高価である。
【0007】本発明はこのような点に鑑みて、取り扱いが簡便で安価な耳鼻用ビデオスコープシステムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するために本発明は、撮像光の入射窓および照明光を投光する照明窓を有した先端を小径とする略円錐状を形成し前記入射窓内にレンズと撮像素子を有する撮像系を設けた先端部と、この先端部が略直角に配置され操作者が保持する握り部を備え、前記握り部に照明用の光源と撮像素子用回路と、この光源と前記撮像素子用回路を動作させる電源を設け、前記先端部と前記撮像系を有するヘッド部に前記撮像素子の移動機構を設けたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、図1から図7を用いて説明する。
【0010】(実施の形態1)図1は、耳鼻用ビデオスコープの部分断面拡大図、図2は耳鼻用ビデオスコープの断面図、図7は耳鼻用ビデオスコープシステムのブロック図である。
【0011】図において、1は先端部を形成する主ガイドであり、先端が小径、他端が大径の略円錐状の筒となっており、内周斜面は反射防止のための処理が施されている。
【0012】5は照明光を導くライトガイドであり、主ガイド1の外周面に沿って先端が略円錐状になるよう設けられる。このライトガイド5は、撮像光を透過し照明光が導光可能な例えば透明アクリル樹脂等の材料や石英光ファイバーからなり、集光部5aから導光する。
【0013】2は主ガイド1先端の入射窓であり、内部にプラスティック樹脂等の材料からなる対物レンズ3が固定され、主ガイド1内部にはCCDユニット4からなる撮像系を設ける。対物レンズ3には虹彩絞りを設けるが、本図では省略する。
【0014】照明光は入射窓2面の外周でライトガイド5先端の照明窓6から照射される。前記CCDには、超広ダイナミックレンジ固体撮像素子(例えば松下電子工業(株)製ハイパーDCCD)を用いる。このCCDユニット4は保持部材7に固定され、この保持部材7は前記主ガイド1の大径側に固定されたホルダー8内に摺動可能に挿入されている。前記保持部材7のつば部7aとホルダー8の間には弾性体、例えば復帰バネ9が介在する。前記CCDユニット4の配線は前記保持部材7の例えば後端側面から取り出し、前記保持部材7の後端面には調整ネジ10が当接する。前記調整ネジ10と前記保持部材7は前記復帰バネ9のバネ圧力により当接しているだけであり、調整ネジ10を回転させると、前記保持部材7は前記ホルダー8内を平行に摺動するものである。
【0015】11はグリップであり、ヘッド部11aに前記調整ネジ10が螺合される。前記主ガイド1はこのグリップ11に90゜以上135゜未満の略直角に配置されるものである。12はランプホルダー12aに交換可能に装着した照明用のハロゲンやキセノン等のランプであり、前記ライトガイド5の集光部5aに投光され、前記ライトガイド5内を伝搬して照明窓6から照射される。13はカメラ回路、14は電池やバッテリー等の電源、15aは前記ランプ12及び前記電源14のON、OFFスイッチであり、15bは所望の画面で静止させる静止画スイッチである。16は、テレビ等のディスプレイあるいはパーソナルコンピューター(以下パソコンと略す)等の表示装置18に接続するための映像出力ケーブルである。図7に示すようにマルチ画面分割可能なパソコンあるいはディスプレイからなる表示装置18には、耳鼻に関する病理診断用症例データやカルテ画面等のソフトが参照データとして搭載されている。また、患部撮影像を要否に応じてファイリングする機能、さらにその患部撮影像や症例データ像をプリントアウトする機能を有している。これらを操作するスイッチは前記グリップ11あるいは表示装置などに別途設けてもかまわないものである。
【0016】17は使い捨てあるいは洗浄滅菌して使用する交換スペキュラである。スペキュラの先端は透明な光透過材料で覆われている。
【0017】この交換スペキュラ17を装着した、前記ライトガイド5を外嵌する前記主ガイド1を耳腔内に挿入すると、略円錐状の形状のため奥に入りすぎることなく外耳付近に装着され、また主ガイド1は前記グリップ11と略直角に配置されているためグリップ11が頬に当接すればそれ以上耳腔内に挿入されすぎることがない。
【0018】このとき片手でグリップ11を保持し、もう一方の手で前記調整ネジ10を締めていくと、前記CCDユニット4を固定する前記保持部材7の後端が押圧され、この保持部材7全体が復帰バネ9に反して前記ホルダー8内を摺動し、前記対物レンズ3側に移動する。また、反対に前記調整ネジ10をゆるめていくと、前記保持部材7は前記復帰バネ9のバネ圧により、常に前記調整ネジ10に追随していき、前記対物レンズ3から離れていくことになる。すなわちこの調整ネジ10の回転により、前記保持部材7に固定した前記CCDユニット4と前記対物レンズ3間の距離が変動し、倍率が変化し焦点位置が可変するものである。
【0019】この実施の形態では、前記調整ネジ10を前記CCDユニット4と同軸線に設けたが、直交位置であっても、前記保持部材7が回転することなく平行に摺動する機構で有れば当然かまわないものである。
