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【発明の名称】 放射線撮影ユニットの移動条件設定方法及びその装置
【発明者】 【氏名】園部 興一

【要約】 【課題】撮影ユニットにセファロ撮影ユニット等のオプション装置が追加された場合、又は何らかの原因により昇降モータの速度が変化した場合に、撮影ユニットの昇降速度等を自動的に再調整する方法及びその装置を提供する。

【解決手段】放射線撮影ユニットをガイド部材に沿って移動し、その実移動時間を求め、実移動時間が対応する最適移動時間と実質的に同一か否か判定する。判定の結果、実移動時間が対応する最適移動時間と実質的に同一でない場合、モータの駆動条件を変更する。実移動時間が対応する最適移動時間と実質的に同一と判定された場合、そのときのモータの駆動条件を記憶し、この記憶した駆動条件に基づいて、撮影ユニットの移動を制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 放射線発生装置とこれに対向する放射線受像装置とを備えた放射線撮影ユニットをモータの駆動に基づいてガイド部材に沿って所望の撮影位置に移動させるようにした放射線撮影装置における、上記放射線撮影ユニットの移動条件設定方法であって、(a) 上記ガイド部材に沿った第1の方向とこれと逆の第2の方向への上記放射線撮影ユニットの最適移動時間を記憶する工程と、(b) 上記放射線撮影ユニットを上記第1の方向に向けて第1の位置から第2の位置に移動する工程と、(c) 上記放射線撮影ユニットが上記第1の位置から上記第2の位置に移動するまでの実移動時間を求める工程と、(d) 上記工程(c)で求めた実移動時間が上記第1の方向への最適移動時間と実質的に同一か否か判定する工程と、(e) 上記工程(d)において上記第1の方向への実移動時間が上記第1の方向への最適移動時間と実質的に同一でないと判定された場合、上記モータの駆動条件を変更して上記工程(b)、(c)及び(d)を実行する工程と、(f) 上記放射線撮影ユニットを上記第2の方向に向けて第3の位置から第4の位置に移動する工程と、(g) 上記放射線撮影ユニットが上記第3の位置から上記第4の位置に移動するまでの実移動時間を求める工程と、(h) 上記工程(g)で求めた実移動時間が上記第2の方向への最適移動時間と実質的に同一か否か判定する工程と、(i) 上記工程(h)において上記第2の方向への実移動時間が上記第2の方向への最適移動時間と実質的に同一でないと判定された場合、上記モータの駆動条件を変更して上記工程(f)、(g)及び(h)を実行する工程と、(j) 上記工程(d)で上記第1の方向への実移動時間が上記第1の方向への最適移動時間と実質的に同一であると判定された場合、このときの上記モータの駆動条件を記憶する工程と、(k) 上記工程(h)で上記第2の方向への実移動時間が上記第2の方向への最適移動時間と実質的に同一であると判定された場合、このときの上記モータの駆動条件を記憶する工程と、を備えたことを特徴とする放射線撮影ユニットの移動条件設定方法。
【請求項2】 放射線発生装置とこれに対向する放射線受像装置とを備えた放射線撮影ユニットをモータの駆動に基づいてガイド部材に沿って所望の撮影位置に移動させるようにした放射線撮影装置において、上記放射線撮影ユニットの移動条件設定装置は、(a) 上記ガイド部材に沿った第1の方向とこれと逆の第2の方向への上記放射線撮影ユニットの最適移動時間を記憶した記憶部と、(b) 上記ガイド部材の一端側に設けられ、上記放射線撮影ユニットを検出する第1のスイッチと、(c) 上記ガイド部材の他端側に設けられ、上記放射線撮影ユニットを検出する第2のスイッチと、(d) 上記放射線ユニットが上記第1のスイッチを動作する位置から上記第2のスイッチを動作する位置まで移動する実移動時間を検出する第1の実移動時間検出手段と、(e) 上記放射線ユニットが上記第2のスイッチを動作する位置から上記第1のスイッチを動作する位置まで移動する実移動時間を検出する第2の実移動時間検出手段と、(f) 上記第1と第2の実移動時間が上記記憶部に記憶されている最適移動時間と実質的に同一か否かを判定する手段と、(g) 