【0020】以上のように、ビデオスコープは常に外耳に接触した状態で耳腔に装着され、調整ネジ10によりCCDユニット4を移動させ焦点距離を可変することによって、簡単に耳孔内の希望部位への焦点合わせが行えるもので、手振れが少なく安定した焦点像が得られるものである。
【0021】また、静止画スイッチ15bにより、希望する最適な映像で画面固定が行え、電子ファイリングやプリントアウト時などブレのない画像が得られるものである。また、表示装置18の画面を例えば2分割にし一方に患部撮影像、他方に搭載した参照データから症例画像を写しだし、病気の種類を判断したり正常時との比較をしたりあるいは治療前後の比較記録等をおこなったりすることができ、診断作業が容易となるものである。
【0022】また、耳腔や鼻腔内は暗いため照明を要するが鼓膜付近のような奥の場合と外耳付近とでは照明光量が異なり、外耳付近では照明過度となりハレーションを起こしやすいが、超広ダイナミックレンジ固体撮像素子を用いることでハレーションを抑えた安定した画像が得られるものである。これにより、例えば鼓膜にある光錘が判別しやすくなるなど患部観察が容易になるものである。
【0023】また、前記対物レンズ3と前記CCDユニット4を先端に構成することで、像伝送手段が不要となり、光の損失が減り画質の低下が軽減され、また光軸調整等の煩わしい作業が削減できるため工程が簡略化されるものである。
【0024】また、光源であるランプ12とカメラ回路13と電源14を一体化したことでスコープ本体に付随するケーブルは映像出力ケーブルのみであり、この映像出力ケーブルを表示器18に接続するだけで画像が得られるもので取扱が簡単である。
【0025】また、開口したスペキュラでは耳腔内に挿入した際、耳垢が開口内に侵入し視野の妨げになるが、スペキュラの先端を光透過材料で覆うことにより、耳垢が侵入することなく視野が確保できるものである。
【0026】(実施の形態2)図3は、耳鼻用ビデオスコープの一部を断面した外観図であり、図4は耳鼻用ビデオスコープの側面図である。
【0027】図において、21はヘッド部であり、先端部を形成する主ガイド、対物レンズ、CCDユニットからなる撮像系と、この撮像系を摺動させる移動機構とライトガイドを内蔵しており、グリップ23側に略半球面の突起22が施されている。グリップ23には略半球面の凹部24が施され、この凹部24に前記ヘッド部21の突起22が填り合い、前記ヘッド部21は前記グリップ22に対し回動自在に取り付けられるものである。なお、前記ヘッド部21と前記グリップ部23との保持方法は、回動自在であれば他の方法であっても当然かまわないものである。
【0028】前記ヘッド部21、前記グリップ23の内部部品構成、機構等は、図1、2と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0029】この耳鼻用ビデオスコープを耳腔内に挿入し、耳腔内の様子を表示装置18で観察しながら焦点合わせを行う場合、前記グリップ23を握る手が前方(顔側)や後方(後頭部側)に動いても、耳腔内に装着した前記ヘッド部21は連動して動くことがなく、前記ヘッド部21内のCCD25は常に同位置で静止しており、表示装置18の画面に対して画像が斜めになるなどして揺れることがなく、観察しやすく調整が容易となるものである。また、前記グリップ23が回動することでこのグリップ23を常に楽な姿勢で保つことができ、操作に負担がかからない。
【0030】(実施の形態3)図5、6は主ガイドとライトガイドからなる先端部の一部を断面した図であり、その他の内部構成は図1と同等であり詳細な説明は省略する。交換スペキュラ17は不使用あるいは先端が開口のものを用いる。
【0031】図5に示す主ガイドは耳垢や鼻水吸引のためのガイド経路31が外部に一体的あるいは着脱自在に固定されている。固定方法については省略する。このガイド経路31から、例えば副鼻腔炎の症状である粘りけのある鼻汁を、鼻腔内を観察しながら吸引除去するもので、無理に鼻をかむことによる粘膜への刺激等を軽減させるものである。
【0032】図6に示す主ガイドは、内部に耳掻きや綿棒等の処置具挿入用の孔32が形成されており、図示しないが前記ヘッド部から処置具が挿入できるよう構成される。また、前述した耳垢吸引や鼻汁吸引用の経路としてもよい。
【0033】このように主ガイドに処置具用孔を設けることで、画面を見ながら処置や治療が可能となり耳垢や鼻汁の残留などが減り、また本人も治療状態を確認できるものである。
【0034】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、撮像系の移動機構を設け焦点可変構成としたことにより、外耳付近に装着した状態で焦点合わせが可能となり、手振れが発生せず取り扱いが簡便で且つ、組立工程簡略化により安価な耳鼻用ビデオスコープが実現できるものである。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月9日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】滝本 智之 (外1名)
【公開番号】 特開平11−113841
【公開日】 平成11年(1999)4月27日
【出願番号】 特願平9−276835