上記第1と第2の実移動時間が上記記憶部に記憶されている最適移動時間と実質的に同一でないと上記判定手段で判定された場合、上記モータの駆動条件を変更する手段と、(h) 上記第1と第2の実移動時間が上記記憶部に記憶されている最適移動時間と実質的に同一であると上記判定手段で判定された場合、このときの上記モータの駆動条件を記憶する手段と、を備えたことを特徴とする放射線撮影ユニットの移動条件設定装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、X線撮影装置などの放射線撮影装置に含まれる放射線撮影ユニットの移動条件を設定する方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】既存の歯科診断用パノラマX線撮影装置は、一般に、支柱(ガイド部材)に沿って昇降する撮影ユニットを有する。撮影ユニットは、通常、旋回アームと、この旋回アームの両端側から下方に伸びる垂直アームにそれぞれX線発生装置とこれに対向するX線受像装置を備えており、上記旋回アームを回転しながら、この旋回アームの回転中心を歯列弓に沿って移動させることで、歯列のパノラマX線撮影が行えるようになっている。
【0003】上記X線撮影装置には、オプションとしてセファロ撮影ユニットが付加できるものがある。このセファロ撮影ユニットは、水平方向に伸びるアームと、このアームの先端に取り付けたX線受像器とを含み、上記アームの基端を撮影ユニットに接続して取り付けられる。
【0004】一方、X線撮影装置は、撮影ユニットを昇降するモータの負荷を軽減するために、撮影ユニットの重量に釣り合う重量のカウンタウエイトを含むバランス機構を有し、このカウンタウエイトと撮影ユニットとを重量的にバランスさせている。したがって、セファロ撮影ユニットを撮影ユニットに取り付けた場合、セファロ撮影ユニットを含む撮影ユニットの重量が約10−20kg増加するので、この重量増加に対応して、上記カウンタウエイトにバランス用のウエイトを追加しなければならない。
【0005】また、セファロ撮影ユニットを撮影ユニットに取り付けた場合、上述のようにして重量のバランスを調整するだけでは不十分で、追加された重量の状態で昇降モータを駆動し、撮影ユニットの昇降速度、加速状態、減速状態等を再度適正状態に調整する必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来は、撮影ユニットの昇降速度等の再調整は個人の経験と勘を頼りに行われており、必ずしも昇降モータが最適状態に設定されていないという問題があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明は、撮影ユニットにセファロ撮影ユニット等のオプション装置が追加された場合、又は何らかの原因により昇降モータの速度が変化した場合に、撮影ユニットの昇降速度等を自動的に再調整する方法及びその装置を提供することを目的とする。
【0008】この目的を達成するために、本発明において、放射線発生装置とこれに対向する放射線受像装置とを備えた放射線撮影ユニットをモータの駆動に基づいてガイド部材に沿って所望の撮影位置に移動させるようにした放射線撮影装置における、上記放射線撮影ユニットの移動条件設定方法は以下の工程を有する。
(a) 上記ガイド部材に沿った第1の方向とこれと逆の第2の方向への上記放射線撮影ユニットの最適移動時間を記憶する工程。
(b) 上記放射線撮影ユニットを上記第1の方向に向けて第1の位置から第2の位置に移動する工程。
(c) 上記放射線撮影ユニットが上記第1の位置から上記第2の位置に移動するまでの実移動時間を求める工程。
(d) 上記工程(c)で求めた実移動時間が上記第1の方向への最適移動時間と実質的に同一か否か判定する工程。
(e) 上記工程(d)において上記第1の方向への実移動時間が上記第1の方向への最適移動時間と実質的に同一でないと判定された場合、上記モータの駆動条件を変更して上記工程(b)、(c)及び(d)を実行する工程。
(f) 上記放射線撮影ユニットを上記第2の方向に向けて第3の位置から第4の位置に移動する工程。
(g) 上記放射線撮影ユニットが上記第3の位置から上記第4の位置に移動するまでの実移動時間を求める工程。
(h) 上記工程(g)で求めた実移動時間が上記第2の方向への最適移動時間と実質的に同一か否か判定する工程。
(i) 上記工程(h)において上記第2の方向への実移動時間が上記第2の方向への最適移動時間と実質的に同一でないと判定された場合、上記モータの駆動条件を変更して上記工程(f)、(g)及び(h)を実行する工程。
(j) 上記工程(d)で上記第1の方向への実移動時間が上記第1の方向への最適移動時間と実質的に同一であると判定された場合、このときの上記モータの駆動条件を記憶する工程。
(k) 上記工程(h)で上記第2の方向への実移動時間が上記第2の方向への最適移動時間と実質的に同一であると判定された場合、このときの上記モータの駆動条件を記憶する工程。
【0009】上記放射線撮影ユニットの移動条件設定方法を実施するための装置は、以下の構成を含む。
(a) 上記ガイド部材に沿った第1の方向とこれと逆の第2の方向への上記放射線撮影ユニットの最適移動時間を記憶した記憶部。
(b) 上記ガイド部材の一端側に設けられ、上記放射線撮影ユニットを検出する第1のスイッチ。
(c) 上記ガイド部材の他端側に設けられ、上記放射線撮影ユニットを検出する第2のスイッチ。
(d) 上記放射線ユニットが上記第1のスイッチを動作する位置から上記第2のスイッチを動作する位置まで移動する実移動時間を検出する第1の実移動時間検出手段。
(e) 上記放射線ユニットが上記第2のスイッチを動作する位置から上記第1のスイッチを動作する位置まで移動する実移動時間を検出する第2の実移動時間検出手段。
(f) 上記第1と第2の実移動時間が上記記憶部に記憶されている最適移動時間と実質的に同一か否かを判定する手段。
(g) 上記第1と第2の実移動時間が上記記憶部に記憶されている最適移動時間と実質的に同一でないと上記判定手段で判定された場合、上記モータの駆動条件を変更する手段。
(h) 上記第1と第2の実移動時間が上記記憶部に記憶されている最適移動時間と実質的に同一であると上記判定手段で判定された場合、このときの上記モータの駆動条件を記憶する手段。
【0010】
【発明の作用】上記放射線ユニットの移動条件設定方法では、まず、ガイド部材に沿った第1の方向とこれと逆の第2の方向への放射線撮影ユニットの最適移動時間を記憶される。この状態で、放射線撮影ユニットを上記第1の方向に向けて第1の位置から第2の位置に移動し、その実移動時間を求める。次に、この実移動時間が対応する最適移動時間と実質的に同一か否か、すなわち所定の最適移動時間範囲に収まっているか否か判定する。判定の結果、実移動時間が対応する最適移動時間と実質的に同一でない、すなわち所定の最適移動時間範囲に収まっていないと判定された場合、モータの駆動条件を変更した上で、再び放射線撮影ユニットを第1の方向に向けて第1の位置から第2の位置に移動させて新たな実質移動時間を求め、これを対応する最適移動時間と実質的に同一か否か判定する。そして、実移動時間が対応する最適移動時間と実質的に同一と判定された場合、そのときのモータの駆動条件を記憶し、この記憶した駆動条件に基づいて、撮影ユニットの第1の方向を制御する。同様にして、第1の方向とは逆の第2の方向に撮影ユニットを移動するモータの駆動条件を設定する。
【0011】本発明にかかる放射線撮影ユニットの移動条件設定装置では、ガイド部材に沿った第1の方向とこれと逆の第2の方向への放射線撮影ユニットの最適移動時間が記憶部に記憶されている。そして、第1の実移動時間検出手段は、放射線撮影ユニットが第1のスイッチを動作する位置から第2のスイッチを動作する位置まで移動するのに要した第1の実移動時間を検出する。検出された第1の実移動時間は、判定手段によって、記憶部に記憶されている対応する最適移動時間と実質的に同一か否か、すなわち最適移動時間範囲に収まっているか否か判定される。第1の実移動時間が対応する最適移動時間と実質的に同一でない場合、モータの駆動条件設定手段により新たなモータ駆動条件が設定され、これに基づいて上述の動作を繰り返す。一方、第1の実移動時間が対応する最適移動時間と実質的に同一であると判定された場合、このときのモータの駆動条件を記憶する。そして、以後、モータは記憶された駆動条件に基づいて駆動する。同様にして、第1の方向とは逆の第2の方向に撮影ユニットを移動するモータの駆動条件を設定し、これに基づいて、以後のモータ駆動条件を制御する。
【0012】
【発明の効果】このように、本発明の放射線撮影ユニットの移動条件設定方法及び装置によれば、撮影ユニットにセファロ撮影ユニット等のオプション機能が追加された場合、また、何らかの理由によりモータの調整が必要となった場合、最適移動時間に適合したモータの駆動条件を求め、以後は求められた駆動条件にしたがってモータを駆動できる。また、位相同期ループ(PLL)や速度フィードバックによるアナログ制御による速度制御に比べ、より少ない電気又は電子部品で構成することができるという利点がある。
【0013】
【発明の実施の形態】図1は本発明の歯科診断用のパノラマX線撮影装置10の外観を示す。このX線撮影装置10は、歯科診療用防X線室の床面12に固定されたベース14と、このベース14に垂直に固定された支柱(ガイド部材)16を有する。支柱16の上部にはX線撮影ユニット(以下「撮影ユニット」という。)18が設けてあり、この撮影ユニット18は後述する昇降モータにより支柱16に沿って上下に移動できるようにしてある。撮影ユニット18は、メインフレーム20と、メインフレーム20の上部と下部からそれぞれ前方に突出した上部フレーム22と下部フレーム24を有し、上部フレーム22は図示しない連結軸を介して旋回ユニット26を支持し、下部フレーム24は例えば被撮影者の頭部を固定するチンレスト28等を備えている。
【0014】旋回ユニット26は旋回アーム30を有する。旋回アーム30の両端部分はそれぞれ下方に延長され、一方の端部にX線発生装置32、他方の端部にX線受像装置34が設けてある。また、旋回アーム30には、図示しない、旋回モータと、この旋回モータと上記連結軸とを駆動連結する駆動機構を備えており、旋回モータの駆動に基づいて旋回ユニット26が旋回可能としてある。一方、上部フレーム22には上記連結軸を水平面に沿ってX方向とY方向(X方向と直交する方向)に移動できるXY移動機構を備えている。
【0015】上記X線撮影装置10は、図示するように、オプションとしてセファロ撮影ユニット40を取り付けることができる。セファロ撮影ユニット40は、メインフレーム20に一端を連結する水平アーム42と、この水平アーム42の先端に取り付けられるセファロ撮影用のX線受像装置44等を含む。
【0016】図2(a)は本発明X線撮影装置の背面図、図2(b)はその側面図である。これらの図2(a)、(b)に示すように、撮影ユニット18の昇降装置50は、この撮影ユニット18の昇降負荷を軽減するために撮影ユニット18背面に一体的に連結してあり、撮影ユニット18と共に昇降する。昇降装置50には、滑車(動滑車)56と、この滑車56に対して同軸的に固定されたプーリ58と、正逆回転可能な昇降モータ60と、この昇降モータ60の回転軸に固定されたプーリ62と、プーリ58と62に巻回されたベルト64が設けてある。
【0017】一端を支柱16の上部69,69に固定した2本のワイヤ68,68が支柱16に対して上下にスライド可能としたメインフレーム20背面に固定した昇降装置50に回転自在に固定された滑車(動滑車)56,56に巻回され、支柱16の上部に回転自在に固定した滑車(定滑車)66を巻回してその他端にカウンタウエイト70が取り付けてある。したがって、昇降装置50に固定された昇降モータ60が回転すると、プーリ62、ベルト64、プーリ58、滑車56が回転し、これにより昇降装置50と撮影ユニット18が昇降する。
【0018】以上のように構成されたX線撮影装置10を用いて歯列のパノラマX線撮影を行う場合、下部フレーム24上のチンレスト28等により被撮影者の頭部(図示せず)を位置決めする。また、昇降モータ60を駆動して撮影ユニット18を下降又は上昇し、X線発生装置32とX線受像装置34を、被撮影者及び撮影部位に対して最適な位置に移動する。このようにして準備が完了すると、旋回モータを駆動して旋回ユニット26を旋回する。また、旋回モータの回転に同期してXY移動機構で連結軸の中心を歯列に沿った軌跡上で移動させる。一方、X線発生装置32は、X線受像装置34に向けてX線を放射し、撮影部位を透過したX線がX線受像装置34の受像部(X線感光フィルム又はCCDセンサ)に受像されて、歯列に沿ったパノラマX線写真が得られる。
【0019】セファロ撮影の場合、被撮影者の頭部をセファロ撮影ユニット40のX線受像装置44の頭部固定装置に位置決めする。また、X線発生装置32をX線受像装置44に対向させた状態で、X線発生装置32からX線受像装置44に向けてX線を放射する。これにより、撮影部位を透過したX線がX線受像装置44の受像部に受像されて、目的の投影写真が得られる。
【0020】上述のように、X線撮影装置10は、セファロ撮影ユニット40を取り付けることができるが、このセファロ撮影ユニット40は約10−20kgの重量を有するので、セファロ撮影ユニット40を取り付けた状態と取り付けない状態とでは、撮影ユニット18の重量が大きく異なる。また、撮影装置10には、上記セファロ撮影ユニット40の他にも各種のオプションが用意されており、これらのオプションを追加した場合に、同様に撮影ユニット18の重量が増す。
【0021】この場合、図2(a)、(b)に示すように、カウンタウエイト機構52に、追加されたオプション装置の重量に対応したバランス調整用のウエイト72を追加し、これにより撮影ユニット18とカウンタウエイト70との重量バランスを調整する。加えて、以下に説明する制御により、昇降モータ60の回転速度を調整することで、撮影ユニット18の昇降速度を最適状態に再調整する。なお、昇降モータ60は、例えば減速機の付いた直流モータが好適である。
【0022】上記撮影ユニットの昇降速度の最適調整について説明する。この最適調整は図3に示す制御回路(移動条件設定回路)80により行われる。制御回路80は、後述するプログラムを処理する中央制御装置(以下「CPU」という。)82を有する。CPU82は、昇降モータ60の駆動を制御するモータ駆動回路84と電気的に接続されており、昇降モータ60の駆動信号をモータ駆動回路84に出力する。また、昇降モータ60はAD変換部86に電気的に接続されており、昇降モータ60に流れる電流の値に対応したアナログ信号がAD変換部86に伝送され、さらにAD変換部86は変換後のデジタル信号をCPU82に伝送する。CPU82はまた、第1の記憶部(ROM)88と第2の記憶部(RAM)90に電気的に接続されている。第1の記憶部88には、撮影ユニット18の最適な昇降速度、加速度、減速度が記憶されている。他方、第2の記憶部90には、AD変換後の昇降モータ60の電流値が記憶されるようになっている。制御回路80はまた、上昇リミットスイッチ92と下降リミットスイッチ94が接続されている。これらのリミットスイッチ92、94は、図2に示すように、支柱16の上端側と下端側にそれぞれ配置されており、撮影ユニット18の最上昇位置と最下降位置とに対応しており、撮影ユニット18がそれぞれ最上昇位置と最下降位置に到達したときにオン動作し、その動作信号をCPU82に伝送する。
【0023】具体的なCPU82の制御プログラムを、図4、5を参照して説明する。この制御プログラムでは、まず昇降モータ60の駆動レベル(下降ドライブレベル、上昇ドライブレベル)を予め決められている所定のレベルに設定する(#1)。このとき、撮影ユニット18は、最上昇位置又は最下降位置にあるのか、それとも中間位置にあるのか不明である。そこで、撮影ユニット18を上昇し(#2)、撮影ユニット18が最上昇位置に到達したか否か上昇リミットスイッチ92からの出力信号をもとに判定する(#3)。上昇リミットスイッチ92からのオン信号により、撮影ユニット18が最上昇位置に到達したことを確認すると、昇降モータ60の駆動を停止する(#4)。
【0024】次に、昇降モータ60を逆転し、撮影ユニット18の下降動作を開始し(#5)、撮影ユニット18が最下降位置に到達するまでの時間を計測する(#6)。撮影ユニット18が最下降位置に到達したか否かは下降リミットスイッチ94からの信号により判断する(#7)。そして、下降リミットスイッチ94のオン信号を検出すると、昇降モータ60の駆動を停止する(#8)。
【0025】続いて、下降動作時の昇降モータ60の下降ドライブレベルが設定されているか否かを確認し(#9)、設定されていれば、撮影ユニット18が最上昇位置から最下降位置まで移動するのに要した実下降時間が、第1の記憶部88に記憶されている所定の最適下降時間範囲に収まっているか否か判定する(#10)。ここで、実下降時間が最適下降時間範囲に収まっていれば、現在設定されている下降ドライブレベルをその後の下降制御に用いる下降ドライブレベルに決定すると共に、今回の下降時に検出された昇降モータ60の電流値を第2の記憶部90に記憶し(#11)、以後の下降動作時には、この決定された下降ドライブレベルに従って、第2の記憶部90に記憶された電流値で昇降モータ60を駆動する。しかし、実下降時間が最適下降時間範囲に収まっていない場合、下降ドライブレベルを別のドライブレベルに変更する(#12)。
【0026】次に、図5に示す上昇ドライブレベル及びモータ電流値の設定処理に移る。この設定処理では、昇降モータ60を駆動し、撮影ユニット18の上昇動作を開始し(#13)、撮影ユニット18が最上昇位置に到達するまでの時間を計測する(#14)。撮影ユニット18が最上昇位置に到達したか否かは上昇リミットスイッチ92からの信号により判断する(#15)。そして、上昇リミットスイッチ92のオン信号を検出すると、昇降モータ60の駆動を停止する(#16)。
【0027】続いて、上昇動作時の昇降モータ60の上昇ドライブレベルが設定されているか否かを確認し(#17)、設定されていれば、撮影ユニット18が最下降位置から最上昇位置まで移動するのに要した実上昇時間が、第1の記憶部88に記憶されている所定の最適上昇時間範囲に収まっているか否か判定する(#18)。ここで、実上昇時間が最適上昇時間範囲に収まっていれば、現在設定されている上昇ドライブレベルをその後の上昇制御に用いる上昇ドライブレベルに決定すると共に、今回の上昇時に検出された昇降モータ60の電流値を第2の記憶部90に記憶し(#20)、以後の上昇動作時には、この決定された上昇ドライブレベルに従って、第2の記憶部90に記憶された電流値で昇降モータ60を駆動する。しかし、実上昇時間が最適上昇時間範囲に収まっていない場合、上昇時の上昇ドライブレベルを別の上昇ドライブレベルに調整する(#19)。
【0028】以上の処理により、下降ドライブレベルと上昇ドライブレベルが設定されたか否か判定し(#21、#22)、両者が設定されていれば、昇降モータ60の昇降調整を終了する(#23)。しかし、下降ドライブレベルが未設定の場合、上記#5から#19までの処理を実行し、下降ドライブレベルを設定する。一方、上昇ドライブレベルが未設定の場合、昇降モータ60を駆動して最上昇位置にある撮影ユニット18を最下降位置まで下降する(#24)。撮影ユニット18が最下降位置に到達したか否かは下降リミットスイッチ94からの信号により判断する(#25)。撮影ユニット18が最下降位置に到達したことを確認すると、昇降モータ60を逆転して撮影ユニット18を下降し(#26)、上述した#13以後の処理を再度実行し、上昇ドライブレベルを設定する。
【0029】なお、以上の説明では、単に、撮影ユニット18が下降と上昇に要する時間だけについて説明したが、同様のプロセスにより、定速制御、スロースタート制御及びスローダウン制御についても最適の動作条件を設定でき、加速時や減速時の衝撃を和らげることができる。
【0030】また、下降時や上昇時のモータ電流値が予め決められている電流値よりも大幅に上昇した場合には、例えば撮影ユニット18と別の物との間に被撮影者が挟まれるなどのトラブル発生と認識し、昇降モータ60を緊急停止するようにしてもよい。このようにすれば、撮影装置10の安全性がさらに高まる。
【0031】さらに、上記実施形態では、支柱16の上端側と下端側にそれぞれ一つのスイッチ(上昇リミットスイッチ92と下降リミットスイッチ94)しか設けていないが、その他にもスイッチを設けて、撮影ユニット18の動作を細かく設定してもよい。
【出願人】 【識別番号】000138185
【氏名又は名称】株式会社モリタ製作所
【出願日】 平成9年(1997)9月30日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆 (外2名)
【公開番号】 特開平11−104122
【公開日】 平成11年(1999)4月20日
【出願番号】 特願平9−267039